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『SHIROBAKO』と作品の受け手はどうあるべきなのか問題。

 アニメ『SHIROBAKO』を全話見終わりました。  ついこのあいだ見始めたばかりなのに、ぼくとしてはめずらしいくらいのスピードで最後まで見てしまった。  いやー、面白いですね!  近年まれに見る――かどうかはわかりませんが、傑作といっていいかと。  東京郊外にあるアニメーション制作会社を舞台にさまざまなトラブルに立ち向かう群像を描き出した作品なのですが、とにかくよくできている。  どこがどう凄い!とはっきりいえるものではないのだけれど、逆にいうとそこが凄いのでしょう。  極端に深刻にしたり、萌えに走ったり、リアルに徹したりしているわけではないのに、ちゃんと面白い。全体の完成度の高さで勝負できている。  その点を高く評価するべき作品なのだと思います。  こういう作品はこれはこれで凄いように思います。  たぶん極端に振っちゃったほうが簡単なんですよね。  アニメ制作現場の描写なんて、その気になればいくらでも先鋭的にできるだろうに、そうしないでバランスを取っている。その良識が感動的です。  個人的に感心したのは、このアニメ、ストーリーが途中から始まっているんですよね。  いきなりあるアニメの制作状況の途中から始まって、そのまま話が進んでいく。  それまでどうだったのかの説明は一切なし。だれがどういう性格なのかも説明なし。  ただ、各登場人物の芝居のなかでいつのまにかどの人が何者なのかがわかるようになっている。上手いなあ。  初めは何がなんだかだったのに、いつしかすべてがわかるようになっているのだから、スマートです。  こういう地味ともいえる作品が一定以上話題になってちゃんと評価されている事実は素晴らしいですね。  各登場人物も萌えキャラといえばそうなんだけれど、あまりそこが強調されているわけでもないので、地味といえば地味なはずなんですけれどね。  見ているとまったくそういう印象は受けない。とにかく楽しい映像体験でした。  登場人物といえば、出て来るキャラクターのうち何人かは業界関係者がモデルになっているらしいんだけれど、よくわからない(笑)。  庵野さんくらいかな、ぼくがわかるのは。庵野さん、思い切り庵野さんでしたねー。アニメになってもよくわかる個性ですね。  そういうわけでとてもとても面白かったのですが、いち視聴者としては身に詰まされる作品でもありました。  いや、ぼくたち視聴者はいつもかってなことばかりいっているけれど、作るほうは大変だよなあって。  ほんとうはさらにさらに大変なのでしょう。  そうやって作ったものをただみたいな価格で観ているのだから、もうありがたいというか申し訳ないというか。  ぼくは 

『SHIROBAKO』と作品の受け手はどうあるべきなのか問題。
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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