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いま、『機動戦士ガンダム』を映像にする意義とは何か。

 アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(1)青い瞳のキャスバル』を見ました。ぼくはバンダイチャンネルでダウンロードして見たんだけれど、プレイステーションストアなどでも視聴できるもよう。もしくは、全国13館の映画館でも劇場公開しているとか。  もちろん、どの方法で見るにしても内容に変わりはないわけですが、可能ならぼくも劇場で見てみたかったですね。いや、じっさいよく出来たアニメで、面白いんだ、これが。  初放送から実に30年以上も経っている『機動戦士ガンダム』をいまによみがえらせることにどれほどの意味があるのか? その疑問は当然消えないのだけれど、じっさいに見てみるとこれはこれでありかな、と思えて来ました。  アニメ『ガンダム』の漫画化作品である『THE ORIGIN』をアニメ化するというのは、何とも倒錯した関係という気もしなくはないのですが、今回アニメになるのは漫画のオリジナルエピソードばかりのようですから、あるいはいまアニメにする意義も大きいのかもしれません。  安彦良和の絵がそのまま動いている様子を見られるだけでも値段分のバリューはあるかと。  その世界や物語は『ガンダム』であるには違いないのだけれど、そこはやはりいまの技術で作られていますから、その迫力は現代のアニメーションのそれです。  何よりやっぱり『ガンダム』という作品の普遍性は強烈なんですよね。作品のSF的な側面はいまではもう古びてしまっているものの、ドラマの側面はさすがにいまなお通用するものを秘めている。  いや、ただ通用するという次元を超えて、十分に魅力的であり、強烈にひとを惹きつけるものがあります。これはもう、現代の古典として通用するくらいの魅力を備えているといってもいいのではないでしょうか。  『モンテ・クリスト伯』とか『レ・ミゼラブル』とか、そういうクラシックに匹敵する設定の妙があると思う。  そもそもアムロとシャアというふたりのキャラクターの思想的対立軸が――というような話を始めると長い話になってしまうわけですが、まあ、そういうことを語らなくても、一本のエンターテインメントしてとんでもなく面白い物語設定があると考えます。  今回の話でいうなら、何といってもシャア・アズナブル、あるいはキャスバル・レム・ダイクンというキャラクターが秀逸です。 (ここまで967文字/ここから1557文字) 

いま、『機動戦士ガンダム』を映像にする意義とは何か。
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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