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記事 5件
  • 宇野常寛 チームラボと未来の社会像――3つの境界線を消失させるために(後編)

    2019-11-20 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、宇野常寛によるチームラボ論の後編です。チームラボの「超主観空間」は、三次元空間を平面化する視点の変容により、鑑賞者を作品世界へと没入させます。デジタルアートと自然の融合が促す、人間と事物の境界の消失。さらには人間の間にある境界の融解による、理解や共感に依らない他者との共生の可能性を提示します。 ※本記事は『teamLab 永遠の今の中で』(青幻舎・2019年)に寄稿した論考を転載したものです ※本記事の前編はこちら本記事のリード文の一部に誤記があったため、修正して再配信いたしました。読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。【11月20日19時00分追記】
    本メルマガの連載を書籍化した『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』が11月21日に発売になります。ぜひお買い求めください(Amazon |BASE)
    3 人間と事物との境界線を消失させる
    チームラボのデジタルアート作品は、彼らの主張する「超主観空間」というコンセプトに基づいた平面的な絵画のアップデートから始まった。「超主観空間」とは何か。「一般的に伝統的な日本画は観念的だとか平面的だとかと言われているが、当時の人には、空間が日本画のように見えていたのではないだろうか」という疑問から、このコンセプトは生まれたという。チームラボは「デジタルという新たな方法論によって、その論理構造を模索」し、「コンピューター上に立体的な三次元空間の世界を構築し、日本美術の平面に見えるような論理構造」を仮定した。その論理構造を「超主観空間」と呼ぶ。こうして、チームラボ作品の多くが、コンピューター上に仮構された三次元の空間を「超主観空間」の論理式によって平面化することによって生まれてきた。[2] これによって日本画は無限に変化するアニメーションに、あるいは鑑賞者に対しインタラクティブなものにアップデートされたわけだが、ここで重要なのはむしろ視点の問題だ。 猪子は述べる。超主観空間によって描かれた自分たちの新しい日本画は「スーパーマリオブラザーズ」のようなものなのだと。猪子は「スーパーマリオブラザーズ」に見られるような80年代の日本のコンピューターゲームで発展した横スクロールアクションと、日本的な絵画の「視点」の問題に共通項を見出す。それは、鑑賞者≒プレイヤーが自分の感情移入対象である人物(キャラクター)と視点を共有しながらも、その姿を神の視点から把握していることだ。猪子はこの視点を平面(作品世界)への没入を可能にする視点だと位置づける。「超主観空間」は伝統的な日本絵画を動的に、インタラクティブにアップデートするためだけに導入されたのではない。むしろ、作品世界への鑑賞者の没入を、人間と事物(作品)との境界線とを消失させるためにこそ必要とされたのだ。 人間と事物との境界線の消失というコンセプトは、今日においてもチームラボの作品群の一つの中核をなしていると言えるだろう。 例えば〈Floating Flower Garden;花と我と同根、庭と我と一体〉(2015)は、本物の生花で埋め尽くされた空間として鑑賞者の前に登場する。しかし鑑賞者が近づくとモーターで制御された花たちは上昇を始め、鑑賞者の移動に合わせて半球状のドームが生まれていく。あるいは、同年のチームラボの代表作の一つ〈クリスタルユニバース/Crystal Universe〉は、無数のLED電球の配置された空間において鑑賞者がスマートフォン上のアプリケーションを操作することで、さまざまな光の彫刻を再現するインタラクティブな作品だが、鑑賞者は自在に変化するこの光の彫刻を操作するだけではなく、その彫刻の中に侵入することができる。これらの作品はいずれも超主観空間を平面から立体に、二次元から三次元に、目で見るものから手で触れられるものにアップデートしたものだ。そしてチームラボのデジタル日本画が鑑賞者の没入を誘うように、これらの立体作品もまた私たちを没入させる。 猪子は述べる。〈自然の中に入ったときに感じる「世界の一部になったような感覚」とか「他者と自分との境界がなくなる」とか「本当に自分の肉体が入っている」とか、そういう感覚も好きなんだよね。それがモノでできたらもっとすごい。〉[3]
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  • 宇野常寛 チームラボと未来の社会像――3つの境界線を消失させるために(前編)

    2019-11-19 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、宇野常寛によるチームラボ論をお届けします。2016年のトランプ大統領の誕生が明らかにした世界の分断。グローバリゼーションと、それに対する抵抗の間にある「境界」は、いかにして乗り越えられるのか。前編では、チームラボが「Borderless」のコンセプトを掲げて取り組む、作品間の「境界」を融解させる試みについて読み解きます。 ※本記事は『teamLab 永遠の今の中で』(青幻舎・2019年)に寄稿した論考を転載したものです
    本メルマガの連載を書籍化した『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』が11月21日に発売になります。ぜひお買い求めください(Amazon |BASE)
    1 2016年の敗北ともう一つの「壁」
    2016年11月8日一それは世界を駆動していた一つの理想が決定的に蹟き、そして敗北した日だった。 その日行われたアメリカ大統領選挙によって第45代大統領に選ばれたのは、大方の予想(あるいは希望的な観測)を覆しドナルド・トランプだった。「壁を作れ」という象徴的な言葉が示すようにトランプの当選は、20世紀の惨禍から人類が学び得た理想(多文化主義)と、21世紀の人類を前に進める新しい「経済」的な理想(カリフォルニアン・イデオロギー)の二つに共にNoを突きつけるものだ。 多文化主義(政治的なアプローチ)とカリフォルニアン・イデオロギー(経済的なアプローチ)はともに、グローバル化と情報化によってこの世界を一つにつなげる力の背景にある思想だ。20世紀的な国民国家の集合(インターナショナル)から、世界単一の市場経済(グローバル)ヘ世界地図を描くべき図法は変化し、この新しい「境界のない世界」は冷戦終結から約四半世紀の間に急速に拡大していった。革命で時の政権を倒しても、ローカルな国民国家の法制度を変えることが関の山だが、情報産業にイノベイティブな商品やサービスを投入することができれば一瞬で世界中の人間の社会生活そのものを変えることができる。21世紀はグローバルな市場というゲームボードによって世界が一つの平面に統一され、その主役は国境を越えて活躍するグローバルな情報産業のプレイヤーたちだ。 しかし、この新しい「境界のない世界」へのアレルギー反応が噴出したのが、2016年だった。アメリカ大統領ドナルド・トランプの誕生、そして同じ2016年に行われたイギリスのEU離脱を支持する結果となった国民投票(ブレグジット)。去る2016年は冷戦終結後から一貫して進行してきたグローバリゼーションに、そしてそれと並走して進行してきた人類社会の情報化に対するアレルギー反応の時代に世界が突入したことを宣言する1年になったのだ。
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  • 11月21日発売!猪子寿之×宇野常寛『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』☆号外☆

    2019-11-04 20:00  

    チームラボ代表・猪子寿之さんと宇野常寛との対談をまとめた書籍『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』を11月21日(木)に発売します!
    猪子さんと宇野の、4年間の対談をまとめたこの本は、(ときに大幅な脱線をはさみながら)、チームラボの展覧会や作品のコンセプト、その制作背景を、二人の対話とたくさんの写真を通じてまとめた本です。

    毎回の連載を楽しみにしてくださっている方や(もちろんこのあとも連載は続きます!)、お台場や豊洲をはじめとしたチームラボの展覧会に行ったことのある方はもちろん、チームラボってなにもの? という方にも、楽しく読んでいただけるよう、精一杯つくりました。
    作品の画像だけではなく、展覧会の現地で撮影した写真や、オフショットなども満載。全ページフルカラーでとても読みやすい、(しかし人類を前に進めるための真実も随所で語る)永久保存版です。
    ただいまAmazonや全国の
  • 【冊子つき先行予約は10/31まで】猪子寿之×宇野常寛『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』

    2019-10-28 12:00  

    チームラボ代表・猪子寿之さんと、PLANETS編集長/評論家・宇野常寛との4年間におよぶ対談が書籍になります!
    10月31日まで限定で、PLANETS公式オンラインストアにて冊子つき・先行予約を受付中。
    特典冊子『ニッポンを前に進めたい』では、人口縮小社会への問題提起から、国家と民主主義のゆくえ、グローバル経済が人々を分断する中でのアートの役割など、この国の未来について二人が語り合いました。本書と合わせて必読です!
    ご予約はこちらから
    【公式ストアにて、10月31日(木)までのご予約限定】 (1)11月21日(木)の一般発売よりも先にお届け! (2)特典冊子『ニッポンを前に進めたい』(猪子寿之×宇野常寛)と特製ステッカーつき! ※11月1日(金)以降のご予約・ご購入分には特製ステッカーのみ付属します。

    ▼本書に込めた思いを、宇野常寛がnoteに寄稿しました。 『猪子寿之と「人類を前に進
  • 10月31日(木)まで限定冊子つき・先行予約を受付開始!猪子寿之×宇野常寛『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』

    2019-10-10 19:30  

    チームラボ代表・猪子寿之氏と、評論家・宇野常寛との4年間に及ぶ対談が、ついに書籍化! 10月31日(木)まで限定で、冊子つき・先行予約を受付中です。

    ▼書籍紹介 チームラボはなぜ「境界のない世界」を目指し続けるのかーー?
    2015年からの4年間、チームラボ代表の猪子寿之氏は、評論家・宇野常寛を聞き手に、展覧会や作品のコンセプト、その制作背景を語り続けてきました。
    ニューヨーク、シリコンバレー、パリ、シンガポール、上海、九州、お台場……。共に多くの地を訪れた二人の対話を通じて、アートコレクティブ・チームラボの軌跡を追う1冊。 さらに、猪子氏による解説「チームラボのアートはこうして生まれた」も収録!
    【目次】 CHAPTER1 「作品の境界」をなくしたい CHAPTER2 デジタルの力で「自然」と呼応したい CHAPTER3 〈アート〉の価値を更新したい CHAPTER4 「身体」の境界を