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記事 11件
  • 「カジノでなにが起きるのか?」小林よしのりライジング Vol.330

    2019-09-24 21:45  
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     今月20日、神奈川県横浜市議会は「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の誘致準備費用2億6000万円を盛り込んだ補正予算案を成立させた。カジノに反対する横浜市民は多く、パブリックコメントに寄せられたのも9割が反対意見だったというが、一切無視して2020年代開業へと突き進むようだ。
     挙手しているカジノ企業は、主に外資系だ。トランプ大統領のスポンサーでもある米カジノ最大手ラスベガス・サンズは、今年6月の段階では大阪湾・夢洲への進出計画を言及し、「東京と横浜はチャンスなし」などと言っていたが、8月になると一転。大阪への入札を見送って「東京と横浜に注力」と真逆の発表を行った。
     
     参入を狙うライバル企業は多く、牽制球を投げたり、契約を有利に運ぶためのブラフにかけたりしているのかもしれないが、「東京と横浜は、住民理解と行政対応が整わない」と言ってみたり、「大阪はインフラ面が整わない」と言ってみたり、要求も甚だしい。
     おかげで各自治体は、すっかり舶来のカジノ屋にあやつられ、 「なんとかカジノ様にお越しいただきてぇ!」 とばかりに目の色変えて立ち回っているというありさまである。
    ■カジノ企業は最高権力者のスポンサー
     米サンズはトランプ大統領のスポンサーと書いたが、2018年10月11日の朝日新聞デジタルによれば、安倍首相は、2017年2月に訪米してトランプ大統領の別荘でキスアスしていた時に、どうやらサンズへの日本での事業許可を検討しろと要求されていたらしい。
     参入を狙って根回ししているのは外資系だけではない。
     日本でも、セガサミー、ユニバーサルエンターテインメントなど、海外でカジノを展開したり、カジノ向け決済サービスを牛耳っている企業が何社もある。特にパチンコ・パチスロ機メーカーでもあるセガサミーは熱心だ。
     日本でのカジノ解禁をにらんで、2017年に韓国の現地法人と組み、仁川国際空港の近くにカジノを開業。韓国は、日本の4分の1ほどの国土に17か所ものカジノが存在するという“カジノ先進国”でもある。ここに日本人スタッフを送り込み、ノウハウを蓄積しようというらしい。
     日本でのカジノ推進議論は1999年頃からはじまり、2012年の政権交代を経て2013年に突如沸騰、2013年12月に「IR推進法」が提出されてブイブイ風が吹きはじめ、2016年12月の臨時国会で成立。このさなか、絶妙のタイミングで、こんな出来事があった。
     2013年9月、ホテルオークラ東京で開催されたある披露宴である。
      新郎は経産省若手キャリア官僚の鈴木隼人氏、新婦はセガサミー・里見治会長の令嬢。この宴の席には、現職総理である安倍晋三を筆頭に、小泉純一郎、森喜朗など元首相が並び、菅義偉官房長官ほか閣僚が勢ぞろいしたという。
     セガサミー・里見氏は資産1113億円とされる大富豪で、安倍とは第一次政権時代から親しく、下野した際も「物心両面で面倒を見た」と言われる“超極太スポンサー”だ。安倍政権が、披露宴直後の通常国会会期末ギリギリにカジノ実施法案を成立させたのは、トランプ大統領へのキスのほか、日本のギャンブル王へのご祝儀でもあったのではないか? 
     ちなみに、新郎の鈴木隼人氏は、披露宴翌年の衆院選で自民党・東京ブロック比例代表で出馬して当選。名簿順位は25位だったが、その上の24人は小選挙区で立った候補者で、事実上の名簿1位、当確候補だった。
    ■カジノ施設は地場産業から消費を吸い上げる
  • 「朝日新聞を憎み過ぎるエセ保守は韓国に似ている」小林よしのりライジング Vol.261

    2018-03-06 21:50  
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     自称保守論壇誌「月刊Hanada」の朝日新聞バッシングが、トンデモない状態になっている。
     朝日新聞社は昨年末、安倍政権の太鼓持ち・小川榮太郎が書いた、「モリカケ疑惑」はすべて朝日新聞のでっち上げだと主張するフェイク本 「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」 が名誉棄損に当たるとして、小川と出版元を相手取り、5000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を起こした。
      実はその出版元が「月刊Hanada」を出している飛鳥新社で、同誌の編集長・花田紀凱自身が本の刊行にも深く携わっているのだ。
     そりゃ負けたら死活問題になるから、必死のキャンペーンも張るだろう。
     先月号では 「総力大特集 朝日新聞の提訴と断固、戦います!」 と題し、今月号では 「総力大特集 赤っ恥、朝日新聞!」 と題して誌面を組んでいる。
     そしてこれを産経新聞の全面広告で大々的に宣伝し、 「朝日新聞と徹底闘争宣言!」 などと謳っているのだ。
      
     わしは裁判に訴えたことも訴えられたこともあるが、その経験から、裁判というものは勝っても負けても、ものすごい費用と労力が必要になるということが身にしみてわかった。
     もちろん裁判で争うことになれば、一個人よりも、資金・人員ともにはるかに体力のある大企業や政治家・政党などの方が圧倒的に有利になる。そのため、大企業や政治家などが個人を名誉棄損で訴えたりすると、それだけで大きな圧力となり、個人の活動を封じ込めることができる。
      そのような、社会的に優位な立場の者が相対的弱者を相手取って訴訟を起こし、それによって恫喝や報復の効果を与えることを「スラップ訴訟」(SLAPP=Strategic Lawsuit Against Public Participation)という。
     Hanadaは 「これはスラップ訴訟だ!」 と主張、小川も 「これは『言論の自由』に対する禁じ手、訴訟自体が業務妨害、圧力だ」 と朝日を非難している。
     確かにスラップ訴訟によって言論が萎縮させられるようなことはあってはならないし、言論には言論で戦い、訴訟には持ち込まないというのが原則であるべきだ。
      実は朝日新聞社もその原則はわきまえていて、これまでどんなデタラメな批判を浴びても、抗議はするものの、実際に裁判に訴えることはほとんどなく、業界内では「弱腰」とまで言われていたらしい。
      一方、逆にスラップ訴訟を何度も起こしているのが読売新聞社だ。
     読売新聞社は、新聞販売店に実際の購読数よりも多くの新聞を押しつけ、その部数の分の金額を請求するという法外な手法で販売部数を水増ししていた 「押し紙」問題を取り上げたジャーナリストを名誉棄損で訴えるなど、自社に都合の悪い記事を書く個人を標的にした訴訟を連発してきた。
     読売側はそのほとんどに敗訴しているのだが、裁判の勝敗など関係なく、裁判を起こすこと自体で相手に負担をかけることができるわけで、これは典型的なスラップ訴訟であり、言論弾圧訴訟である。
     それに比べれば朝日新聞社ははるかに良識的と言ってよく、今回の提訴は朝日としては極めて異例の事態なのだ。
  • 「メルケル首相演説の誤解と評価」小林よしのりライジング Vol.125

    2015-03-17 14:15  
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     3月9日・10日の2日間、ドイツのメルケル首相が来日した。
     ドイツは中国との経済関係を深めており、メルケルは2005年11月の首相就任から10年弱の間に7回も訪中している。
     それに対して訪日は3度目、それも2008年の北海道・洞爺湖サミット以来、実に7年ぶりである。露骨なほどの差をつけている。
     そんなメルケルが今回、突然日本にやって来た。何しろ外務省がメルケル訪日を発表したのが10日前の2月27日という慌ただしさである。
     唐突な来日で、何をしに来たのかさっぱりわからなかったが、一応、今年6月にドイツ南部のエルマウ城でサミットが開催され、さらに来年は日本でサミットが行われることから、その協力要請のための来日であるとか、ウクライナ情勢やギリシャ支援への対応、テロ対策などについての意見交換をするためとか言われていた。そう聞いても、やっぱりよくわからない理由だが。
     中には、安倍政権の経済政策やアジア外交、さらに特定秘密保護法導入による「言論の自由の危機」に対する懸念がドイツ国内に高まっており、それを伝えに来たのではないかとか、6月のサミットで安倍が場違いな発言をしないように釘を刺したのではないかといった推測もあった。それならありうる、と思えてしまうところが情けない。
     メルケルの訪日に関して、特にマスコミが大きく報道したのが9日に行われた講演だった。
     報道だけ見ていると、戦後70年の「歴史認識」と「脱原発」がテーマの講演だったかのように思ってしまうが、講演の全文を読んでみると、142年前の岩倉使節団のドイツ訪問から話が始まり、東日本大震災、ウクライナ情勢、テロとの戦い、軍拡と核拡散の阻止、国連安保理改革、G7の重点課題、少子高齢化と地域間格差の問題など、実に様々なテーマを語っており、歴史認識も脱原発もあくまでもその中の一テーマという扱いになっている。
      しかし左翼マスコミは、最初から「歴史認識」と「脱原発」で「ドイツに見習え」という記事が書きたいという意識しかなかった。
     というより、この講演自体が、メルケルから「ドイツに見習え」的な言葉を引き出すためにセッティングされたものとしか思えない。なにしろ講演会の主催者は朝日新聞社だったのだから。
     実際にはメルケルの講演では、「歴史認識」についてはかなり抑制的な表現にとどまっていた。
     おそらく、それでは物足りないと思ったのだろう。質疑応答に入ると、真っ先に「主催者代表」がこんな質問をした。
    過去の克服と近隣諸国との和解の歩みは、私たちアジアにとってもいくつもの示唆と教訓を与えてくれています。メルケル首相は、歴史や領土などをめぐって今も多くの課題を抱える東アジアの現状をどうみていますか。今なお、たゆまぬ努力を続けている欧州の経験を踏まえて、東アジアの国家と国民が、隣国同士の関係改善と和解を進める上で、もっとも大事なことはなんでしょうか?  要するに「『日本よドイツを見習え』って話をして!」とリクエストしているのだ。かなり露骨に。
     メルケルはこの質問に対して、「 ドイツは幸運に恵まれました……ホロコーストの時代があったにもかかわらず、私たちを国際社会に受け入れてくれたという幸運です。どうして可能だったのか? 一つには、ドイツが過去ときちんと向き合ったからでしょう 」と回答。これで朝日新聞は大喜びである。
    「ドイツが過去ときちんと向き合った」朝日はこの一言を待ちに待ち望んでいたのだ。 日本は過去ときちんと向き合っていない! ドイツを見習え! …とにかく朝日はそう言いたくて、言いたくて、言いたくてたまらないのだから。
     だが、ドイツが過去ときちんと向き合ったなんて話は大ウソなのである。
  • 「衆院選:腹立つ4項目と民主党の課題」小林よしのりライジング Vol.114

    2014-12-23 17:50  
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     最近、朝日新聞は小林よしのりを重宝してくれるようで、結構何度もインタビューの依頼があり、紙面で安倍政権批判をする機会を得ている。
     自称保守連中が親の仇みたいに朝日新聞バッシングに血道をあげてる時に、平然と朝日の紙面に登場するのは快感である。
     12月18日付の紙面では、 「私が問う 衆院選振り返る」 という企画で、わしは 「腹立たしいこと4項目」 として 「制度」「国民」「首相」「報道」 を挙げ、その理由を説明した。
     記事は論点を凝縮してうまくまとめていたが、何しろ2時間も話したので、紙面に入りきらなかったことも多かった。
     そこで今回は記事にならなかったことも含めてもう一度衆院選の「腹が立つこと4項目」をまとめておこう。
    ①制度
     まず腹立たしいことは、「地滑り効果」をもたらす 小選挙区制 という制度だ。
     小選挙区制では、たとえ1票差でも2位だったら落選し、膨大な死票が発生してしまう。
     そもそも今回の衆院選の得票率を見ると、2013年参院選(自民圧勝・ねじれ国会解消)と比較したとき、 自民党 が 1846万 から 1766万 に減っている。 公明党 も 757万 から 731万 に減っている。
      民主党 は 713万 から 978万 に増えていて、 共産党 も 515万 から 606万 に増えている。
      投票率が最低レベルという事実も踏まえ、自民党への懐疑と批判票は増えているのだ。
     有権者の6人に1人しか入れてない自民党が、70%超の議席を占める小選挙区制の異常さの中で、勝った政党が、国民の「白紙委任」を受けたかのように振る舞う小選挙区制は、「議論」を重要視し、「少数派」の意見も検討するのが原則である「民主主義」を形骸化させる。
      少数派の意見が議席に極めて反映されにくい小選挙区制には問題があるのだ。
     さらにもう1点、小選挙区制では大政党の公認のない候補が当選することが非常に難しい。そのため立候補予定者は、候補者を決定する党執行部の意向には一切逆らえない。
     小泉純一郎の「郵政解散」の際、執行部の方針に反対して郵政民営化に反対を唱えた議員は「抵抗勢力」として公認を外され、代わりに公認を取り付けた「刺客」候補まで立てられ、その多くが落選した。議員たちには、その恐怖の記憶は今なお生々しい。
     もともと自民党は多様な価値観を持つ議員が集まっていた政党であり、今でもリベラルな議員はいる。しかし小選挙区制では執行部の方針と異なる議員は発言力も権力もない。一人一人の議員の考えは圧殺され、議員が単なる「駒」になってしまうのだ。
     自民党内に他の選択肢があるという意識は国民にもなくなってしまい、自民党はタカ派一色という様相になっている。小選挙区制は、多様な価値観が認められず、独裁が行われる危険性が高いのだ。
     また、選挙ではその時その時の「風」次第で一方が大勝し、大量の「チルドレン」政治家が誕生する。経験も知識もない素人でも議員になってしまうが、必要なのは「頭数」だけだから、「採決要員」でよくなってしまう。これでは有能な政治家は育ちようがない。
     小選挙区制は民主主義を破壊する制度であり、まずはこれに一番腹が立つ。
    ②国民
     次に腹が立つのが「国民」だ。
     世論調査では「 与野党伯仲が望ましい 」という意見の方が多数である。それならば自民党の補完勢力ではない野党に投票すればいいのに、「 魅力的な野党がない 」と言って投票にも行かなかった国民は、ただ口を開けて「魅力的な野党」ができるのを待っているだけなのか?
      有効に民主主義を機能させるために、自分が野党をつくり、育てようという気もない。 投票したい党がないからと選挙に行かないか、あるいはしょうがないから自民党に入れるというような怠惰なことをやっている国民は、レベルが低すぎると言うしかない。
     この怠惰の結果が史上最低の投票率であり、自民党への「白紙委任」である。
     小選挙区制にはこういう罠があることを踏まえて、自分の一票に重要な意味があるということを考えなければならないのに、何もしようとしない国民は実にふざけている。
    ③首相
     3番目は安倍首相だ。
     衆議院の解散は天皇の国事行為であるにも関わらず、政権の長期化という私利私欲の解散総選挙を行なうのは、天皇陛下を愚弄する行為であるということはライジングVol.110で詳述した。
     来年になったらアベノミクスの失敗が顕わになってくるから、今のうちにやっておこう、そして政権を延命して、何が何でも憲法改正をして、歴史に名を残そうというのが、安倍首相の本音である。
      本当は
  • 「女系公認派は秋篠宮家を軽んじているのか?」小林よしのりライジング Vol.102

    2014-09-23 19:55  
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     朝日新聞が過去の記事の誤りを訂正したら、誠実さを評価されるどころかフルボッコの袋叩き状態。世の中、自ら非を認めればよいとは限らないようです。
     自ら非を認めるといえば、先日ウィキペディアで「ウィキペディア」を検索してみたところ、その中に 「問題点」 という章があり、 「記事の信頼性」 という項目にこんなことが書いてありました。
    ウィキペディアの記事の精度は高いとした複数の研究結果がある一方で、記事に対する査読制度がないため、問題ある記述はコミュニティーの自己管理により解決されることに委ねられている。このようにウィキペディアは信用に足る百科事典とは言い難く、ウィキペディアからの引用を学術関連のレポートに載せることは、そのレポートの信憑性そのものに疑問を持たせることでもある。(中略)米国では、学術研究の出典としてウィキペディアの記事を引用した学生が、その内容が史実と異なっていたため落第点をとったとして、ウィキペディアの創設者ジミー・ウェールズに苦情を寄せたという事例がある。これを機に、ジミー・ウェールズはウィキペディアを学術研究の出典として利用するのを止めるよう訴えた。大学機関のいくつかは学生たちにレポート課題においてウィキペディアを引用することを禁止している。また、ディベートなどの正確性の求められる競技などではウィキペディアの情報は用いられていない。
     一応、率直に自らの問題点を書いているわけですが、なぜか誠実さを感じないというか、「自ら非を認めた」というよりは、単なる 「開き直り」 と思えてしまうのは、私だけでしょうか…?
     さて『天皇論追撃篇(新天皇論)』のウィキ直し、今回は「秋篠宮家について」という項目です。
    秋篠宮家について
    『SAPIO』2010年6月9日号で、秋篠宮文仁親王は天皇になるための教育を受けていないと主張。また、秋篠宮文仁親王は高齢での即位が予想され、「例えば80歳の天皇誕生ということになった時、国民の天皇への関心や求心力は保たれるだろうか」と主張。また、秋篠宮文仁親王の在位期間は短いことが予想され、元号が短期間で変わってしまうと主張。また、皇太子徳仁親王が即位した時点で皇太子が空位になることを指摘し、現行の皇室典範に定める、皇太子徳仁親王から秋篠宮文仁親王への皇位継承を批判している。
     ここまでは、SAPIOに掲載し、『新天皇論』第16章「リアルな皇統の危機とは何か?」として収録した作品の内容紹介です。
     これに対する反論が次のように続きます。
     …つか、「百科事典」の記述なら内容紹介だけで十分なのであって、それにいちいち「反論」がくっついていること自体が異常なんですけど!!
    昭和天皇即位(1926年12月25日)から今上天皇の立太子の礼(1952年11月10日)までの期間、皇太子が空位であったことや、大正が14年数か月であったことは全く述べていない。
     この「反論」の内容が、例によって全くケースの違う話を強引に持ってきている、どうしようもなく低レベルな代物なのだから話になりません!
     昭和天皇は御即位の時25歳、香淳皇后は23歳であり、これから皇太子となる男子が誕生することが期待できたから皇太子が空位でもよかったわけで、実際に昭和8年(1933)に継宮明仁親王(今上陛下)が誕生されています。
     それに対して、 現在の皇太子殿下が即位される場合は、これから男子が誕生する可能性は無いと言わざるを得ず、女性皇太子を認めない限り、皇太子不在の状態がずっと続くことになる のです!
  • 「『吉田調書』朝日バッシングの影に隠れた重大問題」小林よしのりライジング号外

    2014-09-23 12:30  
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     よく飽きもせず、という感じで朝日新聞バッシングは継続中だが、その論点はもっぱら慰安婦問題の方に集中している。
     9月11日に行なわれた朝日新聞の木村社長の記者会見は、福島第一原発事故の「 吉田調書 」に関する誤報記事の取り消しと謝罪が中心で、慰安婦問題の謝罪はついでという感じだったのだが、逆に「吉田調書」の方にはあまり関心が向かないような状況になっている。
     だが吉田調書報道については、あまり語られていない重大な問題がある。
     朝日が吉田調書を読み間違え、事故発生当時に約9割の所員らが吉田昌郎所長の命令に違反して撤退したとする誤報を出してしまった理由は、やはりVol.98で検証したとおりだった。
     木村社長は記者会見で「 思い込みや記事のチェック不足などが重なったことが原因 」と語ったが、なぜその「思い込み」が起きたかといえば、それは朝日が「脱原発」をイデオロギー化していたからなのだ。
    「脱原発」にせよ「原発推進」にせよ、イデオロギー化すると、情報を自分の都合のいいように捻じ曲げて解釈したり、都合の悪い情報は隠蔽したりする。「原発推進」のメディアが、原発なしでこの夏は乗りきれないと毎年のように宣伝したのも、イデオロギー化によるプロパガンダだった。
      そもそも吉田調書には、もっと注目すべき重大な箇所があったのに 、朝日新聞の大チョンボによって、誤報問題ばかりが注目され、慰安婦問題の陰に隠れてしまっている。由々しきことである。
     公開された「吉田調書」では、吉田元所長は事故当時の菅直人首相についてボロクソに言っている。
    「逃げたと言ったとか言わないとか菅首相が言っているんですけども、何だ馬鹿野郎というのが基本的な私のポジションで、逃げろなんてちっとも言っていないではないか。注水とか最低限の人間は置いておく。私も残るつもりでした」
    「『撤退』みたいな言葉は、菅氏が言ったのか誰がいったか知りませんけども、そんな言葉、使うわけがないですよ。テレビで撤退だとか言って、馬鹿、誰が撤退なんていう話をしているんだと、逆にこちらが言いたいです」
    「アホみたいな国のアホみたいな政治家、つくづく見限ってやろうと思って」
     さらに、菅氏が首相辞任後、東電が逃げるのを自分が止めたかのような発言をしたことに対しては、
    「辞めた途端に。あのおっさん(菅氏)がそんなの発言する権利があるんですか。あのおっさんだって事故調の調査対象でしょう。そんなおっさんが辞めて、自分だけの考えをテレビで言うのはアンフェアも限りない。事故調としてクレームつけないといけないんではないか」
    と批判している。
     さらに、菅政権が設置を決定した政府の事故調(事故調査・検証委員会)の初会合で菅氏が「私自身を含め被告といったら強い口調だが」と発言したことについては、
    「私も被告ですなんて偉そうなことを言ってい たけども、被告がべらべらしゃべるんじゃない、馬鹿野郎と言いたいですけども」
    と怒りを顕わにしている。
     そして、「 あのおっさん 」「 馬鹿野郎 」「 アホみたいな国のアホみたいな政治家 」…と、あまりにもストレートに心情を吐露したこれらの発言を根拠に、菅元首相への批判や責任追及の声が再燃する事態となっている。
      だが、吉田調書だけを根拠に、これを絶対視して誰かを批判したり、責任追及をしたりするようなことは、決してやってはいけないことなのである。
      そもそも、吉田調書を作成した政府の 事故調 というものは裁判や審判とは違い、当事者の責任を追及するための機関ではない。
     航空事故や海難事故などの調査・検証委員会と同様、事故原因を究明して、将来の事故を防ぐための知恵と教訓を得るために設置されるものなのだ。
     菅氏は事故調の初会合で「私自身を含め被告」と言っているが、つまり菅氏も「事故調」とはどういうものなのかをよく理解していなかったことになる。
      事故調が検証の過程で得た調書などは「絶対非公開」が大原則である!
     発言に責任が問われず、非公開であるからこそ関係者は誰をはばかることもなく、何でも差し障りなく発言することが可能となる。
     そうして集めた証言や資料を照合、分析、検証して事故原因を特定し、未来への教訓にしようというのが「事故調」というものなのだ。
     よって、 最終的に得られた事故調の検証結果は開示されなければならないが、 検証過程の聴取記録は「免責かつ非開示」 というのが世界標準の普遍的な原則である。
     吉田氏が暴言気味の言葉まで用いて菅氏を批判しているのも、「絶対非公開」が前提だからだ。
     また、吉田氏が、菅氏がテレビで自分の考えを話したことに憤っていたのも、事故調の調査対象者は非公開で証言し、事故調によって他の証言と照合する等の検証を受けなければならないからである。
     吉田氏を始め他の対象者は皆そのルールを守っていたのに、菅氏だけがテレビで自分の考えを話したことが「アンフェアも限りない」からであり、こんな行為には事故調がクレームをつけなければならないはずだったからである。
      しかも吉田氏は生前、もともと非公開が原則なのに、さらに念を押して公開を望まないという上申書を提出している!
     吉田氏が公開を望まない理由は二つあった。
     一つは、
  • 「パンドラの箱を開けた先には…!?」小林よしのりライジング Vol.101

    2014-09-16 22:15  
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    第41回「A型根性炸裂!ウミサチ兄さんの釣り針執着 ~海佐知&山佐知 その2~」 「お願い、一回だけやらせて! ちょっとだけだから!」
     魚釣りをしてみたくて仕方のないイケイケドンドンのヤマサチは、兄のウミサチに熱烈アタックの末、ついに口説き落として釣り針を借りることに成功します。
    「兄さん、代わりにおいらの槍を貸してあげるよ。楽しんで!」
     ウキウキのヤマサチから槍を押しつけられたウミサチでしたが、山での獣狩りなどまったく気が進みません――
    「ヤマサチめ、本当にテキトーな奴なんだから。俺はむやみに責任感が強い長男だし、クソ真面目で几帳面なA型だから、いきなりこういうこと自由に楽しめって言われるとストレス感じるんだよ……」
     勝手に予定を変えられて、まったく気分が乗りきらないネガティブなA型。
    「あいつ、糸の結び方も釣り竿の使い方も知らないだろうに。どうせ、ちょちょいっと結んで海に投げ込めばいいとしか思ってないだろうな。しまったなあ。貸す前に実演して、しっかり絵に描いて使い方を説明すれば良かった」
     貸した釣り針はどんな風に扱われているのやら、気が気でないA型。
     やたら詳細に、やたら具体的に、きっちり細かくうるさく説明し尽くさないと自分自身が納得できないA型。
    「あの釣り針、きのう下ろしたばかりの新品なんだよ。あいつ、脂まみれの汚い手でいじくってるんだろうなあ。はー、嫌だなあ。力加減もわからない奴だし、海底に針を引っ掛けて、馬鹿みたいにぐいぐい引っ張るんじゃなかろうか。もしも竿が折れたら……糸が切れたら……。はー、嫌だなあ」
     自分の持ち物を他人に触らせることが本当にイヤでしょうがないA型。
     悶々と最低最悪な事態ばかり考えて人知れずストレスを溜めてゆくA型。
    「海にもどって監視しようかな……」
     他人をほとんど信用していないA型。
    「俺も、いい人ぶってあんないい針貸さずに、もっと古くて、いらなくなった針にすればよかった。やっぱり、今すぐ釣り針返せって言いに行こう」
     たとえ「こんなに使ってないのがあるんだから、ひとつぐらいいいでしょ」と言われても、自分のなかではちょっとずつ違う種類のものをコンプリートして所有していることに満足しているから、その「ひとつ」すら渡したくはない執着心の塊のA型。
     この自分様の世界を他人が理解できるわけがない、他人には踏み込まれたくないという一心から、ドケチっぷりを発揮するA型。
      ……ぜんぶ、あたしだよっ!
     A型・長女のあたくし、弟が入院したときに、何年も前に読んだきり本棚で埃をかぶっていた『デビルマン』全巻を手土産に、見舞いに行ったことがありました。
    「退屈してるでしょ、これでも読みなよ~。全巻セットだー!」なんて言いながら、どさっと漫画の束をベッドに置く、妙に気前の良さを見せるA型の姉。
     喜んでページをめくりはじめる、点滴につながれた青白い弟。
     しかし、そんな弟を眺めているうちに、A型の姉は悶々と考えはじめるのです。
  • 「安倍晋三は『河野談話』を保守する!」小林よしのりライジング号外

    2014-09-16 12:20  
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     安倍晋三首相が14日のNHKの番組で、「(朝日新聞は) 世界に向かってしっかりと取り消すことが求められている。朝日新聞自体が、もっと努力していただく必要がある 」と述べ、海外も含め周知に努めるよう求めたという。
     頭の悪い人だ。朝日新聞が「慰安婦は人さらいのような方法で集めたのではありません」と英語で発信すれば、「性奴隷」という世界の認識が変えられるとまだ思っている!
     朝日新聞が英語や諸外国の言葉で「 詐話師・吉田清治の証言記事の撤回と、挺身隊と慰安婦の混同の誤り 」を説明することに、わしは反対しないが、残念ながらそれを実行しても、海外ではもう無意味なのだ。
    「強制連行」の話など、国際社会ではどうでもいいことであり、 軍が管理売春に手を貸したこと自体が 「性奴隷」 と認識されているのが実態である。
      慰安婦という女性の人権侵害が、軍隊と結びついているだけで、世界の女性は嫌悪感を持つのだから、「他の国もやっていた」などと抗弁したってさらなる反発を招くだけ。
     日本社会が男尊女卑だと世界にPRするようなものだ。
     外務省はそのことがわかっているはずであり、内閣に進言しているはずだから、 安倍首相自身が「河野談話」を見直したり、破棄したりすることはないのである。
     安倍首相が未だにわかってなくて、コアな支持層に押されて、「新たな談話」を発表したりすれば、わしは面白いと思う。国際社会を敵に回したことが明白になるからだ。
     特にアメリカの反応が見てみたい。靖国参拝の直後のように、「失望した」では済まないだろう。
     産経新聞の「産経抄」が河野談話の「 見直しは、喫緊の課題なのに、河野氏の国会招致さえ自民党が消極的なのは、解せない 」と書いている。
    「 二階俊博総務会長は『議長経験者を国会に軽々と呼び出せば、新たな問題が発生する』とわけのわからぬことを言う 」などとイラついている。
     産経の記者は、未だにわけがわかっていないのだろう。相当に頭が悪い。親米ポチのくせにアメリカの人権感覚がわからないのだから笑止だ。
     一方で安倍政権は、
  • 「国民は本当に『騙されていた』のか?」小林よしのりライジング Vol.100

    2014-09-09 17:40  
    153pt
     突然ですが、 『飛べ!ダコタ』 という映画をご存じでしょうか。2013年に公開された映画なのですが、私は全然知りませんでした。HPを見ると、都内でもわずか数ヵ所で公開されたのみ。先日、ある航空会社の方と食事をしていたとき、この映画のことが話題になりました。
     昭和21年、日本の敗戦からわずか5ヵ月後のこと。
     佐渡島の高千(たかち)という村の海岸に、イギリス空軍の要人機『ダコタ』が悪天候で不時着しました。日本人もイギリス人も、互いに恐る恐るの対面。それはそうです。ついこの間まで、敵同士だったのですから。しかし村長をはじめとする村人たちは「困っている人がいるなら助けなければ」と、イギリス人たちの世話をするようになりました。そして『ダコタ』が再び飛べるよう、村をあげて石を運び、それを海岸に敷き詰めて滑走路をつくったのです。
     村の中には、ビルマ戦線で息子を失った母がいました。また『ダコタ』には、同じくビルマ戦線で兄弟が戦死し、日本人に憎しみを抱いているイギリスの若者が乗っていました。しかし『ダコタ』を通じ、日英の交流が生まれてきます。そして4ヵ月後、ついに手づくりの滑走路から『ダコタ』は飛び立っていく――。
     これは実話をもとにした映画です(でも監督によると、佐渡の人でも知っている人は少ないとか)。
     ちょっと感動的な話ではありませんか!
     さっそくDVDを買って観てみました。
     ちなみに海軍兵学校在学中に事故で足を失って帰郷した一本気な青年役を、窪田正孝(「花子とアン」にも出てますね)が演じています。思わず「あさいち!」と叫んでしまいました。
     いい話でした。
     いい映画でした。
     でもこの映画のすごいところは、その感動秘話じゃないんです!!!
      柄本明 です。
     いえ、正確には 柄本明演じる、高千村の村長さんです!
     村人たちが滑走路づくりに励んでいるときのこと。村のおばちゃん二人が、村長さんと話をはじめます。イギリス人はいい人たちなのに、なんで戦争なんかしてたのかなあと、おばちゃんたち。
    「イギリス人が鬼だなんて、誰が言うとんら」
    「軍部に騙されとっただっちゃ」
    「軍の人間が勝手に戦争はじめたっち、陛下もおらたちも悪い軍人に騙されとっただっちゃ」
     私はそのセリフを聞いて思いました。
     オイオイ、感動の日英交流秘話の結論がそれかよ……と。
     しかし、それを黙って聞いていた村長さん(柄本明)は、「うんにゃ」と言って、こう続けるのです。
  • 「イデオロギー化が増す日本の危機」小林よしのりライジング Vol.98

    2014-08-26 17:30  
    153pt
     自己の主張をイデオロギー化させる危険について、書いておこうと思う。
     イデオロギーは固定化した政治的観念であり、思索の放棄であると定義しておく。思想は思索し続けることであり、イデオロギーと思想を区別しておこう。
     わしは皇統の女系継承も大いに賛成と考えているが、イデオロギーではないので、天皇陛下のご真意が違うのなら、変更して構わない。
     男系固執派の場合は思索を放棄してイデオロギー化しているので、天皇陛下のご真意を拝察すること自体を拒否する。男系派にとっては、天皇陛下より崇拝するものが「男系血統」であり「Y染色体」なのだ。
     マルクス主義者も反戦平和・護憲主義者も、主張がイデオロギー化していて、思索を深めることがない。考えることを拒否している。
     しばしば「主張が一貫している」と褒める者がいるが、その主張が時代を経ても正しければ褒め言葉になるが、時代に適応してなかったら皮肉になる。
     自分の主張もチェックする柔軟さを持っているべきだし、間違っていたと気付けば転向しなければダメだ。
    「イラク戦争は大義なき侵略であり、失敗する」これはわしの主張だったが、今や完全に証明された。
     自称保守派はイラク戦争大賛成だったが、まだ過ちを認めない。主張を一貫させてはいけないはずであり、転向すべきだろう。
     わしは、原発はぼんやりと安全なのだろうと思っていたが、大間違いだった。その危険性を知ってしまった以上、もう安全だなどとは口が裂けても言えない。見てしまったし、知ってしまった。
      今では「脱原発」はわしの主張だが、それでも思索し続けるべきで、イデオロギー化してはいけない。イデオロギー化すると情報やデータの運用を見誤る危険性があるからだ。
     産経新聞が「 吉田調書 」の件で朝日新聞を非難している。
     吉田調書とは、福島第1原発の事故当時の所長・吉田昌郎氏(昨年7月死去)に、政府の事故調査・検証委員会が聞き取り調査をしてまとめた、400ページに及ぶ「聴取結果書」のことである。
     朝日新聞は非公開の吉田調書を入手し、5月20日の紙面で報じた。だがそれが、とんでもない誤報だったというのだ。
     朝日の記事は「 所長命令に違反 原発撤退 」という大見出しで、事故当時、吉田所長の待機命令に違反し、所員の9割以上が福島第2原発へ撤退していたことが吉田調書から明らかになったというもので、「 その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた 」と批判していた。
     事故当初、現場に残って対応に当たった50名ほどの所員は世界のメディアから「フクシマ・フィフティーズ」と呼ばれ称賛された。ところがその一方で650名もの所員が命令を無視して逃げていたという朝日記事は、その美談を吹き飛ばすスキャンダルとして世界中に報じられた。
     米紙ニューヨーク・タイムズ(以下、いずれも電子版)は5月20日、「朝日新聞によると」として第1原発所員の第2原発への退避を「命令違反」として「パニックになった作業員が福島第1原発から逃げ出した」と報じた。
     英紙ガーディアンは5月21日付で「『フクシマ・フィフティーズ』と呼ばれたわずかな“戦闘員”が原発に残り、ヒーローとして称えられた。しかし、朝日新聞が明らかにしたように650人が別の原発に逃げたのだ」と記した。
     オーストラリアの有力紙オーストラリアンも「福島のヒーローは、実は怖くて逃げた」と見出しにした上で、「事故に対して自らを犠牲にし果敢に闘った『フクシマ・フィフティーズ』として有名になったが、全く異なる恥ずべき物語が明らかになった」と報じた。
     韓国紙・国民日報に至っては、「日本版の“セウォル号事件”」と報道、韓国で4月に起きた旅客船沈没事故で、船長が真っ先に逃げたことと同一視した。
      だが実際には、吉田調書のどこをどう読んでも、「所員の9割が所長命令に違反して撤退した」なんてことは書いてなかったのである。