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日常系四コマは百合エロ漫画の夢を見るか?

 タチさんの百合四コマ漫画『桜Trick』を読んでいます。  最近、我ながら良く読むなーと思うくらい色々と漫画を読んでいるのですが、当然、そのなかには傑作もあり、凡作もあります。  で、この『桜Trick』はその中間くらい、悪くいえばそこそこ、良くいえばなかなかの作品だと思います。  いや、ほんと、あまりたくさん読みすぎるのも一作への真摯さが欠けてくるのでどうかとは思うのだけれど、まあ、読まないとブログのネタがなくなるからね……。  で、『桜Trick』。これはいわゆる無菌系四コマ(ほとんど一切男性が出てこない、女の子だけの楽園を描く四コマ漫画)とジャンル百合漫画の中間くらいにある作品ですね。  無菌系のようでもあり、ピュアな百合漫画のようでもあるという、折衷的な一作といっていいかと思います。  あるいは無菌系から百合に至るプロセスを象徴する作品であるのかもしれない。  無菌系とは「男子を見たくない!」、「恋愛のライバルになる存在を物語に出してほしくない!」というところから生まれ、流行した作品群だと思います。  ただ、そうやって男の子を物語から追放したその結果、女の子同士で恋愛することになってしまい(笑)、最近の無菌系ではわりと百合百合している作品が多いようです(最初期の『あずまんが大王』ですでにその傾向はありましたが)。  ほかの男に女の子を奪われることは耐えられなくても、女の子同士で恋愛しているところは耐えられる、むしろ歓迎する、というところでしょうか。かってなものですね……。  いずれにしろ、無菌系は男性の存在とともに、生々しい「性」の匂いを排除した作品たちでした。  まあ、無菌系の女の子たちは同人誌ではそれはそれはえろえろな目に遭っているわけですが、それはあくまでアンダーグラウンドの話。  表面的には無菌系はあくまでも無菌の清潔状態を保っていたはずなのです。  ところが、『桜Trick』は思い切り「性」の匂いをただよわせています。  女の子同士でキスするわ、するわ。ほとんど毎日エッチしている新婚夫婦か何かのよう(笑)。  いやー、エッチいなあ。ここには、無菌系から追放されたはずの「肉体」があるんですよね。  ただし、女の子同士での関係しか許されないことは何も変わってはいないわけですが。  ちなみにペトロニウスさんとLDさんは、「日常-無菌系の果てに現れた微エロ作品」というふうにこの作品を定義しているようです。  ちょっと「物語三昧」から引用してみましょう。  あんまり、仕事が忙しくて、せっぱつまっているので、LDさんに苦しいよーーーって愚痴を言っていたら、『桜Trick』は癒されます(断言)といわれたので、見てみたら、、、、、びっくりです。  ・・・・・・・これエロっ、、、って。  いやぁーーーすっごいスイッチはいちゃいますよ、これ。。。。って、、、見ていたら、いや、なんか癒されるのと違くないか?って思ってしまって、、、、もちろん癒されるけど・・・・。  これ日常系とか無菌系じゃないんじゃないか?  って、思ったんですよね。ってでもよく考えてみれば、そもそも定義がしっかりしていないので、これが日常系や無菌系じゃないっていう理由もないんですよね。4コマによる時間の停止や、日常フレームアップ、関係性特化型、男性視点の主観欠如などなど、どう考えても、これまでの日常-無菌系の系列です。けど、この系統の『けいおん』とか『あずまんが大王』、『ゆゆ式』(ちなみに『ゆゆ式』、この系統の頂点の作品だと思っていますので、アニメを見ましょう!!)とか思いだしても、これを見ながら、Hなことって思いいたったことが全くないんですよね。あっ、Hな同人誌は、死ぬほど出てるけどねーこれらの作品。でも関係性特化型は、当然その延長線上を考えるので、そういう妄想が広がるのは当然だと思うんですよね。でも、オリジナルの部分で、そういうの感じたり考えて見てたってことなかったので、『桜Trick』あまりのエロさに、びっくりしてしまったのです(笑)。←初心です。 http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20141015/p2  まあ、そうなのです。『桜Trick』が日常系の枠内に入るかどうかは、じっさい微妙なところだと思う。  もちろん、従来の日常系の文脈を満たしてはいるのだけれど、そこに「性」と「肉体」の要素が入ることによって、何か別物に見えてきているのもたしかなのです。  とはいえ、これは必然的に出てくるべき作品ではあったでしょう。  「性」の要素はほんとうは物語内から追放されたというより隠蔽されていただけなので(だから同人誌では18禁ネタにされる)、いつかは浮上してくるのが当然といえば当然。  いまのところ、女の子同士の関係という限定された形でしか浮上していないけれど、理論的には男性×女性の微エロ日常系作品というものもありえるはず。  ただ、男子が絡んじゃうと、どう考えてもキスだけじゃ終わらなくなってしまい、「平和な日常」が崩壊しかねない上に、「ネトラレのタブー」にひっかかっちゃうので、なかなかむずかしくはあるんだろうけれど。  でも、 

日常系四コマは百合エロ漫画の夢を見るか?

無菌系にハーレム系、「男女比が極端なアニメ」主流化にいびつさを感じる。

 問題。以下の今期アニメの特徴を述べよ。 ・『三者三葉』 ・『ばくおん‼』 ・『あんはぴ♪』  うーん、これは答えるまでもないかな?  いや、あたりまえすぎてかえって思い浮かばないところかもしれませんが、正解は「ほぼ女性(女の子)しか出て来ない作品であること」です。  いやー、ほんとうに増えましたねえ、この手のアニメ。  LDさんはこういう女子しか出て来ない作品を「無菌系」と呼んでいるようですが、この場合の「菌」とは当然、男性のことです。  「男性キャラクターが登場しない無菌の楽園での物語」といった意味かと思われます。  この系統は歴史をさかのぼるというまでもなく『あずまんが大王』にたどり着くわけですが、最近では一期に一作品以上はこの手の無菌系アニメが放送されるようになって来ました。  よほど男性が出て来る作品を見たくないという人が大勢いるのでしょう。  世も末という気もしなくはありませんが、まあ、視聴者の需要に応えているという意味では悪いことではないのでしょう。  じっさい、『三者三葉』も『ばくおん‼』も『あんはぴ♪』もそれなりに面白いし。  『ばくおん‼』は微妙にキャラクターが可愛くない気もするし、『あんはぴ♪』はさすがに不条理すぎるネタな気もしますけれど、まあ、そこらへんは大同小異の癒やしアニメ。大した問題ではありません。  そういうわけで、今後も女の子しか出て来ない無菌系萌えアニメは繁栄しつづけることでしょう。おしまい。  ――いや待て待て待て待て。話はここからなのです。  べつに無菌系萌えアニメに思うところはないぼくですが、その一方でやっぱり男の子が出て来るアニメも見たいなあ、とも思うのですよ。  もちろん、主人公が男性のラブコメアニメはさすがの現代といえどもたくさんあります。  今期でいうと、『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』あたりがそれに相当するでしょう。  けれど、この手の作品は主人公ひとりのほかはほぼ男性キャラクターが出て来ないのがお約束です。  いや、友達キャラにライバル(あて馬)キャラくらいは出てくることもあるけれど、いずれにしろ主人公と対等かそれ以上の魅力を持つキャラクターはほとんど登場させないのが普通になっている。  ぼくはそれでは不満なのです。  もっと魅力的な男性キャラクターが複数出て来て、なおかつ女性キャラクターも複数登場するアニメが見たい!  今期でいうと、やはり『灰と幻想のグリムガル』みたいな作品が理想ですね。  主人公以外にも男性キャラが複数登場して、主人公と対等なレベルで恋愛したり冒険したりする物語がもっとあってもいいと思うのですが、少ないですよね。  本来、現実世界ではほぼ同数の男性と女性が生まれて来るのだから、男女がほぼ同数出て来る物語が大半を占めることが普通だと思うのですが、どういうわけか現在のアニメではそうなっていない。  女性キャラのほうが数的に多い作品が多数を占めているように思えます。  いや、どういうわけかと書いたけれど、ほんとうはその理由はわかっている。  作品の視聴者が男性だからです。  かれらのなかには、一部、物語に男性キャラが登場することを拒否する人たちがいます。  ほぼ一切の男性キャラの登場を認めない最右翼から、感情移入の対象である主人公だけは男性であってもかまわないとする人、いくらか男性が出て来てもかまわないとする穏健派まで、グラデーションはありますが、基本的には男性キャラが物語に登場することを登場することを好ましく思わないということは共通しています。  かれらに配慮した結果、昨今のアニメは女性しか登場しないものか(無菌系ないし百合)、さもなければ主人公が複数の女性の愛情を独占するもの(ハーレム系)がやたらに増えたように思います。  これが、ぼくにはどうにもいびつに思えてならないのです。  もっと男女が同数くらい出て来るアニメが増えても良いのではないでしょうか?  もっとも、そうならない理由もわかっています。  主人公に匹敵するくらい魅力的な男性キャラが出て来ると、視聴者が嫉妬するからです。  ましてそういうキャラクターがヒロインのひとりと結ばれたりすると、視聴者は「自分の恋人を寝取られた」かのように感じます。狂乱する人も少なくないでしょう。炎上まっしぐらです。  だから、男性向けアニメはどんどん「女子過剰」の方向へ進んで行く。  しかし、無菌系ばかりではどうにも世界が狭く感じられてしまいますし、ハーレム系には倫理的な問題が付きまといます。  ほんとうならこれらの作品ばかりが流行することはやはりいびつであるはずです。  そうなのですが、「ネトラレのタブー」はとてつもなく強烈で、いまのところ、男性向けアニメの女子の数が過剰になる傾向は変わりそうにありません。  いや、 

無菌系にハーレム系、「男女比が極端なアニメ」主流化にいびつさを感じる。
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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