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記事 32件
  • 「国家安全法」と香港のいま|周庭

    2020-06-23 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。香港の民主主義を大きく揺るがす「国家安全法」はなにが問題なのか。現地からアグネスさんが語ります。(翻訳:伯川星矢)
    周庭 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記第35回「国家安全法」と香港のいま
    私はここ数年のメディアインタビューでいつもこう言っています、香港の「一国二制度」はすでに「一国1.5制度」になっていると。けれど、最近の出来事を振り返り、私はまた別の表現を使うことにしました。香港のミニ憲法《基本法》に記載されている「一国二制度」は、完全に「一国一制度」に成り果てたのです。

    もし皆さんが直近のニュースをご覧になっていたら、中国本土の中央政府が議会のプロセスと一国二制度の取り決めを無視し、香港で《国家安全法》の立法を強行しようとしたことをご存知だと思います。本来中国と香港の関係は「一国二制度」であり、香港は中華人民共和国の一部でありながら、中国とは異なる経済・政治制度を実行してきたのです。香港には独自の行政、司法と立法の制度があり、自らの裁判所、立法会(国会)と政府を持っています。《基本法》(1997年返還時に中国が香港市民に行った約束)に基づき、中央政府は香港の内部行政に干渉しないことになっているはずです。でもここ数年、私たちは中央政府が政治と経済面で香港へ干渉、コンロトールしようとしていることを知っています。このような行いは香港市民の不満と怒りを募りました。
    例えば数年前、中国の全国人民代表大会(全人代)の「決定」が強行され、香港の行政長官選挙の選出方法を直接制限される出来事がありました。たとえ一人一票の普通選挙を行っても、候補者自体が中央政府の思い通りになる選挙制度となってしまったのです。最終的にこの「決定」がきっかけで、普通選挙と民主主義を求める香港人が立ち上がり、のちの雨傘運動へと繋がりました。

    しかし、今回の国家安全法は過去に経験した「干渉」に比べても、別格と言えるものです。一国二制度を完全破壊するのみではなく、国際金融センターとしての優位性や地位をも、跡形もなく消し去ってしまうのです。
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  • 桜咲く香港と、新型コロナウイルスとの戦い | 周庭

    2020-05-12 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。桜の季節を迎える香港でも、新型コロナウイルスとの戦いは続いています。そんななか周さんは、WHOの対応に関して疑問を呈します。(翻訳:伯川星矢)
    周庭 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記第34回 桜咲く香港と、新型コロナウイルスとの戦い
    春。桜の季節。
    今年はゆっくり花見ができない年になってしまいました。皆さんも私も、今回の新型コロナウイルスの流行で焦燥と不安に満ちていることでしょう。香港と日本は同じく、いろいろな業種がこのウイルスの影響によって休業に追い込まれ、学校も休校になっています。無症状の感染者も存在するとされており、自分も実は感染者ではないかと、街の人々が怯えています。
    私もよくこう聞かれます、「怖いか?」と。それはもちろん怖いです。
    なぜなら、多くの国々で証明されてしまったとおり、若いから安全ということは一切ありません。ウイルスに感染した若者で、重症化した例もたくさんあります。たとえば海外では、重症化したスポーツ選手もいました。もちろん免疫力を高めることは重要ですが、感染力が極めて強く、詳細が解明されていないこの未知のウイルスの前では、誰もが感染者になりえます。今はただ人との接触を減らし、清潔を保ち、消毒をする以外に打つ手はないです。このウイルスの前では、人間は誰もが脆く弱い存在なのです。
    ▲最近は、仲間たちとYouTubeの撮影も行っています。
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  • 【特別寄稿】「香港雨傘運動——リトル・ピープルの宴会にようこそ」/香港中文大学講師・張彧暋【PLANETSアーカイブス】

    2020-04-17 07:00  
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    今朝のPLANETSアーカイブスは、香港中文大学講師で社会学者の張彧暋(チョー・イクマン)さんの寄稿を掲載します。2014年9月に行われた「雨傘運動」と呼ばれる、香港の普通選挙を求める抗議運動を、張さん自身のリアルタイムの体験とオタクならではの喩えをまじえつつ、メディア論と社会学の観点から徹底解説します。※本記事は2014年11月7日に配信した記事の再配信です。


     
    ▼関連記事
    ・東アジアのネット受容を探る――社会学者・張彧暋に「香港的インターネット」事情を聞いてみた
    ・2020年、押し寄せる大量の中国人観光客にどう対応するか? 6年後の東京に迫られる課題 ――社会学者・張彧暋(チョー・イクマン)インタビュー
     
    ▼関連動画
    ・香港の社会学者・張彧暋(チョー・イクマン)が現地から語る「雨傘革命」の現在(2014年10月6日放送)
    ・香港の社会学者・張イクマンが現地から日本のアニメに例えて語る「雨傘革命」、その後(2014年10月21日放送)※日本の各メディアでは、このたびの香港でのデモ運動を「雨傘革命」「傘の革命」と呼ぶケースが多いですが、本記事では張イクマンさんの現地の感覚をそのままお伝えして「雨傘運動」と表記いたします。

    ──平和を愛する香港市民たちが、87発の催涙弾を打たれた。そして、ビッグ・ブラザーがガタガタと壊死していくのを、目の前で目撃した──
    9月28日。マスクをつけ、七色の折り畳み傘を持った無数のリトル・ピープルたちが、蜂起した。日曜日だから、彼らは多分お昼ぐらいまで寝ていて、起きぬけの午後1時半に、警察が学生に暴行したことを新聞で読み、ニュースで発表された警察による脅迫的な声明の中継を見て、びっくりしたことだろう。それから、ゆっくりランチを食べ、午後3時ごろに、オクトパスカード(※日本のSuicaやPiTaPaのような、多くの交通機関で使える共通のカード)で地下鉄に乗り、学生たちを助け、支援するために香港政府本部の近くに殺到した。催涙スプレー(胡椒成分で作られたペッパースプレー)は怖いから、みんな予めキッチンでラップを、シャワー室でタオルを拾い、折り畳み傘を準備した(警察が「長い傘は武器と見なす」と言ったからだ)。どれも日常生活用品だ。やる気のある人は、レインコート、水、医薬品なども用意した。もちろん、スマートフォンで数人の友人たちにLINEやFacebookで連絡してから、である。
    そして3時半を過ぎると、人が多くなりすぎて、政府本部の前の高速道路に溢れ始めた。ちょうどその頃、筆者も起きたところで、LIVE中継で行政長官(※香港の首長は行政長官であり、首相や知事のような存在にあたる)の記者会見をみた。まったくの無駄話だったせいか、ニュースは10分の後に、そのうんざりした顔は飛ばされ、LIVE画面は道路に人が溢れているシーンに移った。めでたしめでたし。
     

    ▲催涙弾の初日、リトル・ピープルの勇戦(ニュース)
     

     
    人がゴミのようだ。
    警察の鉄壁の防御を前に、インチキな卵たち(※この表現は村上春樹のエルサレム賞受賞時のスピーチに由来している。ここで村上は体制を「壁」、抵抗する民衆を「卵」に例えた)は勝てる気がしない……はずだった。警察は防御線から一方的に催涙スプレーを射撃した。それはあたかも、『銀河英雄伝説』の大艦隊のシーンのようだった。七色に彩られた平和主義者のリトル・ピープルたちは、傘とマスクとラップを装備し、多少の痛みを耐えながら、顔面にスプレーを受けた。
    そろそろ午後6時になろうとしていたとき。なんと、催涙弾が発射された。香港のお茶の間の前に、みな一緒に汚い広東語の言葉を発しただろう(※香港での日用語は広東語)。逃げ回る七色の傘を持った小人たち。ちょうど各テレビ局のニュースタイムに、ハリウッド映画の迫力シーンにも負けないスペクタクルな中継が行なわれていた。(政府の対応のタイミングの悪さはもはや定番となっている。同じミスは延々と2週間以上に続いている。まったく懲りていない。)
    散ったはずのリトル・ピープルは、夜になってもずっと現場近くをうろうろして回っていた。マックで休憩して、同じ「島宇宙」(※これは宮台真司の言葉で、同じ趣味や価値観を持ったものだけの小さなコミュニティのこと)の友達と話して、Facebookのリアルタイム情報を見てから、なんとまた鉄壁の前に戻った(えぇ!?)。
     

    ▲当日、無限に湧いてくる絶対平和主義者のリトル・ピープル。恐ろしい(無数の坂田銀時が増殖している)。特に28:00から。夜7時のニュース現場中継。

    今度は私も、友人のリトル・フォー(小四)さんらと連れ立って5人一緒に、半分ゲーム感覚で、地下鉄に乗り駅を出てから補給駅で防具を貰い、戦場に行った。
    「壁と卵」の有名な比喩を使った村上春樹も愕然とすることだろう。壁に面した卵は、別に自分が壁にぶつかって犠牲になるわけでもなく、蹂躙され無駄に死ぬ覚悟もなく、卵は単に自分の命を守りながら、命懸けでも、あくまで「100%平和」的なやり方で戦う。精神論的に革命を唱えるのでもなく、ネットでリアルタイムの情報を拾っているだけ。「民主」という理想に尽くしながらも、ゲーム的な遊び精神半分、やる気満々で、自分たちの合理な判断で、香港の市街地で「安全な遊撃戦」を4週間以上も続けている。撤退を繰り返しながらも、またどこかから沸いてくる。まるで『人類は衰退しました』で描かれた妖精のようだ――奇跡も混乱も起こしながら、絶対に自分の命を守り、命に関わる暴力が振るわれれたら即退散する。或いは、果敢で暴力の前に怯えずに立っている。
     

     

    ▲当日のニュース詰め合わせ。画面だけでも楽しめるはず。初日はハリウッド映画級大製作。実は夜11時ごろは、銃撃の警告を受けてまじでびびり……ながらも、占領はすでに他の中心部に絶賛拡散中。馬鹿じゃないの? 香港政府と警察は。ちなみに、この日からみんな催涙弾に適応した。スタートレックのボーグのように。
    銀時とスネークの香港人――隠れていても、催涙弾を浴びても、ビデオだけは忘れずに
    香港人はまるで『銀魂』の主人公・坂田銀時そのものだ。リトル・ピープルたちは100%平和(暴力が大嫌いで、インチキな妖精たち)と愛(自己を守るエゴイストで、フレキシビリティのあるエコノミック・アニマル)を信じ、ユーモアのセンスにあふれ、精神論的な革命を信じないようだ。気楽に友人と遊んでいて、万事(よろず)屋=市場万能主義者の香港人は、普段は政治に無関心に見えるが、なぜか時にハリウッド映画の小さなヒーローのようにもなれるのだ。
     


    ▲ビック・ブラザーの暴走:逃げる卵も許されない。そのおじさんは、まるで少林サッカーに出そうなとりかかったヒーロー。まだ警察を説得するぜ。英字幕つき。

     
    または、雨傘運動の参加者はみんな『メタルギア・ソリッド』の主人公・スネークそのもの。絶対に戦わず、NO KILLで、隠れて無線情報を見ながら、いたずらしながら、ユーモアのセンスも忘れずに、カメラで写真とビデオを撮りながら、次々と不可能なミッションを達成している。ただ、香港人のアイテムはダンボールではなく、折り畳み傘だ(これは、絶対平和主義のシンボルである)。
    両者の共通点は「ユーモアのセンス」、そして隠し持っている「燃えたぎる熱血」。戦場でも、パロディー精神を忘れるな。後で振り返ると、この運動は、ずっとこの香港的なユーモアによって支えられてきた。そして、N次創作によるパロディと、ネットを象徴する流通性・フレキシビリティによって、政治とマスコミによって作られた現実をハッキングした。
    そう、キーワードは、スマートフォンとネット。
    情報社会とは何か:香港版
    みな手を上げ(スマートフォンもしっかり握っているが)、降参しながら「ビッグ・ブラザー」たる警察に圧迫をかけた。この現場を目撃していたのは、マスメディアだけではなく、携帯電話のカメラたちであった。無数のスマートフォンを通じ、画像とビデオがネットに拡散していった。
    誰でも、この情報化の時代の中で「画像こそ真相」という、香港ネット文化の中心である「高登フォーラム」(Golden Forum)の決めゼリフを知っている。政府と親北京派のマスコミも「自演自作」の脚本を100%コントロールしきれず、ネットで繰り広げられている無数の情報と画像とビデオによって、彼らの嘘と暴言が無残にも暴露された。悪いことをした警察も、暴力をふったチンピラも、学生の中に潜り込んだスパイも、ネットの追跡板で身元がばれ、彼らの家や店は、もはやネットでの「ギャグ」の対象──「絶対あいつらの家に、ピザとワンタンメンの出前を注文するなよ!」「絶対あいつらの店に悪戯の予約を入れるな!」などなど──になっていた。こういうネットの注意スレはやはり恐ろしい。例えば、チェーンショップのアルバイトさんが「警察から、1000個のハンバーガーの注文が殺到したんだけど、どうしよう?」とスレで書けば、「絶対胡椒を入れるな!」という返事が返ってくる。本当かどうかはわからないが、少なくとも「警察が集団で下痢になった」という記事は、3回ぐらい読んだ。こうして、破綻した政府の茶番劇は、半月も「ダダ漏れ」状態が続いている。
    ブルース・リー(李小龍)氏が言う「友よ、水になれ」のように、人の波が、情報の「透明な嵐」が、形のない水のように、時にかたちになって滝になり、市街地という無尽に変化する容器に入り、香港の都市空間全体がネットをフル活用して「無敵の巨人」を溺れさせた。Facebookのウォールという歴史に刻まれていく時間の流れの中で、巨人が簡単に死ぬわけではないが、日常と非日常の境がのない空間にやがて溶解していってしまうだろう。
    香港の都市生活とは?――催涙弾を浴びても、終電で帰る前にデザート屋でマンゴープリン
    もともと、政府と親北京派は「『占領中環』(※この「雨傘運動」より以前にも起こっていた、米ウォール街占拠行動に呼応した、香港の政治・経済の中心である中環=セントラルを占拠しようという運動のこと)が、経済と都市生活を麻痺させる」と、繰り返しプロパガンダで脅迫してきた。しかし、実際に一番恐ろしいのは、香港人の経済合理性と柔軟性である。そして、もともとの社会運動ももはや形はなく、24時間都市である香港では、地下鉄ネットワークとミニバスがあれば「ここではない、どこか」でもバリケードされた占領地になりうる。
    結果として、もともと中年インテリによって始められた、セントラルという金融街でただ座り込みをするだけの「占領中環」キャンペーンも、警察が一年以上にわたって対策を練っていた「アンチ・占領中環」計画も、あっという間に無意味なものになった。実際この運動の主戦場は、中環(セントラル)から歩いて10分、金鐘(ガムチョン)という無機質な乗換駅にある政府本部周辺だ。人々は政府本部を包囲し、催涙弾に攻撃され、銃撃の警告をうけ、もはや機能していない「大会」によるネットの撤退宣言で刺激され、全員が逃げた(これは多数の市民が犠牲になった1989年の天安門事件の教訓でもあるが)。
    香港都市の地理知識がポイントになる。当日はこの金鐘という乗換駅は一時的に閉鎖されていた(余談だが、香港の鉄道オタクはおそらく全員、この史上最初の快速運転に乗りに出ていた。私も含む)。リトル・ピープルたちはやむを得ず、西なら中環(セントラル)へ、東なら湾仔(ワンチャイ)の駅へ歩いて拡散。中環では、重装備された警察に勝てないので、全員東に行った。私ももともと中環に歩いて行ったつもりだが、100メートル前方での催涙弾の発射を見て、あわてて逆方向の東の湾仔に歩いていった。11時ごろに、湾仔駅前に帰ろうと思ったら「『銅鑼湾』(コーズウェイベイ)でも占領があるよ』というネットの呼び掛けを見た。女性の参加者を帰していたので、好奇心で友人と二人で歩いて見に行った。もともと「とりあえずデザートでも食べてから12時45分の終電で帰ろう」と、普段通りの香港友達との遊びのパターンを考えていたのだった。
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  • 周庭 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第33回 新型コロナウイルスと政府の欺瞞

    2020-03-18 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。早くから新型コロナウイルスの脅威に直面した香港。感染を隠蔽しようとして拡大を招いた中国政府のみならず、日本政府が行った一連の対応についても、香港の人々の目には不合理なものに映っているようです。(翻訳:伯川星矢)
    [編集部より] 周庭さんによる本稿の翻訳前の原稿は2020年3月1日の段階で提出されています。時々刻々と変化する現在進行形の事象を扱っている内容のため、判明している事実関係や著者の視点による見解は、あくまで当時の情報に基づくものであることをお断りいたします。
    ここでみなさんとお会いするには久しぶりになります。みなさんは元気に過ごされていますでしょうか?
    ここ数ヶ月、香港と日本はとても大きな変化を経験しました。特に新型コロナウイルス(香港では「武漢肺炎」と呼ばれています)は中国から香港・マカオ、それから日本・韓国・イタリアとさまざまな国に伝染し、それによって生活習慣、さらには各国の政府に対する見方を大きく変えました。


    ▲香港衆志では街頭でマスクを配る活動をしました
    「武漢肺炎はただのアンラッキーだ」と言う人が大勢いますが、私はこれを人災だと考えています。 去年の12月中旬、中国湖北省武漢市で初の感染者が出ましたが、中国政府と地方政府は真相の隠蔽を試みました。隠しきれなくなった後は、湖北省・武漢のみの数字を公開し、まるで中国国内の他の地域は、まったく影響を受けていないように見せかけました。 2020年1月に入ると、香港でも感染の疑いがある患者が現れましたが、香港政府はその数字を正直に公表しました(これは香港政府を讃えている訳ではありません。正直な公表は当然のことでしょう)。そのことで中国国内では武漢と香港にしか患者がいないように見えましたが、中国の大きさと人の往来の多さを考えると、他の地方政府が感染者数を隠蔽していることは誰の目にも明らかでした。 習近平が全国的な行政指示を出した後で、やっと他の地方政府が感染者数を公開し始めました。中国国内での隠蔽行為が横行しなければ、市民も他の国々もより早く警戒・対策ができたし、ここまで制御不可な局面にはならなかったでしょう。
    ▲医療従事者のストライキを応援する街宣活動
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  • 周庭 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第32回 なぜデモに暴力がともなうのか、その原因と意義

    2019-11-28 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。流血の事態が続く香港の民主化デモ。警察の暴力的な対応のみならず、親中国派による襲撃も相次ぎ、混乱は増す一方のようです。なぜ民主派は武器を手に取るのか。11月24日に行われた区議会議員選挙の結果と合わせて、香港の「今」を報告します。(翻訳:伯川星矢)
    香港の戦いは、まだ続いています。
    香港人が求める「五つの要求」はいまだに達成されていません。そしてこの戦いは、わたしたちの「家」を守るための重要な一戦になりました。この原稿を執筆する数日前、警察は香港中文大学に攻め込もうとしました。学生、教師、卒業生たちは校門を死守し、警察の突入を許しませんでした。その日、香港中文大学で撮影された写真を見た多くの外国の方々から「天安門事件を思い起こさせる」と言われました。 少し前に香港メディアの取材を受けたドイツ人記者は「香港警察はイスラーム国(ISIS)よりも恐ろしい」とコメントしています。香港警察はなぜこうなってしまったのでしょうか。まさに「悲憤慷慨」であり、香港人としてとても複雑な心情です。

    確かに6月頃と比べると、デモの活動スタイルは大きく変わりました。文字通り「平和的」から「急進的」になったこの変化は、警察と政府に対する市民の不信感、さらには香港の法治制度全体に対する不信感によるものです。言い換えれば、香港人は気づいてしまったのです。今の香港の法治制度はとうてい受け入れられるものではない、と。これらの「不信感」が、皆さんがテレビで見たであろう「暴力」に変化したんだと思います。
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  • 周庭 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第31回 過激化する武力行使と学生銃撃事件

    2019-10-30 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。10月1日は中国の建国記念日にあたる「国慶節」。この日、18歳の学生が警官に胸部を銃撃され重症を負いました。過激化する警官隊の武力行使の中で抗議を続ける周庭さんが、苦しい胸の内を吐露しました。(翻訳:伯川星矢)
    香港の現状について3人の識者をお招きして生放送で議論します。 11/5(火)20時〜 倉田徹×張彧暋×福嶋亮大×宇野常寛「続・香港のデモから僕たちが考えるべきこと」
    ここ4ヶ月は、毎回PLANETSの連載の原稿を書く際に、とても迷っています。なぜなら毎月、香港で起きている事件があまりに多すぎるからです。毎日、毎週起きているそれは、香港人にとって果てしない苦痛です。より良い未来のためとはいえ、今、苦しみの中にある人は多すぎるくらいいます。
    9月の下旬頃、日本の方々から香港デモに関する報道が減ったという連絡がたくさん来ていましたが、幸いなことに10月1日の国慶節(中国の建国記念日)の前日には、日本を含む国際社会の香港に対する関心が再び高まり、特に中央政府が国慶節前日あるいは当日に弾圧を強化するのか、二度目の「天安門事件」が起きるかどうかについて注目が集まっていました。
    ▲中学生授業ボイコット集会の様子
    そして10月1日当日、一人の18歳の学生が香港警察の職権濫用と狂気の下、左胸に実弾を撃たれました。弾は肺を貫き、心臓との距離はわずか3cmでした。
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  • 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第30回 突然の逮捕から保釈、そしてドイツ・オーストリアへの旅

    2019-09-26 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。8月30日の朝、周庭さんは無許可の集会への参加容疑で逮捕されました。翌日には保釈されたものの、拘置中は香港警察によるこれまでにない理不尽な扱いに晒されたといいます。(翻訳:伯川星矢)
    香港の活動はまだ続いています。香港人はまだ「五つの要求」を求め、政治的・暴力的な弾圧に反抗しています。現時点(9月18日)で、この活動によって、すでに1400人以上の市民が逮捕され、100人以上が起訴されています。
    そして8月30日、わたしは逮捕されました。
    8月30日の朝、わたしはまだ自宅の部屋で寝ているところを、騒がしい音に起こされました。部屋を出た瞬間、5人の警官がわたしを「お待ち」していて、6月21日の警察本部前のデモに参加した容疑で逮捕すると説明されました。その時すでに、わたしの仲間であるジョシュアは逮捕されていました。 わたしは近所の警察署に連れて行かれ、その後、警察本部に移送されました。そして起訴、午後に裁判所に連れて行かれ、保釈されました。
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  • 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第29回 過激化する香港デモの真実

    2019-08-28 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。長期化しつつある香港の騒乱。日本のテレビでも過激なシーンが流れていますが、それは香港人の一面にすぎないといいます。(翻訳:伯川星矢)
    今この瞬間(2019年8月18日)、わたしはビクトリアパークで行われるデモに参加しようとしています。
    これは6月以降、何度目になるかわからないデモです。実際に6月から毎週の土曜日と日曜日、そしてたまに平日に、わたしたちは「5点要求」[1]を求めて、デモや集会を行っています。8月5日、私たちは返還後最大級のジェネラルストライキを成功させ、35万人が7つの地区でストライキと集会を行いました。
    ▲香港国際空港での集会の様子
    しかし、今日に至っても、政府は香港人の訴えを無視しています。
    多くの日本人にこう聞かれます、香港のデモは過激化したのか?暴力化したのか? 確かに、テレビニュースの放送は、必ずもっとも「ジューシー」な画面を選んで放送しています。それによって香港デモが過激化したのではないかと感じられるのかもしれません。でも、みなさんには「過激化」と結論付ける前に、なぜ香港デモがここまでになってしまったのかを、ぜひ理解して欲しいです。
    ▲ストライキの記者会見
    前回の連載でも話しましたが、香港人はここ数ヶ月、あらゆる平和的手段を使い尽くしています。署名収集、新聞広告掲載、合法デモ集会、ストライキなどなど。わたしたちも最初から急進的な方法で抗議活動をしていたわけではありません。だが、権力者はいかなる平和的手段にも動じない以上、わたしたちもそれ相応な対応を考えねばなりません。
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  • 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第28回 歴史的な200万人デモと苦すぎる現実

    2019-07-18 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。逃亡犯条例に端を発する巨大な運動の中にある周庭さん。来日中に史上最大規模となる200万人を動員するデモを実現し、条約改訂を封じ込めることには成功したものの、その心にあるのは苦い思いのようです。(翻訳:伯川星矢)
     この原稿を執筆し終えた時点で、Facebookを通して悲しい情報が入りました。4人目の仲間が自分の命を絶ちました。そう、4人目です。反逃亡犯条例改定の運動の中、すでに4人の尊い命が未来に絶望して自死したのです。これは香港の主権移譲後の社会運動ではじめての出来事でもあります。

     ここ一ヶ月は香港人にとってとても長い一ヶ月でした。日本の皆さんもメディアを通じて香港の状態を知っていると思いますが、香港人はさまざまな方法で改定案の撤回、警察の暴力行為の追求、民主主義を求める決心を表明しました。例えば署名活動、全世界の新聞広告(朝日新聞にも載りました。皆さんご覧になりましたか?)、100万人デモや200万人デモ、あの手この手で活動していました。  しかし、例え香港人が香港史上最大規模の民主化活動を成し遂げても、やはり、わたしたちが求めていた要求を叶えることはできませんでした(行政長官の林鄭月娥は記者会見で「条例改定は死んだも同然」と言いましたが、「撤回」という言葉を使うことはありませんでした)。

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  • 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第27回 雨傘運動以来の大規模デモ、逃亡条例改定反対運動のゆくえ

    2019-05-28 07:00  
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    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。香港は今、大きく揺れています。中国の司法介入を認める逃亡犯条例の改定案が審議されているからです。13万人が街頭に出た、雨傘運動以来という反対運動の様子を語ります。(翻訳:伯川星矢)
     いま、香港人がもっとも話題にしている「逃亡犯条例改定」については、3月の連載でお話しをしました(参照)。  この逃亡犯条例が立法会を通過すると、将来的には香港人、もしくは香港に入境しただけの人でも、香港当局に容疑者として拘束された場合、中国へと引き渡される可能性があります。  中国は公平な法制度や基本的人権が存在しない場所です。過去にも多くの人権活動家が政府の意に反する発言をしたがために、投獄されたり、あるいは「消されたり」しています。

     4月末、民間団体による逃亡犯条例反対デモが行われました。このデモはの参加者は約13万人にもなり、雨傘運動以来、最多の動員数となりました。  もちろん、香港衆志とわたしもそのデモに参加し、銅羅湾(コーズウェイベイ)から金鐘(アドミラルティ)にある政府本庁へと向けて行進をしました。  出発前には、すでに銅羅湾の街道2、3本分を占める参加者が集まっていました。あまりに人数が多かったことから警察から開始時間を早めるよう要求があったほどです。  参加者の中には、大人から子供まで一家そろって参加している人たちもいました。彼らは中国と香港の司法制度、その公平性には大きな違いがあることを深く理解していて、今後、香港人が中国側に引き渡されるようになることを危惧していました。

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