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SMはひとつの愛のかたちなのかもしれない。

 今村陽子『ほんとのかのじょ』。  またまた百合漫画です。最近、ぼく、百合の単行本をよく読んでいるよなー。まあ、BLも読んでいるんですけれど(笑)。  今回は百合といっても一風変わっていて、SMの話です。  根っからのどMの少女もえと、彼女に告白されて好きになってしまった少女ゆーかの物語。  ゆーかは本来サディストでもなんでもなかったはずなのですが、もえのマゾヒストさに影響を受けてどんどん資質を開花させていきます。  はたしてふたりのちょっと危険な恋の行方やいかに?  で、まあ、SMっていうとサドとかマゾッホとか団鬼六とか村上龍あたりなのでしょうが、サドまで行くとちょっと付いていけないなと感じるものの、マゾッホはちょっと好きですね。  団鬼六もかなり好き。村上龍はまたちょっと違うと感じる。  特に団鬼六は色気があっていいなあと感じます。  男性視点のSM小説には違いないのですけれど、かれの小説の中心を務めるのはあきらかに女性なのですね。  ひたすらにいじめることで女性の美しさをひきだしていくという、そういう構造になっています。  だからけっこう好んで読む女性読者もいたりするわけです。  そのクラシックな香気ただようSMの世界にはたくさんのファンがいるのです。  ちなみにもともとは学校の先生で、授業中にサボってSM小説を書いていたなんて逸話も残っています。面白い人だなあ。  この人の作品の特徴はとにかく延々と女性をさいなみ抜くことで、『花と蛇』なんて、文庫全10巻にわたってある貴婦人をいじめているという、大長編SM小説らしいです。  ぼくはすぐ投げ出してしまいましたが……。まあ、そこはべつに根っからのSM好きじゃないのでしかたない。  あと、 

SMはひとつの愛のかたちなのかもしれない。
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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