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記事 55件
  • 『ザ・ホワイトタイガー』──「歌って踊らない」インド映画から見つめ直すカースト制度|加藤るみ

    2021-06-08 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第17回をお届けします。今回ご紹介するのはNetflixオリジナル作品『ザ・ホワイトタイガー』です。一部地域では現在も根強く残るインドのカースト制度。本作は身分の差に苦しむ青年・バルラムが差別意識を持つ上流階級の人々に立ち向かう姿を描きます。るみさんは本作を観て、単なる「サクセスストーリー」とひとことで言い表すことはできない、深く胸に突き刺さるものを感じたようです。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第17回 『ザ・ホワイトタイガー』──「歌って踊らない」インド映画から見つめ直すカースト制度
    おはようございます、加藤るみです。
    この前、人から「結婚して何か変わったことある?」と聞かれて、小一時間くらい考えていました。 結婚前は東京に住んでいたので、そりゃあ住む場所は変わったといっちゃ変わったけれど、そういうことじゃないよなあと考えてました。 もっとこう、内面的なことだろうと思っていて、ひとつ思いついたのは、お花を飾るようになったことでした。 結婚する前は、お花を貰ったら慌てて飾るくらいで、そもそも自分でお花を買ったことなかったなあと。 お花を買うようになってから、それまでは気にしたことすらなかった季節のお花を知るようになって、見たことはあるけど名前は知らなかった花の名前を覚えて、お花屋さんに行くのも楽しみのひとつになりました。

    私の夫は、"ぶりっこ"という言葉がよく似合う人なんですけど、お花を飾ると「うわぁ〜! 可愛い〜!」と喜ぶんですよ。 その時にすごく心が満たされたような気持ちになるので、私はお花を飾りたくなるんだと思います。 おそらく、夫のぶりっこは才能で、いつもその可愛らしいリアクションに羨ましいなあと思うほど。 あざとさが一切ない純真なぶりっこであるから、凄いんですよね。 夫とは反対に、私は昔から「冷めている」とか、まろやかに言うと「落ち着いてる」と言われてきたタイプで、お花の可愛さはもちろん、華やかな光景を見ても素直に反応できない性格でした。 これは、おそらく思春期を捧げたアイドル生活の影響もあるかと思うんですよね。 まだ無邪気に鼻くそをほじっていたい14歳の少女だったはずなのに、人生初の給料を貰って、まだ知らなくても良い"確定申告"の勉強をし、超女コミュニティで戦の毎日を送っていた生活が私をそうさせたのだと思っています。 まあ、もともとの性格もあるかもしれませんが、今思うと、大人の世界を知るのが早すぎたんだと思います。 同世代の女子が虜になるパンケーキを目の前にしても笑顔になるわけでもなく、無言で写メって秒で食べ、夢の国へ行ったとしても「カチューシャなんて頭が痛えよ」なんて思っていたのだから。 夫のおかげかわからないですが、今ではパンケーキを食べる時は思いっきり笑顔になれるし、夢の国へ行ったら舞浜駅過ぎてもカチューシャ外さないレベルに人間らしくなれたとは思っています。 長くなりましたが、何が言いたいかと言うと、結婚して変わったことは、「お花を映えのためだけでなく、人のために飾りたいと思えるようになったこと」なんだと思いました。 これからの私に言っておきたいことは、自分にどんなに精一杯でも、一輪の花を気にかける心の余裕を持って生きなさいということです。 これからも人生がんばれ、私。
    さて。
    今回紹介する作品は、『ザ・ホワイトタイガー』('21)です。
    インド出身の作家アラヴィンド・アディガによる、『グローバリズム出づる処の殺人者より』というベストセラー小説が原作で、Netflixが映画化した作品です。
    私はインド映画をオススメすると、「歌って踊るのがあんまり好きじゃない」と言われることが多々あります。 確かに、インド映画といえばいきなり歌って踊り出すイメージがありますよね。 約25年前に上映された『ムトゥ 踊るマハラジャ』('95)をはじめ、最近のヒット作では『きっと、うまくいく』('09)や『バーフバリ』('15)など。 ちなみに、そのようなインド映画のことをボリウッドムービー(ムンバイの旧称ボンベイの頭文字"ボ"を取り、"ハリウッド"をモジった造語)というのですが、そもそもインド映画は「なんで歌って踊る映画が多いの?」と思う方がいるかもしれません。 その理由は、インド都市部では"マサラ上映"といった、上映中に歌ったり、踊ったり、手を叩いたり、歓声を上げたりと、自由に映画を鑑賞するスタイルが当たり前とされているからなんですね。 いわゆる、日本で言う"応援上映"です。 歌って踊り、一喜一憂しながら映画に"参加"するのがインド流の映画の見方なんです。
    しかし最近では、そういったボリウッドムービーに加え、新たな魅力を発揮するインド映画も観られるようになりました。 最近、いや結構前から、もうインド映画は歌って踊る"だけ"じゃないんです。 なんていったって、映画の年間制作本数は世界ナンバーワンの映画大国インド。2017年のデータですが、年間約1900本ほどの映画を製作してるんですね。 歌って踊るだけのインド映画のイメージを抱えている人は、早急にインド映画のアップデートをしてください。
    まさに、今回紹介する、『ザ・ホワイトタイガー』は、"歌って踊らない"インド映画なんです(アメリカとの合作ではありますが)。
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  • サブスクで観れる、加藤るみが選んだ2021年アカデミー賞作品ベスト3|加藤るみ

    2021-05-13 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第16回をお届けします。先月、ついに発表された2021年アカデミー賞。今回はアカデミー賞関連作品の中から、るみさんのおすすめをサブスクリプションサービスで観られる作品に限定して3本選んでもらいました。いまだ解決の兆しが見えないコロナウイルス問題ですが、るみさんは今回紹介する作品を通して、自宅での鑑賞ならではの楽しみも見つけられたようです。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第16回 サブスクで観れる、加藤るみが選んだ2021年アカデミー賞作品ベスト3
    おはようございます、加藤るみです。
    3度目の緊急事態宣言の発令が決定(執筆時:2021年4月現在)し、映画館も次々と休業発表がありました。 今年もアカデミー賞の発表が終わり、アカデミーで話題になった作品を"今この時"に観れない現状がとても苦しいです。 早く、この状況が収まりますように。 ただただ、それを願うしかありません。
    しかし、緊急事態宣言も3度目となれば、私も自粛ライフの楽しみ方に関してはプロ級です。 映画に海外ドラマ、釣具をいじいじ、着ない服をメルカリに出品、無限にやることがあるのです。 それに、このコロナ禍でネットショッピング力がグンと上がり、海外のサイトで買い物することも増えました。 最近は、アカデミー賞で監督賞を獲った、クロエ・ジャオのTシャツをゲットしたので、ぜひ自慢させてください。

    映画界で活躍する女性たちのネームTシャツを販売している、「Girls on tops」というイギリスのサイトから購入しました。 他にも、グレタ・ガーウィグTやアネット・ベニングTなど、映画好きなら気づいてくれるであろう、ナウいTシャツが沢山あります。 海外のアパレルはサイズ感がいつも心配なんですが、XSでちょうどピッタリ着れてこの上ない感動でした。 テンション上がるものを着ることって大事ですね。 なんだか唐突にお買い物紹介になってしまったので、ついでにもう一つ紹介させてください。 続いては、地元・岐阜の名産品のお取り寄せグルメです。 飛騨高山に「キュルノンチュエ」という燻製品などおつまみの名店があるんですが、お店のイチオシでもある白かび熟成の乾燥ソーセージがめちゃくちゃ美味しくて、私、大ファンなんです。

    ソーセージというより、サラミのようで、白かびの芳醇な香りと、背脂の甘みのコクが上質で、岐阜が誇る、ぜひとも食べてもらいたい逸品です。 お酒は飲まない私ですが、このソーセージとジンジャーエールをお供に、映画を観るのが幸せの極みです。 これがあるだけで、かなりリッチな映画タイムになります。
    さて、今回は、そんなソーセージをかじりながら配信で観た、アカデミー賞関連のオススメサブスク作品を3本紹介したいと思います。
    まずは、1本目。 Netflixオリジナル作品『ラブ&モンスターズ』です。
    色々あって巨大化した昆虫や爬虫類に支配された世の中で、ヘタレな青年が生き別れの彼女に会いにいくサバイバルコメディー。 これ、ポスタービジュアルからC級(笑)の匂いがプンプンだったんですが、蓋を開けたら大正解な『ゾンビランド』('09)的A級コメディでした。 こちらは受賞ならずでしたが、今回のアカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされています。
    モンスターだらけの世界になって以降、地下壕のバンカーで7年間生活をする青年ジョエル。 ジョエル以外のバンカーの仲間たちは、みなカップリングしていて、独り身はジョエルのみ。戦闘員としても使い物にならないヘッポコなため、仲間たちにスープを給仕する万年料理担当になっています。 そんなジョエルが、世界滅亡前に付き合っていた愛する彼女に会いにいくため、外の世界に出ることを一大決心する……。
    この物語、終始軽妙なテンポで進んでいくのが、とっても気持ちが良いです。 まさに、痛快、爽快。 絶望的な世紀末であるのに、主人公ジョエルの他人事のようなおちゃらけたナレーションから始まるのも、『ゾンビランド』さながらの作りになっていて、"モンスター版『ゾンビランド』"と名付けたくなるような既視感がありました。
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  • 『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』──「失ってから気づく系男子」の更新形|加藤るみ

    2021-04-14 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第15回をお届けします。今回紹介するのは『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』。夫婦の愛情を描いたフレンチラブコメディです。突然訪れたパラレルワールドで、夫のラファエルが妻との愛情を取り戻そうと奮闘します。「大切な人を失ってからその愛に気付く」タイプの主人公を「ぬるい男」と一刀両断するるみさんですが、本作の主人公は一味違ったようで……?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第15回 『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』──「失ってから気づく系男子」の更新形
    おはようございます。加藤るみです。
    最近は、ドラマに夢中な私です。 今はやっぱり、ディズニー+の『ファルコン&ウィンターソルジャー』が面白くてたまりません! 同じくディズニー+で放送されていたマーベルドラマ『ワンダヴィジョン』のジワジワと面白くなっていく感じも好きだったんですが、あちらは4話くらいまでのシチュエーションコメディパートが、「コレ面白くなるのか?」という忍耐が必要なドラマだったんです。でも、『ファルコン&ウィンターソルジャー』の1話からエンジンフルスロットルな戦闘シーンは、"これぞMCU!"といった感じで、最高でした。 それに、ファルコンが直面する、家族問題、ヒーローの貧困、黒人差別、現代に生きるバッキーの葛藤など、それぞれが抱える問題が1話から明確に描かれていて、社会問題に斬り込んでいく姿勢もさすがです。 キャップ(キャプテンアメリカ)のいない世界を全6話でどう展開させていくのか楽しみです。 あと、MCUシリーズは時系列が重要と言えると思うんですが、本来、『ワンダヴィジョン』と『ファルコン&ウィンターソルジャー』の配信順番は逆だったんですね。 これについては、現時点では時系列に違和感なく進んでいますが、次は『ロキ』が来るということで、これからどう変わっていくのが見どころでもありますね。
    それともうひとつ! オススメのドラマがあって。
    スターチャンネルで放送されている、『僕らのままで/WE ARE WHO WE ARE』です。 アイデンティティの探求やジェンダー、人間関係、家族がテーマの青春ドラマで、コレを見逃すのはもったいない! と言える、傑作です。 イタリアの米軍基地が舞台で、そこで暮らすティーンエイジャーの苦悩や葛藤が丁寧に描かれていて、音楽も美術も衣装も全てがハイセンスでうっとり。 それもそのはずで、『君の名前で僕を呼んで』('17)『胸騒ぎのシチリア』('15)のルカ・グァダニーノ監督の初テレビドラマ作品で、監督自ら脚本、監督、製作総指揮を務めています。 キャストも、第二のティモシー・シャラメと言われているジャック・ディラン・グレイザーをはじめ、気鋭の新人ジョーダン・クリスティン・シモンや、マーティン・スコセッシの娘であるフランチェスカ・スコセッシなど、フレッシュな顔ぶれが勢揃い。 これは、いま要チェックなドラマです。
    さて、今回紹介する作品は、『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』('19)です。
    SF小説家として成功した男が、妻と喧嘩した翌朝、突然パラレルワールドにトリップ。 富や名声、妻を失い、もはや別人になってしまった男が元の世界に戻るため奮闘する、フレンチラブコメディです。
    フランスで大ヒットを記録した『あしたは最高のはじまり』('16)のユーゴ・ジェラン監督が、若くして結婚した自身の結婚生活を見直すことで生まれたラブストーリー。
    フレンチラブコメに関しては、お気に入りが見つかる打率がめちゃくちゃ低い私なんですが、久々のヒット! でした。 フレンチラブコメでは、『おとなの恋の測り方』('16)に並ぶくらい好きになりました。
    高校時代に出会い、一目ぼれから結婚したラファエルとオリヴィア。 人気SF作家として多忙な毎日を送るラファエルと、小さなピアノ教室を運営するオリヴィアの夫婦生活はすれ違いが続いていた。 オリヴィアと大ゲンカをした翌朝、ラファエルは見覚えのない部屋で目を覚ます。 そこは夫婦の立場が逆転した“もう一つの世界”で、ラファエルはしがない中学教師、そしてオリヴィアは人気ピアニストで、ラファエルのことを知らなかった……。
    恋人ゲットのため、冴えない男がタイムトラベルを繰り返す『アバウト・タイム』('13)や、小説家が自分の書いた通りの理想の女の子と出会ってしまう『ルビー・スパークス』('12)の要素をミックスさせたようなパラレルラブコメディで、"If"の世界が大好きな私のツボに入る作品でした。
    © 2018 / ZAZI FILMS – MARS CINEMA – MARS FILMS – CHAPKA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – C8 FILMS
    この物語は簡単に言うと、ラブコメでよくありがちな、"大切な人を失ってから色々気づいちゃう系男子"が奮闘する物語なんですが、 私、この手のタイプには、どうしてもイライラしてしまい、「失う前に気づけよ!」と、冷めたツッコミを入れてしまいたくなるんですね。
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  • 『ハラ』── 二つの文化の間で葛藤する少女が見つけたアイデンティティ|加藤るみ

    2021-03-18 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第14回をお届けします。今回紹介するのはApple TV+初の長編映画『ハラ』。イスラム教徒の家庭に住む少女ハラが、アメリカの高校の自由な校風と、厳格な家庭環境とのギャップに悩み、自身のアイデンティティを見つけていく青春映画です。最近Apple TV+にハマっているというるみさんが、本作の魅力をサービスの特徴と併せて語りつくします。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第14回 『ハラ』── 二つの文化の間で葛藤する少女が見つけたアイデンティティ
    おはようございます、加藤るみです。
    今回紹介する作品は、Apple TV+配信の作品です。 いま、Apple TV+のオリジナル作品がめちゃくちゃ熱い! 私がいま一番推したい映画のサブスクは、Apple TV+です。
    映画のサブスクといっても、Netflixやアマゾンプライムのように旧作も含めて見放題というわけではなく、Apple TV+は、"オリジナル作品のみ"が見放題なんです。 しかも、今回紹介する作品もそうですが、まだあまり世の中に浸透していないであろう、掘り出し物が豊富で、トップクリエイターを招聘したオリジナル作品の質が高いことが、最大の魅力だと思います。 具体的にどんな作品があるかというと、前にこのコラムでも紹介した、ソフィア・コッポラ監督の新作『オン・ザ・ロック』(’20)をはじめ、トム・ハンクスが主演・脚本を担当し、制作に10年を投じた力作『グレイハウンド』(’20)や、サンダンス映画祭グランプリを受賞したA24との共作ドキュメンタリー『ボーイズ・ステイト』(’20)、カートゥーン・サルーンが手掛けたアニメーション『ウルフウォーカー』(’20)など、傑作揃い。 映画だけじゃなくドラマにも力が入っていて、M・ナイト・シャマラン、ダニエル・サックハイムらが監督を務めたホラーサスペンス『サーヴァント ターナー家の子守』(’19)や、『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(’17)のクメイル・ナンジアニが製作に携わり、移民の人々の暮らしを描いたヒューマンドラマ『リトル・アメリカ』(’20)など、満足度高めのラインナップが揃っています。特に『リトル・アメリカ』は私のイチオシです。実話をベースに製作されていて、すべてが心温まる物語ばかり。しかも、 1話完結の30分ドラマなのでサクッと観れます。私は1話でグッと心を掴まれ、気づいたら一日で全話観終わっていました。まずは、1話。最高なので、ぜひ観てもらいたいです。 Apple TV+は、 Netflixやアマゾンプライムとは少し方向性が違って、独自性が高く、良質なものだけをチョイスして観ることができる、いわば、映画好きのためのセレクトショップ的な位置付けにあるんですね。 まさに、"Apple TV+でしか観られない"がウリです。 私はもちろんNetflixも大好きなんですが、サービスが大規模になり、オリジナル作品が途方もなく増え始めた頃から、単純にその莫大な数の作品の中から、あれもコレもと選ぶだけで時間がかかってしまうのが悩みになっていたんですよね。 マイリストだけがめちゃくちゃ増えていくみたいな。 Apple TV+も今後どうなっていくかはわからないですが、まずはいま、この情報過多の時代でサブスク迷子にある方は、ぜひApple TV+に入ることをオススメします。
    では、先ほど触れた通り、今回はApple TV+配信作品の中から私のイチオシを紹介したいと思います。
    タイトルは、『ハラ』です。
    最近発見したんですが、こんな素晴らしい作品がApple TV+に隠れていたなんて……。 2019年1月26日に配信がスタートされたこの作品が、実はApple TV+初の長編映画作品なんです。 不覚にも、「2021年になるまで気づかなかったとは……」と、早く見つけられなかったことが悔しくなるほど、良い作品でした。
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  • 『旅立つ息子へ』──共依存の先にある親子の絆|加藤るみ

    2021-02-18 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第13回をお届けします。今回ご紹介するのは、是枝裕和監督とも並び称されるイスラエルの巨匠、ニル・ベルグマンの『旅立つ息子へ』。自閉症スペクトラムを持つ息子と父との絆を描く、実話を基にした物語です。「自分がいないと息子は生きていけない」と思い込んでいた父は、やがて成長していく息子の姿を見て……?一昨年に結婚を発表したばかりのるみさんが、「愛」と「依存」の狭間で揺れ動く親子関係について語り倒します。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第13回 『旅立つ息子へ』──共依存の先にある親子の絆
    おはようございます、加藤るみです。
    ついに、私、自動車運転免許を取得しました。
    やっと、やっとです。 免許を取って痛感しました。 免許とは、自分自身との戦いなのだ……と(大げさ)。
    私が免許を取ろうと本気で行動に移したのは、今から3年前。 まだ東京に住んでいる頃でした。 電車移動で事が足りて、特に車が必要ない東京に住んでいても、岐阜という"一家に一台"が当たり前な車社会の田舎で生まれ育った私は、車に乗ることへの憧れを消せずにいました。 私以外の家族はもちろんみんな免許を持っていて、地元の同級生も免許を持っていない子なんていなくて、生まれ育った環境から私のDNAには「免許取ったら車でイオン♪」的なマイルドヤンキー精神が刻み込まれているのです。 さらに私の免許取りたい欲に拍車をかけたのは、『レディバード』('18)の主人公が故郷に帰って車を運転するラストシーンを観てから。 あのシーンを見たら、免許を取って岐阜の田舎ロードをエモエモドライブせずにはいられないでしょう。
    そんなこんなで「免許を取ろう!」と決意した私は、最近「一発試験」で免許を取得したという先輩のオススメもあり、同じく一発試験を受けることにしました。 東京の教習所は田舎に比べて料金が1.5倍くらい高いのと(さすが東京価格!)、当時住んでいた中野から通いにくいこともあったので、「一発試験のほうが手っ取り早いな」とそのときは思ったんですよね。そのときは。
    そう、私の免許地獄はここから始まったのです……。
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  • 『花束みたいな恋をした』── 恋の終わりは苦いもの、だけじゃない|加藤るみ

    2021-01-26 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第12回をお届けします。今回ご紹介するのは『東京ラブストーリー』『最高の離婚』『カルテット』などで知られる脚本家・坂元裕二脚本の『花束みたいな恋をした』です。終電を逃し、偶然出会った大学生ふたりが、恋に落ち、同棲し、社会人になっていく、その過程を丁寧に描いた本作。20代前半に新宿ルミネのお笑いライブに足を運び、映画を愛し、部屋でレコードを聞く日々を過ごしていたるみさんには深く深く突き刺さったそうで……?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第12回 『花束みたいな恋をした』── 恋の終わりは苦いもの、だけじゃない
    あけましておめでとうございます。 加藤るみです。
    年々、1年が過ぎるスピードが凄まじく速くなっている気がします。
    こんなことを言うようになり、なんだか歳を取ったなぁとしみじみ思いますが、この前、旦那とふと年齢の話になったときに、「アラサーのるみちゃん」というワードが出まして。 現時点で25歳なので、アラサーっちゃアラサーなんですが、アラサーという言葉の存在感に胸をズキズキさせられました。アラサーという言葉は遠い日のことだと思っていたのに……。
    でも、なんだかしっくりくる、ラジオネームのような「アラサーのるみちゃん」。
    まあ、年齢なんて数字に過ぎないと思っているので、アラサーだろうがなんだろうが今年もアンチエイジングに励みつつ、楽しく生きれたらなと思います。 さて、そんなアラサーのるみちゃん(結構気に入っている)が2021年一発目に紹介するのは、こちらの作品。
    坂元裕二さん脚本、菅田将暉さん×有村架純さんのW主演で贈る、2020年の東京を舞台にしたラブストーリー『花束みたいな恋をした』です。

    これは……とんでもない映画でした。 11月初旬に試写で観たんですが、かれこれ3ヶ月くらいずっと頭の中にこの映画が残っています。 多分、10代後半〜20代前半にどんな恋をしてきたかとか、どんな環境にいたかとか、人によってこの映画の刺さり方は変わってくると思うんですが、(それはどんな映画でもそうですね)少なくとも、20代前半を東京で過ごし、ヴィンテージチャンピオンを着て中野周辺を徘徊し、月1くらいで新宿ルミネのお笑いライブに行き、映画を愛し、サブカルにまみれた部屋でレコードを聴いていた私には刺さりすぎました。いや、突き抜けました。
    この物語の既視感は、もはや「私の再現ドラマでは?」と思うほど。 めちゃくちゃ恥ずかしくて、見ていられない気持ちになりました。
    思い出したくもない過去なのに、思い出されて仕方がない。 そんな矛盾した感情に掻き乱されながら、ラストでは爽やかに泣けるという、 私と同じ今20代くらいのサブカル民の仲間たちには、覚悟して観てもらいたい映画です。
    舞台は東京。 京王線明大前駅で終電を逃したことから偶然出会った大学生の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。 好きな映画や音楽がほとんど同じという、似たもの同士の二人はあっという間に恋に落ち、二人が大学生からフリーター、同棲、社会人になるまでの事細かな日常のリアルを描いています。 出会いから別れという物語の流れは、爽やかさをプラスしたカップル版『マリッジ・ストーリー』のような作りになっています。
    ©2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
    前半は、菅田将暉さん×有村架純さんが贈る『ときめきメモリアル』。 愛おしすぎる、ごく普通の日常を切り取っていて、それも日本を代表する若手俳優の二人がとびっきり、ありったけの演技をするのだから、良くないわけがないんですよ。 これを見たらきっと、男性は有村架純さんが元カノに見えて、女性は菅田将暉さんが元カレに見えてくると思います。現に、私は菅田将暉さんが元カレだったんだと思い込んでいます(笑)。 女子同士で観に行ったら、「菅田将暉、私の元カレだ!」論争が起きること間違いなし。
    麦と絹の何気ないデートの内容は、the大学生な感じなんですが、ポップな演出が効いていていちいちサブカル女(私)のツボを抑えてくるんですね。
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  • 激動どころじゃない2020年! 今年の映画ベスト10|加藤るみ

    2020-12-16 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第11回をお届けします。今回は加藤るみさんが選ぶ、2020年の映画ベスト10を発表します。『パラサイト』の韓国映画として初のアカデミー賞受賞にはじまり、新型コロナウイルスの感染拡大により映画館で鑑賞することそのものにも変化が起きた2020年。そんな激動の1年間で公開された作品の中から、るみさんが選んだ10本とは?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第11回 激動どころじゃない2020年! 今年の映画ベスト10
    おはようございます、加藤るみです。
    今年も残すところわずかになりました。 私にとっての2020年は、拠点を東京から大阪に移すことから始まり、振り返ってみると激動という言葉だけでは収まりきらないほど色々なことがあった1年でした。
    新天地で気合いを入れて活動しようと思いきや、地球は未知のウイルスに侵略されたり、なかなか自分の思うように物事が進まなかったり……。 ……と、今年が物足りない1年だったことをすべてコロナのせいにしようかと思いましたが、本音を言うと「自分の頑張りが足りなかっただけでは?」と、情けない気持ちになる自分もいることをここに書き留めておきます。
    それでも、自信を持ってやり遂げたと言えることもあって、それは、今年は去年より映画を沢山観れたぞ! ということです。 思う存分インプットできた1年になったので、来年はアウトプット、ゴジラで言うと第3形態から第4形態のように変化し、地に足をしっかりつけ、熱腺を放出できるような1年にできたらいいなと思います。
    さて、今回は2020年の映画総括ということで、毎年恒例の映画ベスト10を発表したいと思います。 私のベスト10は、今年劇場公開がされた作品の中から選んでいきます。
    今年は、面白い作品が多かったので、悩みに悩みました。 昨年は、迷わず『アベンジャーズ/エンドゲーム』を1位にしたのですが、正直、今年はTOP3までは全部1位にしたかったくらいで、めちゃくちゃ苦しんで順位をつけました。
    では、早速10位から発表していきたいと思います!
    10.『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』

    今年公開された、ウディ・アレンの新作です。 養女に対する幼児虐待疑惑で炎上し、ここ数年ハリウッドから追放状態にあるウディ・アレン。 その影響でアメリカではお蔵入りとなった本作でしたが、日本では今年の7月に公開が実現しました。 この件については、まだ心のモヤモヤが拭いきれていませんが、だからと言って事件の真相がわからないまま、あーだこーだと部外者である私が何も言う権利はないと思っています。 もちろん、性的な虐待、暴行、暴力は容認しません。 ですが、この情報が錯乱しているなかリンチかのように集中的に石を投げ続けることはとても虚しいですし、映画や映画作家を社会的に抹殺することについても疑義を持っています。 ウディ・アレンを好きになってから、新作は毎回映画館で観てきた私ですが、今回は劇場で観る気が起きず、最近になって気持ちが落ち着いて、ようやく鑑賞することができました。
    単刀直入に言うと、これを映画館で観なかったのは、ウディ・アレン作品のファンである私からすると惜しいことをしたなぁと思います。 ウディ・アレンの代名詞でもある、NY。  『それでも恋するバルセロナ』('09)、『ミッド・ナイト・イン・パリ』('11)、『ローマでアモーレ』('13)など、ヨーロッパ編も大好きですが、生粋のNY派であるウディ・アレンが描く『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、特別としかいいようがないNYへの愛がたっぷり詰まったラブレターでした。 やはり、NYを撮らせたら天下一品、右に出るものはいないと思います。 カーライルやピエールといった、最高のクラシックホテルを舞台に、大学生カップルのティモシー・シャラメとエル・ファニングがNYという街に翻弄されていくのですが、もうこのキャストの絵面だけでも相当に眼福です。 親のスネをかじりながら、ギャンブルで儲けたお金で彼女と高級ホテルに泊まるティモシー・シャラメは本当にどうしようもなく情けない奴なのに、その気だるい色気にやられてしまうんですよね。 ティミーったら罪な男(ティモシー・シャラメ愛が止まらなすぎて最近は愛称で呼んでいる私)。
    そして、この映画のタイトルにも入っている雨というモチーフですが、 ウディ・アレンは「雨はロマンスや愛を象徴している」と、語っていて雨のNYを超ロマンチックに演出しているんです。 たまたま映画のエキストラをすることになったティモシー・シャラメがセレーナ・ゴメスと雨のなかキスするシーンは、『ミッド・ナイト・イン・パリ』のラストシーンに並ぶほど良かったです。 ウディ・アレンは魔法をかけるかのように一番良いシーンで雨を降らせるのですが、雨が降るからこそ一番良いシーンになるのかもしれません。 けれど、物語としては前作の『女と男の観覧車』('18)やその前の『カフェ・ソサエティ』('17)と比べるとキレを感じられず、変に小さくまとまってしまった終わり方だったなぁと思います。 私的にウディ・アレンは、"憧れ"の舞台で"憧れない"物語を描いてきた監督だと思っているんですが、もう少し人生の渋さや苦さが可笑しく思えるスパイスが欲しかった……ということで、少し辛めに、10位としました。
    9.『ナイブズ・アウト/名探偵と刀の館の秘密』

    『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』('17)で我々スター・ウォーズファンを奈落の底に突き落としたライアン・ジョンソン監督のミステリー映画。 ヒドイこと言うかもしれないですけど、多分これを期待して観る映画ファンはあんまりいなかったんじゃないかと思うんです。 だって、スター・ウォーズをハチャメチャにしてくれた、信頼も何もない、あのライアン・ジョンソン監督ですもん。 でも、これが面白かっ…………たんですよ。 「どひゃーーーー‼‼ あんた、やるじゃない!」みたいな(笑)。
    「007」シリーズの完全無敵なジェームズ・ボンドとは一味違い、ちょっと頼りなくて胡散臭い探偵ダニエル・クレイグがある金持ち一家の殺人事件の真相に迫っていくんですが、物語はものすごくベタな展開になるかと思いきや、出てきたのは現代的で新しさを感じるハイセンスミステリー。完敗でした。 途中で一旦わかった気になっていたら、ラスト30分くらいで更に面白くなるんです。 そして、何よりオチが最高にシャレていて、このラストシーンだけで白飯5杯……いや盛りすぎました。3杯はイケます。 監督ライアン・ジョンソンに「スター・ウォーズの件はボロクソ言ってごめんね」と謝りたくなるほど、老若男女楽しめるエンターテイメントとして仕上がっていて、ここ数年のミステリーで群を抜いて痛快でした。
    彼の次作が楽しみです。
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  • 『The Witch/魔女』──キム・ダミという名の感情凶器|加藤るみ

    2020-11-17 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第10回をお届けします。今回ご紹介するのは、平凡な女子高生が秘められた力を覚醒させ、天才サイキッカーとして戦うアクション映画、『The Witch/魔女』です。2018年に公開され、韓国国内では観客動員数318万人を超える大ヒットとなった本作。洗練されたサイキックバトルの演出と超展開のストーリー、そして新人賞を総なめにした主演女優の名演技が光る本作の魅力を語り尽くします。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第10回  『The Witch/魔女』──キム・ダミという名の感情凶器
    おはようございます。加藤るみです。
    いきなりですが、私、映画で描かれる「水中キスシーン」が大好きなんです。 以前、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のコラムでもチラッと書きましたが、これはもうフェチの域なんですね。
    そんな私が最近、「水中キスシーン」に匹敵するくらいツボに入ったフェチなシーンを見つけてしまったんです。 それは、何かを食べながらのキスシーン。略して「ながらキスシーン」です。 これにハッとしたのは、11月27日から公開の『ヒトラーに盗られたうさぎ』の試写を観た時でした。 この作品は、ナチス迫害を逃れるため、故郷ドイツを離れ、過酷な亡命生活を強いられることになった家族の物語です。貧困や差別、苦しい環境のなかで生きる希望を見出していくんですが、夫婦のささやかな幸せを描いているシーンがとても可愛らしかったんです。 お金がない中、明るく家庭を支える奥さんに旦那さんがチョコレートケーキを買ってあげて、公園のベンチで2人だけの時間を過ごす。そのケーキに奥さんがガブーッとかぶりついて、そのチョコレートケーキを食べながらキスするシーンが、もう最高にロマンチックで……。
    そのシーンを見た時、なにかビビビビーッと電流が走ったんです。あ、私が探し求めていたのは「……これだ‼‼」と(笑)。 もう、口周りとかもチョコレートでベタベタなんですけど、それが良い! それが可愛いんです!
    さらに、そのシーンを観て記憶の扉が開いて、思い出した作品が『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』('97)。劇中で、マット・デイモン演じる主人公・ウィルが初デートでハンバーガーを食べながら彼女にキスするシーンがあるんですが、そのシーンがたまらなく好きで……!キスしたあと、ミニー・ドライヴァー演じるスカイラーが「I think I got some of your pickle! 」と言う、ザ・アメリカンな返しが最高に微笑ましい名シーンです。 そのシーンを思い出して「ああ! これも『ながらキス』だ!」と、ニヤニヤしてしまいました。 この、しょうもないようで私にとってはとても重要な世紀の大発見「ながらキス」について、これからしっかりと研究していきたいと思います。「水中キスシーン」や「ながらキスシーン」をもし見つけた方は、ぜひ教えてくれると嬉しいです。
    さて、今回ご紹介する作品は、『The Witch/魔女』(’18)。 NetflixやAmazon primeなどで配信されている韓国映画で、韓国では観客動員数318万人を突破した超ヒット作品です。

    ▲『The Witch/魔女』
    ……なのですが、実はこの作品、日本では全国ロードショーではなく、2018年にシネマートさんなど、一部の映画館の企画上映で上映されたのみ。 なので、私も劇場では観れず、配信で観て、「何コレ⁉ めちゃくちゃ面白いんですけど⁉」と、衝撃を受けました。
    なのにこの作品、意外と話題になっていない……!
    「WHY⁉⁉」ということで、今回ご紹介したいと思います。 韓国映画好きな方はもちろん、コロナ禍で大流行した韓国ドラマ『梨泰院クラス』(’20)にハマった人には特にオススメしたい作品です。
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  • 『オン・ザ・ロック』──浮世離れした「彼女の物語」から「私たちの物語」へ|加藤るみ

    2020-10-07 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第9回をお届けします。今回ご紹介するのは、巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘、ソフィア・コッポラ監督の最新作『オン・ザ・ロック』です。昔ながらの破天荒な父と現実主義者の娘がマンハッタンの夜を駆け巡る冒険を面白可笑しく描いた本作。今までスーパーセレブ独特のきらびやかな世界観を描いてきた彼女の作風にはいまいちハマれなかったというるみさんですが、本作は傑作だと太鼓判を押します。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第9回 浮世離れした「彼女の物語」から「私たちの物語」へ──ソフィア・コッポラ『オン・ザ・ロック』
    おはようございます。加藤るみです。 今回は、私が今までハマれなかった、ある監督の最新作を紹介します。
    正直、これまでまったくと言っていいほどピンとこない監督だったんですが、この作品をキッカケにどうしようもなく大好きになってしまいました。
    ご紹介する作品は、『オン・ザ・ロック』。 Apple Original FilmsとA24が製作を手掛けた、ソフィア・コッポラ監督の最新作です。
    言わずと知れた映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘、ソフィア・コッポラ。 彼女の映画は絵画のように美しいビジュアル、ポップでキュートな衣装やハイセンスな音楽が特徴で、まさに誰もが憧れる煌びやかな世界が広がる、ガールズムービーのレジェンド的存在です。
    誰もが憧れるゴージャスな生い立ちを持ち、時には偉大な父を持つ二世ならではの苦悩さえも武器にする、自伝的要素が強めな作品の数々。 地位も名誉も兼ね備えたスーパーセレブ独特の目線で描かれていて、クリエイティブな才能に溢れた映画一家で育ったからこその育ちの良さがビシバシ伝わってきます。
    特に、アカデミー賞で脚本賞を受賞した『ロスト・イン・トランスレーション』('03)は、小さな頃からハリウッドで育ち、よく父の仕事についていったという、映画界をその目で見てきた彼女にしか作れない映画になっていると思います。 前夫であるスパイク・ジョーンズ監督とのすれ違いをインスピレーションにしていたのも明白で、非常にプライベートフィルム的要素の強い作品です。
    セレブのかったるい日常を優美に描いた『SOMEWHERE』('10)もまた、自伝的要素が強い映画で、エル・ファニングの可愛さだけが印象的でした。
    さらに、実際にあったティーンエイジャーの窃盗事件を基にしたクライム・ドラマ『ブリングリング』('13)では、何不自由なく育った裕福な少年少女が欲を満たすため遊び感覚で窃盗を繰り返すという、凡人には到底理解できない危うい感覚やギラつきを描いています。
    というように、ソフィアの映画はわりとしっかり追ってきたつもりですが、最初に書いたように、これまではいまいちハマれず、ときめきを感じることができなかったんです。
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  • 『シンプルフェイバー』──「これは誰にも言わないでね」の恐ろしさ|加藤るみ

    2020-09-16 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第8回をお届けします。今回ご紹介するのは、1人の女性の失踪をきっかけに明らかになっていく女同士の秘密を描いたサスペンス『シンプルフェイバー』。「これは誰にも言わないでね」とラフに打ち明けられる、薄っぺらくも心をざわつかせる「秘密」の恐ろしさを描いた本作の魅力を語り倒します。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第8回『シンプルフェイバー』
    おはようございます、加藤るみです。
    8月も終わり、もう9月半ば。 今年もあっという間にあと残り約3ヶ月になってしまいました。
    先月は『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』について書きましたが、かなり好調らしく……! 沢山のミニシアターで満席が続出し、公開劇場の拡大まで決定という、このコロナ禍では異例のヒットを飛ばしています。 公開前から自信を持って「コレは良い!」と、イチオシしていた作品なので、心の中でドヤ顔をしています。
    評判を検索してみたところ、毛色のまったく異なる作品ですが、去年アカデミー賞を受賞した『パラサイト』と同じような現象が起きているようで、TwitterやInstagramなどSNSでの盛り上がりに比例して、あまり映画に興味がない層にもジワジワと届いているようです……(映画ヲタの私はこれが一番嬉しい!)。
    『パラサイト』はネタバレ厳禁というメッセージと、なんと言ってもアカデミー賞という最高の宣伝ワードがありましたが、「なんか流行ってるから観に行こう」と映画館に脚を運ぶミーハー層が、いまの映画界にとってめちゃくちゃ大事な存在だと私は思っていて、そう思わせることが、これからの映画マーケティングに必要なことかもしれないと『パラサイト』『ブックスマート』の一連の流れで痛感しました。 今年の作品では、『ミッドサマー』もミーハー層を上手く取り込めていた印象があります。
    もちろん作品が面白く、魅力的であることは大前提ですが、一連の動きを見ていると、作品をどう届けるかが大事なのだと考えさせられます。
    ……と、いち映画ファンの戯言をつらつら書いたところで……(これについては語り出すと止まらない)。
    今回はNetflixで見つけた掘り出し物を紹介します。 久々に「こんな傑作を見逃していたとは!」と、劇場で観なかったことを後悔しました。 去年公開の作品ですが、リアルタイムで観ていたら確実に年間ベストに入れていたでしょう!
    タイトルは、『シンプルフェイバー』(’19)です。

    ▲『シンプルフェイバー』(画像出典)
    ダーシー・ベルのミステリー小説『ささやかな頼み』を原作に『ゴーストバスターズ』('16)『ラストクリスマス』('19)のポール・フェイグ監督が映画化したサスペンス作品です。 サスペンスと謳っているものの、ひねりあるコメディ要素が効いていて、テンポ良くラフに観れるスッキリ感が大好きでした。 なんといっても、女同士のバトルが見もの! 主演のアナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーが良い意味で「混ぜるな危険!」な組み合わせで、この二人の対比がなんとも面白かったです。
    夫を事故で亡くし、ニューヨーク郊外で子育てをしているシングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)が、子供と同じクラスに息子を通わせるエミリー(ブレイク・ライブリー)の自宅に招かれます。 華やかなファッション業界に身を置き、小説家の夫と豪華な家に暮らしながらもどこかミステリアスなエミリーと、夫の保険金を切り崩しながら、必死に子育てをしているステファニー。 対照的なステファニーとエミリーですが、徐々にお互いの秘密を言い合えるほど意気投合するようになっていきます。 しかしある日、エミリーはステファニーに息子を学校に迎えにいってほしいと頼み、そのまま姿を消してしまうのです…。
    この作品の重要キーワードは「秘密」です。
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