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タグ “インヘルノ” を含む記事 2件

べたあま少女漫画を読みふける日々。

 相変わらず雑誌『AneLaLa』を追いかけています。  『LaLa』のお姉さんという立場にあたる少女漫画誌なのですが、『LaLa』で何かしらヒット作を描いた作家さんを中心に集めているだけあって、面白く読みごたえがある雑誌になっています。素晴らしい。  その『AneLaLa』の掲載作品が続々と単行本になっているので、いくつか紹介したいと思います。  まずは田中メカ『朝まで待てません!』。  わりとめずらしい漫画編集者を主役にした漫画ですね。  主人公がやたらと恋愛攻撃力が高い(笑)青年編集者で、お相手役はクールな美人編集者。  「クーデレ」という言葉がありますが、まさにそういうタイプのヒロインです。  これが、可愛い。草食系に見えてじっさいにはものすごくストレートに攻撃して来る主人公に、ヒロインのディフェンスがどんどん壊れていくところを楽しむ漫画だと思います。  ペトロニウスさんも書いていましたが、相当に甘い内容なので、読む人を選ぶかと思いますが、まあ、いいよね、少女漫画だもの!  本来はぼくのようなおっさんが読むものではないのだろうなあと思いながら読んでいます。  いいじゃないか、それが人生に残されたたったひとつの幸せなんだから……。  続いては森生まさみ『愛が地球を救うのだ!』&『オトナの小林くん』。  田中メカさんの漫画も甘ったるいのですが、森生まさみさんの漫画はさらに輪をかけて甘いです。  日本一甘い恋愛漫画を描く作家といっても過言ではないでしょう。  最初から最後まで、徹底してスウィート。これでいいのか?と思うくらいなのですが、ぼくは好きなのでまあいいでしょう。  『愛が地球を救うのだ!』は田舎から出てきた天然な少女と、彼女の「にいやん」のラブストーリー。  初めは少女を恋愛対象外に見ていた「にいやん」が、しだいに惹かれていくプロセスが見どころ、読みどころです。  『オトナの小林くん』は、ヒット作『おまけの小林くん』の続編で、これまた甘ったるい一作。  よくもまあ、と思うくらいスウィートな作品です。  そういうのが平気な人だけ読んでください。そうじゃない人は胸焼けするかも。仕方ないことですが……。  さて、その次は 

べたあま少女漫画を読みふける日々。

ふたりだけの地獄。ふたりだけの聖域。

 どもです。  迷いに迷った挙句、なんとか新品パソコンを注文しました。  しかし、じっさいに商品が届くまでにはまだしばらくかかるでしょう。  しかたがないので、iPadで書いて、壊れかけのパソコンで更新する方式を採ろうと思います。  まだしばらくこのパソコンが保ってくれるといいのですが……。  さて、きょうは最近読んだ漫画の話でも。  マツモトトモ『インヘルノ』。これが、面白い。  この頃読んだ漫画のなかでは傑出した緊迫感。  画力がテーマに追い付いていないといわれればその通りなのだけれど、そこは気にしない方向で読むと、非常に楽しめます。  物語は高校生の姉と弟が再開するところから始まります。  姉は何をやらせても完璧な美少女。弟はどこか野獣の気配を残した少年。  この姉とこの弟は運命的に惹かれ合い、やがて結ばれてゆきます。禁忌を超えて。  そして、ふたりはどうなるのか?  いわゆる近親相姦ものの一類系ではありますが、物語の本質はそこにはないでしょう。  どうしようもなく愛し合ってしまった者たちの絶望、とでもいうべきものがこの作品を傑作にしています。  『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の結末はあれはあれでとてもよく考えられたものだったと思うのだけれど、あの先にもう少し進んでいたらどうなっていたか、それを見たいと思う人はぜひこの漫画を読んでみてください。素晴らしい出来です。  なんといっても姉のキャラクター造形が秀逸。  生まれつき何もかも持ちあわせていながら、まさにそうであるために何も愛していない少女。  人並み以上の感性はある。ひとを好きになることもできる。しかし、それにもかかわらず、ちっともその対象を愛していないのです。  表面だけ完璧に仕上がった美しい人形、とも取れる。  ところが、その人形はたったひとりの弟と再会することによって、なまめかしく生まれ変わります。まるでピグマリオンの神話のように。  そして、ふたりの世界を守るため、静かな戦いを始めるのです。  そこに倫理や道徳は一切関わってきません。たくさんの人を傷つけることになるかもしれない。すべてを失う羽目になるかもしれない。  聡明な彼女にそのことがわかっていないはずもない。それでも、まさにどうしようもなく止められない想い、そして渇き。  作家はていねいにていねいにそのふたりだけの地獄(インヘルノ)を描いて行きます。  お互いにとってお互いがすべて。世界など、滅び去るがいいといわんばかりの頽廃的な関係は、はたしてどこに着地するのでしょうか?  ふたりの聖域。決して知られてはならない関係。思わず魅せられる物語が展開します。  作中、 

ふたりだけの地獄。ふたりだけの聖域。
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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