「ゴー宣道場」の門弟女性の『卑怯者の島』の感想が
やたら可笑しかったので、紹介しておきます。
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『卑怯者の島』を読みました。一回だけ。
疲れました。とことん疲れました。
なんかもう、いったいもうどうしたらいいんだか
わからないというような、初めて経験するような読後感。
それはいいとか悪いとか、そんなシンプルな感覚で
収まらせてくれるような生易しさは微塵もありませんし。
しかしながら物語自体は、読者を置き去りにするかのように、
無情なほど淡々と進んでしまう。
その置き去りにされた読者は、一度手にしまったら最後、
自ら挑発されずにいられない。
それに私はまんまと嵌ってしまい、文字通り「血が騒ぐ」状態
になりました。
ここで感動してください、ここで泣いてください、さらには
観終わった、読み終わったときの感覚までお膳立てして
くれるような親切な映画や小説もあります。
しかし人間には無意識に、「感じ取りたい」欲求ってあると
思うので、それを満たしてくれる不親切な(笑)作品に
出会ったときの、「感じずにいられない」という「血の蠢き」が
私の読書中の感覚としてあったと思います。
「わしズム」連載中の『卑怯者の島』を読んでいたときは、
「プライベートライアン」のイメージとどこか重なっていたと、
少し前の投稿に書かせていただきました。
でも今回、単行本を読んで、限界まで追及し、突き詰めた
フィクションという創造(想像)も、この戦場のリアリズムも、
日本人の感性ならではのものでないかと感じましたので、
私にとりまして『卑怯者の島』は、「プライベートライアン」
でも「地獄の黙示録」でもありませんでした。
それを具体的にひとつ挙げますと、洞窟の場面から、
戦闘シーンになるとホッとしてしまうほどであり、
あの動の極限さえ、静の極限が圧倒してしまった
ということかと思います。
私は詩というものの、色彩や行間を感じ取る心が著しく
乏しいのですが、あの残酷な絵と合わさり、奏でる静かな
言葉たちを詩と言ってもいいなら、私はそれを、
初めて自分の手ですくい取れたような気がします。
とは言っても、何人かの読者さんがおっしゃってるように、
この本を何度か続けて読むことは私にはできません。
そういう意味での受ける印象で言えば、「ディアハンター」
(キーハンターじゃないです。笑)に近いかもしれません。
私は好きな映画は何度でも観ますし、たぶん、戦争を
描いた映画で一番好きなのは「ディアハンター」ですが、
決して何度も観ることはできない作品です。
話題の美奈さん(笑)について少しだけ。
中でも、軍神様と呼ばれる簾平とのエピソードは、本当に
ショッキングでしたが、手足を失った軍神様が醸し出す、
ムンムンと匂うような男のいやらしさ、下卑た笑い顔、
女中を馬鹿にし、女を人間と思ってないような嫌なヤツで
よかった、と思ってしまいました。
彼を嫌だと思ってしまう正当な理由(言い訳)を、
自分の中ではっきり形づけることができますから。
女ですいません。
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相当感情移入して読んでいただいたようで、1回読んだら
もうこりごりという感覚が伝わって来て、笑ってしまいました。
確かに女性ならではだな。
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