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寝取られは淫靡なマゾヒズムの悦び。色白好『ネトラセラレ』は昏い背徳の欲望の物語だ。

 きょうも懲りずにエッチな漫画のレビューを続けます。  いやいや、ぼくはべつに好きじゃないんだけれど、読みたくもないんだけれどね、ほらほらお仕事だからしかたなく!  いやー、仕事辛いわー。マジ辛いわー。対価をもらって文章を書くって大変だね!  ――ごめんなさい。ぼくはいま嘘をつきました。エッチな漫画は好きです。心のオアシスです。  仕事もめっちゃ楽です。こんなに楽でいいのかにゃあと思うくらい。まあたぶんいいんだろうけれど。  さて、らぶらぶいちゃいちゃな漫画を二冊ほど紹介したので、今回は趣きを変えてダーク&エロティックな作品をひとつ。  色白好『ネトラセラレ』。  タイトル通り、「ネトラレもの(NTR)」です。  きれいで可愛くて胸が大きい、ある種の男性の理想を絵に描いたような女性がヒロイン。  主人公は彼女の夫なのですが、彼女との性生活に満足できないものを感じ、不能に近い状態になっています。  そしてあるとき、悪魔がかれの心にささやきかけるのです。彼女がほかの男と寝ているところを見ることができれば、自分の不能も直るかもしれない。  そして、かれは妻に土下座して頼み込みます。どうか一度だけほかの男と寝てほしい、と。  頼まれたらいやといえない妻は渋々その願いを聞き届け、ひとりの男と夫公認の不倫を行うことにします。  そして、夫はその行為の「実況中継」を聞いてひとり欲情するのです――。  「ネトラレ」はマゾヒズムの極致ともいうべき表現ですが、自らほかの男に妻を寝取られることを望み、そのことに強い性的快楽を感じるこの主人公は変態としかいいようがないですね。  世の中にはひとに迷惑をかける(かけざるをえない)変態とそうでない変態がいるわけですが、この男がどちらに属するかは微妙なところでしょう。  違法行為に手を染めていないという意味ではだれにも迷惑をかけていないと強弁することもできるだろうけれど、何よりかれの最愛の妻が犠牲になっているわけです。  こんなろくでなしの男、とっと別れたほうがいいと思うのですが、そこは漫画なので彼女はなかなか夫を見放しません。  しかし、 

寝取られは淫靡なマゾヒズムの悦び。色白好『ネトラセラレ』は昏い背徳の欲望の物語だ。
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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