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記事 129件
  • 「三浦瑠麗って何者だったのか?」小林よしのりライジング Vol.458

    2023-01-25 12:00  
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     たかが文化人や言論タレントが、大して著書も売れていそうにないし、少なくともわしよりは売れてないのに、六本木ヒルズの高層階に住んでいたら、月100万はするから破産する。
     その上、軽井沢に別荘を持って、永田町のど真ん中に事務所を構え、ヨットを楽しみ、あんなにセレブを気どっているのは、よっぽど夫が稼いでいるのだろうと思っていた。
     なんであんなに権力に取り入るのが好きで、安倍首相への思い入れが強いのか、奇妙だとは思っていたのだが。
     安倍首相が殺害されてからの三浦瑠麗の発言はあまりに酷く、統一協会がテレビで批判されるのが嫌でしょうがない様子で、カルトの被害者には「競馬でスッたって同じじゃないですか」と言い放ち、あまりに冷酷で不愉快でしょうがなかった。
     それも、 三浦の夫の弁護士が、統一協会の弁護士 だと知ると、すべて合点が行く。
     そもそも三浦の「リベラル」は商売の自由であって、弱者に対する配慮がなさすぎる。
      三浦は権力と新自由主義的勝者が好きで、負け組は「自己責任」で済ませている。そこがわしの思想とは根本的に合わない。
      
     東京地検特捜部が個人の自宅に捜索に入るというのは相当な大ごとだから、だいぶ以前から捜査を重ねて、既にかなりの証拠は固めているはずだ。
     だとすれば、夫の逮捕は免れないかもしれない。あとは、妻の瑠麗まで捜査の手が及ぶかどうかだ。
     三浦瑠麗が夫とほとんど共犯関係だったことは、彼女の発言から推理できるので、多くの人たちが彼女に同情していない。
     何しろ三浦瑠麗は夫のビジネスを後押しているとしか思えない発言を、SNSで何度も発信しているし、なんと国会においても繰り返していたのだ。
     それは中条きよしが新曲CDを国会で宣伝していたようなちっぽけな話ではない。
      中国人による日本の土地購入を推進して、相互に依存する関係を構築すべきだなんて国会での発言は、まるで左翼だと思っていたが、これも夫がやっている、中国人相手に土地を売りさばく事業のためだったようだ。
     これなど文字通りの「売国」であり、 「反日」 である。 三浦瑠麗は 「反日という言葉を使ってはいけない」 などと言っていたが、自分がそう言われたくなかっただけだったのだ。
     そして 太陽光発電 についても、三浦瑠麗は国会で推進させるための発言をしていた。
     以前は原発をテーマにした「朝まで生テレビ!」で、わしの向かいの席、原発推進側の席に座っていたはずなのに、いつの間に太陽光発電に鞍替えしたのだろうかと思ったら、 「カーボンニュートラル」(脱炭素)のためには、原子力も太陽光もどちらも有効だと言っていたらしい。 巧妙な手を考えるものだ。
      もちろんこれも自分の夫の事業のためだったわけで 、太陽光パネルに関する問題がいろいろ指摘されていることについては、ツイッターで「 太陽光発電にはダメな業者がたくさんある。それは事実で取り締まっていくべきです」 と発言していたという。
     今回、この発言が「ブーメラン」になったと揶揄されているが、そもそもこれは「いい業者かダメな業者か」なんて問題ではない。 それ以前の話で、建設計画そのものの実効性がなかったのだ。
      実現不可能な事業で10億円もの資金を巻き上げていた、完全な詐欺なのだ。
     わしは三浦瑠麗とは何度も対談などで会っているが、今のところ最後に会ったのは昨年の1月頃、場所は六本木ヒルズだった。
     その前年、週刊ポストの企画でわしと東浩紀と鼎談をしたのだが、その時に三浦瑠麗が、コロナ禍に怯えて会食もできないような人はインチキだとか言っていた。それをわしが律義に覚えていて、じゃあ仕方ないからということでヒルズの下のレストランで食事をしたのだ。
      丁度その時、三浦は六本木ヒルズの住居をより高層階へと引越す作業をやっていて、睡眠不足でふらふらになってやってきた。
     その食事中の会話で、わしは「あなたは一体何を目指しているの?何がやりたいの?」と聞いたのだが、すると三浦はこう答えたのだった。 「選挙特番の司会をやりたい」
     わしはそれを聞いて、田原総一朗になりたいということなのか?そんなものが夢なのか?と唖然としてしまった。
     こんな私的な会話をバラしていいのかという批判はあるだろうが、三浦に騙されてデートまでしていたわし自身を嗤うために、あえて書いておこう。つまり三浦瑠麗は「思想家」ではないということを明確に確信した瞬間だったのである。
     
     そもそも三浦瑠麗がわしに近寄ってきたのも、わしをセレブだと思っていたからだろう。
  • 「日本人だけ民族浄化一直線」小林よしのりライジング Vol.457

    2023-01-17 19:50  
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     世界中で唯一、日本でだけコロナが終わらない。
     ちょっと前までは、極端なゼロコロナ政策で大混乱を起こしている中国を見て、あれよりはまだマシだと思うこともできたのだが、ついにそれもできなくなってしまった。
     日本だけがひとり負けで、自ら破滅への道をひた走っている。
     1月13日の東京新聞は1面トップ記事で、「新型コロナウイルスに感染して亡くなる人が急増し、一日あたりの全国の死者数は昨年末から過去最多の更新を繰り返している」と報じた。
     
     細かい表現の違いのようだが、 「新型コロナウイルス感染症で亡くなる人」 とは書かず、 「新型コロナウイルスに感染して亡くなる人」 と書いているところは注目すべきだ。こう書くということは東京新聞の記者も、 亡くなった人の死因は新型コロナウイルスとは限らず、単に死亡時の検査で新型コロナ陽性だったという意味でしかない ということを理解しているのかもしれない。
     しかし、もしわかっていて書いているのなら、極めて悪質である。この記事を読んだ人のほとんどは、新型コロナウイルスによる死者が急増しているとしか思わないはずなのだから。
     しかも記事では、 死亡者の多くが高齢者で、東京都では60代以上の死者の割合が「97.0%」 だと書いている。これを読めばますます、 「寿命」による何らかの原因で死んだ高齢者を、片っ端から検査して「コロナ死」にしているんじゃないか としか思えなくなる。
     さらに言えば、「60代以上の死者が97%」と書かれると、今どきは60代でも早死にじゃないかと思ってしまうが、 実は60代の死者もそんなに多くはなく、「70代以上」で91.1%、「80代以上」だと71.3%なのである。
     高齢者の死亡率が冬期に増加するのは毎年のことだ。今冬の寒さは特に厳しいし、 コロナ禍の行動自粛などで高齢者の寿命を無理やり伸ばしてきた「キャリーオーバー」分の死亡者が出て来た ということも考えられる。
     ところが記事では、死者がこれだけ急増しているのに、感染者数が昨夏の「第7波」のピークよりも少ないわけはなく、感染していても検査しなかったり、陽性でも報告されなかったりする 「未把握の感染者」 がいるはずで、実際には「第7波」以上の感染者数になっているのは間違いないと述べる「専門家」の見解を紹介し、あたかも見えない「感染爆発」が起きているかのように恐怖を煽り立てているのだ。
     そして記事の最後は、国立国際医療センター医師・大曲貴夫の 「まわりにいる人がワクチン接種を受けるなどし、高齢者にうつさないように注意をすることが必要」 というコメントと、国際医療福祉大主任教授・松本哲哉の 「ワクチンは重症化予防効果があり、まだ打っていない高齢者は積極的に接種を検討してほしい」 というコメントで締めくくっており、これが結論のようになっている。
     新たな「ステルス感染爆発」で「死亡者急増」だと恐怖心を駆り立てた上で、高齢者も、高齢者以外も、 とにかくワクチンを打て!打て!打て!と言っているのがこの記事なのだ。
      実際にはワクチンを4回打とうが5回打とうが、感染抑止効果も重症化予防効果もない ということはとっくにデータに出ているのに、東京新聞は平気でこんな記事を1面トップで出すのである。
     記事の最後を、記者自身の文ではなく「専門家」のコメントで締めているのも、いざとなったら「東京新聞の見解ではなく、専門家の意見を紹介しただけ」として責任逃れするつもりではないかと思えてくる。
      わしはコロナのmRNAワクチンについて、自然免疫をスルーして筋肉注射で直接体内に入れて免疫を発動させるものだから、「免疫の軍事訓練」ができなくなって、かえって感染しやすくなると指摘してきた。
     そしてこのことは、現実に実証されつつある。
      科学誌「サイエンス」昨年7月15日号には、コロナワクチンが自然免疫を抑制する可能性を指摘する論文が掲載された。
     その論文によると、 コロナワクチンを打ち続けるとコロナに対応した抗体ばかりが作られるようになり、他の様々な病気に対応するための免疫力が落ちてしまう「抗原原罪」と呼ばれる現象が起こりうるという。
      しかも、そうして作られるコロナ対応に特化した抗体も、ウイルスが変異してしまえば効果がなくなるため、結局は ワクチンを打った人の方がコロナにも感染しやすくなり、 その他のありとあらゆる病気にも罹りやすくなってしまうのである。
     先週・13日の金曜日は東京新聞のみならず、各テレビ局のワイドショーもこぞって「ステルス感染爆発による死亡者急増」の恐怖を煽り、ワクチン接種を推奨していた。
     そして翌14日の産経新聞もぶち抜きの社説で、 「死者数が最多にもかかわらず、1日当たりの新規感染者数は、第7波のピークを越えていない」 として、本当の感染者数はもっと多いはずだと恐怖を煽り、「ワクチン接種の促進」を求めている。
     コロナに関する主張は、東京新聞も産経新聞もコピペしたように全く同じである。 左も右も関係なく、とにかく恐怖心をかきたてまくって、ワクチン接種へ誘導しようとするのである。
     それで責任とれるのか!?
  • 「棄てても棄ててもワクチンはやってくる」小林よしのりライジング Vol.456

    2023-01-10 14:55  
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     久しぶりにコロナのグラフを製作して、ため息が出た。
     
     日本は、新規陽性者数が、欧米諸国をぶっちぎりで引き離して増加しているのに、
     
     1日のワクチン接種回数もまた、超ぶっちぎりで多いという摩訶不思議……。
     そもそも、過去3年近く、世界各国の状況を比較解説するために使ってきたこのデータ集積サイトも、コロナに関する計測を終えた国が増えたために、グラフが表示されなかったり、途中で途切れたりしている有り様だ。
     世界全体におけるワクチンブームも、次の通り、もうすっかり下火。
     
     いまだに接種に盛り上がろうとしているのは、日本ぐらいという酷い様相を呈している。
     各国が脱コロナ・脱ワクチンに舵を切ってしまうなか、クソ真面目に「コロナ怖い」を普及してワクチンを打ち続けようとしてくれる、製薬会社にとって格好のお金持ちのお客様が、日本ということだ。
      日本が現在契約しているワクチンは、合計8億8200万回分。だが、実際の接種回数は、半数にも満たない3億2000万回程度。 差し引きで、4億5539万回分のワクチンが余っており、その金額は、1兆2400億円以上だ。 どえらいこっちゃ!
     mRNAワクチンが発売された当初は、医師や専門家たちが、 「接種すれば1年~2年程度は免疫を得られる」「有効性は90%」「ワクチンを打てばコロナに感染することはなく、集団免疫が作られる」 などと製薬会社の言い分を喧伝するところから始まった。
     ところが、あれよあれよと科学フル無視のメッセージが積み重ねられてきた。
    「3週間間隔で2回打てば強力な免疫を得られる!」
    ↓↓↓
    「異物入ってた? 多少は死ぬけど気にしなーい!」
    ↓↓↓
    「心配ない。3回目を打つことでかなり重症化を抑えられるゾ!」
    ↓↓↓
    「ワクチンの有効期限、多少過ぎても、冷やしときゃ大丈夫!」
    ↓↓↓
    「人口の8割が打ったけど、まだまだいっとこう!」
    ↓↓↓
    「集団免疫? そーいう話じゃない! 4回目を打て、打つんだー!」
    ↓↓↓
    「心筋炎? そんなもん気にしたら負けじゃね?」
    ↓↓↓
    「8か月たてば、追加接種OKデス!」
    ↓↓↓
    「8か月も待つことない! 6か月で追加接種だ!」
    ↓↓↓
    「いや、6か月もいらん! 3か月で追加接種だ!」
    ↓↓↓
    「元気ですかー! 死んでないなら、まだまだ打てる! 5回目、ダーッ!」(←今ここ)
     そのうち、 「5回目と6回目は同時接種できます」「同じものをもう1本!」 みたいなことがはじまるのではないだろうか?
     だが、いくら打て打てと煽ったところで、実際の接種率は伸びておらず、日に日にワクチンは余っている。
     打てども打てども集団免疫など出来上がらず、感染者数増加はおさまらず、むしろぶっちぎりの世界一に躍り出て、しかも、感染したところで、ほとんどの人にとっては「ただの風邪」。キツすぎる副反応も体験済みだし、いい加減、打ちたくなくなるのも当然だ。
     TBSの取材によれば、 2022年、東京23区だけで、100万回分、総額27億2500万円分のワクチンが期限切れになって廃棄されていたという。さらに、関東1都6県で調査すると、合計300万回分が廃棄されていた。82億円近い税金が、棄てられてしまったのだ。
     昨年9月からは、かなり周回遅れで「オミクロン株対応」の新しいワクチンが供給され、接種間隔が、理由もよくわからぬまま「6か月」から「3か月」に短縮されたが、接種率は大して伸びず、どうやら新しいワクチンも大量に余ることになるらしい。
     ある自治体の担当者は、TBSの取材にこう答えている。
  • 「ゼレンスキーとプーチン、天地の差」小林よしのりライジング Vol.455

    2022-12-27 19:30  
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     ゼレンスキーは今のところ、確かに「英雄」である。
     ウクライナ戦争勃発以前は、政治経験のないコメディアンが大統領に当選したことを「ポピュリズムの極み」と非難し、「ゼレンスキーは間違いなく失敗する」と断言した知識人もいたらしい。
     実際に戦争前には失政も多かったようだし、まだ戦争の行方も定まらない現在、戦争後にどうなっていくかなんてことはわかりようもない。
      しかし、ゼレンスキーは現時点では間違いなく「英雄」である。
     ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、アメリカ・ワシントンを訪問、バイデン大統領と会談し、米国連邦議会の上下両院合同会議で演説した。
     2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始してから300日、ゼレンスキーが国外に出たのはこれが初めてである。
     ゼレンスキーが訪米するとの報を聞いた際に、わしがまず気になったのは服装をどうするのだろうということだった。
     オリーブ・グリーンのTシャツ、冬季の今は軍用トレーナーがトレードマークになっているゼレンスキーだが、戦争前は普通にスーツを着ていた。
     さすがに米大統領と会談し、議会演説をするのだから、今回はスーツを着てネクタイをするのかと思っていたのだが、 それがいつものオリーブ・グリーンのトレーナーのままだったので驚いた。
     それと同時に、 自分はどこに行こうと、ウクライナ大統領として戦時下にあるということを、スタイルで示しているのだろうとわしは感心した。
     ところがアメリカの「保守派」の中には、この服装が「無礼だ」と激怒した者もいたという。
     だがその批判に対しては、第2次世界大戦中の1941年に英国のチャーチル首相がホワイトハウスを訪れた際に、「サイレンスーツ」というツナギ服を着ていた事例を挙げて反論する者がいた。
     
     サイレンスーツとは、ドイツ軍の激しい空襲に遭っていたイギリスで、空襲警報のサイレンが鳴ったらすぐ服の上に着て避難できるように作られたものだ。そしてこのスーツは単に実用性だけでなく、国民が一致団結して戦い抜く象徴的な意味合いも持つようになったという。
     ゼレンスキーがチャーチルのサイレンスーツを意識していたかどうかはわからないが、 ロシアが軍事侵攻を開始すると、ゼレンスキーは直ちにスーツとネクタイをやめ、ロシア軍と戦うウクライナ国民に近い服装であるTシャツ姿になることで国民との団結を示し、それ以降、どこに行くにもそのスタイルを貫いている。やはりそのセンスは素晴らしいというしかない。
     服装ひとつにも文句をつけたように、アメリカの「保守派」にはゼレンスキーを快く思わない者がおり、特にトランプ前大統領の一派にはそれが顕著である。
     その理由として、巨額に上るウクライナ支援が、トランプの掲げた「米国第一」の政策に反するということがある。
     トランプの「親衛隊長」といわれる共和党のグリーン下院議員は巨額支援を「ばかげている」とSNSに投稿し、ゼレンスキーを「(米国を操る)影の大統領」と、陰謀論めいた呼び方で揶揄した。
     また、トランプの長男・ジュニアはゼレンスキーを「恩知らずな国際的福祉の女王(welfare queen)だ」と罵っている。
     もともと「福祉の女王」とは1970年代、巨額の福祉支援金を詐取してぜいたくな暮らしをしていた女性詐欺師に付けられた呼称である。
     当時大統領を目指していたレーガンが、これを政府の福祉政策の無駄を批判するキャンペーンに利用し、それ以降 「福祉の女王」は、米国の保守派が社会福祉の縮小を主張する際に使う特有の表現となった。
     日本のネトウヨの「生活保護バッシング」も、これと似たような感覚だろうが、トランプ政権では特に「福祉の女王」が唱えられていたらしい。
     だが、 トランプ一派がゼレンスキーを目の敵にするもっと大きな理由は、もともとトランプがプーチンとズブズブの関係だったからだろう。
     そもそもトランプが2016年に大統領に当選できたのも、ロシアがサイバー攻撃やSNSによるプロパガンダなどの世論工作・選挙干渉を行ったためと言われているし、同様の選挙干渉は前回の大統領選でも行われたとされている。
      そしてトランプは、プーチンが侵攻直前にウクライナ東部の親ロシア派地域の「独立」を承認したことを「天才的だ」と称賛し、同地域へのロシア軍派兵が「最強の平和維持軍になる」とまで言っていたのである。
      日本のネトウヨがゼレンスキーを叩いているのも、Qアノン的なトランプシンパが多いからではないか。
     アメリカではトランプが今なお復権を狙っていて、その支持者も一定数存在する。そして、トランプの支持者ではなくとも、巨額な支援に反発する者はかなりいる。
  • 「『戦争論』でわしが間違っていた記述」小林よしのりライジング Vol.454

    2022-12-13 19:45  
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     わしは「ミスをする天才」であると、だいぶ昔描いたことがある。
    『ゴーマニズム宣言』も膨大な話題について触れ、『戦争論』や『天皇論』シリーズも描いてきたが、時代の変化につれ、ミスが見つかったり、アップデートしたかったりする箇所はある。
     増刷される機会があれば、修正した方がいいのかもしれないし、いちいち少部数の増刷で修正していたら、編集者や印刷会社には手間がかかるから、申し訳ない気もする。
     それにその時代の表現だったり、そのときまでのわしの思想だったりするので、間違いは間違いとして残しておいたほうが誠実なんじゃないのかという考えもある。
     だが、どうしても訂正しなきゃならない箇所があれば、修正し、謝罪することだってある。
     言いっぱなしで転向するのは卑怯だし、思想の成長にならないから、「謝ったら死ぬ病」にだけは罹らないようにしたい。
    『新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論』(幻冬舎)は平成10年(1998)に出版し、来年には刊行25周年となるわしの代表作のひとつで、これまで60刷以上を重ねている。
     戦後に「自虐史観」が席巻してしまった日本の歴史観に、大転換を巻き起こした世紀の書であるとの自負もある。
     だがその中に、最近になってミスが見つかった。
     第18章『軍部にだまされていたのか?』の冒頭で、統一協会の元信者が起こした 「青春を返せ訴訟」 について描いているが、この部分に現在の認識からすると大きな誤りがあり、このままでは統一協会を利してしまう恐れすらあることがわかったのだ。
     まだ誰にも指摘されてはいないのだが、見つけてしまった以上、隠すわけにはいかない。
     そこで今回は、このことについて説明しておきたい。
     統一協会の元信者が、教団の勧誘や教化の方法は違法なものであるとして、教団などに損害賠償を求める裁判が昭和57年(1987)の札幌地裁を皮切りに、全国で起こされた。
      原告は青春のすべてを捧げて活動して、裏切られたとして「青春を返せ」と訴えたことから、これらは「青春を返せ訴訟」と呼ばれた。
     平成10年3月、名古屋地裁で初めての判決があり、裁判所は教団の行為は元信者に対する不法行為とは言えないとして、原告の請求を棄却した。
     わしは『戦争論』の中で、この名古屋地裁判決について 「信仰を捨てたとたん『青春を返せ』と言ったって棄却されて当たり前じゃないか」 と賛同してしまった。
     そしてその上で、こう描いている。
    元信者たちは結局
    「信じたんじゃない だまされたんだ」
    と言ってるわけだ
    悪かったのは文鮮明教祖であり
    統一教会という組織であり
    その幹部たちだと
    オウム真理教を脱会した元信者にも
    似た言い方に転じた者がいた
    「麻原が悪い」
    「麻原は俗悪なおっさんだ」
    「麻原はサギ師だ」
    「マインドコントロールのせい」
    「信者はだまされていただけ」
    かくして元信者たちは
    自分たちが愚かであったことは認めても
    悪かったこと 自分たちにも
    責任があることは認めず
    教祖や幹部だけを悪者にして
    自分だけどこまでも純粋で
    善良な人間であろうとする
    「私たちは教団にだまされていただけ!」
    だまされることを決断した自分はいないのか?
    信じることを決断した自分はいないのか?
    「だまされる」ことと「信じる」ことは
    両面張り合わせのひとつの心理だ!
    この元信者たちは実は相当恥ずかしいことを主張している
    つまりこう言ってるのだ
    「『自分』はなかったのです」
    「カラッポだったのです」
    「決定する主体たる自分はなかった」
    「だまされただけ!」
    わしは統一教会とオウム真理教に深く関わってしまったために
    「だまされていただけ」と言って
    自分の責任を棚上げにするやつが大嫌いになってしまった
      
     ボロッカスである。
     いま見ると、残念ながらこれは認識不足と言わざるを得ない。
     確かに執筆当時、「青春を返せ訴訟」では元信者側の敗訴が続いていた。
      だが『戦争論』発行以後、平成12年(2000)には広島高裁岡山支部で教団の違法性を認める全国初の判決が出て、その判決が翌年、最高裁で確定した。
      これにより、統一協会の勧誘・教化の方法は違法であるという判例が確立し、以降の裁判では元信者側の勝訴が相次ぎ、今日に至っている。
     確定した判決では、 統一協会が正体を隠した勧誘を行い 、 計画的に自由意思を制約し、自律的な判断能力を奪った上で入信させる手口 が、 憲法に保障された宗教選択の自由を侵害している ことや、 不当に高額の献金をさせる ことによって元信者の生活を侵し、 自由に生きるべき時間を奪った ことなどが、不法行為に当たると認定している。
     現在、統一協会が違法な活動をしているとして、教団の解散や被害者救済へ向けた動きが加速しているが、その「違法活動」が行われたとする根拠こそが、これら「青春を返せ訴訟」の判例なのだ。
     わしも現在、統一協会の行為は違法であると非難しており、また、統一協会は創価学会などの宗教とは違うという主張もしている。
     そしてその根拠は、 第一に統一協会は正体を隠して接近 してくること、 第二に自律的な判断能力を奪った状態で入信させ、献金させている ことであり、つまり「青春を返せ訴訟」の判決で確定したことと同じ理由なのである。
     たとえ元信者たちが「カラッポだった」「決定する主体たる自分はなかった」と主張したとしても、それは「相当恥ずかしいことを主張している」とまで言うわけにはいかない。
      実際にマインドコントロールによって「カラッポ」にされ、「決定する主体たる自分」を喪失させられていたと認定し、これは「だまされただけ」だったと言っても仕方がない。
     そういうわけで、元信者側が敗訴した「青春を返せ訴訟」の一審判決を『戦争論』の中でわしが支持し、元信者側を批判したのは間違いだったと言うしかない。
    「オレオレ詐欺」に騙される老人も結局、人がいいから騙されるのだろう。わしは「個」の確立を啓蒙してきた。だからサタンを飼いならす「個」が必要だというのは真理だ。
     だが、ようするに「善良で純粋で、騙されやすい人だって、この世にはいる」と認識しておかなければ、弱者を救えない。
     三浦瑠麗や太田光が統一協会に関心を持たないのは、個の弱い弱者を馬鹿にしているからだろう。自己責任が身についているから、信仰は個人の自由でいい、騙される奴が悪いということになる。
     以上の認識を再確認したうえで、ではなぜ当時わしが『戦争論』であのようなことを描いたのかを検証しておこう。
     この章はまず、統一協会に洗脳されて家族が崩壊してしまった、わしの叔母の話から始まっている。
  • 「財務省、怒る。コロナ特別措置はいい加減にしろ!」小林よしのりライジング Vol.453

    2022-11-22 19:25  
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     11月7日、財務省の財政制度分科会・増田寛也会長代理が記者会見を行い、 コロナワクチンの全額国費負担について、廃止を検討すべきだ と述べた。
     財務省は、コロナだけを特別扱いし、多額の国費を割いている現状に問題があると指摘しており、ワクチンだけでなく医療の面でも特例的な措置については見なおすべきだという「厚労省批判」ととれる見解を発表。
     ワクチン接種そのものに反対しているわけではないが、財務省が財政制度審議会に提出した資料は、なかなかの内容だったので、今日はそれを紹介したい。
    ●2022.11.7 財務省 財政制度分科会 議題「社会保障」配布資料
    https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20221107.html
     今回、財務省は、「ウィズコロナへの移行と全世代型への制度改革」を掲げ、社会保障の現状について精査している。
     まず、現状の日本では、今後3年間で後期高齢者が急増する一方、 コロナによって少子化が加速したことで、人口減少が、推計されていたものよりも7年程度前倒しされている状況である と報告。
     
     人に会うな、近づくな、人を見たらコロナと思えと喧伝し、経済はわざわざ悪化させる一方で、不安が膨らむばかり。おまけに、妊婦は強制PCR&帝王切開という扱いだ。躊躇する夫婦も増えただろうし、出生率が下がるのは当然だろう。
     
     さらに、2番目のグラフを見ると、後期高齢者人口の増え方が、今年以降の3~4年間で急角度の右肩上がりになっているのがわかる。1947~49年の第1次ベビーブームで生まれた団塊の世代が、ごっそり75歳以上のゾーンに入るからだろう。
     このうち一定の割合が、毎年寿命を迎えて死んでいくことになる。
     コロナでは、他国に比べて死者の出なかった日本だが、これからは避けようのない寿命を迎え、毎年どんどん死者数が増えることになるわけだ。
    「あれだけ自粛を強いて、経済を犠牲にし、一体なにを守ったんでしたっけ?」
    という話である。
     また、この後期高齢者人口の急増については、話題の「超過死亡」について捉えるとき、頭のなかに置いておかなければならない点でもあると思う。(※今回は超過死亡についての記事ではないよ!)
    「コロナによって少子高齢化が、ますます加速したぞ!」「今後は後期高齢者が急増だ!」と印象づけたあと、財務省は、「新型コロナの重症化率等の推移」について独自に分析した結果を発表。
    〇オミクロン株への変異により、感染者数は大きく増加したものの、重症者数は減少している。
    〇直近の新型コロナの重症化率等については、季節性インフルエンザの比較も含め様々なデータが示されており、これらを踏まえて今後の政策を検討していくべきである。
     
     出所は、厚労省のオープンデータだ。武漢株、デルタ株の時期よりも、現在ははるかに新規感染者数が増えているにもかかわらず、重症者数はそれに比例して増えているわけではないことがよくわかる。
     さらに、東京における第7波の致死率をズバリ。
  • 「WGIP(ウォーギルト)洗脳」小林よしのりライジング Vol.452

    2022-11-08 16:00  
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     統一協会の被害救済法案を巡る議論で、「洗脳」や「マインドコントロール」の定義が問題になっている。
     与党側は「マインドコントロール」の定義が難しいとして、法案にこの言葉を使うことに難色を示しているという。
     だが、定義が難しいからといって「洗脳」や「マインドコントロール」の概念を曖昧にしてはいけない。これは統一協会などカルトの問題だけには留まらないので、一度整理しておく必要がある。
     そもそもの 「洗脳」の語源は中国語 で、成立から間もない中華人民共和国が、旧体制の知識人などを監禁のような特異な環境下に置き、物理的・社会的圧力を加えて 強制的に行った「思想改造」 のことを意味しており、 1950年代から 広まった言葉である。
     一方、 「マインドコントロール」は強制力を伴わない手段を用い、心理操作によって自律的な決定権を奪い、様々な判断を自らの意思ではできない精神状態にしてしまうことをいう。 これは90年代に統一協会が問題になった頃から一般化した言葉である。
     そして、実は学校や刑務所での 「教育」も、ある情報操作によって人の心理を一方向に導くものであり、これもマインドコントロールの一種 なのである。
     本来の「洗脳」は、あくまでも強制的な手段を用いて行われるものを指していたのだが、「洗脳」の語は一般的に使われるようになるにつれ、意味合いが拡がっていった。
     そして今では強制力の有無とは関係なく、人の主義・思想を恣意的に改めることは全て、普通に「洗脳」と呼ばれるようになっている。
     つまり、狭義の洗脳は強制力を伴う本来のものに限られるが、広義の洗脳はものすごく幅があり、強制力を伴わない「マインドコントロール」も「教育」もその中に含んでいるのである。
     なお、平凡社の百科事典「マイペディア」では 「程度の差、手法の巧拙はあれ、あらゆる教育が洗脳である」 と明記している。
     というわけで、普通に使われる広義の意味での「洗脳」は、
    【狭義の洗脳】>>>【マインドコントロール】>>>【教育】
    となっている。
     その強制力の程度にはかなり差があるが、それぞれの境界はグラデーションになっていて、はっきり区別することはできないものなのである。
     さて、わしは『新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論』(1998年・幻冬舎)で、日本敗戦後の米軍による占領政策について、次のように描いた。
    アメリカGHQは「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」という、日本人に戦争の罪悪感を植えつける洗脳計画を実行した。
    あらゆるマスコミを検閲し、日本は戦争中こんな残虐なことをした、悪の軍隊だった、原爆落とされても仕方ないくらいの愚かな国だった、日本人は軍部にだまされていたのだ…という情報を、映画・ラジオ・新聞・書物などで徹底的に流し続けたのである。
    日本国民はコロ~ッとこれに洗脳され…
    「軍部にだまされていた私たちを救ってくれたのはアメリカ様だ、GHQ様だ」
    「日本に民主主義のプレゼントありがとう」
    「日本人の戦犯はさっさと処刑しちゃってください」
    「戦争はもうイヤです」
    「もうしません。歯向かいませんとも」

    「戦争は悪です」
    「軍隊もいりません」
    「平和が何よりです」
    「ギブミーチョコレート」
    「ギブミー日本国憲法」
    当時、GHQには「マッカーサー様ありがとう」と感謝する手紙が次々と舞い込んだという。
    こうしてオウムの信者並みにGHQにマインドコントロールされた日本人は50年たった今も、よりキツイ「洗脳されっ子」となって、当時、東京裁判でもまったく問題にならなかった戦場慰安婦のことまでも「従軍慰安婦」と名づけ、自ら…
    「ここにも犯罪があったじゃないか――」
    …と世界に叫び始めたのである。
    (第4章『東京裁判洗脳されっ子の個人主義』)
     この部分は『戦争論』の中でも特に反響が大きく、「自分も洗脳されていた」「目が覚めた」といった感想を実に数多くもらった。
      当時は「従軍慰安婦」が全ての中学歴史教科書に記載され、自虐史観が極限まで達していた。
     なぜ教科書までがここまで自虐史観に染まり切ってしまったのかといえば、それは確実に洗脳の結果だった。
      だからこそわしは西尾幹二氏、藤岡信勝氏らと共に「新しい歴史教科書をつくる会」を作り、自虐史観をひっくり返そうとしたのである。
     ところが『戦争論』から24年経って、 「自虐史観はGHQの洗脳のせいではない」 と主張する本が出て来た。名古屋大学大学院特任准教授・賀茂道子著 『GHQは日本人の戦争観を変えたか 「ウォー・ギルト」をめぐる攻防』 (光文社新書)である。
     もしこの本が正しければ、わしは『戦争論』の記述を大幅に修正しなければならないが、果たしてどうなのか?
  • 「【テロに屈するな】という標語は無意味」小林よしのりライジング Vol.447

    2022-09-20 19:35  
    150pt
     統一協会という「反日・反天皇カルト」を国家の中枢まで招き入れた人物を「国葬」にすることには反対の方が多くなっている。法の根拠がないまま、閣議決定で決めたことには首を傾げるが、弔いたい人はそうすればいい。
     奇しくも昨日、イギリスのエリザベス女王の国葬が行われたから、皮肉な格好になってしまって気の毒でもある。
     これまで散々「安倍マンセー」を唱えてきた言論人は、安倍が選挙に勝つために統一協会と手を組み、そのおかげで「憲政史上最長の政権」を維持していたという「不都合な真実」から目をそらそうと必死である。連中も所詮は 「反日・反天皇カルト」 に与する売国勢力にすぎないのだ。
      普通の宗教なら、自分の正体を隠して、日本人だけを洗脳し、主体性を完全に奪って、集金奴隷に改造するようなことはしない。統一協会は明らかに人権無視のカルトなのだ。
     7月10日、ニコニコチャンネルの参院選開票特番で、国際政治学者・ 三浦瑠麗 、批評家・ 東浩紀 、ノンフィクションライター・ 石戸諭 の3人が、社民党党首・福島瑞穂の発言に対して、常軌を逸した反応を示す一幕があった。
     福島はまず、安倍が殺害された事件について 「いかなる暴力にも反対する」「安倍さんの死に哀悼の意を表する」 と述べ、その上でこう発言した。
    「もし統一教会を応援しているということが問題とされたのであれば、まさに自民党が統一教会によって大きく影響を受けている、ということも日本の政治の中で、これは問題になりうると思っているのですね」
     見事だ!ぴしゃり、当たっている!
     これに東は 「『自民党は統一教会と関係しているからこのようなテロを招いた』と言った」 と口調を荒げ、三浦は 「ほぼそれに近い」 と同調。
     さらに東は 「これは大変な発言ですよね!」 と言い、石戸が 「だから福島さんというか、社民党は小さくなるんですよ!」  と非難し、さらに三浦が 「これはもうニュースになってしまいます。しかし申し訳ないけど私の責任ではないと思います。一度、牽制球を投げましたからね。」 と言ったのである。
     福島は「自民党は統一教会と関係しているからテロを招いた」とは言っていない。あくまでも自民党が統一協会の影響を受けていたとしたら問題ではないかと言っているだけで、それは全く真っ当なことである。
     それなのに三浦瑠麗、東浩紀、石戸諭の3名が、ここまで狼狽するというのは、見るからに異常である。
     実はこの3人こそが、自民党が統一協会と関係があると知れたら大変なことになると心底恐れていて、そこに直接触れる発言がいきなり出てきたものだから、パニックを起こしてしまい、全力で封殺しなければならないと血相を変えたのだろう。
      しかしその後たちまち、統一協会と自民党、特に安倍政権がズブズブの関係だったということは、隠しようのないものとなった。
     すると、「自民党と統一協会に関係があるなんて、その可能性について言うことすらまかりならん!」と言っていたはずの三浦瑠麗は、「自民党と統一協会に関係があったとしても、そもそも統一協会なんて大した問題ではない」という発言を繰り返すようになった。
     8月26日の「朝まで生テレビ!」では 「統一協会で何を今さら騒いでるんですか、みんな知ったことでしょ。私はこの問題に興味ありません」 とまで発言。興味のない問題で、なぜあんなに狼狽したのか?
     さらに三浦は 「すごい献金してて困窮してても、多くの家族は山上みたいに殺人してない!」 だの 「反日なんて言葉使わないで!」 だのと、問題を矮小化しようと必死だった。
     一方の石戸も、 「選挙運動を手伝ったり、政治家のパーティー券を買ったりと政界とのつながりは現在もある (中略) だが、つながりがあることと、影響があることはまったく別の問題である」( サンデー毎日8.14号)だの、統一教会が持つ票数は8~15万票程度だから 「公明党の支持母体・創価学会が持つ600万~700万票にも遠く及ばない」 (SPA!8.2号)だのと書いている。
     統一協会信者の実数は6万人程度で、石戸の言う「8~15万票」より少ないが、選挙ではものすごい僅差で勝敗が決まる激戦区があり、当落ギリギリの候補へ効果的に票を割り振れば、6万票で何人かは当選させられる。実際に安倍は実際統一協会に頼んで票の差配をやっていたし、ましてや地方議会はもっとずっと少ない票数で決まるから、その威力は相当なものとなるのは間違いないのである。
     SPA!の執筆者の批判は、SPA!連載の『ゴーマニズム宣言』で描いてはいけないというルールを強いられているのでここで書くが、石戸は事実を平然とねじ曲げて、統一協会の問題を火消ししようと躍起となっているのだ。
  • 「安倍マンセーの方々へ」小林よしのりライジング Vol.443

    2022-08-02 16:45  
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     統一協会の話題を、テレビも週刊誌もどんどん扱っている。
     先週の時点では、権力に忖度して沈静化していくのではないかと危惧していたが、統一協会を扱えば視聴率が上がる、部数が伸びるという現象に、もう各局・各誌とも抗えない状態になっているようだ。
     安倍晋三があんなに無惨に殺され、しかもそのことによって安倍と反日・反社会カルトである統一協会の癒着関係が明るみに出されてしまうという事態は、 「安倍マンセー派」 にはとても耐えがたいことだろう。 「私の心の中の美しい安倍晋三を汚さないで!」 みたいな心の叫びが聞こえるようだ。
     そんな、何が何でも安倍のことは美化しておきたい「安倍マンセー派」のために、「月刊WiLL」も「月刊Hanada」も「月刊正論」も、安倍追悼の大特集号を組んでいる。
     そこでの安倍は 「不屈の政治家」 であり、 「稀代のリーダー」 であり 「自由の守護神 」 であり 「日本の宝」 であり…と、賛美、賛美、賛美の嵐である。
      まるで、文鮮明を「メシア」と賛美するかのように。
     もちろん3誌とも安倍と統一協会の関わりなど一切触れず、そればかりか、 銃撃の原因となったのは悪意ある安倍批判を繰り返した「アベガー」(サヨク)のせいだとする記事まで載っている。 「愛する安倍さんの裏にそんな闇があったなんて、そんなこと見たくなーいっ!」 といった状態である。
     メディアでは連日、統一協会と安倍晋三・自民党の癒着関係が報じられているのに、ここは全くの異世界である。現実に対して徹底して目を塞いでいるその様子は、それこそが「信仰」であり「カルト宗教」であるとしか言いようがない。
     そしてこれは信仰であるがゆえに、議論が一切通用しない。
      首相時代の安倍があんなことをした、こんなことをしたといくら具体的に挙げても、「『アベガー』だ!」と言って、一切聞こうともしないのだ。
     統一協会の信者が、 「サタンの言葉だ!」 と言って都合の悪い声に耳を塞ぐのと同じである。
     だが、そんな安倍マンセー教信者にも、決して「『アベガー』だ!」では否定のできないことがある。
     それは、 安倍晋三が 「戦後レジームからの脱却」 を掲げながら、それを全てベタ降りしたことである。
     安倍は第一次政権発足時に 「村山談話」(侵略史観)を踏襲する と言い、 「河野談話」(慰安婦強制連行)を踏襲する と言い、 「東京裁判」に異議を唱える立場にない と言い、ついにこれを撤回することはなかった。
     そして 集団的自衛権の行使容認については、まずアメリカ議会で約束して、それから日本の議会での議論を開始した。
      戦後レジームの根幹は、アジア侵略史観(自虐史観)とアメリカ追従である。 安倍はこれから脱却すると言っておいて、より強化してしまったのだ。
     これは決して否定のできない事実としてあるのだから、絶対に反論のしようがないことである。
      しかもこの上に、統一協会の問題が加わるのだ。
     ジャーナリスト・鈴木エイト氏が公表したリストによれば、統一協会と関係のある国会議員は112人で、うち98人が自民党議員、中でも安倍派が35人に上る。しかも、まだ公になっていない議員は他にもいると考えられるという。
     明らかになっているだけで、自民党の国会議員の4分の1以上が関わっているというのだから、びっくり仰天である。
     しかも、警察組織を管理する立場にある 国家公安委員長までも、統一協会の関連団体が主催するイベントの「京都府実行委員会委員長」を務めていた ことを認めている。全く狂気の沙汰であり、そして それは全て第二次安倍政権発足以降に顕著になったことなのである。
     中でもわしが特に重視しているのは、2013年の参院比例で初当選した元産経新聞記者・ 北村経夫 への選挙協力の件だ。
     統一協会の内部文書には、 安倍から直々に北村を後援してほしいとの依頼があったと記され 、さらに「まだCランクで当選には遠い状況」だった北村を当選させることが「組織の『死活問題』です」と書かれていたという。
     その結果、北村は当選。二期目を目指した2019年の選挙でも、初当選時と同様に盤石な地盤を築けていなかったにもかかわらず、 安倍が選挙直前に慌てて統一協会に支援を依頼し、再選されたといわれている。
     広告塔として利用されていたという程度なら「知らないうちに悪用されていた」なんて言い訳もできなくはないが、 安倍が自ら直々に統一協会(カルト団体)に後援を要請し、票の差配をして当選したとなれば、致命傷ではないか? 
     公明党・創価学会に協力してもらうのが当たり前になって、完全に感覚がマヒしていたのかもしれないが。
     いずれにしても、安倍晋三と統一協会の間には「ズブズブ」程度の言葉では言い表せないくらいの関係性があったのは間違いないし、このままいけばこれからも事実がどんどん明るみに出されるだろう。何しろ30年分の事実が眠っているのだから。
     だが、否定しきれないほどの事実が出てきた時に、自民党・ネトウヨ・安倍マンセー派たちがどうするかは目に見えている。
  • 「安倍晋三を信じたわしの黒歴史」小林よしのりチャンネル Vo.442

    2022-07-26 19:50  
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     安倍晋三殺害の背景について、統一協会の問題が報じられるようになったが、それを嫌がる「安倍マンセー派」がいるようだ。八木秀次(自称保守)から三浦瑠麗(自称リベラル)までというのが可笑しい。
     そういえば三浦瑠麗は、皇位継承は悠仁さままで続けるべしと言っていたから、リベラルというよりは「安倍マンセー派」なのだろう。
     三浦は安倍銃撃事件で、統一協会と政治の結託を報じるマスコミは「倫理的ではない」と言っていたから、呆れかえった。
    「テロリストの動機を報じることはテロに屈することになる」という定型文を信じているんだろう。まさに学歴秀才の答案のようだ。
     こういう「安倍マンセー派」の圧力にマスコミがどこまで耐えられるか分からない。また沈静化したら、再びカルト集団の政治への浸透が始まるのだろう。
      統一協会と政治との関りこそが「非倫理的」なのだ!その不都合な真実を隠蔽することも「非倫理的」である。
     それはまた追及するとして、今回は安倍晋三とわしの係わりについて、実際の交流を中心に今まで書いていなかったことも含めて記録として残しておきたい。
     安倍晋三とは、今から20数年前「新しい歴史教科書をつくる会」で初めて会った。わしも安倍も40代半ばで、まだ若かった。
     その頃の安倍は、歴史のことなんかほとんど知らないようだった。そんな安倍に、わしや藤岡信勝など「つくる会」のメンバー数人がどんどん「反・自虐史観」を吹き込んでいった。
     安倍に歴史観のようなものを最初に啓蒙したのは、基本的にはわしや「つくる会」の数人であり、それがスタートだったのである。
     早逝してしまったが、中川昭一も同じように「つくる会」を通して知り合い、 中川とも安倍とも会食して酒を飲んで話をした。二人ともそのうちにわしらの歴史観に同意し、つくる会にも賛同してくれて、その時は蜜月状態という感じだった。
     当時は自虐史観の全体主義が強固に出来上がっていた。
     平成12年(2000)12月にはある反日左翼団体が 「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」 なるイベントを開催。法廷を模した舞台で 「天皇裕仁及び日本国を、強姦及び性奴隷制度について、人道に対する罪で有罪」 とする「判決」を勝手に下した。
     もちろん一切の法的根拠もなく、反日左翼がただ悦に入るだけの「裁判ごっこ」でしかなかったが、こんなものをNHK教育テレビ(現・Eテレ)が取材し、ETV特集シリーズ『戦争をどう裁くか』第2夜「問われる戦時性暴力」という番組にしてしまった。
     放送前には右翼団体などがNHKに街宣活動をかけ、NHKは急遽、現代史家・秦郁彦から「女性法廷」に批判的なコメントをもらって入れるなどの再編集をして放送した。
     そしてその4年後の平成17年(2005)1月、朝日新聞は1面トップで 「NHK『慰安婦』番組改変 中川昭・安倍氏『内容偏り』前日、幹部呼び指摘」 という見出しの記事を出した。中川昭一と安倍晋三がNHKの幹部を呼び出し、「圧力」をかけて番組を改変させたというのだ。
     そもそも、反日左翼の自己満足イベントを一方的に扱って番組を作ったこと自体がとんでもない偏向だったのだが、朝日の1面トップを使ったキャンペーンによって、問題は「報道・表現の自由」と「政治権力の圧力」にすり替えられ、中川と安倍には「言論弾圧」をする政治家というイメージがつけられそうになった。
      だが、中川と安倍がNHKの幹部に会ったのは放送後であり、朝日新聞は今に至るも、未だに中川・安倍の圧力で番組が改変されたと認められる確かな根拠を提示していない。
     わしはこの時、二人を擁護する言論を展開し、安倍氏からは仕事場に直接お礼の電話が来た。
      当時は自虐史観こそが絶対の正義であり、これに異を唱える政治家など、どんな手を使っても潰していいという狂った正義感が、朝日新聞などのメディアには普通に存在していたのだ。
     そしてさらに翌年・平成18年(2006)9月、ついに安倍晋三は内閣総理大臣に就任した。
     自らを「闘う政治家」と称し、 「戦後レジームからの脱却」 を掲げる安倍に、わしは最大限に期待した。
     ところが安倍は首相に就任するや否や、 「村山談話」(侵略史観)を踏襲する と言い、 「河野談話」(慰安婦強制連行)を踏襲する と言い、 「東京裁判」に異議を唱える立場にない と言い、挙げ句の果てには祖父の 岸信介が東条内閣の閣僚として開戦の詔書に署名したことを「間違いだった」 と言ってしまった。
      肝心の歴史認識について、全て「ベタ降り」してしまったのである!
     前年の「NHK改変報道」以降、朝日新聞を始め左翼メディアは、自虐史観に従わない政治家を潰そうと虎視眈々の状態だった。安倍はその圧力に屈したのだ。
     そしてそれ以上に、 安倍は米国を恐れたのだろう。 自虐史観は東京裁判史観であり、つまりは米国中心史観である。これを否定して米国との間に軋轢が起きることまでは、安倍は覚悟できなかったのだ。
     わしはこのことを、SAPIO誌に連載していた『ゴーマニズム宣言』で痛烈に批判した。
     
     安倍内閣の閣僚の不祥事に対しては、メディアはすさまじい追及を行い、現職大臣の自殺という事態まで起きた。そして安倍は就任1年足らずで病気を発症し、政権を投げ出した。わしはもう、茫然自失だった。そして自民党政権はその後も迷走を続け、民主党に政権交代してしまった。