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「日本の研究者は企業の奴隷なのか?」小林よしのりライジング Vol.109
2014-11-18 19:35153ptノーベル賞の授賞式は、 アルフレッド・ノーベル の命日である12月10日に行なわれる。
ノーベルはダイナマイトをはじめとする様々な爆薬を発明・開発、企業化して巨万の富を築いたが、一方では爆薬兵器で財を成した「死の商人」と批判された。
そのためにノーベルは晩年、自分が死後にどのように記憶されるかを考えるようになり、自らのほぼ全財産を投じて基金を設立し、人類のために貢献した人々を表彰するように遺言し、これに基づいてノーベル賞が設立された。
今年は青色LEDの開発に携わった2人の日本人と1人の元日本人がノーベル物理学賞を受賞した。
このうち元日本人の 中村修二 カリフォルニア大教授(アメリカ国籍なんだから「シュウジ・ナカムラ」と書くべきじゃないか?と皮肉の一つも言いたくなるが、在特会じゃないんだから漢字表記の「通名」を容認しよう)は かつて、徳島県阿南市の日亜化学工業の社員時代に開発した青色LEDの報酬を求めて会社を提訴。
一審では全面的に勝訴し、東京地裁は日亜化学に約200億円の支払いを命じた。
実は中村は自分の報酬は800億円に相当すると公言しており、地裁が認めた報酬額は604億円だった。
だが訴状に貼る印紙代があまりにも高額になるため(800億円要求する訴訟を起こすと印紙代だけで8600万円以上かかる)、中村は要求額200億円で提訴、裁判所はその満額を認めたのだった。
だが控訴審では東京高裁は和解勧告を出し、結果的に判決は下されなかった。 和解金は約6億円、延滞損害金を加えて約8億4000万円となり、一審判決からは大幅に減額された。
中村はこの結果に「 日本の司法は腐っている 」という言葉を残し、米国籍を取得したのである。
中村は日亜化学の社員時代に青色LEDの開発によって会社からもらった報奨金が「2万円」で、そのことを話したら米国の研究者から「スレイブ・ナカムラ」というあだ名をつけられたといった恨みつらみを言い続け、ノーベル賞受賞が決まった直後も、研究の原動力は「怒り」のみだったと語っていた。
しかししばらく経つと、その発言に変化が見られるようになってきた。 特に文化勲章の受章が決まると「 日本も太っ腹だなと思う 」と言い、授与式後の記者会見では「 天皇陛下から直接いただいて、非常に感動しました。日本人として最高に光栄です 」と発言した。 もう日本国籍じゃないのだが。
文化勲章の授与基準は「我が国の文化の発達に関して顕著な功績のあった者」であり、国籍に定めはなく、米国人は中村修二、そして同様に米国籍のノーベル賞受賞者・南部陽一郎ら5人に授与されている。
余談だが、中村、南部以外の3人の米国人は、人類初の月面着陸をしたアポロ11号のメンバーである。
我が国の文化の発達とは一切関係ないのだが、この3人が来日した時に、当時の首相・佐藤栄作が「親米」のアピールのために本来の選考基準を曲げ、文化勲章を「政治利用」したのである。
ノーベル賞の受賞者には自動的に文化勲章が授与される慣習があるが、 大江健三郎は文化勲章の受章を拒否した。
ノーベル文学賞は「スウェーデン国民から贈られたと言えるもの」として受賞した一方で、文化勲章は「私は、戦後民主主義者であり、民主主義に勝る権威と価値観を認めない」という理由で拒否したのだ。 要は、「天皇なんかに渡される勲章など認めない」という意味だ。
やはり国籍にかかわらず、大江よりは「天皇陛下から直接いただいて、非常に感動しました」と言った中村の方がはるかに日本人だとは言えるだろう。
文化勲章授与式後の記者会見で、中村は日亜化学に対して、以前には考えられなかったようなことを言っている。
http://mainichi.jp/feature/news/20141103mog00m040003000c.html
現在の小川英治社長がリーダーシップを取り、日亜化学が世界のリーダーとなって青色LEDの応用を進め、今回のノーベル賞に至ったと思います。私は小川社長に非常に感謝していますし、もちろん、日亜化学の全社員、私の当時の部下6人にも非常に感謝しています。
その上で中村は「 ぜひ関係改善を図りたい 」と、徳島の日亜化学を訪ねて社長とざっくばらんに話し合いたいという意向を表明した。
だが日亜化学はその翌日に文書でコメントを発表。
「弊社に対する深い感謝を公の場で述べておられ、弊社といたしましてはそれで十分と存じております」
「貴重な時間を弊社へのあいさつなどに費やすことなく、今回の賞・章に恥じないよう専心、研究に打ち込まれ、物理学に大きく貢献する成果を生みだされるようお祈りしております」
慇懃ではあるが、要するに門前払いである。「もう2度と関わり合いたくない」という強い意向がありありと表れている。
この対応には「大人げない」と見る向きもあるが、「そりゃそうだろう」という声も結構上っている。わしはというと、圧倒的に後者だ。
そもそも、企業に属する研究者の発明に巨額の報酬が支払われるなんてことは、アメリカでだって決してあり得ないのだから!
それについては、
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