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『Landreaall』最新刊のネタバレ感想!「おまえって奴は」。
2021-06-24 23:44300pt『Landreaall』、一年に一、二回の最新刊です。
どんどんぱふぱふぱふー。本日、おがきちかの人気シリーズ『Landreaall』最新の第37巻が発売されました。
さっそく電子書籍で入手して読み終えたわけですが、いやー、面白い!
このシリーズ、一応、少女漫画のほうのカテゴリに属しているとは思うのですが、膨大な登場人物が絡み合う群像劇を平然と展開していて、少女漫画にバイアスを抱えている向きにも読んでほしい作品だといえます。
高度な戦術や戦略や権謀術数が絡み合う一部の展開は、むしろ男性読者のほうが楽しめたりするのではないかとも思ってしまうのですが、それはジェンダーにもとづく偏見でしょうか?
とにかくめちゃくちゃ面白いマンガには違いないので、ぜひ、いますぐ読んでほしい。
既刊37巻というといまさら入りづらいという方も多くいらっっしゃるかとは思うものの、大丈夫、そこは何しろ少 -
男性読者よ、もっとおがきちか『Landreaall』の華麗なる群像劇を読むべし!
2020-12-25 16:5850pt
どうも申し訳ありませぬ。昨日公開予定だった『クイーンズ・ギャンビット』の記事は遅々として進まず、結局、昨日は公開できませんでした。
このままだと今日も完成しそうにないので、今日は昨日の分と合わせて二本短い記事を更新することとし、『クイーンズ・ギャンビット』の記事は明後日に先送りしたいと思います。
どうも先行きが不安になるような力作記事の船出ですが、ちゃんと完成させますので、どうかお待ちいただければ、と。
さて、そういうわけで今日の一本目として『Landreaall』の話をしたいと思います。昨日、最新刊が出たばかりなのですね。これが驚くほど面白い。
いま、物語はあるダンジョンの探索を巡る「ダンジョン編」に入っているのだけれど、膨大な人数がそれぞれの役割を果たしながら探索を続ける群像劇になっていて、素晴らしく読ませるのです。
『Landreaall』はもともとDX・ルッカフォート -
電子書籍第26冊目、27冊目、28冊目、29冊目。
2016-10-12 17:5451ptKindleで電子書籍『ファンタジー漫画書評集 竜と剣と公子のバラッド』、『海燕漫画批評集「恋と銃弾」』、『海燕映画批評集(2): 「若き革命家の肖像」』、『『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』リアルタイム評論集「「狂気」の向こう側へ」』の4冊を出版しました。よろしければお読みください。
おかげさまで、Kindle Storeからの収入もだいぶ増えて来ました。この調子で100冊、200冊と出していけば、一定額にはなるのではないでしょうか。まあ、何が起こるかわからないけれど。とりあえず皮算用しつつ、出しつづけたいと思います。はい。
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Kindle Unlimitedで読めるオススメの漫画×100。
2016-08-22 19:5551pt先日、サービスが開始したばかりのKindle Unlimied、皆さん、利用されておりますでしょうか。月額980円で12万冊に及ぶ電子書籍が利用可能という、お得といえばお得なサービスです。
著者に正当な利益が配分されるとは思えないという、致命的な問題点もありますが、それを脇に置くとすると、たしかに利用しがいはあります。
とりあえず今回は一部のご要望にお応えして、Kindle Unlmitedで読める面白い漫画を100作並べてみました。全作品にコメント付けようかと思っていたのだけれど、さすがに辛いのでタイトルだけにしておきます。あとで気が向いたらコメント付けるかも。
ここに並べた作品は、古い作品もあれば新しい作品もあり、全巻無料で読めるものも一部だけのものもありますが、とりあえず何らかの意味で推薦できる逸品です。あくまで「いま」読んで面白い作品という基準でセレクトしました。よければ読 -
至高のハイファンタジー『Landreaall』を語る。
2015-07-26 02:5051pt
王の首というものは
いつか国民全員の命と引き換えに
落ちるためにあるのさ
昨日発売だった『Landreaall』最新の26巻を読み終えました。
クレッサール編がクライマックスを迎える巻で、うん、この巻はすごく面白かった。
ひさびさに『Landreaall』の凄みであるところの「どこにつながっているかわからない伏線」の面白さが炸裂した巻だったと思います。
このままこの巻の面白さについて語っていってもいいのですが、『Landreaall』自体読んでいない人もたくさんいらっしゃると思うので(というかそういう人のほうが多数派であるはずなので)、この作品全体のことを紹介したいと思います。
まあ、ぼくは数年前から絶賛している作品なので、ぼくのブログを長い間追いかけている人は知っているでしょう。
おがきちかさんの冒険ファンタジー漫画です。
ひとことで冒険ファンタジーといってもいろい -
リアルを神ゲーに高めたい。
2015-06-02 20:1251pt
おがきちか『パルパル&ロケッタ』を読む読む。
玉の輿を狙う乙女勇者のパルパルの冒険を描くライトなファンタジー。
どうということはない話ですが、さすがに面白いです。
『Landreaall』のほうはいまいち停滞気味の展開だけれど、この先、どう動くか楽しみではある。複雑化する一方の物語が解決を見る日は来るのだろうか。
さて、前回の記事に続き、きょうは「自由」の話をしたいと思います。
きのうは「選択肢の多さ」こそ自由であると話しました。
ひとは一般に自由を目ざし生きるものです。つまり、取りうる選択肢を増やしていくことが人生のひとつの目標であるということになります。
幼い頃、ひとは大人の管理下にあり、行動の選択肢が限られています。
それが歳を経るにしたがって(責任の増大とともに)取りうる選択肢が増えていく。人生が自由になっていくのです。
もちろん、いかに選択肢が増えようとも取りうるルートはひとつしかないので、一度にいくつもの人生を歩むことができるわけではありません。
しかし、豊かな選択肢のなかからひとつを選んで生きている人は「自分の意志で人生を選んだ」という実感を得ることができるでしょう。
この自己選択&自己責任の実感こそが「生きている」という感覚そのものであるのだと思います。
もっとも、あまりにも選択肢が多い社会では、ひとは「どれを選ぶのが正しいのかわからない」という状況に陥るわけですが。
しかしまあ、とにかく基本的には「自由であることはいいことだ」とぼくは考えます。
この世界はフリーシナリオ&オープンワールドの超巨大MMORPGみたいなものです。
本来、そこに「クリア」という概念はないし、したがって具体的な「目的」も存在しない。
だから、どんな楽しみ方をしてもいいし、やりたくないことは投げ出してもかまわない。
自分の好きなことを、好きなように遊び尽くせばいい。そういう種類のゲームであるはずなのです。
もちろん、この世界に「クリア」はなくても「ゲームオーバー」は存在するので、死なないように生きていかなければなりません。
しかし、 -
男性向けではなく、女性向けでもない群像劇を読みたい。(3142文字)
2013-07-28 18:3953pt
ひとにはそれぞれ好みがあります。あるひとにとって理想的な作品もべつのひとにとってそうではないのは自然のこと。もちろんぼくにも好みの偏りがあり、「こういう物語を読みたいなあ」という漠然とした思いもあります。
で、きのうSkypeで話しあって気づいたのですが、ぼくは「男女が互角にやり合う群像劇」を読みたいという欲望があるらしい。
いままでも「もう少し女性キャラクターが活躍する話を読みたいなあ」とは思っていたのですが、それだけなら、当然、いろいろあるんですよね。でも、ぼくの好みとは少しずれている。
ぼくはやっぱり「複数の男性と女性が互角に入り乱れて戦ったり恋したり憎みあったりする物語」を読みたいのだと思う。
こう書いてもまだ、あれがある、これがある、と思い浮かぶひとはいるでしょう。しかし、じっさい、ぼくの好みにぴったり合う作品は少ない。
『Fate/Stay night』はなかなかいい線を行っていると思う。アーチャー、ランサー、バーサーカー、ギルガメッシュといった男性陣と、セイバー、キャスター、ライダーといった女性陣がほぼ対等に入り乱れて戦っている辺り、非常にぼく好み。
しかし、あれはやっぱり衛宮士郎を主人公とした「少年の物語」なので、群像劇としては一定の枷が嵌まっている気はします。そこが惜しいですね。
『Fate』には『Fate/Zero』という物語もあるわけですが、こちらはより男性中心の物語で、ほぼ紅一点のサーヴァントであるセイバーもあまり格好良くは活躍しません。
いや、十分、活躍してはいるのですが、あの作品で印象に残るキャラクターといえば、やはりライダーことイスカンダルなのではないでしょうか。そこがまあ、不満といえば不満です。
つまりまあ、完全な男性主人公の物語にぼくの好みを満足させるものを求めることには無理がある。それなら、女性向けではどうか。
ぼくはそれほどくわしくないのですが、コバルト文庫などには女性主人公で、壮大な物語を展開した作品もあると聞きます。あるいはそういった作品ならぼくの欲望を満たしてくれるかもしれない。
でも、どうだろう、女性向けの作品だと今度は男性キャラクターが、同性の目から見て弱い印象になってしまう気がするんですよね。
もっとも、少女小説と呼ぶのが適正かどうかはわかりませんが、小野不由美『十二国記』はほぼぼくの要求をほぼ完全に満たしているように思います。
けれど、あの作品にはなんというか「色気」がない。徹底的にストイックなので、ぼくはもう少し恋愛したり愛憎が絡んだりするほうが好みなのですよね。
女性向けの作品でいうと、よしながふみの『大奥』などはどうか。悪くない。むしろ素晴らしく性差を相対化できているとは思うのですが、ぼくはふしぎとこの作品のキャラクターに親しみやすさという意味での魅力を感じません。
これは相性が悪いとしかいいようがないかもしれない。ちょっとここらへんは要分析ですが、とにかく『大奥』に対しては「キャラクターの魅力」をあまり感じないのです(客観的にはよくできた造形だと思うのですが……)。
そういうふうに考えていくと、ぼくの欲求を満たす作品とは、男性向けでもなく、女性向けでもないということになりそうです。あるいは云いかえるなら男性向けでもあり、女性向けでもある、そういう作品を読みたいな、と思うのですね。
たとえば『咲』なんかはかなりぼく好みです。でも、この作品にはほぼ女の子しか出て来ませんから、ぼくとしては物足りない。もっと老若男女が混じり合っている作品が好ましい。
そういう意味では、『コードギアス』あたりはとても好きですね。この作品では男女がほぼ互角にやりあっているように見えるので、かなり理想に近いといえます。
ただ、これもあくまで「ルルーシュという少年の物語」なので、その根幹を揺るがすキャラクターは排斥されることになる。
ユフィことユーフェミアはそのキャラクターのひとりであったとぼくは考えていて、つまりはユフィが最後までルルーシュと互角に戦う『コードギアス』を見てみたいのです。
田中芳樹や栗本薫の戦記もの、あるいはファンタジー小説はどうか。ぼくはこれらの作品のファンなのですが、やはりきわめて魅力的な男性陣と比べると、女性キャラクターが弱い気がします。
ここらへんは時代的な限界かもしれません。たとえば『タイタニア』だと、四公爵のうちふたりくらい女性だと嬉しい感じ。
『グイン・サーガ』なら、リンダとアムネリスとイリス(オクタヴィアではなく)が、それぞれ一国を背負ってナリスやイシュトヴァーンと戦いを繰りひろげてくれたらぼくとしてはとても満足だったと思います。ケイロニアの男装皇帝イリス! 非常に見てみたかった展開ですね。
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男性読者の皆さん、珠玉のファンタジー漫画『Landreaall』を読んでみませんか。(2139文字)
2013-05-18 10:0953pt
よくいわれることですが、女性は少年漫画を初めとする男性向けの作品を平気で読むのに、男性は少女漫画のような女性向け作品に抵抗感を示すという話があります。
ぼくは少女漫画だろうがティーンズラヴだろうが普通に読む人なのであまり実感がわきませんが、ほんとうだとしたらいかにももったいない話。
少女漫画と呼ばれる領域にも、男性が読んでも楽しめる作品はたくさんあるのです。そういうわけで、きょうは『Landreaall』の話。
ぼくはこの漫画、大好きなんですが、いまのところ「知るひとぞ知る」作品には違いありません。
すでに単行本も20巻を超え、多数の固定ファンを持ってはいるはずなのですが、いまどきめずらしい純粋なファンタジー漫画ということもあってか、熱心なファン以外にはあまり語られることがないように思えます。
そこで! この記事ではこの作品の魅力を語っていきたい。いやー、面白いんだよ。
『Landreaall』はおがきちかによる長編大河ファンタジー漫画です。主人公はアトルリア王国の王族の血をひくDX・ルッカフォート。
かれがある理由で「竜退治」の冒険を行うところから物語は始まります。ドラゴン退治! いかにもファンタジーというテーマですね。じっさい、DXは冒険の末に宝剣を手に入れて火竜を倒します(正確には違うけれど、まあいいや)。
ここまではまあ、あたりまえのファンタジー漫画といってもいい。『Landreaall』が真価を発揮するのはここからで、この漫画、何とここから学園ものになってしまうのです。
竜退治を成し遂げたあと目的を失ってしまったDXは王立学校(アカデミー)に入り、さまざまなことを学んでいくことになります。
そこでかれを待ち受けていたのはおそらくは生涯の友となるであろう学友たちとの出逢いと非情な陰謀。それらの陰謀をかいくぐったり時々は他国へ飛んだりしながらも、DXは少しずつ成長していきます。
そして、そのうちにかれの視界には「王」という地位が見えてくるのです。はたしてDXはアトルリアの王になるのか? どうなのか? 物語は連載10年を超えて、なおいっそう盛り上がっているところです。
さて、この作品の特色といえば、伏線の妙があることでしょう。ただ絵が綺麗だったり可愛かったりするだけの作家なら大勢いますが、おがきさんはとにかく「物語」を組み立てることがうまい。
何気ない台詞のひとつひとつ、さりげなく提示された小道具などが、巧妙な伏線となり、のちの展開を導いていく素晴らしさは、いくら称賛しても足りません。
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