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記事 19件
  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第19回 ところ変われば化粧変わる、中東コスメ展示会

    2019-05-16 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今回は中東のコスメ事情のレポートです。女性の美しくありたいという思いは万国共通。顔の大部分を隠すイスラムの女性も、目元を中心におしゃれには余念がないようです。中東で人気のつけまつげやネイル、さらに日本や中国、韓国の化粧品の評判について報告します
    慎ましく、でももっと美しく
    日本も中東もそろそろ春から夏の陽気を感じる季節になってきました。これから中東は気温が上がり、30度を超える日が増えてきます。こう暑くなるとそろそろ紫外線の心配をする季節になってきたとも言えます。日本よりも紫外線量の多い中東はお肌のケアも欠かせないですが、今回はビューティーワールド・ドバイを通じて現地の「お化粧事情」をご報告致します。
    ▲ビューティーワールド・ドバイ入り口
    ビューティーワールドは世界各国で行われている化粧品、ネイル、美容機器、ヘア、スパなど美容に関わるものの最新の製品、サービスを見ることができる美容系の総合見本市です。ドバイでは2019年4月15日〜17日の間に、日本でも2019年は5月13日〜19日の間に東京ビックサイトで開催されています。ドバイでは3日間の間におおよそ約2000社、3〜4万人の来場があるイベントです。
    ▲ビューティーワールド・ドバイ会場内
    会場では化粧品の香りだけでなく、様々な香りをつけたボディケア製品、オーガニック石鹸の香り、アラブでは多くの人が身につける香水の特設ブースから漂う独特の香り、スパゾーンから漂う香り、ヘアケア製品の香りなど男性の私からすると、日頃慣れない多くの香りに包まれて鼻が混乱していました。有名なブランドの新作発表や宣伝広告だけではなく、化粧品原料、OEM生産、製造装置、測定装置など幅広い分野の広告や展示品が並んでいました。
    ▲スパゾーンの実物を試すバイヤー、来場者
    ▲メイクアップ実演とメイクアップ後のモデルの女性たち
    ▲ヘアサロンのテクニック講習まで行われていました
    所変われば化粧も変わる
    日本で美容、ケアに関して最初にイメージするのは「お肌」と考える方が多いかもしれません。それに対してアラブの女性は化粧をする際にどこに一番力を入れるのかと聞かれれば多くの人は「目」であると答えるでしょう。そして二番目は「手元」(爪とも)ではないかと考えられます。 これはアラブの女性の多くが顔をヴェールで(正確にはヒジャブやニカブ)隠しているため露出の機会が一番多い部分が「目」のゾーンであるためです。そして日常生活の中でどうしても晒すことになる部分に手元があります。アラブの伝統的な装飾であるヘナ(ヘンナとも言います)はまさに中東〜南アジアにおける手の装飾の代表と言えます。 そんな伝統を証明するかのように会場の中ではムガル帝国時代創業のアイケア製品の会社もブースを構えており、伝統的な製品だけでなく新しいラインナップを揃えていました。
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  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第18回 断交後のそれぞれの国〜牛乳とパトリオットミサイル〜

    2019-04-16 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。前半は断交後のカタール国内の様子です。現在、中東5カ国との交流を断っているカタールですが、トルコなどの支援と自国産業の育成により、物資は充分に供給されている様子です。後半は中東の武器見本市「IDEX」と最新の武器輸出状況から、中東諸国の軍事的パワーバランスを読み解きます。
    断行後に勃興するカタール地場企業
    第2回(参照)、第10回(参照)の記事でサウジアラビア、アラブ首長国連邦とカタールの断交について書かせていただきました。 私も所用があり断交後のカタールを久しぶりに訪問致しました。その中で第2回目の表紙写真を飾ったネオジオを楽しんでいたカタールのオタクや、カタールの友人たちと断行前後の様子を聞いたり、生活の変化について聞いたりしました。景気という点では断交の影響を受けた物資の高騰が考えられますが、政府の支援が入るので庶民の生活には大きな影響がない様子でした。
    ▲カタール内にあるSPARのスーパーマーケット
    スーパーマーケット内にあるものの多くは主にオマーン産、トルコ産やイラン産などが目立つようになりました。それと同時に自国の産業の育成に力を注いだ結果か自国産、カタール産のラインナップが増えました。
    ▲国交を持つ国々から輸入されたフルーツや果物が並べられている。
    ▲前回取り上げた雪見だいふくも大型になりました。日本円で約1000円
    ▲カタール産のトウフ約300円、左横にあるのはSHIMEJI約450円
    ▲DOHAマークのロゴが入るカタール産の鶏肉
    そして連載第10回には、ヨーロッパからの乳牛の大輸送とカタール自国の乳製品ブランドの確立について書きましたが、この約1年の間にカタールブランド「BALADNA」の躍進は目覚ましいものがありました。
    ▲「BALADNA」のショップに並ぶカタール乳製品の数々。カフェも絶品
    ▲各スーパーマーケットで陳列されている「BALADNA」の牛乳。政府補助もあり安価。
    また、カタール産ブランドには前述の「BALADNA」だけではなく「DANDY」「RAWA」という名前のブランドもあります。いろいろな販売店でそれぞれのブランドが切磋琢磨している印象がありました。サウジやアラブ首長国連邦との断交後、確保が難しかった乳製品はこの2年の間に育成され、カタール国内の乳製品の供給を充分にこなしていると言えます。
    ▲カタールへ乳製品を供給する「BALADNA」のトラック
    ▲各スーパーマーケットに並ぶヨーグルト(1kg 180円)BALADNAとDANDY
    また乳製品だけではなく、スーパーマーケットの中でカタール産の靴下を見つけました。湾岸諸国のほとんどの国で、繊維系の商品はエジプト産やインド産が多いですが、湾岸諸国の中で作られるケースは珍しく、政府補助を強く受けているとは言え、食品だけではない様々な製品の自国産育成を目指すカタールの姿勢を強く感じました。断交はまだまだ長く続くが、カタールはなかなかしぶとく生き残るのではないか、と感じるカタールのレポートでした。
    ▲カタール産の靴下、4足セットで700〜800円
    アラブ首長国連邦武器見本市「IDEX」
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  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第17回「YUZU」は中東にどれだけ響くのか?

    2019-03-19 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。以前も取り上げた中東最大の食の見本市・ガルフードですが、今年は日本食の中でも「お茶」や「柚子」が特にプッシュされ、香りにうるさい中東の人々も興味津々だった模様。後半は、断交中のカタールとUAEが準決勝で激突したAFCアジアカップのスタジアムの様子を報告します。
    食の見本市「ガルフード」の今年の見どころ
    第11回の記事「中東で日本食はどれだけ通用するのだろうか?」においてドバイのガルフードについての記事を書きました。この2月に行われたガルフードについて、再度レポートすると共に、中東現地で活躍しようとする日本企業や日本の製品についてもお知らせいたします。
    ▲ガルフード2019年の会場
    今年の中東の食品・飲料見本市のガルフードは去年と同じく大盛況でした。このイベントでは2019年の2月17日から21日までの5日間の間行われます。出展者は約4000社近くで来場者数は10万人近くのイベントです。 去年と比べて驚いたことに、変な気づきとも言えますがコンパニオン女性の露出の高さがあります。ドバイは他の湾岸諸国に比べて色々と規律がオープンな環境と言えますが、それに拍車がかかってきた印象があります。 一例としては、ヨーロッパの乳製品の会社のコンパニオンの、「MILK RICH」というTシャツを着た、乳製品を扱うにふさわしいお姉様達の存在があります。このブースはかなり人気で、ヨーロッパの乳製品に興味があるのかないのかわかりませんが、多くの人、多くの男性が集まっていました。
    ▲「MILK RICH」のTシャツを着込んだお姉様たちが乳製品を紹介してくれます。
    食品とは関係ないですが、このような露出度が高いコンパニオンが許されるようになったことはかなり驚きで、今後このような流れがどんどん拡大していくのか、あるいは規制されていくのか気になるところです。コミコンなどのコスプレに関しての規制も、露出が高いものに関しては今では許されていますが、今後どのようになるか同じく興味深いです。
    さて、話を食品に戻すと、日本でも最近力を入れている和牛の輸出ですが、オーストラリア産の和牛すなわち「WAGYU」が展開されていました。中東の高級店ホテルやレストランでも、日本産の和牛ではなく、オーストラリア産のWAGYUを多く見ることができます。昨今のニュースでもあるように、日本の品種改良された和牛は世界各国から狙われていると言えます。日本の和牛は中東ではまだまだ展開しておらず、展開する前にオーストラリア産や中国産などに市場を蹂躙される可能性が高いと言えます。それに対して日本産がどのように戦うべきなのか、今後の課題とも言えるかと思います。
    ▲アンガスビーフと共にWAGYUを扱うオーストラリアの業者のブース
    また飲料においては近年、中東の大きな動きでもある健康税とも言うべき清涼飲料水に対する税金の付加があります。宗教上の理由でお酒が浸透しない代わりに、コーヒーやエナジードリンクなどカフェインが多い飲料を飲むことが多い中東において、エナジードリンクは数多くのバリエーションが出ています。世界各国のエネジードリンクが現地のマーケットに自社製品を浸透させようとプロモーションに余念がありません。様々な味や高カフェイン、パッケージなどで差別化の努力を行なっている様子でした。
    ▲「emoji」と言う名前のドイツのエナジードリンクとカザフスタンのお姉さん
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  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第1回 中東で一番有名な日本人?(PLANETSアーカイブス)

    2019-03-15 07:00  
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    今朝のPLANETSアーカイブスは、「中東で一番有名な日本人」とも言われる鷹鳥屋明さんの連載の第1回です。サウジアラビアのサルマン国王に関する報道でテレビ出演をしていた鷹鳥屋さんは、日本での偏った報道について憤りを感じていました。中東やアラブに造詣の深い鷹鳥屋さんの視点から、中東のイメージと現実のギャップについて語っていただきました。 ※この記事は2017年5月16日に配信した記事の再配信です
    【告知】 鷹鳥屋明さんが、3月18日(月)に開催されるオンラインサロン・PLANETS CLUBの第13回定例会で、ゲストとして登壇されます。イベントチケットはこちらで販売中。PLANETS CLUB会員以外のお客様も購入可能です。ご参加お待ちしております!
    中東で一番有名な日本人?

    ▲バーレーン、マナマの友人の結婚式にて
    はじめまして、鷹鳥屋明(たかとりや あきら)です。現在日本と中東を繋ぐベンチャー企業で商品企画の仕事をする傍ら、日本文化や日本のポップカルチャーを中東全域に広める活動を個人で行っております。「中東で一番有名な日本人」という少し大げさなタイトルにはなっておりますが、上記活動を継続し私人として中東各国の日本のことに興味がある、日本に興味があるアラブ人の方々はだいたい知っている、現地中東大手メディアに出演を繰り返し、InstagramやTwitterでフォロワーの合計がアラブ地域で合計9万人くらいまでになり、Like数も250万を超える、くらいに知名度を上げることができました。

    ▲サウジアラビア、キングダムタワーにて講演私自身、中東・アラブという地域に触れてまだ6年程度で多くの諸先輩方を差し置いて色々お話することは大変おこがましいですが、この常時何万人ものアラブの方々からの繋がりから集めた情報や現地の人たちの意見などを交え、日本から離れており知り得る機会が少ないこの中東地域について、私自身が学んだことや感じたこと、知り得たことを皆様に共有し、少しでも正確な情報をご提供できればと思います。このような機会を与えてくださったPLANETSの方々に感謝致します。
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  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第16回 日本の書籍はどこへいったのか?世界3番目のブックフェアにて(後編)

    2019-02-07 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。前編に引き続き、中東最大の本の見本市「シャルジャ・ブックフェア」のレポートです。子供向けの絵本や知育玩具では、イスラム文化圏らしくムハンマドやコーランを題材にしたグッズが充実。「忍者」や「和食」など、日本文化を紹介するワークショップは、現地の人々に大人気だったようです。
    アラブ世界ならではと言える知育・玩具紹介
    前編でお話したシャルジャ・ブックフェア、残念ながら日本の書籍をほとんど見ることができない(一部有志による出版社の出店を除く)今回の書籍イベントですが、この日本から遠い場所で開催されているこの会場では日本人である我々にあまり馴染みのない珍しい品々を見ることができます。
    ▲シャルジャ・ブックフェア内、学生と教師で溢れる様子
    現在、アラブ諸国の人口ピラミッドは末広がりの構造になっており若年層が厚くなっております。そのためその若年層向けの書籍や商品の比率がとても高いと言えます。大量の絵本や漫画の類が若年層向けに展開されているのは当然と言えますが、その中でも日本の絵柄やデザインをコピーしたものを垣間見ることができます。
    ▲日本の漫画の影響を少し受けたようなUAE現地の漫画作品
    さらに中東のご当地ならでは、と言えるグッズがあり我々日本人にはなかなか珍しいものが多く、見応えがあると言えます。
    ▲シリアの出版社によるアラビア語・知育グッズコーナー
    書籍だけではなく子供達が楽しく学べるような工夫を凝らした作品は特に見応えがあります。学校教育系の工夫を凝らした知育グッズはいくつかありますが、そこは日本やヨーロッパと大きな差はありません。ですが、大きな違いは若年層向けの宗教教育にあると考えられます。それらをピックアップしてみましょう。 私のオススメはお人形の「タリアちゃん」。左手にあるボタンを押すとイスラームの聖句を唱えるというお人形遊びと宗教教育を両立させた人形です。
    ▲聖句おしゃべり人形タリアちゃんとその笑顔
    このタリアちゃん、左手のボタンを押すと女性の声でクルアーンの聖句を奏でます。また「聖なる玩具」という点では預言者ムハンマドの一生を辿る双六(すごろく)もありました。このゲームもなかなか手が込んでおり面白いのが、聖地各地を巡る中でコマの中にイスラームの教えが書かれていたり、物語を進めるにあたり必要な服やテント、巡礼用の道具などを買わないといけなかったり、となかなか実際の生活に即した内容になっています。どちらかというと双六というより人生ゲームと言った方が近いかもしれないですが。
    ▲左、預言者ムハンマドの生涯を辿る双六(人生ゲーム)
    このように宗教関連の児童教育本はかなり充実しており本だけでなく玩具の類も多くあります。子供のうちからイスラームとして模範的な生活とはなんなのか、を学ぶツールのバリエーションの多さを感じます。
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  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第15回 日本の書籍はどこへいったのか?世界3番目のブックフェアにて(前編)

    2018-12-06 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。アラブ首長国連邦で行われるシャルジャ・ブックフェアは、約200万人が訪れる、世界第三位の規模を誇るブックフェアです。今回は日本がホスト国として招かれましたが、日本の出版文化を広く知らしめるような展示は難しかったようです。
    大規模書籍見本市、シャルジャ・ブックフェアとは?
    皆様は「ブックフェア」というイベントをご存知でしょうか? 出版物の催事セールや展示会のことで、本や書籍の見本市と言えるイベントです。主に出版関係者のためのイベントではありますが、本のバーゲンセールも行われるため、一般の方々が本を買いに来るイベントでもあります。 この本の見本市で、世界最大の規模と言われているのがドイツのフランクフルト・ブックフェアになります。こちらのイベントは5日間、7500社近く展示と28万人の来場者数を誇るイベントになります。それに対して中東において有名なのが、エジプトのカイロ・ブックフェアと、アラブ首長国連邦で行われるシャルジャ・ブックフェアになります。シャルジャという国には馴染みがないかもしれませんが、シャルジャ(シャールジャ)首長国はドバイの北にあるアラブ首長国連邦を構成する首長国の一つで、ドバイのベットタウンとして有名な街です。シャルジャのトップであるスルタン3世首長は学術、文化関連へ注力しており、スルタン3世自身もシャルジャの大学の学長を兼ねているなど、力の入れようを感じられます。
    ▲ドバイの北にあるシャルジャ首長国。東京をドバイとするならシャルジャは埼玉のようなポジション
    ▲ブックフェア初日にご来場されたシャルジャ首長のスルタン3世
    さてこのシャルジャ国際ブックフェアですが、その規模はかなり大きく、近年カイロ・ブックフェアが行われていないこともあり、世界第3位、中東最大規模のブックフェアと呼ぶに相応しい規模になっています。イベントは11月上旬の11日間で、世界77カ国から出版社は1874社、来場者数は238万人と大変大きな規模になっております。この238万人という数字は、入場無料、期間の長さ、再入場カウント、周辺首長国から小学校から高校生までを動員しているといった背景から、これだけの数になっていると考えられます。 現在、このシャルジャに続いて他の首長国、アブダビやアルアインなどもブックフェアを行なっていますが、1982年から継続してブックフェアを行なっているシャルジャには、まだまだ規模と認知度は及ばないのが現状です。
    ▲多くの人が訪れるシャルジャ国際ブックフェアの様子
    名誉招待国、日本がホスト国に任命された2018年
    日本と距離が離れていることや、英語ではなくアラビア語というある種特殊な言語圏で、日本の書籍はほとんど翻訳されていないといった様々な要因があるためか、このシャルジャ国際ブックフェアは残念ながら日本ではほとんど認知されていません。さらに前述のフランクフルト・ブックフェアと時期が被ることから、参加を敬遠されてきたという事情もあります。世界において出版大国の一つである日本ですが、これまではほとんど参加できていなかったのが実情でした。 しかし今年は少々様相が変わり、日本も無関係ではなくなりました。2018年は日本が名誉招待国として招待されることになったからです。去年の名誉招待国は大英帝国イギリスでした。招待されたイギリスは広告会社ブリテッシュ・カウンシルと連携し、多くのイベントを行いました。招待された人々も、英国版ヴォーグ誌前編集長のアレクサンドラ・シュールマン氏、英王室伝記作家のクラウディア・ジョセフ氏、英国人ジャーナリストのサーフラズ・マンズール氏、作家のニール・ムカージー氏、ロンドンブックフェア総責任者のジャック・トーマス氏など、現地や周辺諸国において高名な方々が出席しました。ホスト国であるイギリスはアラブ湾岸諸国に数百万人規模のインド人が住んでいることを把握しており、その層を狙ったイギリス系インド人の作家を招聘したところが見事でした。 さて、今回の日本ですが、シャルジャ政府側が日本を選んだ理由としては、文化や社会の進歩に重要な書籍を展開し、世界的に文化的成果をもたらしている点を評価したためです。中東地域においても三島由紀夫、村上春樹、カズオ・イシグロなどの著名な日本人小説家の作品がアラビア語訳されており、文化分野の育成につながっているというコメントがなされています。 ですが、いざ開催されたシャルジャ国際ブックフェア、不思議なことに今年のオープニングセレモニーで名誉招待国である日本について言及されることはほとんどありませんでした。また日本の総領事の講演や登壇もありませんでした。
    ▲オープニングセレモニー会場、名誉招待国の日本について高官からコメント無し
    これは不思議なことです。今までテーマ国に選ばれた国がこのような対応を受けることはありませんでした。これはなぜでしょうか。その原因を知るためには、この200万人以上が来るイベントで、在ドバイの日本領事館がどのようなパビリオンを展開したのか、という点がそれを解く鍵になるかと思います。
    日本の書籍はどこへいった?日本の文学は鯉とケーキと乳酸菌飲料?
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  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第14回 日本のホンモノはどこにあるのか?――深刻化する版権無視商品と日本の正規品の所在

    2018-10-09 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今回は、中東で広がる“偽”日本産商品についてです。日本で人気のチーズケーキは、中東にも進出していますが、そっくりな商品が現地企業で作られていたり、日本のオタクグッズの非正規コピー品が大量に流通していたり……。その背景には、日本のライセンス権利者の動きの悪さもあるようです。
    「プルプルのチーズケーキ」戦争
     日本のスイーツは世界のどこでも人気、それは中東の方々が相手でも例外ではありません。  夏休みや秋休みの時期に来日したアラブ人は日本で食べられる甘味の数々を堪能しており、中東の有名人たちが拡散することでその商品は益々有名になります。この中東で有名になった日本製の甘味の数々を、ぜひ自分たちの国でも食べたい、展開したいという声が多くあります。  その声にしっかり答えている日本企業も存在しており、例えば鳥取の寿スピリッツという会社のブランドでアラブ首長国連邦で10店舗近く展開している「YAMANOTE ATELIER」という日本式のパン屋さんは、かの有名なドバイモールの中に店舗を持ち、アラブ人だけでなく世界中の観光客に広く受け入れられています。商品のレベルも高く、今後王道の日本式のパン屋として益々の展開が期待されるブランドです。
    ▲YAMANOTE店舗の写真 多くの女性が日本式パンと共にカフェを楽しんでいる
     このように日本式のパンや甘味も徐々に進出している中で、最近特に目立つものに「プルプルのチーズケーキ」があります。日本でも人気のチーズケーキの「りくろーおじさんのチーズケーキ」「てつおじさんのチーズケーキ」などのブランドをご存知の方もいるのではないでしょうか?  これらのケーキのブランドは今世界中でも大人気で、もちろんアラブ地域においてもその人気は例外ではありません。アラブ人の観光客の人たちが、「りくろーおじさんのチーズケーキ」は大阪周辺だけで売られていることを知らずに東京に来て、『都内のどこに「りくろーおじさん」のお店はあるのか?』という問いかけを過去に私も何度かされたことがあります。  実際に海外進出の引き合いがあるこれらチーズケーキの中で、「てつおじさんのチーズケーキ」は「UNCLE・TETSU」の名前で、サウジアラビア、クウェート、オマーン、カタール、バーレーン、UAE(アラブ首長国連邦)など幅広く展開しています。
    *ポイントなのは通常のチーズケーキや濃厚なチーズケーキではなく「プルプル」であるということですので、この後「プルプル」という言葉が多用されることご容赦ください。
    ▲サウジアラビアのダンマームにあるショッピングモール内の「てつおじさんのチーズケーキ」店舗
    ▲湾岸アラブ諸国で展開する「てつおじさんのチーズケーキ」
    ▲チーズケーキの現地価格は通常版は約900円、チョコレート入り960円
     私もサウジアラビアの店舗を訪問し食べたことがありますが、味は日本で食べたものとは変わらず美味しくいただけました。ですが、全ての企業が進出しているわけではなく、その穴埋めは現地ブランドにより補填されていると言えます。
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  • 鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第13回 中東とゲームの関係、中東に本当に廃課金ユーザーは多いのか?

    2018-09-11 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。中東でもゲームは大人気の娯楽。スマホのアプリゲームに多くの人がお金と時間を投じているほか、90年代の日本の名作RPGを強く意識した国産ゲームも開発されているようです。知られざる中東のゲームカルチャーについてレポートします。
    今年の日本の夏も大変暑いですが、中東の夏も40度を超え、場所によっては60度を超える場所もあります。湿度がそこまでないので不快感はないですが、海側の沿岸部に行くと湿気があるのでなかなかきついです。 そして夏の時期は現地の人は外に出ることなく、家でテレビをみるか、ビデオゲームで遊ぶか、インスタグラムやスナップチャット、SNS、そして携帯電話でプレイをするアプリゲームを楽しんで時間を潰したりします。娯楽が今まで少なかった中東では携帯電話による手軽な娯楽が生活の中に溶け込んでいきました。
    ▲中東のゲームショップの様子
    2015年のデータになりますが、約750人の日頃アプリゲームを楽しむサウジアラビア人に調査したデータによると(出典:©Amir・Bozorgzadeh許可取得済み)サウジアラビアで1日に1時間以上アプリゲームを行う層は全体の53%で、さらに1日5時間以上ゲームをする、と答えた層は全体の12%を占めています。
    ▲サウジアラビア人ゲーマーの1日当たりのアプリゲームプレイ時間
    日本でもよく言われますが、ゲームにおいて課金という要素はとても大きなものです。廃課金という言葉がありますが、アラブの課金ユーザーはどのくらい課金しているのでしょうか?
    ▲サウジアラビアゲーマー1ヶ月当たりの課金額データ(1SAR=30JPY)
    グラフ上の「SAR」はサウジアラビアリヤルの略で1SARは日本円で約30円になります。 月々の課金が1500円〜3000円が約61%、3000円〜1万5000円が26%、1万5000円〜3万円が9%、3万円以上が4%となります。 サウジアラビア人もかなりの時間とかなりの額をアプリゲームに費やしていることがわかります。
    ▲サウジアラビアでダウンロードされるジャンル別アプリゲーム
    また人気ジャンル別のダウンロード数では戦略ゲーム、アドベンチャーゲーム、アクションゲームが人気となっています。中東の各国では今までアメリカで作られたアドベンチャー、パズルなどのゲームをそのままプレイし、課金を行なっていました。また人気のタイトルはアラビア語に翻訳されてプレイできるものもあります。このように手軽な娯楽として機能しているアプリゲームですが、そこに目をつけて、近年では中東ユーザー向けの中東オリジナルの作品を作り、自国のゲームで課金ユーザーを囲い込もうとする国産化の動きが出てきました。
    ▲西洋によるアラブ人向けのアプリゲーム例「ARAB EMPIRE」
    UAE産ゲームの草分けの存在、「AFTERWORK GAMES」
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  • 鷹鳥屋明 「中東で一番有名な日本人」 第11回 中東で日本食はどれだけ通用するのだろうか?

    2018-06-26 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今回はドバイで開かれている巨大飲食展示会ガルフードから、ユニークな飲食品の数々を紹介。特産のラクダのミルクを使った乳製品や、ハラール認証付きのノンアルコールビール。そして、日本ブースの和茶や和牛の、現地の人々の評判は……?
    中東の大型食品展示イベント、ガルフードとは
    アラブ首長国連邦はドバイで毎年行われている飲食関係の大型展示会で「ガルフード」というイベントがあります。この「ガルフード」は年々その規模も拡大し、世界有数の食品展示会となっており、今年の参加人数は約10万人近くいます。このイベントは中東だけではなくヨーロッパ、アメリカだけではなく東南アジア、中央アジアなど多くの地域の政府、企業が出展を行い自国製品、自社製品の売り込みに努力を行っています。
    このイベントは入場料がかなり高めの金額であり(4日全日で入場料は約2万円)展示会に出展する側の金額もDWTC(ドバイ・ワールド・トレードセンター)の坪単価あたりも高めとなっております。それでも年々の展示会の参加数も増え、同時に集客数も増えています。この「ガルフード」では現地に展開している大型のスーパーのバイヤーだけではなく、王宮や大手レストランのバイヤーたち、さらには海外のバイヤーたちも多く参加をしておりそこへの売り込みに余念がありません。今回の記事はこの大型の展示会イベントの様子を知ってもらうため写真資料を多めに紹介したいと思います。
    ▲ガルフード会場入り口の広告 ▲アメリカ、ドイツ、ブルガリア、、、世界各地の人々が続々と参加
    どんな展示が多いのか、人気なのか
    展示品は穀物、乳製品、飲料、デザート、食肉、調味料、スパイスなど多くのブースがあり各国の特産品がしのぎを削っています。特に中東で需要の高い乳製品やデザート系の展示が目立ちます。
    例えば乳製品では牛乳、ヨーグルト、バター、チーズなどの多くの商品が展示をされており、これらの商品についてはヨーロッパ特にフランスなどが元々のブランド力があるだけではなく新商品を次々と開発して投入しております。それに負けないように新興国も品質を高め、良い値段で売り込もうと特にトルコや、エジプトなどの国々が売り込もうとする勢いを感じました。スパイスのブースではインドやパキスタン、バングラディシュの会社がスパイスの売り込みに熱心で現地スーパーのバイヤーたちとの会話に余念がありません。
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  • 鷹鳥屋明『中東で一番有名な日本人』第10回 王立!!湾岸アラブ高校〜断行後の日々〜(続編)

    2018-05-02 07:00  
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』、今回は以前の配信で好評だった「王立湾岸アラブ高校」の続編です。カタールへの国交断絶から10ヶ月、湾岸アラブ諸国との関係は緊張を増すばかりです。鷹鳥屋さんが、湾岸アラブ諸国を高校に例えて、中東の情勢をわかりやすく、ユーモアたっぷりに解説します! 
    以前の配信(第二回)で湾岸アラブの状況をわかりやすく説明するためにアラブ諸国を高校に例え、さっぱり分りやすくした解説が好評でしたが、また最近色々な動きがありましたので前回と同じようにさっぱりと単純化したストーリーで湾岸アラブの近況をお届けできればと思います。
    たとえ話で言うならば、、、(前回の復習)
    とある王立湾岸アラブ高校にサウジアラビアとカタールとバーレーンとUAE(アラブ首長国連邦)がいました。彼らは同じ学校のメンバーとして仲良くしていましたが、最近カタールが他校のイランやムスリム同胞団などとこっそりと、時には堂々と遊んでいる姿が目についているのをほかのメンバーは許せませんでした。それに対してUAE(アラブ首長国連邦)とサウジアラビアは

    サウジ・UAE「お前とは絶交だわ(国交断絶)。もう同じ飯も食べねえし(貿易停止)、家に遊びに行かねえ!(領空飛行禁止)」

    と強気に出ました。簡単に言いますと、カタールに対する兵糧攻めを行いました。それに対して近くにあった他校の、しかも湾岸アラブ高校のライバルであるイランやトルコが

    イラン・トルコ「おいおい、カタールかわいそうだな、まかせろ! 俺たちが飯食わせてやるぜ!(生鮮食品、乳製品などの緊急輸入)」

    と支援を申し出たことでカタールの台所事情が落ち着き

    カタール「俺周りの友人にハブられても、湾岸でひとりツッパリますけん!」

    とカタールは心に誓うようになった、という状況が前回までになります。
    断交後の王立湾岸アラブ高校
    断交からおよそ10ヶ月以上が過ぎましたが、それまでの間の湾岸アラブ高校の状況はと言いますと

    カタール「どんな状況でも国内はまとまるぜ! カタールはひとおおおつ!!」カタール舎弟「いえええい! 親分ばんざーーーーーーい!!」

    断交による様々な弊害を受けた後でもカタールは内部崩壊することなく、タミーム首長の元、国家運営はしっかりと行われていました。
    しかし断交の影響はなんだかんだ言って生活に影響が出ています。カタールが元々弱かった産業分野、例えば一例をあげますと乳製品についてはその多くを今までサウジアラビアやUAE産などで賄っていましたが、断交後は一切輸入できなくなったため、その多くをトルコやクウェートなどから輸入していました。とは言っても今まで陸路で輸入していたものをガンガン空輸しているのです、いくらトルコの乳製品が安いと言っても輸送コストがかかる分、今までよりも価格が引き上げられました。

    カタール舎弟「親分!俺たちの牛乳がトルコ高校から来るのはありがたいのですが育ち盛りの我々には少し高いですし分量が足りないっス!」カタール「そうかー、、、うーん、牛乳ねえ。どうしたものか。・・・あ!そうか!乳牛を飛ばせばいいのか!!」

    牛乳が足りないならば乳牛を集めればいいじゃないか、とカタールは『空飛ぶ乳牛大作戦』を開始しました。カタール航空のカーゴでヨーロッパ、アイルランド、アメリカなどから数千頭ずつ乳牛を確保して牛乳や乳製品の自国ブランドを強化、育成へと一気に舵を切ることになりました。

    ▲注:ドナドナではない。

    『空飛ぶ乳牛大作戦』により世界中から乳牛がカタールに集まりました。
    このように断交によりかえってカタールは一丸となり、政府の支援のもと、カタールの内需産業は続々と強化され「カタール産を使おう!」と言う名目の下に国産品の展開が着々と進みました。

    ▲カタール産牛乳「BALADNA」。カタール産であることを強くアピール。
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