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「神田川」問題。
2019-01-29 17:2951ptこんなツイートを見かけました。
名曲神田川も同じ。寒い日に風呂屋に行って、一緒に出ようねって約束したのに洗い髪が芯まで冷え石鹸カタカタなる位いつも待たされ、やっとでてきたと思ったら私を抱いて冷たいねって言ったのよ。って「お前のせいやろ!あなたの優しが怖かったってむしろ無神経さが怖いわ!」と20代女子が言ってた。
https://twitter.com/NonEliteDome/status/1090028531566796801
佐々木俊尚さんのツイートへのリプライで、佐々木さんは「時代の変化」を示すものと受け取っているように見えます(ぼくの解釈です)。でも、ぼくは違うと思うんですよね。以下、くわしく解説します。
まず、「神田川」の歌詞はここ(http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=35508)で読めます。
で、ぼく、この曲、男が冷たく無 -
エンターテインメントの黄金時代はアートとポルノのはざまにある。
2019-01-28 08:4351ptボーイズ・ラブの話を続けます。いやまあ、BLに限らない「ジャンルフィクションとは何か」、ひいては「エンターテインメントとは何か」という話ですね。
まず、ぼくが好きな『ひだまりが聴こえる』というBL漫画があるのですが、その最新刊のAmazonレビューに「これってBLじゃないですね、もう。リミット1までは3回くらいは読み返せたけど、この巻はもう、胸キュンとか萌えとかとは縁遠い世界。もう一度読み返したいと思いませんでした。」というものがあります。
つまり、この人は「胸キュンとか萌え」こそがBLであり、そこから逸脱してしまったらもう「BLじゃない」と考えているわけです。
この意見は示唆的だと思います。ジャンルフィクションにともなうある種の予定調和性(「コード=お約束」)から外れてしまったら、そのジャンルのファンからは反発が生じるということ。
お約束がものをいうジャンルフィクションで何かし -
BLはBLファンのためだけのものなのだろうか?
2019-01-27 11:0251ptこのマシュマロ(https://twitter.com/kaien/status/1089338564918181888)がなかなか興味深かったので、長文で答えてみました。その内容をここにまとめておきます。
マシュマロありがとうございます。仰られることはおおむねごもっともかと思います。そのことを受け止めたうえで、ちょっと興味深い話なので、以下、少々長くなりますがぼくのほうの意見を述べさせていただきます。
まず、この作品がBL専門誌に掲載されたBLファン(いわゆる腐女子)向けの作品であることは、もちろん承知しています。ぼくが最初にこの作品を読もうと思ったのも、そういう人のなかのひとりが作品の名前を挙げていたからです。
その意味では、たしかにぼく向けの作品ではないといえるでしょう。しかし、ぼくは思うのです。「キャラ萌えがないと物足りなく感じる」ということは、裏返してみればBL萌えという -
「なぜ人を殺してはいけないのか?」に答えることより大切なこと。
2019-01-26 23:5751pt「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いは、社会的なレベルとより本質的なレベルで答えが異なる。
社会的なレベルでは「社会がそう決めたから」だし、本質のレベルでは「べつに殺してはいけないとは決まっていない」。社会のルールと世界の本質を分けて考えることはこの手の思考実験の基本かな。
「なぜ人を殺してはいけないのか?」といっても、現に殺した人はいるし、それで特に捕まることもなく最後まで幸せに生き抜いた人だって枚挙にいとまがないよね。世界はべつに殺人を禁じてはいない。あたりまえだ。
でも、社会は社会そのものの維持のため殺人や窃盗などの自由を禁じる。それだけのことではある。
ただ、人間が設定した社会的なルールと世界の本質(ぼくは「グランド・ルール」と呼んだりする)を混同するとわけがわからなくなる。
人間が設定したルールはあくまでそのルールに同意する人間に対してしか効果がないので、絶対 -
「お約束」に縛られない百合やBLを読みたいというエゴ。
2019-01-25 04:0251ptおかげさまで同人誌『マインドマップで語る物語の物語(1)(2)(3)』が売れています。具体的な数字は出しませんが、当初想定していた数字より相当に大きな部数が出ていることは間違いありません。
最初に夏コミまでの目標として掲げていた数字はたった1日で達成してしまいました。このままだと再び全商品が完売し、品切れになる可能性もなくはないかもしれません。かなり多めに刷ったつもりだったんですけれどね。
長期的に在庫を残しておく状態にしたいので、もしそうなったばあい、どうするのかは考えどころです。さてさて、どうしたものでしょう。
で、まあ、それはともかく、きょうの話に入りましょう。いま、書きたいテーマをいくつか抱えていて、たとえば、
・セックスの快楽とは? 孤独からの解放/開放。能動の性と受動の性。
・ボーイズラブや百合と「お約束」。
・プリキュアとリベラリズムの正義。
・男らしさから「半分だ -
同人誌『マインドマップで語る物語の物語(1)(2)(3)』通販開始!
2019-01-23 10:0551ptども。冬コミで頒布した新刊『マインドマップで語る物語の物語』の第2巻及び第3巻の通信販売を開始しました。
倉庫搬入の関係で商品の発送はしばらく先になってしまいますが、とりあえず購入はできます。おそらく今回は在庫がなくなることはないと思うのですが、保証はできないのでかならず入手したいという方は早めにご購入していただけると良いかと思います。
長いあいだ品切れ状態だった第1巻も再販しています。この機会に3冊まとめてお買い求めされると送料も安く済んで良いのではないでしょうか。
で、昨晩に告知したばかりなのですが、いい感じに売れているようでありがたいかぎりです。在庫がすべてはけてくれると次の夏コミで新刊を刷りやすくなるのですが、さすがにそれは無理かなあ。
まあ、第1巻を買ってくれたと思しい方々が、第2巻、第3巻を買い求めてくださることは素直に嬉しいです。それ即ち第1巻の評価のあかしですから -
ベジータ問題。あるいは『SSSS.GRIDMAN』における「正義」と「悪」とは何か?
2019-01-21 15:0351ptこの記事は『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」』と『SSSS.GRIDMAN』の全面的なネタバレを含みます。まだこれらの作品を未見の方は回れ右するか、「覚悟」のうえでお読みください。よろしくお願いします。
さて、ペトロニウスさんの『SSSS.GRIDMAN』の記事が興味深いので、引用します。
これ、もともとはぼくがTwitterでこの作品の名前を挙げたところから始まっている話なのですけれど、ペトロニウスさんはこのアニメを見て古い脚本だと思ったとのことです。
それはそうで、アニメ的にも20年とかまえのスタンダードですし、SF的にはニューウェーブの内面宇宙とかの話と重なりますから、へたすると50~60年昔の話だったりするわけです。
で、やはりいまひとつの作品だと思った(らしい)ペトロニウスさんは教えてLD先生!ということでLDさんにその内容につい -
男らしさから降りろといわれても。
2019-01-19 04:2651pt現在の男性学においておそらく最も有名な人物に、田中俊之がいる。
『不自由な男たち』、『男が働かない、いいじゃないか!』など複数の著書で知られる人なのだが、そのなかに『男がつらいよ』という本がある。
例によって「男らしさ」や「競争」を相対化して生きることを薦めている本なのだが、その一節で「目立たず、積極的でもない男性が女性に好かれるためにはどうすればいいのか」が語られている。
で、そこで紹介されるのがかの名作『スラムダンク』の小暮くん(メガネくん)なのである。読んでもらえば男性学の恋愛に関するスタンダードな論旨がどのようなものなのかわかると思うので紹介したい。
地味です。確かに地味ではあります。しかし、魅力的だなと思った女性もいるのではないでしょうか。そうした判断をもっと信じてください。世間でいわれている理想の男性像がどのようなものであっても、自分と相性があうかどうかは全く別問題 -
エマ・ワトスン問題の解決は可能か。
2019-01-18 04:4151pt前の記事の続き。
さて、前回は「男性一般を取りあげて女性一般より「つねに」社会的優位にあるとは定義ではない。話はそれほど単純ではない」という意味のことを語ったが、もちろん、だからといって男性たちが享受する「上げ底」をまったく否定してしまうこともまたできない。
じっさい、話を日本に限るなら、男性の平均収入は女性よりも高いし、平均的に見ればその社会的地位もいまなお女性より高いだろう。
だから、ぼくがいいたいのは、そういう一律に均した結果としてならたしかに確認できる「上げ底」を、すべての男性が享受しているわけではないという、あたりまえといえばあたりまえのことである。
すべての男が楽をして生きていて、すべての女が苦しみの底にあるかといえば、そんなことはありえない。だから、男性が男性であるというだけのことに対して負い目を感じる必要はない。
たしかに自分自身が性差別をしてきたという自覚があ -
男性の自己嫌悪はどこから来るのか。
2019-01-18 03:5651pt電子書籍『あいされたい。』を書くために非モテ関連の本を読んでいるのだけれど、どうもぼくは非モテに対して共感がないなあとあらためて感じる。その理屈はともかく、感情的なところにまったくシンパシーを覚えないのだ。
もっというなら、日本の男性学、男性論がまるで納得できない。男性学の本は何冊か(たぶん日本で出ているものはほとんど)読んだが、ほとんど共感できた覚えがない。
まあ、それなりに良い本もあるとは思うのだけれど、結局はフェミニズムを下敷きにするというより鵜呑みにしていて、それゆえに歪んでいる印象が強い。
たとえば『非モテの品格』という本がある。この本の著者は優れた宮崎駿論を書いた人で、書き手として一定以上に信頼しているのだが、この本一冊に限っていうなら、やはりまったくうなずくことができない。
序盤のほうに、女性から男性への想いを表すこんな一節がある。
男たちには、たくさんの社会的
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