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  • 「醜い国・日本の権威主義と忖度」小林よしのりライジング Vol.252

    2017-12-26 15:35  
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     先週は 「政治体制としての権威主義に堕した国民」 と題して書いたが、この問題は現在の日本にかなり根深く浸透してしまっているので、今回も引き続いて掘り下げていこう。
     先日、松本人志が「ワイドナショー」(フジテレビ)で共演している指原莉乃、古市憲寿、東野幸治と共に、安倍晋三と焼肉会食をしたことが報じられ、話題になった。
     古市はツイッターで、 「単純に安倍さん出演回の番組出演者で打ち上げに行きましょうという話が、今月まで延び延びになっていただけ」 と苦しい言い訳をしたが、安倍がワイドナショーに出演したのは昨年5月1日で、もう1年7か月も前のことだ。
     たった1度安倍が出た回の「打ち上げ」の話など、実現しないまま1年半も経ったら立ち消えになるのが普通だろう。それをわざわざ実行したこと自体、安倍と松本・古市らの関係が普通じゃないほどズブズブベッタリだということの証明以外の何者でもない。
     そもそも安倍が出たワイドナショーは露骨な安倍ヨイショ番組だったし、松本はその後、安倍政権を擁護する発言を繰り返しており、完全に安倍シンパの感覚になっているではないか。
     こんなふうに、芸能人などが権力にすり寄っていくことこそが、 「政治体制としての権威主義に堕した国民」 の醜態そのものなのである。
     以前は、著名人がここまであからさまに権力にすり寄る姿を見せることなど、まずなかった。これは第二次安倍政権発足以降の現象だ。
     毎年4月に行われている首相主催の「桜を見る会」は今年で62回を数える恒例行事だが、ここ数年は芸能人が多数招待されて、嬉々として参加する様子がかつてないほど大きく報道されるようになっている。
     天皇皇后両陛下が主催する園遊会ならわかるけれども、安倍なんかに呼ばれて、よく行く気がするなあとわしは思う。
     ちなみに園遊会の招待基準は「産業・文化・芸術・社会事業などの分野で功労のあった人」などと宮内庁が厳格に定めているのに対して、桜を見る会は政府与党推薦で決めていて、基準はユルユルだという。
     元衆院議員の中田宏はブログにこう記している。
    「この桜を見る会は与党の党勢と支持拡大の面が多分にあります。
     招待者は基本的には政府・与党の推薦なので、国会議員は自分の招待枠に後援会の人を招待することもあります。
     総理主催であることや多彩な顔ぶれの人たちに会えるかもしれないという意味で、ファンサービスの側面があるのです」
     やっぱりこれは政権のPRイベント以外の何者でもなく、メディア戦略に長けた安倍政権は完全に意図的に、政権の好感度アップに利用するために芸能人を招待しているのだ。
     わざわざこんなところにでかけて、はしゃいで安倍と記念撮影なんかして、まんまと権力に利用されている芸能人を見ると、キモいとさえ感じてしまう。
     いまは首相に対する感情が、すごく憎むか、すごく好きかのどちらかに極端に二分化されているが、「すごく好き」の有様は、明らかに尋常ではない状態になっている。
     月刊Hanada2月号など、安倍首相のインタビューを大々的にトップにして誌面を組み、産経新聞に全面広告まで打った。