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それでも海水を飲みつづけますか。(1964文字)
2013-04-09 15:1853pt
山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか』から記事をもうひとつ。この本にはこんな記述がある。
僕たちの幸福は一見、自分の「外(お金や物)」にあるようにみえて、実は、心が知覚(五感)を通じてその物質を解釈し、幸せだと感じることなのである。つまるところ、幸福は「解釈」から生まれる。
しかし、自分を含めて現代人は、知覚障害に陥っている。外(お金や物)を認識する五感ばかりが僕たちの感覚の主役となり、幸福を直接に感じとる体内センサーが麻痺しているのである。
至言だと思う。そして、この言い分を受け入れた上でなら、ぼくがいままでいってきたことも理解しやすいのではないか。幸福とは「外」からやって来るものではないということである。
いい替えるなら、幸せは外部条件によって規定されてない。それは健康であるかどうか、恋人がいるか、お金を持っているか、職があるか、といった条件によって決まるわけではないということだ。
山口は書く。
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あなたは「働いたつもり」に陥っていませんか? 何をすれば仕事をしたことになるのか。(1980文字)
2013-04-09 14:5053pt
『ファイブスター物語トレーサーエクストラ2』のインタビューで、永野護の細君である川村万梨阿が、「永野はよく仕事しろといわれるけれど、じっさいには仕事しかしていないような状態」という意味のことを語っている。
永野がゲームに夢中になったのは、仕事を終えたあとのボロボロになった身体ではそれくらいしかできることがなかったからで、かれは普段はほとんど旅行に行くこともない暮らしを送っているのだと。考えさせられるエピソードである。
「仕事しろ」という言葉に対しては、以前、冨樫義博と絡めて語ったことがあるが、これはどうにも嫌な言葉だと思う。いっているほうはネタのつもりでいっているのだろうけれど、それでもどこか残酷さを感じざるを得ない。
どんなに仕事熱心な作家だって、たまには息抜きをすることもあるし、遊んだりお酒を呑んだりすることを必要としている。作家たちのそういう行動を一々「仕事しろ!」といって潰していくことは、控えめにいっても上品な言葉とはいえないと思う。
そういうあなたはどのくらい仕事をしているのですか、ほんとうにあなたがやっている作業は仕事といえるものなのですか、と問いたくなる。
冨樫義博にしろ永野護にしろ、日本でトップクラスの「仕事」をこなしている作家である。必ずしも生産量が多いとはいえないにせよ、その作品のクオリティはなまなかなものではないわけだ。
そういう作家に向かって「仕事しろ!」というためには自分自身、どれほどの仕事をこなさなければいけないのか。同じトップクリエイターならいう資格があるかもしれないが……。
この点に関しては、最近読んだ山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか』におもしろいことが書かれていた(ちなみにこの本、いまならKindleで600円で購入できます。オススメです)。
そもそも日本のサラリーマンは、失業者や生活保護を批判するが、今の都会の大企業では、本当に必要な仕事、つまり付加価値を出している仕事は、多く見積もって4割程度だろう。もしかしたら8割の人は無駄なことや、他人(他部署)の仕事をつくり出すための仕事をしているだけかもしれない。実際は社内失業している人も多い。
もはや会社の多くは、価値を生み出す経済体ではなく、月30万~50万円の給与という名の年金を配る生活保護団体と化しているようにも見える。そんな組織を、銀行も政府も行政も必死になって支えるという構図だ。
ではなぜ、政府も国民もみな、雇用が大事だと言い続けるのだろうか?
ケインズ的な経済における労働・雇用効果を信奉しているからだろうか?
当然、違う。
それは、みな時間を持て余すことを心から恐れているからだ。現代人が真に恐れていることは、飢えることではない。存在意義(アイデンティティ)を失うことだ。
極論である。しかし、本質を捉えている。
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ネットでお金を稼ぐために必須の条件とは。(2079文字)
2013-04-04 15:1053pt
(この記事は著者さんにお願いし期間限定で無料公開させていただいております:ブロマガ編集部)
いま、山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』を読んでいるのですが、これが非常におもしろい。素晴らしい本です。
ところで、ぼくはしょっちゅうあちこちの本や映画を取り上げて「おもしろいおもしろい」といっているから、読者のなかには「こいつ、ただそういえばアクセスが集まると思っているだけなんじゃね?」と考えておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、いつも掛け値なしの本音でいっています。
おもしろいものや素晴らしいものが世の中にあふれていてぼくは大変幸せです。さらなる余談になりますが、うちの母はいつも「人生がつまらない。何もおもしろいことがない」といっているひとで、こういうひとは可哀想だと思いますね。ぼくの人生のおもしろさを少し分けてあげたいくらいです。
何の話だっけ? そう、山口揚平さんの本の話。この本はゴッホとピカソの話ではなく、お金の話をしているのですが、それがぼくとしては一々、腑に落ちる。
たとえば、いまは「信用(クレジット)」がお金を生み出す時代であることを説明した一文を引用します(横着して、この本の一部が転載されているダイヤモンド社の記事から引用するので、本文とは細部が異なっているかもしれません。その記事はこちら。http://diamond.jp/articles/-/33061)。
これは決して、松本さんならではの再現不能な話ではない。一般の人にとっても信用の土台があり、それを外部化-----つまり客観的に示して、他者に認めてもらえれば「個人がお金を発行する」ことが可能であることを意味している。可能というよりも、すでにお金という形で、各人の信用が評価される時代に入っているのだ。
また松本さんは、毎営業日、欠かさずブログを書き連ね、すでに10年近くになろうとしている。ソフトマネーを促進するのは、情報通信の発展である。有形・無形の信用が、情報通信の発展で計測でき、インターネットを通じて流通できるようになることで客観化され「お金」や「信用」として流通する動きが加速されるだろう。
資本ではない。信用(クレジット)が主体の社会、それが新しい社会システム、信用主義社会である。
松本さんとはマネックスグループのCEOである松本大さんを指しているのですが、それはこの際、関係ない。重要なのは「有形・無形の信用が、情報通信の発展で計測でき、インターネットを通じて流通できるようになることで客観化され「お金」や「信用」として流通する動きが加速されるだろう」というところ。
つまり、これからの時代はネットで情報を発信することで信用を高めていくことができ、ひいてはそれをお金に換えることができるかもしれないということです。山口さんは「たとえば、以下のようなものは立派な信用(またはお金)の源泉である」といって、ずらずらと項目を並べています。
・書いているブログの読者の量と質
・本を出していることと、そのアマゾンのレビュー
・グーグルのページランク
・ヤフーオークションなどの他者からの評価の蓄積
・ツイッターのフォロワー数やフェイスブックの「いいね!」数
・ツイッター・フォロワー数の多い人からのフォロー
・レーティングの高い人との関係の濃さ
・フェイスブック共通の友人数
・学歴、職歴
・年収、税金
・容姿、外見
・ブログのページランク
・使用可能な言語数
・言葉づかい
・家族と出自
・クレジットカードの履歴
・住所
・IQの高さ
・賞歴
・ウィキペディア
・年齢
そんなもの金になるわけないよと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。これはじっさいにブロマガを続けることで「信用」を稼ぎ、それをお金に換えているぼくとしては実によく納得できることです。
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