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記事 12件
  • 明日からできる「私の働き方改革(My WX)」その3|坂本崇博

    2020-11-19 07:00  
    550pt

    「働き方改革アドバイザー」の坂本崇博さんが、「My WX(私の働き方改革)」の極意を説く異色のワークスタイル指南、いよいよ最終回です。これまでの「意識が高くない」からこそできるメソッドで見えてきた選択肢を、どうすれば組織の中で行動に移していけるのか。新規事業開発のための「エフェクチュエーション」理論を坂本さん流に変換しつつ、「外道」の実践方法を考えていきます。
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』最終回 明日からできる「私の働き方改革(My WX)」その3
     前回は、「私の働き方改革(My WX)」の実践理論として、セルフマネジメント論や心理学(脳科学)的な視点での行動変容アプローチも引用しつつ、「意識が高くないからこそできるやり方」をご紹介させていただきました。
     「二次元にしか興味がない」状況から、ちょっとした地名トリビアを調べることで脳内ホルモンを分泌させ、次第に世界のあらゆることにアンテナを張りたいと「ハマる」ための手法。新たに記憶したいことを過去の後悔している体験(もしくはそのリベンジ妄想)と結びつけることで長期記憶領域に残す「クヨクヨ記憶術」。そして、記憶したネタ同士を斬新な組み合わせ方をしてアイデアを生み出す力を育てるためにことあるごとに「私が大富豪ならこのときどうするか?」を考えるFR(虚構現実)発想術。
     これらを組み合わせることで、自分がやりたい志事にもっと注力できるようになるために、様々な情報を組み合わせ、過去の慣習・固定概念(王道)に流されずに自分の働き方を変えるための新たな選択肢(外道)が見えてくるようになるわけです。
     しかし、私の働き方改革(My WX)の実現にあたっては、こうして浮かんだ選択肢を「実行」できるかどうかが、大きな分岐点になります。そしてその選択肢を実行できるかどうかの鍵が、「Effectuation(エフェクチュエーション)」に代表される新規事業開発・イノベーション理論に隠されていると、私は考えます。  私の働き方改革(My WX)実践理論の最後はこの「行動」のやり方・やる力についてご紹介したいと思います。
    5 行動力を高める(前回からのつづき)
     Effectuation(エフェクチュエーション)とは、「Effect(効果)」からくる言葉で「効果をあげる・実現する」という意味です。つまり、浮かんだアイデアを「いつかやる選択肢」のまま放置することなく、実際に行動に移し、かつ成果が出るまで試行錯誤したり、やり方を見直したりしてやり続け、最終的に成果をあげることを指します。
     この言葉は、米国バージニア大学ダーデン経営大学院のサラス・サラスバシー教授が2008年に発表した『エフェクチュエーション 市場創造の実効理論』の中で新規事業に成功するために求められる「行動原則」の総称として用いられています。 サラスバシー教授は、27人の新規事業創造に成功した人へのインタビュー調査などを経て、新規事業創造(イノベーション)という効果をあげる(Effectuation)ために必要な「5つの行動原理」を見出しました。さらにそれら行動原理は天才的・先天的に備わっているものではなく、誰もが学び実践することができるものであると分析しています。
     そして私は、私の働き方改革(My WX)という「改革(イノベーション)」を実行する上でも、この行動原理を意識し取り入れることで、効果をあげられる確率が高まると考えます。 その行動原理とは、次の5つです。

    1 手中の鳥(手元にある資源を使ってできることからやる) 2 許容可能な損失(成功したときの利益よりも失敗したときの損失の量に着目し、その損失量が自分の許容範囲ならチャレンジする) 3 クレイジーキルト(一人で進めず周囲の人たちに働きかけ、パートナーとしてコミットしてもらう) 4 レモネード(“レモンをレモネードにする”ということわざの通り、酸っぱい状況(トラブルや予期せぬ事態)に直面しても、発想を転換してそれをテコにして成果につなげる) 5 飛行機パイロット(刻々変化する状況を観察し、目的地すら変更しながら常に状況に応じて自らをコントロールし続ける)
    (『エフェクチュエーション(日本語)』(サラス・サラスバシー (著), 加護野 忠男 (翻訳), 高瀬 進 (翻訳), 吉田 満梨 (翻訳),2015,碩学舎/碩学叢書 より)

     これら5つを意思決定や判断の際に心がけ実践し習慣化することで、効果をあげられるというわけです。 ただ、この5つ、日本語訳をする際に米国のことわざや慣用句をそのまま訳してしまっているせいか、申し訳ないのですが個人的には「すっと入ってこない」印象を受けます。そこで、私なりに言葉を編み直し、かつ5つを3つに再編して、「私の働き方改革(My WX)流エフェクチュエーション理論 ~3つのシ~」としてみました。
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  • 明日からできる「私の働き方改革(My WX)」その2|坂本崇博

    2020-10-21 07:00  
    550pt

    「働き方改革アドバイザー」の坂本崇博さんが、「My WX(私の働き方改革)」の極意を説く異色のワークスタイル指南。坂本さんがこれまで自ら実践してきたやり方を応用可能にしていくメソッド編。今回は、誰かに与えられた“働かされ方改革”ではなく、もっとわがままに自分の「やりたい事」のためにパワーを使えるようにするためのセルフマネジメント手法を紹介します。
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』第11回 明日からできる「私の働き方改革(My WX)」その2
     前回は、コロナ禍を経験した社会においても誰かに与えられた“働かされ方改革”ばかりが進んでいること。それはこれまでの働き方改革ブームにおいての強制早帰りやツールの導入と本質的に変わりがないこと。本来の私の働き方改革(My WX)とは、自分なりに自分のやる事・やり方・やる力を見直して、もっとわがままに自分のやりたい事(志事)に時間を注ぐこと。そのためには、自分のやりたい事を見出すための時間と場所を設けてじっくり考えたり、虚構の世界への没入することなどによって普段は得られない「経験拡張」を体験することで、自分を客観視する機会を設けることが必要であるとご紹介しました。
     ここからは、そうして見出したやりたい事に時間を注ぐために、今の自分の状況(やる事・やり方・やる力)を変えていくためのセルフマネジメントの手法を解説していきます。
    私の働き方改革(My WX)のコツ2 “今を変えるためのセルフマネジメント”
     セルフマネジメントという概念については、クレアモント大学院大学のピーター・F・ドラッカー・スクールで准教授を務めるジェレミー・ハンター氏の著書『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室 ── Transform Your Results(2020年 プレジデント社 )』の中で詳しく解説されています。 2017年、ご縁あって京都の禅寺「春光院」で開催されたジェレミー・ハンター氏のセッションに参加し、セルフマネジメント論の本質をお聴きして非常に共感し、それ以来私が登壇する働き方改革セミナーでもよく紹介させていただいています。
     ハンター氏は、成果(Result)を高めるには、決められた行動(Action)レベルでもがくのではなく、選択肢(Choice)を変えるべきであると提唱しています。これを私の働き方改革(My WX)に当てはめれば、成果とは「やりたい事に時間を注げるようになること」です。そして、やりたい事にもっと時間を注げるようになるためには、今の仕事内容やその進め方を見直し、新たなやる事・やり方・やる力へと選択肢をシフトさせることが不可欠ということです。
     彼はさらに、選択肢を変えることができる人は、いろいろな選択肢候補のアイデアを浮かべることができる人であると述べています。 アイデアの浮かべ方については、1940年に出版された『アイデアの作り方』の著者であるアメリカの実業家ジェームス・W・ヤングは、「アイデアとは既存の要素・知の組み合わせである」と断言しています。 ハンター氏も、選択肢のアイデアを広げるためには、いろいろな事柄を経験・認識(Perception)し、アイデアの素材として活用できることが重要であり、そのためには様々なことに意識・注意を払う(Attention)ことが不可欠であると論じています。 さらには、世の中にあふれる多様な情報に意識的に注意を払えるようになるには、「自分がどうなりたいかという意図(Intention)」が明確でなければならないとも紹介されています。
     つまり、前述の通り、自分のやりたい事(志事=意図)が見つかれば、いかにそこに時間やパワーを注げる自分になれるかに意識・注意が払われ、結果、常に「今の自分の状態を変えるきっかけ」にアンテナが張られることになるわけです。 世にあふれる様々な情報を「今の自分には関係ないこと」と流すのではなく、「これからの自分のやる事・やり方・やる力の見直しに関係があるかもしれないこと」という視点で注意して観察し、1つひとつ自分なりに解釈する。こうして自分の頭で反芻され解釈された情報たちは、脳内の記憶領域(海馬)に「知」として長期間記憶されやすくなると言われています。 こうして多様な情報が脳内に記憶されることで、今のやる事・やり方・やる力を見なすために有効なアイデアが生まれ、もっとやりたい事に時間が注げる、すなわち私の働き方改革(My WX)が進むというわけです。 私が提唱する働き方改革にあえて「私の(Self)」とつけているのは、このセルフマネジメント論に大いに共感しているからでもあります。
     セルフマネジメント論においても、何かを成すためには「やりたい事=意図(Intention)」を見出すことが重要と謳われています。その手法については、前述の通り私なりのやり方をご紹介させていただきました。 そして以降は、セルフマネジメント論の残りのフェイズにおいて不可欠な力として、注意力(アンテナ)、認識・記憶力、アイデア創出力、行動力の4つの力の高め方について、私なりに心がけているコツをご紹介します。やりたい事にますます多くの時間とパワーを注ぎ込むための、やる事・やり方・やる力の見直しを進める上でのヒントになれば幸いです。
    1 注意力(アンテナ)を高めるには?
     社会に出ると「もっと世の中の情報にアンテナを張れ」と精神論的な指導がされることがあります。そうした指導に対して「どうやって?」と具体論を聞くと、たいていは新聞を読め、いろんな本を読め、人の話を聞けといったわかりきった答えが返ってきてモヤモヤすることはないでしょうか。 ただ、これは質問する側が悪いのかもしれません。私は、アンテナを活発に張ることができていない人が本来着目すべき問いは「どうすれば日頃できていない行動習慣を、自然にやれるようになれるか?」であると考えます。
     日頃からアンテナを張って様々な情報を収集できている「意識の高い人」は、そういった問いを立てるまでもなく、様々な情報をキャッチして自分の認知に加え、アイデア出しに生かしています。 しかし、私のようにそんなに意識高く生きてこなかった人間は、自分の興味のないことにわざわざアンテナを張るなんて「面倒だ」と感じるものです。もはやこれは習性・感性といってもよいでしょう。 ですので、たとえやりたい事がある程度明確になったとしても、日頃からアンテナを張るという行動に慣れていない私たちは、染みついた引き篭りの習性・感性を切り替えることに注力をしなければなりません。
     その1つとして私が実践していることが、「ドーパミン・コントロール」です。
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  • 明日からできる「私の働き方改革(My WX)」その1|坂本崇博

    2020-09-15 07:00  
    550pt

    「働き方改革アドバイザー」の坂本崇博さんが、「My WX(私の働き方改革)」の極意を説く異色のワークスタイル指南。今回から、いよいよ坂本さんのこれまでの取り組みを普遍化するメソッド編が始まります。コロナ禍を経て、多くの人々が働き方を強制的に変えさせられている中だからこそ、本当に「自分のやりたい」仕事をするには、何が必要なのでしょうか?
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』第10回 明日からできる「私の働き方改革(My WX)」その1
    もう働き方改革いらなくないですか?
     最近こう聞かれることがあります。「坂本さん、コロナ禍によって強制的に働き方改革ができてしまった中で、働き方改革のコンサルティングってもういらないんじゃないの?」と。
     2020年現在、世界はCOVID-19(新型コロナウイルス)による経済社会の大混乱の最中にあります。疫病という外敵によってもたらされた社会経済活動の強制停止は、個人の生活、そして企業の生産活動に未曾有の被害をもたらしました。  通勤、登校、集会、外食など、これまで息をするように当たり前に営まれていた様々な活動が禁止や自粛に追いやられ、生活習慣の抜本的な見直しを迫られています。  そうした中で、意識が高い人たちは「ピンチはチャンス」と口を揃えわめき立て、「withコロナ時代のニューノーマルとは?」と問いを掲げ、毎日オンラインセッションを開催しながら、これからの世界を予測し合って「政府はこうすべきだ」「社会はこうなっていくべきだ」「コロナによって日本の働き方改革が強制的に実行されてしまった」と盛り上がっています。
     この状況は、日本中で働き方改革がブームになった2016年前後の状況を彷彿とさせます。
     当時も今と同じく、メディアの論客や経営者、コンサルタントたちがこぞって「働き方改革とはこうあるべし」と持論を展開して、政府や企業への提言を“あさっての方向”に向かって発信していました。違ったのは、その発信の仕方がオンラインセッションではなく、広い会場を貸し切りしたシンポジウムであったことくらいです。
     企業経営者らの動きも驚くほど酷似しています。現在ほとんどの企業で設置されている「コロナ対策委員会」と同じく、2016年ごろには「働き方改革推進委員会」や「働き方改革プロジェクト」を立ち上げ、委員会メンバーに対応を考えさせ、出てきた案にああでもないこうでもないと「審査」を下していました。
     そして、企業で働く私たち一人ひとりの反応もそっくりです。すなわち「無関心」もしくは「無抵抗」です。  「きっと経営層が、政府が、何かするだろう」と達観したり、「うちの会社はなかなか対応が遅い、弱い」と愚痴を言い合いながら、なるべくこれまでの通りのやる事・やり方・やる力で、日々を送ろうとしています。また、現在のコロナ禍で「出社禁止」と言われれば粛々とそれに従う様は、「残業禁止」と言われてオフィスの照明を強制消灯されれば粛々と帰路につくサラリーマンたちと重なります。
     リアルに集まっての会議ができなくなったのでオンライン会議に切り替える。判子を押すことができなくなったので電子押印を導入する。会社に出てこられないので在宅ワークを始める。コロナ禍での働き方の強制的な変化を受けて、彼らは「これで生産性が高まった」「ついに働き方改革ができた」と喜んでいます。 しかしこれは、残業削減と言われて業務を途中で切り上げて早く帰り、ペーパーレスと指示を受けて会議資料の配布を止めて見づらいプロジェクターで資料を閲覧し、最新のフリーアドレスオフィスで人気のない場所を選んで「集中しやすくなって生産性があがった」と喜んでいた当時とそう変わらない状況のように思えます。
     つまり、コロナ禍によっても相変わらず「私の働き方改革(My WX)」は進まないままで、「誰かにお膳立てされた働き方改革(働かせられ方改革)」に乗っかっているだけではないかと思うのです。 もちろん、2016年前後の働き方改革ブームと違って、コロナ禍の現在は社会全体が強制的にアップデートされ、その成果を実感している人の絶対数が飛躍的に拡大したことは確かです。しかしこれは「My WXを進めた人が増えた」ということと同義ではなく、単に「働き方が変わった(変えさせられた)人が増えた」に過ぎません。
     私は、コロナ禍を経た今も、いえ、皆が強制的に「新しい働き方」を受け入れ横並びになってしまった今だからこそ、My WXが必要だと思うのです。
     だって、皆さん、コロナ禍の働き方の変化を通じて、アニメを思う存分観られるようになったのでしょうか? 多くの人が進む王道とは違う「外道」に入ることができたのでしょうか? そして何よりも新しい働き方をする自分に「萌え」を感じられているのでしょうか?
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  • コクヨにおける私の働き方改革 最終章:マネージャー編|坂本崇博

    2020-08-12 07:00  
    550pt

    2014年、昇格試験を受けてマネージャーへの道を歩みはじめた坂本崇博さん。それまで「早く家に帰ってアニメが観たい」というワガママで意識の低い動機で「My WX(私の働き方改革)」を進めてきた坂本さんが、なぜ管理職を目指したのか? そしてそこで直面した「燃え尽きそうなほどのギャップ」とは?自らの半生をサンプルに「私の働き方改革」の普遍化の手がかりをさぐる自己検証編、いよいよクライマックスです。
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』第9回 コクヨにおける私の働き方改革最終章:マネージャー編
     入社して十数年、新人研修、営業への配属、新規事業開発プロジェクトを通じて、早く帰ってアニメを観たいという「ワガママ(欲)」に動機付けられ、他の人とは異なるやる事・やり方・やる力で「道を外れる」ことにこだわり、My WX(私の働き方改革)を進めてきた私ですが、ここでまた大きな転機、いえ、大きな壁に直面します。  その壁はこれまでで最も高く、手掛かりすら見つからない「管理職(マネージャー)としての私の働き方改革」という壁でした。 その話に入る前に、「そもそもどうして私は管理職になったのか?」というところから振り返ってみたいと思います。
    「管理職・坂本崇博」──爆誕!
     2014年、私は管理職への昇格試験を受けることにしました。これに合格すると、「管理職資格」という位置づけになり、俗にいう「課長」としてチームのマネージャーとして仕事することができるようになるわけです。
     36歳での管理職受験はコクヨという老舗会社の中では比較的若いタイミングでしたので、周囲の先輩、上司から「まだ早い!」とか「もうチャレンジするの?」とか言われるかなと思いつつ相談を持ち掛けました。 しかし相談相手から返ってきた反応は、「え? 坂本って管理職になりたいの?」というものでした。
     我ながらなんともひどい話なのですが、そのときはじめて私は、「なぜ私は管理職試験を受けるんだろう?」という問いに直面することになったのです。 そして導き出した答えは、「会社のなかで管理職としてチームを持ち、チームの力を発揮して大きな仕事をして、組織にも社会にも貢献しながら、自己成長を図りたいから」という意識が高いものではもちろんなく、一言でいうと「“ギャップ萌え”だから」でした。
     よくある老舗企業の管理職のイメージは、メンバーシップを重視し、毎週定例会議という名の自分がお山の大将であることを確認する場を開き、従来のやる事・やり方・やる力に従ってメンバーを画一化していくチェック者というものだと思います。少なくとも私はどこかでそういうイメージを持っていました。 一方で、私はこれまでの10数年間、メンバーシップに時間を費やすことよりも、やることをやってとっとと帰ることに情熱を注ぎ、従来と異なるやる事・やり方・やる力を探り、人と違ったことばかりやろうとする「外道社員」として働いてきました。
     私のイメージにある「王道の管理職」の姿に対して、自分自身が管理職になることで「これまでにない管理職としての外道」を見出して踏み出すことができるかもしれない。外道の探求者として、今このタイミングで私が管理職になるということは、とても魅力的な「道を外れる行為」だったのでした。
     そして、そんな私が管理職になる。そのギャップの大きさは、きっと多くの人にとって意外に受け止められるとも思ったのです。 雨の日に不良が捨て犬に傘をさしてミルクをあげているような、もしくは日頃はおとなしい眼鏡っ娘が眼鏡をとると急に残虐な殺し屋になるような、そんなギャップの中に感じるそこはかとない「萌え」を私が体現できるかもしれない。萌えの探求者でもある私として、そうした萌え展開にもとても大きな魅力を感じたのです。
     こうして自分の内なる想いがクリアになり、一層管理職になることへの情熱を高めた私は、前述のなぜ管理職になりたいのかという問いにも胸を張ってこう答えることができるようになりました。
     「新しい道に進みたい、それにもえるからです」と。
     この想いを、あえて若干の誤字をしながら論文にしたためて提出したところ「実は熱い男だったらしい」という評価を得られたのか、無事最終面接まで進みました。
     そして面接では、「徹底的に自分を表現する」ことにこだわることにしました。なぜなら私の本質について誤解をされたまま管理職に昇格してしまっては、会社にとっても自分にとっても不幸ですから。
     そこで面接当日、多くの被面接者が待合スペースに、論文とこれまでの成果物(デザインした商品や、設計したオフィスの写真パネルなど)を持参して面接に臨む中、私は、大きな模造紙をつなぎ合わせて作った3mくらいの「巻き物」を持ち込みました。
     そして、よくある面接室、すなわち被面接者1人が椅子に座り、その1メール前くらいに長机をいくつか並べて5名ほどの面接官の部長や役員が座るスタイルの部屋に入り、いきなり自分の椅子を長机に寄せて、巻物を机の端から端までざーっと広げたのです。 この時点で面接官は面食らったようでしたが、気に留めずに、「それでは、私の半生を巻物にしてきましたのでご説明します」と右端から左端まで、いかに道を外れつつ人生・そして仕事を進めてきたかを解説していきました。 最後に「管理職になってもこの道を続けていくことを約束します。」と結び、「普通の管理職になろうとしている」と誤解がされないように最大の配慮をしたプレゼンテーションを終えました。
     そこからの質疑応答は、もやは「ブレスト」でした。会社としての変わりたい想いの強さと「何だかわからないけどまず試してみよう」という度胸を確認しながら、部長や役員と私とでどうすればこれから面白い会社として成長していけるかを語り合い、新しい事業のアイデアなんかも飛び出したりと、入社面接同様、とても面白い面接になりました。
     そうしてお互い偽りなく本音を出し合った末、「管理職 坂本」が誕生したのです。
     ちなみにコクヨでは、その年の昇格者を集めて新しいステージに立つことを祝い、気を引き締める「昇格記念訓話会&パーティー」が行われるという慣例があります。その席上で、私の面接の後に順番待ちをしていた先輩から「お前の番のときに面接室からやけに大きな笑い声が聞こえてきたのは何だったのか?」と問われ、「面接が面白かったので」と答えた通り、この昇格試験は、自分が「変」でありたいことを再確認するとともに、入社面接から10年以上たった今もコクヨが「変な会社」であることを再確認する機会にもなったと感じています。
    Mission Impossible:オフィス設計の専門家集団を「管理」せよ
     そうこうしていよいよ、私は所属する部署に新しく発足したグループのグループリーダーに任命されます。 自ら進んで管理職試験を受けて管理職になったわけですから、組織を持つことは必然ですし、ギャップ萌えかつ変な管理職になるという野望を持った私にとっても1つの夢の実現だったわけですが、現実とのギャップは萌えるどころか大炎上でした。 なぜなら、グループリーダーである私がグループで一番の若手だったからです。
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  • これが私の働き方改革道(後編:Cパート)| 坂本崇博

    2020-07-01 07:00  
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    2000年代初頭にコクヨ社員になり、IT普及の黎明期に「インターネット通販ビジネス」の部署に配属された坂本崇博さん。そこでの「ちょっとした働き方改革」の工夫を振り返るところから、どうすれば日本全体に「My WX(私の働き方改革)」を普遍化していけるのかという課題について、いくつかの手がかりが見えてきました。すなわち、自分の欲を掘り下げて我が道を見出す「ワガママさ」と、ネットの恩恵もフル活用しつつ「学び」についての認識・行動を変えることです。これらの武器を、(意識の高さによらずに)いかに進化させていけるか。坂本さんのさらなる自己検証が続きます。
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』 第8回 これが私の働き方改革道(後編:Cパート)
    コクヨにおける私の働き方改革 新規プロジェクト編
     2004年、新人ながら「ちょっとした働き方改革」を進め始めた私に、突如「異動」が告げられました。  異動といっても「レンタル移籍」という体裁で、社内で1年ほど前に発足したあるプロジェクトの増員メンバーとして途中参加することになったのです。そのプロジェクトとは、コクヨとして顧客層別に複数立ち上げていたインターネット通販ビジネスモデルたちを総合的に扱い、顧客の課題・ニーズに合わせて適したモデルを提案する拡販プロジェクトでした。  基本的な活動プロセスは従来と大きく変わらず、企業に訪問し、商談をして、提案をするのですが、提案する商材が従来は1つのネット通販システムだけだったのが、「コクヨの通販モデルすべてから最適なものをお勧めする」という形式に変わったわけです。ある意味「数打てば当たる」ので、とにかく件数多く回ることが重視されるビジネスでした。  そのため、プロジェクトのメンバーたちは、前の部署以上に日中は出ずっぱりになっていました。朝から夕方まで、1社でも多くのお客様に訪問して商材PRや提案をすることを目指し、「活動量目標」という指標を立て、訪問件数や提案件数を競い合っていました。まさに人海戦術です。  メンバーは体育会系な人も多く、重たいカタログを何冊も鞄に詰め込み、文字通り「足で稼ぐ」スタイルによってふくらはぎのヒラメ筋が隆々としているように見えました。 そこに配属になった私はすぐに気づきました。「これは定時に帰れない」と。しかもそれだけではなく「体力が持たない」という危機感さえ覚えました。引き篭もりにとってはなんとも過酷な状況に陥ったわけです。 営業ノルマも達成したいし、早く帰ってアニメも観たいし、体力も使いたくない。このトリレンマに直面した私は、いったんはアニメを諦めようと決心しました。 しかし、諦められませんでした。 2004年前後と言えば、深夜アニメの勢いが急拡大していたころで、1クール(3ヶ月)で多いときには40本近いアニメが放映されていました。かつ、東京に転勤になっていた私はこの頃から「コミケ(コミックマーケット)」にも参戦するようになっていましたので、現在放映中のアニメをウォッチしておくことは、コミケをフルに楽しむ上でも不可欠のミッションだったのです。  営業ミッションとコミケのミッション、2つの使命に板挟みになりながら、日々逞しくなっていく足腰。ある意味コミケで戦う上でも足腰はとても重要なのでそれはそれで良かったのですが、何より時間がとれないことは致命的な問題でした。  そこで、まずはこのプロジェクトの営業プロセスについて考えることにしました。ノルマの達成を成果としたときに、どういう図式によって成果が左右されているかという分析です。  それは割とシンプルで、「初期リーチ顧客件数×見積もりステップへの移行率×見積もり提出後の受注率」という数式で表すことができました。そして、過去の自分の見積もりステップへの移行率やその後の受注率は、概ね50%くらいでした。もしノルマが月5件受注だとするなら、初期リーチ顧客として月20件に当たる必要があったわけです。 これが、メンバーみんなが毎日せっせと外回りをしている理由でした。1日3社に訪問するとしてそのうちの1社が新規の初期リーチ顧客とするならば、1ヶ月で20社に新規リーチできてノルマの5件を達成できるということです。もし1日4社に訪問できるとすると、新規リーチ顧客数は1日1.3社となり、1ヶ月で26社に新規リーチできることで、最終的に6社の受注を得られる(ノルマ達成率120%)という計算です。  当たり前と言えば当たり前の構図なのですが、プロジェクトメンバー全体としてこの「初期リーチ件数」を最大化すべく、日々の訪問件数を増やすことに躍起になっていたのです。  そんなとき、ふと思いついたのです。「日々足で稼ぐ外に初期リーチ顧客を増やす道はないのか?」と。そうして、1日単位での訪問件数ではなく1ヶ月単位の合算値で考えれば、月に1回まとめて多くの初期リーチ顧客にアプローチするという方法もアリなのではないかと考えたのです。  これが、「会いに行く営業から来てもらう営業へ、営業としてのやる事のシフト」、すなわちセミナースタイルによる初期リーチ顧客への効率的アプローチというアイデアの元になりました。
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  • これが私の働き方改革道(後編:Bパート)| 坂本崇博

    2020-06-02 07:00  
    550pt

     新人研修時代から、さっそく苦手なコミュニケーションをなんとかするために「My WX(私の働き方改革)」を始めていた坂本崇博さん。その底にあるのは、徹底してマンガやアニメの「虚構から学ぶ」という姿勢です。しかし研修期間を終えてネット通販ビジネスの飛び込み営業を担当することになり、帰りが遅くなることで、何よりの生産性の源であるアニメ視聴という人生の「オン」時間の危機が降りかかります。そこで坂本青年が変えたやり方とは?
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』 第7回 これが私の働き方改革道(後編:Bパート)
    コクヨにおける私の働き方改革 営業編1
     長い新入研修期間を経て、私が最初に配属された部署は、当時急速に成長していた「インターネット通販ビジネス」を担うセクションでした。その部署で文具事務用品のネット通販システムの営業として、企業の購買部門に「御社の事務用品、ネットで買いませんか?」と提案して回るというお仕事です。
     扱うビジネスはインターネットビジネスという当時としては最新のものながら、営業手法は伝統的な「飛び込み営業」でした。  日々、企業に訪問し、状況を日報に入力して、通販の販売実績の集計表を作って、会議で共有するの繰り返し。やっているビジネスはこれまでコクヨが経験したことのないネット通販という革新的なビジネスモデルながら、「決まった通学路を行き来している」錯覚に陥りそうな日々でした。  そして何より困ったことは「帰りが遅くなる」という点でした。基本的に日中は外回りをしていますので、日報を書いたり会議に備えて実績表を集計し確認したりするのは夕方以降になります。そうすると、どうしても定時ダッシュとはいかず、帰宅時刻が遅くなることもしばしばありました。  これは私にとって人生の危機でした。前述の通り、私の癒やしであり学びでもある大切な時間は「アニメ」です。アニメという虚構の世界には、今の仕事をうまく進めるための様々なヒントが隠されています。新人研修時代には『美味しんぼ』からコミュニケーション改革を思いついたり、歴代の「ガンダム」シリーズからは誰もが「自分の正義」にこだわりをもつことを実感したりしたものです。  この時間が損なわれるというのは、私にとって成長の鈍化、さらには人生の生産性低下を意味します。もちろん「寝る間を惜しんで観る」という選択肢もありましたが、それでは仕事に支障をきたすので本末転倒です。私にとってアニメ鑑賞は仕事の対局にある「オフ」ではなく、仕事、そして人生にプラスを与えてくれる「オン」なのですから。  しかし、世の中はまだまだ長時間労働が「日常」であると考えている人も少なくない時代でした。また、夜残って上司や先輩とコーヒーを飲みながら会話する時間というのも1つのコミュニティとしてたしかに存在しており、それはそれで心地よくて、私自身もついついオフィスに長居してしまうこともしばしばありました。  何よりも立ち上がったばかりの事業部門で、かつ新人の私としては「こうしましょうよ!」と言えるほどの解があるわけでもありませんでした。  次第に「遅くまでがんばっている」自分を受け入れ、家に帰れば流し観程度にアニメを垂れ流し、寝落ちして朝を迎えることに「美学」のようなものを感じるようになっていったのです。
     しかし、『最終兵器彼女』のアニメ版の放送が始まった2002年の後半、私の早く帰りたいという想いは最高潮に達します。ちょうどその年にふと書店で目にとまった原作コミックにハマってしまい、通勤中に読みふけりながらワイシャツを涙でビショビショに濡らして心配されるほどにテンションが落ちた状態で出社していた私としては、このアニメを観ないわけにはいきません。もはや私が選択できる道は「早く帰るためになんとかする」しかなく、業績は落とさずかつ仕事を手っ取り早く終わらせることに、情熱を傾けることにしました。
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  • これが私の働き方改革道(後編:Aパート)| 坂本崇博

    2020-05-11 07:00  
    550pt

     “メジャー”とか“エリート”と位置付けられている人たちとは一線を画し、「何か道を外れたことがしたい」という残念な情熱を抱える坂本崇博さんと、変に意気投合したという文具事務用品のメジャー、コクヨ。この奇妙な握手によって、坂本さんの働き方改革人生は加速期に入ります。今回は、コクヨ社員になってからの新人研修時代の「My WX(私の働き方改革)」を振り返ります。苦手なコミュニケーションを乗り越えるために編み出した、「コミュニケーション・ポートフォリオ」の工夫とは?
    明日夜に開催のイベント「遅いインターネット会議」に坂本崇博さんがご出演されます! ●5/12(火)坂本崇博×新野俊幸「ワークスタイルから社会を変える」 気がつけば「働き方改革」という言葉がブームになって随分長い時間が経ちました。しかしこの国のワークスタイルは、企業社会は、本当に変わったのでしょうか。「働き方」「やめ方」のプロを交えて、サラリーマンの働き方から社会を変えるための作戦会議を行います。 詳細・お申し込みはこちらまで!
    坂本崇博 (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革第6回 これが私の働き方改革道(後編:Aパート)
    コクヨにおける私の働き方改革 新人研修編
     2001年4月。入社式も終わり、いよいよ「変」を求めるコクヨの一員として、私なりの「変」に挑戦できるとワクテカしながら人生初の会社員生活が始まりました。そして私はいきなり「壁」にぶち当たります。正確にいうと、自分で自分の中に勝手に「壁」を作り上げていたことに気づき、愕然としたのです。
     そのきっかけは、新人社員研修でした。新人社員というのは、たちまちなんらかの仕事に就くわけではなく、当たり前といえば当たり前なのですが、コクヨの一員として会社の歴史、理念、事業内容を学び、見学し、体験することが最初の「仕事」として提示されることになります。 「国の誉れになる」というコクヨの社名の由来(ちなみにここでの国は、創業者の出身地である富山県を指します)や、創業から100年の歴史における経営陣・社員たちの努力と創意工夫の成果、さらには現在の様々な事業部の事業内容や、工場・物流センターなどの仕事内容を知り、実際に体験していくことで、次第に「コクヨ社員」になっていくというプロセスが用意されていました。 講師や先輩社員たちはとても真摯かつ暖かく、コクヨとはどういうものか、そしてコクヨの事業や仕事内容はどういうものかについて、忙しい時間を割いて丁寧にレクチャーしていただきました。また、社会人としてのマナー講座や法令遵守についても学びながら、私は社会人として、そしてコクヨの一員として、先輩たちのように早く一人前になって仕事がしたいと願うようになっていきました。
     そしてある朝、そんな「意識高くコクヨ社員になろうとしている自分」にガツンと石を投げつけられるような事件が起こりました。アメリカ同時多発テロです。  2001年9月11日、朝TVをつけると、夏の抜けるような青空の中にそびえ立つ資本主義の栄華の象徴であるWTCビルに、人類の技術革新の成果を詰め込んだ旅客機が突撃し炎上しながら崩壊していく様子が何度も流されていました。それはまるで過去私が画面の中で観てきたアニメのような、非日常の光景でした。 私はその光景を見ながら、当たり前に続くと思っていた日常が急に失われることがあることを改めて思い知らされました。そして同時に、自分自身がコクヨ社員としての「日常という壁(固定概念・枠)」をどんどん築いていることに気づいたのです。
     そして、このことに気づいたことで、新人研修開始当初に研修担当である人事部門の方に告げられたメッセージも合わせて思い出すことができました。それは、
     「これからコクヨのいろいろな部署で様々な体験・勉強をしてもらいます。そして、最後には皆さんで『コクヨの歩き方』という本を書いてください。それは、コクヨがこれまでどういった仕事をしているかを見聞き・体験した皆さんがこれからどんな道を歩みたいかの宣言書です。」
     というミッション提示でした。あまりに意識が高いメッセージなので、ちょっと引いてしまってすっかり忘れてしまっていました。
     普通、一般的な企業においては新人研修で「やる事」といえば、会社の仕事を学び習得し、先輩たちと同じレベルの仕事ができる前向きな社員を育てることではないでしょうか。私自身勝手にそうした固定概念がありました。しかしながら、コクヨの研修担当から提示された「やる事」は実は違っていたのです。 それなのに、日々流される中で、いつの間にか普通の新人として研修を受けることが自然になり、本来のミッションを忘れて、「これまでのコクヨ社員(日常)」となろうと勝手に枠を決め、壁の中に籠もろうとしていたのでした。
     それに気づいた私は、自分の仕事、つまり「新人研修」におけるやる事・やり方・やる力を大きく転換していきました。これまでのコクヨの事業・仕事にはどんな課題があり、どんな変化のチャンスがあるのかを見つけようとし始めたのです。
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  • 坂本崇博 (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第5回 これが私の働き方改革道(中編)

    2020-04-09 07:00  
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    周囲に合わせる「リア充」的なコミュニケーションについていけなかったために、学生時代からアニメや小説を頼りに、仕方なく自分独自のやる事・やり方・やる力の伸ばし方を工夫しなければならなかった坂本崇博さん。そんな「残念な」少年が社会人になるとき、どんなふうに「私の働き方改革」が生まれていったのでしょうか。
    コクヨにおける私の働き方改革 黎明編
     なんとも痛い動機で「人と違う道」を歩み続けた学生時代を終え、いよいよ私はコクヨに出会い、働くことになります。
     なぜ私はコクヨの門を叩いたのか。これまた「残念な」理由でした。  「最初に内定をくれた会社に恩返しをしよう」という志も何もない動機で就職活動をしていた私ですが、就職先候補の選び方も適当でした。就活ネット上で、「地元関西に本社があって、自分自身がこれまでお世話になっていて、かつ親が知っていそうな大きいところ」を検索し、片っ端からエントリーしていったのです。
     何とも意識の低い、ある意味新卒一括採用・終身雇用という日本独特のシステムにあぐらをかいた「普通の就活」です。まるで高校生が進学先を選ぶかのように「何を学ぶかではなく、どこに入るか(入れるか)」で会社を選び、入社後は与えられた仕事を粛々とこなして、次第に熟練して仕事を教えられるようになれば先輩になり、より多くの人の仕事を管理できるようになって上司になるものだと、信じて疑わなかった「就活生」でした。
     実は、当初「コクヨ」は「これまでお世話になった会社リスト」からは外れていました。なぜなら、「人と違う道」にこだわりがあった私は、あえて購買部で売られているような筆記具は持たず、アニメショップで売られている少し尖ったデザインのルーズリーフファイルを購入して利用していましたし、筆記具も「そうそう学校には持って来られない」こだわりのデザインを好んで使っていたためです。文房具といえば、アニメイトでした。  そんなわけで当初は、もっと身近にお世話になっていた伊藤ハムさんやハウス食品さんなどにエントリーしたり、関西圏という条件からは外れるものの、せっかくなのでバンダイさんやバンプレストさんの会社説明を聞きにいったりしていました。
     しかし、エントリーを重ね、履歴書を送るたびにふと目に留まった社名がありました。それがコクヨです。履歴書の右下に「コクヨ」と書かれていたのです。  「へえ、キャンパスノートのコクヨって、履歴書も作っているのか」と興味が出てきた私は、早速コクヨの所在地を検索し、大阪本社であることと一部上場企業であることを確認して、エントリーをしたのでした。  そして、コクヨの採用面接で「人と違う道」を見出すことになったのです。
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  • 坂本崇博 (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第4回 これが私の働き方改革道(前編)

    2020-03-10 07:00  
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    国の政策や会社の都合ではなく、自分自身の人生の充実のためにやる「働き方改革」を掲げる坂本崇博さん。それは一見「意識高い」行動のようでもありますが、その裏にはなんとも「残念な」発想が……!? 坂本さん自身の学生時代からの行動特性の自己分析を通じて、「私の働き方改革」のルーツと実像を浮き彫りにしていきます。
    ここまでは、私が考える「働き方改革」とは何かについて解説してきました。 すなわち、働き方改革とは、誰かに押し付けられて働き方を変えさせられたり、環境や制度だけ変わって1人1人の意識・行動が変わらないような取り組みではなく、「私(I)」が主役となって、自分自身の働く価値の向上や人生の充実を求めて、自ら進めていく改革であるという考え方です。 こうした活動を「私の働き方改革」と名付けました。英語にすると、“Work style Innovation of Myself for Myself by Myself”(私による、私のための、私の働き方の改革)でしょうか。働き方改革は、最近流行りのDX(Digital Transformation)になぞらえて、WX(Work style Transformation) と表現しても良いかもしれません。「私の働き方改革」なので、My WXですね。
    ただし、私の働き方改革(My WX)という名称ではあるものの、「個人任せ」「個人主義」ではないという点は強調しておきたいと思います。 私の働き方改革(My WX)は、経営、管理職、従業員それぞれの層が個人としてできる範囲もあれば、自分自身だけでは実現困難なことについては、上位階層や周囲にも働きかけて改革を要請・推進すること、つまり「働きかけ改革」も重要であると考えます。 自らの生産性を高めてより充実した働き方・生き方になるために、自分自身や周囲に働きかけ、自分自身のやる事・やり方・やる力を変えていく活動が、私の働き方改革です。
    さて、ここからは、そのケーススタディと言ってはおこがましいかもしれませんが、私自身の40年ちょっとの半生における「私の働き方改革(My WX)」を振り返ってみたいと思います。 ただし、単なる「坂本の自分史」でページを費やしたいわけではありません。 自分の半生を「ケース」として客観視しながら、私が人生で直面した状況とそこでの思考・判断を振り返りながら、「個人として、私の働き方改革(My WX)を進める上で必要な視点や行動とは何か?」という問いへの答えやヒントを探ろうと思います。
    また、私の仕事は組織が働き方改革を推進することを支援するアドバイザーとなることです。よって、この連載の中でも、「組織的な働き方改革推進」という視点でもその成功の鍵を考察し、提言をしたいと考えています。 とはいえ、前述の通り「組織が個人に押し付ける形の“働かせ方改革”」では意味がありません。組織を構成する経営・管理職・従業員1人1人が「私の働き方改革(My WX)」に目を向けて行動してこそ、組織の働き方改革は成功すると信じています。 そこで、私自身の「私の働き方改革史」を振り返りつつ、私の所属する組織、つまりコクヨという会社の経営・制度・風土・同僚・上司といった要素が私にどういった影響を与え、私の働き方改革を後押ししてくれたのかも振り返りたいと思います。それによって、「私の働き方改革(My WX)」に求められる個の力だけでなく、「組織を構成する1人1人がMy WXに取り組んでもらうために、組織はどういった後押しをするべきか?」という考察につなげたいと思います。 やけに長くて、かつ手前味噌な自分語りが多くなると思われますが、上記の通り、私の働き方改革を推進する上での、個人の力と、組織の後押しの2つの視点でのヒントにつながるいくつかのケーススタディとして楽しんでいただければ幸いです。
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  • 坂本崇博(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第3回 働き方改革って何ですか?

    2020-02-20 07:00  
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    会社員としての自分自身の人生の充実のため、10年以上前から自発的に「働き方改革」の実践と普及活動を開始した「働き方改革アドバイザー」こと坂本崇博さん。今回は世に蔓延するお上任せの「コレジャナイ働き方改革」への違和感から、坂本さんがいかにして労働者個々人にとっての「私の働き方改革」を見出していったのかの思考プロセスの核心が語られます。
    「私の働き方改革」とは
     日本を挙げた「コレジャナイ働き方改革」がどんどん広がる様子を、私はただ傍観しているわけにはいきませんでした。「私の働き方改革」を掲げるものとして、このヘンなブームに正面からぶち当たることは必然でした。そしてぶち当たってみて、改めて「私の働き方改革」について考える機会が得られたことは、私にとっては良い機会であり、幸いでした。
     私にとっての働き方改革とは、無理やり早く帰らされたり、制度が変わったり、オフィス環境が変わることではありません。ひょっとするとこれらは「働かせ方改革」と呼べるものかもしれません。  そう言えば2017年ごろ、「働き方改革より先に、働かせ方改革をすべきだ。」という論調もありました。しかしこの論調は私から言わせれば「何を今さら」なのです。 前述の通り、日本企業はこれまでは「働かせ方改革」一辺倒でした。OA、ICT、制度改革などなど、会社側は色々な環境改革を行い、従業員の仕事内容、仕事方法を変えてきました。その流れに浸かった多くの働き手は、「働き方というのは、自分で変えるものではなく、上が変えるべきもの。」という固定概念を抱くようになったのかもしれません。
     以前は環境が変われば仕事が変わりました。もしくはそれら環境を使わないと仕事が進まないので、変わることは必然でした。 労働者は自らの働き方を自分で変えられるという意識は薄れ、次第にマニュアル化・標準化された仕事をこなすようになり、上司も、決められたプロセスで決まった仕事をすることを管理する「現状維持管理人」になっていきました。
     しかし、今の時代、「自分たちで自分たちの働き方を変える」ことに着目することが必要だと感じています。  つまり、私にとっての働き方改革とは、1人1人が、「〇〇のため、自分の働き方をもっと良くしたい」というパッションのもと、自らが改革者となって自身や周囲「やる事・やり方・やる力」を変えていく(生産性を高めていく)活動です。 言うなれば「私の働き方改革」です。会社の働き方改革ではなくて。
     これは「働き方改革は自己責任。文句言っていないで1人1人がんばれ!」という精神論的な話や、経営責任放棄の話ではありません。私はそうした「社畜的な考え」は大嫌いです。 「自分で自分の働き方を変える」というのは、部下への押し付けではありません。経営も管理職も従業員も、それぞれが自分自身でできる改革をして生産性を高める活動をするべきだし、自分自身でどうしようもないことについては、上の階層など然るべき部署・担当・経営層に働きかけるべきだと考えます。
     つまり、「自分や組織がより充実することに時間を振り向けられるようになるために、各自が自分の職制に沿って自分や周囲へ働きかけ、生産性を高めていく活動」が働き方改革なのです。

    【新刊】宇野常寛の新著『遅いインターネット』2月20日発売!

    インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げた一方、その弊害がさまざまな場面で現出しています。世界の分断、排外主義の台頭、そしてポピュリズムによる民主主義の暴走は、「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例といえます。インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには今何が必要なのか、提言します。
    宇野常寛 遅いインターネット(NewsPicks Book) 幻冬舎 1760円