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記事 367件
  • 「人にはいろんな生きざまがある」小林よしのりライジング Vol.329

    2019-09-17 19:25  
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     リンカーンコンチネンタル・リムジンのお迎えで、筒袖に段袋といういでたちの男たちが「押忍押忍押忍」と整列する屋敷に案内された私の母・京子、18歳。壁に日本刀がずらりと掛けられた「100人殴り込んで来ても、ダイジョーブ!」といった様子の玄関をくぐり抜け、鉄火場を横目に、極道家族の住まいへと手を引かれてゆく。
     ベッドつきの洋間をあてがわれた京子は、銀の食器がずらりと並ぶダイニングで豪勢な食事を楽しんだあと、その晩、子供たちを引き連れて、海辺で開催される花火大会へと案内された。
     花火大会は、このヤクザが毎年催しているもので、地域住民たちの大きな夏のお楽しみだった。
     特に花火がよく見える港の周辺にはテキヤがずらりと並んで、集まった住民たちをにぎやかし高揚させている。たこ焼きや焼きそばを焼いたり、小さな子供にりんご飴を手渡して頭をなでてやったりしているのは、組が世話をしている若い衆だったり、昔から友好関係を築いてその花火大会を縄張りとしているテキヤの集団だったり、縄張りの外から商売をしにやってくる馴染みの露天商だったりするらしい。

     京子がたこ焼きの香りに惹かれていると、極妻は、従えていたカンカン帽の荷物持ちに 「たこ焼き、買うてきてくれる? 〇〇はんの焼いてるやつね。それと子供らに、わたあめ」 と命じた。
    「京子ちゃん、たこ焼きはね、上手に焼く職人さんと、そうでない人がおるんよ。いま、一番おいしく焼いてくれる人から買うてくるからね」
     お祭りの露天でたこ焼きを買っても、どうも焼き過ぎてボールのようになっていたり、とろみがあるのかと思ったら生焼けだったり、あまり「おいしい!」と思えた記憶がなかったが、当たり前だが、技術に差があるのだ。
     極妻によれば、特にわたあめは、相当長年の経験を経て「職人芸」と呼べるレベルの技を持った人でなければ、美味しく、見栄えよく、ふわふわ、かつ満足のゆく密度に仕上げることができないものらしい。入りたての若者が2年や3年練習した程度では、とてもじゃないがモノにはならず、テキヤ集団の親分級の人が、露店の花形として良い場所を陣取るという。
     そうこうするうちにカンカン帽がお遣いから戻る。
     子供たちは大喜びで職人芸のわたあめにかぶりつき、そして京子が口にしたたこ焼きは、ふわふわとろとろの美味だった。それ以降、母は、露店で食べ物を買うときは、テキヤの熟練具合をよくよく観察してから選ぶようになったらしい。
     花火大会は大盛況、露店も大繁盛だった。

     ヤクザや、後ろ暗い過去を背負っている人たちは、日頃は一般社会の人々からは「付き合いたくない」と思われがちで、なんとなく避けられている存在だ。しかし、「ハレ」の場面においては、その感覚も一時的に解かれて、「お祭り会場を一緒に盛り上げるために必要な一員」としてふわっと受け入れられているところがあったと思う。
     見るからにヤクザと思われる人物が商売しているわけではなくとも、この会場のテキヤを仕切っているのはヤクザで、売り上げの一部は上納されており、自分が露店で買い物をすることが、ヤクザに金を流すことにつながっていると多くの大人がわかっていた。けれども、 「まあ、今日はお祭りなんだし、それがヤクザさんの食い扶持なんだから」 と、ひとまず置いておく感覚があったわけだ。
     一般社会には馴染まない、どこか異質な空気感をまとった人々が演出する非日常の舞台こそが、人々に「ハレ」を体感させ、わくわくさせているところもあると思う。
     一方、現在は、ヤクザのイメージがあまりに悪すぎるのもあって、 「反社会勢力、許さない!」「反社会勢力とつきあいのある人間も、許さない!」 という徹底排除の感覚のほうが圧倒的に強くなっている。夏祭りの露店からは、ヤクザや、ヤクザとつながりの濃いテキヤは締め出され、「クリーンな商売人」だけが露店を出すべきで、ヤクザには1円たりとも金を流してはならないという圧力が高まっている。
     
     ちなみに、 最近の露店は、やたらと国際化している。
  • 「セカンドレイプ魔・小川榮太郎」小林よしのりライジング号外

    2019-09-10 16:10  
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     日本人は、未だに近代人にはなっていない。
     野蛮人としか言いようのない、知性も品性もない人間が「知識人」の扱いで「言論誌」に論理のかけらもない文章を載せている。
     しかもその内容が、レイプ被害者を侮蔑・嘲笑する「セカンドレイプ」以外の何物でもない代物なのだ。
     こんなものが平気で流通しているということだけは、決して海外には知られたくない。
    「月刊Hanada(10月号)」に、自称文芸評論家・小川榮太郎の 『性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体』 と題する文章が載っている。
     詩織さんは性犯罪被害者のまさに当人なのに、その人をつかまえて「性被害者を侮辱した」とは、一体どういうつもりだろうか?
     まあ小川の目的が、詩織さんをレイプした容疑で逮捕状が出ていながら、逮捕を免れたジャーナリスト(元ジャーナリストか?)Yの擁護にあることは、読まなくてもわかる。小川もYも、共に安倍政権の提灯持ちである。同じ提灯を持つ者同士、お仲間意識も連帯感も相当に強かろう。
     文章は冒頭、熱海のホテルにおけるYの様子の描写から始まる。
     詩織さんがYを訴えた民事訴訟の裁判が行われた日、小川がYを熱海に誘ったそうで、小川は 「人生を賭けた裁判の疲労は並々ならなかっただろう」 とYをいたわっている。
     そして小川は、Yの父親が事件のショックから体調を崩し、昨年亡くなったことに触れ、 「私も先年、父を亡くした。レイプ犯の汚名を着た息子が孤立するなかで、病重くなり続けた氏の父上のことを思う都度、私は何度いたたまれぬ思いにかられたことだろう」 と、深い同情の気持ちを表明している。
     案の定、完全にYの味方をするつもりで書いている文章である。
     ところが信じられないことに、小川はこれだけYに肩入れしたすぐ後に、ヌケヌケと 「が、この件に情実は、絶対あってはならない」 と言ってのける。
     そしてさらに、 「私は山口氏を『信じる』という選択は、この件では全くするつもりはなかったし、してはならないと思っている」「私は、山口氏を信じるのではなく、証拠資料、証言を通じて、より真実に近い当日の出来事を知りたいと思った」 と強調して、中立・客観的な立場でこの件を論評するかのような態度を装うのだ!
     一体、どのツラ下げて?
     あれだけ、Yと個人的に親しいことを自ら明かし、Yの無実を願って死んだであろう父親に同情し、Yが父を死に追いやるような親不孝をしたのではないかとは露ほども疑っていない心情を吐露している人物が、今さらこの件を中立の視点で検証するなどと言ったところで、どこの誰が信用するか?
     この客観性皆無の頭の悪さには本当に驚く。フリチンで街中を闊歩しながら、「私は露出狂ではない!」と叫んでいるようなものである。
     Yはホテルの自室に詩織さんを連れ込み、性交したことは認めている。
     そこで争点は、その性交がレイプだったのかどうかに絞られる。
      レイプか否かを決定づける最大の要件は、「合意の有無」である。
     合意なく行われた性交はレイプ。それに尽きる。
     ライジングVol.307(https://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1743157)や『ゴーマニズム宣言』第50章「レイプ裁判の判決がおかしい!」(「SPA!7月2日号」)で詳述したように、現在の日本の裁判では「抗拒不能」(抵抗・拒否できない)という要件が過剰に考慮され、理不尽な判決が連続しているが、あくまでも第一に考えなければならないのは、というより、唯一考慮すべきなのは、「合意の有無」であると言っていい。この認識は、今日の世界的な潮流として定着しつつある。
     ところが小川は信じられないことに、最重要の要件である「合意の有無」を 「密室のことで、判定のしようはない」 とあっさり放り出し、完全に論点から切り捨ててしまうのだ!
     これでは話にならない。 小川は法的・社会的にレイプがどう定義づけられているのか、特に最近はどう考えられているかを一切調べようともせず、完全な無知のまま、 「合意の有無など言っても意味がない」 と決めつけているのだ。
     小川は「新潮45」の廃刊号となった昨年10月号に載せた、杉田水脈の「LGBTは生産性がない」発言を擁護する文章でも 「LGBTという概念について私は詳細を知らないし、馬鹿らしくて詳細など知るつもりもない」 と開き直り、LGBTを「全くの性的嗜好」と完全に間違ったことを平然と書き、LGBTよりも 「痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深かろう」 とまで暴言を吐き散らした。
     議論の前提として必要最低限の知識すら知ろうともせず、完全無知のまま、自分の思い込みだけで平気で誤りを書きまくることを常とする小川榮太郎には、根本的に物書きの資格などないのだ。
     小川は、Yが詩織さんをレイプしたとされる2015年4月3日の詩織さんの行動について、いちいち批判を加えていく。
     その日、詩織さんは靖国神社の奉納相撲の取材をした後、砂埃を浴びた服を着替えるため自宅に寄り、待ち合わせ場所の居酒屋に時間に遅れて着いているが、それに小川はこんな難癖をつけるのだ。
  • 「関東大震災犠牲者慰霊法要レポート」小林よしのりライジング Vol.328

    2019-09-03 17:50  
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     9月1日、関東大震災の犠牲者を追悼する大法要が東京都墨田区の都立横網町公園にある東京都慰霊堂で営まれた。取材に赴いたのだが、日曜日でもあり、かなりの人が集まっており、公園に入ってからなかなか中心部にたどり着けないほどだった。新聞発表では約700人が集まったという。
     東京都慰霊堂での大法要は、都慰霊協会が主催するものだ。昨年まで出席されていた秋篠宮ご夫妻に代わり、次女の佳子さまが初めて参列された。また、この大法要とは別に、公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑の前では、日朝協会東京都連合会による朝鮮人犠牲者追悼式も開催された。
     
     この追悼碑の隣には、 「一九二三年九月発生した関東大震災の混乱のなかで、あやまった策動と流言蜚語のため六千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われました」 という文章からはじまる石板が立てられている。
     大震災直後に 「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が火をつけて歩いている」 などのデマが発生し、あちこちで結成された自警団によって、“朝鮮人狩り”が行われたという出来事だ。
     平成20年3月現在、政府が公表している専門調査会報告書によれば、 「武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えたあげくに殺害するという虐殺という表現が妥当する例が多かった」「加害者の形態は官憲によるものから官憲が保護している被害者を官憲の抵抗を排除して民間人が殺害したものまで多様である」「殺傷事件による犠牲者の正確な数は掴めないが、震災による死者数の1~数パーセント(1,000人から5~6,000人)」 (1923 関東大震災【第2編】第4章 第2節「殺傷事件の発生」より)とされている。
     したがって、この政府報告書に従うならば、石板に書かれた「六千余名」は、正確な人数かどうかはわからないが、推定される最大の犠牲者数ということになる。
     朝鮮人犠牲者の追悼式典には、2016年まで、東京都知事が毎年追悼文を寄せていたが、2017年に小池百合子都知事が取り止めて、そのまま今年まで3年連続で見送られた。この件がもとで左派が反発を強めており、また、式典当日に同じ場所で「朝鮮人虐殺はなかった」と訴える右派の集会も行われるという情報があったため、気になって現場へ向かったのだ。
    ●「朝鮮人虐殺はなかった」の団体演説
     現場では、追悼碑を囲んで慰霊式典を行っているその周辺に、式典を支援する左派の団体がおり、フェンスと大量に配備された警察官を挟んで、右派の団体がテントを張って集会を行っていた。
     右派側は 「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」「六千人虐殺の濡れ衣を晴らそう」 という看板を掲げており、何人かがマイクの前に立ち、式典にぶつけるような形で 「朝鮮人虐殺はなかった」「慰安婦の強制連行もなかった。徴用工問題も見てみろ」「関東大震災の時は、朝鮮左翼による横暴、計画されていたテロがあり、それに対処するための自警行為はあった。しかし、虐殺はなかった」「6000人も虐殺したという証拠を出せ」 という演説を繰り返していた。また、左派の団体を名指しして 「なんの縁もゆかりもない過去の朝鮮人に肩入れしている」 と揶揄する演説者もいた。
     名指しされた側としては、式典を妨害されたことにもなり、相当な怒りに満ちており、フェンス越しに警官の制止を受けながら怒鳴り声を挙げたり、スマホやビデオカメラで撮影するなどかなりピリピリした様子だった。
     怒りの矛先は警官にも向いており、 「なんで東京都は差別主義者を守るんだ」 という話し声が聞こえた。警察官の配備が、追悼文を取りやめた小池都知事と結びつくようだ。あとで知ったが、小競り合いがあり、左派側に逮捕者も出たという。
    ●「軍国主義が行った残虐行為」を訴えるパネル展示
  • 「抗議・恫喝・脅迫が表現の自由を委縮させる」小林よしのりライジング Vol.327

    2019-08-27 20:05  
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     慰安婦少女像は政治的プロパガンダのための木偶(でく)人形である。韓国の恥の象徴である。
     韓国内にも慰安婦少女像に恥を感じる人たちはかつていたらしい。そりゃそうだろう。慰安所を利用していた老人がいたはずだから。
     世界中に国家の恥の象徴をバラまく今の韓国人の感性は「反日」イデオロギーのせいで、相当に劣化している。
     本来なら日本や世界中であの少女像を展示するということは、韓国の恥を展示することであり、自国に対するヘイトスピーチに近いので、わしとしては腹も立たない。自国民をヘイトするヘンタイ国民だなと思って、嗤ってしまう。
     恥のイコン・慰安婦少女像を日本で展示してやろうという相当意地悪なことを企んだ津田大介という男は天罰が下っても止むをえない馬鹿である。
     呉智英氏によれば、慰安婦少女像はぜんぜん「表現の不自由」じゃなくて、日本大使館前でも、韓国中でも、アメリカでも展示されているのだから、「表現の自由」を謳歌している、それをわざわざ展示して、炎上を誘って「表現の不自由」をねつ造してしまったのだから、津田大介という人間は「当たり屋」みたいなものだと言っている。これはなかなか凄い見方だ。
     その恥のイコンを「芸術」とまで勘違いする輩が現れているようだから、あの木偶人形に対する「批判」や「嘲笑」や「侮蔑」は構わないのである。いくらでも罵ればいい。慰安婦像が「神聖不可侵」にならないように、批判と侮蔑をしておけばいいのだ。
      ただし、抗議・恫喝・脅迫はダメなのだ!
     日本ではできる限り広い範囲で「表現の自由」を担保しておかねばならない。
    「表現の自由」の範囲が広ければ広いほど、その国は民主主義が発達していて、中国や韓国や北朝鮮などは、「表現の自由」が狭い分、民主主義が未発達であり、独裁制が幅を利かせているということなのだ。
     愛知県で3年に1度開かれている国内最大規模の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」が、開催3日で展示中止に追い込まれた。
     同展は4年前に東京で行われた、各地の美術館で展示できなくなった作品などを並べる「表現の不自由展」を見たトリエンナーレ芸術監督の津田大介が、当時の実行メンバーに「その後」展をやってほしいと打診して実行されたものだった。
     先の「表現の不自由展」では在特会が拡声器を持って「ぶっ殺してやるから出てこい」と罵倒、なんと来場者の姿を勝手に撮影してネットに上げるなどの嫌がらせをしたため、会期中は総勢80人のボランティアが警備に当たり、来場者が無断撮影されないようシーツで出入り口を隠すなどの対応に追われたという。
     そんなことから、実行メンバーは「その後」展の実行委を引き受ける際には「相当の覚悟と準備が必要」と考え、津田にも不当な暴力に屈しないよう釘を刺していた。そして津田も、圧力に屈しないよう「僕も一緒に闘う」と言っていた。
     ところが開幕してみると案の定、慰安婦少女像の展示や、昭和天皇の肖像を燃やす映像展示に対する抗議が殺到した。
     その抗議のやり方は尋常なものではなかった。 トリエンナーレ事務局は大量の抗議電話によって事務所機能が完全に失われ、トリエンナーレとは無関係の組織にまで大量の抗議電話が押し寄せた。
     中には 「お前の母親の写真を燃やしてやるぞ」「実名をネットでさらす」 といった、抗議というより恫喝というべき電話も多く、連日未明まで続いた対策会議では、「このままでは自殺者も出かねない」という報告も出されたという。
     2日目早朝には 「ガソリン缶を持って行く」 と、京アニの事件を思わせる脅迫ファックスが届き、その翌日には、このままでは円滑で安全な運営ができないとの判断から、トリエンナーレ実行委員会会長の大村秀章愛知県知事が「表現の不自由展・その後」の展示中止を発表した。
     同展の実行委は、「一緒に闘う」と言っていたはずの津田が3日で折れ、何の相談も説明もなく中止が決められてしまったことに相当憤慨している
     十分予想のついていたリスクに対して全然対応できなかったことに対して、津田は 「準備不足だったことは認めます。ただ、どのような準備をすれば可能だったのか…」 と泣きごとを言っていた。
     この件ではトリエンナーレ実行委委員会会長代行の河村たかし名古屋市長が会場を視察し、 「日本国民の心を踏みにじる行為」 だとして大村知事に展示中止を求める抗議文を出していたことから、権力による「検閲」だとの声もあったが、大村知事や津田は「検閲」を否定している。
     まあ、「検閲」よりも、津田が説明しているとおり、 過剰な抗議と恫喝・脅迫によって運営が機能不全となり、死者が出かねないと判断したものだろうと思う。
     最初の脅迫ファックスの犯人は逮捕されたが、展示の中止後も愛知県の関連施設には 「県庁職員らを射殺する」「県内の小中学校、高校、保育園、幼稚園にガソリンを散布して着火する」 といった脅迫メールが770通以上届き、その脅迫犯はまだ捕まっていない。
      このような抗議・恫喝・脅迫が、表現の幅を確実に狭めてしまうのだ。
  • 「田原総一朗のデマはたちが悪い」小林よしのりライジング Vol.326

    2019-08-20 17:30  
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     ゴー宣道場は10年目に突入し、前回で83回を数えたが、前もって用意していたテーマについて、ほとんど議論できないままに終わってしまったという事態は、これが初めてだった。
     8月4日に開催した第83回ゴー宣道場のゲストには、本人の強い要望で田原総一朗を招いた。
     テーマは「皇室と憲法における平和主義」と設定し、以下のような議題について話し合う予定だった。
    「昭和天皇は平和主義者だったのか? ならば戦争責任はなかったのか? なぜ戦後どこかの時点で、退位されなかったのか?」
    「上皇陛下は戦争の反省を使命として慰霊の旅をなさったのか? それは国政に関わる行為にならないか? 日本国として大東亜戦争を反省することにならないか?」
    「現憲法は本当に平和主義なのか? 沖縄基地は米軍の兵站ではないのか? イージス・アショアは米国を守るためではないのか?」
    「イラク戦争の反省をなぜ日本人はしないのか? イラン戦争が勃発したら、日本はどうなるのか? 言論は戦争を防ぐことができるのか? ジャーナリズムは権力の監視になっているのか?」
     いずれも田原の日頃の発言などを考慮し、田原が興味を持ち、意見を述べたがりそうな事柄を絞り込んだつもりだった。
     ところが、田原はテーマを無視した脈絡のない話や自慢話をするばかりで、全く議論にならないまま、無駄に時間が流れてしまった。
     中でも特に困ったのが、田原が事実に反する発言を平然とすることだった。
     田原は 「左翼はもういないよ!」「いま護憲派なんかいない!」 と言い放った。
     何を根拠にそんな断言ができるのか全くわからない。 田原の認識においては、日本共産党は「いない」ことになっているのだろうか?
     いないどころか、ゴリゴリの左翼も護憲派もまだたくさんいて、立憲民主党に食い込んでいる。だから枝野幸男代表も「立憲的改憲」を全く言わず、護憲一辺倒になってるんじゃないか!
     この日の第2部には参院選に立民から立候補して惜敗したフリーアナウンサーの安田真理が登壇したが、その日、彼女のツイッターにはこんな罵詈雑言が殺到した。
    「バカウヨの元凶となり、ヘイトの元凶となり、歴史修正主義を蔓延させた、女性蔑視、韓国蔑視の小林よしのりとの関係を断つべき」
    「山尾倉持の改憲論に簡単に乗ってしまうところに立憲の危うさを感じる。与党と同じだ」
    「もうこれだけで立憲民主党の支持をやめていい話」
    「あなたにがっかりした」
     これらのコメントをした人々のツイッターの書き込み内容には、 「共産党支持」「天皇制反対」「レイシスト反対」「アイヌヘイト反対」「ネトウヨを罵倒する」「アホウヨはブロック」 …などの言葉が散見された。
      これこそ100%左翼じゃないか。極左じゃないか!
     呆れたことに、田原が言った「左翼はいない」がデマであることは、その日のうちに証明されてしまった。
     天皇退位については、わしが 「天皇退位させないっていうのが安倍首相だったんだから。それをこっちがねじ込んだんだよ、退位させるように」 と言うと、田原はムキになったように 「こっちがねじ込んだなんてんじゃない。圧倒的国民が退位って言ったんだよ。小林さんが言ったからじゃない。僕も安倍に直接言ったよ!こんなもんやんなきゃダメだと。安倍もそのとおりだと思うと言ったよ!」 と言い返し、ゴー宣道場の功績を完全否定した。
     田原は控室で、SPA!の『ゴー宣』もFLASHの『よしりん辻説法』も読んでいると言っていた。
     だったら、ゴー宣道場がなければ退位は実現しなかったという事実を描いた『ゴー宣』第44章「退位を阻止しようとした者たち」(SPA!4月30日・5月7日号)も読んだはずだ。
     にもかかわらず田原は、 圧倒的国民の声があったから自動的に退位が決まったか 、 あるいは自分が安倍に直言したから実現した かのように言ったのだ!
    「圧倒的国民の声」は大前提だが、世論調査の結果が即、政権によって実現されたら、「間接民主制」の否定になり、「直接民主制」ならば「独裁制」に限りなく近くなる。田原は「圧倒的国民の声」を受けて、軍部が戦争に邁進していった事実に、まだ正面から向き合っていない。学習能力というものがないのだろう。
      しかも残念ながら、安倍は圧倒的国民の声に反して、政府の有識者会議に退位反対論者ばかり呼んで、退位を妨害しようとしていた。それは紛れもない事実である。
  • 「山本太郎のポピュリズムは大衆迎合ではない」小林よしのりライジング Vol.325

    2019-08-13 19:30  
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     案の定、ともに今回の参議院に議席を得て、政党要件を満たした「れいわ新選組」(れいわ)と「NHKから国民を守る党」(N国)を一緒くたに論じる動きが出てきた。
     れいわとN国は全然違うということは、ここではっきりしておかなければならない。
     週刊新潮(8月8日号)は 「衆院選に100人擁立をぶち上げた!『山本太郎』を台風に育てる慄然『衆愚の選択』」 という記事を組み、れいわをN国と一緒に扱って 「参院選で生まれた新しい芽は、所詮は衆愚の選択のたまものであるということか」 と書いた。
     そして「月刊Hanada」編集長の花田紀凱は産経新聞(8月3日)のコラムでこの記事について、 「ここで、『か』は不要。衆愚の選択そのものではないか」 と評している。
     ネトウヨ愚民の雑誌を作っている編集長のくせに、自分を衆愚のひとりとは思いもせずに、上から評論しているのには笑わされる。
      れいわの躍進は衆愚の選択ではない。
     N国の方は衆愚の選択の極致である。
     その違いも見抜けないのでは、その目はフシ穴である。
      そもそも山本太郎には、参議院議員としての6年間の実績に対する信用があり、今回ネットで急に人気が出ただけのN国とは決定的に違う。
     山本のイラク戦争や消費税、原発などに関する発言を見て行くと、具体的な国家像といえそうなものが垣間見える。
     山本が国会で、イラク戦争の際に自衛隊が米兵をファルージャまで運んだじゃないかと追及するのを見たが、あれは素晴らしかった。 そこには、アメリカに追従して侵略戦争にまで加担するような日本ではいけないという国家像があり、それはわしと全く一緒だ。
      消費税廃止の主張は、消費を増やすことによって経済を回していこうという資本主義の考え方であり、これもわしと考えが同じだから支持できる。 消費税を財源に、国税で社会保障をやろうというのはむしろ社会主義的なのだ。
      また原発反対には、原発事故によって国土を喪失してしまったという思いがあり、それもわしと同じである。
      しかも原発問題について天皇陛下(当時)に山本が渡した直訴状は、毛筆縦書きで、使用する紙の質も正式なものだったらしく、これは単なるパフォーマンスではできない。 もしかしたら山本は、かなり保守的な人間なのかもしれない。
     陛下がその後「私的ご旅行」で、足尾銅山の鉱毒被害を明治天皇に直訴しようとした田中正造の記念館を訪れ、その直訴状をご覧になったのは、明らかに山本の直訴状にお応えしてのことだろう。
      小沢一郎が開いた皇統問題の勉強会にわしが呼ばれた時にも山本は来ていて、れいわでは女性天皇・女系天皇を認める方針を明言している。
      さらに、憲法については護憲派ではないらしい。
     全部が理想的に備わった政党なんか出てくるわけがないのだ。ある程度具体的に共感できる国家像を持っていて、なおかつ身障者など社会的弱者を助けようという感覚もあり、バランスが取れているという判断でわしは支持した。
     それを、地上波に乗らず、ネットで人気が出たからというだけの理由でN国と一緒に扱っては絶対にいけない。
     もっとも、日本が韓国に対する輸出管理を強化したことに対して、山本が 「『なめられてたまるか、ぶっ潰してやれ』という小学校高学年くらいの考え方はやめましょうって話なんですよ」「大人になろうぜってことなんですよ」 などと言っていたのはいただけない。これはまだリベラル左翼な気分から抜けきっていないのだろう。
     国と国との約束を守らない韓国をこのまま甘やかすことこそ、大人の態度ではない。 大人の態度=甘やかす態度ではない。むしろ韓国のためを思えばこそ、厳しくすべき時には厳しくしなければいけないのだ。
     こういう感覚が残っていてはまだ全幅の信頼を置くわけにはいかず、用心して見ておく必要があるということは前提として、以下の論を進めていく。
     評論家の東浩紀は、 「れいわ新選組ってかなりポピュリズム的な政党だと思うんです。つまり、『現実に実現できないかもしれないけど、そうなったらいいな』という口当たりのいい政策を使い、かなり劇場型政治を演出して、一気に浮動層をかき集めることがポピュリズムだとしたら、今回のれいわ新選組はまさにそう」 と批判した上で、 「ここでポピュリズムに巻き込まれないでほしいなと僕は思っています」   と警告を発している(J-WAVE『JAM THE WORLD』7月22日)。
  • 「N国党に『公』はない!」小林よしのりライジング Vol.324

    2019-08-06 19:55  
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     以前から選挙のたびに奇矯な「泡沫候補」は出てきた。
     それはただ、普段は決して表には出られないような奇人変人を見て、笑っておけばいいだけのものだったはずだ。
     ところがそれが国会に1議席でも占めてしまうとなると、話は全く変わってしまう。
     今回の参院選で「NHKをぶっ壊す!」のひとことをひたすら繰り返して、何の間違いか1議席を獲得してしまった「NHKから国民を守る党」(N国党)が、とにかくイヤだ。
     なにしろ比例代表で約84万票を獲得、公職選挙法に規定された政党要件である「得票率2%以上」まで満たしてしまったのだから尋常ではない。
     そもそもNHKをぶっ壊すって、それが国家にとって何か重要な話か?
     確かにいまのNHKは政権批判を全然しなくなり、メディアの役割を果たしていないとも言えるし、そういう問題に対してはいくら怒ってもいいが、だからといってその組織や団体すべてを潰してしまえとは、そう簡単には言えない。
     わしはNHKには朝ドラなど、別の面では楽しませてもらっている。来年春から朝ドラの土曜日放送がなくなるのは不満だが、それは「土曜日も働け!」というだけの主張であって、そんなことで「NHKをぶっ壊せ」とか言ったらアホである。
     わしがNHKに対して最も腹を立てたのは10年前、「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」(2009年4月5日)という、台湾に関するとんでもない偏向番組を放送した時だ。
     それは、日本の台湾領有を全て暗黒に塗りつぶした自虐史観そのものの番組で、わしの『台湾論』を完全否定する内容だった。
     日本李登輝友の会によれば、台湾でもこの番組を観た人からの疑問の声が相次ぎ、若い世代の間でも「僕のおじいちゃんは日本大好きなのに、あの番組は変だよ」「NHKはどうしてこんないい加減な番組を日本人に見せるのだろう」と話題になったという。
     しかしそれでもわしは、その問題ひとつでNHKを潰せとは全く思わなかった。朝日新聞の慰安婦報道は酷いものだったが、それだけで朝日新聞を潰せと思わない。それと同じことである。
     一方、この「JAPANデビュー」の件をきっかけに自称保守・ネトウヨ連中は「反NHK」の運動に沸き立った。
     CS放送局(当時・現在はネット配信のみ)の「チャンネル桜」は原告を募ってNHKを相手に「1万人訴訟」を起こし、「NHKの大罪」と題するキャンペーンを展開。日の丸を掲げて「NHK解体」の文字を大きく染め抜いた黒Tシャツを着た一団が、渋谷のNHK周辺でデモ行進を行った。
     その頃チャンネル桜らと共闘していたのが、今回参院議員になってしまった立花孝志だ。
      立花は元NHK職員で、経理の仕事をしていた。 2005年に不正経理を内部告発、懲戒処分を受けて依願退職した後はパチプロで食っていたようだが、やがてNHK集金人を撃退したり、NHKの「闇」を告発したりといった動画をユーチューブに次々投稿して反NHK運動を始め、ユーチューバーの走りのような存在になっていた。それでチャンネル桜に呼ばれ、共闘関係になったのだ。
     ところが安倍政権が発足するとNHKは政権忖度メディアになり、自称保守・ネトウヨのNHK攻撃は次第に下火となって、ターゲットは朝日新聞に移っていった。
     それと共に、 立花は自称保守・ネトウヨ界隈からは姿を消した。立花は朝日新聞攻撃には全く興味が無く、それどころか、嫌韓・反中とか、慰安婦とか、靖國とか、その他諸々の問題についても一切関心を持たず、やりたいことはただただたったひとつだけ、「NHKをぶっ壊す」だけだったのである!
     そんなわけで立花は「反NHK」の流行がすっかり過ぎ去った後も愚直に「NHKをぶっ壊す!」を唱え続け、2013年に政治団体「NHKから国民を守る党」を設立したのだった。
     しかし、立花はなぜそこまで「NHKをぶっ壊す」ことだけにこだわっているのだろうか?
  • 「対韓輸出管理の反応に見るリベラルと保守の違い」小林よしのりライジング Vol.323

    2019-07-23 19:20  
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     政府は韓国向け半導体材料などの輸出規制を強化した。
     世論調査ではこれに対して 「支持する」という回答が70.7% 、 「韓国は信用できる国だと思うか」という問いにも「思わない」が74.7% にも上っている(7月14、15日 産経新聞・FNN合同世論調査)。
     わしは、これでいいと思う。
     今回の 対韓輸出規制強化 が「徴用工問題」への対抗措置なのかどうかについては、判然としていない。
     日本政府は「対抗措置ではない」とは主張しているが、その背景には徴用工問題があることを認めており、 韓国が国際法上の国と国の約束を守らないため「信頼関係が著しく損なわれ」、それにより「安保上の懸念」が生じている と説明している。
     わしはこれは正しいと思う。
     そもそも今回規制対象となった フッ化水素 などは化学兵器の生産などに軍事転用できるもので、もともと輸出規制して当然のところを、今までは信頼関係があるからということで、ほぼフリーに輸出していたのだ。その信頼関係がここまで破壊されたのだから、規制は強化して当然である。
     自民党からは「 (過去輸出した分の)行き先が分からないような事案が見つかっているわけだからこうしたことに対して措置を取るのは当然だと思う 」(萩生田光一幹事長代行)、「 今までウラン濃縮素材(フッ化水素)について韓国企業が“100欲しい”と言ったら100渡していた。しかし工業製品に使うのは70ぐらいで残りを何に使うか韓国は返答しなかった 」(小野寺五典元防衛相)といった発言があり、もっとはっきり「 北朝鮮に横流しされている 」とする報道も一部には出ていた。
      もしかしたら、政府は公式には言わないが、輸出した半導体材料がどのように流れているかの情報を秘密裡に抑えているのかもしれないし、もしそうであれば、この措置は正しいと言うしかない。
     韓国は今回の規制強化を報復と思ってギャーギャー怒っているし、日本のネトウヨなどもこれを報復だと思って、ワーワー拍手喝采している。
      わしは基本的にはこれを報復とは思っていないのだが、もし仮に報復だったとしても、もうそれでいいんじゃないかと思っている。
      ところがリベラル系の者は、こぞって輸出規制強化に反対を唱えている。
     例えば朝日新聞は3日の社説で「確かに徴用工問題での韓国政府の対応には問題がある」としながらも、 「日韓両政府は頭を冷やす時だ。外交当局の高官協議で打開の模索を急ぐべきである」 と書いている。
     東京新聞も3日の社説で 「対話の糸口を見つけ、早期収拾を図るべきだ」「確かに日韓関係は厳しい。損なわれた信頼関係を修復する努力をそれでも怠り、感情的な争いになれば、お互いが不幸な被害を受ける結末になってしまう」 と主張している。
     朝日も東京も、冷静になって話し合えと唱えているのだ。
     ここがリベラルと保守の違いなのである。
     リベラルは相手を信頼する。
     そして リベラルは、国民性の違いというものを認めない。
     人類みな兄弟、あの国の人もこの国の人も同じ人間同士。だから感情的にならず、冷静になって話せばわかると思うのだ。
      だが保守の感覚では、それぞれの国にはそれぞれの国民性があり、価値観の相違があり、これは話し合っても決して乗り越えられないと諦観しているのである。
     韓国については、もはや「反日」が国民性になってしまっていて、これを説得して変えるなんてことはできないと保守は考えるのだ。
     西郷隆盛の時代ならば、一か八かの話し合いが功を奏す可能性はあったが、それができずに、その後は日本政府が砲艦外交をやったために、両国の信頼性は失われ、朝鮮半島に「恨」が蓄積するのみになった。
     リベラルは、世界の誰とでも「話せばわかる」というが、それならば、リベラル知識人がまず話してわからせて韓国の反日をやめさせてほしい。
     だがそれは現実には絶対不可能だ。 韓国人が自分たちのアイデンティティーを保つための核が「反日」になっていて、反日をやめたら韓国は崩壊してしまう。
  • 「やっぱり慰安婦問題は終わらなかった」小林よしのりライジング Vol.322

    2019-07-16 18:40  
    150pt
     韓国に 「和解・癒し財団」 というものがあったのだが、これが登記上、正式に解散されたことがわかった。
     これでまたひとつ、安倍晋三の外交大失敗が確定した。
     財団は、慰安婦問題を 「最終的かつ不可逆的に解決」 するとして、 2015年12月28日の日韓外相会談で交わされた 「日韓合意」 に基づき、韓国政府が設立していた。
      これは日韓合意の中核となる事業であり、日本政府が国民の税金から拠出した10億円を財源に、元慰安婦には1億ウォン(約1000万円)、遺族には2000万ウォン(約200万円)の支給金の支払いなどを行っていた。
      事業の対象になったのは元慰安婦47人と遺族199人で、そのうち元慰安婦36人と遺族71人が受給を希望したという。
     ところが2017年、朴槿恵(パク・クネ)政権が倒れて文在寅(ムン・ジェイン)政権に代わると、韓国政府は 「合意には法的拘束力がない」 と言い出して日韓合意の検証作業を行い、その後、文在寅は 「政府間の約束であれ、大統領として、この合意で慰安婦問題が解決できないことを明確にする」 と表明した。
      政府間の約束でも、大統領の一存で無効にすると平気で公言するのだからデタラメにも程があるが、それが韓国というものである。
      そして昨年11月、韓国政府は一方的に財団の解散と事業終了の方針を発表し、日本政府の同意なしに手続きを進めた。 その手続きが終了して財団は正式に解散したわけだが、その際にも日本政府への通知はなされなかったという。
     これは韓国側による日韓合意の一方的破棄であり、仰々しく謳い上げた 「最終的かつ不可逆的解決」 は、たった4年も持たずに完全破綻したのだ。
     そもそも韓国は財団設立当初から「裏切り行為」を行っていたそうで、その経緯を「文春オンライン」が記事にしている。書いたのは、山尾志桜里と倉持麟太郎を追い回し、わしに対して「我々はとんでもない証拠を持っている」と見え見えのブラフをかけた赤石晋一郎だ。なんだ、マトモな記事も書けるのか。
     記事によれば、 日韓協議では両国政府が10億円ずつ拠出して「未来志向財団」のようなものを作り、慰安婦問題だけではなく、若者の留学支援など、よりよい日韓関係を築くためのバックアップを行うというプランだったそうだ。
     ところが韓国政府は10億円拠出を立ち消えにさせ、慰安婦問題のみを扱う財団を設立。当然日本政府側は「話が違う」となったが、安倍首相の目的は慰安婦問題に決着をつけ、その様子を米国始め国際社会に証人として見てもらうことにあったので、「それくらいは許容しよう」という判断になったという。
     そして財団による支給金の給付が始まると、韓国の反日団体・ 挺対協 (韓国挺身隊問題対策協議会、現在は 「日本軍性奴隷制問題解決の為の正義記憶連帯」 という、ものすごい名前になっているらしい)などによる妨害工作が始まった。
     村山政権下で発足し、元慰安婦に「償い金」を支給した「アジア女性基金」の時と同様、挺対協らは元慰安婦に 「日本の汚いお金を受け取るな」 と圧力をかけた。 「待てば倍のお金が出るから、財団のお金は受け取らないように」 と言われた元慰安婦もいた。もちろん、その後「倍のお金」など出なかった。
      元慰安婦の7割以上が支給金受け取りを希望し、中には日本国民に感謝の言葉を述べた人もいたのに、そういう事実は一切無視された。
     財団の韓国人スタッフは反対派の脅迫や嫌がらせを何回も受けた。理事長は催涙スプレーをかけられ、脅迫が家族にまで及んで辞任、ショックで外出できなくなったという。
     そして、支給金を申請した人のうち元慰安婦2人と遺族13人にはまだ支払いが済んでいなかったにもかかわらず、財団は強引に解散させられ、未払いの人たちが支給を受けられるかどうかは不明だという。
      毎度のことだが、韓国の「慰安婦支援団体」は実際には「反日」だけが目的で、問題の解決など一切望んでいない。 元慰安婦は反日の道具として利用するものとしか思っておらず、元慰安婦本人のことなど、本当はどうでもいいのだ。
  • 「芸人の闇営業や、哀れ」小林よしのりライジング号外

    2019-07-09 14:40  
    100pt
     芸人の「闇営業」問題には、可哀そうで気の毒でたまらない思いがする。
     あれを謹慎処分にするなんてことは、しちゃいけない。しかも無期限だなんて、あんまりだ。
     そもそも芸人の間では、事務所を通さない営業は「直(じか)営業」とか、内職をひっくり返して「ショクナイ」とかいって、普通に行われていたことだという。
     なにしろ吉本興業の若手芸人って、事務所を通した仕事では本当に食えないのだ。
     吉本興業には6000人の所属芸人がいるが、お笑いで食えているのはほんの一握り。
     現在、吉本の芸人になりたい者はまず吉本が運営する吉本総合芸能学院(NSC)に入るが、NSCを卒業しても吉本芸人として身分が保証されるわけではない。
     NSC東京校の場合、卒業生は劇場でネタバトルランキングを行い、客の投票でギャラがアップしていくシステムとなっている。
       ギャラが出るのは上位190組で、それ以下はノーギャラ。しかもギャラが出るといっても、最底辺のランクでは1ステージ500円だという。
     1日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で証言した元芸人の場合、1ステージ500円で、しかもトリオだったから1人がもらえるのはわずか167円。横浜の自宅から渋谷の劇場まで行っていたから、交通費が往復1100円かかり、一度ステージに立つごとに933円の赤字だったという。
     そのうえ吉本には所属芸人が山ほどいるので、ライブは1カ月1回、60秒しかチャンスがない。そこで勝てば3分とか、月3回とか出られるようになり、吉本社内から注目され、仕事やオーディションの声がかかるようになるが、それまでが過酷だという。
     しかもそこを乗り越えたとしても、若手芸人は月10~15本のライブをこなしても月収2万円程度で、とても食っていけるわけがなく、飲食店アルバイトなどで生活費を稼ぐしかないという。
     ところがこの話が放送されたら、現役の芸人がツイッターに「そういう『ぬるい』情報を流すのはどうかと思う」「俺ならもっと厳しい現実を言える」と書いたというから、実際にはどこまで暗黒が広がっているのか想像もつかない。
     テレビ等のギャラの、芸人と所属事務所の配分は通常「5:5」か「6:4」で、良心的な事務所だと「7:3」という場合もあるが、吉本の若手はなんと「1:9」だという。
     実際、ある程度売れている若手でも、同じ程度の芸歴の人の同じ程度の仕事のギャラを比べたら、吉本よりも他事務所の方が何倍も高いということなどザラだそうだ。
     それを「ケチモト」とか、「ピンハネじゃなく『ピンクレ』だ」(ピン=1割をかすめ取るのではなく、1割しかくれない)とか言ってネタにもしていたのだが、もうさすがに笑い事では済まなくなっている。
     わしにも新人漫画家だった時代はあるから、そういう話を聞くと身につまされる思いがする。
     わしは幸いにもデビューしてすぐ「週刊少年ジャンプ」で連載が決まったものの、その時は大学を出たてで全くお金がなかった。原稿料は作品が雑誌に載ってから1カ月くらい経たないと入らないので、生活費も底をついて、ついにはバイトをしながらじゃないと描けないという状態になってしまった。
     そんな時に編集者から「次のコンテをなぜまだ送ってこないのか」と催促の電話が来たので、素直に「バイト先を探していたもので」と言ったら編集者がびっくりして、連載も始まっているのにバイトなんかやられちゃ困る、専属契約にして契約金を払うから描き続けてくれということになり、それで原稿料とは別に50万円が入ってきて、安心して執筆に専念できるようになったのである。
     わしはその時の50万円がそれまで見たこともない巨額の大金に思えて、仰天したものだ。昭和50年(1975)のことで、当時の大学初任給が平均89300円だったというから、給料約5カ月半分。現在の価値に換算すると90万5000円くらいに相当するらしいが。
     専属契約金は2年目以降、100万円、150万円と上がっていった。
     その代わり専属契約だから集英社以外の出版社では一切描けず、それが後々には嫌でたまらなくなってきた。連載が終わっても他社の雑誌に移ってすぐ次の連載を起こすということはできず、集英社の雑誌からお声がかかるのをじっと待っていなければならないのだ。
     それで、わしはもう勝手にどこででも描きたいと思って専属契約を打ち切り、少年画報社の「週刊少年キング」で連載を始めたのだった。
     吉本興業は最低限の生活保証もせず、あれほど酷いギャラしか払わないのに、それで若手芸人はどうやって食っていけばいいんだ?
     バイトで生活するにしても、芸人はいつ仕事が入るか分からないから、拘束時間が決まっている普通のバイトはなかなか出来ない。
     そうなると若手芸人が直営業をやるのも無理はない。拘束はないし、基本的にギャラは高い。新人でも相場は最低3万円、運がよければ、テレビのギャラならM-1優勝芸人クラスに相当する10万円以上になる。しかもそれが事務所を経由しない「取っ払い」でもらえるとなれば、それは手を出して当然というものである。
     そもそも吉本興業には契約書すらないのだ。契約を交わしていないのなら、事務所と関係なくどこでどんな仕事をやっていても、法的に何の問題もないはずではないか。
     いまでは食えない芸人の窮状もある程度知られているから、今回の「闇営業」に関しては、売れていない芸人に対する風当たりはそれほど強くはなく、もっぱら売れている雨上がり決死隊の宮迫博之と、ロンドンブーツ1号2号の田村亮が矢面に立たされている。
     ただしこれにも事情があるようで、闇営業の仲介をしていたカラテカの入江慎也は人の懐に入って恩を売るのがものすごく上手いらしく、明石家さんまでさえ「俺、入江には世話になっているから、入江に頼まれたら俺も絶対に行っていた」と、参加した芸人たちに同情を示していた。
     そう考えれば、行かなくても食えるのに後輩のために闇営業に行って、特に激しく叩かれて仕事を失った宮迫と亮も、かなり気の毒という気がしてくる。