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もしも完璧な映画があるとしたら。
2013-11-02 07:0053pt
あなたには、こんな経験がないだろうか。
遅い昼食を終え、だらりとソファに寝そべりながら、何気なくリモコンでテレビを点ける。いつものことながら下らない番組ばかり。自分のことは棚に上げ、日本人の知的水準をののしりながら次々とチャンネルを変えていく。
どうせろくな番組はないとわかってはいるのだが、もうそういう動作が癖になっているのだ。ところが、突然、その動作は止まる。ある映画が放映されていたからだ。
いかにも古くさい白黒の洋画。とくに映画好きでもないあなたには興味を抱く理由はないが、どういうわけか目が離せない。どうせほかにろくな番組もないことだし、ちょっと見てみようか、とあなたは思う。
その選択は正解だった。タイトルが表示されて10分も経つ頃には、あなたはソファから降り、自分でも気づかないままに姿勢を正して、夢中で画面に見入っている。
軽妙な会話、端正な画面、そこには見るもの
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