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『コードギアス』がうつ病の壁を乗り越えるとき。
2016-05-18 02:5251pt
漫画家の田中圭一さんとブロガーのずんずんさんによる「うつ対談」を読みました。田中さんがうつ病の最中ですら楽しめたあるアニメについて語る下りが印象的です。
田中圭一(以下、田中) 感受性が鈍ってしまううつ期間は、コンテンツが好きな人にとってとてもつらい期間ですよね。
ずんずん ええ、それまであんなに毎日を充実させてくれていた映画やアニメを観ても、漫画や小説を読んでも、全然心を動かされなくて、本当に退屈でした。
田中 僕は、うつがひどい時期でも、かろうじて自分が一番好きなジャンルのものだけは、接していました。
ずんずん どのジャンルですか?
田中 僕の場合はアニメです。深夜アニメだけは、うつの時期も継続して観ていました。それも「観てる」っていうよりは、「頭に入れる」っていう感覚でしたけど。
でもそんな精神状態だったのに、「これは面白いな!」ってアニメが一つだけあって。
ずんずん それ、気になります! なんていうアニメですか?
田中 『コードギアス 反逆のルルーシュ』!
https://cakes.mu/posts/12946
おお、『コードギアス』すげえ!
たしかにテレビシリーズは一期、二期ともとんでもない面白さだったものなあ。
テーマ性の深さとかは置いておくとしても、その純粋な展開の面白さは、過去に見たアニメのなかでも一、二を争うかも。
『亡国のアキト』も序盤は素晴らしかったのだけれど、ラストで失速しましたねえ。いやまあ、その話はいいのだけれど。
その一方で、ずんずんさんもうつの時期に自分を支えていたコンテンツについて語っています。
田中 ずんずんさんは、何か心の支えにしていたコンテンツはありました?
ずんずん うつの時期は、「商業BLマンガ」を読むことだけが楽しみでした。BLはとても優しい世界なので、うつの自分を支えるために、週に2冊ずつ行きつけの書店で買っていたのですが、そうしたらなんと、その書店の商業BLコーナーが拡大したんですよ!
田中 なんと!(笑)
ずんずん 引っ越してからその書店には行けなくなってしまったんですが、その後しばらくして、友達から「あの書店のBLコーナー、縮小したよ」っていう報告が入って(笑)。そのとき、自分が買い支えていたことに気づきました。
最後は笑い話になっていますが、なるほどなあ、とも思います。
ぼくにはBL作品が具体的にどう「優しい」のか分析する能力はないけれど、ここでいう「優しさ」とは、『コードギアス』のような「面白さ」とはまた違う概念だと思うのですね。
『コードギアス』は素晴らしく「面白い」作品だけれど、狭い意味で「優しい」かというとそうではないと思う。
ひとは次々と死ぬし。裏切りと謀略と野心の物語だし。
一般的にいって、「面白い」物語って、必ずしもココロに優しくないと思うのですよ。
その一方でただキャラクターがいちゃいちゃしているだけみたいな物語の脚本としてはどうなんだ?といった作品は、とてもココロに優しいところがある。それはわかる。
ほんとうにココロが疲れているときは、そういう「優しい」作品しか受けつけないということもほんとうかもしれない。
疲弊した胃がおかゆしか受けつけないようなものですね。
おそらく、BL作品の「優しさ」はそれに留まらないものがあるのだろうけれど。
まあ、もちろんそうかといって「優しい」作品ばかりになって、「面白い」作品がなくなっても困るところではあるでしょう。
やっぱり「優しい」作品と「面白い」作品、両方が必要だと思うのですよね。
現代は、非常にまったりと「優しい」作品が増えた時代だという印象があります。
それだけ疲れている人が増えたということなのかもしれませんが、萌え四コマの単行本を読むことだけが人生の楽しみ、といったサラリーマンはいまどきめずらしくもないでしょう。
そういう人たちは、より一般的な意味で「面白い」作品をもう受けつけなくなっているのかもしれません。波乱万丈は現実だけで十分だ、と思っている可能性もある。
そういう人たちにとって、ドラマティックな意味で「面白い」作品は「救い」にはならないのでしょう。
しかし、その一方で、突き抜けた「面白さ」は、ある種の「癒やし」になりえることもほんとうなんですよね。
作家の夢枕獏さんが、ただ -
待望の『コードギアス 亡国のアキト』最終章に残念な気もち。
2016-03-03 22:2351pt
映画『コードギアス 亡国のアキト』最終章が配信されていたので、ダウンロードして観ました。
見たのですが――うーむ、どういったらいいだろう、まあ、正直にいうしかないのですが、これがかなり期待外れの出来。
第四章までは楽しく見ていたのだけれど、この最終章はどうにも苦笑いの連続になってしまいました。
ど、どこで狂ったのだろう。おっかしいなあ、第一章のときは傑作になる予感しかしなかったのだけれど、終わってみると紛うかたなき雰囲気アニメ。
「なんとなくそれっぽいセリフ」と「よく考えると無茶な行動」が続き、まったく納得がいかないままに終わってしまった感じです。
あまり批判的なことばかり書くのは気が引けるのだけれど、この最終章はさすがに評価できないかな、と。
ほんとうにどうしてこういうことになってしまったのだろう。
ツッコミどころがひとつふたつある程度でどうこういうつもりはありませんが、それにしてもロジックが通らない物語だったように思えます。
最後の最後でここまで評価が下がるアニメを見たのはひさしぶり。
ずっと楽しみに追いかけてきたシリーズだけに、とにかく残念です。
もちろん、作品の評価はひとによって異なっているわけですが、少なくともぼくは肯定的な評価を下せなかった。
あいかわらずアクションは迫力があるのだけれど、肝心のシナリオがここまで勢いまかせだと、一本の映画として高く評価することはむずかしいです。
ちょっとネタバレすると、この映画、最後まで主人公陣営はだれひとり死なないんですよね。
敵はわりとあっさり死んでいくのだけれど、味方はことごとく死線を超えて生き残り、べったべたのハッピーエンドになってしまう。
まあ、悲劇が良いとは一概にいえませんが、まさか前回死亡フラグが立っていたユキヤきゅんまで生き残るとは。
ちょっと意外過ぎてどうなの?と思ってしまいます。
もちろん、ひとが死ねば戦場のリアルを表現できていることになるというものではないのはわかっています。
しかし、このエンディングはやっぱり甘すぎるように思う。
結局、どこらへんが「亡国の」アキトだったのかよくわからない。
国を失ったイレブンたちの漂白は最後までべつに描かれないで終わっちゃいましたからね。
第一章の思わせぶりな展開はなんだったんだろうと思ってしまいます。
ほんと、 -
『コードギアス 亡国のアキト』はロボットアニメ王道のテーマを踏襲する傑作だ。
2015-08-07 03:1351pt
『コードギアス 亡国のアキト』第四章を観終わりました。いやー、面白かった。
いままでの三作もそれぞれに素晴らしい出来だったけれど、この第四章において物語はクライマックスにたどり着き、そのエネルギーを四散させて燃え上がります。
その迫力たるや、ロボットアニメの歴史に残るものです。
じっさい、このレベルの映像作品を何作も続けて作れる時代になったんだなあということには感慨がある。
脚本的にはいままでロボットアニメの歴史で延々と語られてきた古いテーマを踏襲しているのですが、そうだからこそ王道の魅力があり、一見、惹き込まれます。
最近はロボットアニメを見ることも減って来ているのだけれど、このシリーズは見て良かったと思わされます。ほんとうに面白い。
急転直下の第三章を受けてさらに変転する物語は、本来ならここで完結する予定だったといいますが、急遽、最終章「愛シキモノタチヘ」が付け加わった
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