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新しいオタク文化が見えない。

 こんばんは。『精霊の守り人』ドラマ版、なかなか面白そうですね。  さて、きょうのラジオでも最後に少し話したのですが、「「この素晴らしい世界に祝福を!」はコンプレックスまみれの視聴者を徹底的にいたわった作品?」というまとめがちょっと面白いです。 http://togetter.com/li/931628  『この素晴らしい世界に祝福を!』というアニメを巡る野尻抱介さんと新木伸さんのやり取りをまとめたもので、単純にいい切ってしまうと「反対派」と「賛成派」の対決という文脈で読むことができます。  野尻さんはこの作品についてこう語っています。 トラック転生して異世界という名の想像力のかけらもないゲーム世界に行って、なんの苦労もせず女の子がいっしょにいてくれるアニメを見たけど、コンプレックスまみれの視聴者をかくも徹底的にいたわった作品を摂取して喜んでたら自滅だよ。少しは向上心持とうよ。  よく読むと色々ツッコミどころがある発言なのですが(トラック転生じゃなくてトラクター転生だとか、主人公はかなり苦労しているよねとか)、細かいところをあげつらったところで仕方ないので流します。  このツイートの勘どころは「コンプレックスまみれの視聴者をかくも徹底的にいたわった作品を摂取して喜んでたら自滅だよ」というところにあるでしょう。  ようするに「こんなしょうもないアニメを見ていないでもっとエラい作品を見ろ!」ということだと思われます。  まあ、おそらくは1000年くらい前からエンターテインメントに対する批判としてあったであろうパターンなので、あまり新味はないわけですが、いっていることはわからなくもない。  たしかに、このアニメを見て教養が身についたり人格が向上したりはしないでしょうから。  問題は、ひとは普通、お勉強のためにアニメを見たりしないということで、この論旨を突き詰めて行くと「エンターテインメントなんて役に立たないから見るのやめろ」という結論になりそうだと思うのですが、どうなんだろうな。  ひとは普通、鍛錬のためではなく楽しみのためにアニメを見るのだから、その点を否定してもしかたないとは思うけれど。  とはいえ、まあ、最近のアニメ(特に萌え系)はいくらなんでもあまりに甘ったるいという意見もわからなくはないので、ある程度は傾聴に値する意見だと思います。  新木さんの発言については、ぼくは生涯一切触れないというゲッシュを立てたので語りませんが、まあ、野尻さんの意見に反対することをいっているわけですね。  問題は、話題が進むほどに話がずれていっているように思えること。  アニメやライトノベルといった最近の若者向けエンターテインメントを巡る話はしだいに一種の若者論の様相を呈して来るのですが、『このすば』を「最先端の若者向けエンターテインメント」の代表格のように扱うことには無理があると思うのですよ。  だって、 

新しいオタク文化が見えない。

「普通」って何か知っているかい?

 最近、Twitterもほとんどやっていないのですが、久々に面白いと思ったツイートがあったのでメモメモ。 おそ松さんをクソニートが酒飲んだりして暮らすクズアニメとして面白がってる僕は、ホモ的に熱狂する腐女子もそれを弾圧するアンチおそ松腐派も「マナーを守ろう」と訴える学級委員長派も全部ピンとこなくて「みんな一体誰と戦ってるんだ」ってなる。「普通に面白い」派もっとがんばってくれ。 https://twitter.com/tarochinko/status/684764087352344576  何が面白いって、期せずして「普通」という見方が相対化されているように思えるところですね。  この発言者さんはおそらく『おそ松さん』というアニメを「クソニートが酒飲んだりして暮らすクズアニメとして面白が」ることが最も「普通」の見方だと考えているのでしょう。  しかし、現実に目立っているのは「ホモ的に熱狂する腐女子」や「それを弾圧するアンチおそ松腐派」だったりするわけで、最終的には「「普通に面白い」派もっとがんばってくれ。」というなんとなく矛盾した発言を行うことになっている。  これはちょっと面白い事態だな、と思うわけです。  わかるでしょうか。本来、「普通に面白い」という派閥は(その作品が面白いといえる出来なら)最も「普通」で、メジャーであるはずなのに現実には「もっとがんばってくれ」と言わなければならないほど少数派に見えている。そのギャップが非常に現代的だな、と感じるわけです。  もちろん、じっさいにはサイレントマジョリティがたくさんいるのかもしれないけれど、いわゆる「腐女子的な見方」がメジャーになって来ると、こういうある種の逆転現象が起こることにもなるのだな、と感慨深いですね。  そしてそれはひょっとしたらだれにとっても望むべきでない展開なのかもしれず、ぼくもまた「「普通に面白い」派もっとがんばってくれ」と思わないこともありません。  しかし、その一方で、ここまでいろいろな見方が氾濫して来ると、いったい何が正しい、正統な見方で、何がマイナーな見方なのか、はっきりと確定させることは容易ではありません。  『おそ松さん』を見て「ホモ的に熱狂する」ことは異端の、奇妙な見方だとだれに断言できるでしょう?  それに比べて「クソニートが酒飲んだりして暮らすクズアニメとして面白が」ることが「普通」だとみなすことにどれほどの正当性があるでしょうか?  まあ、「腐女子」の人たちはその存在を隠したがる傾向があるので(現実にはまったく隠れられていないことも多いわけですが)、「自分たちの見方こそが普通だ!」とは主張しないと思われますが、それにしても見方の多様化は「普通」という概念を歪ませているのだな、と思わせられるのでした。  いい方を変えるなら、 

「普通」って何か知っているかい?

ライトノベルの主人公みたいに楽しく人生を過ごしたい。

 敷居さん(@sikii_j)がこんなツイートをしていました。  読み損ねていた平坂さんの『妹さえいればいい』の一巻を電子書籍で買って読んでいるのだけど、めっちゃくちゃ面白い上になんか色々と共感する部分があってやばい。中高ぼっち気味で大学辞めてしばらく経ってからやたらと仲間が増えて家にわらわらと人が集まってくるとかそれは https://twitter.com/sikii_j/status/622647824845402113  ツレの影響で海外産のビールにはまったりうちに遊びに来た人が家主が漫画読みながらダラダラしている横で勝手に台所使ってなんか用意したりなんか気が付いたら勢いで旅行してたりとかもうなんなのこれ。全部やっとるぞw https://twitter.com/sikii_j/status/622649056217567232  ……時代とシンクロしていやがるなー。  えー、ここでうらやましいとか妬ましいとかばくはつしろとかいいたいところなのですが、仮にぼくが同じことをやったら3日目くらいで精神がパンクして廃人になることが容易に予想できるので、実のところ特にうらやましくはありません。  ただ、世間は広いなー、世の中には大変な人がいるなー、と詠嘆するばかり。  思いつきで旅行するくらいはぼくにもできそうなので今度やろうっと。  でも、新潟からだと飛行機がいくらか高くつくんだよね。羽田とか成田からだといまはほんとうに安くあちこちへ行けるようなのだけれど。博多行って屋台でラーメン食べたいなあ。  それはさておき、とにかく『妹さえいればいい』が面白いです。  昔々、敷居さんに奨められてハマった『らくえん』もそうなのだけれど、これって「学校生活を謳歌できなかった人間たちの第二の青春」の話なのですよね。  そりゃ、ぼくとか敷居さんがハマるのも当然だわ。  ぼくも敷居さんほど極端な生活をしているわけではないとはいえ、成人してからネットを通して仲間ができてわいわい騒いで楽しんでいるという点はいっしょ。  それもだんだんレベルアップしてきていて、最近は自分でも「……いいのかな、こんなに恵まれていて」と思うくらいの域に達しています。  このあいだ、日本に一時帰国したペトロニウスさんを祝うために某高級レストラン(食べログランキング4.0以上)でランチを取って、その後、友人の家に転がり込んで鍋をつつきつつラジオを放送したりしたんですけれど、そのときの幸せ具合は半端なかったですね。  広大な邸宅を食事が取れるよう改装したというスペイン料理のレストランも素晴らしかったけれど、友人宅の鍋(と釣りたてのイカ)がとにかく美味かった。  ペトロニウスさんなんか「和食うめー」、「イカうめー」と涙を流さんばかりの勢いで食べたあと、ラジオの途中で寝てしまうし。  いやー、幸せでした。何年かに一回ああいうことがあると、それだけで暮らしていけるかもな、というくらい。  まあ、それはあまりにスペシャルな体験なので、「日常の豊かさ」という文脈とは少々離れているかもしれないけれど、でも、こういうイベントが時々あることじたい、ぼくの現状を示していると思う。  普段はプアだニートだといっているぼくだけれど、結婚とかしようと思わなければ十分に楽しく暮らしていけるくらいの収入はあるんですよね。  ええ、それもこれも皆さまのおかげなんですが、それもあって、とにかく最近、あたりまえの日常のクオリティ・オブ・ライフが格段に上がっている気がします。  それはもう、ひとを妬もうとかうらやもうとかほとんど思わない、思う必要がないくらいです。  まあ、もともとぼくはひとを妬む気持ちがほとんどない人間なんですけれどね。  それにしても、最近のぼくの人生は妙に充実してきているなあ、と思いますよ、ほんとに。  そういえば、 

ライトノベルの主人公みたいに楽しく人生を過ごしたい。
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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