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記事 109件
  • たった4ステップ! だれにでもできる簡単な電子書籍のつくり方。

    2016-10-07 22:39  
    51pt
     電子書籍『『ベイビーステップ』成長の方程式(1)』と『書評集「スタジオジブリは山羊を愛さない」』を出版しました。後者は新書や詩集などノンフィクション本の書評を集めたものです。ご興味のある方はどうぞ。

     さて、ここ数日、1日2冊くらいのペースで新刊を出しているわけですが、さすがに疲れて来ましたね。
     出版の作業そのものは簡単なのだけれど、電子書籍化する文章を選択してチェックし推敲するのがけっこう手間取る。まあ、2冊で5万文字くらいにはなりますからね。そら楽なわけないよ、とも思います。
     ただ、くり返しますが、いま、電子書籍を作ってKindle Storeで販売する方法そのものはおそろしくシンプルです。具体的には、以下の4ステップしか必要ありません。

    1)電子書籍化するテキストを用意する。
    2)でんでんコンバーター(http://conv.denshochan.com/)でepubファ
  • 『フルバ』にも『カレカノ』にも罪はない。少女漫画と「真実の愛」幻想。

    2016-09-20 07:55  
    51pt

     恋愛工学に始まった「ナルシシズム/エロティシズム」の話は前回で一応完結しているのですが、今回はおまけ篇として宿題になっていた少女漫画の話を書いておこうと思います。
     まずは、「『彼氏彼女の事情』『フルーツバスケット』がアラサー女子の恋愛観にもたらした闇」という記事を引用しましょう。
    http://papuriko.hatenablog.com/entry/2016/09/13/184709
     タイトル通り、少女漫画往年の名作『彼氏彼女の事情』と『フルーツバスケット』を扱った記事です。この記事によると、両作品には以下のような共通点があるとされています。

    ・女子(主人公)が努力家、優等生、いい子
    ・男子(恋の相手)が特別な存在(人気者、特殊能力あり)
    ・でも男子は「過去のトラウマ」を抱え、心の闇を持っている
    ・男子、トラウマが爆発した時、女子を傷つけて避ける
    ・女子、そんな男子を偉大なる
  • 天使と欲望のパラドックス。

    2016-08-17 09:32  
    51pt
     昨日、一週間のあいだうちに滞在していた甥っ子が帰宅しました。疲れた。マジ疲れた。やはり子供は幼い頃から可愛がって育てなければならないと考える善良で親切なぼくは、全身全霊をあげて遊んであげたのです。
     それはもう、映画には連れていくわプールには連れて行くわ、博物館には遊びに行くわ、カートには乗せるわ、おもちゃは買うわ、ゲームは買うわ、本は買うわ、大盤振る舞いにして至れり尽くせりの大サービス。
     しまいに甥っ子は遊びすぎて疲れたのかじんましんを発症する始末で、何ごとも程々が大切だな、と思い至ったしだい。いや、ぼくが悪いわけではないと思うけれど。
     はしゃぎすぎなんだよな、奴は。ひとの部屋にはかってに入るし、冷蔵庫はかってに開けるし、うちに帰るときは「ただいま」というし、もう自分の家だと思っているんでしょう。ええ、それはそれは傍若無人なわがままの限りを尽くして帰っていきました。
     で、そのあい
  • それは「犯罪界のナポレオン」と呼ばれた男の物語。竹内良輔&三好輝『憂国のモリアーティ』が面白い!

    2016-08-08 15:50  
    51pt

     『ジャンプスクウェア』で新連載が始まった 『憂国のモリアーティ』が面白いです。
     「憂国のモリアーティ」。もう、このタイトルだけで傑作に違いないと確信できるわけなのですが、そうです、あの「犯罪界のナポレオン」モリアーティ教授を主人公にした物語なのです。
     といっても、もしかしたら知らない人もいるかもしれないので一応説明しておくと、ジェームズ・モリアーティはコナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズで、シャーロックをいったん死に追い込む最大のライバル。「犯罪界のナポレオン」の異名を持ち、ロンドンの闇を支配している大物です。
     物語は、いきなり、モリアーティとホームズの対決の最終局面である「ライヘンバッハの滝」のシーンから幕を開けます。
     もう、シャーロッキアンにとっては堪らないであろうオープニングですね。この時点ですでに素晴らしいわけですが、その後、時間をさかのぼって少年時代のモリア
  • 作家は読者の奴隷ではないし、そうなってはいけない。

    2016-07-25 02:59  
    51pt

     『妹さえいればいい。』最新刊を読み終えました。
     前巻はほぼギャグ一辺倒で、面白いことは面白かったのですが、お話そのものは何も進んでいない印象がありました。
     しかし、この巻では劇的に物語が進行します。いやー、面白いですね。ぼくはこういうものをこそ読みたいのだと思う。
     物語が進むとは、ただ状況が変化することではありません。状況が「二度と元には戻らない形で」変化すること、それを物語が進むというのです。
     この巻で、主人公たちの恋愛状況はドラマティックに変わり、そしてこの先、もう決して元に戻ることはありません。
     それは幸せなことではないかもしれないけれど、しかしとても印象的なことです。
     こういうものを読むとぼくはやはり「物語」が好きなんだなあと思いますね。
     平和で幸福で、どれだけ読み進めても何ひとつ変化がないようなお話もいいけれど、でも次の瞬間何が起こるのかわからないようなサスペン
  • 竹本泉は天才だ! 猫好き必読の名作漫画『ねこめ(~わく)』を読もう。

    2016-07-20 02:49  
    51pt

     竹本泉『ねこめ(~わく)』を3冊ほど続けて読みました。
     このシリーズ、第8巻まで続いた『ねこめ~わく』の続編にあたるのですが、続編とはいっても何も違いはありません。ええ、そのまま。まさにそのままです。
     そもそもこの漫画の新作を読むの20年ぶりくらいなのだけれど、何ひとつ変わっていないなあ。
     連載はすでにあっちこっちの雑誌で25年も続いているそうで、竹本さんの漫画のなかでも最も長く続いている作品ですね。
     四半世紀経ってもまったく変化がないというのがすごい。普通、こうやって長く続いていると経年劣化が起こるものなのだけれど、クオリティが全然下がっていない。
     いやー、こんな漫画は稀有だろうなあ。なにげに竹本さん、天才なんじゃないかと思うんですけれど、どうでしょう。
     ぼくの天才の定義は「独創の人」ということになるのですが、竹本泉みたいな漫画家ってほかにいないものね。
     最初期の『ちょ
  • 雷句誠、驚異の新作! 『VECTOR BALL』は少年漫画の新次元を切り拓く。

    2016-07-19 04:40  
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     えー、特に前置きもなくいきなり本題に入りますが、雷句誠さんの漫画『VECTOR BALL』が面白いです。
     このあいだのLDさんとのラジオでも話したんだけれど、いやー、この漫画、まだ第1巻しか出ていないいまの段階ですでにド傑作の匂いがします。
     少し前までは「この漫画、ほんとうに面白いのだろうか???」とクエスチョンマークが三つも付いている状態だったのだけれど、物語に進展に合わせてひとつ消えふたつ消え、代わりに「面白い!!!」とエクスクラメーションマークが三つ付く状態になりました。
     この先、まだ増えるかもしれません。「面白い!!!!!!!!!」くらいまで行くかも。それくらい先が楽しみな作品です。
     この作品の物語は――と、普段はここであらすじを説明するのだけれど、この漫画の場合、シナリオを開設することにそれほどの意味があるとは思われない。
     というか、ない。お話だけ取ればわりとありが
  • 『ROOKIES』より面白い! 不良スポーツ漫画の名作『ANGEL VOICE』の秘密とは?

    2016-07-18 22:56  
    51pt

     ども。『ポケモンGO』配信が待ちきれない海燕です。
     ぼくはiPhone使いなのだけれど、iOS版もAndroid版と同時に出るかなあ。出たら夏休みに遊びに来る甥っ子といっしょに遊ぶ予定。
     さて、きょうはいまひとつ知名度がないサッカー漫画の名作『ANGEL VOICE』の話。
     あまり知っている人は多くないかと思いますが、『チャンピオン』で全40巻も続いた作品です。
     で、これが面白い。1話1話はそこまでのインパクトはないかもしれないけれど、40巻を通読するともうめちゃくちゃ面白いのです。
     やめられない止まらないテイストの漫画は数あれど、そのなかでもかなり上位に入るのではないかという一作です。
     内容をわかりやすくいうと、サッカー漫画版『ROOKIES』というのが適切だと思う。
     何かと力を持て余した不良たちが集まってサッカー部を再生させるという話なのですが、そこにひとひねりがして
  • オススメのBLと百合を紹介するよ!

    2016-07-12 16:41  
    51pt

     文乃ゆき『ひだまりが聴こえる』を読みました。
     『さらば、佳き日』の作家によるボーイズ・ラブ漫画です。
     最近、BL漫画と百合漫画ばかり読んでいるような気がするなー。
     べつに腐男子というわけでもないけれど、未発見の秀作を探していると自然とそのジャンルになるんですよね。
     で、この作品、難聴の青年を主人公にした物語となっています。
     さすが『さらば、佳き日』の作家だけあってかなりよく描けているのですが、この作品の場合、BL要素がむしろ枷になっているような気も。
     Amazonの感想を見ても、きわめて高評価ではあるものの、「BLらしくない」とか「BL要素が薄い」といった意見が散見されます。
     作者自身、あとがきで「終盤になってボーイズがラブする要素がないことに気づいてあわてた」という意味のことを書いているくらいで、男の子同士の友情の物語として終わらせてもなんの違和感もない話です。
     まあ
  • 漫画を真に受けなくて何を真に受けるのだ!

    2016-07-11 17:26  
    51pt

     茜田千『さらば、佳き日』を読みました。
     てれびんが例の動物的直感(一応は動物の範疇だろう)でどこからか見つけ出してきた作品なんですけれど、これは素晴らしかったです。
     ひさびさに漫画読んでいてぞくぞくした。
     おそらく好みが分かれる作品ではあるだろうけれど、ぼくとしては非常にオススメの漫画なので、ぜひ、この先のネタバレは読まずに買って読んでほしいところ。
     まあ、ネタバレしても作品の素晴らしさが色あせることはないにしても、可能ならネタバレなしで読んだほうがいい。
     そういうわけで、以下、ネタバレありです。いいですか、ネタバレしますよ?
     この物語は、ある男女が新婚夫婦と偽ってひっこしてくるところから始まります。
     お似合いの夫婦に見えるふたりは、実は兄と妹。親に黙ってふたりで暮らしているのです。
     いったいこの兄妹はどうしてふたりで暮らすことを選んだのか? 恋人のようにも夫婦のように