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  • 「ネットシッター事件、問われる選択『個か共同体か?』」小林よしのりライジング Vol.80

    2014-04-01 22:40  
    153pt
     インターネットで依頼したベビーシッターによって、2歳の幼児が死亡した事件について、もっと詳細に書く必要があると思った。
     子供を育てる母親は大変な苦労をしている、シングルマザーなら子育てと仕事の両立がさらに困難だ、いわば社会的弱者である母親を批判してはいけない、という俗情が世間的にはある。
     シングルマザーに対する偏見は10年以上昔の事で、今や離婚は珍しいことではなく、バツイチ・バツニと明るく自称できる時代だ。
     シングルマザーは容易に批判できない「聖域」になっていて、今回のような「 ネットで他人に無警戒に子供を預ける 」という暴挙でさえも、母親への批判よりは、子育て支援の制度不足にのみ、焦点が移されてしまう。
     つまり殺された子供のことは忘れられ、母親が被害者としてしか見られなくなってしまうのだ。そして人々は言う。「 ネットでシッターを探して何が悪い 」と。
     わしには恐るべき居直りだとしか思えないが、そんな総括の仕方では、また同じような犯罪が繰り返され、また子供が犠牲になるだろう。
     幼児を殺した犯人はもちろん第一に責められるべきであり、すでに逮捕された。では母親は反省ゼロでいいのか?
     前回はあえて母親の情報は伏せたが、未だに母親を純粋な被害者だと思い込み、批判を封じる声があるので、今回はあえてこの母親像を詳述したい。マスコミが絶対に報じない事実が見えてくるだろう。
     被害者の横浜市在住の母親(ここでは「A子」としておく)は一体どういう女性だったのか?
     ネットに残っていたプロフ(プロフィール)が2種類確認できたが、3年ほど前のものと見られるプロフでは「龍琥ママ」というハンドルネームで、 金髪の写真が残っている。
     事件後にマスコミの取材を受けていた時の、今どき珍しいケバい金髪の後ろ姿でおおよその見当はついたが、地道な就職先が見つかる雰囲気ではない。
     2人の子供まで金髪に染めているというが、2歳の子を金髪に染めるのは、健康に悪いと思うが?
     週刊文春(4.3)によると、A子は「 生活保護を受給しつつ、キャバクラなどのアルバイトで生活費を稼いできたようだった 」という。
     このプロフの「誕生日」の欄は「旦那さん1993.03.11(18) 嫁さん1991.08.08(20) ちびさん2011.04.22(0.8)」となっている。
      A子が龍琥ちゃんを出産した時は19歳、しかも父親は18歳だったのだ。
     「自慢なこと」の欄には、「 支えてくれて助けてくれる身内がいること 守ってくれて傍にいてくれる家族がいること ほんっと私恵まれました 」と書かれている。
      この時点では支えてくれる身内・家族がいたのだ。
     そして、「好きな男性のタイプ」の欄には、この「旦那さん」に宛てたと思われるメッセージが書かれている。
    \復活/ ki-chan since23.08.15 total=2年4ヶ月
     なんだかんだ色々あったけど やっぱり大好きなんだな
     次はない。許さない。 3人で仲良くやってく
     頑張ってくださいねパパ
     ところがその旦那とはすぐに別れてしまい、乳児を抱えたままキャバクラ勤めを再開したのである。
     とはいえ、A子のブログを見ると2012年12月の時点で 龍琥ちゃんは保育園に入っていることが確認できる。
      しかもA子の実家は近くにあったようで、子供を連れて頻繁に帰っているし、熱を出した時などは、救急病院に連れて行ってもらったりもしている。
     確かに「恵まれました」と言っていい環境だったのである。
     また、この時には別の「旦那」ができていて、「旦那ちゃん…素直に言えなかったけど隣にいてほしかったんです。ありがとうね大好きです」といった記述があり、やがて次男を妊娠している。
     ブログは「りっくんの寝顔ぶちゃ可愛 ママの天使。宝物。」といった具合に、育児は大変だけど子供が可愛くてたまらないといったことが連日書かれていて、一見すると普通の若い子育てママのブログのようにも見える。
     ところが、時々突然怒ってブチキレた記述が出てくる。
      どうやら龍琥ちゃんの親権をめぐってもめていたようで、父親やその家族と思われる人々に対するものすごい罵詈雑言が書かれている。
  • 「やむを得ないからネットでシッター?」小林よしのりライジング Vol.79

    2014-03-25 17:10  
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     埼玉県富士見市のマンションで2歳男児の死体が発見され、この部屋で男児を預かっていた26歳のベビーシッターの男が逮捕された。
     死亡した男児の母親は横浜県磯子区の22歳、無職のシングルマザー。今月14日、2歳の長男と8カ月の次男の二人を預け、16日に引き取ることになっていたが、その日になっても連絡がとれなかったために警察に通報、事件が発覚した。
     死亡した男児は裸にされて口を塞がれたような跡があり、皮膚が変色している部分が数カ所あった。次男も裸にされていて複数のあざのようなものがあり、低体温症になっていて、病院に搬送され入院した。
      母親は子供を預ける10日ほど前から少なくとも7回、男とメールで連絡を取り合ってベビーシッターを依頼したが、男の名字とメールアドレスしか知らなかったという。
     メールだけのやりとりで、しかも男の名字しか知らない。「信用」の二文字を一切考慮せず、我が子を名字しか知らない、本名かどうかもわからない他人に預けられるものだろうか?
    母親は22歳で二児の母、しかもシングルマザーというのが驚くが、ネット依存が普通の世代なのかもしれない。
      母親は以前にもインターネットを通じてベビーシッターを依頼していたが、この時、長男の頬が腫れていたことと背中にあざがあったことがあり、支払いでもトラブルがあったため、利用をやめていた。
     実は逮捕された男は、このトラブルを起こしたベビーシッターと同一人物だった。 ところが男は偽名を名乗り、出迎えにも別人を使いに出していたため、母親は知らずに同じ危険な男に預けていたのだ。
    しかも使いの男は以前に子供を預けたことがあり、問題のなかった人物だったため、安心していたという。
     母親は報道陣の取材に対して「子どもに申しわけない。助けられずに『ごめんね』としかいえないです」と涙を流したという。
     ベビーシッターを利用した理由については、「 経済的な事情で仕事に出る時もあった。お金のこともあって、すぐに預けられる場所がなかった 」と説明している。
     逮捕された男は、「きのうの昼ごろに自分が薬を飲んで寝てしまい、きょうの朝、目が覚めたら死んでしまっていた」と話している。
     男は地元の中学を卒業後、調理師の専門学校に進学、卒業後は調理や運送関係の仕事を転々としたがいずれも長続きせず、昨年11月頃からこのマンションでベビーシッターを始めていた。
      この男はネットの仲介サイトには5つ以上の偽名を使い分け、ウソだらけの経歴を登録していた。
      他にも子供が顔を腫らし、傷を作って戻って来たというケースがあったとか、1~2時間連絡がとれないこともザラだったとか、以前から相当に問題がある人物だったようだ。
     
      ベビーシッターは、国家資格である保育士資格も行政への届け出も必要なく、誰でも開業できる。 そのためにベビーシッターをインターネットで始める事業者も多く、その実態は国も自治体もほとんど把握していない。
     また、 もともとベビーシッターは子供の自宅へ訪問するのが基本 で、外で預かるのは本来のベビーシッターとは「別物」なのだが、法定資格ではないので、これでも「ベビーシッター」を名乗れてしまう。
     この事件について、19日の日本テレビ系『スッキリ!!』で、コメンテーターのタレントで一児の母である大沢あかねは、こんな発言をした。
    「 私は見ず知らずの人に、その人の自宅で預かってもらうっていうことはまず理解できません。(自分が)ベビーシッターさんに預ける時は、必ず信頼できる人の紹介だったり、そのベビーシッターさんに家に来てもらって、5~6回は必ず私も含めてシッティングしてもらうって形でやってます。
     今回2歳と8か月のお子さんを見ず知らずの…2歳と8か月だったら自分の思いも言葉にできない年齢じゃないですか。それを見ず知らずの人に、しかもその人の家で預かってもらうっていうことはやっぱり理解できません 」
     するとネットでは、こんな非難が殺到したという。
    「あなたがちゃんとした人に預けてるのは、お金があるからだよ」
    「5~6回も自分も一緒にシッティングとかそんな余裕のある母はそうはいないぞ」
    「一般人は芸能人みたいに金持ちじゃないんだから預けるしかない場合もある」
    「あなたのようにちゃんとした配偶者もいて、大金持ちでいくらでも預ける相手を選べる人はそうでしょうよ。どうして持たざる者の視点で考えられないのか」
     他にも、この事件で母親側の落ち度を指摘したら、たちまち炎上という事態が相次いでいるらしい。
     わしも、「ゴー宣道場」ブログ17日付で以下のように書いた。
      信頼を担保するものが何もないベビーシッターをネットで見つけて、我が子を預ける母親がいるとは驚きだ。
     馬鹿と言うしかない。
     誘拐犯だったらどうするのだ?
     変質者だったらどうするのだ?
     あまりにも無責任だ。
     ネットの中の他人を信用してはいけない。
     ネットで知り合って、たとえ和気あいあいと話すようになっても、やはり他人だ。
     実は変質者かもしれない。
     実は殺人鬼かもしれない。
     ネットの中の他人との絆なんか信じてはならない。
     ネットのせいで知人と他人の区別がつかなくなっている。
     まったく恐ろしいことだ。
     大沢あかねより過激だから、文句が来るはずだ。ブログやライジングの読者を始め、ゴー宣道場門弟からも反論があった。
      いずれも、働かなくては子供を育てられないシングルマザー、それも若くて収入も少ない母親には、ネット以外の手段がないというものだった。
     子育て経験のある女性からは、幼い子供はよく突然熱を出すし、発熱した子供は保育所では預かってくれず、助けてくれる身内も近くにいないとなると、本当に途方に暮れるので、ベビーシッターに頼りたくなる気持ちはよくわかるという意見が届いていた。
     ネットで見つけるのがダメなら代替案を出せという意見もあった。
      この人たちはネットがなかったら、どうしていたのだろう?
      子供も含む自分の人生はネットと一蓮托生だと決めているのだろうか?