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記事 15件
  • これが私の働き方改革道(後編:Cパート)| 坂本崇博

    2020-07-01 07:00  
    550pt

    2000年代初頭にコクヨ社員になり、IT普及の黎明期に「インターネット通販ビジネス」の部署に配属された坂本崇博さん。そこでの「ちょっとした働き方改革」の工夫を振り返るところから、どうすれば日本全体に「My WX(私の働き方改革)」を普遍化していけるのかという課題について、いくつかの手がかりが見えてきました。すなわち、自分の欲を掘り下げて我が道を見出す「ワガママさ」と、ネットの恩恵もフル活用しつつ「学び」についての認識・行動を変えることです。これらの武器を、(意識の高さによらずに)いかに進化させていけるか。坂本さんのさらなる自己検証が続きます。
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』 第8回 これが私の働き方改革道(後編:Cパート)
    コクヨにおける私の働き方改革 新規プロジェクト編
     2004年、新人ながら「ちょっとした働き方改革」を進め始めた私に、突如「異動」が告げられました。  異動といっても「レンタル移籍」という体裁で、社内で1年ほど前に発足したあるプロジェクトの増員メンバーとして途中参加することになったのです。そのプロジェクトとは、コクヨとして顧客層別に複数立ち上げていたインターネット通販ビジネスモデルたちを総合的に扱い、顧客の課題・ニーズに合わせて適したモデルを提案する拡販プロジェクトでした。  基本的な活動プロセスは従来と大きく変わらず、企業に訪問し、商談をして、提案をするのですが、提案する商材が従来は1つのネット通販システムだけだったのが、「コクヨの通販モデルすべてから最適なものをお勧めする」という形式に変わったわけです。ある意味「数打てば当たる」ので、とにかく件数多く回ることが重視されるビジネスでした。  そのため、プロジェクトのメンバーたちは、前の部署以上に日中は出ずっぱりになっていました。朝から夕方まで、1社でも多くのお客様に訪問して商材PRや提案をすることを目指し、「活動量目標」という指標を立て、訪問件数や提案件数を競い合っていました。まさに人海戦術です。  メンバーは体育会系な人も多く、重たいカタログを何冊も鞄に詰め込み、文字通り「足で稼ぐ」スタイルによってふくらはぎのヒラメ筋が隆々としているように見えました。 そこに配属になった私はすぐに気づきました。「これは定時に帰れない」と。しかもそれだけではなく「体力が持たない」という危機感さえ覚えました。引き篭もりにとってはなんとも過酷な状況に陥ったわけです。 営業ノルマも達成したいし、早く帰ってアニメも観たいし、体力も使いたくない。このトリレンマに直面した私は、いったんはアニメを諦めようと決心しました。 しかし、諦められませんでした。 2004年前後と言えば、深夜アニメの勢いが急拡大していたころで、1クール(3ヶ月)で多いときには40本近いアニメが放映されていました。かつ、東京に転勤になっていた私はこの頃から「コミケ(コミックマーケット)」にも参戦するようになっていましたので、現在放映中のアニメをウォッチしておくことは、コミケをフルに楽しむ上でも不可欠のミッションだったのです。  営業ミッションとコミケのミッション、2つの使命に板挟みになりながら、日々逞しくなっていく足腰。ある意味コミケで戦う上でも足腰はとても重要なのでそれはそれで良かったのですが、何より時間がとれないことは致命的な問題でした。  そこで、まずはこのプロジェクトの営業プロセスについて考えることにしました。ノルマの達成を成果としたときに、どういう図式によって成果が左右されているかという分析です。  それは割とシンプルで、「初期リーチ顧客件数×見積もりステップへの移行率×見積もり提出後の受注率」という数式で表すことができました。そして、過去の自分の見積もりステップへの移行率やその後の受注率は、概ね50%くらいでした。もしノルマが月5件受注だとするなら、初期リーチ顧客として月20件に当たる必要があったわけです。 これが、メンバーみんなが毎日せっせと外回りをしている理由でした。1日3社に訪問するとしてそのうちの1社が新規の初期リーチ顧客とするならば、1ヶ月で20社に新規リーチできてノルマの5件を達成できるということです。もし1日4社に訪問できるとすると、新規リーチ顧客数は1日1.3社となり、1ヶ月で26社に新規リーチできることで、最終的に6社の受注を得られる(ノルマ達成率120%)という計算です。  当たり前と言えば当たり前の構図なのですが、プロジェクトメンバー全体としてこの「初期リーチ件数」を最大化すべく、日々の訪問件数を増やすことに躍起になっていたのです。  そんなとき、ふと思いついたのです。「日々足で稼ぐ外に初期リーチ顧客を増やす道はないのか?」と。そうして、1日単位での訪問件数ではなく1ヶ月単位の合算値で考えれば、月に1回まとめて多くの初期リーチ顧客にアプローチするという方法もアリなのではないかと考えたのです。  これが、「会いに行く営業から来てもらう営業へ、営業としてのやる事のシフト」、すなわちセミナースタイルによる初期リーチ顧客への効率的アプローチというアイデアの元になりました。
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  • これが私の働き方改革道(後編:Bパート)| 坂本崇博

    2020-06-02 07:00  
    550pt

     新人研修時代から、さっそく苦手なコミュニケーションをなんとかするために「My WX(私の働き方改革)」を始めていた坂本崇博さん。その底にあるのは、徹底してマンガやアニメの「虚構から学ぶ」という姿勢です。しかし研修期間を終えてネット通販ビジネスの飛び込み営業を担当することになり、帰りが遅くなることで、何よりの生産性の源であるアニメ視聴という人生の「オン」時間の危機が降りかかります。そこで坂本青年が変えたやり方とは?
    坂本崇博『(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革』 第7回 これが私の働き方改革道(後編:Bパート)
    コクヨにおける私の働き方改革 営業編1
     長い新入研修期間を経て、私が最初に配属された部署は、当時急速に成長していた「インターネット通販ビジネス」を担うセクションでした。その部署で文具事務用品のネット通販システムの営業として、企業の購買部門に「御社の事務用品、ネットで買いませんか?」と提案して回るというお仕事です。
     扱うビジネスはインターネットビジネスという当時としては最新のものながら、営業手法は伝統的な「飛び込み営業」でした。  日々、企業に訪問し、状況を日報に入力して、通販の販売実績の集計表を作って、会議で共有するの繰り返し。やっているビジネスはこれまでコクヨが経験したことのないネット通販という革新的なビジネスモデルながら、「決まった通学路を行き来している」錯覚に陥りそうな日々でした。  そして何より困ったことは「帰りが遅くなる」という点でした。基本的に日中は外回りをしていますので、日報を書いたり会議に備えて実績表を集計し確認したりするのは夕方以降になります。そうすると、どうしても定時ダッシュとはいかず、帰宅時刻が遅くなることもしばしばありました。  これは私にとって人生の危機でした。前述の通り、私の癒やしであり学びでもある大切な時間は「アニメ」です。アニメという虚構の世界には、今の仕事をうまく進めるための様々なヒントが隠されています。新人研修時代には『美味しんぼ』からコミュニケーション改革を思いついたり、歴代の「ガンダム」シリーズからは誰もが「自分の正義」にこだわりをもつことを実感したりしたものです。  この時間が損なわれるというのは、私にとって成長の鈍化、さらには人生の生産性低下を意味します。もちろん「寝る間を惜しんで観る」という選択肢もありましたが、それでは仕事に支障をきたすので本末転倒です。私にとってアニメ鑑賞は仕事の対局にある「オフ」ではなく、仕事、そして人生にプラスを与えてくれる「オン」なのですから。  しかし、世の中はまだまだ長時間労働が「日常」であると考えている人も少なくない時代でした。また、夜残って上司や先輩とコーヒーを飲みながら会話する時間というのも1つのコミュニティとしてたしかに存在しており、それはそれで心地よくて、私自身もついついオフィスに長居してしまうこともしばしばありました。  何よりも立ち上がったばかりの事業部門で、かつ新人の私としては「こうしましょうよ!」と言えるほどの解があるわけでもありませんでした。  次第に「遅くまでがんばっている」自分を受け入れ、家に帰れば流し観程度にアニメを垂れ流し、寝落ちして朝を迎えることに「美学」のようなものを感じるようになっていったのです。
     しかし、『最終兵器彼女』のアニメ版の放送が始まった2002年の後半、私の早く帰りたいという想いは最高潮に達します。ちょうどその年にふと書店で目にとまった原作コミックにハマってしまい、通勤中に読みふけりながらワイシャツを涙でビショビショに濡らして心配されるほどにテンションが落ちた状態で出社していた私としては、このアニメを観ないわけにはいきません。もはや私が選択できる道は「早く帰るためになんとかする」しかなく、業績は落とさずかつ仕事を手っ取り早く終わらせることに、情熱を傾けることにしました。
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  • これが私の働き方改革道(後編:Aパート)| 坂本崇博

    2020-05-11 07:00  
    550pt

     “メジャー”とか“エリート”と位置付けられている人たちとは一線を画し、「何か道を外れたことがしたい」という残念な情熱を抱える坂本崇博さんと、変に意気投合したという文具事務用品のメジャー、コクヨ。この奇妙な握手によって、坂本さんの働き方改革人生は加速期に入ります。今回は、コクヨ社員になってからの新人研修時代の「My WX(私の働き方改革)」を振り返ります。苦手なコミュニケーションを乗り越えるために編み出した、「コミュニケーション・ポートフォリオ」の工夫とは?
    明日夜に開催のイベント「遅いインターネット会議」に坂本崇博さんがご出演されます! ●5/12(火)坂本崇博×新野俊幸「ワークスタイルから社会を変える」 気がつけば「働き方改革」という言葉がブームになって随分長い時間が経ちました。しかしこの国のワークスタイルは、企業社会は、本当に変わったのでしょうか。「働き方」「やめ方」のプロを交えて、サラリーマンの働き方から社会を変えるための作戦会議を行います。 詳細・お申し込みはこちらまで!
    坂本崇博 (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革第6回 これが私の働き方改革道(後編:Aパート)
    コクヨにおける私の働き方改革 新人研修編
     2001年4月。入社式も終わり、いよいよ「変」を求めるコクヨの一員として、私なりの「変」に挑戦できるとワクテカしながら人生初の会社員生活が始まりました。そして私はいきなり「壁」にぶち当たります。正確にいうと、自分で自分の中に勝手に「壁」を作り上げていたことに気づき、愕然としたのです。
     そのきっかけは、新人社員研修でした。新人社員というのは、たちまちなんらかの仕事に就くわけではなく、当たり前といえば当たり前なのですが、コクヨの一員として会社の歴史、理念、事業内容を学び、見学し、体験することが最初の「仕事」として提示されることになります。 「国の誉れになる」というコクヨの社名の由来(ちなみにここでの国は、創業者の出身地である富山県を指します)や、創業から100年の歴史における経営陣・社員たちの努力と創意工夫の成果、さらには現在の様々な事業部の事業内容や、工場・物流センターなどの仕事内容を知り、実際に体験していくことで、次第に「コクヨ社員」になっていくというプロセスが用意されていました。 講師や先輩社員たちはとても真摯かつ暖かく、コクヨとはどういうものか、そしてコクヨの事業や仕事内容はどういうものかについて、忙しい時間を割いて丁寧にレクチャーしていただきました。また、社会人としてのマナー講座や法令遵守についても学びながら、私は社会人として、そしてコクヨの一員として、先輩たちのように早く一人前になって仕事がしたいと願うようになっていきました。
     そしてある朝、そんな「意識高くコクヨ社員になろうとしている自分」にガツンと石を投げつけられるような事件が起こりました。アメリカ同時多発テロです。  2001年9月11日、朝TVをつけると、夏の抜けるような青空の中にそびえ立つ資本主義の栄華の象徴であるWTCビルに、人類の技術革新の成果を詰め込んだ旅客機が突撃し炎上しながら崩壊していく様子が何度も流されていました。それはまるで過去私が画面の中で観てきたアニメのような、非日常の光景でした。 私はその光景を見ながら、当たり前に続くと思っていた日常が急に失われることがあることを改めて思い知らされました。そして同時に、自分自身がコクヨ社員としての「日常という壁(固定概念・枠)」をどんどん築いていることに気づいたのです。
     そして、このことに気づいたことで、新人研修開始当初に研修担当である人事部門の方に告げられたメッセージも合わせて思い出すことができました。それは、
     「これからコクヨのいろいろな部署で様々な体験・勉強をしてもらいます。そして、最後には皆さんで『コクヨの歩き方』という本を書いてください。それは、コクヨがこれまでどういった仕事をしているかを見聞き・体験した皆さんがこれからどんな道を歩みたいかの宣言書です。」
     というミッション提示でした。あまりに意識が高いメッセージなので、ちょっと引いてしまってすっかり忘れてしまっていました。
     普通、一般的な企業においては新人研修で「やる事」といえば、会社の仕事を学び習得し、先輩たちと同じレベルの仕事ができる前向きな社員を育てることではないでしょうか。私自身勝手にそうした固定概念がありました。しかしながら、コクヨの研修担当から提示された「やる事」は実は違っていたのです。 それなのに、日々流される中で、いつの間にか普通の新人として研修を受けることが自然になり、本来のミッションを忘れて、「これまでのコクヨ社員(日常)」となろうと勝手に枠を決め、壁の中に籠もろうとしていたのでした。
     それに気づいた私は、自分の仕事、つまり「新人研修」におけるやる事・やり方・やる力を大きく転換していきました。これまでのコクヨの事業・仕事にはどんな課題があり、どんな変化のチャンスがあるのかを見つけようとし始めたのです。
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  • 坂本崇博 (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第5回 これが私の働き方改革道(中編)

    2020-04-09 07:00  
    550pt

    周囲に合わせる「リア充」的なコミュニケーションについていけなかったために、学生時代からアニメや小説を頼りに、仕方なく自分独自のやる事・やり方・やる力の伸ばし方を工夫しなければならなかった坂本崇博さん。そんな「残念な」少年が社会人になるとき、どんなふうに「私の働き方改革」が生まれていったのでしょうか。
    コクヨにおける私の働き方改革 黎明編
     なんとも痛い動機で「人と違う道」を歩み続けた学生時代を終え、いよいよ私はコクヨに出会い、働くことになります。
     なぜ私はコクヨの門を叩いたのか。これまた「残念な」理由でした。  「最初に内定をくれた会社に恩返しをしよう」という志も何もない動機で就職活動をしていた私ですが、就職先候補の選び方も適当でした。就活ネット上で、「地元関西に本社があって、自分自身がこれまでお世話になっていて、かつ親が知っていそうな大きいところ」を検索し、片っ端からエントリーしていったのです。
     何とも意識の低い、ある意味新卒一括採用・終身雇用という日本独特のシステムにあぐらをかいた「普通の就活」です。まるで高校生が進学先を選ぶかのように「何を学ぶかではなく、どこに入るか(入れるか)」で会社を選び、入社後は与えられた仕事を粛々とこなして、次第に熟練して仕事を教えられるようになれば先輩になり、より多くの人の仕事を管理できるようになって上司になるものだと、信じて疑わなかった「就活生」でした。
     実は、当初「コクヨ」は「これまでお世話になった会社リスト」からは外れていました。なぜなら、「人と違う道」にこだわりがあった私は、あえて購買部で売られているような筆記具は持たず、アニメショップで売られている少し尖ったデザインのルーズリーフファイルを購入して利用していましたし、筆記具も「そうそう学校には持って来られない」こだわりのデザインを好んで使っていたためです。文房具といえば、アニメイトでした。  そんなわけで当初は、もっと身近にお世話になっていた伊藤ハムさんやハウス食品さんなどにエントリーしたり、関西圏という条件からは外れるものの、せっかくなのでバンダイさんやバンプレストさんの会社説明を聞きにいったりしていました。
     しかし、エントリーを重ね、履歴書を送るたびにふと目に留まった社名がありました。それがコクヨです。履歴書の右下に「コクヨ」と書かれていたのです。  「へえ、キャンパスノートのコクヨって、履歴書も作っているのか」と興味が出てきた私は、早速コクヨの所在地を検索し、大阪本社であることと一部上場企業であることを確認して、エントリーをしたのでした。  そして、コクヨの採用面接で「人と違う道」を見出すことになったのです。
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  • 坂本崇博 (意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第4回 これが私の働き方改革道(前編)

    2020-03-10 07:00  
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    国の政策や会社の都合ではなく、自分自身の人生の充実のためにやる「働き方改革」を掲げる坂本崇博さん。それは一見「意識高い」行動のようでもありますが、その裏にはなんとも「残念な」発想が……!? 坂本さん自身の学生時代からの行動特性の自己分析を通じて、「私の働き方改革」のルーツと実像を浮き彫りにしていきます。
    ここまでは、私が考える「働き方改革」とは何かについて解説してきました。 すなわち、働き方改革とは、誰かに押し付けられて働き方を変えさせられたり、環境や制度だけ変わって1人1人の意識・行動が変わらないような取り組みではなく、「私(I)」が主役となって、自分自身の働く価値の向上や人生の充実を求めて、自ら進めていく改革であるという考え方です。 こうした活動を「私の働き方改革」と名付けました。英語にすると、“Work style Innovation of Myself for Myself by Myself”(私による、私のための、私の働き方の改革)でしょうか。働き方改革は、最近流行りのDX(Digital Transformation)になぞらえて、WX(Work style Transformation) と表現しても良いかもしれません。「私の働き方改革」なので、My WXですね。
    ただし、私の働き方改革(My WX)という名称ではあるものの、「個人任せ」「個人主義」ではないという点は強調しておきたいと思います。 私の働き方改革(My WX)は、経営、管理職、従業員それぞれの層が個人としてできる範囲もあれば、自分自身だけでは実現困難なことについては、上位階層や周囲にも働きかけて改革を要請・推進すること、つまり「働きかけ改革」も重要であると考えます。 自らの生産性を高めてより充実した働き方・生き方になるために、自分自身や周囲に働きかけ、自分自身のやる事・やり方・やる力を変えていく活動が、私の働き方改革です。
    さて、ここからは、そのケーススタディと言ってはおこがましいかもしれませんが、私自身の40年ちょっとの半生における「私の働き方改革(My WX)」を振り返ってみたいと思います。 ただし、単なる「坂本の自分史」でページを費やしたいわけではありません。 自分の半生を「ケース」として客観視しながら、私が人生で直面した状況とそこでの思考・判断を振り返りながら、「個人として、私の働き方改革(My WX)を進める上で必要な視点や行動とは何か?」という問いへの答えやヒントを探ろうと思います。
    また、私の仕事は組織が働き方改革を推進することを支援するアドバイザーとなることです。よって、この連載の中でも、「組織的な働き方改革推進」という視点でもその成功の鍵を考察し、提言をしたいと考えています。 とはいえ、前述の通り「組織が個人に押し付ける形の“働かせ方改革”」では意味がありません。組織を構成する経営・管理職・従業員1人1人が「私の働き方改革(My WX)」に目を向けて行動してこそ、組織の働き方改革は成功すると信じています。 そこで、私自身の「私の働き方改革史」を振り返りつつ、私の所属する組織、つまりコクヨという会社の経営・制度・風土・同僚・上司といった要素が私にどういった影響を与え、私の働き方改革を後押ししてくれたのかも振り返りたいと思います。それによって、「私の働き方改革(My WX)」に求められる個の力だけでなく、「組織を構成する1人1人がMy WXに取り組んでもらうために、組織はどういった後押しをするべきか?」という考察につなげたいと思います。 やけに長くて、かつ手前味噌な自分語りが多くなると思われますが、上記の通り、私の働き方改革を推進する上での、個人の力と、組織の後押しの2つの視点でのヒントにつながるいくつかのケーススタディとして楽しんでいただければ幸いです。
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  • 坂本崇博(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第3回 働き方改革って何ですか?

    2020-02-20 07:00  
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    会社員としての自分自身の人生の充実のため、10年以上前から自発的に「働き方改革」の実践と普及活動を開始した「働き方改革アドバイザー」こと坂本崇博さん。今回は世に蔓延するお上任せの「コレジャナイ働き方改革」への違和感から、坂本さんがいかにして労働者個々人にとっての「私の働き方改革」を見出していったのかの思考プロセスの核心が語られます。
    「私の働き方改革」とは
     日本を挙げた「コレジャナイ働き方改革」がどんどん広がる様子を、私はただ傍観しているわけにはいきませんでした。「私の働き方改革」を掲げるものとして、このヘンなブームに正面からぶち当たることは必然でした。そしてぶち当たってみて、改めて「私の働き方改革」について考える機会が得られたことは、私にとっては良い機会であり、幸いでした。
     私にとっての働き方改革とは、無理やり早く帰らされたり、制度が変わったり、オフィス環境が変わることではありません。ひょっとするとこれらは「働かせ方改革」と呼べるものかもしれません。  そう言えば2017年ごろ、「働き方改革より先に、働かせ方改革をすべきだ。」という論調もありました。しかしこの論調は私から言わせれば「何を今さら」なのです。 前述の通り、日本企業はこれまでは「働かせ方改革」一辺倒でした。OA、ICT、制度改革などなど、会社側は色々な環境改革を行い、従業員の仕事内容、仕事方法を変えてきました。その流れに浸かった多くの働き手は、「働き方というのは、自分で変えるものではなく、上が変えるべきもの。」という固定概念を抱くようになったのかもしれません。
     以前は環境が変われば仕事が変わりました。もしくはそれら環境を使わないと仕事が進まないので、変わることは必然でした。 労働者は自らの働き方を自分で変えられるという意識は薄れ、次第にマニュアル化・標準化された仕事をこなすようになり、上司も、決められたプロセスで決まった仕事をすることを管理する「現状維持管理人」になっていきました。
     しかし、今の時代、「自分たちで自分たちの働き方を変える」ことに着目することが必要だと感じています。  つまり、私にとっての働き方改革とは、1人1人が、「〇〇のため、自分の働き方をもっと良くしたい」というパッションのもと、自らが改革者となって自身や周囲「やる事・やり方・やる力」を変えていく(生産性を高めていく)活動です。 言うなれば「私の働き方改革」です。会社の働き方改革ではなくて。
     これは「働き方改革は自己責任。文句言っていないで1人1人がんばれ!」という精神論的な話や、経営責任放棄の話ではありません。私はそうした「社畜的な考え」は大嫌いです。 「自分で自分の働き方を変える」というのは、部下への押し付けではありません。経営も管理職も従業員も、それぞれが自分自身でできる改革をして生産性を高める活動をするべきだし、自分自身でどうしようもないことについては、上の階層など然るべき部署・担当・経営層に働きかけるべきだと考えます。
     つまり、「自分や組織がより充実することに時間を振り向けられるようになるために、各自が自分の職制に沿って自分や周囲へ働きかけ、生産性を高めていく活動」が働き方改革なのです。

    【新刊】宇野常寛の新著『遅いインターネット』2月20日発売!

    インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げた一方、その弊害がさまざまな場面で現出しています。世界の分断、排外主義の台頭、そしてポピュリズムによる民主主義の暴走は、「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例といえます。インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには今何が必要なのか、提言します。
    宇野常寛 遅いインターネット(NewsPicks Book) 幻冬舎 1760円

     
  • 坂本崇博(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第2回「働き方改革、やめませんか?」

    2020-01-08 07:00  
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    誰に言われるともなく、会社員としての自分自身の人生の充実のため、10年以上前から自発的に「働き方改革」の実践と普及活動を開始した坂本崇博さん。近年は国のレベルでも関連法が制定され、トップダウン式のブームも始まりましたが、その実効性には様々な問題があります。今回は坂本さんの視点から、現状の働き方ブームがはらむ問題点を明らかにしていきます。
    コレジャナイ、働き方改革
     2017年に、「公称働き方改革アドバイザー」として地元関西から出てきて、「働き方といえば坂本」になるべく、働き方改革ブーム最前線の東京で日本の働き方改革を後押しすべく活動しようと息巻いていた私なのですが、どうもしっくりきませんでした。
     多くの企業から働き方改革についてのご相談を受けたり、働き方改革のニュースを目にする都度、次第に「これって働き方改革なのか?」と感じるようになりました。それどころか、「働き方改革が間違った方向に進もうとしている」 という印象を抱くようになっていきました。
     「私にとっての働き方改革は、コレジャナイ」と。
     当時、日本では、「働き方改革関連法」が制定されようというところでした(施工は2019年4月からですが)。その法案の主な内容は、①時間外労働の上限規制(基本45時間/月、例外でも複数月平均80時間以内)、②年休取得の必須化(最低5日)、③正規・非正規従業員の不合理な待遇差の禁止 です。 先立って2016年には政府にて「働き方改革実現推進室」が発足。「一億総活躍、長時間労働からの脱却と生産性向上の両立」をキーワードに、様々な会議や検討を重ねられていきました。
     2015年に発生した痛ましい過労死問題や、日本中にはびこるサービス残業問題、過重労働問題、非正規雇用労働者との待遇格差問題が世論として噴出し始めたこともあり、こうした「国策としての働き方改革」において、まずは「残業削減」が喫緊のテーマとなったことは、やむを得なかったと思います。
     また、時を同じくして、2016年には女性活躍推進法が実施され、「ダイバーシティ」というキーワードに注目が集まるようになりました。企業は育児休暇制度や在宅勤務制度を導入することが求められるようになり、女性管理職の登用人数目標なども定められるようになります。 それと合わせて、「男性も女性も等しく仕事だけでなく家庭にも時間を使おう」というワークライフバランスの視点から、長時間労働の是正が大きな課題となりはじめました。
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  • 【新連載】坂本崇博(意識が高くない僕たちのための)ゼロからはじめる働き方改革 第1回「働き方改革、いりませんか?」

    2019-12-17 07:00  
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    今月から、大手文具メーカー・コクヨに勤めながら「働き方改革アドバイザー」として活躍する坂本崇博さんの新連載がスタートします。時代のトレンドワードになるはるか以前から、独自の「働き方改革」を提唱してきた坂本さん。スローガン先行のブームとは一線を画す、ほんとうに自分自身が幸福になるための働き方の極意を、ゼロから語り伝えていきます。
    はじめに
     10年くらい前のことです。まだ日本では「働き方改革」という言葉は浸透していなかった時代のこと。コクヨという会社のいち営業マンだった私は、あるきっかけから自分で、自主的に「働き方改革」をはじめました。会社の命令があったわけでも、行政の指導があったわけでもありません。あくまで私が私の仕事と生活とを充実させるために、勝手に始めたことです。それが、どういうわけか会社や仕事仲間たちから評価を受けてしまい、いまではでコンサルティングアドバイザーを名乗り、さまざまな企業から対価をいただいて助言を提供する仕事を行うようになりました。
     あれから10年、いま日本では「働き方改革」がすっかりブームです。私の仕事も、そんな世の中の流れの中で注目されるようになってきたのですが、正直言ってここ数年の「働き方改革」ブームには少なからず「違和感」があります。
     たとえば、夜になるとオフィスが消灯され、中途半端に仕事を切り上げた社員らが駅に向かってどんよりした表情で列を成していたり。オフィスをかっこよくフリーアドレスにしてみたはいいけれど、毎日同じ席に座って「何が変わったんだ?」と首を傾げたり。会議をペーパーレスにして配布資料をゼロにしたところ、部長クラスから「情報が頭に入ってこない」と不評で、部長にだけは紙資料が配布されるようになったり。
     こうした昨今の日本の「働き方改革」に対して、10年前から自分なりに「働き方改革」に向き合い、実践してきた人間としてこの連載ではじっくりとその「本質」について向かい合い、深掘りしていきたいと考えています。
     とはいえ、私は働き方改革を否定しているわけではありません。今日本を騒がせている「働き方改革」に必要なのは、現場で起きている問題をいったん批判的に眺めつつも、しかしそれでいて「働き方改革なんてくだらない国策である」と否定し目と耳を塞ぐことなく、よい「働き方」とは何か、そのために必要な「改革」とは何かをゼロから考える姿勢であると考えています。すなわち、働き方改革ブームを再構築したい、つまり「働き方改革を改革」したいのです。
     私の考えでは「働き方改革」とは国や会社が強制的に進めるものではなく、ランニングやスポーツ観戦、映画鑑賞、フィギュア収集など、私たちが一生をより楽しく過ごす上で欠かせない「人生充実アクティビティ」の1つです。なので「私の」働き方改革という視点を大事にしたいと思います。そして私自身の経験やそこから得られた視点をベースに考えていきたいと思います。「働き方改革」の担い手は国でも会社でもなく、私たちひとりひとりなのです。
     この連載を通じて、皆様にとって、働き方改革もしくは生き方改革がもっと身近になり、今の仕事に加えてやってみたい「志事(しごと)」として加わって、結果として、人生をもっと謳歌するきっかけにつながれば幸甚です。
    自称「働き方改革アドバイザー 坂本」
     そのようなわけで私は、10年くらい前から「きっと日本じゅうで働き方改革(オフィスワーカーの生産性向上)は流行る」と思い込み、コクヨという事務用品メーカーで営業や新規事業開発の仕事をしながら、「働き方改革アドバイザー」と勝手に名乗りはじめました。
     なぜなら、新入りサラリーマンの私にとって、日本の企業戦士らの「働き方」は、大いに改革余地があるように映ったからです。
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  • 【インタビュー】坂本崇博「〈仕組み〉に乗っかり〈仕方〉を変える」後編(PLANETSアーカイブス)

    2019-11-29 07:00  
    550pt

    今朝のPLANETSアーカイブスは、コクヨの社員として「働き方改革」をコンサルティングしている坂本崇博さんのインタビューの後編です。日本の企業の「働き方」を変えるためのさまざまな試みや、45歳での「社会的な死」と、その先にある第二の人生。さらに、実践的な「働き方改革」の方法、今あるリソースをフル活用する発想について伺いました。(構成:鈴木靖子)※この記事の前編はこちら。
    別の世界への想像力が自立を促す
    宇野 組織は変えられなくても、自分の「働き方改革」を始めようと考えている人は多いと思います。彼らに対するアドバイスや、上手くいくコツみたいなものはありますか? 
    坂本 基本的には、何でも試してみる精神が大事です。最初から成功させようと思うと萎縮するし、失敗したときはヘコみます。でも、お試しだと思えば、「このやり方では上手くできないという検証結果を発見できた」となる。つまり、失敗ではなくなるのです。  あとは、あまり大きなことから始めない。0から1はそう簡単に生み出せないので、ほかの人がやっていることを取り入れるところから始める。ただし、その中に少しだけ自分のエッセンスを加えるんです。例えば、私は会議や営業ノウハウ本を読んで、少し批判的に捉えて、その本を反面教師に「自分だったらこうする」という一人壁打ちをしています。だから、まず一度は本を読め、セミナーを聴きに行けという話でもありますが、その時常に「自分ならどう話すか、どうやるか」の視点で半分批判的に、つまりアウトプットを想定しながらインプットをすることが大事だと思います。
    宇野 お上は「働き方改革だ!」と旗を振っていますが、それに対して「実態とはかけ離れている」という現場からの批判の声もあります。そこについてはどうお考えですか?
    坂本 「今、流行っているから、とりあえず早く帰れ」というのは改革ではなくて「横並び」であり、それでは従来の働き方と同じです。現状の改革は、全てを一律的に解決しようとしていて、それを受けた従業員の働き方も一律的になってしまう。従業員一人ひとりに、もっと個性を持って動いて欲しいんです。個性を前面に出すことを好まない日本の文化の影響もあると思いますが……。  なぜ、私がそんなことを考えるようになったのかといえば、多分オタクだからです。これまで触れてきた虚構の数が違います。日本の現実社会にはない多様な個性や歴史、思想に触れてきました。現実とは違う世界に自分を置いたり、そのことで自分を客観視してきた経験がある。だから私は、日本人は全員オタクになればいいと思っているんです。どれだけ虚構に触れてきたか、子供の頃にそういう精神世界を持っていたかで、自分自身を確立できるかどうかが、ずいぶん違ってくる。
    宇野 この現実とは別の世界があると思えるか、思えないかですよね。
    坂本 最近「東京イノベーターズ」という異業種交流会を立ち上げたんです。企業内のイノベーターは独立してしまう人が多いんですが、大きな企業に所属しながら頑張っている人もいる。そういう人たちを集めて、「シリアル・イノベーターはなぜ育つのか」を考えていこうという会です。
     実際に社内で改革・新事業創造を進めたことのある10名ほどのメンバーがいて、定期的に「どんな環境でどんな経験をすればイノベーターは育つのか」をテーマにだべっています。面白いことに、メンバーの経歴を聞いてみると、大手メーカー勤務者の場合、6〜7割が労働組合の役員経験者なんですよ。大企業だと一般社員が会社経営に関わるシーンはほとんどありませんが、労働組合の役員になると労使協議会に呼ばれるので、若くても経営陣と話ができる。数字を見せられて会社の経営状態や他部署の状況を知ったり、組合というコミュニティに参加することで、自分の世界はひとつではないことを知る。そういう経験が何かを芽吹かせるんだと思います。  あと、3割の人が何らかの形で死を意識した経験があるんです。地震とか事故とかで。そういう人たちには「人生はめっけもの」「生きてさえいれば何でもできる」「生きているうちに何かやりたい」という感覚があるので、大胆にリスクを取れるのかもしれません。
    宇野 労働組合の役員経験というのは面白いですね。今の労働組合は形骸化していて、昔のようなバリバリの左翼はほとんど残っていませんよね。少額だけど手当が出るとか、たまたまバトンが回ってきたとか、その程度の動機で参加する人が多い。しかし、その機会が、結果的にライフスタイルデザインを自覚的に考えることを促しているわけですね。  今、30代以下の都心のホワイトカラーは、発想や考え方の面では新しいソフトウェアに更新されている人が多い。しかし、会社組織や官僚機構、社会的インフラといったハードウェアは古いままです。そして、彼らはスペック的には優秀であるにも関わらず、なかなか能力を発揮できずにくすぶっている。それは特に大企業に多い印象があって、彼らの中から「自分が変わろう」という人たちがたくさん出てくると面白くなると思います。
    坂本 宇野さんがおっしゃるように、仕組みはそう簡単には変わらないんです。長年の苦労によって、すぐには変化しない構造が作られてきたわけで、簡単に変わるようなら仕組みとはいえない。それは回り続ける巨大な鉄球のようなものです。だったら、その鉄球に乗っかってうまくコントロールすればいい。私の働き方改革のポイントは「今、動いている仕組みに乗っかりなさい」ということです。乗っかるほうが、起動するためのパワーがいらない分、効率的なんですよ。
    宇野 坂本さんは徹底的にハックの思想ですよね。一方で、坂本さんたちの活動の最大の障害、働き方改革の一番の論点は、比喩的に言うと「会社に長く残っていたい人たち」がいることでしょう。会議とは名ばかりの取引先の悪口大会に時間を費やして、生産性は上がらないし問題は1ミリも解決していないんだけど、なんとなく絆が深まった気がする。そういった不毛な時間の使い方が好きな人たちが、この国には多い。これは、正しさの問題ではなくて欲望の問題なので、ここを変えることは難しいと思うんです。
    坂本 まさにそうで、会社に社会を求め過ぎているんですよ。取引先の愚痴なんて、居酒屋で町内会の人たちとしていればいいのに、そういったコミュニティを持っていないから、会社内でやらざるを得ないんです。会社という仕事の場なのに「私事」の部分が多いんだと思います。見方によってはワークとライフの融合と言えるのかもしれませんが、それが今は悪い方に働いていますよね。要は、サラリーマンの「生き様」をもう少し変えないといけないということです。
    45歳の「社会的な死」で第二の人生を生きる
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  • 【インタビュー】坂本崇博 〈仕組み〉に乗っかり〈仕方〉を変える 前編(PLANETSアーカイブス)

    2019-11-22 07:00  
    550pt

    今朝のPLANETSアーカイブスは、老舗の文具・オフィス家具メーカー・コクヨの社員として、企業や自治体・学校などに「働き方改革」をコンサルティングしている坂本崇博さんのインタビューです。なぜ、一企業の社員が「働き方改革」に取り組むことになったのか。前編では、入社2年目にして新たな営業手法にチャレンジし、自身の残業時間を削減しながら営業成績もアップさせたという、坂本さんの「自分の働き方改革」についてお話を伺いしました。(構成:鈴木靖子)※本記事は2018年2月15日に配信した記事の再配信です。
    自分の働き方を改革した理由
    宇野 坂本さんは、所属されているコクヨ社内における働き方改革をはじめ、数多くの企業の「働き方改革」のコンサルティングを手がけられているわけですが、その「働き方改革」をはじめるきっかけがものすごくユニークだと思います。  まずはいち営業マンだったご自身の「働き方」を改革して、そのノウハウを応用して「働き方改革」のコンサルをするようになった、という経緯について改めてお伺いしたいのですが……。
    坂本 私がコクヨに入社したのは2001年です。コクヨを選んだ理由は、出身である関西から離れたくない、そして誰もが知っている会社で働くことで家族を安心させたいという点でした。そこで本社が大阪にあって、祖母と母が知っていそうな会社を中心にエントリーしていきました。しかも、「ご縁」を大事にしたいので、自分の生活で何か「恩」がある会社に入ると決めていた。そういう意味では、あまり「何をするか」については深い考えがない、「どの会社に入るか」というよくありがちな「就職」ではなく「就社」を目指している就活生でしたね。  まず面接に行ったのは東大阪の某食品メーカーでしたが、就活を始めたばかりの時期だったこともあって、面接では「就活性らしいきれいごと」ばかり並べてしまい、自分の想いや本音を何も話せずに落ちました。それで半分やさぐれて「この際、言いたいこと全部言おう」と心に決めました。そして、次に受けたのがコクヨだったんです。コクヨには「ロングランデスク」からキャンパスノート、さらには就活の履歴書までお世話になっていましたから、恩返しにはもってこいですし。そして当日、グループディスカッション形式だったのですが、何しろやさぐれているものですから、本音丸出しで好き放題に喋りまくって(笑)、「私 対 残りのメンバー」という構図が出来上がって、でも最後にまとめの発表を求められたときに私がすっと手を挙げて、さっきまで敵対していた他の人たちの意見をまとめて「今回の議論の結論はこうです!」と述べてドヤ顔してたら、その日のうちに連絡があり「内定」と言ってもらえて。これでますますコクヨに「恩」を感じるようになって、「コクヨで何か新しいことをやってコクヨの次なる成長に貢献してやろう」という気持ちになったんです。 当時のコクヨは、新たにオフィス通販事業をいくつか立ち上げていたタイミングでした。私の最初の仕事はそこでの営業でした。文具・オフィス家具のコクヨとしては、これまでのお客様からのリピートも多く、そのジャンルでのブランドも確立されていましたが、通販、つまりお客様にとっては「購買システム」をご提案して導入いただくという新しい事業ですので、営業のメインは新規開拓になります。そうすると、効率的にお客様にリーチし、価値を訴求しなければならない。そこでひらめいたのが「会いに行く営業」から「来てもらう営業」への働き方改革です。新規開拓の場合、いかに多くのお客様にリーチして価値訴求できるかが営業にとって勝負になるので、営業は必死に会う数を増やそうとしますが、1日に会えてもせいぜい4〜5人です。もちろん一度お会いするだけでは話は進みませんので、検討の俎上にあがるまで何度も通うことになります。すると、日中の時間は「お客様にお会いするための外出」に全て使ってしまい、事務処理や見積もり作業、ミーティングは残業時間でやることが普通になるわけです。この働き方を皆横並びでやっている以上、残業は減りませんし、他社との価値(生産高)の差は「活動量」の差ということになってしまい、生産性で差別化ができていないと感じていました。なにより、家の面倒も見られないし、撮り溜めている大好きなアニメも観られません(笑)。そこで、「逆にお客様に来ていただくことができたら、倍の人と会えるようになるんじゃないか?」と、セミナー形式でお客さまに来てもらうという営業スタイルを始めてみたんです。
    宇野 そのセミナーはどういう内容だったんですか? 
    坂本 当時のお客様は、会社の消耗品を購入する総務部や購買部の方だったんですが、消耗品というのは品種は多いし頻繁に補充が必要になるので、とりまとめ発注や経費実績管理などの手間が大変なんです。そこで会社として発注先や価格を一元管理できて、実績もデータ化できる購買システムを導入して、ユーザーが各自で発注する仕組みにすれば、大幅な時間短縮と厳密な購買管理の両立ができる。そういった説明を、消耗品購買業務改革セミナーといった形で提案させていただきました。購買業務の働き方改革です。
    宇野 自分の働き方改革を行うことで、定時に帰れるように仕事をハックしたんですね。 それで営業成績は上がったんですか?
    坂本 上がりました。時間も効率化できて、フレックスを活用して16時頃に帰ったりとか。朝のうちに漫画を読みふけってから出社したりもしていました。『最終兵器彼女』を号泣しながら一気に読んだ後で営業に行って、お客様から「何泣いてんの?」って言われたり(笑)。もちろん勉強もしました。セミナーでのプレゼン手法とかロジカルシンキングとか、大学のときもっと勉強しておけばよかったと後悔しながら。仕事に関する勉強をするなら仕事時間に会社が負担してやるべきだという方もいるかもれませんが、私にとっては余暇です。
     私のポリシーは、人とは違ったやり方をすることです。  たとえば、新入社員だった15年前に、個人のパソコンを会社に持ち込んで業務をしようとしました。今流行しつつあるBYOD(Bring your own device)ですね。もちろん怒られましたけど(笑)。じゃあPCの性能あげてくれと交渉材料にしました。
    宇野 15年前の時点でBYODは、かなり早いですね。
    坂本 あとは駅前や公園でプレゼンの練習をしたりもしましたね。ギターもって歌うのではなく、スーツ着てプレゼンするんです。TEDみたい。一応、足元に空き缶をおいて(笑)実はもともとはプレゼンは大の苦手で、人前に立つと震えが止まらない人間だったのですが、数をこなす中で、次第に余裕もでてきて、人に受けるプレゼンとはどういうものかを考えながら演じるようになっていきました。  ちょっと集団からはぐれたことをやって、それで空いた時間を、自分の好きなことに使うのが大好きだったんです。 と、いうかたちで「自分の営業活動の働き方改革」をやったわけですが、私個人の動機はというと、単に早く家に帰りたかったんです。家に帰って好きなアニメを見たかった。また、中二病なもので、誰もやっていない方法で何かをやって、「変わり者扱いをされる」ことが好きなんですね。小学生のころは毎日通学路を変えて探検しながら、たまに道に迷って遅刻したり、怪我もしていないのに腕に包帯巻いてみたり、黒歴史も豊富です(笑)。
    宇野 そういった自由なスタイルで仕事をすることに対して、同僚や上司からの反発はなかったんですか? 
    坂本 何よりありがたいことに、当時は入社して2年目でしたが、上司や先輩に「これをやりたい」と言うと「やってみれば?」という人たちだったんですよね。ある意味放任主義というか、営業も数回背中を見せてあとは「一人で行ってこい」みたいな。だから、自分なりのやり方がやりやすかった。逆に上司がメンターのような形で常に側にいたら、「こうやるんだよ」と教えられてその通りにやっていたでしょうし、新しいやり方を試すヒマがなかったと思います。そして、最初はセミナーを開催しても、なかなか人が来てくれませんでしたが、何人かの先輩営業が「これは面白い」と一緒にお客さんを呼んでくれて、だんだん大きくなっていきました。
    ビジネスモデルの提案から働き方改革の事業へ
    宇野 そこから、どうやって働き方改革のコンサル事業が生まれたのでしょうか?
    坂本 その後、大阪本社から東京の新規事業開発の部署に異動になりました。そこで企画して立上げたのが「ナレッジワークサポートサービス」というサービスです。これは、私自身の資料づくりへのこだわりがベースにあります。プレゼン資料や提案書の質は受注率を直接的に左右します。そのため、考え抜いて作り上げたノウハウを持っていたんですが、そのノウハウをお客様にご提供しようと思いついたんです。まずは私自身がコンサルとして、勝てる提案書作りを請け負ったりアドバイスすることをはじめ、さらにそのノウハウをマニュアル化していきました。そしてそのマニュアルをベースに人を育成し、私自身ではなく、コンシェルジュと呼ばれるメンバーがお客様のオフィスに常駐して資料作成をサポートするアウトソーシングサービスに展開していきます。これはウケましたね。社内にスタッフが常駐して、資料作成の他、いろんなことを請け負う・サポートするというビジネスで、今ではコクヨアンドパートナーズという会社になって、他にも色んなアウトソーシングメニューを拡充して、企業の残業削減や業務品質向上にお力添えができています。
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