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記事 2件
  • 【対談】上妻世海×宇野常寛 『遅いインターネット計画』から『制作』へ(前編)

    2019-01-08 07:00  
    540pt

    今朝のメルマガは、文筆家/キュレーターの上妻世海さんと宇野常寛の対談の前編をお届けします。上妻さんの提唱する「制作」と、「遅いインターネット」に通底する主題を踏まえながら、「開かれた運動体」を実現する方法についてや、押井守やランニングを通した「身体」を巡る議論が展開されます。(構成:菊池俊輔)※本記事は2018年10月27日に青山ブックセンター本店で行われたトークイベントを記事化したものです。
    ☆お知らせ☆ ただいま青山ブックセンター本店さんにて、宇野常寛責任編集『PLANETS vol.10』特集を展開していただいています! 特典として「遅いインターネット」計画に関する宇野のロングインタビュー冊子がついてきます。いま冊子が読めるのはこちらの店舗さんだけ。ぜひお立ち寄りください!

    ▲イベント当日の青山ブックセンター本店さんの様子。『PLANETS vol.10』と『制作へ』が一緒に!
    『制作へ』と『遅いインターネット』の共通性
    上妻 10月16日に『制作へ』という本を上梓しました。上妻世海です。専門としては、現代美術、あと文筆業をしています。よろしくお願いします。
    ▲『制作へ 上妻世海初期論考集』
    宇野 よろしくお願いします。
    上妻 まず、『PLANETS Vol.10』(以下P10)の感想から始めようかな。
    ▲PLANETS vol.10
    宇野 何でも聞いてください!
    上妻 まず驚いたのは、僕の関心領域と非常に近かったことです。僕としては、宇野さんとは違う山を登ってると思っていたんだけど、重なっている部分がとても多かった。とりわけ『制作へ』では「消費から制作へ」と言っていますからね。「遅いインターネット宣言」には非常に共感しました。 最初の猪子寿之さんとの対談は、境界と身体がテーマでしたよね。対談の中に「身体で世界を捉え、そして立体的に考える」という発言が出てきますが、これは僕が『制作へ』で提示したビジョンと非常に近くて驚きました。 僕は2013年頃から、今後は「誘惑モデル」あるいは「魅惑モデル」しかありえないということを言っていたんです。説明と説得による合意に基づいた意思決定は、民主主義における重要な手続きですよね。しかし、文化は議会ではないので、好きなコンテンツやその惹かれた部分を「模倣」することが、制作の最初のきっかけになる。「説明モデル」や「説得モデル」ではなく「魅惑」や「誘惑」するようなやり方じゃないと、文化的な共感や交感の関係は築けないということを、僕はずっと言っていたんです。それでP10を読んだら、「遅いインターネット」をどう進めるかの議論で、宇野さんは「誘惑モデルしかない」と。言葉まで一致していて驚きました。 あと「走るひと」の特集は、単なるコラボレーションと勘違いされそうですが、押井守さんのインタビューの身体論とブリッジになっていて、「遅いインターネット」を考える上でも、かなり重要な特集だと思います。そして、巻末の「遅いインターネット」の「実践編」としての鼎談。落合君の……。
    宇野 「マタギドライヴ」ね(笑)。
    ▲デジタルネイチャーからマタギドライヴへーー世を捨てよ、クマを狩ろう
    上妻 以前、落合さんのサロン向けの配信で、レーン・ウィラースレフという人類学者の著書『ソウル・ハンターズ』で論じられているユカギール人の狩猟の話をしたことがあって。狩猟民と落合さんの生き方には共通点があると論じたことがあったんです。そしたらP10の落合さんのインタビューに「マタギドライヴ」という言葉が出てきて(笑)。自分の文脈に引きつけて読みすぎかもしれませんが、非常に共感しました。 ここまで、P10で僕が重要だと思った点を挙げたのですが、ここからはそれを踏まえて質問に移りたいと思います。現在、社会システムのクロック数や消費の速度がますます速くなっている中でつまらないリプライや反論が日本社会全体を覆い尽くしている状況に、宇野さん自身がうんざりされていて、それに対する提案として「遅いインターネット」がある。そこでひとつだけひっかかったのは、ここで想定されているのは、いわゆる一般の「公」の人たちですが、今の社会はもうすこしセグメント化されているというか。宇野さんはテレビに出られているので、そういう層からの反応が異常に多くて、クソリプだらけの言説空間になっているという意見になってしまうのかもしれませんが、たとえば今日、会場に来てくださっている方や僕の読者は、まあ僕のフォロワー自体が少ないのもあると思いますが、あんまり変なリプライしはないし、変な人が目につくことも今のところ少ないんですよね。 だから、そういう反論をしたり、ヘイトスピーチ的なツイートをしている人たちを「公」と呼んでいいのか。それはかなり偏った人たちなのではないか、と思うんですが、どうでしょう?
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  • 【対談】家入一真×宇野常寛 なぜインターネットは〈遅く〉あるべきなのか(後編)

    2018-12-05 07:00  
    540pt

    今朝のメルマガはPLANETS CLUBで開催された、家入一真さんと宇野による対談の後編をお届けします。後編では、将来的に訪れるであろう個々が直接的につながるインターネットのあり方や、お金がネットワーク化された先にあるヴィジョン、プラットフォームが金融の機能を担う可能性、「遅いプラットフォーム」の具体的なプランなどについて語りました。(構成:鈴木靖子) ※本記事の前編はこちら
    本記事はPLANETSCLUB第7回定例会の内容を記事化したものです。PLANETS CLUBへの入会はこちらから
    若い世代を送り出すという遺伝子の残し方
    家入 「遅いインターネット」には、たとえば落合陽一さんとかはあちゅうさんとか、けんすうさんとか、いろいろな人が関わってると思うんですけど、この輪ってもっと拡がっていくんですか?
    宇野 僕は第二、第三の落合陽一を出したいのね。それは、テクノロジーだ、イノベーションだでバズるという意味ではなくて、20代でその専門の業界では注目されつつあって、この先、世の中に対してインパクトのある仕事をしていく人の背中を押したい。  僕自身、落合くんとの出会いは衝撃的だったんだよね。彼の考えていることはこれからの世の中を考えていくときに、とんでもなく大きな意味があると。ただ、そのことを理解して、しっかり世に送り出せる人間は、申し訳ないけどいまの出版業界で自分以外いないだろうなと思ったの。それで、当時まだ暦本研(東京大学大学院学際情報学府 暦本研究室)の大学院生だった彼に、「本を書かないか」って話をしたんだよね。  彼の言っていることは僕が本にまとめないと、この才能があんまり良いかたちで世に出ないんじゃないかというある種の焦りというか、変な使命感があった。でも、本を出したあとに、これはメディア人としてすごく充実感のあることだし、幸福なことだなと思ったのね。  僕も40歳になるし、落合くんみたいな若い才能を送り出すことを、これからの仕事としてやっていきたいなって思ったんだよね。これはそれまでなかった欲望なんだけど。
    家入 僕も今年の12月に40歳なります。
    宇野 同い年だからね。僕は今年の11月に40歳。
    家入 やっぱりそうなっていくのかな。僕もここ1、2年くらいでそういう責務みたいなことを感じるようになった。下の世代に対して何ができるかって意識は急に生まれたものではないかもしれないけど、本当に思うことが増えた。
    宇野 自分の本や雑誌を作ることは前提として大事なんだけど、若い世代を送り出すという遺伝子の残し方もあるって思ったわけ。その方がより多様なかたちで世の中に対してポジティブな影響を与えることができるんじゃないか。それは、落合くんと出会って学んだんだよね。
    家入 それはいつぐらいですか?
    宇野 2014、5年かな。2014年にPLANETSを法人化して、メルマガをもっとメディアっぽく使っていこうと思って、いま僕の知っている一番トンガッてる人にインタビューしようと呼んだのが落合くんだった。そこで「魔法の世紀」って言葉が生まれて、メルマガの連載につながっていくんだよね。
    ▲『魔法の世紀』
    家入 じゃあ、いまの活躍ぶりは感慨深いものがあるね。
    宇野 そうなんだけど、なんか「ちょっとあいつ凄すぎる」って感じもあって(笑)。僕が想像していたのとは違う方向だけどね。
    家入 どういう想像をしてたんですか?
    宇野 アメリカに行くと思ってた。某グローバル企業が彼と組みたい的な話もあったはずだし、その流れで向こうに行くのかなって思っていたんだけど、意外と日本に残ってるなって。じゃあもう1冊作るかと思って、『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』を作ったんだよね。
    ▲『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』
    そんなわけで最近は、落合くんに続くような若くて新しい著者を探しているんだよね。でも、未来の落合陽一になる彼ないし彼女の担当も、本当は僕じゃなくてもっと若い人がやるべきだと思う。
    家入 箕輪さんとかですかね。箕輪さん、今後どうするんだろう。それこそ彼が「こいつヤバい」っていう若い人を発掘して、本でガッと押し出すみたいな役割を担っていくのかなって思うんだけど。
    宇野 市場にアクセスして一気にメジャー化することに意味があると思えば、彼はやると思う。ああ見えて、かなり考えてる人だから。ただ、僕はああいう10万部級のものを作るという意思はないんだ。もちろん売れたら嬉しいけど、瞬間最大風速に興味はない。
    プラットフォームが消えても言葉とコミュニティは残る
    宇野 家入一真が今後、どうするのかを聞いてみたい。家入さんは、どこかのタイミングで「インターネットはお金に結びつかなければ脆弱だ」と思ったはずなんだよね。
    家入 うーん。
    宇野 インターネットって人間の意識を結ぶだけのもの。でも、家入りさんは、先に意識が結ばれて、お金が結ばれていないことに対して違和感を覚えていたんじゃないかな。お金がつながらないと自分の信じるインターネットは実現できないと思ってやっていたはずなんだよね。
    家入 たしかに。僕は「お金をなめらかに」という言い方をよくするんだけど、「なめらか」ってどういうことかを考えると、たとえば、困ってる誰かを助けるとき、あるいは誰かの「やりたい」という気持ちを応援したいとき、銀行振込でお金を送ると手数料がかかりますよね。10円送るのに300円かかったら意味がないし、遠くに住んでいると手渡しも難しい。  僕には「お金は質量を失った瞬間、コミュニケーションとともに流れる世界になっていく」という思想があるんです。それが「お金をなめらかに」って話なんですね。クラウドファウンディングもそうだし、それをもう少し先鋭化したアプリ「polca」だったり。挨拶くらいの感じでお金が飛び交う世界をどう作るか。それが思想としてあるんですよ。  ただ、僕らが企業体としてそれを提供する以上、なにかしらのマネタイズが発生せざるを得ない。もちろん従来より全然安い手数料でやれるんだけど、そのためにもっと大きな経済圏を描かなくてはならないというジレンマもある。  コインチェックの事件でブームは落ち着きつつあるけど、ブロックチェーン、ビットコインなどの仮想通貨が本質的に実現しようとしていたのは、プラットフォームを解体する動きなんですね。  どういうことかというと、クラウドファウンディングひとつとってもそうで、たとえば宇野さんがこういうことやりたいって言ったとき、CAMPFIREを介して手数料を取る必要なんてないわけですよ。  宇野さんを応援したい人たちが直接、宇野さんとつながって、宇野さんの試みを応援する。あるいはまだつながってはいないけれど、試みが伝播して「面白いから自分も支援してみたい」と、個人と個人が直接つながってお金が行き交う世界ができれば、プラットフォームなんて必要ないんです。  メルカリだってそうですよね。「こういうものが欲しい」って人と「こういうものを売りたい」って人がいるなら、プラットフォームを介さず直接つながり合えばいい。  その実現は、たぶんもうちょい先だと思うんですが、プラットフォームがいまだに存在するということは、まだまだ旧態然とした古臭い状況にあるということは事実なんです。本質的には、僕らみたいな存在が消え去ることが一番いいんだと思う。
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