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記事 14件
  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)最終回 人生はチョコレートの箱 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.683 ☆

    2016-09-06 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)最終回 人生はチョコレートの箱
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.9.6 vol.683
    http://wakusei2nd.com


    今朝は稲田豊史さんの連載『ドラがたり』の最終回をお届けします。藤子・F・不二雄が生涯をかけて追い求めたテーマ「世界の創造」と「運命の改変」。そこには、思い通りの世界を創造する「箱庭作り」と、配偶者を再選択する「人生のやり直し」という、作者の直裁的な願望が見え隠れします。大人になった私たちは、Fが残した物語から何を学べるのか。不本意な「チョコレートの箱」のフタを開けてしまった、かつての「のび太」たちへの、Fからのメッセージとは――?
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』(構成/原田曜平・著)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
    http://inadatoyoshi.com
    PLANETSメルマガで連載中の『ドラがたり――10年代ドラえもん論』配信記事一覧はこちらのリンクから。

    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第13回 『ドラえもん』のルーツ/偉大なる縮小再生産

    ●藤子・F・不二雄と村上春樹
     
     前回【第13回】で、『ドラえもん』は藤子・F・不二雄による偉大な縮小再生産の産物である、と結論づけた。こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!
    『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』☆★Amazonで詳しく見る★☆ 
  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第13回『ドラえもん』のルーツ/偉大なる縮小再生産 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.657 ☆

    2016-08-02 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第13回『ドラえもん』のルーツ/偉大なる縮小再生産
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.2 vol.657
    http://wakusei2nd.com


    今朝は稲田豊史さんの連載『ドラがたり――10年代ドラえもん論』をお届けします。今でこそ、健全な子供向け作品の大家として知られている藤子・F・不二雄ですが、その裏には、ブラックな作風と強烈な文明批評を得意とするSF作家としての顔も持ちあわせています。『ウメ星デンカ』から『モジャ公』『ミノタウロスの皿』まで、60年代末に描かれたカルト的な魅力を持つ作品群が、後の『ドラえもん』に与えた影響について論じます。
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』(構成/原田曜平・著)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
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    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第12回 反戦・冷戦・核・原発

    ●「不思議な道具」を生みだす手ぶくろ
     藤子・F・不二雄が作家活動を開始したのは1951年。その18年後、69年に『ドラえもん』が誕生するまでの間には、『ドラえもん』の前身、もしくはプロトタイプ(原型)と呼ぶべきルーツ作品が、何本か描かれている。こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!
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  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第12回 反戦・冷戦・核・原発【毎月第1水曜日配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.636 ☆

    2016-07-06 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第12回 反戦・冷戦・核・原発【毎月第1水曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.7.6 vol.636
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    本日は稲田豊史さんの連載『ドラがたり』をお届けします。『ドラえもん』の物語に何度も登場する、東西冷戦を背景とした「戦争」や「核」といったモチーフ。特に、エコロジー思想に傾倒する以前の作品では、藤子・F・不二雄が得意とする、辛口のアイロニーとブラックユーモアを堪能できます。いまだ色褪せることのない社会派SFとしての、往年の名エピソードの数々を論じます。
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』(構成/原田曜平・著)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
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    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第11回 土地とカネの物語
    ●みじめで滑稽な独裁者のび太
     「『ドラえもん』は大人の鑑賞にも堪える作品」という文脈の中で、必ず話題にのぼるエピソードがある。てんコミ15巻「どくさいスイッチ」(「小学六年生」77年6月号掲載)だ。こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!
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  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第11回 土地とカネの物語【毎月第1水曜日配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.608 ☆

    2016-06-01 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第11回 土地とカネの物語【毎月第1水曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.1 vol.608
    http://wakusei2nd.com


    本日は稲田豊史さんの連載『ドラがたり』をお届けします。『ドラえもん』の作中に頻繁に登場する「土地」や「カネ」を巡るエピソード。そこには、70年代日本の地価高騰・狂乱物価といった世相と、それに対する藤子・F・不二雄の容赦ない批評性が露わになっています。『ドラえもん』が向き合った時代性を「経済」という切り口から考えます。
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』(構成/原田曜平・著)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
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    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第10回 鋭い社会批評、説教臭いエコロジー
    ●日本列島改造論と「夢のマイホーム」
     のび太は頻繁に、のび助(パパ)や玉子(ママ)が「大人の話」をしている場面に遭遇する。そのなかで最もポピュラーなのが「土地とカネの話」だ。こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!
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  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第10回 鋭い社会批評、説教臭いエコロジー【毎月第1水曜日配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.581 ☆

    2016-05-04 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第10回 鋭い社会批評、説教臭いエコロジー【毎月第1水曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.5.4 vol.581
    http://wakusei2nd.com


    本日は稲田豊史さんの連載『ドラがたり』をお届けします。初期の『ドラえもん』で既存の価値観へ疑問を投げかけるSFセンスを発揮していた藤子・F・不二雄ですが、80年代に入ると、当時流行のエコロジー思想へと急接近していきました。『ドラえもん』はいかにして環境保護の旗印となり、現在へと至ったのか、その変遷の歴史をたどります。
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』(構成/原田曜平・著)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
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    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第9回 大長編考・後編 リメイク問題とオリジナル問題
    ●落語とSFショートショート
     幼い頃に読んだ『ドラえもん』を、ふと大人になってから読み返すと、そのモチーフやセリフにドキッとすることはないだろうか。それは『ドラえもん』という作品が単に「夢いっぱい」なだけでなく、普遍性の高いアイロニーや警句を多く含み、社会批評的な側面も有していたからだ。こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!
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  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第9回 大長編考・後編 リメイク問題とオリジナル問題【毎月第1水曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.557 ☆

    2016-04-06 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第9回 大長編考・後編リメイク問題とオリジナル問題【毎月第1水曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.4.6 vol.557
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    今朝は稲田豊史さんの連載『ドラがたり』をお届けします。藤子Fの死後も、大人の事情から製作され続けた大長編ドラえもん。目を覆いたくなるオリジナル脚本の駄作が連なる中、唯一輝きを放った『のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』に秘められた、ドラえもんらしからぬ批評性とは?
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『押井言論 2012-2015』(編集)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
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    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第8回 大長編考・前編 ふたつの「ドラえもんコード」
    ●新ドラの迷走・リメイク問題
     
     声優リニューアル後のドラえもん(新ドラ)まわりでよく話題にのぼるのが、映画版のリメイク問題である。前回(第8回参照)でも触れたが、2006年以降の映画ドラえもんは、11本中6本が過去作品のセルフリメイクだ。

    2006年『のび太の恐竜2006』
    *『のび太の恐竜』(80)のリメイク
     
    2007年『のび太の新魔界大冒険  〜7人の魔法使い〜』
    *『のび太の魔界大冒険』(84)のリメイク
     
    2008年『のび太と緑の巨人伝』
    *オリジナル。原案はてんコミ26巻「森は生きている」とてんコミ33巻「さらばキー坊」
     
    2009年『新・のび太の宇宙開拓史』
    *『のび太の宇宙開拓史』(81)のリメイク
     
    2010年『のび太の人魚大海戦』
    *オリジナル。原案はてんコミ41巻「深夜の町は海の底」
     
    2011年『新・のび太と鉄人兵団  〜はばたけ 天使たち〜』
    *『のび太と鉄人兵団』(86)のリメイク
     
    2012年『のび太と奇跡の島  〜アニマル アドベンチャー〜』
    *オリジナル。原案はてんコミ17巻「モアよ、ドードーよ、永遠に」
     
    2013年『のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』
    *オリジナル
     
    2014年『新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』
    *『のび太の大魔境』(82)のリメイク
     
    2015年『のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』 
    *オリジナル
     
    2016年『新・のび太の日本誕生』
    *『のび太の日本誕生』(89)のリメイク

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  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第8回 大長編考・前編 ふたつの「ドラえもんコード」【毎月第1水曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.532 ☆

    2016-03-02 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』 (稲田豊史) 第8回 大長編考・前編ふたつの「ドラえもんコード」【毎月第1水曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.2 vol.532
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    本日は稲田豊史さんの連載『ドラがたり』をお届けします。今回からは「大長編考」として、毎春公開される「映画版ドラえもん」についての考察です。大長編初期の傑作群「神7(セブン)」、そして映画ドラの必要条件ともいえる「大長編ドラえもんコード」について論じます。
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
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    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第7回 「世界」を改変する道具たち
    ●大長編ドラえもんの歴史
     3月と言えば映画ドラえもん(映画ドラ、春ドラ)の公開月である。毎年、子供たちの春休みを狙って公開される映画ドラは、第1作の『のび太の恐竜』(80年公開)から今月公開の最新作『新・のび太の日本誕生』まで、合計36作が制作されており(*1)、もはや日本人にとって「春の風物詩」と化していると言ってよい。

    (出典)
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  • 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第7回 「世界」を改変する道具たち【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.510 ☆

    2016-02-03 07:00  
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    『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第7回  「世界」を改変する道具たち【毎月第1水曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.3 vol.510
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    今朝のメルマガは稲田豊史さんによるドラえもん論『ドラがたり』の第7回です。今回は「「世界」を改変する道具たち」。ドラえもんが四次元ポケットから取り出す数々の道具の、今だから分かる驚くべき先見性。そして、道具に込められた重要なモチーフ〈世界の改変〉について論じます。
    ▼執筆者プロフィール
    稲田豊史(いなだ・とよし)
    編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。
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    前回:『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)第6回 ふたりのファム・ファタール 後編
    ●一番好きな道具はなんですか?
     2008年に小学館から刊行された『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』によれば、ドラえもんが四次元ポケットから出す道具の数は約1600にものぼる(「ひみつ道具」はアニメ版ほか原作以外のメディア展開において使用される呼称なので、本稿では単に「道具」として記述する)。卓越したドラえもんファン同士であれば、道具の名称だけでしりとりも可能だ。こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!
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  • 2次元と3次元の狭間にあるもの――『テニミュ』が生み出したリアリティ(アニメ&ミュージカルプロデューサー 片岡義朗インタビュー) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.441 ☆

    2015-10-30 07:00  
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    2次元と3次元の狭間にあるもの――『テニミュ』が生み出したリアリティ(アニメ&ミュージカルプロデューサー 片岡義朗インタビュー)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2015.10.30 vol.441
    http://wakusei2nd.com

    ▲『ミュージカル テニスの王子様』初演DVDより

    「2.5次元ミュージカル」――2次元で描かれた漫画・アニメ・ゲームなどの世界を、舞台コンテンツとしてショー化したものの総称です(2.5次元ミュージカル協会HPより)。
    そして、この2.5次元舞台作品をとりまとめる「2.5次元ミュージカル協会」設立に関わり、メイン作品である『ミュージカル「テニスの王子様」』のプロデューサーも務めたキーマンとも言えるのが片岡義朗さん。今回はその片岡さんに、「日本発コンテンツ」としての2.5次元の魅力と展望についてお話を伺ってきました。
    ▼これまでに配信した関連記事
    ・「2.5次元って、何?」――テニミュからペダステまで、「2.5次元演劇」の歴史とその魅力を徹底解説 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.270 ☆

    ▼プロフィール
    片岡義朗(かたおか・よしろう)
    アニメ&ミュージカルプロデューサー。「タッチ」「ハイスクール!奇面組」「キテレツ大百科」など多くのアニメ化や『ミュージカル「テニスの王子様」』や『ミュージカル「聖闘士星矢」』『「セーラームーン」ミュージカル』といった多くの2.5次元作品をプロデュースする。現在は(株)コントラの代表を務める。
    ◎聞き手:真山緑、稲葉ほたて
    ◎構成:真山緑、中野慧
    ■ 声には演じる人の人生が現れる――90年代アニメにおける「津田健次郎、涼風真世、ラサール石井」の声優起用
    ――片岡さんは「2.5次元ミュージカル」のキーマンとして著名ですが、今回はまず、これまでのお仕事の来歴について伺いたいと思います。もともとはアサツーディ・ケイで『タッチ』などのアニメのプロデューサーを担当されていたわけですよね。 
    片岡 僕はいろんな媒体で広い意味での「プロデューサー」をしてきたと思っていますが、やってきた事を振り返ってみるとアニメが原点であることは間違いないですね。
    ――『テニミュ』で初めて片岡さんのお名前を知ったのですが、復刻した『ハイスクール!奇面組』のDVDで片岡さんのお名前を見つけてとてもびっくりしたことを覚えています。『奇面組』ではOPとEDが「おニャン子クラブ」からの派生ユニットですが、アニメと3次元のアイドルを抱き合わせる方式は80年代後半当時としては珍しかったですよね。
    そのあと90年代前半に手掛けられた『姫ちゃんのリボン』や『赤ずきんチャチャ』のアニメでも、主題歌にジャニーズタレントさんや声優さんを起用されたりしていました。その時点で、いわゆる2次元と3次元を繋げようという意識はあったんですか? 
    片岡 そうですね。『赤ずきんチャチャ』で香取慎吾さんに声をかけて声の仕事をお願いしたのは僕ですし、『姫ちゃんのリボン』で草彅剛くんにお願いしたのも僕でした。
    ちなみに『姫ちゃんのリボン』の当時、草彅くんはは、セリフは伝わるけど滑舌はあまり得意ではなかったみたいで苦労してましたが、何話かアフレコしているうちに頑張ったのでしょう、その後はどんどんよくなっていきましたね。
    アニメ的な表現に3次元のタレントを起用したのは、おニャン子クラブもそうですし『ミュージカル「聖闘士星矢」』のSMAP、アニメ『こちら亀有公園前派出所』のラサール石井さん、『るろうに剣心』の涼風真世さんもそうですし、ちょっと違う例ですが、『H2』の津田健次郎くんも実写映画畑の俳優さんにお願いしたのもそういう例に入るかもしれませんね。
    ――片岡さんのそういったキャスティングには、どんな意図があったんでしょう。
    片岡 僕は、「声には、演じる人の人生が現れる」と思っているんです。
    『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』のアニメ化(2000年に放映開始/以下、『遊戯王』)の際、ジャニー喜多川さんに「誰か(主人公の)遊戯を演じられそうな、主人公と同年齢か近い年齢で芝居のできる俳優はいないですか」と聞いたんですよ。『遊戯王』は武藤遊戯というキャラクターに表遊戯と裏遊戯というふたつの性格があって、裏になったときは強い性格になるけれど、表のときはフニャっとしている。だから「お芝居がうまい人」であることに加えて、「表と裏のある人」を表現できる人が必要で、そのようにジャニーさんに話したら、当時まだ中学生でジャニーズ事務所で下積みをしていた風間俊介くんを推薦してくれたんですね。結果的にはこれが大成功で、遊戯=風間くんはファンの方にもすごく愛されるキャラクターになりました。
    風間くんが何歳からジャニーズの稽古場に通い始めたかはわからないけど、事務所から見て「センスがある」と思われる人じゃないとデビューできないはずなんです。そういう厳しい淘汰の道を通って来た「根性」があって、なおかつ演技力のある人が『遊戯王』の主役に必要だったんですね。
     『遊戯王』は他のファンタジー作品と違って、普通の生活があって裏の顔があるのが面白い作品ですよね。裏の遊戯のように攻撃的にガンガン戦う強い人間と、フニャっとした普段の普通の中学生のリアルな男の子、どちらの人格も「演技力」でやられたら困ると思っていたんです。なぜかというと、実際の『遊戯王』のカードゲーム大会に行くと、みんなただ俯いてカードゲームをやっているわけで、あれが中学生のリアルなんですよ。そういうリアルな中学生のようなフニャフニャした感じがベースにあって、演技で「裏」をできる人として、風間くんが見事にハマってくれました。
    ――風間さん自身がその「リアル」を持っていたんですね。
    片岡 声優に求められるのは「キャラクターが持っているリアリティをどう体現するか」ということだと思うんです。『こち亀』ではラサール石井さんに両津勘吉の声をお願いしましたが、彼自身が演技学校で研究生だった時代にアルバイトとして渋谷のストリップ劇場の幕間のコントに出ていたんですよ。ストリップ小屋の幕間のコントって、出てきた瞬間に「帰れ!」ってお客さんに言われるんです。おねーちゃんの裸を見たくて来てるオッサンたちの前に出て「まぁまぁ」ととりあえずなだめて落ち着かせて、だんだんと自分の世界に引きずり込んで笑わせちゃうっていう……そのことだけ考えても、ラサールさんは両津勘吉にハマると思ったんですよね。
    今のアニメ業界・声優業界の意見とは違うかもしれないけど、宮﨑駿監督のアニメはまさにいい例ですよね。宮﨑監督も俳優の演技にその人の人生観が反映すると思ってらっしゃるように僕には見受けられます。
    ■ 演劇とミュージカルは違う――『タッチ』から『聖闘士星矢』、そして『テニミュへ』
    ――片岡さんはSMAPを起用して1991年に『ミュージカル「聖闘士星矢」』(1991年上演/以下『星矢』)を制作されていて、それが『テニミュ』の一つの原型と言われていますが、その前に『「タッチ」ミュージカル』も制作されていたんですよね。
    片岡 この経緯をお話しすると、まず僕がテレビでアニメの『タッチ』を作っているときに「ミュージカルでやりたい」と申し出てくれたミュージカル会社があったんです。彼らがやっていたのは、日本アニメーションが企画・制作していた『小公女セーラ』や『若草物語』といった「世界名作劇場」枠のアニメのミュージカル化でした。夏休みの時期に、「後楽園アイスパレス劇場」という今のGロッソの前身のようなところで上演していたんですね。
    その一環として『タッチ』をやりたいということで、僕もミュージカルが好きだったからプロデューサーとして一緒にやることにしたんです。でも結果として、僕が思っている漫画やアニメの『タッチ』とはまったく違うものができあがってしまった。なんというか、「文法」が違ったんですよ。
    ――「文法」というのはどういうことなんですか?
    片岡 2.5次元舞台を作ろうとするときにプロデューサーが一番最初に考えることは「どうやって原作を尊重して別の表現に移し替えるか」ということなんです。アニメ作りも同じで、原作の漫画をくまなく読んで、一コマの中に何が描いてあるか、コマの中に前のコマの何が繋がって続いて描かれているのか、といったことをとことん読み取っていかなければいけない。
    たとえば『タッチ』のあだち充先生の漫画って非常に独特な間がありますよね。セリフとセリフの間、コマとコマの間の時間の流れの独特な「緩急」というか……。基本はゆったりしているんだけれども、その中にきゅっと短く「きれいな顔してるだろ、死んでるんだぜ…それで…」というセリフが入ることで、心にグサって何かが刺さりますよね。
    『タッチ』のときはミュージカルの経験の長い方が演出を担当されていたんですが、やっぱりそういった漫画・アニメ的な手法に対する理解があまり深くなかった。あちらはプロで、僕はミュージカルに関しては初心者だしで、こちらの意図を押し通すこともできなかったのでとても悔しい思いをしました。
    その『タッチ』のミュージカルでの経験が直接の引き金になって、「これはもう自分でやるしかない」と思い、『ミュージカル「聖闘士星矢」』をやることになったんです。
    ――そして『星矢』以降、様々な漫画を舞台化していくことになるわけですが、そもそも片岡さんにはアニメ以外にも演劇やミュージカルをやりたいという思いがあったんですか?
    片岡 そうですね、演劇やミュージカルは好きでもともとよく観ていたんです。僕が学生時代を過ごした1960年代は、いま世の中にある文化の芽が少しずつ出始めた、疾風怒濤の時代と言ってもいい時代で、当時は演劇が「サブカルの権化」みたいなところがあったんです。そういう世の中の熱に浮かされてよく観に行っていたんですね。
    ――当時は、唐十郎さんや寺山修司さんといった方が活躍されていましたね。
    片岡 そうですね。僕が一番自分に合うなと思って観ていたのは、自由劇場の吉田日出子さんや串田和美さんたちでした。吉田さんのちょっとすましたところだったり、とにかく洒落ているところが好きだったんです。そういった60年代のアングラ演劇に触発されるかたちで小劇場運動が起こって、つかこうへいさんや野田秀樹さん、鴻上尚史さんといった人が70〜80年代に続々と出てきました。それらをぜんぶ観てきたので、演劇はよく行っていたんですが、一方でミュージカルはミュージカルで別のジャンルのものだと思っていたんです。どうも、自分が観ているミュージカルはつまらないなぁと思っていて。
    ――ミュージカルというと、劇団四季のようなものでしょうか?
    片岡 それ以前にも四季のミュージカルは観てはいたんですが、1982年に会社を移籍するタイミングで一ヶ月程時間を取ってニューヨークで毎日のようにミュージカルを観たことがあって、「あ、これは日本のミュージカルとまったく別のものだ」と思ったんです。「もしかしたら日本のミュージカルは、まだミュージカルと呼ぶには値しないんじゃないか?」、と。
    ――どういうところが違っていたんでしょう?
    片岡 劇中の人物が本当に「生きている」んですね。例えて言うなら、日本の劇団四季の『CATS』には「猫がいなかった」んですよ。でも、ブロードウェイで観た『CATS』には「完全な猫」がうじゃうじゃいたんです。
    もうひとつ別の驚きもあって、向こうとこっちではダンスのレベルが違いすぎるんです。関節全部が動いてそれが物語るようなダンスを踊る。僕がニューヨークにいた頃はボブ・フォッシーという有名なダンサー兼振付師の演出家が生きていた頃で、まず技術的なレベルが違うし、作中人物がドンとキャラクターとして立って性格が見えてくるんです。
    それからニューヨークとロンドンと日本を行き来しながらそれぞれの国のミュージカルを観るということを繰り返して、「アングラ演劇の面白さとミュージカルの面白さは違う」ということを思い知りましたね。アングラ演劇が「一生懸命見ようとして、面白さをなんとか捕まえて楽しむ」ものだとすると、ミュージカルは娯楽作品として洗練されていて、どんな人でも座っているだけで劇中世界に入っていけて、完全に浸りきって受け取って帰ることができるというものなんじゃないか、と。
    ■ 劇団四季を反面教師にして構築された『テニミュ』システム
    ――ストレート・プレイ(ミュージカル以外の演劇のこと)にはない、ミュージカルならではの面白さの本質があるわけですよね。
    片岡 ミュージカルは、観客の身体のレセプター(受容体)の数が多いんです。まず歌としての感情表現があるから、座っているだけで引きずり込まれるようにできている。だから、観劇の初心者の人でも入りやすいですよね。
    僕はそうしてミュージカルの面白さにどんどんハマっていって、そうなると四季のミュージカルが物足りなく感じてしまったんです。ここから先はいつも言ってることなんだけど、僕にとっては劇団四季が反面教師なんです。四季がなかったら2.5次元舞台は、今のようなかたちでは育ってこなかったと思っています。もし四季のミュージカルを見て面白いと思う人がいたら、ぜひ2.5次元舞台を観てほしい。歌は下手かもしれないけど、ちゃんと役者が活き活きと演っていますから。
    たとえば「歌で表現される中身が観客に届いてるか」に関して、僕は『テニミュ』の役者の歌もきちんと届いていると思うのです。
    ――『テニミュ』では、劇団四季のどういった部分を反面教師にしたんでしょうか?
    片岡 まずひとつ、劇団四季って劇場に行かないと誰が何役をやっているかわからなかったんです。たとえば普通の演劇を観るお客さんなら、『オペラ座の怪人』を観に行くときに誰がファントム役なのかにすごく関心があると思うんですけど、劇団四季は「誰が演るかは問題ではない。劇団四季の俳優だったら誰が演っても同じレベルでできるから名前を公表しないんだ」と、表向きにはそういうメッセージを出しているわけです。
    だけどこのやり方って実は大量生産の手法なんです。機械的に同じ型に当てはめた役者をどんどん作って、ファントム役の型に当てはめた俳優を10人作っておけば全国10カ所で『オペラ座の怪人』を上演できるというわけなんですね。
    ――たしかに、劇団四季の常設劇場はそうなっていますね。
    片岡 そう、全国にいくつもあると思いますけど、たとえばそれらの劇場全部で『オペラ座の怪人』を演ればどこでも一定のお客さんが入るようになっているんです。「ファントムを演じているこの役者さんの演技がすごい」という評判が立ってしまったら、その人がいる劇場にしかお客さんが来なくなるし、もしその人が辞めてしまったらドッと集客が落ちる。こういうことを避けるために、誰が演っても出来るしどんな役に対しても演れるようにするという仕組みが劇団四季のやり方なんです。
    でも、役者側からすると「誰がやっても同じ」と言われたら頑張り甲斐がないでしょう? 『テニミュ』の役者って、「ここで初めてプロとしてお金をもらった」という人がたくさんいるんです。「ここでしっかりできれば、俺は一生この道でやっていけるようになるかもしれない」というモチベーションがある。
    一方で四季の場合は給料システムで、1ステージいくらで年間に100ステージ立てばいくらになると保証されるようなかたちなんです。もちろん、1ステージの単価が上がっていって1ステージ10万円で年間200ステージ保証されると年間2000万円になるけれども、そういう枠の中でやる以上は、ハングリーさがやっぱり違ってきてしまいますよね。
    そして、四季は、誰がやっても同じように歌い誰が演じても同じようにセリフを喋るんです。「四季の発声法で発音しなさい」「この歌はこういう風に歌いなさい」というのが決まっていて、そこからはみ出した歌い方をすると外されてしまうんですね。
    でも、こうしたことは僕にとっては違う方法を採用するきっかけになった事ではありますが、四季が果たしてきた日本にミュージカルを大きく根付かせたという功績を否定することではありません。単に方法論の違いを言っているだけで、四季の舞台は今でも観に行きますよ。
    ――いつ行っても同じクオリティで観られるけれど、それ以上のものを観ることはできないということでもありますね。
    片岡 そういうことを全部裏返しにして、『テニミュ』の役者には、「ダブルキャストや代が違う同じ役柄の俳優と同じようにやらなくてもいい。原作漫画やTVアニメの中から君なりの手塚を演ればいい」と伝えていました。
    『テニミュ』は「卒業」というキャストの代替わりがあるんだけど、代が変わるときに同じキャラに同じようなタイプの役者を選ばないことにしているんです。見た目が似ている人を選ぶと、同じような演技に見えてしまうことがあるからです。
    『テニミュ』の1stシーズンで言えば、2代目の手塚役は城田優くんで、背が高くてかっこいい男だし、歌もすごくうまいし何も言うことのない完璧な手塚を創りあげていました。今や『エリザベート』にも出ていて日本ではトップクラスの舞台俳優になりましたよね。
    その手塚役が2代目から3代目に変わるとき、南圭介くんというそこまで歌が上手いとはいえない人にスイッチしたことがありました。城田くんと同じことをやろうとしてもできないことはわかっていたので、「完璧な手塚の後なら違う方向性にしよう」と、演技に人柄の良さが滲み出るタイプの南くんをキャスティングしたんです。
    本人にも「歌が上手くなくても、歌詞のメッセージやメロディの情感が伝わればいいんだから、それをお客さんに届けられるように頑張ればいいんだよ」と言っていました。南くんは歌も個人教授について、必死に勉強して見事に手塚役を全うしてくれました。
    役者にはそれぞれ育ってきた家庭の事情や環境があるわけです。その人の個性がどういうもので、役柄を自分の手の内に入れてどう表現するかということを演出家と役者が話し合って、僕自身はキャラクターという大枠の中に収まっているかどうかを判断するという役回りでした。このやり方は、反面教師としての四季があったおかげで、早い段階でつくり上げることができましたね。
    ■「役者として表現する」ことと「キャラクターになりきる」ことの違い
    ――2.5次元舞台では、その役者自身の個性が取り込まれた方が面白くなるというこということですよね。
    片岡 そうですね。ただ、だから『テニミュ』のキャスティングに素人か素人に近い人を使っているのかというと、それは違います。
    さっきの声の話と矛盾するように聞こえるかもしれないけど、アニメのキャラクターを演じる俳優にはある種の「匿名性」が必要だと思っているんです。たとえばある有名俳優Aさんが手塚を演じるとして、天才的な俳優なら難なくできると思いますよ。でも、どう考えでも「Aさんが演る手塚」を観に行くことになるでしょ?
    ――「手塚国光」だけを観には行けなくなりますね。どうしてもその「Aさん」というイメージが先に出てしまいます。
    片岡 もちろん、そういうものとして楽しんでもらうこともできるとは思うんだけど、そもそも制作側が大物ばかりをキャスティングすることもできないわけです。だったら逆に、基本的に全部をまっさらな人でやろうと。プロはいないとまずいから適度に入れようというのはあったんですが、プライオリティーとしてはできるだけ「新人」「顔を知られていない人」を選んでいます。それもこれもすべて、キャラクターになりきって演じてもらうために、お客さんにとっての障害物となるような要素をできるだけ少なくしようとしていたことはありますね。
    ――『テニミュ』では初舞台の人を起用したり『HUNTER×HUNTER』の舞台ではメインに声優を起用したりしていますよね。いわゆるプロの舞台俳優をあまり起用しなかったのはそういう理由があったんですね。
    片岡 アニメの仕事をしている人たちや、まったくまっさらで何の仕事もしてないキャリアの浅い人たちは、そのキャラクターや役柄に「なりきる」努力をするんです。もちろん、キャリアのあるセンスの塊みたいな俳優に仕事をお願いしたとして、彼らもなりきる努力はちゃんとやってくれると思います。でもそういう努力と、お客さんから観たときに「キャラ」として見えるかどうかは別次元の問題なんですよ。
    ――「キャラ」ではなく「表現」になってしまうということですよね。少し抽象的な質問かもしれないのですが、「表現すること」と「なりきること」はどう違うんでしょう?
    片岡 僕の考えでは、まず「なりきること」が大前提としてあって、「表現すること」はなりきった後に出てくるものなんです。「表現する」というのはとても難しいことで、訓練されたスキルを持っている人が自分の引き出しの中から生み出すものなんです。
    持って生まれて演技の才能を持っている俳優はは表現者として大変素晴らしい演技を披露してくれるに違いないけど、キャラクターになりきることを通り越していってしまうかもしれない。そうなるとキャラクターの本来の魅力がなかなか出てこなかったりします。要するに観客が持っているキャラクターのイメージを飛び越えて作れてきてしまうので、トゥーマッチになってしまうんですよね。
    ■ 伝説のテニミュ俳優「カトベ」はいかにして生まれたのか
    ――原作やアニメのキャラクターを求めて観に来た人にとっては、それはもう2次元発生のキャラクターではなくなってしまうということですよね。ちなみに、なりきるのが上手な俳優はどういう人たちなんですか?
    片岡 単純に、なりきるのが上手なのは「なりきろうと思う」人ですよ。なりきろうと真剣に思う人は「なりきれる」。そのキャラクターになりきることが表現することだと思い込んでやりきってくれればいいんです。
    ――すごくなりきってるなと思う人と、ちょっとイマイチだな、という人との違いはどんなところにあるんでしょう?
    片岡 それはやっぱり、抽象的な言葉だけれど「熱量」ですよね。『テニプリ』の人気キャラ・跡部景吾役を演じて「カトベ」と言われるぐらいになりきって大人気になった加藤和樹くんという役者がいますが、オーディション会場に入って来たときからすでに跡部だったんですよ。彼なりの稽古着を着て現れて、その瞬間にこちらも「跡部は彼しかいない」ということになってしまいました。他にオーデションを受けてた人たちも、もうその時点で「しょうがない。あいつで決まりだ」と思ったらしいですね。
    ――他にも跡部候補がいる中で一発で決まったんですか?
    片岡 ええ、たくさんの跡部候補がいた中でも圧倒的に「跡部」でしたね。ちょうど同じタイミングで斎藤工くんもオーディションを受けていたんだけど、工くんにはぴったりの役があってその役をお願いすることになりました。

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  • 弱者なら「守り抜く」のではなく「打って勝て!」――高校野球文化と「散る美学」(『砂の栄冠』完結記念・三田紀房インタビュー) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.415 ☆

    2015-09-24 07:00  
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    弱者なら「守り抜く」のではなく「打って勝て!」
    ――高校野球文化と「散る美学」
    (『砂の栄冠』完結記念・三田紀房インタビュー)

    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2015.9.24 vol.415
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    今朝のメルマガは、「週刊ヤングマガジン」で好評を博した高校野球漫画『砂の栄冠』の完結を記念し、作者・三田紀房先生へのインタビューをお届けします。『ドラゴン桜』『インベスターZ』などのビジネス・教育漫画で著名な三田先生が高校野球を描き続ける理由とは? そして日本独特の「高校野球文化」について、たっぷりと語ってもらいました。

    ▼プロフィール
    三田紀房(みた・のりふさ)
    1958年生まれ、岩手県北上市出身。明治大学政治経済学部卒業。代表作に『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』『クロカン』『砂の栄冠』など。『ドラゴン桜』で2005年第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。現在、「モーニング」「Dモーニング」(http://app.morningmanga.jp/)にて “投資” をテーマにした学園漫画『インベスターZ』を連載中。
    三田紀房公式サイト mitanorifusa.com
    公式ツイッター @mita_norifusa
    ◎聞き手・構成:中野慧

    ▲『砂の栄冠』最終第25巻は全国の書店やAmazonで好評発売中!
    ■ 唯一絶対の存在である「高校野球の監督」
    ――今回は、ヤングマガジンで大人気を博した高校野球漫画『砂の栄冠』の完結記念ということで、三田先生にいろいとお話を伺っていければと思います。
    まず三田先生といえば、ドラマ化などもされた『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』、そして現在モーニングで連載中の『インベスターZ』といったビジネス漫画のイメージが一般には強いかもしれませんが、『ドラゴン桜』以前からずっと野球、特に『クロカン』(1996年〜2002年にかけて週刊漫画ゴラクで連載)や『甲子園へ行こう!』(1999年〜2004年に週刊ヤングマガジンで連載)のような高校野球をテーマにした漫画を描いてきていらっしゃいますよね。
    そこで最初にお聞きしたいのですが、そもそも三田先生が高校野球漫画を描こうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?
    三田 直接のきっかけというのはあまり思い当たらないんですけど、父の友人で高校野球の監督をやっていた人がいたんです。僕の地元は岩手県で、その人はご実家のお仕事をされていたんですが、仕事のほうはそこまで熱心にやっていたわけではなく、日中はわりとブラブラしていて、午後になると高校に行って野球部の監督をやっていた。「仕事はそこそこで、好きなことをやって生きていける」って、なんかいいじゃないですか(笑)。で、その人は甲子園も3回ぐらい行っていて県内では有名人で、高校行くと監督ですから国の王様みたいな感じだったのも印象的でしたね。その人をなんとなくベースにして、高校野球の監督を主人公にしたいと思って描いたのが『クロカン』です。
    ――それ以前から、三田先生は野球を好きで見ていらっしゃったりしたんですか。
    三田 いえ、高校野球もプロ野球もそこまでちゃんと見ていたわけではないんです。岩手県なんで巨人戦しか見れなかったり、そもそも中継があんまりなかったので、関西や関東の野球好きの人のように「野球が生活の一部になっている」という感じではなかったですね。
    『クロカン』連載当時は漫画家デビューして2〜3年目ぐらいだったんですけど、やっぱりまずは自分が企画として考えた『クロカン』を描きたいという思いがあって、いろんなところに持ち込んだんです。でも、「主人公がプレイヤーじゃないからダメだ」「監督がベンチに座ってサイン出してるだけの漫画なんて成り立たないよ」と言われてなかなか採用されなかったですね。それでようやく「週刊漫画ゴラク」で企画が通って、本格的に高校野球漫画を書き始めていって、それからですね。
    ――今でこそ主人公が監督という漫画は珍しくなくなりましたけど、当時の漫画誌はそういう雰囲気だったんですね。
    三田 高校野球って、特に監督の存在が非常に大きいじゃないですか。そこを描いたら絶対に面白いと思っていたんですけど、90年代半ば当時はなかなか理解されなかったというのはありますね。
    ――僕も高校野球をやっていたんですが、たしかに高校野球って監督の良し悪しがチームの強さをかなり左右しますよね。監督5割、ピッチャーが5割なんて言われたりも。
    三田 監督って一球ごとのサインを出したりしますし、そもそもベンチのなかで唯一の大人なんですよね。だからどうしてもおっしゃるような関係性になってしまうということはあります。
    ■ 「正しい投球フォーム」なんてない!〜『甲子園へ行こう!』
    ――『クロカン』や『甲子園へ行こう!』を描いていらした時期は、高校野球の現場をたくさん取材されたりしたんですか? 他にも、参考にされた漫画があったりしたんでしょうか。
    三田 うーん、それはあまりないですね。取材もあまりしていないですし、漫画にしても水島新司さんの作品はいろいろ読んだりはしてましたけど、基本的に自分でいろいろ考えて描いています。
    『甲子園へ行こう!』の頃は「ピッチング理論をちゃんと描こう」というのが企画のコンセプトとしてあったので、牛島和彦さん(80年代〜90年代初頭にかけて中日・ロッテで抑え投手として活躍。引退後は横浜(現:横浜DeNA)の監督なども務め、現在は野球解説者)にお話を聞きにいったことはありました。
    「誰でもこれをやればすごいピッチャーになれる」というような”正しいフォーム”の理論のようなものがあるんじゃないかと期待して行ったんですけど、牛島さんからは「正しいフォームなんてない。良い球が行けばそれでいいんだ」とキッパリ言われてしまって(笑)。
    ――なるほど。牛島さんといえば投球術や「試合への向かい方」のようなメンタル面で鋭い解説をされていて理論派として知られていますが、その牛島さんでさえも投球フォームについては「正しいフォームはない」という考え方なんですね。
    以前、長嶋茂雄さんがバッティングに関して「正しいフォームなんてない、来た球にタイミングを合わせて、前に強い打球が飛ばせればそれでいいんだ」「日本人選手はフォームの綺麗さを気にしすぎている」とおっしゃっていました。長嶋さんが言うと「天才だからでしょ」なんて言われてしまうんですが、最近のスポーツ科学でも「人間は意識の指令だけで自分の身体を思い通りに動かすことはできない」っていう知見も出てきていたりしますね。
    三田 『甲子園へ行こう!』ではピッチャーが少し前傾姿勢になって「まっすぐ立つ」というテクニックを紹介していますけど、あれも「強いて言えば、いいピッチャーのフォームにはこういう共通点があるかもしれない」というぐらいのものなんですよ。
    やっぱり、単に「正しいフォーム」で投げたからといって、打たれたら意味がないわけです。逆に言えば変なフォームでも打たれなければそれでいい。そう言われればそうか、という感じですよね。
    たとえば「怪我しにくいフォーム」というものも描きましたけど、それはあくまでも確率論であって、変な投げ方してても怪我しない人はしないし、いい投げ方してもする人はする。身体のつくりも人によってまったく違いますし、何が合っているかは人それぞれなんです。
    要は「正しく投げる」ということは野球にはまったく当てはまらない、と。それはそれで描いていて新鮮だなと思いましたね。「こうすれば正しいに違いない」と思い込んでいたものが、意外と大した価値がなかったりするわけです。
    ――なるほど、フォームのような「過程」ではなく、打ち取れるかどうかという「結果」から逆算していくわけですね。
    ちなみに『甲子園へ行こう!』では神奈川の県立高校が舞台でしたが、地区予選のブロック大会から描いていましたよね。神奈川の地区大会って、秋と春は最初は地区ごとに、抽選で4チームずつに分かれて総当りでリーグ戦をやるわけですが、良いグラウンドを持っている「会場校」というシステムがあってそれに基づいて組み合わせが決まる。つまりどんな弱小校でも必ず強豪校と一回当たらなければいけないんですが、その独特の緊張感を描いているのがとてもリアルだなと感じました。
    三田 「なるべくリアルに再現しよう」というのは、ひとつのこだわりでしたね。神奈川って私立の強豪校がたくさんあるのもそうですし、県立高校もレベルが高くて他県と全然違うんです。
    『甲子園へ行こう!』でも舞台を県立高校にしていますが、非・強豪校が勝ち抜いていくには一番ハードルが高くて、そこでもがいて頑張っていく感じが出しやすいんですね。そういう高いハードルにチャレンジしていくところを描きたかったということがあります。
    ――神奈川県予選では準々決勝からすべて横浜スタジアムで試合が行われるわけですが、お客さんもたくさん入りますし、甲子園とはまた違った独特の雰囲気がありますよね。ベスト8ぐらいだとどこが甲子園に出てもおかしくないぐらい強くて、横浜・東海大相模・慶應・桐蔭・桐光……挙げればキリがないですが、お互いよく知っていて毎年当たるからライバル意識も強い。横浜スタジアムには独特の高校野球文化があるように思います。
    三田 やっぱり高校野球って地域ごとに全然違う文化があるんですよね。逆に大阪府なんて、開会式こそ大阪ドームでやりますけど、準決勝と決勝はわざわざ「舞洲ベースボールスタジアム」という海沿いの不便なところで開催しています。これってわざとそうしているらしいんですよね。
    ――もし大阪大会決勝で大阪桐蔭 VS PL学園のような好カードが実現したとして、甲子園球場自体は兵庫県(西宮市)なのでできないかもしれませんが、せめて大阪ドームとかでやればいいのにと思ってしまうんですが……。
    大阪府は47都道府県で唯一、夏の大会でのシード制を採用していなかったりしますけど、要は「甲子園以前」の大阪府予選にあまり注目を集めたくないんでしょうか(笑)。
    三田 大阪はやっぱり、ちょっと変わったこだわりがありますよね(笑)。
    ■ 『砂の栄冠』で描かれた、本当にいる「高校野球オタク」な人たち
    ――『甲子園へ行こう!』までは高校野球のドキュメントというか、選手一人ひとりの頑張りのドラマであったり、練習やそれ以外の時間を含めてチームの結束をどう固めていくかという部分に焦点が当たっていたと思うのですが、今回の『砂の栄冠』は高校野球全体の「文化論」になっていると感じました。このコンセプトはどういう経緯で生まれたんでしょうか?
    三田 『甲子園へ行こう!』の後も、「ヤングマガジン」が取材のパスを毎年用意してくれていたので、高校野球のマンガを描いてなくてもちょこちょこ甲子園を見に行ったりはしてたんです。で、『砂の栄冠』でも描いたことでもありますが、甲子園のバックネットって開場時間に来て毎日観戦しているようなおじさんたちがたくさんいるんですね。
    たとえばバックネット裏で試合前のシートノックを見ながらカウンターをカチャカチャやっている人がいて、プロ野球のスカウトが近くにいたんで「あの人って何やってるんですか?」って聞いたら、「ああ、あれは制限時間内に監督が何本ノックを打ったかを数えているんですよ」と言っていて。
    ――「制限時間内にどれだけノックを数多く打てるか」という指標で、そのノッカーの技術を測っているわけですよね。
    三田 そうなんです。そういったことをたくさん目の当たりにして、自分がそれまで思っていた「高校野球」とちょっと違う一面を感じたんですね。「こういう人たちがいてこそ甲子園なんだな」と。だから高校球児そのものと、プラスそれを取り巻いてる人間模様を描いたら面白いんじゃないかと思っていました。

    ▲『砂の栄冠(20)』より。濃い高校野球ファンたちは、それぞれ独自の視点から試合を観戦している。
    ――言ってしまえば「高校野球オタク」の人たちですよね。雑誌でいうと『野球太郎』(廣済堂出版)――昔だったら『野球小僧』(白夜書房)ですが――というものがありますが、プロ野球選手ではなくまだ高校生〜中学生の注目選手の情報を集めて、他県での練習試合まで遠征して追いかけるような人たちが実はたくさんいるんですよね。あの文化って、野球をやっている人間としては存在は知ってはいたものの、身近にそういう人が全然いないので「なんだろう?」と思っていたんです。でも『砂の栄冠』を読んで「ああ、こういう人たちなんだ!」と具体的なイメージが湧きました。
    三田 高校野球って、たとえば伝統校だと毎日バックネット裏とかに練習を見に来るおじいさんっているじゃないですか。「練習を見に来る」というのは、ひとつの高校野球の特徴だと思いますね。
    たとえば静岡高校なんて、毎日20〜30人ぐらい、90歳近いおじいさんたちが来ていたりするんですよ。これは他の競技にはない特徴なんじゃないかと思います。他にも高校野球部ってOB会だったり、父母会だったりといろんなものがくっついている。そういう外側のことも描いたら面白いんじゃないか、と思っていました。

    ▲『砂の栄冠(18)』より。高校野球ファンのなかには、お気に入りの選手を追いかけるため遠方まで観戦に出向く人も。上のシーンの人物は、静岡からわざわざ埼玉まで地方予選を観戦しに来ている。
    ■ 無能な監督、眉毛戦争、父母会の権力争い……高校野球を取り巻くディープな人間模様
    ――『砂の栄冠』では父母会で(なぜか)起こる主導権争いも描かれていましたが、元高校球児からすると「あるある」とすごく共感してしまいました。選手と関係ないところで無駄にドロドロしていたりしていて……子どもの側からするとたまったもんじゃないんですけど(笑)。
    三田 高校野球は父母のみなさんもすごく熱心ですから。やっぱり地域や父母と一体となって取り組むというのがひとつのポピュラーなかたちですね。
    ――他にも主人公の高校の監督(作中では「ガーソ」というあだ名で呼ばれている)が典型的な無能上司だったり、「眉毛戦争」と言われるチーム内での太眉派VS細眉派の対立があったり、強豪校野球エリートの嫌な感じだったりとか、ああいった綺麗事ではないリアルな側面も描かれていましたよね。
    三田 高校野球漫画って「みんなで頑張ろう」という話は書き尽くされている部分があるので、なにかしら作品の特徴というか、今までにないもの描きたいとは思っていました。あと、話を聞いていると意外とガーソみたいな監督って多いんですよね。

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