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  • [特別無料公開]窓ぎわにトットちゃんはもういない(『水曜日は働かない』第2部第1話)|宇野常寛

    2022-07-01 07:00  

    本日のメルマガは、PLANETS編集長・宇野常寛の新著『水曜日は働かない』(ホーム社)から一部を特別無料公開してお届けします。本書の第2部「2020年代の想像力」第1話で綴られた「窓際にトットちゃんはもういない」。黒柳徹子のベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』を読んだ宇野常寛が、「規格外の個性」を排除しがちな今日の情報環境と、その居場所について思いを馳せます。
    窓ぎわにトットちゃんはもういない(『水曜日は働かない』第2部第1話)|宇野常寛
     黒柳徹子がその少女時代を綴った『窓ぎわのトットちゃん』は、1981年に発売と同時に大きな反響を呼び、戦後最大のベストセラーのひとつに数えられている。その発行部数は累計800万部、世界35ヶ国以上で翻訳出版され、日本発の児童書の代表的な存在になっている。  僕がこの本を知ったのは小学生の頃で、このうちの「畠の先生」というエピソードが切り出されて国語の教
  • 【新連載】ものの茶話 心の安らぎとものの関係を考える|丸若裕俊×宇野常寛

    2022-06-20 07:00  
    550pt

    本日のメルマガは、EN TEA代表・丸若裕俊さんとPLANETS編集長・宇野常寛との対談連載「ものの茶話」第1回をお届けします。「茶」や「工芸」といった日本の伝統文化のアップデートを志す丸若さん。この対談では丸若さんが出会った伝統的な「道具」の魅力を紹介、それらを現代人が使う意義について宇野常寛と語り合いました。(構成:徳田要太)
    丸若裕俊×宇野常寛 ものの茶話 #01 心の安らぎとものの関係を考える
    「もの」を通して日常の「間」を楽しむ
    宇野 これまで僕と丸若さんは対談連載「ボーダレス&タイムレス──日本的なものたちの手触りについて」を通して、「喫茶」というものの再定義についてずっと話してきています。そして昨年に創刊した雑誌「モノノメ」ではお気に入りの「もの」について語る連載もしてもらっています。これは、丸若さんが茶と工芸、ふたつの領域にまたがる活動をしていることの表れなのだけど、ここでは後者の「もの」について考えることを、これまでとはちょっと違ったかたちでやってみようと思っています。「モノノメ」の連載はコンセプトをかっちり固めてやっているのだけど、こちらは肩の力を抜いて、単に丸若さんが心惹かれたものについて、僕が聞き手になって深堀りしていくという形式でやってみたいと思います。
    丸若 改めて本日はよろしくお願いします。お相手が宇野さんなので、真面目なことをいろいろとお話ししようかと思ったんですけれど、今日は逆に宇野さんに甘えて、いつもの自分の感じを届けられたらいいかなと思っています。
    宇野 そうですね、普段着でいきましょう。ちなみに丸若さん今日はどんなことをされていたんですか?
    丸若 「お茶のメーカーを運営している」というと「普段何をやっているんだ」と気になると思うんですが、社長室にいてパソコン作業をこなしているのかというと、全然違っていて。今はコロナ禍だから控えめにはしていますが、基本日々どこかに移動しているんです。今日は高知県にいて、一日中銘水を探していました。
    宇野 探すって、水源を探して汲みにいくとかいうことですか?
    丸若 そうそう。湧き水がある場所を地元の詳しい人たちに聞いていました。なぜこんなことをするかというと、やっぱりお茶をおいしく飲むためには水が大切だからです。あるいは今日も道中でいろいろな人との出会いがあったわけですが、今日ご紹介する道具などは、やはり人との出会いを繰り返すなかで生まれた思い出が詰まっているものでもあります。 
    宇野 なるほど。当たり前のように東京にいるものだと思ってたから、まさか高知にいるなんて思わなかったですよ(笑)。
    丸若 EN TEAというプロジェクトをするなかで、お茶に表現をこめるために、いろいろな人に出会ったり、旅だったりをしてさまざまなことを吸収しています。今日お話しする「道具」というのも、自分の人生の中でいつも大切にしてるものです。そういった、普段EN TEAではなかなか伝える機会がないことを、この場でお話しできたらいいなと思っています。お茶でも飲みながら、茶話程度な雰囲気で、かなりニッチだと思うんですけれど、一緒に楽しんでもらえたらなと思います。
    宇野 本題に入ろうかなと思いますが、今日丸若さんには二つのものを持ってきてもらっています。一個ずつ紹介してもらって、そこからお話を広げていけたらなと思っています。
    丸若 では最初に紹介するものですが、これ何かわかります? 
    ▲出典
    宇野 曲げわっぱですか? 
    丸若 さすが宇野さん。
    宇野 一応、東北出身なので……。
    丸若 秋田県にある秋田杉でできた曲げわっぱで、これはお弁当箱なんです。多くの方が知っているお弁当箱の形は、「小判型」と言われるもう少し背が低いものをイメージすると思うんですけど、僕が今日ご紹介するのは「きこり弁当」というタイプのものです。もちろん宇野さんは持ってないですよね?
    宇野 持ってないですね。僕には弁当を家で作って持ち歩くという習慣がまったくないので。
    丸若 実は僕もそうで、弁当を持って出歩いたりはしないんです。じゃあなんで紹介したかというと、少し見方を変えるとこれはおひつとして使えるからなんです。今日はこのおひつの話からしたいなと思っています。もちろん僕は、昔の日本に良いものがたくさんあったと思っていますが、一方で今でも使えるものと使えないものはやはり明確にあると思っています。それはデザインの問題ということ以上に、用途の問題であると思うんですよね。そもそも生活習慣がその道具を前提とするものではなくなってしまったということです。たとえば現代では炊飯器を使えば簡単にお米を炊くことができますが、実は本当に美味しくご飯を食べるには炊いた後にもう一手間加える必要があって、そこで使われるのがおひつなんです。炊きあがった瞬間はもわっと湯気が立ってお米一粒一粒はつやつやしていますが、お米にとって本当に良い状態にするためには、その後でおひつの中に入れて温度を冷ましつつ、無駄な水分をならしていく必要があるんです。
    宇野 43年間生きてきていま初めて知ったんですけど、あのつやつやの状態がベストなわけではないんですね? 
    丸若 そうなんですよ。もちろん今の炊飯器の中にはそれに限りなく近い状態にできるものもあるんですけれど、やっぱり本来の状態はおひつでこそ出来あがります。ただおひつというと、お寿司屋さんでちらし寿司を作るときのようなものがイメージされますが、あれを所持するのはさすがに難しい。そうなったときに、同じ機能を果たせるのがこの曲げわっぱなんです。僕はまずごはんを炊いた後、この中にお米を入れておくんですよ。それで10分から20分くらい待っていると、この中でちょうどいい状態にしてくれます。木材でできているというのがポイントで、余分な水分を取って温度を一定にしてくれるんです。それを昔の人は生活の知恵で知っていたんですね。実際に食べてみるとびっくりしますが、冷めていてもお米がべちゃべちゃにならないで本当に美味しいんです。現代人は忙しくて毎日は使えないかもしれないけれど、こうして家の中で少しひと手間加えるだけで生活が楽しくなります。白米が好きな人にはこの柴田慶信商店さんというブランドがおすすめで、使っていて愛着が沸きますし、かれこれ20年近く愛用しています。
    宇野 20年はすごいですね。丸若さんはその曲げわっぱがおひつの代替品になるということを知ってて買ったんですか? 
    丸若 僕はやっぱりまず視覚的なものに惹かれるので、最初は見た目だけで選びました。後から、昔の使われ方と今の用途とでは明確に合致しないかもしれないということを考えたり調べたりするなかで知りました。
    宇野 おひつって、やはり昔の大家族の時代の、基本三世帯以上が住んでいて子供も複数いるような家庭で使われていたから、大きいサイズが多いですよね。だからたぶん曲げわっぱをおひつ替わりに使うとしたら、今の一人暮らしか二人暮らしの家庭が一番多いわけで、そうしたときに曲げわっぱを作っている職人たちは考えていないと思うんですけど、結果的にすごくちょうどいいサイズに収まってますよね。
    丸若 それが、現代と昔の用途を照らし合わせてもののとらえ方を変えていく楽しみですね。作り手の人たちと知り合ったことで、「こういう使い方もいいんだ」ということを知るようになりました。なぜこれを使っているかというと、やっぱりお茶を作っているので「お茶漬け」にすごく興味があるんですよ。「どうやって冷や飯を作るか」と考えたときに、やっぱりこのおひつで作った冷や飯でお茶漬けにすると、全然味が違うんです。
    宇野 ちなみに丸若さんはさっきデザインに惹かれたと言いましたけど、このデザインだったら現代のクリエイティブクラスに支持されがちな、シンプルなスタイルとも非常に調和しますよね。
    丸若 そうですね。そこがおもしろいんですよね。「きこり弁当」と言われるくらいなので、きこりの人たちが使っていた弁当箱なわけです。だからそこにデザイナーもいなかったし、ましてやトレンドもない。使いやすさと丈夫さだけが追求されていて、そしてそこに柴田慶信商店さんの美意識が乗っかって結果的にこういうデザインになっています。非常に偶然的、奇跡的に生まれているものだと思っているんです。
    宇野 この道具を使うことのポイントは、ひとつ「間を置く」ということじゃないかと思うんです。僕なんかは炊飯器からごはんを直接山盛りにしてがっつきがちなんだけれど、そこにあえて一回おひつに移すという工程を挟む。そこの一拍置く、一段階挟むことの豊かさをどう捉えるかが大切だと思います。
    丸若 最近禅が少しブームになっていますけど、僕もああいうものに触れるときに思うことがあります。現代の人たちは、あらゆる情報を頭(理性)で処理しようとしてしまっている。昔は、昔から日本語でも「腹を立てる」とか「腹を割って話す」「腹が座ってる」などと言うように、やっぱり感覚知的なものはおへその上あたりにあるというふうに考えていたから、理論知と感覚知は分離していたと思うんですよね。そこにはしっかり「間」が存在していた。だけど現代ではその間がぎゅっと潰されてしまっている。豊かさというものも、すごく表面的なところで得ようとしているけど、実はいろんなところに散らばっているものだと思います。
    宇野 ぜいたくな時間を過ごす、豊かな時間を過ごすといったときに、とりあえず効率よく何かを吸収するとか、手っ取り早く何かを片付けていくという方向に意識が向かいがちだと思います。でもそれは一見時間を節約しているように思えるけれど、結局切り詰めた時間でまたすぐにコストパフォーマンスの良い作業をこなしていこうとしてしまって、それを無限反復していくだけだと思うんですよね。だから豊かな時間を過ごそうと思うんだったら、そういった、手っ取り早く何かを時短的に処理していくということから背を向けなきゃいけないと思うんですよ。そう考えると、せいぜい口の中にごはんがある数十秒なんだけど、その数十秒を味わうために、一回おひつに移して冷やす・蒸らすといったことを考えることが、自分で自分の生活時間を豊かに演出するための最初の一歩になる気がするんですよね。
    丸若 そうなんです。結局一日というのはあっという間に終わってしまって、できることなんて限られている。人間の一日なんて無駄だらけだと思うんですよ。だから、たとえば一個二個手間を増やすことで何かが大きくロスをするかというと実は違っていて、「わざわざ」をすることによって、むしろ整理される。ちょっと隙間を与えると、脳は自動的に情報を整理しようと動いてくれるわけです。そういう実感を得られる時間が必要だと思います。
     たとえば道具選びもそういう感覚で選んでいいと思うんですよね。今日紹介するものは二つともそうなんですが、そのものが育っていくというか、時間の経過と共に変化する期間を感じられるものが良いと思います。ものがある種の魂を持っているようにも感じられて、それと触れ合っているといろいろな学びがあります。この弁当箱も最初買ったときの色とは変わってきていますけど、それがいい風合いだな、とか。
    宇野 この柴田慶信商店さんというブランドは、職人さんならではのアプローチで、曲げわっぱというものを、伝統を引き継ぎながらも現代の感性に合うように提供できていると思います。そのあたりの柴田さんのアプローチについて解説していただきたいのですが。
    丸若 僕が柴田さんとお付き合いするようになったのはけっこう前です。そのとき柴田さんたちがこの曲げわっぱを心から愛していて、本当に美しいものだと思って接してるんだということがわかったんですよね。丹念にひと手間加えることの積み重ねで、木の弁当箱がここまできれいになるんだな、と。具体的なポイントとしては、天板と側面の角度が少しだけ丸みを帯びているんです。これがあるかないかで表情ががらっと変わるので、今後柴田さんの品を見ることがあったら、ここの部分に注目してみてほしいです。個人的にはこの部分にかわいらしさを感じてすごく好きですね。
     でもこのデザインができるにあたって、何か若い感性が入っていたのかというと、実はこのスタイルを築いた方は、バリバリ昔の秋田弁を話す僕よりずっと年を重ねている方で、東京の文化がどういうものなのかということを想像すらしていないと思うんですよね。もちろん世界中から声がかかっていて、東京にも来る機会があったけど、どこであろうとスタイルは一貫している。どこのホテルでも同じように作業をしているし、やっぱりものと向き合っているんですよね。
     一般的な曲げわっぱとの違いがどこにあるかというと、言ってしまえば「曲げわっぱを曲げわっぱでなくした」というところです。たとえばさっきお話ししたように角を取ったり、目の細かい良い秋田杉を選んだりと、形だけ見れば至ってシンプルなんですが、よくよく見ると、柴田さんの品は「それ柴田さんのですよね」ということがみんなわかります。また、ほとんどの商品が木材に塗装をせず白木のまま作られているので、本当にごまかしがきかないというか、手触り的にも自然物のまま作られている。そういう細かいところの積み重ねで、柴田さんならではの曲げわっぱになっているんですね。
    生活様式に根付いた「もの」
    宇野 ありがとうございます。では次の品を紹介していただけますか?
    丸若 さっきは木材のものを紹介しましたが、今度は焼きものです。僕自身、お茶をはじめとする伝統工芸と言われるものに興味を持つようになったきっかけが焼きものなんです。日本って、本当に世界に誇る焼きもの大国で、これだけ多くの産地があって、これだけいっぱい湯呑みを見かけるところはない。少しわかりにくいかもしれないんですけど、画像を用意しました。
    ▲東屋さんのジューサー「恋ひとしずく」(出典)
    宇野 これは上から見た写真ですね。これだけ見るとZZガンダムの頭部に少し似ていますが……。
    丸若 さすがですね。宇野さんの見立ては(笑)。残念ながらこれはガンダムとは関係なく、ジューサーなんです。焼きものというとどうしてもやわらかいフォルムが多いんですが、これはすごくシャープなんですよねこの上部の突起物で半分に切った柑橘なんかを絞るわけです。
     
  • [特別無料公開]食べるチャンスは逃さない(「水曜日は働かない」第7話)|宇野常寛

    2022-06-17 07:00  

    本日のメルマガは、PLANETS編集長・宇野常寛の新著『水曜日は働かない』(ホーム社)から一部を特別無料公開してお届けします。第7話で綴られたのは「食」についてのとあるエピソード。宇野常寛が「食べる」ことに徹底的に執着するのはなぜなのか、高校時代の「思い出」と共にその秘密が明かされます。
    食べるチャンスは逃さない(「水曜日は働かない」第7話)|宇野常寛
     突然だが、僕は「食べる」ことが好きだ。T氏とは毎週水曜日にランニングの後に昼食を摂ることにしているのだけれど、昼間から飲酒できればどこでもよいというT氏とは異なり、僕はいつもギリギリまで、何を食べるか検討する。なぜならば僕は一食、一食をとても大切にしているからだ。「宇野さんは、本当に食べることに執着しますよね」と若干の批難を込めて、T氏はいつも僕に言う。彼はたぶん僕のことを年甲斐もなく意地汚い人間だと思っているのだろう。しかし、僕にも言
  • [特別無料公開]マラソン大会は必要ない(「水曜日は働かない」第3話)|宇野常寛

    2022-06-07 07:00  

    本日のメルマガは、PLANETS編集長・宇野常寛の新著『水曜日は働かない』(ホーム社)から一部を特別無料公開してお届けします。「水曜日は働かない」という大胆なライフスタイルを、エッセイ集として提案する本書。今回お届けするのはマラソン「大会」にまつわるとあるエピソードです。「水曜日は働かない」でランニングに励む宇野常寛なりの、走ることを通してみえてくる暮らし方について綴ります。
    ※本日19:30開催のトークイベント「遅いインターネット会議」では、働き方改革PJアドバイザーの坂本崇博さんと、スキルのマーケットプレイス「ココナラ」代表・南章行さんをお招きして、「働き方」をテーマに議論します。ご視聴はこちらから。

    マラソン大会は必要ない(「水曜日は働かない」第3話)|宇野常寛
     気づいたときは既に手遅れだった。それも、決定的に。その連絡を受けたとき、僕は都内を走っていた。正確に述べれば、走り終
  • 「紙の雑誌」を続けることで、「ゆっくり」考える場を守りたい。──宇野常寛責任編集・雑誌『モノノメ #2』クラファン実施中です

    2022-01-31 08:00  
    ただいまPLANETSでは、今春の刊行を目指して雑誌『モノノメ #2』クラウドファンディングを実施しています。
    「検索では届かない」をコンセプトに昨年創刊した『モノノメ』、第2号も創刊号に引けを取らない内容の濃さを目指して制作に励んでおります。
    第2号は「身体」についての特集をはじめ、「観光しない京都」のすすめや「水曜日は働かない」提案、映画『ドライブ・マイ・カー』に関する濱口竜介監督・佐渡島庸平さんとの鼎談、東京・小金井にある就労支援施設「ムジナの庭」への取材記事、47都道府県再編計画などの企画や、前号から続く連載など、盛りだくさんでお届けします。
    ぜひご支援のほど、よろしくお願い致します。
    目次・プロジェクト詳細はこちら。■編集長・宇野常寛より
    改めて問います。いまの報道は、批評は、おもしろいでしょうか? それは果たして、考える場として機能しているでしょうか?  僕にはそうは思えません
  • 12/19(日)リアル開催!2021年をまるごと振り返るトークショー「Hikarie + PLANETS 渋谷セカンドステージSPECIAL PLANETS大忘年会2021」

    2021-11-27 11:30  
    毎年恒例で開催の「PLANETS大忘年会」、今年はコロナ禍を経て、渋谷ヒカリエにて約2年ぶりのリアル開催です!
    世間やSNSのタイムラインの空気に流されないPLANETSならではの切り口で、社会・文化・政治の垣根をこえて1年を総括する「PLANETS大忘年会」。
    昨年以来のコロナ禍のもと、東京オリンピックの決行やアフガニスタン情勢、衆院選と岸田政権の成立など、国内外で歴史的な変化が続いた2021年。「エヴァンゲリオン」や「進撃の巨人」の完結など、文化の面でも大きな節目となる動きが目立った今年の重大ニュースを振り返りながら、これからの私たちの暮らしがどう変わっていくのか、改めて考えていく1日です。
    感染症対策も油断なく続けつつ、たくさんの方のご参加をお待ちしています!
    PLANETSチャンネルでは生中継もありますが、会場でのリアル参加も募集中です。
    ぜひこちらからお申し込みください。
    通し券
  • 「発明の条件」を考える|暦本純一

    2021-05-07 07:00  
    550pt


    今朝のメルマガは、PLANETSのインターネット番組「遅いインターネット会議」にて、登壇されたゲストさんによる自著解説の書き起こしをお届けします。 本日は、「スマートスキン」の開発者として知られる暦本純一さんをゲストにお迎えした「『発明の条件』を考える」(放送日:2021年2月2日)内で紹介された、『妄想する頭 思考する手:想像を超えるアイデアのつくり方』について。 メディアアーティスト・落合陽一さんも学生のころに学んでいたという暦本さんの研究法について書かれた本書。優れた研究、そして新たな発明というものは、個人の「妄想」のようなところから生まれると言います。 「妄想」が「発明」として形になるには、そしてクリエイティビティの源泉となる「偶然性」を担保するにはどのような条件が必要なのでしょうか? (構成:徳田要太)

    スマホ画面を複数の指で操作する、マルチタッチを実現した「スマートスキン」の発明をはじめ、数々のヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究の第一人者として知られる暦本純一さん。2021年2月に刊行された近刊『妄想する頭 思考する手:想像を超えるアイデアのつくり方』(祥伝社)では、暦本さんが長年培ってきた研究法をもとに、「アイデア発想法の決定版」が綴られています。 本稿では、「発明の条件」という切り口から、本書のポイントについて詳しく解説していただきます。


    暦本純一 妄想する頭 思考する手:想像を超えるアイデアのつくり方 祥伝社/2021年2月1日発売/ソフトカバー 240頁
    目次 序章 妄想とは何か 第1章 妄想から始まる 第2章 言語化は最強の思考ツールである 第3章 アイデアは「既知×既知」 第4章 試行錯誤は神との対話 第5章 ピボットが生む意外性 第6章 「人間拡張」という妄想 終章 イノベーションの源泉を枯らさない社会へ

    「妄想」を形にするということ
     以前、僕の研究室に入ってきた学生さん向けに研究法の講義をやっていました。これは「研究とは何か」というのを説明するもので、スライドシェアでネットにも公開もされていますが、ざっくり言うと、本書『妄想する頭 思考する手』はこれを発展させて、研究者以外の方にも役に立つように工夫した内容になっています。実は落合陽一くんもうちの学生だったのですが、彼にも話した内容で「研究って本当に妄想みたいなところから始まるんだよ」ということです。  つまり、正しいか正しくないか、わけのわからないことが頭の中でモヤモヤしているんだけど、それを研究者であれば論文、ビジネスマンであれば製品という形で具現化していくにはどうしたらいいか、というのが問題意識です。
     発明は妄想みたいなところから始まります。私が開発した「スマートスキン」で実現されたいわゆるマルチタッチ、いま皆さんがスマホで使っているような、2本以上の指で操作するという仕組みをどうやって発明したかという話と、「モヤモヤしたところをどうやって着地させるか」といった話、「天使度と悪魔度のバランス」という話が重要です。「天使度と悪魔度」とは黒澤明監督の「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」という言葉がありますが、それから取ったものです。発想が天使のように大胆だったりしたとしても、作り込みや緻密さには悪魔的になるべきです。これが天使度と悪魔度のバランスということです。
     また「モヤモヤしたこと」というのは、最初のうちはモヤモヤしたままでいいのですが、それを形にするとなったときには言葉が大事です。これは「考えていることを言葉に書く」というよりも「言語化することで考える」ということです。「言語化は最強の思考ツールである」だと思っています。言語化することで、自分の中の話を外部化して客観的に見ることができます。長い文章にするということではなく、簡潔に「必ず1行で書く」ということを訓練していると、「モヤっとしたこと」の中にある本質がクリアになっていきます。それを客観的に見直すこともできるし、1行なので駄目だと思ったらすぐに書き直すこともできる。いくつも書いていきながら「これかな? これかな?」と試行錯誤できるという意味で、ツールとして強力かつ値段的にもお安く、たくさんのメリットがあります。
     それから「発明は必要の母」という考えが大事だと思っています。「必要は発明の母」という言葉は有名ですが、この「発明は必要の母」という言葉はメルビン・クランツバーグという技術史家が言い出した言葉で、「世の中の大きな発明というのは、えてして発明されてから必要が出てくる」というような意味です。とくに課題もなく、突然アイデアだけ閃いて「どうしてこんなものがあるんだろう」「なんだろこれ」と思ったときに、「何に使えるんだろう」と考えるのはむしろ普通のことです。ニーズから入ってソリューションが出てくるというのは王道ですけれど、それがひっくり返ることも往々にしてあります。
     ちなみに、「ブレストはワークしない」ということも、私の言いたいことの一つです。これは私だけではなく何人か他の人も言っていることですが、ブレストでは「誰かが何か言わないと」と思っています。そして一見考えているふうに見えて魅力的なのが、ポストイットに書いて壁に貼りだすとか、ホワイトボードにアイデアを書くといったことです。いかにもアイデア出しをしたようでインスタ映え的にもいいのですが、そのとき一番だったアイデアが最終的に形になった経験は、私の場合、実はほとんどないです。3日後には忘れている可能性が非常に高い。むしろアイデアというものは、よく言われるように既存のものと新しいものとの掛け合わせでできあがります。「だったら既知のものを増やした方がいいのではないか」ということで、うちの研究室では他のメンバーが知らないことを集めてくる会議というのをやっています。例えば「他人が知らないけど自分はおもしろいと思っているものを見つけていきましょう」と話していて、それをやると特に「アイデアをそこですぐに出せ」とまでは言わなくても、自ずと「そういうことがあるなら、こんなこともできるだろう」という案も出てきます。インプットがないときに無理やりアウトプットを絞り出すよりも、潤沢にインプットを入れていった方が自然にアイデアが出てくるということです。
    発明に結びつくアイデアと試行錯誤
     アイデアを生み出すための秘訣として「試行錯誤は神との対話」という言葉を使っています。大仰に聞こえるかもしれませんが、要するにこれは「手を動かしましょう」という話です。最初に思いついたものがすぐにできてしまうこともあるのですが、それは非常に高い確率ですでに誰かがやっています。最初に思いついてぱっとできるようなものは、きっともう自分と同じぐらいかもっと頭のいい人がだいたいすでにやっていることが多い。ですから「やっぱりやってみたらできなかったこと」とか、さきほどの「発明は必要の母」のように、何か最初の目的とは違う目的になるものをピボット(方向転換)する、というふうに試行錯誤していく過程で本当のアイデアになるかなと思います。リアルワールドに向かって壁打ちしているような感じですが、そのプロセスのことを私は「これは神様と対話しているんだ」と表現しています。
     「人と会話することがアイデアにつながる」ことも当然あるのですが、それはあくまでも人間との会話に過ぎません。別のモードとして、周りがみんなで集まっているときに1人で黙々と実験したりする(神と対話する)のも楽しいし、最初の思惑を超えるような発見もあります。自然科学者が世界を形作っている構造を試行錯誤しながら探求してノーベル賞を取るようなところから、普通の人が日常生活の中でいろいろな工夫を重ねたり、あるいは子供が何かおもちゃを壊したり作ったりといったところまで含めて、彼ら彼女らは「神様と対話している」のだと思います。そういうプロセスの楽しさがもっと伝わってほしいなと思っています。
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  • モノへの回路をひらき、ゆるくつながる | 丸若裕俊

    2021-04-27 07:00  
    550pt

    工芸品や茶のプロデュースを通して、日本の伝統的な文化や技術を現代にアップデートする取り組みをしている丸若裕俊さんの連載『ボーダレス&タイムレス──日本的なものたちの手触りについて』。今回は最近丸若さんが取り組み始めたInstagramライブや、新しくプロデュースされる茶筒についてお話を伺いました。SNS時代において、本当に良い「モノ」に出会うために必要な回路を探ります。(構成:石堂実花)
    丸若裕俊 ボーダレス&タイムレス──日本的なものたちの手触りについて第14回 モノへの回路をひらき、ゆるくつながる
    モノを中心としたゆるいつながりをつくりたい
    丸若 昨年コロナ渦に新たに試みたことの一つに、懇意にさせていただいている、素晴らしい茶屋の代表である櫻井さん(櫻井焙茶研究所)と徳淵さん(万yorozu)との、Instagramでのライブ配信があります。  まず僕たちが持っている共通の課題って、「お茶を飲む時間を用意してもらえるかどうか」なんです。昨年までは、皆さん「お茶をゆっくり飲めるような生活できたらいいのにね」と言いつつ、毎日忙しくてそれが実現しなかった。ところが世界中がステイホームになった今、これは今こそやらないでいつやるんだと。自分が尊敬する同世代のお茶屋さんたちとその気持ちを共有して伝えていきたいなと思ったのがきっかけでした。  ライブの配信内容についてはとことんマニアックにいこうと思っています。ただ同時に、それに対して純粋に僕たちが楽しんでいることや、それぞれのスタイルの違いを僕たち自身が受け入れている姿をちゃんと伝えることに意味があると思っています。
     うちと櫻井さん、徳淵さんは、はたからみると一見系統が異なって、そりの合わなそうな印象を持つ方もいると思うのですが、そこが逆に面白いと思っています。もともとの知り合いではあったんですが、僕はお茶のブランドを立ち上げるときに、櫻井さんとご飯に行って、「こういうことがしたい。だけど、僕は絶対にあなたの真似をしない。あなたのやっていることに対して敬意を持っているからこそ、軽率に表層を真似する意義を持つことができない。」と伝えたことを覚えています。あくまで個人的な感想ですが、彼らは所作も含めて美しい、まるで洗練されたなジャズのような存在です。それに対して、結果的に今、僕たちはガレージバンドみたいな存在になっているわけです(笑)。 この三者でのライブ配信では、マニアックなことから、改めて聞けないたわいもない会話まで、ものづくりの過程だけでなく考え方でも勉強になることが多くて、同じ業種間での交流や刺激はその業界の発展には不可欠だと毎回感じています。  1年近く配信を続けることで、お互いの理解や信頼関係は深まったと思います。こうした経験を踏まえて、これからの社会へどう発信していくか? その取り組みも三者で行うことができたらと願っています。茶、道具、時間の楽しみ方をそれぞれの美意識で表現出来る取り組みに繋がっていけたら最高です。 それぞれの世界観を大切にし、実際に道具を使うプロたちの選ぶ物。茶だけではなく職人さんや作家さんと実際に交流することで研ぎ澄まされた道具たち。こうした物に触れることも多くの人に体験してもらいたいです。
     Minimalさんや「Maison」の渥美シェフと一緒にお仕事ができるのも(第13回を参照)、お互いのやっていることに対してリスペクトがあって、お互いのお客さんを紹介しあいたい、という思いがあるからです。自分たちが本当に伝えたいことが伝わらない大多数のお客さんを作りに行くよりも、自分たちが信頼できるお客さんたちで、ひとつの緩やかな連合体を作っていこう、ということですね。 コラボレーションとは、お互いのお店を支えてくれる人たちに対しての自己紹介だと思うんです。だからうちはお客さんに対しても、ぜひ他のお茶屋さんにも行ってみてほしいと言っています。
    宇野 今は数を売ろうとすると、「流行っているから私も乗っかってみよう」とか「みんながこれを買っているから買ってみよう」とかそういった流れを作り上げないといけなくなる。こういった「他人の欲望」を欲望するのは人間の基本的な性質なんですが、今はSNSでそれが強化され過ぎてしまっている。それはモノそのものとのコミュニケーションを置き去りにする行為なんですよね。だから、お互いリスペクトしあえる作り手同士がつながって、「みんなに出遅れたくない」みたいな最高にくだらないことを考えている人間とのコミュニケーションじゃなくて、きちんとモノそれ自体とコミュニケーションが取れる世界を確保しておくことが、新しい価値を生み出すためにはすごく大事だと思います。
    丸若 そうなんですよ。最終的にリアルの場でもそういうことができればいいな、と思っています。架空の中で村を作るというか、サロンというか。同じ価値観を持っている人たちがいるから、ある意味安心してコメントができる、安心してなにかいいって言えるような場をつくりたいですね。
    宇野 そのときにそのサロンのメンバーは、誰かの顔じゃなくて、ちゃんと丸若さんの作るお茶や、Minimalのチョコレート、開化堂の茶筒といった、モノを見ることができていると思う。そのことによって「みんながこれを見ているから見よう」というところからちょっと距離が取れる。これはすごく大事なことだと思います。「これは何百リツイートされている。だからすごい」みたいな価値観から離れたところに、丸若さんたちの考えるいいものだけがひたすら並んでいるカタログがある。そんなイメージですね。
    丸若 最終的に僕たちが目指したいのはそういうことだと思います。やっぱり21世紀に走りきった人たちがどんなものを残したかっていうのを後世の人たちに伝えることが僕たちの使命であり、やりたいことだと思うんですよね。

    モノと出会い、チューニングされていく体験
    宇野 今の丸若さんのお話は、これから僕がどんな雑誌を作って、どんなウェブメディアを作っていくのかを考えるときに、大事なことでもあるなと思いました。僕もさすがに「とりあえずバズっている人を載せよう」とは思わないけれど、やはりどこかで「人」を基準に企画を考えている。要するに面白い人を探してきて、面白いことを話してもらったり、書いてもらったりすることを無意識に企画の中心に置いてきた。しかし、それは僕自身もSNSが代表する現在の情報環境に毒されていた結果かもしれないと反省しているんです。だから、いま僕は「人」ではなくて「モノ」や「コト」にフォーカスした企画を中心にできないか考えはじめています。だから、丸若さんがこの半年でこういうことを始めていたのは、すごくシンクロしているものを感じます。 こういう状態だからこそ、人じゃなくてモノが主役の場を作っていって、そこから結果的にコミュニティが立ち上がっていく……ということを僕らはもっと考えたほうがいいと思うんです。
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…・入会月以降の記事を読むことができるようになります。・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 銀座の街から、茶と菓子を再考する|丸若裕俊

    2021-03-23 07:00  
    550pt

    工芸品や茶のプロデュースを通して、日本の伝統的な文化や技術を現代にアップデートする取り組みをしている丸若裕俊さんの連載『ボーダレス&タイムレス──日本的なものたちの手触りについて』。今回は2020年11月に銀座ソニーパークにオープンしたばかりの「GEN GEN AN幻」についてお話を伺いました。近年インバウンド需要に応えるかたちで変化してきた銀座。この街で「茶と菓子」を提供することの意味を考察します。(構成:石堂実花)
    丸若裕俊 ボーダレス&タイムレス──日本的なものたちの手触りについて第13回 銀座の街から、茶と菓子を再考する
    銀座のソニーパークで、茶の新たな魅力を伝える
    宇野 今日は、昨年11月に銀座のソニーパークにオープンした「GEN GEN AN幻」を中心に、丸若さんがどういうことを考えてプロデュースしていたか、実際に2ヶ月やってみてどういった手ごたえがあるかについて聞いてみたいと思っています。
    丸若 はい。「GEN GEN AN幻」では茶をメインにした喫茶をやっています。まず、日本人で日本茶を知らない人はいないと思います。とはいえ、じゃあ日本茶がいま、日常のなかにどんな形で受け入れられているかと聞くと、みんな「うーん」と考え込んでしまうと思うんですね。そこで、「GEN GEN AN」では改めて茶の魅力を伝えていくことをコンセプトにしています。なので、いわゆるみなさんの頭の中にあるイメージとはだいぶ異なっているかと思います。たとえば、この看板ひとつをとっても、みなさんが抱く茶のイメージとちょっと違うかなと思います。

     こちらは店舗の景色の一部です。いわゆる「お茶屋さん」のイメージとは離れているかとは思うのですが、茶が持っている可能性を、いろんなものに形を変えて表現をする場所っていう形で、この空間があります。一見どう映るかわからないんですけど、すごく伝統的な、職人さんによる技術のものがあったりとか、ラジカセのような電子家電があったりとか。いろいろなものをミックスさせてこの空間を表現しています。

     銀座のソニーパークは、もともとソニーがビルの建て替えを行う際にその土地を有効活用して、銀座という街に対してどういうメッセ―ジを送れるか、という発想のもと建てられたものなんです。今回はそういった歴史も踏まえたうえで、建築家の荒木信雄さんと一緒にこの空間を作りました。
     こういうご時世なのでなかなか発揮しづらい点ではあるのですが、ここが東京メトロと直結でアクセスしやすい場所にあることは、とても面白いポイントだと思っています。こういう場所にあえてコーヒーやファストフードではなくて茶を出すという試みを、ソニーさんと一緒にやっています。この写真はまさに地下鉄のメトロの通路ですが、うちの世界観がここから少しずつ浸食しているような感じです。

     うちは「GEN GEN AN」というプロジェクトだけではなく、もともと「EN TEA」という茶のメーカーもやっています。なので、茶を作る側だからこそ提案できる、日常を作っていくようなプロダクト作りをしたいということで、見た目的にも手に取りたくなるような、良い意味での違和感を作り上げています。
     僕たちのお店のある階は地下鉄のフロアと地上階の間に存在していて、いわゆる半地下にあるんですが、より都市とコミュニケーションを図っていこうということで、一日限定で、地上階にもいろんな取り組みを施設と協力して行っています。
     僕は、茶はその時代や、その時々の鏡のような存在になってほしいなと思っています。たとえばコロナ禍で出足が悪いとか、人を呼べないだとか、営業時間も短縮せざるを得ない……などなど、お店のことを考え出すといろいろあるんですが、この事象に合わせていろんなコンテンツを伝えていきたい。そう考えて、たとえば年末にはパリのレストラン「MAISON」とコラボレーションでイベントを開催したりもしました。そういった、こういうときだからこそ華やかで楽しめるような試みもしています。
     昨年末には「Taki/Dashi」と題して、地上スペースにキッチンカーを出してイベントを行いました。衛生面や検査など、できることはすべてしたうえで望んだのですが、来ていただいた方たちも、ちゃんとマナーを守ってくれて、とてもありがたかったです。実はこの行列が数時間絶えずあるほどに大きな反響をいただきました。
     場所がとても気持ちのよい場所なので、晴天の日なんかは、気持ち的にもリラックスするかなということで。これからも時期を見ながらやっていこうかなと思っています。

     「GEN GEN AN幻」では基本のメニューも、茶の魅力を感じられるものを用意しています。茶は、茶だけで完結しません。その茶があるということは、どういう空間がいいのかとか、どういう食べ合わせがいいのかとか。もっと言うと、どういう生活リズムがいいかな、といったように、生活を考え直す起点にもなる存在でもあると思っています。なので、茶以外のものが持つ可能性も、茶そのものと同時並行で探求していきたいと考えています。
    「あり得たかもしれない街の風景」を空間で演出したい
    宇野 銀座は日本の中心地のうちの一つで、それゆえの難しさがあると思うんです。丸若さんは、最初銀座のソニーパークでやらないかという話を聞いたとき、この街についてどう思ったんでしょうか。「GEN GEN AN」の一号店は渋谷にあると思うんですが、そこと比べてどう考えたのかについてもお伺いしたいです。
    丸若 茶が伝統的なカルチャーでありながらこれからも残っていくとしたら、現在進行形である必要があると思っています。だからこそ、渋谷や銀座という、日本を代表する土地でお茶屋をやることは、すごく意味のあることだと思っています。
     ただ、渋谷ではじめて店舗を出したときは相当苦労しました。理想は、新しい価値を提案して、新しいムーヴメントを起こす……と言うのは簡単ですが、その場所にはお客さんがそもそも存在してないわけです。こういう洗礼は渋谷でさんざん受けているので、正直、銀座ではさらに洗礼を受けるだろうと思って、最初はあまりポジティブじゃなかった。でも、渋谷の店舗の経験から、できること、できることできないことがわかってきていたということと、ソニーパークさんからコンセプトを聞くうちに、こうした大きい企業さんと一緒に何かやっていくっていうのは、何か新たに挑戦ができるんじゃないかと思うようになりました。
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  • 【生放送のお知らせ】3/3(水)放送! 【実況】『機動警察パトレイバー2 the Movie』

    2021-02-28 21:30  

    生放送番組のお知らせです!
    4DX版の公開を記念して、「機動警察パトレイバー2 the Movie」を観ながら、実況を行います!「戦線から遠のくと楽観主義が現実に取って代る。 そして最高意志決定の段階では、現実なるものはしばしば存在しない。 戦争に負けている時は特にそうだ。」――第2小隊最後の出撃を、ステイホームしながら一緒に見守りましょう。▼今回はHuluで「機動警察パトレイバー2 the Movie」を視聴します作品ページはこちらから▼放送日時
    3月3日(水)19:45〜
    (映画の視聴は20:00開始予定)
    ▼出演
    宇野常寛ご視聴はこちらhttps://live.nicovideo.jp/watch/lv330690442※番組では、映画本編の放送はありません。
    映画のご視聴は、みなさん各自でご準備ください。
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