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『DEATH NOTE』コンビの新作『プラチナエンド』は新境地を拓けているか?

 大場つぐみ&小畑健『プラチナエンド』を読んでいます。  『少年ジャンプ』史上にのこる伝説の傑作『DEATH NOTE』のコンビがふたたび挑むサスペンス・エンターテインメントです。  『DEATH NOTE』は、少なくともその前半は圧巻の出来で、毎週『ジャンプ』を読むのが楽しみでしかたなかっただけに、『プラチナエンド』の出来も気になるところなのですが、じっさいのところ、この漫画、どうなのか?  ――うん、悪くはない。悪くはない出来ですが、全体にもうひとつかな。  物語は主人公・架橋明日が自殺しようとビルの屋上から身を投げる場面から始まる。  ところがその時、突然、白い羽根を持つ「天使」が現れ、明日を救う。  明日を幸せにするためにやってきたという天使は、かれに「赤い矢」と「白い矢」、そして「翼」を与える。  「赤い矢」は33日間ひとを魅了する力を持ち、「白い矢」は即死の効果を持つ。そして、「翼」は一瞬でどこへでも行ける能力だという。  どうやら明日は、これらの力を使ってほかの12人の候補と戦い、全能の「神」にならなければならないらしい。  戦いを拒絶すれば待ち受けるものは死。明日は仕方なく行動を開始するのだが――というのが第1巻のおおよそのあらすじ。  まあ、ここからわかる通り、典型的なバトル・ロイヤルものですね。  もちろん、そこは大場つぐみの原作だから、高度な頭脳戦がくり広げられることになるのでしょう。  しかし、序盤の時点では特にその気配はなく、ルールの説明に終始している印象です。  『デスノ』コンビの新作だけに、どうしても『デスノ』と比べてしまうのだけれど、『デスノ』よりルールが複雑で、わかりにくいし、キャラクターに特別な個性がなく、共感しにくい性格をしている点がマイナス。  いまのところは、やはり『デスノ』の壁を超えるのはむずかしいのだなあ、と思わせるものに仕上がっています。  何より、この手のバトル・ロイヤルものは、『未来日記』とか『東のエデン』とか、ほぼ同じ設定のものが既に出そろってしまっているわけで、『プラチナエンド』には新味がない。  小畑さんが担当する絵は圧倒的に美しいのだけれど、ただそれだけでは物語の欠点を解消できていない。  だから、ここまではどうしても「もうひとつ」という評価を下さざるを得ません。  ただ、この手の作品は読者がルールを呑み込めて登場人物がそろってくる後半になるほど面白いという可能性も捨て切れないので、読むのをやめたりすることはありません。  もうひとつとはいっても、それは『デスノ』のようなメルクマール的傑作と比較したらの話で、普通に読めばそこまで悪くない作品ですしね。  もっとも、このままの調子が続くと苦しくなってくることはたしかでしょう。  いったいこの先、どんな展開が待ち受けているのか注目したいところです。  それにしても、 

『DEATH NOTE』コンビの新作『プラチナエンド』は新境地を拓けているか?

映画『バクマン。』が熱い!

 すっかり肌寒くなって来ましたね。  ぼくは全身脱毛症の影響で鼻毛まで抜けてしまったせいか、くしゃみが止まりません。  鼻毛なんてなんの役にも立たないと思っていたけれど、実は役に立っていたんだなー。失って初めてわかる大切さ。ああ無常。  さて、そんななか、ぼくは映画『バクマン。』を観て来ました。  うん、これはいい、いいですね!  原作は『少年ジャンプ』連載の漫画家漫画。  映画は原作のエピソードを巧みに取捨選択して2時間の上映時間にまとめ上げています。絶妙。  原作は全20巻以上あるわけで、普通に考えたら一本の作品に収まりきるはずもないのですが、そこは映画らしく巧みにショートカットをくり返して魅せてくれます。  物語は平凡な高校生のサイコー(佐藤健)とシュージン(神木隆之介)が『少年ジャンプ』の頂点を目指し駆け上がっていく様子を描いています。  絵しか描けないサイコーと、発想力はあるが絵が描けないシュージン。  ふたりは互いの欠点を補い合って一本の漫画を描き上げ『ジャンプ』に持ち込みます。  そして手塚賞から本誌掲載へ、さらにはアンケートランキング首位を目指すふたりの戦いは、天才漫画家の新妻エイジ(染谷将太)など幾人もの同業漫画家たちとのバトルの態を成していきます。  はたしてふたりは戦国乱世の『少年ジャンプ』で生き残ることができるのか――?  物語はスピーディかつサスペンスフルに進んでいきます。  この展開のショートカットがあってこその映画だなあ、とつくづく思いますね。  ただ愚直にストーリーを追いかけていくだけでは面白い映画は仕上がらないのです。  この作品、全体的には相当にエピソードが刈り込まれ、駆け足の展開が続くのですが、テンポを落とすところでは劇的に落としています。  その緩急が印象的な展開を作り出している。「ため」が利いているのです。  この「ため」がないとただ単に展開情報が流れていっているだけの画面になってしまうんだよなあ。映画のむずかしいところ。  テンポのコントロールは映画の基本にして奥義ですね。  映画って原作を忠実に再現していればいいってものじゃないんだな、とあらためて思わされました。  うん、いい作品でした。今年の青春映画の収穫といっていいかと。 

映画『バクマン。』が熱い!
弱いなら弱いままで。

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海燕

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