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哲学の先生と人生の話をしよう:「ぼくと家族が生き抜くためには何が必要でしょうか?」

第22回「ぼくと家族が生き抜くためには何が必要でしょうか?」相談者:牛尾千里さん(神奈川県・39歳男性・会社員)Q.今年40になる編集者です。社会人になって15年目、定年を60歳としても、あと最低でも20年、斜陽産業で働かなくてはなりません。飛び出せ、腕一本で稼げ、と仰るかもしれませんが、未就学の子どもが3人。不動産ローンも組んでしまったので、よほどのことがない限り、「社畜」の道まっしぐらです。ぼくは、ぼくの家族は、どうやって生き延びたらいいでしょうか。また、生き抜くためには何が必要でしょうか。特に、どの業界のどの分野で、どんなスキルを持って……、といった偶然性に左右されるような具体的な話ではなく、どのような心構えをもてばいいのか。どのようにふるまえばいいのか。そうした抽象的で精神的な態度について伺いたいです。(あ、でもお手軽で圧倒的に有効な具体策があるなら、それはそれで知りたいですw)また、こうした心構えの問題は、ぼくのようなアラフォーの団塊ジュニアと、それ以上の世代、それ以下の世代、就職活動中の世代で違うでしょうか。同じでしょうか。もし同じなら、彼らにも役立つと思います。よろしくお願いいたします!A. ご質問ありがとうございます。 出版って「斜陽産業」なんですか? 哲学の本って売れないって言われます。大学生の時に受講したクソつまらない「哲学」の先生も「哲学の本なんてまずたくさん印刷してもらえないんだよ」とか言ってました。 僕が書いた哲学の本は30,000部以上売れました。まだ売れてます。哲学の必要を理解してもらうにはどうしたらいいか、どうやったら普段は哲学の本なんか読まない人にも手にとってもらえるか、どういう口調が最も読みやすいか、そうしたことを編集者の方とたくさん何度も話し合って、本当に苦労して丹念に作り上げた結果です。僕は少なくとも100,000部は売らねばならないと思っています。 

哲学の先生と人生の話をしよう:「ぼくと家族が生き抜くためには何が必要でしょうか?」

哲学の先生と人生の話をしよう(4):「一対一の恋愛関係がクソゲーに思えて仕方ありません」

第21回「一対一の恋愛関係がクソゲーに思えて仕方ありません」相談者:ハーゲンダッツ大好き♡さん(東京都・22歳女性・大学生)Q.初めまして、こんにちは。突然ですが私は最近彼氏と別れました。すれ違いやらケンカやらを経て、近頃こういう風に思うわけです。ふたりっきりの恋愛関係ってそんなに楽しくねーじゃん、と。いや、実は前からこのことには気づいていたのかもしれませんが、本当にそうだった(爆)!!みたいな感じがあります。 たったひとりの人と一緒に過ごすとかセックスするとか向き合うとか並んで歩くとかやってみると全然楽しくありません。恋愛に「欲を満たす」という条件があるとするなら、私の欲はそんなことでは満たせないのですよ。 ではどうしたいのか。これは簡単で、私はおそらく大多数に「ちやほや」されたいんですね。大多数にデートに誘われ、君と一緒にいたいと言われ、姫扱いされ、それなりの愛を注がれたいと思ってる。正直アイドルとかになりたいですね!(笑)でもこれって私だけがはまっちゃってる穴だとは思えません。こういうこと考えてる女の子って多いんじゃないですか?だとしたらこの感覚って一体なぜ生まれてしまうんでしょう?これがひとつお聞きしたいことです。ていうか恋愛が面白くないのって、相手が悪いとか私が悪い以上の何かを感じます。それにしても、どうしてこんなに面白くないものにめちゃくちゃ価値が置かれているような気がしてしまうんですかね。たとえ恋愛がクソゲーでもクリアしなければ、いや、クソゲーだからこそ容易にクリアしなければならない、というのは一体どういうわけなのか…。我々は選ばれし運命の2人!的世界観に一通り酔ったのち、いつかデート内容もネタ切れし、セックスもマンネリ化し、別れていく…といったなんとも残念な真剣恋愛ゲームよりも、私はさっき言ったような逆ハーレムゲームを賢く楽しく攻略したい。だってそのほうが面白そうです。しかし、だとしたら今ひとり対ひとりの恋愛ってどうなんでしょう?やっぱ不可能なんですかね?楽しくなることはないのでしょうか?クソゲー云々言いつつも、私はたったひとりを選ぶことに完全に否定的なわけではありません。むしろ本当は求めてるんじゃないかとすら思います。そういう存在を。では、今いかに一対一の恋愛関係は可能なのか。これが2つめのご相談です。長くなりましたが、以上が私の人生相談です。よろしくお願いします。A. 相談をお寄せいただきありがとうございます。 ハーゲンダッツ大好きさんの文章を読みながら、「なんかこういう雰囲気の文章ってどっかで読んだことあるなぁ」って思ってずっと考えていたんですが、思い出しました。 ケータイのメアドを新しくした後、しばらくするとなぜか送られてくるようになる、出会い系サイトのサクラが書いた文章にそっくりです。 「ただ、遊んでくれるだけでいいんだけどぉ」とか、「やっばい、大学生になってから私の性欲爆発かも(爆)!!」とか「会ってホテルに直行とかでもいいんですけどね!(笑)」とか……そういうことが書いてあるメールですね(爆)!! ほんとバレバレなのによく書くよね!(笑)  実際にこうやって僕もマネして書いてみると分かるんですが、こうした口調に通底しているのは、古い言い方ですけれど、「なんちゃって」という雰囲気ですね。つまり、真剣なところまで行くようで行かない。 ハーゲンダッツ大好きさんがそういう「なんちゃって」と言いたい精神状態に陥っているのは、誰がどう見ても、ハーゲンダッツ大好きさんが──ご自身ではそれを否定するでしょうが──彼氏と別れて傷心の状態にあるからでしょうね。 付き合っている間、一生懸命にやってみたけれど、結局こうなってしまった。だから、まるで木の高い所になっているブドウが採れなかったがために「あのブドウはすっぱいんだ」と自分に言い聞かせたキツネのように、「誰かと一対一で付き合うのは楽しくないんだ」と自分に言い聞かせている。 

哲学の先生と人生の話をしよう(4):「一対一の恋愛関係がクソゲーに思えて仕方ありません」

哲学の先生と人生の話をしよう(3):「交際相手が自分の言葉で話してくれません」

第20回「交際相手が自分の言葉で話してくれません」相談者:アマランさん(埼玉県・23歳女性・大学生)Q.國分さんこんにちは。私の相談事は、恋人の男性が自分の言葉で話をしてくれないということです。何か返答を求めると、本の引用や、本そのものを引っ張り出し、他人の言葉を引用してきます。悩んでいる様子を見せると、楽曲のURLなどを送ってきます。私が自分の気持ちを伝えても、相手からは引用や、完成された音楽による返答しかないことに少々不満を感じております。また、お互いすれ違いで喧嘩になったとき、私が怒っているときなどは「どうすればいいかわからない」「どうすればいいか教えて」と言ってきます。私は、自分で考え、自分で感じたように行動してほしいのです。でも本人には言えずにいます。彼自身は、とても優しく、真剣だというのがわかるからです。自分の言葉で話さない、ということが、彼への侮蔑に値する、という自覚があるからです。ちなみに、それ以外の時何を話しているかというと、本当にたわいもないことです。また、彼は基本的に無口です。いつも何を考えているのかわかりません。教えてほしいと思いますし、中身が空っぽで自分の言葉で話せない人なのではないかと不信感もあります。一番の悩みはそこでして、私は実際、中身が空っぽなんじゃないかと、彼を少し見下している自分をどうにかしたいのです。彼は中身が空っぽなのでしょうか。自分の言葉を話さず他人の引用ばかりする彼を、私はどう信頼していけばよいでしょうか。愛する恋人を見下す自分がとてもいやで、ご相談させていただきました。ご返答いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。A. 相談ありがとうございます。 それにしても、アマランさんの彼氏に対する見下しはハンパないですね。すこし確認しましょうか。 最初に出てくるのが、「少々不満」。これは遠慮気味に書いているわけですね。ところがその後、かなり唐突に「侮蔑」という言葉がでてきます。「少々不満」という言い方では抑え切れなかったんでしょうね。本音に近い言葉が出てきたという感じです。 そしてこの後ですよね。 すさまじいです。「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」 三回も書いているんですよ? 僕だったら、単なる知り合いに対しても、「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」 なんて三回も書けませんよ。 ところがその後アマランさんはわざとらしく「愛する恋人」なんて書いているわけです。これって簡単な話で、「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」 って三回も書いてしまったから気が咎めて、「いや、この人はとってもいい人なの。私はこの人を愛しているのよ」と自分に言い聞かせるように書いているわけですよね。「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」「中身が空っぽ」 って三回も酷い言葉を浴びせかけることができる相手が、「愛する恋人」であり得ますかね? アマランさんは恋人を「愛している」のではなくて、自分のプライドを維持するために利用しているんじゃないですかね? 

哲学の先生と人生の話をしよう(3):「交際相手が自分の言葉で話してくれません」

哲学の先生と人生の話をしよう(2):「知人が、高校を中退して美容師になると言っているのですが……」

第19回「知人が、高校を中退して美容師になると言っているのですが……」相談者:ひじきさん(東京都・23歳女性・大学生)Q.知人の高校生(Aさん)について、相談させてください。よくある話だと思うのですが…Aさんは勉強が苦手かつ嫌いです。学校の成績が悪く、進級が難しい状況です。ミュージシャンを目指していたところ壁にぶつかり、美容系に進むことを考えたそうです。そこで早く専門学校へ進むため、高校を退学したい、と思っています。学校では先生から「お前はどうでもいい」と言われ、見放されている様子。ちょっと危ない人付き合いもありそうですが、本人はとても人懐っこくておしゃべりが面白い子です。「高校を辞めるから勉強はしなくていい」というAさんに対し、私はありきたりながら、「将来を考えたら、職探しが少しでも有利になるためには高校を卒業したほうがいいと思うよ」「美容師の道も狭くて険しいから別の仕事をするかもしれないじゃん」「進級して卒業するまでは勉強しよう」と言うのが精一杯で、それ以上は言葉に詰まってしまいました。学校の勉強が苦手なことは全く責めるべきことではないですが一方で、美容や美術など、「とりあえず」ではやっていけない、強い意志が必要な世界だとも思います。べつに私はAさんの人生について全面的に責任を負っているわけではないし、なにを言ってもお節介になってしまうかもしれません。けれど、あのときあんな受け答えでよかったのかな…と、ふとした瞬間に思い出してしまいます。同じような状況の高校生はたくさんいると思うのですが、どうやって話をすることが相手の方にとって最善になったのでしょうか。アドバイスいただけたら嬉しいです。A. ご相談ありがとうございます。 仰る通り、「よくある話」だと思います。これまでも数え切れない程、同じような物語が繰り返されてきたのでしょう。僕が名前も知らない彼らはその後どうなったのだろうか……とよく考えます。本人としてはその時は一生懸命に考えて判断しているつもりなんですね。でも、客観的に見ると、どうしようもなく不適切な判断。しかし、そもそも本人が周囲からのアドヴァイスを聞ける状態にないから、そのことを伝える術がない。 僕もそのような状態に陥った経験がありますね。大学生の時に突然「中世のアラブ哲学をやる」とか言い出して、アラビア語を勉強し始めたりして…。でも、そういう道にはいかなかったし、行けたはずがないんですね。そこまでしてアラビア語をやりたかったかといえば、そんなこともなかった(フランス語の方を熱心に勉強していた)。じゃあなぜなのかというと、なんか、よく分からない。当時としては理由があったし、それも多少覚えているんですが、どうでもいいことなんです。しかしそれが本人には重要に思えてしまう。 じゃあ、この熱病みたいな思い込みをどうやって解除するかというと、僕の場合は周囲から指摘を受けることによってでしたね。「國分君、なんだかんだ言ってフランスの現代思想が好きなんでしょ?」とか「いきなり中世のアラブ哲学とかって、それ、やばいよ」とか。多少時間はかかりましたが、何とか熱病の熱は下がっていきました。そういうことを言ってくれる友人なんかが周囲にいたわけですね。運がよかった。 

哲学の先生と人生の話をしよう(2):「知人が、高校を中退して美容師になると言っているのですが……」

哲学の先生と人生の話をしよう:「タメ口の仕事相手がどうしても許せません」

第18回「タメ口の仕事相手がどうしても許せません」相談者:スマイル0円さん(東京都・28歳女性・会社員)Q.新卒以来5年間、業種を変えながらも一貫して法人営業の仕事に就いています。現在はメーカー系で、同業他社の方や販売代理店、ときには大学の先生まで、日々幅広い方々と接しているのですが、電話などでタメ口をきいてくる仕事相手がどうしても許せません。相手に敬意を感じさせないタメ口や無愛想な対応は、やっている側からしたら省エネで合理的なのかもしれませんが、それによって失われる社会人としての信用を思うと、絶対マイナスの方が大きいだろうに、何故この人はこんな態度をとるのだろう?と考えてしまいます。大人としてみっともないと思いますし、たまにそういう人に遭遇すると、その横柄さに驚いて、こちらが恥ずかしくなってしまいます。また、わたしが男性であったり、30代40代でも同じ態度をとるのだろうか?と邪推し、若い女であるというだけで舐められている、と感じてしまいます(というほど、もう若いという年でもないのですが……)。これは被害妄想なのでしょうか?不思議とそういう態度をとってくるのは中年男性が多く、女性や若い方から、失礼な物言いをされたことは殆どありません。(もちろん、無愛想な方やテンションの低い方もいますが、皆さん敬語は使われますし、横柄だとは感じません。)余りに腹が立つと、「この人はきっと会社では後輩からも女子社員からも嫌われ、給湯室で悪口を言われ、家庭では奥さんにも子どもにも無視され、誰にも認めてもらえていないから、仕事相手にまともな敬語も使えずに、こうして偉ぶっているのだ」と思うことで、相手に同情して溜飲を下げるようにしています。そんな自分も大概性格が悪いなと思うのですが、他に良い方法が思いつきません……。相手を蔑むことなく、失礼だったり横柄な人の態度に傷つかないでいる方法はないものでしょうか?國分先生は、失礼な人と接して嫌な気分になったときはどうしていますか?お知恵を拝借したいです。A. ご相談ありがとうございます。 お気持ち、非常によく理解できます。僕の場合はそういう奴への対応は簡単で、ちょっとでも「こいつ失礼だ」と思うともう付き合いません。「貴様は俺に話しかける資格すらない」と思ってもう終わりですね。 では、そもそもなぜ「タメ口」を使ってくる奴が失礼に思えるのか。まずは言葉の語源を考えましょうか。僕もインターネットで調べただけなんで、もしかしたら違う説があるかもしれませんが、どうやら「タメ」とは、サイコロのぞろ目を指す賭博用語がもとになっているというのが通説のようです。「タメ」が一九六〇年代頃から「五分五分」を意味するものとして使われるようになり、その後、それが「同等」を意味するようになったとのこと。もともとは不良の言葉だったみたいです。 多分、「タメ口」の不愉快さは二つあるのではないかと思います。一つは「慣れ慣れしい」人間によって発せられた場合の不愉快さです。僕はこれでたまに腹を立てますね。「オメーは勝手に俺と同等だとか思ってんじゃねーよ」という気持ちになります。なお、「タメ」は語源に遡ると「同等」を意味するようですので、こちらの用法は語源に忠実な意味になります。 

哲学の先生と人生の話をしよう:「タメ口の仕事相手がどうしても許せません」
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