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「Apple社、『ナパーム弾の少女』を児童ポルノ判定」小林よしのりライジング Vol.257

第67回「Apple社、『ナパーム弾の少女』を児童ポルノ判定」  AIが暴走したというフェイクニュースをきっかけに、仮想世界のなかに企業が作り出した欲望のシステム、それによる価値の崩壊と平板化、感受性の劣化へと引きずられそうになってゆく現実を書いてきた。  で、このまま無関心・無自覚のままでいると、一企業が設けた「わが社の規定」によって画一的な情報統制がなされてしまうよ、そう、Facebook社が「ナパーム弾の少女」を機械的に児童ポルノ判定して削除したようにね。 ・・・という記事を書いたら、その記事中の「ナパーム弾の少女」が児童ポルノ判定されて、削除させられてしまった!    まじか。 ■経緯  経緯を改めて書いておく。  1月30日に配信した記事について、翌31日までに、 Apple社 からニコニコチャンネルを運営するドワンゴ社に対して、「ナパーム弾の少女」が児童ポルノに当たるとして、削除依頼があった。  どうしてAppleから? 青天の霹靂すぎて驚いたが、ニコニコチャンネルにスマホから簡単にアクセスできる機能として、「ニコニコチャンネルアプリ」というものが配信されており、ライジングをスマホの専用アプリで簡単に見られるような仕組みがあったらしい……。  そして このスマホアプリが、Apple社の配信基準に合わせて運用されているため、ドワンゴを飛び越えて、Appleの規約に触れた ということだった。  ドワンゴにとっては、Appleと契約の上でスマホアプリのサービスを利用しているわけで、Appleをコントロールすることは不可能。ドワンゴのチャンネル担当者は、記事を読んでくれていて、 「記事の意図からも、該当画像が児童ポルノ画像には当たらないと考えている」 とのことで、なにか他に対応策はないか検討してくれたようだが、不本意ながら、現状では削除するしか方法がないということだった。 ■Appleは人道に反しすぎている  しかし、どこの誰が、あの写真を見てポルノだと思うのか。いるとしたら、相当特殊に病んでいる人間で、そのような特殊なごく一部の人間のために、紋切り型のルールを全世界に適用し、歴史的に重要な報道写真まで排除するなんて、Appleは異常すぎる。   だいたい、 ナパーム弾はアメリカが開発したもの だろう。あの写真だって、南ベトナム軍(=アメリカが加担した側)の空爆による実態を示しているのだ。広島・長崎の原子爆弾によって、身ぐるみを吹き飛ばされてしまった少女の写真があったとして、それを掲載したらアメリカの会社からポルノ呼ばわりされ、一方的に削除されるようなもの。人道に反するのもいい加減にしてもらいたい。  それに、あの写真に写っている少女、キム・フック氏は生存しており、大人になって、現在も反戦活動家として各国で講演を行っている。背中一面に壮絶なケロイド状の火傷の痕のあるキム・フック氏が、生まれたばかりの我が子を抱きしめる写真もかなり印象的だ。来日したこともあり、日本の大学などで講演会も行っている。 もちろん、あの写真をみずから説明しながら。   キム・フック氏は、自伝も出版しており、 自伝の表紙にも、あの写真が使われている。  しかも、少女時代の逃げ惑う自身の姿の部分をあえて明るく加工し、スポットライトを当てたようなデザインになっている。自身の存在意義を示す写真でもあるだろう。だが、その本の書影をここに掲載したら、またAppleから削除依頼が来るのかもしれない。 「The Girl in the Picture: The Story of Kim Phuc, the Photograph, and the Vietnam War」という洋書だ。戦争で過酷な体験をした生き証人である女性の自伝が、児童ポルノ扱いされるなんて、本当に腸の煮えくり返るデタラメな世界だ。 ■たどりつかない…  こういうことを、直接Appleに言って、見解を聞こうと思ったのだが、まず、どこに連絡したらいいのかがわからない。

「Apple社、『ナパーム弾の少女』を児童ポルノ判定」小林よしのりライジング Vol.257
小林よしのりライジング

常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!

著者イメージ

小林よしのり(漫画家)

昭和28年福岡生まれ。昭和51年ギャグ漫画家としてデビュー。代表作に『東大一直線』『おぼっちゃまくん』など多数。『ゴーマニズム宣言』では『戦争論』『天皇論』『コロナ論』等で話題を巻き起こし、日本人の常識を問い続ける。言論イベント「ゴー宣道場」主宰。現在は「週刊SPA!」で『ゴーマニズム宣言』連載、「FLASH」で『よしりん辻説法』を月1連載。他に「週刊エコノミスト」で巻頭言【闘論席】を月1担当。

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