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「竹田恒泰氏の黒い噂、竹田研究財団ナンバー2逮捕」小林よしのりライジング Vol.197
2016-10-18 22:50153ptすでにゴー宣道場ブログ(その1・その2・その3)で報じたが、 竹田恒泰氏が代表を務める団体「竹田研究会」の幹事長で、「一般財団法人竹田研究財団」の常務理事でもある 前山亜杜武(まえやまあとむ) という人物が、平成28年9月27日、国の助成金4700万円を詐取した容疑で東京地検特捜部に逮捕された。 脱税の疑いがあり、国税局もマークしていたようだ。
特捜が動くには規模の小さな事件だが、前山容疑者は政財界を含む多数の著名人、グレーゾーンすれすれのビジネスを生業とする人物らとの交流があり、また、反社会的勢力と認定される団体との関係も囁かれている。
友人に誘われ前山容疑者主催のパーティーに参加したというAさんに話を聞くと、 「有名人が普通にいて驚いた。ただ、パーティーで知り合った人から、後日、胡散臭い情報商材を販売する人物を紹介された。自分のセミナーを受講すれば確実に儲かると言われた」 。また、前山の周辺を知るBさんからは、 「前山は全身“絵入り”。竹田研究会で伊勢神宮へ行き、全員が川で禊をするときも、彼だけは服を脱がずに見ているだけ」 という話も寄せられた。
公式サイトに掲載されていたプロフィール。グループ10社で42億円(平成26年度)を売り上げていた。
摘発されたのは、「AT&BROTHERS GROUP」傘下の「日本スマートハウジング(旧日本電機サービス)」で、家庭用太陽光発電システムやメガソーラーを販売・施工する会社だ。
ちなみにこの会社、2012年に エネルギー学者の飯田哲也氏と顧問契約 を結び、 「自然エネルギーの第一人者、飯田哲也先生からお墨付きを得ました♥」 と言わんばかりのプレスリリースを発表している。この頃の飯田氏は、《原発ゼロ》を掲げた維新・橋下徹氏のブレーンだった。ところが橋下氏は、なぜか《原発推進》の石原慎太郎氏と結託。なんだこりゃと眺めているうちに、たちまち公約を撤回し、詐欺師のように手のひらを返して飯田氏を批判しはじめたのだった……。
橋下氏に裏切られた飯田氏は、今度は詐欺師・前山の企業顧問に。どんな役割を担っていたのかはわからないが、およそ一年後、ツイッターにこんな発言を投稿している。
また顧問かい! しかもまた詐欺だよ!
うーむ。しかし、よく連続で騙されまくる人だなあ。 「先生、顧問になって下さいよぉ」 って持ち上げられて喜ぶんだろうな。橋下氏に騙され、前山に騙され、竹田恒泰氏の「宮さま詐欺」に騙され、とうとう竹田研究会にご入信……。 《脱・原・発》の文字 しか見ていないから、こうなる。
今思えば、竹田氏が《脱原発》を主張していたのは、前山が太陽光発電システムの販売をしていたからだろう。もし前山の会社が原子力関連だったら、原発推進の“トップ論客”だったはずだ。
◆「竹田研究会」とは?
そもそも、「竹田研究会」とはなんなのか?
公式サイトによると、 《「日本を楽しく学ぶ場所」を提供することを趣旨とし、竹田恒泰を講師として、国で定期的な連続講座を開催》 とある。国史や時事問題、日本の伝統、皇室にかかわる講義を行っているらしい。1回3~4時間程度、料金は会員2000円、非会員3000円、学生無料。逮捕された前山幹事長の手腕は相当凄かったようで、数年で急成長して全国17か所に支部、会員は2万8000人という話もある。会員登録は無料だからだと思うが。
竹田恒泰氏による講義が、全国各地で毎月5~6回のペースで開催されている。
●お笑いライブのような講演で魅了
そして、この竹田氏の講義の評判が、すこぶる良いのである。『AERA』が慶應義塾大学で行われた講義の様子を取り上げているので紹介しておく。
一貫して《尊皇》をテーマにしており、 「天皇は神の子孫です。私たちはみんな、神の子孫なんです」「日本の特徴は、君民一体という点にあるんです」 などと語るが、厳かさはなく、巧みな話術で約250人の満員の会場は絶えず笑いが起こり、雰囲気はお笑い芸人のライブに近いという。
「日本人ってすごい、という気持ちになるんです」
慶應大での研究会で時折、iPadを指で叩いてメモを取っていた都内の女性会社員Aさん(33)は、竹田研究会についてそう話す。きっかけは昨年末、「面白い会に行ってきた」と言って、知人が見せてくれたメモだった。
《「あけましておめでとうございます」は、何かがめでたいからではなく、ハレの状態をつくるために言う》《日の出に起きて、日の入りに床につくのが日本の伝統的な生活。大晦日も、日が沈んだときが新年と考えられていた。だから、暗くなったら「おめでとうございます」と言っていい》
誰からも聞いたことがなかった話に、知的好奇心が刺激された。ふだん自分が何げなくしてきたことの「意味」を教えられた気がした。 実際に足を運んだ研究会は「期待以上でした」。君主と臣民が争った歴史をもつ国が多い中、日本では2600年近く天皇と国民が戦ったことがないと聞き、 日本人の精神性の高さを誇りに感じた。 天皇はいつの時代も大変な努力をして国民の幸せを祈っていると言われ、 自分が大事にされている感覚に包まれた。
「 竹田先生のお話を聞くと、自己肯定感を覚える。 同時に自分の姿勢が正されるような気がします」
『AERA』2013年10月7日号「お笑いライブ感覚? 尊皇を説く竹田研究会が人気」より
たった3時間程度の講義で、言葉巧みに「日本人の素晴らしさ」を説き、知的好奇心を刺激し、自己肯定感を与えてしまう。ただ日本人というだけで、自分に誇りを持つような精神状態に仕上げてしまう。会場でお土産販売している竹田氏の書籍やDVDなどはポンポン売れるそうだ。ある編集者は、同じ本の6冊パックが 「飛ぶように売れて、感激の瞬間!」 と言っていた。
同じ本を6冊包んで藁で縛り、サインを入れたセット。1円も割引はないが、売れる。
もちろんこの講義では、すっかり竹田氏に魅了され、自己肯定感を得た参加者たちの脳髄に、 『男系継承絶対』の理屈や、『旧宮家の皇籍復帰説』 なども吹き込まれていく。
「旧皇族」という肩書が詐称であることも知らずに――。
●早朝5時にふんどし締めて川に浸かる -
「皇位継承は黄信号である」小林よしのりライジング号外
2016-01-05 12:45102ptゴーマニズム宣言 「皇位継承は黄信号である」 昨年12月に開催された宮内庁職員による文化祭に、秋篠宮家の長男・悠仁さまが作られた信号機の模型が出品された。
その出来は9歳の子供の作品とはとても思えないもので、高さ3.3メートル、横2.4メートルのほぼ実物大で、精巧に模している。しかも実際に点灯し、点灯時間は青51秒、黄3秒、赤53秒と計算されているという。
悠仁さまは幼稚園の頃、信号機が電球からLEDに切り替わることを聞いて以来、信号機に興味を持たれたという。文献なども参考にされたようで、製作された模型は今ではほとんど姿を消した、1970年前後の電球式信号機を再現したものだった。
また「赤坂表町」という地名標識が添えられているが、これは秋篠宮邸近くにあった、50年前に廃止された地名だという。
正確な模型を作る能力といい、今は失われた昔の機種や地名に目をつけるセンスといい、すごい才能である。
http://withnews.jp/article/f0151212001qq000000000000000W02j0401qq000012840A
この話題自体は素晴らしいことである。
だが、これを紹介した週刊文春(2015.12.24)記事のタイトルを見て、途端に苦々しい気分になってしまった。
「悠仁さま9歳にしてこの大傑作
皇室の未来も“青信号”!」
……皇室の未来が青信号だって!?
まったく、無知は罪だ。せめて勉強する意欲があればいいのだが、その気もない輩が、無責任に脳天気な放言をしてくれるから落胆する。
皇室の未来には、ずっと前から「黄信号」が点灯している。早急に手を打たなければ、じきに「赤信号」になり、取り返しのつかない事態になってしまうのだ!!
女性が皇位に就けない現在の規定では、皇太子殿下、秋篠宮殿下よりも若い世代の皇位継承有資格者は、悠仁さまただ一人である。
今のままでは、皇太子殿下の長女・愛子さまも、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまも結婚したら皇室を離れることとなり、いずれは宮家がすべてなくなってしまう。
そして、悠仁さまが結婚されて、男児が生まれない限り、そこで皇統は断絶!日本から皇室が消滅してしまうのである!!
皇統断絶を防ぐには、女性皇族にも皇位継承資格を与え、ご結婚後も宮家を創設できるように皇室典範を改正するしかない。
普通の常識からいっても、世界の趨勢からいっても、女性が元首になることには何の問題もない。
しかも日本の場合は、歴史上にも女帝はおられた。そのうえ日本の皇室の祖先は「天照大神」という女神なのだ。
だが、男尊女卑というシナの思想が日本に入り込んでいて、それが日本本来のものであるかのように思い込んでしまった自称保守どもが、皇位継承者は「男系男子」に限ると主張し、女帝にも女性宮家にも強硬に反対している。
小泉政権下で進められていた、女帝を認める皇室典範改正を独断で潰したのが当時官房長官だった安倍晋三。野田政権下で進められていた、女性宮家創設を認める皇室典範改正を潰したのも、後任首相の安倍晋三である。
それならば、「男系男子」限定でも安定して皇位継承が行われるように、早急に手を打たなければならないはずなのだが、安倍政権は発足後3年を経過しても、何一つやろうとしない。
なぜ無為無策で通すかと言うと、もう安倍晋三自身も、「男系男子」限定の継承が無理だと分かっているからである。
だが、安倍政権のコアな支持層が「男系固執主義者」だから、皇位継承問題に手を付けるのを止めているのだ。 -
「旧皇族を騙る者の宗教活動」小林よしのりライジング Vol.57
2013-10-08 23:30157pt「旧皇族を騙る者の宗教活動」
竹田恒泰の影響力が最近、急速に増してきているらしい。
この「ライジング」の読者にとっては、竹田恒泰といえば生まれも育ちも一般国民であるにもかかわらず自身を「旧皇族」と詐称している「ニセ旧皇族」であり、天皇陛下のご意思に逆らう「男系絶対固執派」であることは周知の事実だろうが、残念ながらこのことが一般には浸透していない。
竹田が主宰する「竹田研究会」は発足5年ほどで全国16カ所に設立され、会員数は現在2万8千人、9月に発売した新書は1週間で8万部が売れたという。
朝日新聞WEEKLY「AERA」は10月7日号の特集『日本「右傾化」の真実』の筆頭に竹田を取り上げている。
全国の「竹田研究会」が定期的に行なう竹田の講演会には重々しさも堅苦しさもなく、「お笑い芸人のライブに、雰囲気は近いかもしれない」という。
竹田の講演は「肩のこらない口調と、漫談家を思わせる巧みな話術」で笑いをとりながら、「天皇は神の子孫です。私たちはみんな、神の子孫なんです」「日本の特徴は、君民一体という点にあるんです」など、天皇の存在を理由として「日本は素晴らしい」と訴えるもので、参加者は「日本人ってすごい、という気持ちになるんです」「竹田先生のお話を聞くと、自己肯定感を覚える」などと言っているそうだ。
わしも17年前に「新しい歴史教科書をつくる会」を立ち上げた頃は「日本に誇りを持とう」というようなことをシンポジウムや講演会で全国あちこち回って言っていたから、なんだか既視感を覚える。
だが17年前と現在では、世の中の風潮がまるで違うことを強調しておく。
あの頃は、日本人が世界で一番劣った民族だ、世界一悪い民族だ、謝罪し続けなければならないのだという自虐史観が蔓延していたから、決してそうではないと訴えなければならない必然性があったのだ。
そして当時それを訴えることには、ものすごいリスクがあった。ありとあらゆる誹謗中傷、バッシングを受け、マスコミ・出版業界から完全に干されてしまう恐れすらあったのだ。
一例として、わしが『戦争論』を描いた翌年、「AERA」1999年1月11日号に載った特集「日本の不安」の記事を挙げておこう。
記事は70年代に大ブームを起こした『ノストラダムスの大予言』の影響で「1999年7月に世界が滅亡する」という「終末願望」を持った人々を延々とレポートし、「ノストラダムス・ブーム」に思春期を直撃された世代にオウム真理教に入信した者が多いことなどを紹介している。
その上で、若い世代は「イデオロギーのような共同幻想に背を向けてしまった」ために「自分自身の存在を一片の疑いもなく肯定できる確信を失った」と断じ、そのような立つ瀬を失った若者の心理の「補償作用」を果たすのが『ノストラダムスの大予言』のような「破滅的あるいは破壊的なドグマ」(ドグマ=宗教上の教義、もしくは独断的な説)だと決めつける。
奇妙な記事だ。赤軍派や極左のテロ活動によって、イデオロギー(例えばマルクス主義)によって「自分自身の存在を一片の疑いもなく肯定」する若者の方が危険だということは当時もう証明されていたのだが。
論理に飛躍がありすぎとしか思えないが、そんな話を長々と続けておいて、最後に突然こんなことを言い出すのだ!
ノストラダムスの役割は90年代、オウム真理教、尾崎豊、小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」へと連綿と引き継がれている。
世紀末の団塊ジュニア世代を震撼させる最強のドグマは、ゴーマニズム宣言のマンガ家、小林よしのりが著した『戦争論』だ。
もう10万光年ワープしたような飛躍っぷりで、全く意味がわからない!
尾崎豊まで悪しき者になっている。
とにかく『戦争論』が『ノストラダムスの大予言』以上の破壊的・破滅的な狂信的危険思想だということにしたかったようだ。
そして記事はこんな記述で締めくくられている。
(『戦争論』を読んで) 日本人であることの誇りを感じられるようになったという女子大生(22)もいる。彼女はいままでに教え込まれた太平洋戦争の知識をまるで信用できなくなっている。
「アジアの国で無闇に謝り続ける政治家と自分をだぶらせて日本人は恥ずべき存在なのだと思い込んでいたけれど、いまは、たとえ負けたにせよ、あの壮烈な戦争を戦い抜いた日本人の子孫であることになんら恥じ入る理由はないと思いを改めています」
彼女も『戦争論』を読んですぐ、戦争中のファシズムのプロパガンダをテーマにした大学の夏季集中講座を聴講した。そこで、すべての従軍慰安婦に一刻も早く補償を、と説く講師の言葉に釈然としない疑念に捕らわれたという。
たとえこの世が終末の予言の通りに滅ばなくても、ノストラダムス的ドグマは肥大する。
かつては「日本人の誇り」なんて言ったら、『ノストラダムスの大予言』と同じ「破壊的ドグマ」だと言われたのである!!
それが今ではどうだろう? 同じ「AERA」がほとんど「竹田研究会」の宣伝みたいな記事を載せている!
記事にはそこに危険性が孕んでいるかのように書こうとしている意図も見えるのだが、結局はそれができず仕舞いに終わっているのだ。隔世の感とはこのことだ。
高森明勅氏にこの話をしたら、「 17年前、小林さんや『つくる会』の面々がデタラメな攻撃を受けながら必死に種をまいたものを、いま竹田が何の労も負わずに楽々と収穫しているわけですよ 」と言われた。
なるほど。そういう構図か。
現在はもうそれほどの自虐史観はない。今ではテレビで毎日のように、日本の文化は外国人が目を見張るすごいものばかりで、他の国がマネしようとしているといった情報が流れている。
かつては中国・韓国の批判などもってのほかという強固な空気ができ上がっていたのに、今では中国・韓国には公共性がなく、どこか劣等な国だなんてことは普通の主婦の会話にも出てくるし、週刊誌は韓国批判をすれば売れるという状態だ。
教育現場にはまだサヨク教師が残っているかもしれないが、もうそんなに影響力はないだろう。
従来は、自分が社会で正当に評価されていないという不遇感や、自分の将来に対する不安感を持っている人が「右傾化」すると言われてきた。しかし「AERA」の記事に登場している「竹田研究会」の会員は平均より多めの収入があり、特に満たされない思いを抱えているわけではないと言っている。
さらに「AERA」が1千人規模のアンケートを行なったところ、特に不遇感や将来への不安感を持たない層でも、自国に対して誇りを持っている割合が高いという結果が出たという。
「AERA」にしてみれば、「右傾化」は不遇感や将来不安のはけ口という結果の方が好都合だっただろうが、データに否定されてしまったのである。
いまは「日本人の誇り」を言っても攻撃してくる者はなく、みんな納得できて、それが普通の人の感覚だと認識される時代になっている。
それならわざわざ今さら講演会に「日本の誇り」の話を聞きに行く必要もないはずなのに、竹田の講演を聞いて感激している者が増えているというのは、何とも不可解だ。
本来、天皇とは何なのかといったことは学校で教えるべきなのに、それが一切行なわれていないから、皇室の話が新鮮に聞こえるというのはわかる。
しかし、だからといってそれで「研究会に参加すると、みんな笑顔で元気になる」などと言っているのはものすごい違和感を覚える。この空気は一体何なのか?
この「AERA」には竹田のインタビューも載っている。
だがここで竹田が言っていることは疑問だらけだ。
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