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  • 意識が高くない、いち営業マンの帰宅術が働き方改革プロジェクトになるまで|坂本崇博

    2021-11-11 07:00  

    働き方改革アドバイザー・坂本崇博さんの『意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革』が、ついに本日、Amazon・全国書店等にて発売となりました。今日のメルマガでは、同書のプロローグを特別に公開します。現在の「働き方改革」の問題点とは何か。いち「コミュ障」のアニメオタクが、延べ10万人超の働き方改革支援を行うに至るまで、どんなことがあったのか。同書の核となる部分を実体験をもとに語っていただきます。
    【PLANETS公式オンラインストアでも販売中!】20年以上にわたり社内における自分自身や周囲の働き方改革を推進し、さらに働き方改革プロジェクトアドバイザーとして毎年数十社、延べ10万人超の働き方改革を支援してきた著者 坂本 崇博がその経験をもとに「そもそも働き方改革とは何か?」を定義するとともに「真の働き方改革推進ノウハウ集」としてその推進手法やテクニックを体系化。組織として働き
  • アイデアを行動に移すための「行動移行術」──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第20回〈リニューアル配信〉

    2021-11-04 07:00  
    550pt

    大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。今回は、働き方改革のために思いついたアイデアを実践するまでにどんな壁があるのか、そしてその壁を乗り越えるにはどうすればいいのかについて分析します。「エフェクチュエーション」の理論を引きながら、坂本さんの実体験に則した独自のノウハウでその実践過程を論じていただきました。
    【新刊情報:PLANETS公式オンラインストアにて先行予約受付開始!】 本連載をベースにした『意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革』の発売が決定しました!
    20年以上にわたり社内における自分自身や周囲の働き方改革を推進し、さらに働き方改革プロジェクトアドバイザーとして毎年数十社、延べ10万人超の働き方改革を支援してきた著者 坂本 崇博がその経験をもとに「そもそも働き方改革とは何か?」を定義するとともに「真の働き方改革推進ノウハウ集」としてその推進手法やテクニックを体系化。 組織として働き方改革を推進する立場の方がもちろん、今の仕事にモヤモヤを感じていたり、もっとイキイキ働きたいと考えているすべての人に読んでもらいたい一冊です。
    さらにPLANETS公式オンラインストアでは、先行予約特典として本日よりオンラインイベント「働き方改革1000本ノック」への参加権付き先行予約受付を開始しました。お申し込みはこちらから!

    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第20回 アイデアを行動に移すための「行動移行術」
    あらすじ
     今回は、働き方イノベーターとしての行動特性を身につけるための習慣である「行動移行術」について紹介していきます。 これまで解説したテクニックを駆使して現状を変えるアイデアを具体的に浮かべる(幻想する)ことができたなら、後は実践あるのみです。しかし、なかなかそれが難しいものです。 イノベーターはこうした「行動に移すことの困難さ(壁)」をどう打破しているのかという問いについて考える上で、「そもそも、行動に移す上でどんな困難さ(壁)があるのか?」を整理しておきたいと思います。
    人はアイデアが行動に移せないと次第に燃えなくなる
     私の働き方改革の実践において不可欠な最後の力は、幻想を実行に移す「行動力」です。 しかし多くの場合、自分が過去得てきた経験や最近知った情報をもとに「こうすればいいのでは?」とアイデアを浮かべるまではできても、それを実行に移すことが困難と言われています。 会社に入りたてで改革アイデアが浮かびやすい若者ほど、その困難さに直面しがちです。 私がそうであったように、会社に入ってすぐの頃ほど、様々な非効率さが目に留まり、「自分が何かを変えてみせる」と目を輝かせるケースは多いと思います。私はこの状態を「可燃性が高い」と表現しています。ちょっとしたきっかけで燃え上がり、熱くなる状態です。 しかしながら、彼らにはそのアイデアや想いを「行動に移す術」が不足しているが故に、悶々とした日々を送ることになってしまうことも少なくありません。 こうした状態に陥ると、飲み屋で同僚に「俺の考えた最強のアイデア」を延々と語ったり、「なんで会社はこれをやってくれないんだ」「会社は早く働き方改革をしてくれよ」と愚痴ったりして、やさぐれていきます。この状態を「難燃性症候群」と表現します。すなわち何らかの実現を妨げる困難さに直面して熱い想いが湿気ってしまい、働き方改革に対する熱が若干冷めている状態です。 そしてこの状況がますます悪化すると、人は「不燃性」になってしまいます。もう自分では働き方を変えようと考えることもなく、それどころか周囲の可燃性が高い人材の発言や行動に水を差して、難燃性症候群に陥らせてしまいます。 このように、アイデアが浮かんでも行動に移せないという事態は、人の熱意を冷まし、湿らせていってしまいます。
    アイデアを行動に移せる仕組み(型)に加えて、「技」も必要
     もちろん、人の価値観は多様であるべきですし、組織があればそこには可燃性から不燃性までいろいろな状態の人が混在していて当然です。全員が必ず私の働き方改革を意識し実践しなければならないということはありません。 ただし、私が着目したい問題は「湿気の伝播」です。たとえ何人かが壁に直面して難燃性・不燃性の状態になったとしても、それぞれがその個性を「人に押し付ける」ことをしなければ組織の多様性は維持されます。しかし、前述の通り、難燃性症候群や不燃性症候群の人は、可燃性の人にも影響を与え、その発言や行動を湿らせてしまうことが多いです。これでは、多様性は損なわれ、次第に「燃えない組織」として画一化していってしまいます。 こうした状況を防ぐためにも、組織は一人ひとりが何らかのアイデアを浮かべた時に行動に移せるよう後押ししてあげる型づくりが重要になります。 アイデア提案採用制度や、直属の上司を超えて課題意識や提案を受け付ける「目安箱」のような仕組みなどがその一例です。 一方、個人としても、せっかく浮かんだアイデアや幻想なのですからきちんと実現できたほうが楽しいはずです。そのためにはアイデアを行動に移せる技(行動特性)を身につけることが不可欠です。その力とはすなわち、「行動に移す上で直面する壁」を乗り越えるためのテクニックです。
    アイデアを行動に移す上で直面する3つの壁
     では、その壁とはどういうものでしょうか。私はこの3つであると考えます。
     1 自分にはそのアイデアを実行できる十分な資源(人・モノ・金・情報)がない
     2 そのアイデアを実行したときに得られるメリットに確信が持てない
     3 成果を実現するまでの明確な実行計画(プラン)が立てられない
     これらのどれか一つにでも該当すると、アイデアは浮かんだが実行には二の足を踏むか、実行できないとあきらめてしまうという状況になってしまうのです。 たとえば、以前私は「一人ひとりが私の働き方改革に意識を向けてもらえるように、学校教育の制度から見直すべきだ」と思い浮かんだことがあります。 なぜなら、組織に所属する人の多くが、「イチニンマエ(みんなができることができる)」であろうとして、組織の伝統や慣例に沿って活動するという行動特性は、小学校から高校までの画一的かつテストの点数至上主義の教育システムに原因の一つがあると考えたからです。 誰かが設定したテスト(ミッション)で高い点数をとることが「イチニンマエ」として評価されるという経験を長年積むことで、人の脳には「提示されたミッションをクリアする」ことが自分の評価を決めると錯覚してしまうのかもしれません。そうした「イチニンマエ主義」で組織に所属すると「何かミッションを提示してもらえば、それをこなす」ことに注力することが当たり前になってしまいます。結果として、「ヒトリマエ」になって自分で自分の働き方を決めたり、短期的なミッションになってもいない働き方改革に意識と労力を割こうとする行為は「非合理的」と判断されてしまうのではないかと考えたのです。 そうした想いがある中で、欧米など他国では、日本の授業とは大きく異なり「答えがわかった人は手を挙げて」ではなく「わからない人は質問して」「自分なりに思ったことを発言して」という授業スタイルがあることを知って、そうした教育スタイルを日本でも普及できればと思いついたわけです。 しかし、私はいちサラリーマンであり、教育者でもなければ文科省の職員でもありません。 教育スタイルを変えたいと思っても、使える資源や協力してくれる人は手元には一つも見当たりませんでした。また、もし本当に教育スタイルを変えることができたとしても、新卒一括採用や終身雇用などの「イチニンマエを生み出す」ための様々な仕組みが存在している中で、いったいどれほどの効果があるのか確証が持てませんでした。さらには、「もし自分が100億円もっていたら」と仮定して幻想をしてみたものの、最終的なゴールまでの道筋は浮かばず、計画が立てられませんでした。 見事に行動に移す上ことを妨げる「3つの壁」すべてに直面してしまったわけです。 結果として、異業種交流会の飲み会などで「日本の教育は変わるべきだ!」と管をまくくらいしかできないまま「難燃性症候群」に陥りかけていました。 また、会社の中においても、マネジャーになってできることが増えた分、やりたいことが大きくなるほどに同じ壁に直面するようになりました。 たとえば、私の働き方改革を世の中に伝えるべく、「社員教育」というビジネスに進出したいと思ったのですが、さすがにいきなりそんな組織は作れず、どこまでどのように進めれば事業として成果があげられるのか明確な計画も立てられないという状況に直面していました。

    [ここまでのポイント] 1 アイデアを浮かべ、幻想を描いても、実行できなければストレスになる。 2 その結果、人は次第に難燃性・不燃性となり、組織全体に湿気を伝播させて、冷めた組織として画一化してしまう。3 そうしたアイデアを実行を移すことができなくなる原因として、3つの壁(実行する上での資源がない、メリット・成果が見えない、ゴールまでの計画が立てられない)が存在する。4 この壁の一つにでも直面すると、アイデアが浮かんでも実行に移しづらくなる。

     さて、ここまでアイデアを行動に移す上では、3つの壁があり、それによって行動がとれないと解説しました。 しかし、実はこの壁は一種の固定概念であり、その壁を乗り越えないと進めないという錯覚に陥っているのかもしれません。 それに気づかされたのが、以前に触れた「エフェクチュエーション」という研究書との出会いでした。 ここからはこのエフェクチュエーションという理論についてより詳しく解説しながら、3つの壁の存在そのものを疑い、乗り越えるための視点を整理していきたいと思います。
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  • 幻想を実践するためのアイデアトレーニング ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第19回〈リニューアル配信〉

    2021-10-14 11:30  
    550pt

    大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。働き方改革に必要な「アイデアを出す能力」を鍛えるにはどうすればいいのか。既存の知識を「アイデア」に昇華させるため、アニオタの坂本さんならではの、ルーチン化できるトレーニング方法について解説します。
    【新刊情報:PLANETS公式オンラインストアにて先行予約受付開始!】 本連載をベースにした坂本崇博さん初の単著『意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革』の発売が決定しました!
    20年以上にわたり社内における自分自身や周囲の働き方改革を推進し、さらに働き方改革プロジェクトアドバイザーとして毎年数十社、延べ10万人超の働き方改革を支援してきた著者 坂本 崇博がその経験をもとに「そもそも働き方改革とは何か?」を定義するとともに「真の働き方改革推進ノウハウ集」としてその推進手法やテクニックを体系化。 組織として働き方改革を推進する立場の方がもちろん、今の仕事にモヤモヤを感じていたり、もっとイキイキ働きたいと考えているすべての人に読んでもらいたい一冊です。
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    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第19回 幻想を実践するためのアイデアトレーニング
    アイデア幻想術 ②虚構現実をルーチンに 
     アイデアを幻想のレベルまで具体的にシミュレーションできるようになるには、筋トレやジョギングのように実践トレーニングを積むことも重要です。  とはいえ、普段仕事をしていてもなかなかそうした幻想を求められる機会は得られません。  そこで、習慣・ルーチンとして、現実の事象を題材に、「自分だったらどうするか」という妄想を繰り広げる「虚構現実」を描く時間を生活の中に盛り込むことが必要です。  今回は、この「虚構現実のルーチン化」という幻想力アップにつながる習慣づくりについてご紹介します。
    アイデア出しは、疲れる行為 
     前回までお伝えした通り、アイデアとは「何かと何かの組み合わせ」です。 そのため、アイデアを出す能力を高める上ではアンテナ力や記憶力を高め、多くの「アイデアの部材」を蓄積しておくことがベースの一つとなります。  しかし、ただ単にいろいろなことを知っているだけではアイデアは生まれません。それらを何らかの目的達成に向けて「引き出して組み合わせる」ことができなければいけません。  たとえば、太陽は一日かけて東から西に移動するという知識があり、一方で物体に光が当たるとその反対側に影ができるという知識があるとして、「時間を知りたい」という目的達成にむけて「日時計をつくろう」と思いつくかどうかは、それらの知識を記憶の中から引っ張り出して組み合わせられるかどうかにかかっています。  そして、こうした記憶の中にある何かと何かを引き出して組み合わせるという行為は、少なからず脳にとってはエネルギーを要する活動なので、「さぼり癖」のある脳は無意識にそれを拒み、疲れないようにしようとしてしまいます。  また、普段アイデア出しをしていない、すなわち知識を引き出して組み合わせるという行為に慣れていないと、いざアイデアを出したい目的ができても、何をどう組み合わせたものかもわからず、結局はインターネットで調べたりや人に聞いたりするなど「答えを探す」という楽な行為に逃げがちです。
    アイデア出し脳トレにつながる習慣づくりが不可欠
     こうした疲れ・不慣れを解消し、アイデア出し能力(脳力)を高めるには、常日頃から何かアイデアを出すトレーニングが重要です。 これは、ラグビー選手が筋トレをして戦える体を作ったり、マラソンを走る上で日々ジョギングを重ねてペースをつかむことと同様です。 アイデアを出すという行為を反復することによって、脳がアイデアを出すことに慣れることにつながります。そうした基礎トレーニングができていれば、いざ本気で何か働き方改革のアイデア幻想をしたいときにも、過去の記憶や経験を組み合わせて、新しい選択肢やその実現についての具体的なイメージが浮かびやすくなるのだと思います。 このあたりは、前述のアンテナ脳を鍛えるという考え方と同じです。 「私はアイデアが出ない人間だから」とか「アイデアが出せる人は先天的に特殊な能力があるんだから私には無理だ」といった思い込みは不要です。 また、「能力を高めるには一生懸命トレーニングしなくては」という義務感も不要です。 アンテナ脳を鍛える上で、地名や企業名をスマホで調べて「へえ~」と楽しくなることを繰り返すのと同様に、アイデア出し脳についても、ちょっとした趣味とも言える「楽しむ習慣」を身につけることで、トレーニングになると考えます。
    虚構現実のススメ
     私がオススメしたいアイデア出し脳トレーニングにつながる習慣は、「虚構現実(Fictional Reality)」の世界にハマることです。 虚構現実(FR)とは私が勝手に作ってみた造語です。これは、VR(Virtual Reality:仮想現実)のように3D映像などテクノロジーを駆使してそこに存在しない現実を仮想体験させるものではなく、また、AR(Augmented Reality:拡張現実)のように、現実世界の中にホログラフなどで情報を追加上乗せしようという概念でもありません。 虚構現実(FR)とは、要はフィクションの世界です。つまりこの世には存在しない「嘘」の世界です。しかし、異世界転生やSFといったまったく別次元の世界ではなく、今目の前の現実にほんの一つの要素だけ「嘘」を加えた現実に近い虚構の世界を描くことです。それはある意味「ひょっとすると実際に起こるかもしれない近い未来」とも言えます。  私がよく描くFRは、今の現実に「私は100億円もっている」という嘘だけを加えた世界です。 たとえば、テレビや新聞のニュースを見聞きしている中で何か大きな事件や災害という現実に直面したときに「ここで私の手元に100億円あったらどうするか」を考えるのです。 単に手元にお金があったらどうしたいかという問いではなく、「私がこの事件・災害の当事者・関係者だとして、手元に莫大なお金があれば、どう対応するか」というケースを特定した虚構の世界を考えるということです。  なぜ100億円という莫大なお金をもっているという条件を加えるかというと、そのほうが楽しく妄想ができるからです。 この条件がないと、いろいろな知識を組み合わせて何かアイデアを思い浮かべようにも「お金がないので無理だ」とか「人が足りないから無理だ」とネガティブな方向に向かってしまいがちです。楽しくないことは続きません。 そこで、せっかくの虚構なのですから資金の制約、さらにはそのお金を活用することで人手、道具、時間などの制約からも解放されるとしたときに、自分はどうするかを考えると、いろいろな知識を引き出し組み合わせるという妄想が捗るのです。

    [ここまでのポイント]
    1 アイデア出しとは、なんらかの目的にむけて記憶された知識を引き出し組み合わせること。
    2 その作業は脳に負担をかけるので、無意識的に避けてしまいがち。日々トレーニングを重ねて、アイデア出し脳を鍛えることが必要。
    3 そのトレーニングとして、現実の世界に一つだけ「嘘(虚構)」を交えた楽しい妄想をする「虚構現実」という習慣をつくることも有効。

    アイデア幻想術 ③幻想が捗る「問い」
     ここまでで、アイデア幻想の基礎トレーニングにつながる習慣づくりについて自分なりの体験談をもとに解説してきました。 ここからはより効率的に私の働き方改革についての幻想が一層捗るためにおさえておくべき問いかけポイントを紹介します。 問いかけポイントというのは、要は自分の思考(幻想)を進める上でのフレームワークやガイドのようなものです。 これらのポイントについて自分に問いかけることで、効率的に発想の転換を促し、かつこれまで記憶した素材を引き出し組み合わせながら、働き方改革のアイデアを生み出しやすくなると思います。
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  • アイデア幻想術 ①アウトプットベースでインプット ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第18回〈リニューアル配信〉

    2021-09-27 07:00  
    550pt

    (ほぼ)毎週月曜日は、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。いまだ実現していない働き方改革を思い描くためには、現実世界の様々な事象を高い解像度で記憶する必要があります。今回は、坂本さんがオタクならではの方法で情報を記憶に定着させるコツについて解説します。
    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第18回 アイデア幻想術 ①アウトプットベースでインプット
    あらすじ
     いま目の前にある働き方には存在しない、新しいやる事・やり方・やる力の選択肢を思い描き、細部まで具体的にイメージを固めていく「幻想力」を高めるためにはどうすべきでしょうか。 私の結論は「現実には起こっていないことを、細かいことまで妄想する習慣をつける」です。 今回は、その習慣づくりの一つのテクニックとして、「人の脳の性質」に着目した、アウトプットベースでインプットするという手法をご紹介します。
    幻想の素は蓄積された記憶
     幻想とは、現実ではない世界をまるで現実世界のように具体的に細部まで思い描くことです。ということは、幻想の世界を精緻なものにするには、現実世界の様々な事象を記憶していることが不可欠です。  幻想の世界をジオラマとすると、記憶とはそのジオラマを構成する様々なパーツです。 たとえば電車が走る風景のジオラマであれば、車両や線路はもちろん、樹木や河川、信号機や民家、看板や電柱、動物たちといった部材があればあるほど、リアルなものになっていきます。 幻想力があるということは、脳内に多様な部材(記憶)がたくさんあり、それらを引っ張り出してきて、今とは異なる世界を作り上げられることです。 どんなに突拍子もない世界であっても、「知らないもの」からは生まれません。その人が過去に収集・蓄積した別々の記憶が少し変わった組み合わせ方で関連づけられることで新しい世界が生まれるのです。 たとえば、資料の仕上げや作成代行を行うコンシェルジュという仕組みも、ゼロから生まれたわけではありません。アニメ制作において、一人がすべての作画をしているわけではないように、コンテンツというものは複数の人で手分けをして作ることができるという記憶があったからこそ、資料についても同様に途中から別の人(コンシェルジュ)が受け持つことはできるという考えに至ったわけです。
    記憶は忘れ去られていくもの
     幻想というパズルを完成させるには記憶のピースが潤沢にあることが大事ですが、「人は忘れていく生き物である」と言われます。 どんなに必死に詰め込んだ数式も、世界の歴史も、受験が終わればどんどんと脳から消えていきます。日々出会った人との会話も、わざわざ高いお金を払って受けに行ったセミナーの内容も、ふと気がつけば忘却の彼方に追いやられています。  どんなに「アンテナ脳」を鍛え、自然といろいろな情報に意識・注意(Attention)を払えるようになったとしても、それらを記憶領域に「知」として留めておけなければ意味がありません。 逆にきちんと知として認識・記憶し続けることで、それらを多様な知を組み合わせて私の働き方改革につながる新しい選択肢(やる事・やり方・やる力)を生み出すことにつなげられるようになります。 しかしながら、私自身あまり記憶力が良い方ではなく、周りからも三歩歩くたびに何か一つ忘れていく困った人扱いをされています。アニメの声優さんの過去出演作品とか、『銀河英雄伝説』の登場人物名とか、ポケモンなど二次元の世界のことがらはやけに覚えていてスラスラと挙げることができるのですが、他のこと、とくに現実世界のこととなるとからっきしダメです。 人名もほとんど覚えられないので、人と会話するときに間違えるのが怖くて名前を呼べず、よそよそしい会話になってしまいます。チームメンバーに声をかけるときすら、名前がすっと出てこないので呼びかけることができずに通り過ぎられてしまったりして凹んでいます。 とはいえ、意識高い人のように常にメモ帳を持ち歩いて欠かさず記録を残すということも億劫ですし、そもそも手帳を持ったこともありません。時々手帳を買ってしっかりメモする人間になろうと思い立つこともあるのですが、文具店に行く途中に目的をすっかり忘れてしまい、アニメグッズのくじ引きを大人買いしてはホクホク顔で大荷物を抱えて帰り道についてしまっています。ついでに言うと、ペンもすぐどこかに置き忘れてなくしてしまいます。
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  • 働き方イノベーターは幻想が得意 ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第17回〈リニューアル配信〉

    2021-09-13 07:00  
    550pt

    (ほぼ)毎週月曜日は、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。働き方改革が実行されたあとの環境を詳細に思い描くことができる、「幻想力」とも言うべき能力。その資質を持つ人の特徴や十分に力が発揮されうる環境について紹介します。
    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第17回 働き方イノベーターは幻想が得意
    あらすじ
     私の働き方改革を実践できる働き方イノベーターの素養の3つ目として、「周囲からすると突拍子もない、非現実的に思える改革アイデアを、あたかも当然できることのように語る」という点が挙げられます。 彼らイノベーターは、多くの人が「変えられない与件」として置いている前提から覆してしまいます。伝統や固定概念にとらわれず、異なる世界で得られた豊富な選択肢や知識をうまく組み合わせて自分の仕事に当てはめて、やる事・やり方・やる力を変えてしまいます。 この能力は単に「アイデア発想力がある」という表現に留まらず、「幻想力」の域に到達しているのではないかと考えます。 今回からは、働き方イノベーターの「幻想力」に着目し、なぜそれが重要かについて考えていきたいと思います。
    改革には幻想することが欠かせない
     働き方改革に限らないかもしれませんが、何かを改革し、新しいやる事・やり方・やる力にシフトするにあたっては、明確なやりたいこと(志事)を持つことや幅広い選択肢を知っていることに加えて、「具体的にどう変えればいいかイメージができる」ことも不可欠です。 たとえば、営業スタイルを改革する上で、「会いに行くのではなく、来てもらえないか」という新しい選択肢を閃くだけではなく、具体的にセミナー型での集客という手法やその実現方法、さらにそれを社内に説得して賛同を集め進めていくプロセスについてもイメージができることが必要です。そうしなければ、選択肢が浮かんだだけで、自分自身ですら説得することができず、その実現に向けて一歩踏み出すことができないでしょう。 もう一つ例を挙げると、以前私は組織内のメンバーが作成した資料をデータベース(DB)で共有化することで、新たな資料づくりの素材として活用することができて効率化につながると考えました。しかしさらに思考を進めてより具体的に自分がそのDBを利用しようとしているシーンをイメージしていった結果、「私だったら忙しいのにわざわざ人のために資料を投入することはしない」というとても残念な結論に至ったのです。 そこでさらに思考を進め「では自分はどういう状況なら自分で作成した資料を人に渡すのか?」と自問していろいろなシーンを想像してみたところ「自分が途中まで作った資料の仕上げを代わりに整えてくれる人がいれば、その人になら喜んで自分の資料を渡す」と気づいたのです。さらに、その人から笑顔で「この資料いいですね! 他の人にも是非紹介していいですか?」と聞かれれば、きっと自分の資料をほめられたことに嬉しくなってうなずくであろうこともイメージができました。 こうしたイメージの結果、新たな事業として、「ナレッジコンシェルジュ」というサービスが誕生しました。これは、コンシェルジュという「コミュニケーション上手」な人が社内に常駐して、資料の作成を代行したり、集まった資料を作成者の許可を得て公開・発信するサービスで、今でも多くの企業で働き方改革の手段の一つとして採用いただいています。

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  • 選択肢拡張術 ②偶然を計画する ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第16回〈リニューアル配信〉

    2021-08-30 07:00  
    550pt

    (ほぼ)毎週月曜日は、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。働き方について複数の選択肢を得ようと情報収集するためには、「偶然」の出会いから自らの世界を広げることが大切です。今回は偶然の出会いを計画的に増やしていくコツを、坂本さんがコミケ通いに勤しんでいたころの習慣を交えながら紹介します。
    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第16回 選択肢拡張術 ②偶然を計画する
    あらすじ
     アンテナ脳を鍛えて様々な情報に興味を持って調べる習慣がついて、より「多様」な世界に触れられるようになれば、ますます知識の幅は広がり、選択肢が浮かぶ確率や浮かぶ件数も増えていきます。 しかし、人はなかなか「自分の興味の範囲外の世界」には立ち入りにくいものです。それは悪いことではなく、ある意味合理的な判断です。つまり、世界が広がらないことは「必然」なのです。 ではどうすれば自分の知らない異世界に入ることができるかというと、「偶然」に依存することになります。 ただし、単に偶然を待つのではなく、計画的に偶然に出会えるように行動する習慣をつくることが可能であり、そうすることで、より広い視野・選択肢を得ることができると考えます。
    世界を広げることができれば、ますます選択肢は増える
     アンテナ脳が鍛えられれば、目や耳に飛び込んでくるいろいろな情報に関心を持つことが無意識的に習慣化されます。それによって多様な知識が脳内に蓄積され、いざというとき活用できるようになります。 その効果をいっそう高める上では「目や耳に飛び込んでくる情報」の拡張も重要です。 それをせず、常に同じような情報しか流れてこない世界に身を置いていると、目・耳にする情報がだんだん画一的なものになってしまい、新しい選択肢につながる多様な情報が入ってこなくなってしまうかもしれません。 この、目や耳に飛び込んでくる情報を拡張することを、私は「世界を広げる」と表現します。 自分が今いる世界(職場だったり、家だったり、交友関係だったり)から得られる情報は、長期的には固定化されており、どんなにアンテナ脳が育っていても、「そもそも新しい情報が飛び込んでこない」ということになりがちです。 そこで、自らその世界から出て、新しい職場に飛び込んだり、引っ越して生活環境を変えたり、新しい交友関係を広げるような「世界を広げる」機会を設けることで、新たに関心を持つことができる情報の総量を増やすということが重要になるわけです。
    自分の世界の限界
     第13回で、自分の視野を広げてやりたいことを見出すための手法として「他人探し」についてご紹介しました。これも一つの「新たな世界」を広げる行為です。そしてこのやり方としては、いくつかあります。 たとえば、講演会やセミナーに参加することが挙げられます。また、自伝などの本を読むことも、他人の体験を自分の中に取り込むよい機会になるでしょう。最近では、FacebookなどのSNSやYouTubeを開けば、いろいろな他人に出会うこともできます。TVのドキュメンタリー番組も他人と出会う機会として生かせます。 ただし、注意したいことがあります。それは、そうしたセミナーや読書、SNSやTV番組などで他人を探し続けていると、「次第に同じような人ばかりが目に留まるようになる」ということです。 人は、無意識的にリスクを避ける傾向があります。ランチをとる店を選ぶときにも、美味しいと分かっている定食屋と、一度も入ったことがなく見た目からは美味しそうな料理がでてくるかどうかわからない寂れた店とでは、なかなか後者を選ばないものです。そのため、セミナー案内サイトや書店、TV番組表などを見るときにも「これを見れば役立ちそう」というコンテンツに目がいきやすいですが、なんだかわからない・自分にとって関係がなさそうな人が登場するコンテンツは「ひょっとすると時間の無駄になるかもしれない」と、除外されてしまいがちです。 SNSやYouTube、Amazonなどのテクノロジーを駆使した情報プラットフォームは、本来はあらゆる可能性に開かれているはずなのですが、漫然と使っていると、さらにその傾向が強まります。フォローしている人の投稿しかタイムラインには流れてきませんし、オススメ動画やオススメ本は過去の閲覧履歴や登録されたお気に入りチャンネルの種類をもとにしてサジェストされるので、自分の視野を大きく広げるような「これまで興味を持たなかったコンテンツ」にはなかなか出会いづらくなってしまうからです。 これでは、せっかく時間をかけて他人探しに勤しんでいても、結局は同じような人ばかりにしか出会えず、選択肢が広がりません。それどころか、その同じような体験をしている人ばかりが目に飛び込んでくることで、自分のやりたいこともその方向性しかないと錯覚してしまうかもしれません。 他人探しは、ワンパターンな他人ではなく多様な人に出会うことが重要です。ときには「食わず嫌い」をしてきたような、自分の性格に合わない人や自分の人生とはまったく関係のない世界の人に出会うことで、新しい性格が芽生えたり、新たな世界が開けたりするかもしれません。 しかし、そうした「自分の『チャンネル登録』に入ってこない人」に出会おうという行為は、ともすれば時間の無駄になったり気分を害するなど、損をする結果につながりかねないリスクの大きな選択です。 たいていのビジネスパーソンは合理的な判断が好きですので、こうしたリスクがある選択はなかなかとりづらいものです。 つまり、自分の視野や選択肢を広げてくれる人・本などに出会うという機会は、必然的(合理的)には起こりづらいわけです。
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  • 選択肢拡張術 ①アンテナ脳を鍛える ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第15回〈リニューアル配信〉

    2021-08-23 07:00  
    550pt

    (ほぼ)毎週月曜日は、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。働き方イノベーターの条件は、働くうえでの選択肢が広いこと。「意識が高くない」大多数の社員がさまざまな情報への感度を高め、選択肢を広げていく(オタクならではの)コツを紹介します。
    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第15回 選択肢拡張術 ①アンテナ脳を鍛える
    あらすじ
     前回、働き方イノベーターは「選択肢が広い」こと、そしてそのために自分の意図を明確に持ちながら、多様な事象にアンテナを張って「知っていることを広げている」ことを紹介しました。 今回は、そうした働き方イノベーターに私たちがこれからなるために、どうすれば多様な事象にアンテナを張れるようになるのかについて考えたいと思います。 キーワードは「脳」です。ちょっとした工夫で自分自身の脳をコントロールして、日頃実践できていなかった習慣を身につけるテクニックをご紹介したいと思います。
    「もっとアンテナを張れ」という精神論からの脱却
     社会に出ると「もっと世の中の情報にアンテナを張れ」と精神論的な指導がされることがあります。そうした指導に対して「どうやって?」と具体論を聞くと、たいていは新聞を読め、いろんな本を読め、人の話を聞けといった分かりきった答えが返ってきてモヤモヤすることはないでしょうか。 ただ、これは質問する側が悪いのかもしれません。「どうやってアンテナを張ればいいですか?」という質問だと、こうした答えになることもやむを得ないでしょう。 私は、アンテナを活発に張ることができていない人が発するべき問いは「どうすれば日頃できていない行動習慣を、自然にやれるようになれるか?」であると考えます。つまり、アンテナを張るという行為への着目ではなく、「普段できていないことができるようになる」ことに着目し、その自己改革を図るべきだと思うのです。 日頃からアンテナを張って様々な情報を収集できている「意識の高い人」は、そういった問いを立てるまでもなく、様々な情報をキャッチして自分の認知に加え、アイデア出しに生かしています。 しかし、私のようにそんなに意識高く生きてこなかった人間は、自分の興味のないことにわざわざアンテナを張るなんて「面倒だ」と感じるものです。もはやこれは習性・感性と言ってもよいでしょう。 ですので、たとえやりたい事がある程度明確になったとしても、日頃からアンテナを張るという行動に慣れていない私たちは、染みついた引き篭りの習性・感性を切り替えることに注力をしなければなりません。
    無意識的に様々なことにアンテナを張る「脳を」鍛える
     その一つとして私が実践していることが、脳をだます習慣づくり、名付けて「ドーパミン・コントロール」です。 脳研究の第一人者である東京大学大学院の池谷裕二教授曰く、「人のやる気は脳内で分泌されるドーパミンによって引き起こされる」そうです。 そして、ドーパミンは快楽物質とも言われます。一度何らかの行為でドーパミンが分泌される興奮状態を覚えると、無意識的に、つまり脳が勝手に「もっともっと」とそれを繰り返させようとするというのです。これが俗に言う「ハマる」という状況です。 たとえば、スマホゲームの「ガチャ」でレアキャラをゲットしたときなどがそうです。ギャンブル性が高いゲームで勝つことでドーパミンが分泌され、その行為を無意識的に、つまり脳が勝手に「好んで行う」ようになるのです。 以前、池谷氏と対談させていただく機会があったのですが、こうしたお話をお聞きしながら、私の中で、何か新しい情報を得るという行為に「ハマる」ことができれば、自然に新しい情報に注意を払う人間(脳)になれるのでは? と考えるようになりました。 そして、「何かにハマる」ことは私のような意識が高くないオタク層にとってはお手のものです。要は、ちょっとしたコスト(時間・お金・勇気)をかけてアニメを視聴したりグッズを購入することで「快感」を得てしまえばよいわけです。 たとえば、こう見えて私も10年くらい前までは美少女フィギュアなんてさすがに恥ずかしくて買ったことはありませんでした。自分の中で「超えてはいけない一線」のようなものがあったわけです。しかし、あるときUFOキャッチャーでもうひと押しで取れそうだった『ワンピース』のナミのフィギュアをついついGETしてしまいました。UFOキャッチャーで景品が獲得できた興奮と相まって、「フィギュアを所有する」という沼にハマってしまった私は、今もそこから這い上がることはできず、ゲームセンターでフィギュアを見つけてはついついお金をつぎこんでしまう「脳」になっていったのです。 話を戻すと、「アンテナを張る」という行為が習慣にない人は、一度でも良いので、アンテナを立てて情報収集して快感を得るという、「沼にハマる」ために一歩踏み出すことが大事ということになります。
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  • 働き方イノベーターは「選択肢」が広い ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第14回〈リニューアル配信〉

    2021-08-16 07:00  
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    (ほぼ)毎週月曜日は、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。働き方改革に必要な、既存の枠にとらわれないアイデアを生むにはどうすればいいのか? アイデアの源泉となるさまざまな情報を咀嚼するためのセルフマネジメントの理論を紹介します。
    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第14回 働き方イノベーターは「選択肢」が広い
    あらすじ
     私の働き方改革を自ら推進できる働き方イノベーターの性質として、「周囲の人が普通選ばない道を選び、進んでいく」という共通点があります。 この王道ではない道を選ぶことができる人になるには、「やりたいことが明確にあって、何か新たな道を探ろうという強い動機づけがあるだけでは不十分です。 すなわち、「今とは別の選択肢を知っている」もしくは「新たな選択肢が思いつく」というチカラが必要になってきます。 今回からは、働き方イノベーターの一つの力である「選択肢の広さ」に着目し、それがどのような習慣によって培われるのかについて解説していきたいと思います。
    働き方改革とは今とは異なる「選択肢」をとること
     これまで解説した通り、「私の働き方改革」とは、自分のやりたいことにもっと注力するために、やる事・やり方・やる力を見直し、周囲にも働きかけていくことです。この「(やる事・やり方・やる力を)見直す」という部分に着目して、別の表現に置き換えると「今とは異なる選択肢をとる」ということになります。 たとえば、会いに行く営業スタイルから来てもらう営業スタイルへの改革とは、訪問営業という選択肢からセミナー型の集客営業という選択肢にシフトしたわけです。 他にも、1回数時間かけて集計表を作成するというやり方から、エクセルのマクロ機能を駆使して集計処理を自動化するという改革も、集計作業方法の選択肢を従来から変えたというふうに表現ができます。 さらに、テレワークが当たり前となった時代の管理職として、対面偏重型のマネジメントスタイルから脱却し、自身のICTスキルを高めようと思い立った人は、自らのスキルを自己評価する判断基準や自己研鑽テーマについて従来の判断基準とは異なる選択肢をとったのだと言えます。 このように、働き方改革とは従来にはなかった選択肢を見出し、そちらに自らの判断基準や行動をシフトすることであると言えます。
    働き方イノベーターは選択肢が広い
     前回までは、働き方イノベーターの性質として、「やりたいことが明確にある」ということを紹介し、それが「今のやる事・やり方・やる力を見直す」強い動機づけになっていると解説しました。 ただし、動機だけ強くあっても、とるべきアクション(選択肢)がなければ改革は進みません。もしくは誤った道を選んでしまっては失敗してしまいます。 つまり、私の働き方改革を自ら推進できる働き方イノベーターは、既存のやる事・やり方・やる力以外の「選択肢」をもっているということです。しかもそれは一つではなく、様々な選択肢が浮かび、もっともリスクが低くかつ成功確率が高い選択肢をチョイスしているのです。 たとえば、「より短時間で高い営業成果を出せる働き方になろう」というときに、選択肢が浮かばない人は「わかりません」としか答えられません。また、従来の選択肢の中でしかアイデアが出せない人は、「とにかく訪問件数を増やすべき。そのためには、朝から晩まで会社の外に出て、顧客訪問に時間を充てるべき」という答えに固執してしまいます。これは選択肢を変えているのではなく、一つの選択肢の中で行動量を増やそうというもので、大きな生産性向上にはつながりにくいかもしれません。 一方、働き方イノベーターは、自社以外の営業部門の働き方について知見を持っていたり、自分自身がセミナーに参加した経験もあるので、訪問営業という選択肢の枠を超えて、集客型営業というやり方があることを思いつき、他の選択肢と比較しながら提案することができます。
    なぜ働き方イノベーターの選択肢は広いのか?
     このように働き方イノベーターは、一つの選択肢の中で行動量や質を見直してもがこうとするのではなく、まったく新しい選択肢をもってきて、より短時間で高い成果を実現してしまいます。 ではなぜ働き方イノベーターは、他の人が浮かばないような選択肢をひらめくことができるのでしょうか?
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  • やりたいこと(志事)探し術 ②他人探し ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第13回〈リニューアル配信〉

    2021-08-09 07:00  
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    (ほぼ)毎週月曜日は、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。自分のやりたいことを見つけることが働き方改革の第一歩ですが、過去の自分や周りの人たちからそのロールモデルを見出すことは難しいといいます。アニメオタクの坂本さんならではのやりたいこと(志事)を見つける方法とは?
    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第13回 やりたいこと(志事)探し術 ②他人探し
    あらすじ
     自分のやりたいことを見出す上で、自分への自信(過去の自分への自慢)とともに不可欠なピースは「ロールモデル」だと考えます。すなわち、自分を投影し、いつかこうなりたいと思える「他者」です。 そして、多くの場合、今いる職場でそうしたロールモデルになるような他者を探すことは困難であると思います。なぜなら、多くの職場においては「職場のルールに沿ってしっかり仕事に取り組んでいる人」は多くても、「やりたいことを明確に持ってそれに向かって私の働き方改革に邁進している人」は少ないからです。 そこで、今の職場(世界)を飛び出して、「こうなりたいと思える他者」を探すことが必要です。 そしてその他者はひょっとしたら「現実世界」ではなく「虚構の世界」にいるかもしれません。
    ジマンマイニングの限界
     前回では、自分のやりたいことを明確に持つためにも、「自信」を高めることが重要であり、その鍵は「過去の自慢の掘り起こし(ジマンマイニング)」であると解説しました。 しかし、私の働き方改革を実践できる働き方イノベーターとなる上では、単に自分に自信があるだけでなく、やりたいことが明確になっていることが必要です。 なぜなら人はやりたいことがあることで、たとえリスクをとってでも、やる事・やり方・やる力を見直したり周囲に働きかけようと動機づけられるからです。 もちろん、ジマンマイニングを通じて、過去の自分の体験の中に未来の自分がやりたいことが浮かぶ可能性もあります。しかし、ジマンマイニングの対象はあくまで「過去の自分が経験したこと」であり、そこに「未来の自分がやりたいこと」についての示唆(選択肢)は得られないことも多いでしょう。 なぜなら、「やりたいこと」とはすなわち「過去から今にかけて自分ができていないこと」もしくは「今もやってはいるが満足するレベルにはできていないこと」だからです。過去や今の自分がやれていることの中からそれを見出すことは困難なのです。 そこで、自分への自信を抱くためのジマンマイニングの習慣とは別途、自分のやりたいことを見出すために何らかの「きっかけ」が必要になります。
    「自分探し」よりも「他人探し」を
     自分の過去を振り返るだけではやりたいことが見出しづらいのならば、自分ではない「他者」にやりたいことを見出すきっかけやヒントを求めることが有効だと考えます。  アニメや小説でも自分のやりたいことがわからなくなった主人公が、「自分探し」に旅立つシーンがあります。ここでも重要になってくるのが「他者の存在」です。日常では出会えない「他者」の考え方や経験談に触れた主人公は、そこから自分のやりたいことを見出し、人間として成長して帰ってくるのです。  つまり、自分探しとは「日常では出会えない他者」に触れる機会であり、自らの過去の経験以外の他者の経験を取り込み、「自分の経験を拡張する」ことと言えます。  私も今でこそ働き方イノベーターとしての道を進んでいますが、それを目指すに至ったきっかけとして様々な「他者との出会い」があります。  たとえば入社してすぐの新人研修で講師として登壇された起業家育成者の福島正伸氏もその一人です。
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  • やりたいこと(志事)探し術 ①ジマンマイニング ──(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第12回〈リニューアル配信〉

    2021-08-02 07:00  
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    (ほぼ)毎週月曜日は、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの好評連載「(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革」を大幅に加筆再構成してリニューアル配信しています。働き方改革を進めるうえで大切なのは、自分のやりたいこと(志事)を見つけること。志事を見つけるためにポジティブに自分を騙していくマインドセットを紹介します。
    (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革〈リニューアル配信〉第12回 やりたいこと(志事)探し術 ①ジマンマイニング
    あらすじ
     前回は、私の改革を進める第一歩として「やりたいこと(志事)」を持つことが重要と説明しましたが、そう簡単にやりたいことが見つかるわけではありません。 ではどうすれば、自分のやりたいことを見出すことができるのでしょうか? 私は、「ジマンマイニング」という習慣を持つことで、あえて自分を客観視しながら自分というキャラクターの設定やそのやりたいことを意識し、見出すことにつながると考えています。 今回は、その具体的なやり方についてご紹介します。
    やりたいことを持てと言われて持てるなら苦労しない
     先ほど、やりたいこと(志事)を持つことが私の改革の第一歩だと書きました。しかしながら、「今している仕事にも仕事以外にもやりたいことなんてはっきりとは思いつかない」という人も少なくないと思います。  たとえば私のやりたいことの一つは、「オタクでもここまでがんばれる」というロールモデルとなり、オタクの社会的プレゼンスを高めることです。 もう一つのやりたいことは「助言家」です。どのような分野であっても、自分なりの視点やその分野とは異なる分野で得られた情報や経験をもとに、何か新しい道を助言することができればと考えています。 あともう一つはやはり、「アニメを観たい」です。せっかくこの時代の日本に生まれたからには、あらゆるアニメを鑑賞し、楽しみ、仕事にも私事にも活かしたいと思うのです。 しかし、以前はこんなに明確にやりたいことを言語化することはできませんでした。過去の私は、同じように問われると「なんとなく楽しいことしたいな」とかそんな感じでした。そして「それって具体的には何か?」と聞かれると、「う~ん」となって、その場その場で浮かぶこと(寝たい、とか、遊びたい、とか)がやりたいこととなっては、すぐにまた変わっていくので、わざわざ自分の働き方を変えてでもそれをやりたいというほどには動機づけられることはありませんでした。
    やりたいことを持てないのは「脳」が変に気を遣っているから?
     自分のやりたいことが明確に持てない原因について、当時の自分のことを振り返りながら考えると「自分への自信が弱かった」という事実が浮かびます。  自信が弱いというのは、すなわち、自分がこれからできることについての信用(自分に対する信用=自信)が低いという状態です。 そうした状態で、何かやりたいことを定義しようとしても「それはきっと自分にはできない」と無意識的に(脳が勝手に)判断してしまい、結果としてやりたいことが思い浮かばないのではないかと考えられます。 なぜなら、もしやりたいことを浮かべてしまって、それができない(自信がない)となると、脳がストレスを感じるからです。それならストレスの元である「やりたいことが思い浮かぶ」ことを避けてしまおうというわけです。 脳に本当にそうした作用があるかどうかはわかりませんが、私はそう考えています。つまり、脳という「私でありながらも私ではない存在」が、強制的にやりたいことの思い浮かばない状態を作っているという考え方です。 こうした「脳(無意識)」と「自分(意識)」を切り離して考える視点は、数年前に働き方改革コンサルタントとして「従業員の意識行動変容を促すには?」という問いについて考える中で、脳科学や心理学をかじったことがあって、芽生えるようになりました。 たとえば私が影響を受けた本『心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす』(ジェラルド・ザルトマン、ダイヤモンド社)では、「人の行動の95%は、無意識(潜在意識)によって動かされている」という脳科学分野の研究が紹介されています。空腹を感じたり、反射的に熱いコップから手を離したりといった行動だけでなく、商品(価値)を選ぶという行為も、多くは意識的に行っているわけではなく無意識の領域で判断し「習慣」として行われているらしいです。 その延長で「何かを好む」「誰かを嫌う」といった感情的な判断と言われる反応や、ある情報を頭に残す(後で思い出す)かどうか決めるといったことも、脳がそれまでの経験・習慣や本能的な思考回路によって情報を取捨選択・判断していると考えられるわけです。 よって、自分に自信がない、もしくはそう自分で思い込んでいる場合は、脳が気を利かせて(もしくは脳自身がストレスを感じたくないため)、わざわざストレスの元になるような「やりたいことを見出す」という行為を無意識に避けているのではないかと仮説を立ててみたのです。 この仮説に従うと、たとえ意識的にはやりたいことを浮かべようとしても、無意識の領域で抵抗にあってやりたいことが浮かべられないということになります。これでは、やりたいことを持てと言われても、どうしようもありません。無意識(習慣)への働きかけが不可欠です。
    自信を高めるには自慢が大事
     この状況を打破し、自分でやりたいことを見出す上では、「自信を持つこと」が必要です。 しかし、私も含めて大半の人は、やりたいこと以上に「自分に自信を持つ」ことは困難です。自分に自信を持てている意識高い人なら、やりたいことが浮かばないなんて悩みも持ちません。 そこで、私が考えたテクニックは「脳をだます」ことです。 つまり、やりたいことを考えようとするときに、脳が「コイツならやりたいことを思い浮かべさせてもストレスにはならない」と判断するように仕向けるわけです。 では、どうすれば、脳は「コイツならやれる」と勘違いしてくれるのでしょう。 私の答えは「自慢すること」です。過去、自分でやろうとしたことがやれた実績(自慢)を振り返ることで、脳に「ほら、できるでしょう」と認識させることが重要であると考えます。 他人に信用してもらうときにも過去の実績を示すことが重要であるように、脳、さらには自分自身にネガティブなイメージを抱く自分に対して、これからの自分への信用(自信)を高めるには、過去の実績を提示することが有効だと思うのです。 ちょっとしたことでもよいので過去に何かを思い立ちそれを実行できた自慢を並べていくことで、帰納法的に「自分はやりたいことを思い浮かべればできる人間である」と自分(の脳)に認識させることができる(自信につながる)というロジックです。
    ジマンマイニングのススメ
     しかしながら、人は、自分の過去については、反省とか後悔とか「ネガティブなこと」はよく覚えているわりに、成果とか成長とか「ポジティブなこと」についてはぱっと思い出せないものです。 これはおそらく、脳の記憶領域(ハードディスク)が、良いことより悪いことを重視して記憶させる作用があるのかもしれません。なぜなら人が生きていく上では、「あれをすると危ない」とか「これはやってはダメだ」といったネガティブ経験をはっきり覚えておいた方が、同じ轍を踏まなくなり、結果として生存確率が高まるからではないかと考えています。 私も基本的には、過去の経験を思い出すときはネガティブなことばかりです。「あのとき、調子に乗ってしゃべりすぎた」とか「なんであそこであんなことを言ってしまったんだろう」とか「もっとうまくやればよかった」とか、就寝前に「自分反省会」がはじまると、頭の中がネガティブな記憶でグルグルし続け、眠れなくなることも多いです。 とはいえ、過去の自分に一つも評価できる実績がなかったとは思えません。きっと何かあるはずです。 たとえば学生時代には、しっかりテスト勉強をしようとして良い点数がとれたこともあるでしょう。旅に出て楽しい体験ができたこともあるでしょう。計画通りに1日が過ごせてほっとした日もあるはずです。 これら「やりたいことができた」という事実は過去に大小かならずあるはずです。しかし前述の脳の性質のせいかもしれませんが、それらはぱっと「思い出せない」のです。まるで記憶という地層の奥深くに埋没してしまっているように、そうそう簡単に地表に出てきてくれないだけなのです。
     この地中深く埋没した自慢たちをうまく掘り起こして思い出してやることができれば、そこから「これからの自分」に自信を抱けるように、自分(脳)を説得することも容易になります。 しかし前述の通り、こうした自慢を思い出す作業は、通常の思考回路からすると「不自然な行為」です。自然にして考えているとついついネガティブな過去ばかり思い出してしまうものです。 そこで、意識的に自分の思考の方向性を「自慢を探す」というベクトルに向けなければなりません。そうして地中深く埋まった自慢たちを掘り起こすというある意味不自然な作業に時間をかけるわけです。私はそれを「ジマンマイニング(掘り起こし)」と名付けています。
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