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SF漫画特集! 『ぼくらのよあけ』から『クロノスヘイズ』まで。
2015-02-12 01:4651pt
どもども。先日の予定通り髪を切ってキラキラボウズヘッドになった海燕です。
いやー、この寒いというのにさらに頭を寒くしてどうするのかという気もしますが、まあ、前髪はもともとかなり抜けていたので大して変わらないかも。
いつもの理髪店で刈ってもらったのですが、「やっちまってください、姉さん」とばかりにバリカンをかけてもらっている最中はさすがにドキドキ。
36年間付き合ってきた髪の毛ともいよいよ今生の別れかと思うと、涙がちょちょ切れる思いでした。まあ、べつにその髪の毛がずっとぼくの頭にあったわけじゃないけれど。
というわけで、あっというまになけなしの頭髪は失われ、後ろ頭はともかく、前から見る限りはゆで卵みたいな頭になってしまいましたとさ。
何しろ前髪が全部抜けているので、正面から見ると辮髪みたいに見えないこともないかも。全体的には、香港映画の悪役というか、ジャッキー・チェンの前に立ちふさがって三秒でやられる奴、みたいなイメージ。
後ろ頭はソフトモヒカン気味にしてもらったので、度入りサングラスとかかけたら完全に悪役ですね。
せっかくなので写真をアップしたいのは山々ながら、そこまで自虐的でもないのでやめておきます。うーん、人生は何が起こるかわからないね。さっさと円形脱毛症が治って普通の髪型に戻せる日が来ることを祈りたい。
えーと、お前の髪型になんて興味はないんだよという読者の皆さまのツッコミが聞こえるようなので、この話はこれくらいにしておきましょう。
それにしても、よく我ながらこうあっさりと髪を切る決意ができたなあ、とちょっと感心。昔だったらもうちょっと悩んだと思うんだけれど、やっぱりぼくも変わって来ているんだなあ。ある意味では成長したのだともいえるし、べつの意味ではただ鈍くなっただけかもしれません。
それはともかく、きょうは最近読んだSF漫画の話でも。ここのところ続けて何冊か面白いサイエンス・フィクションを読んだので、そのことについて語りたいのですね。
まず、今井哲也『ぼくらのよあけ』。いまどきめずらしい正統派ジュヴナイルSFの佳作です。技術的特異点が乗り越えられて人工知能が社会に組み込まれた近未来を舞台に、遥か彼方からやって来た異星の宇宙船をもとの航路へ帰還させようと試みる少年たちのひと夏の冒険が描かれています。
深宇宙からやって来た謎の宇宙船はじっさい平和的かつ友好的なヤツなのですが、もしその存在が発覚したらこれはもう全人類的大事件。
しかも、いろいろな理由で「かれ」の来訪をばらすことはまずいことに繋がるというわけで、少年たちは自分たちだけで事件を解決しなければならなくなる。しかし、それは当然、簡単ではなく――と話は進んでいく。
ちょっとキレイに出来すぎている感じはあるものの、まずまず、よく出来た作品なのではないでしょうか。面白かった(というと偉そうですが)。
とにかく特筆すべき凄いアイディアとかはないけれど、めちゃくちゃストレートな内容で、切なくほろ苦く胸に迫って来る作品です。
印象的なのは少女たちのいじめが関わってくる辺りの話で、宇宙へ進出するほどの科学力を身につけたにもかかわらずいじめひとつ解決できない人間たちの業が興味深い。
じっさい、人工知能が発達して生活が改善されるくらいの未来になったとしても、暴力と仲間はずれはなくならないかもしれないですね。
ある意味、お手本にしたいくらいのジュヴナイルの良品なので、ぜひ、映像化されたものを見てみたいという気がする。実写映画化は無理としても、どこかでアニメをやらないかな、と。
まあ、いまどき特別の萌えキャラひとりいない地味な漫画なので、そういうメディア展開は無理かもしれません。
ただ、ぼくとしては大量に出て来る美少女キャラクターの名前を憶えるのに必死になるアニメだけではなく、この手の地味な良作も作られつづけるといいなあ、とは望みたいところです。それが商売として成立するかどうかはわからないけれど。
一方、町田洋『惑星9の休日』はどこか彼方にある惑星9で繰り広げられるちょっとエキセントリックなSF的出来事を独特の乾いた絵柄で描いた短篇集。
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「いやな奴」はどこまでいやな奴なのか。
2015-01-20 16:0451pt
どうも。長いあいだお待たせしました。インフルエンザからほぼ完全に回復したので、更新を再開します。
いやー、今回のインフルはしつこかった。熱はすぐに下がったものの全身の倦怠感がしばらく続き、だるだるっとした気分で家に張り付いているよりほかありませんでした。
やっぱり風邪ひいていると長い文章は書けないものですね。書いては消し、書いては消したりしていたのですが、どうしてもまともなものが仕上がらなかった。健康大事。
それにしてもこういう時、Kindleのシステムはものすごく便利です。自室にいながらにして欲しい本を欲しいだけ手に入れることができるし、また入手した本を読むこともできる。
ひと昔前だったら考えられないことだったわけで、まさに神システムというしかありません。不満は色々あるけれどね。
そういうわけで、以前、Kindleで落としていた今井哲也『ぼくらのよあけ』全2巻を読み上げました。漫画の長編化が進みつづけるきょう、全2巻の作品というと「さては打ち切られたか」と勘ぐられそうですが、この漫画はたった2冊できれいに終わっています。
特に傑作というほど飛び抜けた何かがあるわけではないのですが、いまどきめずらしい王道ジュヴナイルSFの快作といっていいのではないかと。
物語は2030年代の近未来を舞台に、地球へ落ちてきた異星の宇宙船を宇宙へ還そうとする少年たちのひと夏の物語を綴って行きます。
2030年代ということで現代に比べて科学が進歩していて、人工知能なども発達しているものの、基本的にはいまと変わらない社会の描写です。
じっさい、こういう近未来を描くのはものすごくむずかしいと思う。あっというまに現実に追い抜かれて古くなってしまいますし、現実的な未来予想をしただけではSFとして面白みがありませんから。
その、いまと少しだけ違う、しかしいじめもあれば犯罪も残っている社会で、ひと夏の冒険が繰りひろげられるわけです。
2030年代というと『攻殻機動隊』シリーズとほぼ同じ時代なのですが、あそこまで生活に大きな変化があるようには見えません。まあ、『攻殻機動隊』の世界は二度に渡る世界大戦を経験しているんですけれどね。
基本的にはとても面白いSF漫画で、『大長編ドラえもん』などに近い雰囲気を感じさせます。作中の男の子たちがストレートな人間関係を築いている一方、女の子たちは複雑で陰湿ないじめ関係を構築しているというあたり、ちょっと定型的かな、という気もしないでもありませんが。
というか、作中のすべての描写が、おそらくは意図的に「どこかで見たことがある」ものに仕上げられていて、それが長所とも短所ともいえると思います。まったく斬新なものを目指そうとしたというよりは、「なつかしい未来」を指向した作品だったのかな、と。
印象的なのは、脇役で出て来るいじめっ子の女の子。彼女はひたすら周囲をいじめる「いやな奴」として描かれるのですが、ある時、構図がくるっと逆転して、「いじめられる側」へと転落します。
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