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「優雅なる巴里の情景」小林よしのりライジング Vol.87

 近頃は羽田空港から巴里に一気に飛べるから実に楽になった。  わしはファーストクラス、秘書みなぼんはエコノミークラス、ファーストは横になって寝ることもできるが、一睡もせずにフランス革命の本とか、フランス語の旅行会話の本などをむさぼり読んでいた。  巴里までの飛行時間は、行きは11時間半位で予定より早く到着。  降下を始めるときに、スチュワーデスから「準備万端ですね」なんて声をかけられ、苦笑いしてたら、そのスチュワーデスが日本語・英語・フランス語で流暢に到着アナウンスをしたので、なんかムカついた。  出口で「ご活躍ください」と言われたので、わしを知っていたらしい。 (秘書みなぼんの感想)  飛行機が降下を始め、窓から下を見ると、広大な田園風景が広がっていて、思わず魅入ってしまった。 「フランスに来た!」という先入観から、ただの田園風景でも感動してしまうのかな?  日本も北海道とかは上空から見れば、こんな感じだったかな?と思いながら見ていたけれど、でも一つの田圃の大きさが大きいし、色も濃いような気がするし、日本のようなキッチリしたマス目になっている田圃とも違うなぁ…と感じた。  シャルル・ド・ゴール空港に到着。  秘書みなぼんは『レ・ミゼラブル』の3巻目を読んだらしく、わしと合流して、 「ちょうどフランス革命の頃の話で、大衆のあまりの貧困っぷりに革命が起きることも納得してしまいましたよ。」と感想を漏らす。  単なる旅行ではなく、何かを学ぼうとする意欲が感心だ。 (みなぼんの感想)  フランス、しかも「シャルル・ド・ゴール空港」という名前から、もっと華やかな空港を予想していたら、内装は簡素だし「空港の機能だけ!」という感じ。羽田空港の方が有名店が入っていたり、レストランも多く派手なのではないかと思った。  時間のせいか人も少なく静かで、少し拍子抜けした。  でも空港スタッフに黒人が多くて「やっぱり移民の国だ!」と感じた。  周りも外国人だし、案内表示も広告もフランス語で、「いよいよ来たぞ~」と実感。  空港からタクシーでパリ市内に向かう途中、巴里の中心地に入るまでは、雑然とした殺風景が続くのだが、秘書みなぼんは早くも感動している。 「先生、さすがフランスですね!」 「なにが?」と聞き返すと、横を走っていく車の運転手が黒人やアラブ系、アジア系、もちろんも白人もいて、「さすが移民の国・巴里だ!」と感動したそうだ。  あんまり感動するポイントではないような気がするが・・・。  ハイウェイを降りて、いよいよ巴里市内に入ると、「これぞ巴里!」という街並みが目に入ってくる。  歴史を感じさせる重厚な石造りの建物がずらっと並び、石畳になった道路をタクシーは振動しながらガタガタ走っていく。  モノトーンでシックな服装のパリジャンが風景に溶け込み、目に心地良い。  学生はジーンズにパーカーやシャツ、スニーカーを合わせていて、シンプルで年相応の格好をしている。  足が長くスタイルが良いからジーンズも格好良く履きこなせるし、AKB48や美少女アニメを生んだ日本のセーラー服や学生服の文化より、垢抜けてお洒落に見える。 「どうね、みなぼん?これが巴里だよ。」 「本当だ!これが巴里なんですね!おしゃれですね~~~~!」  ようやく感動すべき風景を感動してくれて安心した。  移民が多いのが巴里だなんて感動してたら、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペンが怒ってしまう。  わしが30年くらい前に巴里に行った頃は、英語なんか誰も使ってなくて、外国人に白い目を向ける冷たい国民という印象だった。  わしが高級ブランド店でフランス語をしゃべったら、店員がぎょっとして全員でわしを凝視したものだ。サルが言葉をしゃべったという空気だった。  元々はそういう排外的な国民なんだから、EU統合なんかやったら、極右が伸びてくることは見えていた。  もっとも、わしはフランスが本来、母国語に誇りを持っていて、しかも反米的で、イラク戦争にも参加しないような国だから好きなんだが。  街並みに見惚れているうちに、ホテル「パークハイアット」に着いた。  わしがハイアット系のホテルの会員なので、まずはこのホテルを選んだのだが、有名な宝石店が並ぶヴァンドーム広場の近くにあり、フランス政府がPalaceの称号を与えたホテルだ。  部屋に入ると、ウェルカム・シャンパンとチョコがセットされている。早速、部屋着に着替えて、乾杯し、チョコを食べた。   (みなぼんの感想)  私がホテルに着いて最初に受けたショックは、部屋のトイレに座ったら、便座の位置が高く、足が下に付かなかったこと。  単に造りが雑で高過ぎてしまったのか?  それとも欧米人の平均に合わせてこうなったのか?  私の足が短いってこと!?  いや…身長が低いだけだ…きっと…、そう自分を慰めた。  時間を確認すると17時半。機内で一睡もしてないし、日本時間では24時半なのだから、そのまま寝てしまう予定だったのだが、外が明るすぎる。  せっかく巴里に着いたのだから…ということで、もう一度着替えて少し散歩することに。  ホテルの外に出ると、まず目に入ってくるのがヴァンドーム広場に立っている巨大な柱。てっぺんにはローマ時代の格好をしたナポレオンの銅像が立っている。  ナポレオン、好きだな~~~~、ちくしょう!  ナポレオンのように英雄を意識して生きたいものだ。      巴里の街並みはどこを撮っても絵になる。  高級ブティックが多く建ち並ぶ区域だったのだが、チョコレート屋やお菓子屋、パン屋も多い。  そして街のあちこちに、カフェやブラッセリー、ビストロがあり、外のテラス席で食べている人が多いのが、巴里ならではだ。 「RESTAURANT JAPONAIS」と書かれ、「寿司」と書いた赤提灯をぶら下げながら、その店名は「金(KiM)」という店を発見。  まともな日本食を出しているわけがない!怪し過ぎる!   

「優雅なる巴里の情景」小林よしのりライジング Vol.87
小林よしのりライジング

常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!

著者イメージ

小林よしのり(漫画家)

昭和28年福岡生まれ。昭和51年ギャグ漫画家としてデビュー。代表作に『東大一直線』『おぼっちゃまくん』など多数。『ゴーマニズム宣言』では『戦争論』『天皇論』『コロナ論』等で話題を巻き起こし、日本人の常識を問い続ける。言論イベント「ゴー宣道場」主宰。現在は「週刊SPA!」で『ゴーマニズム宣言』連載、「FLASH」で『よしりん辻説法』を月1連載。他に「週刊エコノミスト」で巻頭言【闘論席】を月1担当。

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