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記事 9件
  • 「関東大震災犠牲者慰霊法要レポート」小林よしのりライジング Vol.328

    2019-09-03 17:50  
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     9月1日、関東大震災の犠牲者を追悼する大法要が東京都墨田区の都立横網町公園にある東京都慰霊堂で営まれた。取材に赴いたのだが、日曜日でもあり、かなりの人が集まっており、公園に入ってからなかなか中心部にたどり着けないほどだった。新聞発表では約700人が集まったという。
     東京都慰霊堂での大法要は、都慰霊協会が主催するものだ。昨年まで出席されていた秋篠宮ご夫妻に代わり、次女の佳子さまが初めて参列された。また、この大法要とは別に、公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑の前では、日朝協会東京都連合会による朝鮮人犠牲者追悼式も開催された。
     
     この追悼碑の隣には、 「一九二三年九月発生した関東大震災の混乱のなかで、あやまった策動と流言蜚語のため六千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われました」 という文章からはじまる石板が立てられている。
     大震災直後に 「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が火をつけて歩いている」 などのデマが発生し、あちこちで結成された自警団によって、“朝鮮人狩り”が行われたという出来事だ。
     平成20年3月現在、政府が公表している専門調査会報告書によれば、 「武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えたあげくに殺害するという虐殺という表現が妥当する例が多かった」「加害者の形態は官憲によるものから官憲が保護している被害者を官憲の抵抗を排除して民間人が殺害したものまで多様である」「殺傷事件による犠牲者の正確な数は掴めないが、震災による死者数の1~数パーセント(1,000人から5~6,000人)」 (1923 関東大震災【第2編】第4章 第2節「殺傷事件の発生」より)とされている。
     したがって、この政府報告書に従うならば、石板に書かれた「六千余名」は、正確な人数かどうかはわからないが、推定される最大の犠牲者数ということになる。
     朝鮮人犠牲者の追悼式典には、2016年まで、東京都知事が毎年追悼文を寄せていたが、2017年に小池百合子都知事が取り止めて、そのまま今年まで3年連続で見送られた。この件がもとで左派が反発を強めており、また、式典当日に同じ場所で「朝鮮人虐殺はなかった」と訴える右派の集会も行われるという情報があったため、気になって現場へ向かったのだ。
    ●「朝鮮人虐殺はなかった」の団体演説
     現場では、追悼碑を囲んで慰霊式典を行っているその周辺に、式典を支援する左派の団体がおり、フェンスと大量に配備された警察官を挟んで、右派の団体がテントを張って集会を行っていた。
     右派側は 「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」「六千人虐殺の濡れ衣を晴らそう」 という看板を掲げており、何人かがマイクの前に立ち、式典にぶつけるような形で 「朝鮮人虐殺はなかった」「慰安婦の強制連行もなかった。徴用工問題も見てみろ」「関東大震災の時は、朝鮮左翼による横暴、計画されていたテロがあり、それに対処するための自警行為はあった。しかし、虐殺はなかった」「6000人も虐殺したという証拠を出せ」 という演説を繰り返していた。また、左派の団体を名指しして 「なんの縁もゆかりもない過去の朝鮮人に肩入れしている」 と揶揄する演説者もいた。
     名指しされた側としては、式典を妨害されたことにもなり、相当な怒りに満ちており、フェンス越しに警官の制止を受けながら怒鳴り声を挙げたり、スマホやビデオカメラで撮影するなどかなりピリピリした様子だった。
     怒りの矛先は警官にも向いており、 「なんで東京都は差別主義者を守るんだ」 という話し声が聞こえた。警察官の配備が、追悼文を取りやめた小池都知事と結びつくようだ。あとで知ったが、小競り合いがあり、左派側に逮捕者も出たという。
    ●「軍国主義が行った残虐行為」を訴えるパネル展示
  • 「対韓輸出管理の反応に見るリベラルと保守の違い」小林よしのりライジング Vol.323

    2019-07-23 19:20  
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     政府は韓国向け半導体材料などの輸出規制を強化した。
     世論調査ではこれに対して 「支持する」という回答が70.7% 、 「韓国は信用できる国だと思うか」という問いにも「思わない」が74.7% にも上っている(7月14、15日 産経新聞・FNN合同世論調査)。
     わしは、これでいいと思う。
     今回の 対韓輸出規制強化 が「徴用工問題」への対抗措置なのかどうかについては、判然としていない。
     日本政府は「対抗措置ではない」とは主張しているが、その背景には徴用工問題があることを認めており、 韓国が国際法上の国と国の約束を守らないため「信頼関係が著しく損なわれ」、それにより「安保上の懸念」が生じている と説明している。
     わしはこれは正しいと思う。
     そもそも今回規制対象となった フッ化水素 などは化学兵器の生産などに軍事転用できるもので、もともと輸出規制して当然のところを、今までは信頼関係があるからということで、ほぼフリーに輸出していたのだ。その信頼関係がここまで破壊されたのだから、規制は強化して当然である。
     自民党からは「 (過去輸出した分の)行き先が分からないような事案が見つかっているわけだからこうしたことに対して措置を取るのは当然だと思う 」(萩生田光一幹事長代行)、「 今までウラン濃縮素材(フッ化水素)について韓国企業が“100欲しい”と言ったら100渡していた。しかし工業製品に使うのは70ぐらいで残りを何に使うか韓国は返答しなかった 」(小野寺五典元防衛相)といった発言があり、もっとはっきり「 北朝鮮に横流しされている 」とする報道も一部には出ていた。
      もしかしたら、政府は公式には言わないが、輸出した半導体材料がどのように流れているかの情報を秘密裡に抑えているのかもしれないし、もしそうであれば、この措置は正しいと言うしかない。
     韓国は今回の規制強化を報復と思ってギャーギャー怒っているし、日本のネトウヨなどもこれを報復だと思って、ワーワー拍手喝采している。
      わしは基本的にはこれを報復とは思っていないのだが、もし仮に報復だったとしても、もうそれでいいんじゃないかと思っている。
      ところがリベラル系の者は、こぞって輸出規制強化に反対を唱えている。
     例えば朝日新聞は3日の社説で「確かに徴用工問題での韓国政府の対応には問題がある」としながらも、 「日韓両政府は頭を冷やす時だ。外交当局の高官協議で打開の模索を急ぐべきである」 と書いている。
     東京新聞も3日の社説で 「対話の糸口を見つけ、早期収拾を図るべきだ」「確かに日韓関係は厳しい。損なわれた信頼関係を修復する努力をそれでも怠り、感情的な争いになれば、お互いが不幸な被害を受ける結末になってしまう」 と主張している。
     朝日も東京も、冷静になって話し合えと唱えているのだ。
     ここがリベラルと保守の違いなのである。
     リベラルは相手を信頼する。
     そして リベラルは、国民性の違いというものを認めない。
     人類みな兄弟、あの国の人もこの国の人も同じ人間同士。だから感情的にならず、冷静になって話せばわかると思うのだ。
      だが保守の感覚では、それぞれの国にはそれぞれの国民性があり、価値観の相違があり、これは話し合っても決して乗り越えられないと諦観しているのである。
     韓国については、もはや「反日」が国民性になってしまっていて、これを説得して変えるなんてことはできないと保守は考えるのだ。
     西郷隆盛の時代ならば、一か八かの話し合いが功を奏す可能性はあったが、それができずに、その後は日本政府が砲艦外交をやったために、両国の信頼性は失われ、朝鮮半島に「恨」が蓄積するのみになった。
     リベラルは、世界の誰とでも「話せばわかる」というが、それならば、リベラル知識人がまず話してわからせて韓国の反日をやめさせてほしい。
     だがそれは現実には絶対不可能だ。 韓国人が自分たちのアイデンティティーを保つための核が「反日」になっていて、反日をやめたら韓国は崩壊してしまう。
  • 「やっぱり慰安婦問題は終わらなかった」小林よしのりライジング Vol.322

    2019-07-16 18:40  
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     韓国に 「和解・癒し財団」 というものがあったのだが、これが登記上、正式に解散されたことがわかった。
     これでまたひとつ、安倍晋三の外交大失敗が確定した。
     財団は、慰安婦問題を 「最終的かつ不可逆的に解決」 するとして、 2015年12月28日の日韓外相会談で交わされた 「日韓合意」 に基づき、韓国政府が設立していた。
      これは日韓合意の中核となる事業であり、日本政府が国民の税金から拠出した10億円を財源に、元慰安婦には1億ウォン(約1000万円)、遺族には2000万ウォン(約200万円)の支給金の支払いなどを行っていた。
      事業の対象になったのは元慰安婦47人と遺族199人で、そのうち元慰安婦36人と遺族71人が受給を希望したという。
     ところが2017年、朴槿恵(パク・クネ)政権が倒れて文在寅(ムン・ジェイン)政権に代わると、韓国政府は 「合意には法的拘束力がない」 と言い出して日韓合意の検証作業を行い、その後、文在寅は 「政府間の約束であれ、大統領として、この合意で慰安婦問題が解決できないことを明確にする」 と表明した。
      政府間の約束でも、大統領の一存で無効にすると平気で公言するのだからデタラメにも程があるが、それが韓国というものである。
      そして昨年11月、韓国政府は一方的に財団の解散と事業終了の方針を発表し、日本政府の同意なしに手続きを進めた。 その手続きが終了して財団は正式に解散したわけだが、その際にも日本政府への通知はなされなかったという。
     これは韓国側による日韓合意の一方的破棄であり、仰々しく謳い上げた 「最終的かつ不可逆的解決」 は、たった4年も持たずに完全破綻したのだ。
     そもそも韓国は財団設立当初から「裏切り行為」を行っていたそうで、その経緯を「文春オンライン」が記事にしている。書いたのは、山尾志桜里と倉持麟太郎を追い回し、わしに対して「我々はとんでもない証拠を持っている」と見え見えのブラフをかけた赤石晋一郎だ。なんだ、マトモな記事も書けるのか。
     記事によれば、 日韓協議では両国政府が10億円ずつ拠出して「未来志向財団」のようなものを作り、慰安婦問題だけではなく、若者の留学支援など、よりよい日韓関係を築くためのバックアップを行うというプランだったそうだ。
     ところが韓国政府は10億円拠出を立ち消えにさせ、慰安婦問題のみを扱う財団を設立。当然日本政府側は「話が違う」となったが、安倍首相の目的は慰安婦問題に決着をつけ、その様子を米国始め国際社会に証人として見てもらうことにあったので、「それくらいは許容しよう」という判断になったという。
     そして財団による支給金の給付が始まると、韓国の反日団体・ 挺対協 (韓国挺身隊問題対策協議会、現在は 「日本軍性奴隷制問題解決の為の正義記憶連帯」 という、ものすごい名前になっているらしい)などによる妨害工作が始まった。
     村山政権下で発足し、元慰安婦に「償い金」を支給した「アジア女性基金」の時と同様、挺対協らは元慰安婦に 「日本の汚いお金を受け取るな」 と圧力をかけた。 「待てば倍のお金が出るから、財団のお金は受け取らないように」 と言われた元慰安婦もいた。もちろん、その後「倍のお金」など出なかった。
      元慰安婦の7割以上が支給金受け取りを希望し、中には日本国民に感謝の言葉を述べた人もいたのに、そういう事実は一切無視された。
     財団の韓国人スタッフは反対派の脅迫や嫌がらせを何回も受けた。理事長は催涙スプレーをかけられ、脅迫が家族にまで及んで辞任、ショックで外出できなくなったという。
     そして、支給金を申請した人のうち元慰安婦2人と遺族13人にはまだ支払いが済んでいなかったにもかかわらず、財団は強引に解散させられ、未払いの人たちが支給を受けられるかどうかは不明だという。
      毎度のことだが、韓国の「慰安婦支援団体」は実際には「反日」だけが目的で、問題の解決など一切望んでいない。 元慰安婦は反日の道具として利用するものとしか思っておらず、元慰安婦本人のことなど、本当はどうでもいいのだ。
  • 「『大東亜論』からイラン危機まで」小林よしのりライジング Vol.316

    2019-05-28 19:55  
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    『大東亜論 最終章 朝鮮半島動乱す!』 (以下『最終章』)が、本日発売となった。
     シリーズ4冊目、ブックデザインは同じシリーズとは思えないくらい毎回変わったが、最後にしてこれが一番決まったように思う。
     中味も、こんなに濃厚で熱量のある漫画って今どきあるだろうかと、我ながら呆れる程の出来上がりになっている。

     
     物語はいよいよ日本を離れ、アジアを駆け巡った内田良平ら若き志士たちの血沸き肉躍る冒険活劇に突入しようというところだったのだが、掲載誌「SAPIO」の事情により未完の最終巻となってしまったのは、実に残念である。
     連載が続いていれば、描きたいことはまだまだあった。
    『最終章』のあとがきにも書いたが、もともとの構想では日清戦争の講和の際に、日本が対シナ政策で決定的に誤った道を歩んでしまったことを描き、そしてそれを全力で止めようとして果たせなかった荒尾精の苦悩とその死を描いて「第四章」を閉じる予定だった。
     そして続く「第五章」で、最初の大きな物語として描きたかったのが、 「閔妃暗殺」 だ。
      明治28年(1895)10月8日未明、李氏朝鮮の王妃・閔妃が暗殺された。
     暗殺の首謀者は、頭山満の盟友だった朝鮮公使・ 三浦悟楼 。実行グループの中には、来島恒喜の最期を見届けた玄洋社員・ 月成光 もいた。
     閔妃暗殺事件に関しては、自虐史観には賛成しないという人にも、これだけは弁護できないという意見が多い。
     だが、『最終章』の中でも伏線的に描いているように、閔妃こそが東アジアの動乱の元凶だったのである。
      朝鮮の王朝を、日本の皇室と重ねて考えてはいけない。朝鮮王朝には全く「公」がなかった。それは、現在の北朝鮮の「金王朝」を見ればわかる。
      当時の王朝もあれと同じで、全くの独裁によって富を一族で独占し、民衆はひたすら搾取され、塗炭の苦しみにあえいでいたのだ。
     だからこそ、王朝打倒を目指して 「東学党の乱」 も起きたわけで、皇室が人民を搾取したこともなく、皇室打倒を目指す民衆の武装蜂起も起こったことがない日本とは全く違うということは、常識にしておかなければならない。
      腐敗しきった朝鮮の王朝を糾すには、クーデターを起こすしかない。そのために 金玉均 も 「甲申事変」 を起こした わけだが、これは閔妃らを立てたまま、腐敗した政府要人だけを排除して改革しようとしたために、閔妃の裏切りに遭って失敗してしまった。
      閔妃は金玉均殺害を切望し続け、そして金玉均は8年間の亡命生活の末、暗殺者の手にかかって命を落とした。
     その後、閔妃一族の横暴はいよいよ甚だしくなり、これを憂慮した朝鮮人の有志たちが閔妃暗殺計画を立てた。そしてこれに、 朝鮮人だけではとても実行は難しいと見て、日本人が加わったのである。
      もし現在、北朝鮮人民が金正恩暗殺計画を立て、他の国の人間が協力して実行したら、これをそんなに非難できるだろうか? それと同じことである。
     現在の韓国では閔妃を「明成皇后」という諡(おくりな)で呼び、「国殉后」(国に殉じた皇后)として「国母」の扱いをしており、 しかも暗殺者に朝鮮人がいたことは完全に隠して、日本人の悪行として教えている。 毎度おなじみ、韓国の歴史捏造である。
     一方、当時は日本にとっても閔妃を生かしておくことは、直接自らの危機になるという認識があった。
      日本は朝鮮を清の支配から切り離すために日清戦争を行ったのだが、閔妃は露・独・仏の三国干渉に屈した日本を侮り、ロシアに迎合するようになってしまった。 そして、このままでは日清戦争の成果が無になるどころか、朝鮮半島がロシアのものになり、さらに日本までがロシアの危機にさらされるという状況になってしまった。
     そこで閔妃一人を犠牲にすれば、日本とロシアが戦争になることを防げるという判断があったのである。
      ただしこれは完全に裏目に出て、閔妃の死により朝鮮はロシア迎合の姿勢を一層強めてしまい、結局は日露戦争に至ってしまったのだが。
     さて、それでは日本は、いつどうすれば朝鮮と良好な関係を築けたのだろうか?
  • 「徴用工問題、個人請求権について」小林よしのりライジング Vol.292

    2018-11-20 21:30  
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     戦時中、日本に動員された元徴用工とされる韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟で、韓国の大法院(最高裁)において1人あたり約1千万円を支払うよう命じた判決が確定した。
     安倍首相は 「1965年の日韓請求権・経済協力協定によって完全かつ最終的に解決している」「判決は国際法に照らしてありえない判断だ」 と、珍しく真っ当なコメントをした。
     また、原告となった元工員4人についても 「政府としては『徴用工』という表現ではなく、『旧朝鮮半島出身の労働者』と言っている。4人はいずれも『募集』に応じたものだ」 と指摘した。
     この判決に対する反応で、わしが特に注目していたのは朝日新聞の社説である。これまでの所業からすれば、こんなデタラメな判決にでも理解を示すようなことを書きかねないと思ったのだ。
     ところが判決翌日・10月31日の社説では、冒頭から
     植民地支配の過去を抱えながらも、日本と韓国は経済協力を含め多くの友好を育んできた。だが、そんな関係の根幹を揺るがしかねない判決を、韓国大法院(最高裁)が出した。
     と、一方的に判決を批判する論調となっていた。
     朝日社説は 「日本政府や企業側は、1965年の国交正常化に伴う請求権協定で元徴用工への補償問題は解決済みとし、日本の司法判断もその考えを踏襲してきた」 とした上で、 「政府が協定をめぐる見解を維持するのは当然」 と主張する。
     もっとも、その後に 「としても、多くの人々に暴力的な動員や過酷な労働を強いた史実を認めることに及び腰であってはならない」 と付け加えているところがいかにも朝日的なのだが、それでも明らかに日本政府の方を支持しているのだ。
     その上、さらに朝日社説はこう書いている。
     原告側は、賠償に応じなければ資産の差し押さえを検討するという。一方の日本政府は、協定に基づいて韓国政府が補償などの手当てをしない場合、国際司法裁判所への提訴を含む対抗策も辞さない構えだ。
     そんなことになれば政府間の関係悪化にとどまらず、今日まで築き上げてきた隣国関係が台無しになりかねない。韓国政府は、事態の悪化を食い止めるよう適切な行動をとるべきだ。
      朝日は韓国政府にのみ「適切な行動」を求めている。かつての朝日を考えれば、隔世の感を覚える。
     11月11日に開催されたゴー宣道場「『戦争論』以後の日本と憲法9条」終了後の控室トーク『語らいタイム』では高森明勅氏が、 この朝日の論調が『戦争論』によって日本が変わった実例であり、20年前だったらこうは書かなかったはずだと指摘した。
     道場では、『戦争論』出版から20年経っても、日本の現状はちっとも変わらないという面ばかり強調されてしまったが、やはり目に見えて変わっているところもあるようだ。
     だがそれでも往生際悪く、1965年の国交正常化の際の日韓基本条約・請求権協定で「完全かつ最終的に解決」したといっても、 「個人請求権」は存在していると言っている者もいる。
     衆院外務委員会で共産党の穀田恵二が、日本政府も個人請求権の存在を認めて来たのではないかと質問、これに河野太郎外相が 「個人請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」 と答弁したら、それを韓国・ハンギョレ新聞が鬼の首でも取ったかのように書いていた。
      だが、個人請求権は消滅していないというのは以前からの政府見解で、別に「不都合な真実」ではない。
      請求権協定によって、日本は韓国に「経済協力金」の名目で、無償で3億ドル、有償で2億ドル、民間借款で3億ドル、合計8億ドルを支払っている。当時の韓国の国家予算の2.3倍、今の貨幣価値では1兆800億円 に相当する額である。そして、この経済協力金には個人に対する補償も含まれている。
     韓国政府は個人に対する補償金も一括して日本から受け取り、それを国内で分配するとしていた。 ところが韓国政府はその経済協力金を産業育成に投じ、個人への補償に十分回さなかったために不満が沸いていたのだ。
      つまり、個人請求権は消滅していないが、その請求先は日本政府ではなく、韓国政府なのである。
     しかも、経済協力金に個人への補償が含まれていることは、かつて韓国政府も認めており、 さらに現大統領の文在寅はその政府見解のとりまとめに深く関わった張本人なのである。
  • 「旭日旗は堂々と掲げるべし」小林よしのりライジング Vol.289

    2018-10-16 18:25  
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    「幼稚な奴には、幼稚だと言ってやれ!」
     結論を言えば、これだけで終わってしまう。
     今月11日、韓国が主催して済州島で行われた国際観艦式で、韓国側が日本の海上自衛隊護衛艦の「旭日旗」掲揚を自粛するよう求めてきたため、日本側はこれを拒否し、参加を取りやめた。
      護衛艦が旭日旗を掲げることは、自衛隊法で義務付けられている。
     しかも国際法上、旭日旗は「軍艦旗」の位置づけである。
      国連海洋法条約では、軍艦は艦首に国旗を、艦尾には民間船舶と区別するために、国旗と異なる「軍艦旗」を掲揚しなければならない。
    (アメリカには軍艦旗がなく、艦首に軍の「国籍旗」、艦尾に国旗である星条旗を掲げているが、これは例外的なケース)
     軍艦旗は国旗と同様に、国の主権の象徴として最上級の敬意が払われるものとされている。
     それを降ろせというのだから、これほど無礼で非常識な話はない。
      日本は帝国海軍、海自とも一貫して旭日旗を軍艦旗としており、国際社会で受け入れられている。
     かつての敵国だったアメリカ、イギリスやフランスでもこれを尊重しているし、韓国が過去2回主催した観艦式でも、護衛艦は旭日旗を掲げて参加している。
     ところが最近になって南北朝鮮は旭日旗を「戦犯旗」と呼び出し、何かに旭日旗に似たデザインが使われていると、徹底的にバッシングするようになった。
      海自の旭日旗にまで反対運動が起きたのは今回が初めてで、要は文在寅政権になって対日強硬派の発言力が増してから始まった、ごく最近の動きなのである。
     観艦式の開催前、韓国の鄭景斗国防相は国会で、旭日旗の掲揚に関しては「国際慣例に従うほかない」と言っていた。
     韓国人でも、世界共通の常識をわきまえている人ならば、本当は日本が正しく、韓国の世論と政府の要請が桁外れの非常識であることはわかっている。
     もしかしたら、今回の件で一番恥ずかしい思いをしたのは、韓国海軍の軍人かもしれない。
     韓国は、ただ自国のコンプレックスが刺激されるからという、あまりにも単純かつ身勝手な理由で、日本は軍艦旗を揚げるなと国際的ルールも無視して嫌がらせをしてきたのだ。
     しかも韓国は、日本にだけ嫌がらせをしたとは思われたくないものだから、他の国の参加艦に対しても軍艦旗を掲げず、自国国旗と韓国国旗のみを掲げるように要請していた。
      各国艦艇の多くはそんなわけのわからない要請など聞くはずもなく、国際常識に従って軍艦旗を掲げたまま参加したが、これに対して韓国が抗議したという話は聞かない。
      そしてこの観艦式で韓国は、文在寅大統領が乗艦する駆逐艦のメインマストに、豊臣秀吉軍を破ったとして「抗日の英雄」とされる李舜臣将軍の旗を掲げた。 他国には国旗以外掲揚するなと言っておいて、自分は平気で国旗でも何でもない旗を掲げたのだ。 全ては、日本に対する嫌がらせだけのために。
  • 「安倍晋三は『河野談話』を保守する!」小林よしのりライジング号外

    2014-09-16 12:20  
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     安倍晋三首相が14日のNHKの番組で、「(朝日新聞は) 世界に向かってしっかりと取り消すことが求められている。朝日新聞自体が、もっと努力していただく必要がある 」と述べ、海外も含め周知に努めるよう求めたという。
     頭の悪い人だ。朝日新聞が「慰安婦は人さらいのような方法で集めたのではありません」と英語で発信すれば、「性奴隷」という世界の認識が変えられるとまだ思っている!
     朝日新聞が英語や諸外国の言葉で「 詐話師・吉田清治の証言記事の撤回と、挺身隊と慰安婦の混同の誤り 」を説明することに、わしは反対しないが、残念ながらそれを実行しても、海外ではもう無意味なのだ。
    「強制連行」の話など、国際社会ではどうでもいいことであり、 軍が管理売春に手を貸したこと自体が 「性奴隷」 と認識されているのが実態である。
      慰安婦という女性の人権侵害が、軍隊と結びついているだけで、世界の女性は嫌悪感を持つのだから、「他の国もやっていた」などと抗弁したってさらなる反発を招くだけ。
     日本社会が男尊女卑だと世界にPRするようなものだ。
     外務省はそのことがわかっているはずであり、内閣に進言しているはずだから、 安倍首相自身が「河野談話」を見直したり、破棄したりすることはないのである。
     安倍首相が未だにわかってなくて、コアな支持層に押されて、「新たな談話」を発表したりすれば、わしは面白いと思う。国際社会を敵に回したことが明白になるからだ。
     特にアメリカの反応が見てみたい。靖国参拝の直後のように、「失望した」では済まないだろう。
     産経新聞の「産経抄」が河野談話の「 見直しは、喫緊の課題なのに、河野氏の国会招致さえ自民党が消極的なのは、解せない 」と書いている。
    「 二階俊博総務会長は『議長経験者を国会に軽々と呼び出せば、新たな問題が発生する』とわけのわからぬことを言う 」などとイラついている。
     産経の記者は、未だにわけがわかっていないのだろう。相当に頭が悪い。親米ポチのくせにアメリカの人権感覚がわからないのだから笑止だ。
     一方で安倍政権は、
  • 「不都合な真実『慰安婦問題』真の敵はどこか?」小林よしのりライジング号外

    2014-08-12 14:10  
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     朝日新聞は8月5日・6日の2日にわたり、「 慰安婦問題を考える 」と題して見開き2面全面を使った大特集記事を掲載した。
     特に5日の記事では 『 慰安婦問題どう伝えたか 読者の疑問に答えます 』と題して、朝日新聞が今まで報じてきた慰安婦問題記事を検証している。
     慰安婦を「奴隷狩り」のように強制連行したという 吉田清治 の証言を少なくとも16回記事にしたことについては「 虚偽だと判断し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした 」と全面撤回。
     慰安婦が「 女子挺身隊 」の名で戦場に動員されたという表現については、女子挺身隊は「 慰安婦とはまったく別 」であり「 誤用 」だったと認めた。
     最初に吉田証言を記事にしてから32年も経過した今になって、ようやく訂正記事を出したわけだが、その理由については同日1面の「 慰安婦問題の本質 直視を 」と題した記事で編集担当記者が「 一部の論壇やネット上には、『慰安婦問題は朝日新聞の捏造だ』といういわれなき批判が起き 」「読者の皆様からは『本当か』『なぜ反論しない』と問い合わせが寄せられるようになり」「読者への説明責任を果たすことが、未来に向けた新たな議論を始める一歩となると考えるから」と説明している。
     要するに、自称保守論壇やネット右翼が騒いでいるだけならまだしも、朝日の読者からまで疑問の声が上るようになってしまったために、ついに放置しておくことができなくなったというわけだ。
     検証記事は「当時は研究が進んでいなかったからやむを得なかった」「当時は他紙も似たような報道をしていた」という弁解を繰り返しており、往生際の悪い態度が目立つものの、相当の手間暇をかけて紙面を割いて自己検証したことについては、よくやったなあと感心したので、一応評価しておく。
      ただし朝日は「慰安婦問題の本質 直視を」と言っておきながら、最も重要な本質から目をそむけている。
      そもそも日韓間の戦前・戦中に関する補償問題は昭和40年(1965)の「日韓基本条約」において「完全かつ最終的に」解決していたのだ。
      ところが朝日新聞が「完全かつ最終的に」解決していた外交問題を蒸し返し、火をつけ、未だ消火のできない大火事にしてしまった。 それが慰安婦問題の本質であり、その罪は極めて重いという以外にないのだ。
      しかも日韓基本条約の交渉は14年間にも及び、その間ありとあらゆる問題が検討されたにもかかわらず、慰安婦に関しては韓国側からも一切議題にすら上らなかったという事実は重要である。
     慰安婦はいた。だがそれは「問題」ではなかったのだ。
      朝日新聞が大々的に記事にするまでは、日韓間に「慰安婦問題」などというものは存在しなかった。 「問題」でも何でもなかったものを「問題」に仕立て上げたのだから、 「慰安婦問題は朝日新聞の捏造だ」というのは決して「いわれなき批判」ではないのである。
     自称保守やネット右翼は、朝日新聞が自らの慰安婦問題記事の誤報を認めたことに大喜びしながらも、「明確な謝罪をしていない」だの「問題のすり替えと開き直りだ」だのと、さらに嵩にかかって朝日バッシングを強めている。
     産経新聞は社説やら、朝日の検証記事を検証するとした記事やらで、さらに非難を強めている。
      だが、他紙の誤報をそこまで責めるのなら、産経はイラク戦争開戦前後に「大量破壊兵器の危機」を煽り続け、誤報に次ぐ誤報を流し続けたことについて、いつ検証するのだろうか?  
     新聞が特定の主張をプロパガンダするばかりで、読者の客観的な視点を封じ、検証や謝罪をしないのは普通のことであり、自己検証をやった朝日の一片の誠実を産経に責める資格などない。
     自民党の石破茂幹事長は朝日新聞の報道を国会審議でも検証する必要があるのではないかと発言、与野党からは関係者の国会招致を検討すべきという声も上っている。
      また、安倍晋三首相も朝日の報道が日韓関係に悪影響を与えたと非難しているが、そんなことを言うのなら、さっさと河野談話を破棄すればいいではないか。
     自称保守の者らは河野談話を「見直すべし」と言うが、見直したって意味はない。わしなら完全破棄するべしと言う。
     ところが安倍首相は「 河野談話を継承する 」と言い続けているのだから、朝日新聞の現在の慰安婦問題に対する見解と一緒ではないか。
      米国政府は7月に元慰安婦2名をホワイトハウスと国務省にそれぞれ招いて証言を聞き、9月には外交・安全保障担当者も同席した上で再び元慰安婦と面会する予定だという。
     安倍首相が本気で慰安婦問題に疑問を持っていて、「性奴隷」ではないと信じているのなら、米国政府の元慰安婦との面会に厳重な抗議をするべきである。 キャロライン・ケネディ駐日大使を官邸に呼びつけて、抗議するのが筋ではないか。
      一方、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のピレイ人権高等弁務官も、慰安婦問題の解決を要求し、日本政府の態度を真っ向から批判している。
     これにも安倍首相はまったく抗議しない。
  • 「元米軍慰安婦の韓国政府提訴は希望になるか?」小林よしのりライジング Vol.92

    2014-07-08 20:00  
    150pt
     韓国で元「 米軍慰安婦 」が韓国政府を提訴した。
      朝鮮戦争の休戦後、在韓米軍基地近くには「基地村」と呼ばれる売春街が60カ所以上存在し、1万人前後の「基地村女性」と呼ばれる慰安婦がいた。
     韓国政府は当時、在韓米軍維持などのために売春を奨励し、慰安婦たちを「 ドルを稼ぐ愛国者 」として何度も称えたという。
     韓国ではこの問題は国会でもたびたび取り上げられ、政府も施設の存在を認めていたが、「旧日本軍の慰安婦」ほど注目されてはいなかった。
      ところが今回122人の元慰安婦が、韓国政府の厳しい管理下で強制連行、強制売春させられ、人権を侵害されたなどとして、1人当たり1千万ウォン(約100万円)の国家賠償と謝罪を求める集団訴訟をソウル中央地裁に起こしたのである。
     この訴訟を支援しているのが、日本において慰安婦問題が火をつけられた平成2年(1990)以降、延々と日本政府に謝罪と補償を求めてきた反日団体「 韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協) 」である。
      反日一筋四半世紀のこの団体が突然矛先を韓国政府に向けた背景には、同団体と朴槿恵政権の対立がある。
     韓国では、日本企業に対して戦時中の元徴用工への賠償を命じる判決が相次ぎ、先月は三菱重工、住友重機械工業、昭和電工の3社に過去最大規模の賠償訴訟が起こされた。
      だがそもそも、昭和40年(1965)の国交正常化に伴う「日韓請求権協定」において、日本が韓国に5億ドルの経済援助を行なうことで、両国間での賠償は「完全に」かつ「最終的に」解決したと、両政府の間で確認されている。
     ちなみに当時の韓国大統領は現大統領・朴槿恵の父、朴正熙である。
     この協定には当然個人の請求権も含まれていて、 協定締結の交渉過程で日本側が「 元徴用工の名簿を出してもらえれば個別に補償する 」と申し出たところ、韓国側が「 個別の補償は韓国政府が行なう 」と返答した経緯も外交資料に残っている。
     要するに韓国側は「 個人賠償はこちらでやるから、カネはまとめて政府に渡せ 」と求め、日本政府はそれに応じて支払いを済ませたのだ。
      しかし韓国政府はそのカネを個人には渡さず、インフラ整備や経済成長の資金に回した。
     つまり元徴用工に個人補償するならば、韓国政府が行なわなければならないのだ。
     それを今になって日本企業に賠償を求めるなどというのは、国家間の協定を反故にするもので、法理上も国際常識上もありえない話なのである。
     朴槿恵政権も、いくらなんでもこんな無法行為を通用させたら、国際協定を平気で反故にする国として国際的な信用がゼロとなり、大変なことになることぐらいはわかっているようで、韓国政府と国内企業で資金を拠出して(日本政府や企業にも協力を求めるつもりらしいが)財団を設立し、元徴用工や遺族の支援事業を行なうこととした。
      ところが朴政権がこの財団の支援対象に元慰安婦も加え、問題を一気に解決しようとしたために、挺対協が猛反発したのである。
     挺対協は設立以来24年、一貫して元慰安婦に対する日本政府の謝罪と賠償を求めている。
     もちろんそんなことは「日韓請求権協定」がある以上できないことであり、日本政府は代わりに半官半民の「 アジア女性基金 」を設立して「 償い金 」を支給したのだが、 挺対協は何が何でも国家補償でなければ駄目だと猛反発。
    「償い金」の支給を受けた元慰安婦を名指しで非難し、彼女たちが「殺す」などの脅迫にさらされるといった事態まで引き起こした。
      そして今度は韓国政府が元慰安婦に対する日本政府の謝罪と補償を要求せずに、韓国内の半官半民の財団で問題を処理しようとしたため、挺対協は大激怒、朴槿恵政権を攻撃するために「米軍慰安婦」爆弾をぶつけた ……というわけである。
     米軍慰安婦訴訟の訴状には、慰安所が当時の朴正煕大統領の直轄事業だったことを示す署名文書も添付されているという。これは、父の朴元大統領の名声を自らの人気の素としてきた朴槿恵大統領には、大きなダメージとなる可能性がある。
     さらに韓国政府にとって大問題となるのは、 「朝鮮戦争の後遺症」を訴える米軍慰安婦に対して補償を認めてしまったら、朝鮮戦争の戦災を被った多くの国民からの国家賠償請求が相次いでしまう恐れがある ということだ。