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一問一答「あなたが忘れっぽくて困るときはどんなときですか?」【記憶力を下げる行動】
2023-03-07 12:00330ptあなたが忘れっぽくて困るときはどんなときですか?
今回は、学校の授業で当てられることが苦手だという学生さんの相談をもとに、記憶力を無駄に下げてしまう習慣について解説させてもらいます。
「Q. 高校生ですが学校の授業で当てられることが苦手です。予習はしっかりしていますが、恥ずかしいという感情が強く授業が憂鬱です。」
わからない問題で当てられた時には、どの部分がどのようにわからないかということを伝えて先生に教えてもらうようにしてください。
わからないと言うより、積極的に質問するというのが一番いいと思います。
人間は確かにアウトプットする時に知識を記憶に定着します。
恥をかけばかくほど人間は物事を覚えることができますが、予習はとても効率の悪い勉強方法です。
予習して授業を理解できるのであれば授業に出る必要がありません。
恥をかいた人の方が物事を覚えられるということも覚えておいてください。
中途半端にそこで答えることができて先生に褒められる人よりも、わからない時には堂々とわからない部分を先生に尋ねる人の方が結果的には使える知識として記憶に残ります。
そもそも学校は間違わない方がおかしくて、学校は間違いに行くところです。
世の中の大人たちも学校の先生も間違えてばかりです。
授業で間違えることを恥ずかしいと思う必要はありませんし、むしろそんな雰囲気を作っている先生の方が問題なのかもしれません。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
記憶力が下がる残念な習慣
子供の頃は何でもすぐに記憶することができたのに、大人になって記憶力が下がってきた気がしたり、人や物の名前がすぐに出てこなくなったりすることが結構あります。
確かに年齢を重ねることにより記憶力が下がるということはありますが、記憶力を維持することは可能です。
一問一答「あなたが、しっかりと覚えておきたいことはどんなことですか?」【脳の基礎体力を上げる習慣】
そんな方法についてはこちらで以前に解説しています。
こちらの記事では脳の基礎体力を上げる習慣について解説させてもらいましたが、年齢を重ねると、それと同時に記憶力を下げる習慣が増えてしまいます。
記憶力が下がると新しいことを受け入れる能力も下がります。
言い方は悪いですが、いわゆる老害と言われるように、人の話を聞かないし新しいことも受け入れることができない人たちのようになってしまいます。
柔軟性がない人にならないためにも、記憶力を下げる習慣を理解して減らすようにしてください。
自分で良い習慣を身につけるよりも悪い習慣を無くすことの方が難しいです。
悪い習慣を無くすことについてはひとつずつ確実にこなすようにしてください。
ポイント1 :変化のない生活
変化のない生活は記憶力を下げてしまいます。
年齢を重ねると新しいことがどんどんなくなっていきます。
もちろん良い習慣は維持するべきですが、毎日通勤や通学で同じ道を通ったり、別に習慣化する必要がない習慣がどんどん増えていきます。
そんな習慣は無くした方がいいかもしれないということをマウントサイナイ医学大学の研究が指摘しています。
脳の働きとして、新しいことを学ぶ際の新規学習回路と古い習慣のための習慣回路が競争しているのではないかと言われています。
人間の脳には、新しい学習内容を既存の習慣と競わせて、勝った場合のみ長期記憶として保存する仕組みが存在する可能性を示した研究です。
つまり、人は新しいことを学ぶことと古い習慣を行うことを同時にはできません。
新しいことを学ぶと習慣的な行動が抑制され、習慣的な行動を増やすと新しいことを学ぶことが抑制されてしまいます。
人が学んだことを長期記憶として残すためには新規学習回路が刺激されていて、習慣回路が抑えられている必要があります。
漫然と若い頃から同じ習慣をずっと続けてきたと思うのであれば、新しい習い事やチャレンジを始めてください。
いつもはしないようなことをしてみたり、模様替えをしてみるのもいいと思います。
古い習慣を捨てて新しいことを常に試してみる生活をしていないと記憶力は年齢とともに下がっていきます。
目の前の情報や行動が、脳にとって価値がある場合には新規学習回路が刺激されて、目の前のことに興味を持ち習慣化の壁を突破することができるようになります。
逆に、学習意欲も湧かず興味も持てないことに対しては、いくら一生懸命学習したとしても長期記憶として記憶に残りにくくなります。
良くも悪くも習慣的な行動ばかりを繰り返す生活は、人間の記憶力を低下させてしまいます。
最近何か新しいことを始めましたか?
何か新しいジャンルの本を読みましたか?
新しいことに取り組む生活をしていないと、脳機能が低下したり寿命が短くなったりします。
何歳になっても新しいことを始める生活は脳のためにも寿命のためにも大切です。
ポイント2 :楽しくない勉強
人間の脳は楽しかった出来事を優先的に長期記憶に残します。
これが学生の頃に学んだ内容が記憶に残らない原因かもしれませんが、勉強自体が楽しいというよりも、勉強している時の気分がいいということが重要です。
ジュネーブ大学の研究で、気分の良い時に起きたことや学んだことを人間の脳は優先的に記憶に残すということが示されています。
ですから、新しいことを学んだり勉強する時には、まずは自分の気分を良くした状態で始めるようにしてください。
人間の脳は新しいことを学んだ後に睡眠をとることによって記憶に定着しますが、この研究では、記憶に定着する時と定着しない場合の違いについて参加者の脳をスキャンしながら明らかにしようとしています。
日中にゲームをしてもらい、その後に睡眠時の脳をスキャンすると、眠っている時にゲームに取り組んで効率の良い方法やコツを掴んでいる時と同じ脳の領域が活性化していたということです。
つまり、人は眠っている時にその日に学んだことを復習しています。
眠った直後からこれは始まり、深い睡眠状態に入ると、ポジティブな感情を感じた情報を優先して脳の中でリプレイしていたということです。
人は日中に学んだことを眠っている間にリプレイして長期記憶に入れようとします。
特に深い睡眠状態に入ってからは、自分が日中に最もポジティブな感情を感じたことからリプレイしていきます。
楽しいから記憶に残るというよりは、楽しいことは眠っている間にリプレイしているから長期記憶になりやすいわけです。
この研究では、2日後に同じ内容をどれだけ記憶しているか調べるテストを行なっていますが、ポジティブな感情を感じた睡眠時に優先された情報ほど記憶に残っていたということも確認されています。
自分の気分を上げてから学ぶようにしてください。
それによって、眠っている間に優先してリプレイされて長期記憶に残りやすくなります。
自分の好きな曲を10分だけ聞いてからとか、軽く運動してから勉強したりするのもいいと思います。
それをせずに勉強を始めたり、嫌な気分の時に無理矢理勉強しようとすると、せっかく勉強しても長期記憶に残りにくくなります。
ポイント3 :感動が少ない生活
最近いつ感動しましたか?
カリフォルニア大学の研究で、感動的な刺激によって記憶力が上がるとされています。
日常生活で意外なことに気づく人やビジネスチャンスを見つける人には特徴があります。
それは油断している時の記憶も残す人です。
それを覚えようと思って情報に注目しているのではなく、この細かいことに気づける人は、油断している時の記憶もちゃんと残して、周りからするとよくそんなこと覚えているなと感心されます。
この研究では、感動的な経験のタイミングを変化させて、意図して記憶しようとしたことでなくても覚えられる条件について調べています。
その結果、感動的な経験をすると、その後の出来事に対する記憶力が上がっていました。
感動的な出来事や経験をすると当然そのことは覚えています。
これは当然のことですが、感動的な経験をすると、その後に起きたなんてことない出来事も記憶に残りやすくなるということです。
1日1つでいいので感動する体験をするようにしてください。
何かしらの感動的な経験をしてから新しいことを学習することによって、その学んだことも記憶に残りやすくなります。
もちろん時間が長くなると勉強の時間が無くなりますので、名言に触れたり名シーンを見たり、畏敬の念を感じるような絶景の図鑑を見たりするのもいいと思います。
別の研究ですが、40秒だけ壮大な大自然や宇宙の広大さを感じられる図鑑を眺めるだけで、人間の集中力が最適化されて勉強や仕事がはかどるようになるという研究もあります。
ストレスも最適化されて減るので、時間の流れがゆっくり感じるようになるというメリットもあります。
これによって遊びの感覚も減り、学習に対するパフォーマンスが上がります。
喜びや楽しさや憐れみ、愛や満足感、誇りや畏怖の感情の7つの感情を感じる人は老化しづらくなるということが示唆された研究もあります。
畏敬の念や感嘆という感情は、炎症物質であるサイトカインのレベルを抑えてくれて、健康的なレベルに戻してくれるということです。
ですから、新しいことを学ぶ前には少しでいいので、大自然の映像や写真に触れてから始めるようにしてみてください。
集中力も上がり記憶にも残りやすくなる可能性が高いです。
畏敬の念を感じられるおすすめの本も紹介しておきます。
おすすめは宇宙に関する図鑑です。
太陽系のことであればある程度知っているという人も多いと思いますが、太陽系にも僕たちがまだまだ知らないことがたくさんあります。そんな太陽系の不思議に焦点を当てた図鑑です。
写真も多くて畏怖の念を感じるためにも使いやすいと思います。
マーカス・チャウンの太陽系図鑑
太陽系よりももっと遠くの天体や未知の星などまで紹介している図鑑もあります。
これはとても美しい宇宙の世界が楽しめますし、お子さんがいる人であれば一緒に楽しむこともできると思います。
世界で一番美しい深宇宙図鑑:太陽系から宇宙の果てまで
ポイント4 :恐怖を感じない生活
楽しかったり感動したりだけでなく、感情が揺さぶられる生活をしていないと記憶力は低下していきます。
実は、軽い恐怖を定期的に感じる人の方が、記憶力が高くなるというニューヨーク大学の研究もあります。
研究では、参加者に様々なものが写った写真を見せて記憶してもらっていますが、1回目はただランダムに見てもらい、2回目には、2枚に1枚、拳銃やナイフなど軽い恐怖を感じるものが交互に見せられます。
3回目には、恐怖や刺激を与えるような写真はありませんでした。
その上で、その1日後に写真をどれだけ覚えているのかということをチェックしています。
その結果、恐怖や刺激を感じるとその前後の記憶が良くなっていました。
恐怖を連想させるような刺激を受けるだけで記憶力が強化されていたということです。
しかも、恐怖という感情の場合には、その感情を感じた前の情報も同時に記憶に残りやすかったということです。
恐怖を感じる前と後の両方の記憶が残りやすくなるので、覚えておきたいことがあった後に少し恐怖を感じるものを見るだけでも構いません。
勉強する前は感動して、勉強した後は軽い恐怖を感じると組み合わせるのも良い方法です。
ただし、この恐怖の感情による記憶の強化の効果は6時間後から現れるということですから、感動と違って少し時間がかかります。
人間の脳は何気なく物事を見ていると情報を記憶に残そうとはしません。
恐怖を感じる出来事があると、その恐怖を感じる前にその原因があったのではないかと考えます。
それによって、その前の経験を記憶に残そうとすると研究者は言われています。
危険を感じた経験の前の記憶がなければ、また同じことを繰り返して同様な危険にさらされてしまいます。
ポイント5 :予想外・驚きがない生活
読書術について、本を読む前に目次を見ながら「この本にはどんな面白いことが書いてあるだろうか?」「この本からどんな新しいことを学ぶことができるだろうか?」ということを想像してから読み始めると記憶に残りやすくなるという話を紹介したことがあります。
そもそも予想することもなければ予想外はありません。
人間が記憶に残すためには予想外だったという感情が必要になります。
まずは予想して予想を裏切る経験が必要になります。
予想することなくただ漫然とインプットしようとしても記憶には残りません。
事前に自分なりの予測をすることで、予想外の感情は自分で作ることができます。
プリンストン大学の研究で、参加者に脳波計をつけてバスケットの試合を見てもらっています。
攻守の交代や時間ギリギリのスリーポイントシュートによる大逆転など、試合の勝敗を決定づけるような出来事があると、目の瞳孔が開いて脳の記憶を司っているエリアが活性化していました。
人は予想外な出来事や驚きを与えられると、情報を長期記憶に残しやすくなります。
ただの驚きよりも特に予想を裏切る展開ほど脳が強く反応していました。
研究チームによると、スポーツの試合を見ている時にも、人はどちらが勝ちそうか?無意識のうちにもストーリーを予想しています。
そのストーリーに反する出来事が起きた時に、人間の脳は強く反応して、感情とともに記憶に残りやすくなります。
毎日予想通りの生活を繰り返していると記憶力は落ちていきます。
普段から予想を裏切られる新しい経験をしないと、記憶力はどんどん落ちていきます。
どんなことに対しても事前に予想するようにしましょう。
予想が外れて驚く経験を増やすようにしてください。
ポイント6 :エロ画像
エロ画像やエロ動画は記憶力を使わないタイミングで時間を決めて楽しむようにしてください。
デュースブルク=エッセン大学の研究で、様々な写真をスライドで見てもらい4枚前の写真と同じ時にボタンを押してもらうゲームを行っています。
その写真がニュートラルな写真の場合とエロ画像の場合で比べています。
ニュートラルな写真の場合には正答率が平均で80%でしたが、エロ画像の場合は正答率が67%だったということです。
研究チームによると、エロの刺激によって性的な刺激が脳の作業領域の中枢に干渉してくると言われています。
人間の脳はエロが優先だということです。
記憶を司ったり自分をコントロールしたり人間の脳は様々なことをしていますが、エロによって脳はそちらに全振りしてしまいます。
記憶力を下げてしまう習慣は残り6つあります。
ぜひ続きもチェックしてみてください。
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一問一答「あなたが、しっかりと覚えておきたいことはどんなことですか?」【脳の基礎体力を上げる習慣】
2023-02-11 12:00330ptあなたが、しっかりと覚えておきたいことはどんなことですか?
今回は、DaiGo師匠への質問でも多いですが、どうすれば覚えた内容を記憶に定着させて、使える知識にしていくことができるのかという質問をもとに、記憶力を高めるための日常的な生活について解説させてもらいます。
「Q. 勉強でも読書でも覚えたつもりがすぐに忘れてしまいます。どうすれば覚えた内容を忘れずに記憶しておくことができるのでしょうか?」
本を読む時にあることをするだけで、その本の内容が記憶に残る確率を圧倒的に上げることができます。
しかも、これはほとんど時間もかからない方法です。
何かを覚えた直後に40秒間復習をするだけで記憶の残り方が段違いになるという研究があります。
これであれば、どんなに物覚えが悪くて忘れっぽいという人でも使える方法だと思います。
この研究では、参加者を集めて26本の YouTube の動画を見せる実験を行っています。この動画を見せる時に2つのパターンに分けて、記憶の保持率がどれぐらい変わるのかということを調べています。
動画を見た後に、40秒間動画の内容の細部を思い描く、または、声に出して説明したグループと、ただ動画を見るだけで何もしなかったグループに分けています。
その2週間後に記憶テストを受けてもらったところ、ただ動画を見ただけのグループは内容をほとんど思い出すことができなかったそうです。
一方で、たった40秒だけでも動画の内容を最後まで思い描くか声に出して説明していたグループは、かなり詳細な部分まで2週間経っても思い出すことができたそうです。
ですから、本を読んでいて覚えていたい内容があったとしたら、本を一旦閉じて頭の中で40秒ぐらいかけてその内容をまとめてみてください。
あるいは、ほんの40秒ぐらいでも構いませんので誰かに説明したり、説明しているつもりで声に出してみてください。
これをするだけで記憶への定着率は全く違ってきます。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
脳の基礎体力を上げる
記憶力というものは、ただ単に情報をインプットする能力ではなく、使える情報としてアウトプットしたり、頭の中の情報を組み合わせてアイデアを作ったりする力のことです。
だからこそ、その力を高めることで人生がイージーモードになります。
記憶力を高めれば、ネガティブな感情や自分をコントロールする能力も高まります。
スポーツ選手が日々の生活や食事を大切にするように、人間の記憶力の底上げをしてくれる習慣があります。
これはいくつか紹介させてもらいますが、もし全ての習慣を取り入れていただければ、驚くぐらい記憶力が底上げされます。
物覚えが良くなるだけでなく、様々な場面で効果を実感できるはずです。
記憶力を保つということは脳を健康的な状態で保つということです。
ですから、お子さんから年配の方まで幅広く役に立つ内容だと思います。
1. 鼻呼吸
人は口呼吸と鼻呼吸を使い分けていますが、人によっては口呼吸が中心になっています。
カロリンスカ研究所の研究を見てみると、普段の生活を鼻呼吸にすることによって、匂いに関する記憶が強化されるのではないかとされています。
参加者には様々な匂いを嗅いでもらった上で、その後に1時間口呼吸と鼻呼吸を行ってもらい、記憶の残り方にどんな違いが出るのか調べています。
その結果、鼻呼吸をした人たちは、口呼吸をした人たちに比べて匂いをより強く記憶していました。
先行研究を見てみても、人間の鼻は脳の海馬とかなり強い関係があるのではないかとされています。
そう考えると、鼻呼吸にするだけでも記憶の残り方に十分寄与する可能性があります。
ですから、毎日勉強している学生さんも、新しいスキルを身につけて挑戦したい大人の皆さんも、普段の生活をできるだけ鼻呼吸にしてみてください。
ちなみに、ヨガでよく使われる片鼻式呼吸法を1日5分から10分で7週間続けることによって英語の学習が捗ったという研究もあります。
この呼吸法は自分をコントロールする力が鍛えられるのではないかと昔から言われてきましたが、どうやら語学学習にも役に立つのかもしれないということです。
週に1回の英語学習の授業を受けてもらいますが、この授業を受ける際に、片鼻式呼吸法を行ったグループと行わなかったグループに分けました。
片鼻式呼吸法は、最初の4週間は毎日5分だけ行なってもらい、その後は少しずつ時間を増やして毎日10分行ってもらいました。
合計で7週間続けた後に、英語の読解スキルやリスニングのスキルなどをチェックするテストを受けてもらい、それぞれの英語学習がどれぐらい進んでいるのかということを調べました。
その結果、リスニングとリーディングの成績が向上していました。
この呼吸法を授業の前に毎日5分から10分行うだけで 、それをしなかった人たちに比べて有意にリスニングとリーディングのスコアが高くなっていました。
そんな簡単なことで効果があるのであれば、受験生はみんなした方がいいのではないかとも思います。
この研究では語学学習として調べられていますが、数学など他の科目でも恐らく効果が出るのではないかと思います。
片鼻式呼吸法のトレーニング
この呼吸法はとても簡単な方法なのでぜひ試してみてください。
鼻を交互に押さえて行う呼吸法です。
片方の鼻で4秒かけて息を吸って、反対側の鼻で4秒かけて息を吐く、これを繰り返すだけです。
①右手の親指で右の鼻の穴を押さえる
②左の鼻の穴からゆっくりと息を吸う
③1秒だけ息を止める
④右手の薬指で左の鼻の穴を押さえる
⑤右の鼻の穴からゆっくりと息を吐く
⑥右の鼻の穴からゆっくりと息を吸う
⑦1秒だけ息を止める
⑧右手の親指で右の鼻の穴を押さえる
⑨左の鼻の穴からゆっくりと息を吸う
これを繰り返すだけです。
片方の鼻で4秒ずつ呼吸するだけで、慣れてきたら徐々にこの4秒を長くしていくといいと思います。
別の研究ですが、85人の学生を対象に1日1時間の片鼻式呼吸を6週間続けたところ、人間のストレス耐性や集中力を測ることができる心拍変動の値がかなり改善したという結果も示されています。
30分や1時間試しても良いと思いますが、5分や10分でも効果があると思いますので試してみてください。
2. 読みにくい字で書く
読みにくい字の方が記憶には残りやすいようです。
手書きではなくパソコンやタブレットを使う場合も、わざと読みにくいフォントでメモした方が記憶に残りやすいという研究があります。
研究では、18歳から48歳の28人の被験者を対象に、架空の宇宙人に関する文章を読んでもらい覚えてもらいました。宇宙人について90秒だけ覚えてもらい、15分後にそれについてチェックするテストを受けてもらいました。
架空の宇宙人についての文章ですから、事前に情報がある人は誰もいません。
その際に、読みやすいフォントで見てもらった場合と読みにくいフォントで見てもらった場合で比べています。
その結果、読みやすいフォントで見た場合は正答率が72.8%でしたが、読みにくいフォントで見た場合は正答率が86.5%だったということです。
研究者によると、読みにくいフォントの場合には、覚える内容を実際よりも難しく感じさせます。
人間の脳は難易度を感じるので、だからこそちゃんと読まなくてはならないと考えるようになります。
文章にちゃんと注意を払って学習することができるようになるので、それによって記憶に定着しやすくなるわけです。
もちろん、実際の難易度が高い場合には、理解すること自体が難しい場合もあるでしょうが、フォントを少し変えるだけで、ちゃんと集中して取り組むことができるようになり、結果として記憶に残りやすくなるわけです。
字が汚い人は頭がいいという通説があります。
これは実は科学的には正しくて、字がぼやけている本とぼやけていない本を見せて、記憶への残り方の違いを調べる研究もあります。
これによると、字がぼやけている本の方が内容が頭に残りやすいということが示されています。
これは心理学的には「望ましい困難」と呼ばれるものですが、情報を読むのに苦労するからこそ、前後の文脈や内容を推察しながら読むようになりますので、結果的に記憶に残りやすくなります。
情報というものは何回も思い出して記憶を再統合することによって過去の経験や情報と結びついていきます。
それによって関連性が深まって記憶が定着していくわけです。
3. ポジティブ習慣を作る
1日の中で定期的に自分がポジティブな感情になる習慣を作ってください。
人はポジティブな気分になろうとしてもポジティブな気分にはなれません。
自分が自然とポジティブな気分になれる習慣を持っておくと、それによって定期的に自然とポジティブ感情を高めることができますので、それによって自分のメンタルを安定させることができるわけですが、この習慣は記憶力を高めるためにも重要です。
年齢を重ねるにつれて記憶力の低下が起きるものですが、それを防いでくれる要素について9年間にわたり調べた研究があります。
その中で年齢を重ねても記憶力の低下が著しく起きづらい人たちがいました。
それはポジティブな感情を頻繁に感じる人たちです。
日常的に自分が楽しい気分になれることを習慣化している人たちは、年齢を重ねても記憶力が低下しにくかったということです。
自分が必ずポジティブな気分になれることを、毎日のスケジュールの中にまず最初に組み込んでください。
それが自分のメンタルだけでなく長期的に見た時の記憶力を大きく左右します。
4. ボードゲーム
11歳の時点で記憶力や認知能力についてのテストを受けた1,000人以上の男女を追跡して、彼らが70歳の時点から3年ごとに4回再度同じテストを受けてもらうという研究があります。
彼らが子供の頃からどれぐらいボードゲームで遊んできたかということも同時に調べて、ボードゲームが記憶力や認知能力に与える影響について調べています。
それによると、大人になってもボードゲームで遊ぶ人たちは、そうでない人に比べて70歳になった時の記憶力の低下が少なかったということです。
さらに、70歳を過ぎてからも、多くの種類のボードゲームで遊んでいる人ほど、記憶力と頭の回転の低下が少なかったそうです。
記憶力や認知機能の衰えというものは30代の頃から進むとも言われていますので、高い記憶力を維持したいと思うのであれば、物事を覚えて頻繁に意思決定をして、それが結果としてすぐに返ってくるボードゲームを楽しむようにしてみてください。
ちなみに、他の読書の効果について調べた研究を見てみると、26人の子供を対象にした実験をしていますが、最先端のテクノロジーが使われたおもちゃで遊んでいる子供よりも、本や昔ながらのアナログなパズルやボードゲームで遊んだ子供の方が、言語能力が高くなったという結果が確認されています。
言語能力が高くなるということは、人生においても成功しやすくなるということです。
子供のそんな人生の成功にも必要な言語能力を高めたいというのであれば、子供と一緒に読書をしたりアナログなおもちゃで一緒に遊ぶといいでしょうし、意思決定と記憶を繰り返すようなボードゲームを大人も日常的に楽しむようにしてみてください。
5. アクションゲーム
トロント大学などの研究チームが、読書に必要な基本能力を鍛えるためのアクションゲームを開発しています。
情報を頭に置いた状態で判断していかなくてはならない短期記憶能力を試すことや、獲物を探し続ける必要がある視覚能力を保持すること、タイミングを見極めて危機回避することや言葉遊びなど、読書にも必要であろう様々な能力を鍛えるアクションゲームです。
学生たちを集めて、半数の学生にこのアクションゲームで遊んでもらい、残りの半数の学生にはプログラミングのゲームをしてもらいました。
週に2時間で6週間続けてみたところ、アクションゲームで遊んだ学生たちは、そうでない学生たちに比べて注意制御能力が7倍も向上していました。
状況判断が即座に求められるアクションゲームは、子供たちや学生にとっても脳を鍛えるトレーニングになるようです。
さらに、このアクションゲームで遊んだ学生たちは、文章を読み取るスピードも精度も大きく上昇していました。
ですから、状況判断を即座に求められるアクションゲームは読書能力も高めてくれるわけです。
しかも、アクションゲームによるこの効果は1年後にも維持されていて言語を操る能力まで高まっていたそうです。
記憶力だけでなく様々な脳機能が高まっていたということです。
他にも、アクションゲームは意思決定のスピードを上げてくれるという研究もありますし、リアルタイムストラテジー系のゲームは、判断力をアップしてくれたり、3D系のゲームは空間認識能力を高めてくれるというように、人間の脳のいろいろな能力を高めてくれるので、実際にゲームが脳トレになるのではないかと考えられます。
スーパーマリオ64を1日30分のプレーをしたグループと何もしなかったグループを比べると、記憶を司っている海馬や判断能力や自制心を司っている前頭葉前皮質、運動能力や空間把握能力を司っている小脳のサイズが大きくなっていたという研究もあります。
ゲームが統合失調症やアルツハイマーの治療にも使えるのではないかということが言われていて、今そのような研究も進められているそうですので、ゲームというものは僕たちが思っている以上に可能性があるものです。
ゲームが単純にすべて悪だということではありません。
ゲームのメリットにも目を向けていただいて欲しいとも思います。
ただ、当然ですがいくらゲームをして脳を鍛えることができていたとしても、それを使わなければ何の意味もありませんので、ゲームで脳を鍛える時間と自分の力を発揮するための時間をちゃんと分けてもらい、仕事や勉強や読書もするけれどゲームも楽しむというようにしてもらえれば、人生はより良い方向に向かうと思います。
6. 音楽を習う
音楽は人間の脳にとても良い習い事です。
学生たちを対象に集中力やワーキングメモリについて調べた研究があります。
半数の学生たちは音楽を普段から習っていて最低でも2年間は続けていて、残りの半数は学校の授業で習ったぐらいという学生でした。
それぞれの学生たちに反射神経の違いはありませんでしたが、普段から音楽を習っている学生たちは、集中力や記憶力のスコアが20%も高かったということです。
研究チームによると、音楽を習うと脳の中央実行系ネットワークが活性化するとされていて、これは言葉に関する能力や短期記憶などを司っています。
音楽を習うことによって、物覚えや要領の良さが鍛えられる可能性があるわけです。
別の研究でも、40代や50代になっても新しく音楽を習い始めると脳が発達するということが確認されています。
もちろん子供にとっても効果的です。
ピアノでは音を聞きながら指を動かします。
自分の指で触覚が刺激され聴覚も同時に刺激され、自分の体の感覚と音の感覚を同時に使うのがピアノや楽器です。
これによって脳が鍛えられます。
脳の底力が上がるわけですから、仕事でも勉強でも別の分野でもそれが影響してきます。
ちなみに、子供が音楽を習うことについて調べた研究を見てみると、社会に出てから役に立つであろうソーシャルスキルを高めてくれるということが確認されています。
自分の自信がなくなってしまうと言いたいことも言えなくなり生きづらくなってしまうこともありますが、ありのままの自分を受け入れて、自分をちゃんと誇れるような自尊心を高めてくれるという効果があるということです。
ぜひ大人も子供も習い事としては音楽も考えてみてください。
7. ヨガ
ヨガを8週間行うだけで記憶力が上がるのではないかという研究があります。
ヨガの脳機能に与える影響について調べた11件の先行研究をピックアップして分析しています。
その結果、ヨガを日常的に行っている人は、そうでない人に比べて脳の海馬が大きかったそうです。
記憶力を司っている海馬が大きくなることにより、当然記憶力は良くなりますし、年齢を重ねてからの認知症やアルツハイマーのリスクも低くなります。
さらに、感情の制御に関わっている扁桃体が大きくなっていたということも確認されているので、ヨガをしている人はストレスやネガティブな感情を上手にコントロールすることができるという効果もあるようです。
前頭前皮質や前帯状皮質も大きくなっていたので、デフォルトモードネットワークが効率よく働くということも確認されています。
これはアイデアも出やすくなるということです。
ヨガを行うことでメンタルが安定して感情の制御が上手になるので、それが記憶力を高めることにもつながっているのではないかと考えられています。
ヨガを行うこととストレスホルモンの関係を調べた研究を見てみると、8週間ヨガを行うだけで、ストレスを受けた際のコルチゾールの反応が弱まる傾向が確認されたそうです。
つまり、日常生活でストレスを受けて多くの人が知らないうちに記憶力が低下しています。
ヨガを行うと、ストレスを軽減するだけでなく記憶力も回復させてくれるということです。
ストレスを和らげるだけでなく記憶力も回復させてくれる効果がヨガにはあります。
ここから先は、日常的に使える記憶力や脳機能を保つための習慣について残り6つ解説していきます。
脳を若く保ち、勉強や読書、新しいスキルを効率よく身につけていきたいという方は、ぜひ続きもチェックしてみてください。
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一問一答「あなたが、思い出すことができず悔しかったのはどんな時ですか?」【記憶定着法】
2023-01-31 12:00330ptあなたが、思い出すことができず悔しかったのはどんな時ですか?
今回は、読みたい本がたくさんあるのに積ん読してしまうという方の相談をもとに、勉強したり学んだりした内容をしっかりと記憶に定着させるための方法について紹介させてもらいます。
「Q. 読みたい本がたくさんあり溜まっていってしまいます。何か良い方法はあるでしょうか?」
本の最初と最後をまず読むようにしてみてください。
積ん読で悩んでいる人にいつもおすすめするのは、本の最初と最後の1章でもいいのでまずは読む方法です。
人間は空白や欠落を嫌う生き物なので、最初と最後を読むとその間が気になります。
それが読み通すモチベーションになります。
読みたい気持ちが高まる上に記憶に定着もしやすくなるのでおすすめです。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
やらなきゃ損する12の記憶定着法
知識や情報を覚えたら、それを覚えた後にしなくてはならないことがあります。
どうしても思い出せない時の思い出し方についても紹介させてもらいます。
1. 次の情報を覚える前に40秒だけリプレイ
効率良く勉強しようと考えると、ひとつの勉強を終わらせたらすぐ次に取り掛かろうとしがちです。
間の余計な時間はなくして、ゴリゴリと必死に勉強しようとする人も多いですが、特に難しいことを覚えたら、次に進む前に目を閉じて40秒だけそのことを思い出してみてください。
サセックス大学の研究で、男女の参加者を集めて動画を26本見てもらいました。
半分のグループには、動画を見終わった後に目を閉じて40秒だけその内容を復習してもらいました。
その後2週間時間をあけて、見た動画の内容をどれぐらい覚えているかチェックしました。
2週間経てば大抵のことは忘れてしまいますが、目を閉じて頭の中で動画のリプレイをしただけで、2週間経っても多くの人がその内容を覚えていました。
ところが、この40秒のリプレイをしなかった場合には、ほとんどの人がその内容を綺麗に忘れていました。
たった40秒頭の中でリプレイするだけでも、記憶への定着の仕方は全く違ったということです。
ちなみに、頭の中でリプレイした場合でも、内容を声に出した場合でも効果は同じだったそうです。
勉強した内容でも本で読んだ内容でも、学校や電車の中だと、どうしても声に出してリプレイするのは難しい状況が多いと思います。
そういった場合は、目を閉じて40秒だけリプレイすると、それだけでも記憶の残り方がかなり違うと思います。
研究チームによると、事故や犯罪の目撃者が、その状況や内容を正確に思い出すためにも応用できると言われています。
事故や犯罪、何かしらの決定的な瞬間を目撃した際に、多くの人はその記憶を改ざんしてしまいます。
その記憶の改ざんを防ぐために、覚えておかなくてはならないことを見た時には、その場で目を閉じて頭の中でリプレイすると、その出来事に対する記憶を定着させることができます。
これは授業を受けている場合でも読書している場合でも使えます。
オンラインの授業を受けているのであれば、一旦再生を止めて頭の中でリプレイすることもできますし、教室で授業を受けているのであれば、重要なポイントについて先生が話している様子を要所要所でリプレイするようにしてください。
ちなみに、人の名前を覚えるのが苦手だという人の場合であれば、相手が名刺を渡したり名乗っている時の映像を想像して頭の中でリプレイします。
相手の注意がこちらからそれているタイミングで上手に使えば、人の名前だけでなく様々な場面で使えるテクニックだと思います。
2. あえて忘れる努力をする
人は忘れようとすればするほど記憶に残りやすくなります。
ギーセン・アンド・マールブルク病院の研究で、手術前の患者さんを対象に複数の単語を覚えてもらう実験を行っています。
一生懸命覚えてくださいと伝えた場合と、同じように単語を見せて忘れるように努力してくださいと伝えた場合で比べています。
この実験の患者さんはてんかんを抱えていて脳内に電極を埋め込む必要がありました。
それによって覚えようとしている人と忘れようとしている人の脳の違いについて明らかにしようとした研究です。
その結果、忘れようと意識すればするほど、記憶を司る上で非常に重要な働きをしている背外側前頭前野や海馬で、脳波の振動数が上昇して、忘れようとしているのにより脳が活性化していたということです。
さらに、忘れようとしている人の方が覚えようとしている人よりも10%も多く単語を覚えていました。
ですから、勉強や読書をしていて、大切な内容を覚えたと思ったら、それを忘れる努力を適宜してみてください。
どうやったらそれを忘れることができるだろうかと考えていただけると、それだけで10%も多く記憶に定着させることができます。
例えば、読書をしていて重要な部分を覚えたと思ったら、その中でどのポイントを忘れたら思い出せなくなるだろうかと考えてみてください。
自分が覚えた記憶のウィークポイントを探してみてください。
ウィークポイントを見つけたら、それについて一生懸命忘れる努力をしてみてください。
致命的な忘れ方をするとしたら、どの辺りを忘れることがが原因になるだろうか?
内容を間違えて覚えるとすると、どんな間違え方をするだろうか?
自分の間違いについて想像するだけでも、忘れる努力をすることと同じような効果が期待できます。
3. 覚えた後は5分だけ歩く
記憶に定着させたい内容を覚えたら、その後に5分だけ散歩したりステッパーを踏んでみてください。
それだけでもかなり記憶への残り方が違います。
ニューサウスウェールズ大学の研究で、平均年齢20歳程の男女を対象に、見知らぬ中年男性の顔と名前を覚えてもらうという実験を行っています。
片方のグループには普通に覚えようとしてもらっただけで、もう一方のグループには、覚えた後に5分間だけステッパーを踏んでもらいました。
その結果、やはりたった5分でも歩いただけで記憶への残り方が全く違っていました。
そして、男性に比べて女性の方が、歩いたことによる記憶への定着率の向上の効果は著しく大きくなっていました。
男性の顔と名前を覚えるという実験だったので、女性の方が覚えやすかっただけという可能性もありますが、いずれにしても覚えたら歩くということは結構重要です。
実際に、エビデンスベイストの教育を行っている海外の教育機関では、授業時間を増やすことよりも、運動時間を増やすことの方が重要だということに気づいています。
ところが、日本も含めて多くの学校では授業時間を増やして休憩時間を減らそうとしているので、子供たちから運動するための時間を奪っています。
本当に増やすべきは運動の時間です。
勉強と勉強の間の体を動かす時間を増やすことによって、学んだことの記憶への定着率も上がることが十分に期待されています。
運動と記憶力は密接に関わっています。
記憶力を高めたいのであれば運動量を増やすことを意識してみてください。
4. 15分の昼寝
特に午前中に一生懸命勉強した日は絶対に昼寝をしてください。
リューベック大学の研究で、2種類のイラストを見せて覚えてもらう実験を行っています。
間に40分の時間を空けて異なる2種類のイラストを見せて、半数の人たちには、その間で昼寝をしてもらいました。
学習の間に昼寝を入れる効果について調べたところ、昼寝をしなかったグループは60%のイラストを覚えていましたが、昼寝を間に15分入れるだけで、なんと85%も覚えていたということです。
ですから、午前中に勉強した時には、昼寝をしてから午後の勉強に取り掛かるようにしてください。
それをするかしないかだけで、25%も記憶の残り方が違ってくるということです。
これから試験に臨む学生さんや新しいスキルを身につけるために勉強している社会人の皆さんは、昼寝を上手に使う方が間違いなく本番で力を発揮することができるはずです。
人は情報を一度インプットするだけでは記憶としては定着しません。
一度インプットするだけではまだ脆い状態ですが、記憶の再活性化が起きることによって記憶に定着しやすくなります。
だからこそ何度も思い出すことが重要なわけですが、覚えたかどうかをチェックするために問題集にしにくい情報もあります。
仕事のスキルや会話のスキルなど、いわゆるソフトスキルは覚えるために問題集を作るわけにもいかなかったりします。
ところが、このような情報も含めて、昼寝には記憶の再活性化が起こりやすくなるという効果があります。
記憶が大脳新皮質に移り長期記憶に変わります。
ですから、午前中勉強したら昼寝をはさんで午前中の内容を記憶に定着させ、午後に勉強した内容は夜の睡眠で記憶に定着させるようにしてください。
眠くなくても記憶の定着のために昼寝をすると考えてください。
眠れなくても目を閉じて横になるだけでも効果は期待できますので、勉強の合間の昼寝を習慣にしてください。
5. スクワット
足の大きな筋肉を使った運動をすることによって、記憶力が上がります。
職場などでも使いやすいテクニックだと思います。
ジョージア工科大学の研究で、46人の男女を集めて180枚の写真を見て記憶してもらう実験を行なっています。
半数の参加者には、ジムにあるレッグエクステンションを使って50回足を使う運動をしてもらっています。
残りの半数の参加者は、同じような椅子に座っただけで特に運動していません。
その上で2日後に記憶のテストを受けてもらっています。
180枚の写真の内容を2日後にチェックされるわけですので、ほとんどの内容を忘れてしまいそうな気もしますが、運動しなかった参加者の写真の認識率は50%だったのに対して、足を鍛える運動をした参加者の認識率は60%でした。
記憶力を高めるためには足を使う運動が重要です。
研究者によると足の運動でなくても構わないようです。
運動することによりドーパミンが出て高揚した状態になります。この状態は特に感情と結びついた記憶が定着しやすくなります。
ですから、物事を覚えた後に運動してもいいですし、運動した後に勉強しても効果が期待できると思います。
運動して気分が高揚している時には、その前後で覚えたことが記憶に定着しやすくなります。
例えば、90分勉強したら、休憩時間にスクワット50回して、その後また90分勉強したら、2分から3分ほどバーピーをして、その後また90分勉強したら、次は15分昼寝をして、そこからまた90分勉強したら、次はまたスクワット50回…というサイクルを繰り返していただければ、それぞれの記憶同士が絡み合って混乱することがなくなります。
記憶はちゃんと区別して綺麗に記憶に定着させておかないと、バラバラになって必要な時に取り出せなくなってしまいます。
ですから、まずは昼寝をはさむタイミングを決めて、その上で、それ以外の勉強と勉強の間には運動を入れるようにしてください。
これはすぐに効果が出ることですので、明日からと言わず今日から取り入れてみてください。
7. 大事なことを覚えたら5分から15分何もしない
大事なことを覚えたら、スマホなどを触ったりもせず本当に何もしない時間を5分から15分ほど取ってください。
無駄な時間が記憶を定着させてくれるということが確認されています。
これは100年以上前から研究で示されている内容ですが、その後の様々な実験でも効果が確認されています。
例えば、ドイツの研究を見てみると、休憩を取らずにひたすら勉強した場合よりも、合間に6分間の休憩を取りながら勉強した方が、学習内容が2倍程も記憶に定着していました。
休憩を挟まなかったグループは28%しか内容を覚えていなかったのに、合間に6分間の休憩を取りながら勉強すると、勉強した内容の50%近くを覚えていたそうです。
最近は休憩中にスマホを触ったり余計なことをしている人が多いと思います。
本当に何もしないでぼーっとする時間が定期的にある人の方が記憶力が高いのではないかという研究もあります。
何もしないでぼーっとする時間を定期的に挟む人は、覚えた時から1週間経っても記憶に定着している確率が高かったそうです。
しかも、これは年齢にも性別にも寄らないで確認されている内容です。
大人でも子供でも誰でもした方がいい記憶のテクニックです。
本当に何もしないという現代人が忘れがちな行動が記憶を定着させてくれます。
人の脳はインプットと記憶の定着を同時にすることはできません。
これを分けて行わないと、いくら一生懸命勉強しても記憶に定着させることができません。
ガリガリと勉強して勉強と休憩のメリハリをつけることができない人は、脳がインプットと記憶の定着の切り替えがうまくできなくなっています。
記憶の定着をブーストさせる3つのポイント
この本当に何もしない時間で重要な3つのポイントを紹介させてもらいます。
ポイント1 :薄暗く静かな部屋でじっと座る
できるだけ視覚情報と聴覚情報が入ってこない環境を整えて下さい。
できない場合は、アイマスクとノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンを用意してください。
インプットする情報がない状態にすることが重要です。
ポイント2 :スマホ禁止
この何もしない時間には絶対にスマホを触らないでください。
通知もならないようにして目に入らないところに置いておいてください。
ポケットに入れておくこともおすすめしません。
スマホが鳴るかもしれないと考えるだけで、脳はインプットモードになってしまいます。
勉強した後にスマホを触るのも、せっかくの勉強の効果を妨げてしまうだけです。
ポイント3 :過去も未来も想像しない
本当に何もしない時間ですので、過去や未来の出来事について考えてしまうと、それもインプットモードになってしまう原因です。
どうしても余計なことを考えてしまう場合には、瞑想と同じように自分の呼吸に注目してみてください。
ここから先は、HIITなど激しい運動と記憶力についてや、簡単なのに意外と効果がある記憶の定着法についても紹介させてもらいます。
最後に、どうしても思い出せない時の記憶の引っ張り出し方についても紹介させてもらいますので、仕事でも勉強でも、記憶力を高めて効率よく覚えておくべきことを記憶に定着させるための方法について、ぜひ続きもチェックして学んでみてください。
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