• このエントリーをはてなブックマークに追加

タグ “荒木飛呂彦” を含む記事 6件

作劇の秘訣はサスペンスにあり! 天才荒木飛呂彦が語る「エンターテインメントの掟」。(1954文字)

 ぼくはいたって凡庸な人間だ。そんなぼくの目には世界は限りなく無秩序に見える。しかし、一見カオスなこの世界にも、実は数々の「法則」が存在する。世界を律する鋼のルール。  科学者は様々な自然現象のなかにそういう法則を見出すわけだが、作家は物語になかに法則を発見する。物語をエンターテインメントたらしめる、人間心理に即した不変の「掟」である。  本書は『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる不世出の天才作家荒木飛呂彦がその「エンターテインメントの掟」を開陳し尽くした脅威の一冊。  タイトル通り、荒木が色々な映画を取り上げて「ここがいい」「ここがイマイチ」と語っているだけの本なのだが、その語り口が例の「荒木節」で、作品の見方がオリジナルなので、読んでいて抜群に面白い。世に映画批評本は数多いが、まさにひと味もふた味も違う一冊といえる。  何しろ書き手が荒木飛呂彦だから、読むほうは「どんな独自の解釈があるのだろう?」と考えるだろう。本書はその期待に応えているともいえるし、応えていないともいえる。  というのも、荒木はあくまで自分の嗜好にもとづいて作品を選び、語っていて、そこには読者に対する配慮などほとんどないからだ。読者は天才荒木飛呂彦の視点から無数の映画を見、ひたすらにうなるばかりである。  荒木が作品を見るときのポイントは「サスペンス!」、これに尽きる。『ジョジョ』もまたきわめてサスペンスフルな作品だが、その起源はどうやらここで取り上げられた映画たちにあるらしい。  荒木は数々のサスペンス映画から作劇を学び、『ジョジョ』を生み出したのだ。かれによると、よくできたサスペンスは以下の五つの条件を満たしているという。 1.謎。 2.主人公に感情移入できる。 3.設定描写。 4.ファンタジー性。 5.泣ける。  この五条件を満たした作品が荒木的な意味での名作なのだ。この五箇条が具体的に何を示しているのか、くわしいことは本文に譲るが、とにかく荒木独特の価値観に「なるほど」と思わせられる。  この本を読んでいてはっきりとわかるのは、荒木が「世間的な評価、価値観」といったものに何の意味も見出してはいないということである。  荒木にとって大切なのは自分が面白いと思うかどうかであって、ひとが名作といおうが、駄作と貶そうが、そんなことは一切関係ないのだ。  

作劇の秘訣はサスペンスにあり! 天才荒木飛呂彦が語る「エンターテインメントの掟」。(1954文字)
弱いなら弱いままで。

愛のオタクライター海燕が楽しいサブカル生活を提案するブログ。/1記事2000文字前後、ひと月数十本更新で月額わずか300円+税!

著者イメージ

海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

https://twitter.com/kaien
メール配信:ありサンプル記事更新頻度:不定期※メール配信はチャンネルの月額会員限定です

月別アーカイブ


タグ