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記事 28件
  • 根津孝太×宮本修「Behind the Wheel──ホイールの後ろにあるもの」(おおたかの森カーフェスティバルトークショー)

    2018-02-02 07:00  
    540pt

    『カーデザインは未来を描く』の著者である根津孝太さんが、今回は千葉県流山市で開催された「おおたかの森カーフェスティバル」のトークショーに参加されました。根津さんと話すのは、個人オーナーの自動車を数多く展示しているこのフェスティバルを主催した宮本修さん。自動車と人との関わりについて、クルマ好きのふたりが掘り下げます。(構成・写真:池田明季哉)
    ▲フェスティバルの様子。家族連れが多い。

    ▲子供が楽しめるフォトパネルも。
    おおたかの森カーフェスティバルに漂う「いい空気」
    宮本 まずフェスティバルに来ていただいた感想からお伺いします。どうですか?
    根津 全体にすごく「いい空気」が漂っていますよね。僕はカーデザイナーなのですが、最近自動車というものが、愛してもらえる対象になっていないのではないかな、と思っているんです。でもここにいる車たちは、間違いなくオーナーさんに愛されている。それが素晴らしいですよね。
     たとえばあちらに飾っているジープ・ラングラー、一見普通に見えるんですけど、よく見るとリフトしてあったり、ホイールが変わっていたり、かなり手が入っている。年数的には作られてから20年くらい経っているはずなのですが、今でもすっと乗れる状態になっていますよね。本当に大事にしているのだということが伝わってきます。
     そこのシルバーのポルシェ911ターボもそうです。さっき僕が一方的にオーナーさんにラブコールを送って見せていただいていたんですが……いろいろなところを開けて欲しそうにじーっと見ていると、オーナーさんが開けてくれる、ということの繰り返しで笑。ドライバー席にも乗せていただきました。外装のグラフィックもすごくセンスがよくてかっこいいですよね。もともとは無地のシルバーだったところに、ご自分でデザインされたそうです。ポルシェマークを黒く塗っているところもこだわりを感じます。
    宮本 930ターボは基本的にトランスミッションが4速なのですが、こちらは最終年式のみに設定された5速のもので、ファンには垂涎の個体ですね。あとは内装がすごく綺麗なんです。ダッシュボードが革張りなので日焼けすると歪んだりひび割れてしまいがちなのですが、丁寧に手入れをされていることが伝わってきますよね。
    根津 やっぱりそうやって長く愛されている車は、時が経っても古くならないデザインが多い。ちゃんとキャラクターがあるんです。

    ▲ポルシェ・930ターボ。1989年式のターボは生産数が少なく希少な自動車。
     
    ▲オリジナルデザインのマーキング。中央のエンブレムが黒く塗られている。

    ▲サイドのマーキングも統一感がある。
    落ち込んだとき、語りかけてくる自動車
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  • 根津孝太×岩佐琢磨 「オープン」になる次世代自動車 後編(『カーデザインは未来を描く』刊行記念イベント「自動車の世紀はあと100年続く」)

    2017-12-07 07:00  
    540pt

    ついに発売になった根津孝太さんの新著『カーデザインは未来を描く』。今回はDMM.make AKIBAで行われた刊行記念イベントの後編です。自動車好きとして知られる株式会社Cerevo代表取締役・岩佐琢磨さんとの対談から浮かび上がる、次世代のあるべき自動車の姿とは?(構成:池田明季哉) ※本記事は2017年10月24日に行われた刊行記念イベント「自動車の世紀はあと100年続く」を再構成したものです。 当日のイベントの様子は動画でもご覧いただけます。 
    【書籍情報】 業界の錚々たるメンバーが大推薦! AI、シェア、自動運転――。大変革のなか、車社会はどこへ向かうのか。気鋭のカーデザイナーが、自動車の過去を紐解き、未来を解き明かす。ご注文はこちらから。
    「硬いものを作っている人ほど頭も硬い」
    宇野 岩佐さんは、これから車が語るべき物語には、どういう形がありえると思いますか?
    岩佐 僕は家電業界にいるので、その目線から車の状況を俯瞰して見ると、家電と車の融合がものすごい勢いで進んでいるんですね。家電のテクノロジーが車に流れ込んでいる。 昔はABSひとつとっても油圧でしたけど、今は電子制御ですよね。こうした電動のパーツは、バッテリーがあって、モーターなり何らかのアクチュエータがあるわけで、そうなると家電のテクノロジーとほとんど変わりがない、電気の世界の話になるわけです。 これがEVや自動運転になればなおさらで、よく「自動車がパソコン化・スマホ化していく」と言われますが、僕も近い見方をしています。
    根津 おっしゃる通りですよね。今の自動車はどんどん頭脳化している。これから自動運転ももっと発展するでしょうし、今の段階でも危険を感知して自動的にブレーキしてくれるくらいは普通になっていますからね。
    岩佐 実はこうした電気のテクノロジーには、必ずソフトウェア技術がセットで入ってくるわけですね。するとドライバーに合わせてカスタムしていくようなパーソナライゼーションと極めて親和性が高い。そこにはいろいろな可能性があると僕は思っているんですが……残念ながらハードウェアを手がけている人は、ソフトウェア的な発想を持ちにくいんですよね。これは家電業界でもそうではあるのですが、自動車のような重厚長大なプロダクトになればなるほど、ハードとソフトの発想が離れていってしまう。でも一方で、ユーザーは日々ソフトの世界に生きている。みんなLINEでコミュニケーションを取って、ECで買い物をしている。だからユーザー側は当たり前のように受け入れてくれるんだけれど、メーカー側がなかなか適応できていないという現実があります。
    根津 そうなんですよね。トヨタ時代によく「硬いものを作っている人ほど頭も硬い」と言われていて。ボディよりもシャーシ、シャーシよりもエンジン。エンジンが一番硬い(笑)。
    岩佐 逆にインテリアをやっている人が一番柔らかいんですかね(笑)。
    根津 いや本当にそうなんですよ。でもそれも必然があって、やっぱりヘビーなものを作るためにはヘビーなことをやらなくてはならない。開発期間も長くなるし、費用も莫大になるので、どうしても判断も重くならざるを得ないんです。 だから逆に、自動車全体をもっと軽くすればいいんじゃないの? というのが、最近僕が考えていることです。物理的に軽量に作るというのもそうなんですが、全体的に重厚長大でない方向を目指して舵を切る。そうすればソフトウェアとのマッチングもしやすくなりますよね。そこに未来がある、というのは僕も同じ意見です。
    家電化する車のつくる新しいライフスタイル
    宇野 岩佐さんって、自動車よりもっと小さいモビリティをいろいろ手がけていますよね。
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  • 根津孝太×岩佐琢磨 「オープン」になる次世代自動車 前編(『カーデザインは未来を描く』刊行記念イベント「自動車の世紀はあと100年続く」)

    2017-12-06 07:00  
    540pt

    ついに発売になった根津孝太さんの新著『カーデザインは未来を描く』。今回はDMM.make AKIBAで行われた刊行記念イベントの模様をお届けします。「自動車好き」が減っていくなかで、自動車が担うべき役割とはーー自動車に造詣の深い株式会社Cerevo代表取締役・岩佐琢磨さんとの対談から考えていきます。(構成:池田明季哉) ※本記事は2017年10月24日に行われた刊行記念イベント「自動車の世紀はあと100年続く」を再構成したものです。 当日のイベントの様子は動画でもご覧いただけます。 
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    宇野 みなさんこんばんは。本日は『カーデザインは未来を描く』刊行記念イベントにお越しいただき、まことにありがとうございます。司会を務めます、評論家の宇野常寛です。よろしくお願いいたします。 10月7日に、僕が代表を務める出版社「PLANETS」から、根津孝太さんの著作『カーデザインは未来を描く』が発売になりました。この本は、ここにいらっしゃる気鋭のデザイナー根津孝太さんが、古今東西の名車のデザインについて圧倒的な熱量で語っている本です。そして「自動車の世紀」と言われる20世紀の100年間、人類が自動車にどんな夢を託してきたのか、そして激変を迎えようとしている自動車業界に対して、これからの自動車がどんな夢を語るべきなのかについて熱く説いている本でもあります。 今回は、この本の刊行イベントとして、著者の根津さんに加えて、株式会社Cerevo・代表取締役の岩佐琢磨さんにお越しいただきました。
    岩佐 こんにちは。もうベンチャーという歳でもなくなってきましたが、2008年からIoTに特化した家電製品・ハードウェアを作る会社、Cerevoの代表を務めております。今日はよろしくお願いいたします。なぜ僕が呼ばれたのか、自分でもよくわかっていないのですけれど……(笑)。
    宇野 岩佐さんには家電ベンチャー業界を代表する車オタクとして来ていただきました。岩佐さんが呼ばれた理由はこの後の熱いトークで否応なく証明されていくと思うので、みなさん覚悟していてくださいね(笑)。
    「自動車が好きな人」が減っていった世代
    宇野 まずはゲストの岩佐さんに、著者の根津さんへこの本の感想をぶつけてもらうところからはじめていきましょうか。
    岩佐 僕は車が大好きな側の人間なのですが、むしろカーデザインにこれまで興味を持ってこなかった人に手に取って欲しい本だなと思いましたね。20世紀を通じた自動車の歴史が、とてもコンパクトにまとまっていますし、今まで知らなかった人も、これを読めばここ数十年のカーデザインのことがわかるという本になっていると思います。
    宇野 僕はそもそも自動車の運転免許を持っていないんですよ。だからまさに僕自身が、この本を作ることを通じて自動車の魅力について知っていったという感じです。
    岩佐 もちろん車好きとしても楽しんで読ませていただきました。さまざまな名車のデザインについても語られているのですが、やっぱり根津さんが選ぶ車はマニアックですよね(笑)。
    根津 僕も別に、あらゆる自動車について広くあまねく知識を持っているわけではないんですよ。好きなものが徹底的に好きなだけなんです。そんな僕のマニアックな偏愛をオープンにしていくことを通じて、僕が魅力を感じた背景に迫りつつ、共感してもらえたらいいな、と思って書いていました。 僕は1969年生まれで、いわゆるスーパーカー世代といわれた世代なんですね。小学校のときにスーパーカー消しゴムというのがあって、そういうもので遊びながら育った世代です。だから特に男の子であれば自動車が好きなことがある意味では当たり前で、自動車が嫌いな人の方が珍しい世代なんですよね。 宇野さんと岩佐さんは僕より9歳年下なんだけれど、そのあたりはすごく違うなと思います。
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  • ★号外★ 10/24(火)根津孝太×岩佐琢磨「自動車の世紀はあと100年続く」(『カーデザインは未来を描く』刊行記念イベント)のお知らせ

    2017-10-17 07:30  

    10月7日(土)発売の根津孝太さん著『カーデザインは未来を描く』の刊行を記念し、刊行記念イベントを実施することになりました! 「自動車の世紀はあと100年続く」と題し、気鋭のカーデザイナーである根津さんと、株式会社Cerevo代表取締役であり、自動車へも高い関心をお持ちの岩佐琢磨さんをお招きして、自動車と自動車社会の未来について語っていただきます。トークイベント終了後は、根津孝太さんのサイン会を予定しています。ぜひ会場に足をお運びください。
    ▼スケジュール
    2017年10月24日(火) 18:30 open / 19:00 start
    ▼会場
    DMM.make AKIBA 東京都千代田区神田練塀町3富士ソフト秋葉原ビル JR線 秋葉原駅 中央改札口より徒歩2分 つくばエクスプレス線 秋葉原駅 A3改札口より徒歩2分 東京メトロ日比谷線 秋葉原駅 2番出口より徒歩4分
    ▼出演プロフィール
  • 【根津孝太特集】『カーデザインは未来を描く』はじめに 全文無料公開【『カーデザインは未来を描く』刊行記念】

    2017-10-06 07:00  

    PLANETSのメールマガジンで人気連載だった根津孝太さんの『カーデザインの20世紀』が、大幅加筆修正を加えて、10月7日(土)に書籍として発売開始することになりました!刊行を記念して、著者の根津孝太さんに関連する記事を3日間連続でお届けします。 最終日の本日は、『カーデザインは未来を描く』の冒頭部分を一足先にお届けします。根津さんが本書にかける思いがたっぷりつまった「はじめに」をお楽しみください。
    『カーデザインは未来を描く』オンラインストアからご予約受付中!

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    はじめに
     みなさん、こんにちは。僕は根津孝太といい
  • 【根津孝太特集】根津孝太 × 宇野常寛 プロダクトデザインはいかに更新されるべきか(HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)【『カーデザインは未来を描く』刊行記念】

    2017-10-05 07:00  
    540pt

    PLANETSのメールマガジンで人気連載だった根津孝太さんの『カーデザインの20世紀』が、大幅加筆修正を加えて、10月7日(土)に書籍として発売開始することになりました!刊行を記念して、著者の根津孝太さんに関連する記事を3日間連続でお届けします。2日目は宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」、2016年10月24日放送回の書き起こしです。日本を代表するカーデザイナーとして、既存の枠組みにとらわれないユニークなプロダクトを次々と生み出し続ける根津さんの、発想の源泉はどこにあるのか、その秘密を語ります。
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    BASEの「PLANETS」の公式オンラインストアでご購入いただいた方限定で、根津孝太さん描き下ろしイラストポストカード3枚をプレゼントしています! ポストカードはなくなり次第の終了となりますのでお早めにお申し込みください! ご注文はこちらから。Amazonはこちらから。■ クリエイティビティの源泉は「言葉」にあり
    宇野 それではメールを読んでいきましょう。
    宇野さん、根津さん、こんばんは。クリエイティブな部分に興味があります。以前に私はミュージシャン(カッコつけでなく作曲をする方)に話を聞いたとき、「曲を作る時に立体物を想像して、そこから音にしていく」というのを聞いたことがあります。根津さんはプロダクトを作る際に別のものを想像してから変えていくようなことはありますか? もしくは創作の起点は何から始まりますか。(塩分控えめ 東京都 33歳)
    根津 面白い質問ですね、僕は言葉の力が大きいです。立体を作っていく作業をするときに、ほかの立体を見てダイレクトに影響を受けるというのは……まあ、確かにそれもあるんですよ。たとえばzecOOは『AKIRA』や『トロン』に影響を受けているんですが、最近では、宇野さんとお話しするとか、そういうことが次の作品に繋がっていくんですよね。言葉には解釈の余地があって、そこからクリエイティビティを引き出されることがよくあります。楽しい話をした後に、そこから形を考える、モノを考えるということがすごく多くなりましたね。
    ▲zecOO
    宇野 それを言われると評論家としてはプレッシャーが(笑)。僕としても作家の作ったものには、全力で打ち返さないといけないと思っていて。自分の評論に影響を受けて、それを上回る形で打ち返してきてくれたときが、評論家としては一番嬉しいですね。斜め上から「まさかこうくるか!」みたいなね。
    根津 「批評性」という言葉を宇野さんが使われていて、僕はすごく感動したんです。自分の作り出したものについて、自分では見えていないことっていっぱいあるんですよね。それを言ってもらうことで、「じゃあ次こうしてみよう」みたいな再発見があるんです。今日だってそうですよ。そういうことが今は一番刺激になりますね。
    宇野 もう1枚いきますかね。

    宇野さん根津さんこんばんは。私は趣味と実益を兼ねて、普段の都内の移動を自転車で済ませています。都内ならば下手に電車に乗ったりタクシーに乗るよりも、自転車の方が早いことも多いです。夏場はつらいのであまり使っていませんでしたが、だんだんと涼しくなってきて、ちょうど自転車乗りとって気持ちのいい季節になってきました。根津さんはエンジンを積んだ乗り物のデザインを中心に手がけていると思うのですが、スポーツとモビリティの関係についてはどうお考えでしょうか? 根津さんのデザインした自転車があったら、ぜひ乗ってみたいと思っています。今夜の放送も、楽しみにしています!(よきこと聞く 東京都 30歳)

    根津 ありがとうございます。実は自転車もいろいろやってるんですよ。
    宇野 そうですよね、語ってますもんね。
    根津 エンジンやモーターがついた乗り物をやるときでも、自転車の視点を忘れたくないんですよね。今の質問に関していえば、スポーツというのは幅広い年齢層の人にとって大事で、特に体が動かなくなってきた高齢者の方には、電動という方法もあるんですが、ちょっとアシストしてあげるとまた動けるようになったりするんです。移動とスポーツは本質的に近くて、自転車はそれが一致してる素晴らしいモビリティなんですよね。でも、外で自転車を乗り回すのは自信がないな、という人にはもう少し安定感のある乗り物にするとか。あるいは雨の日だと辛くなっちゃうので、屋根を付けてみるとか。そういう自転車から生まれてくる発想は、すごく大事だと思うんですよ。
    宇野 なるほどね。自転車・電動自転車・三輪・rimOnO・軽自動車というふうにグラデーションになっていて、足りないところを根津さんが埋めていっているわけですね。
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  • 【根津孝太特集】根津孝太×岩佐琢磨×小笠原治×宇野常寛「根津デザインの真髄~創造性は組む相手から生まれる」(機械じかけのナイトラウンジ Vol.1)【『カーデザインは未来を描く』刊行記念】

    2017-10-04 07:00  
    540pt

    PLANETSのメールマガジンで人気連載だった根津孝太さんの『カーデザインの20世紀』が、大幅加筆修正を加えて、10月7日(土)に書籍として発売開始することになりました!刊行を記念して、著者の根津孝太さんに関連する記事を3日間連続でお届けします。 1日目の本日は、「根津デザインの真髄~創造性は組む相手から生まれる」の再配信です。バイクやミニ四駆から、水筒やお弁当箱まで、様々な人や企業と共に魅力的なプロダクトを生み出している根津さん。そのデザインの真髄に、DMM.make AKIBAの実質的なプロデューサーの小笠原治さん、Cerevo代表の岩佐琢磨さん、宇野常寛、そして根津さんご本人が迫ります!(構成:鈴木靖子)
    『カーデザインは未来を描く』先行予約特典は今日の17:00の注文まで!

    BASEの「PLANETS」の公式オンラインストアでご注文いただいた方限定で三大特典がつきます!
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    電動バイクの概念を変える新しい大型バイク「zecOO」
    岩佐 今夜から始まりました「機械じかけのナイトラウンジ」。毎回エンジニアやデザイナーの方をゲストにお呼びして、ものづくりの魅力を存分に語ってもらいます。第一回目のゲストは、根津孝太さんです。
    根津 よろしくお願いします。
    岩佐 根津さんはトヨタ自動車のコンセプト開発リーダーなどを経て、現在は「znug design (ツナグ デザイン)」代表として、多くの工業製品のコンセプト企画及びデザイン、プロダクトを行ってらっしゃいます。先日は、根津さんがデザインされた電動バイク「zecOO」の販売が始まり、大きな話題を呼びました。

    ▲ 2015年3月15日より一般販売が開始された大型電動バイク「zecOO」
    宇野 ニュースサイトにも取り上げられてましたよね。これって一般販売してるですか?
    根津 してますよ。どなたでも購入できます。価格は888万円です。
    小笠原 この値段で誰が買うのかと思ったら、すでに買った人がいるらしい。
    根津 いるんですよねー。DMM.make AKIBAが入ってるこのビルの中に(笑)
    岩佐 そんな話題の「zecOO」について、普通のバイクとはどう違うのか、お話をうかがえればと思います。
    根津 この「zecOO」は電動バイクです。ガソリンエンジンではなく、電動モーターを動力とするバイクですね。
    まず、これだけ大きな電動バイクって非常に珍しいんですよ。これまでの電動バイクは、スクータータイプがほとんどなのですが、「zecOO」は大型バイクのサイズで、性能的にもリッタークラス以上のパワーを持っています。

    「zecOO」の開発には経緯がありまして。僕はずっと「電動バイクを作りたい」と、あちこちで公言していたんですね。そうしたらあるとき、「ここで作れなければ世界中どこに行っても作れないよ」と、千葉のバイクショップ「オートスタッフ末広」さんを紹介されたんです。
    そこの中村社長とお話をしているうちに、先方にも作りたいものがあることが分かって。そこで、まずは「ウロボロス」という三輪のトライクの製作を一緒にやることになったんです。その過程で、オートスタッフ末広さんのスゴさを実感して、だったら次に作る電動バイクも、オートスタッフ末広さんでなければできないものをやろうと。そうして生まれたのが「zecOO」なんです。
    だから、開発に関わっている人数も少なくて、中村社長と、エンジニアの高坂さん、電気系を担当したエリック・ウーさん。僕を含めても中心になっているメンバーは4人くらいなんですね。
    なので、技術的にもデザイン的にもやりたい放題やってます。例えば、普通のバイクは自転車と同様に2本のフォークでタイヤを挟んで支えるテレスコピックという構造になってますが、「zecOO」は横からタイヤを支える片持ちのスイングアーム構造になってます。

    全体のフレームも変わった作りになっていて。今、世にある電動バイクは、ガソリンバイクのフレームをそのまま流用して、エンジンをモーターに置き換えたものが多いんですが、「zecOO」は電動バイク用に独自に設計されたフレームを採用しました。アルミを削り出した板状のフレームで、前から後ろまでのユニットを両側から挟み込むような構造になってます。
    岩佐 へぇーなるほど! 僕はてっきりパイプ溶接みたいな構造だと思ってました。
    根津 オートスタッフ末広さんが、「ウロボロス」のスイングアームの付け根にこの構造を使っているのを見て、全体のフレーム構造に拡大するのを思いついたんですよね。それが「zecOO」のフレームの基本コンセプトになってます。
    思わず応援したくなる製品を生み出したい
    宇野 今のお話から「zecOO」の開発に込められた情熱はすごく伝わってきたんですが、アルミ板を挟むのとパイプ溶接の違いに「おぉ!」ってなる理由が、僕の知識だとわからなくて(笑)。「アルミで挟んで作るのは超すごい」ということなんでしょうか? 
    根津 そうですね。アルミの板状のフレームで挟む構造は、大手のバイクメーカーではやってないですし、電動ならではのやり方とも言えます。オートスタッフ末広さんならではの作り方の技術で、特許も出してます。
    宇野 なるほど。バイクの構造としてはまったく新しい発想なわけですね。
    根津 バイクのフレームの形式って、長い歴史の中で生み出された、究極に近い形があるんですよ。僕もそういうものは大好きです。でも、動力が電動であることを考えると、ひょっとするとタミヤさんのラジコンカーのほうが進化の先にあるのではないかと。
    小笠原 それは絶対にありますね。
    根津 最近のハイエンドのラジコンカーって、カーボンの板にアルミの削り出しのパーツを乗っけて、さらにもう一枚、カーボンの板を上にのせて剛性を確保するというダブルデッキ構成です。いわゆる、「板もの」と「削りもの」の構成ですね。「zecOO」はそれを縦にしたような構造です。
    サウンドに関しても「zecOO」は普通のバイクとはまったく違います。エンジン音や排気音はなくて、代わりに、ジェット戦闘機みたいな「キーン」という音が小さく鳴ります。
    宇野 めちゃくちゃかっこいいじゃないですか! 
    根津 やっぱりバイクファンの間には「バイクはこうあるべき」みたいな意見があって、例えばハーレー好きの方は、そのサウンドも好きでハーレーを買っている。同じように「zecOO」には「zecOO」の良さがあって、走行音が静かなのもそのひとつです。だから普通だったらバイクで騒音を出すのは気が引けるような場所でも、気兼ねなく行けるんですね。
    小笠原 そういえば若い頃は、実家の100mくらい手前でバイクのエンジンを切ってから、手で押して帰ってましたね(笑)。
    根津 改造すればするほど、エンジンを切るタイミングが早くなっていく。よく父親に「街の外に出てからエンジンをかけろ」って言われてました。
    小笠原 しまいには「うるさいから帰ってくんな」って(笑)。
    宇野 「zecOO」は走行性能的にはどうなんですか? 
    根津 加速感も電動ならではです。ガソリンエンジンはパワーバンドが決まっていて、シフトチェンジしながらギアをつないで上げていく。自動車でいうMT車(マニュアル車)ですね。ギアチェンジにはテクニックも必要で、それも面白さのひとつなんですが、電動バイクはオートマチックです。モーターを入れると、カーンっと立ち上がって、陶酔感のある加速をします。これ、本当にヤバイです。エコモードとパワーモードがあるんですけど、パワーモードに入れてカッとアクセルを開くと、「ハァ~」ってなりますよ。
    岩佐 車重が結構あると思うんですが、パワーモードに入れて急加速しても、フロントはリフトしないんですか? 
    根津 車体の全長が長いのとバッテリーの配置を工夫したことで、安定性はすごく高くなってます。
    岩佐 リアのタイヤって、幅はいくつのを履いているんですか?
    根津 アホみたいに太いんです。240mmあって。
    岩佐 240mm!? 軽自動車のタイヤほぼ2本分ですよ!
    小笠原 タイヤの扁平率ってどのくらいですか?
    根津 40%くらいですね。
    岩佐 自動車だと「フェラーリF40」とか、あの辺のクラスですね……。
    根津 それをどうやって決めたかというと、結局、見映えなんですよね。だって、太いほうがかっこいいじゃん! 
    一同 おぉ!
    小笠原 それを言い切ってしまえるのがスゴい(笑)。でも絶対に専門家は「勘弁してくれ」って言いますよね? 
    根津 「コーナーで曲がれなくなるぞ」って言われたんですけど、実際に乗ってみたら曲がれたので、別にいいかなと(笑)。クセがないバイクを作るなら、こういったこだわりは不要なんですけどね。
    小笠原 最初のプロダクトを世に出すとき、クセがないものを作る意味はないですよ。僕はモーターショーで発表されるコンセプトカーを、そのまま販売してほしいといつも思ってます。
    岩佐 今の大企業は超少品種の多量生産に特化していますが、その結果、どこのショップに行っても万人受けを狙った製品しか売っていない。この現状に不満を抱いている人は多いですよ。
    小笠原 本当の意味で「万人に受ける」なんてプロダクトは存在しないからね。
    岩佐 タイヤを太くすると「パワー効率が悪い」とか「重量が重い」とか「曲がりにくい」みたいな話は当然出るんだけどさ。でも「かっこいいんだから、太いほうがいいじゃん!」っていう人だっているわけです。
    100人いる内の3人だけが「よっしゃぁ!」と盛り上がれる商品だっていいんですよ。それがたくさん出てきたら、万人がそれぞれのお気に入りを見つけられるんです。お客さんの顔が見える距離で製品の開発に取り組める。そういう選択肢もありうる世界になってきていますよね。
    根津 もちろん、使う人に大きなリスクを背負わせてはいけないけど、ある種の尖ったものを作ると、ちょっとクセがあるとか乗りにくいとか、そういう面もあるわけです。でも、それも含めてファンになってくれる人がいる。
    僕はよく「お客さんは最後のチーム員だよね」って言うんだけれど、ユーザーとチームを組んで、ニーズを聞き取りながら魅力的な製品を作っていく。そういうスタンスは、あっていいと思っています。
    岩佐 お客さんが応援したくなるものを、僕らクリエイターは作らなくちゃいけない。
    小笠原 スポーツと一緒で、お客さんが応援したくなるようなプレーをすればいいんです。野球やサッカーだって、全チームが同じようなプレーをしていたら、誰も応援しなくなりますよ。
    宇野 いつの間にか僕たちは、顔も知らない誰かが作った製品が量販店に並ぶのが当たり前だと思い込んでいる。だけど、画期的な製品の背後には冒険を試みた開発者がいるんですよね。そんな当たり前のことを、消費社会の中で忘れてしまっていた。
    根津 そうですよね。僕がトヨタにいたときは、企画が得意だったので企画のフェーズばかりやらされていて。それは一つの効率化でもあるんだけれども、ちょっと寂しかった。ものづくりの現場で、お客さんに最後まできっちりと接しながら作ってる人って、実はものすごく少ないと思う。だから、スタートアップの何から何まで自分でやらなければならない状態は、むしろいいことだと思うんですよね。
    現代は「再発明」のパラダイムに入っている
    根津 例えはあまり良くないかもしれませんが、僕、あの映画の「エイリアン」ってすごい生物だと思ってるんです。寄生した宿主の遺伝子をもらって、適応した形で出てきますよね。オートスタッフ末広さんに僕が寄生して、その結果出てきたのが「zecOO」なんです。要は、組んだ相手や寄生した先によって生まれてくるものが違う。そんな仕事をやりたいと思っていました。
    小笠原 それはデザインにおいてむちゃくちゃ大事な部分ですよね。融合しないとものは作れないのに、自分自身を押し出せればいいという作り手は多い。
    根津 自分のことばかり言ってても、なかなか実際に製品は出来てこないですよね。
    小笠原 人もついてこないですしね。陰口叩かれるし(笑)。
    根津 僕も陰口は叩かれています(笑)。「アイツは本当に何もわかっていない」って。でも、いいんです。実際わかっていないし。
    岩佐 わかっていない人が作るのがいいんですよ。わかっている人は下手に知識や経験があるから、その殻を破るのが難しくて新しいチャレンジができない。
    例えば子供用のおもちゃって、コスト的に見合わないので金属の削り出しの部品を使わないんですよ。それはいいんですが、最初から使わない前提で考えているのが問題で、使ってみたら今までにない形のものを作れるんじゃないか、付加価値を出せるんじゃないか、といった発想が、業界内部から出てこない。
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  • 【特別再配信】根津孝太(znug design)×宇野常寛「レゴとは、現実よりもリアルなブロックである」

    2017-08-16 07:00  
    540pt


    誰もが知っているブロック玩具のレゴ。しかし、身近だからこそ、改めてその魅力について考える機会は少ないものです。昔からレゴが大好きだというカーデザイナーの根津孝太さんにお話を伺いながら、レゴの歴史から批評性、現実と虚構の繋ぎ方、そしてものづくりの未来まで、これからの日本を考える上で重要な想像力に迫りました。 (構成:池田明季哉/本記事は2014年6月11日に配信した記事の再配信です)

    小さいときからレゴ大好き!――根津孝太とレゴ 
    宇野 僕がレゴを買いはじめたのって、実はここ1年くらいなんですよ。ずっと買おうと思っていたんですが、手を出したら泥沼にハマることがわかっていてなかなか買えなかった(笑)。でもとうとう我慢できなくなって「レゴ・アーキテクチャー」シリーズに手を出してしまい、それから「レゴ・クリエイター」の大型商品を買ったりとか、あとは「レゴ・テクニック」の3つのモデルに組み替えられる小型商品とか、あとはヒーローものが好きなので、バットマン・シリーズを買ったりとかしています。
     根津さんは昔からのレゴファンという風に聞いています。今日はレゴについて、いろいろなお話を伺えればと思います。
    根津 僕はレゴが小さいときから好きなんです。ただ最初に買ってもらったのがレゴってだけだったんですけど、子供ながらに発色の良さとかカチッと組み合わさる感じとかにクオリティを感じていて。レゴ新聞に載ったこともあるんですよ!

    ▲楽しそうに話してくれる根津さん。「CAST YOUR IDEAS INTO SHAPE」と書かれたレゴのTシャツが素敵
    宇野 レゴ新聞! そんなものが……。やはり後に根津孝太になる人間は、小さい頃から根津孝太だったということですね(笑)。
    根津 街づくりのコンテストに妹と一緒に出したら入賞しちゃって。そしたら依頼が来て、小学校6年生くらいのときにF1を作ったんです。同じF1の、ひとつすごい大きいのを作って、もうひとつすごい小さいのを作って、ブロックの差こんだけです! みたいなことをやったんですね。
     例えば、これは僕のデザインしたリバーストライク「ウロボロス」をレゴにしたやつなんです。アメリカに自分がデザインしたモデルをパッケージに入れて届けてくれるサービスがあって、それで作ったんです。これも大きいものと小さいもの、両方作っています。

    ▲異なる解釈のふたつのウロボロス。資料の右上が大きいもの、左下が小さいもの。レゴファン諸氏は、ウィンドシールド部分の大きさから全体のサイズを推し量っていただきたい。
     ウロボロスのレゴも実物の写真を見ながら作るわけですけど、小さく作るとよりディフォルメしないといけない。だったらやっぱりこのフェンダーの丸いところと、タイヤの表情がウロボロスらしさだよね、それ以外は大胆に省略しよう、ということで、自分の解釈を出してるんです。 
    解像度と見立ての美学ーーディフォルメだけが持つ批評性
    宇野 根津さんはずっと小さいときからレゴをほとんど途切れなく作ってきてるわけですよね。それなりに長いレゴの歴史をずっと追ってきたと思うんですけど、レゴの歴史のターニングポイントみたいなものってありますか?
    根津 一時期、解像度を上げるために、専用パーツが一気に増えたことがあったんですよ。絶対にそのモデルでしか使えないような。
     でもレゴがさすがだなと思うのは、必ずそうじゃない使い方も用意して提案してくるんですよ! 「これ他に何に使えるんだよ……」みたいなパーツでも、後で必ずなるほどと思うような使い方をしてくる。それは最初からそれがあってパーツを作っているのか、それとも後からレゴの優れたビルダーが使い方を考えているのかはわからないんですけど。
     例えば僕が作ったこの装甲消防車も、このコックピットの横の板の部分は、チッパー貨車っていう列車のすごく特徴的な部品を使ってるんですが、パッと見わからないと思うんですよね。あとは有名なビルダーさんには、ミニフィグだけで何かを作ってしまう人とかもいますし、このオウムが人間の鼻に見えるんですとか、いろんな見立てができるんです。
    宇野 レゴってある時期から、どんどん模型化しているじゃないですか。組み替えを楽しむ玩具というよりは、独特のディフォルメと解像度を持つ模型の方向に舵を切っていて、この転向に批判的なファンもすごく多い。でもここ10年くらいのレゴの変化って、もっとポジティブに捉えていいんじゃないか。レゴの美学がもたらす快楽に世界中が気付き始めている、そう考えていいんじゃないかと思っているんですね。

    ▲根津さんが持ち上げているのが、開閉式のコックピット。

    ▲同じパーツを使った別モデルのコックピット内部。このアングルになって初めて、バケット状のパーツを使っていることに気付かされた。

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  • 根津孝太 × 宇野常寛 プロダクトデザインはいかに更新されるべきか(HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.722 ☆

    2016-10-31 07:00  
    540pt
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    根津孝太 × 宇野常寛  プロダクトデザインはいかに更新されるべきか(HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.10.31 vol.722
    http://wakusei2nd.com



    毎週月曜日22時よりニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」。今回は2016年10月24日に放送された、プロダクトデザイナーの根津孝太さんをゲストに迎えた回の書き起こしをお届けします。日本を代表するカーデザイナーとして、既存の枠組みにとらわれないユニークなプロダクトを次々と生み出し続ける根津さんの、発想の源泉はどこにあるのか、その秘密を語ります。

    ▲先週の放送はこちらからご覧いただけます
    PLANETSチャンネルで、J-WAVE 「THE HANGOUT」月曜日の後継となる宇野常寛のニコ生番組を放送中!
    〈HANGOUT PLUS〉番組に関する情報はこちら
     
    ▼プロフィール

    根津 孝太(ねず・こうた)
    1969年東京生まれ。トヨタ自動車を経てznug design設立。多くの工業製品のコンセプト企画とデザインを手がけ、代表作は、「町工場から世界へ」を掲げた電動バイク『zecOO』、やわらかい布製超小型モビリティ『rimOnO』、トヨタ自動車コンセプトカー『Camatte』、タミヤミニ四駆『Astralster』『RAIKIRI』など。2014年よりグッドデザイン賞審査委員。

    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。
    前回:柿沢未途×宇野常寛  民進党は(マジで)これからどうするのか(HANGOUT PLUS 10月10日放送分書き起こし)
    ※このテキストは2016年10月24日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
    ■ クリエイティビティの源泉は「言葉」にあり
    宇野 それではメールを読んでいきましょう。

    宇野さん、根津さん、こんばんは。クリエイティブな部分に興味があります。以前に私はミュージシャン(カッコつけでなく作曲をする方)に話を聞いたとき、「曲を作る時に立体物を想像して、そこから音にしていく」というのを聞いたことがあります。根津さんはプロダクトを作る際に別のものを想像してから変えていくようなことはありますか? もしくは創作の起点は何から始まりますか。(塩分控えめ 東京都 33歳)

    根津 面白い質問ですね、僕は言葉の力が大きいです。立体を作っていく作業をするときに、ほかの立体を見てダイレクトに影響を受けるというのは……まあ、確かにそれもあるんですよ。たとえばzecOOは『AKIRA』や『トロン』に影響を受けているんですが、最近では、宇野さんとお話しするとか、そういうことが次の作品に繋がっていくんですよね。言葉には解釈の余地があって、そこからクリエイティビティを引き出されることがよくあります。楽しい話をした後に、そこから形を考える、モノを考えるということがすごく多くなりましたね。
    ▲zecOO
    宇野 それを言われると評論家としてはプレッシャーが(笑)。僕としても作家の作ったものには、全力で打ち返さないといけないと思っていて。自分の評論に影響を受けて、それを上回る形で打ち返してきてくれたときが、評論家としては一番嬉しいですね。斜め上から「まさかこうくるか!」みたいなね。
    根津 「批評性」という言葉を宇野さんが使われていて、僕はすごく感動したんです。自分の作り出したものについて、自分では見えていないことっていっぱいあるんですよね。それを言ってもらうことで、「じゃあ次こうしてみよう」みたいな再発見があるんです。今日だってそうですよ。そういうことが今は一番刺激になりますね。
    宇野 もう1枚いきますかね。

    宇野さん根津さんこんばんは。私は趣味と実益を兼ねて、普段の都内の移動を自転車で済ませています。都内ならば下手に電車に乗ったりタクシーに乗るよりも、自転車の方が早いことも多いです。夏場はつらいのであまり使っていませんでしたが、だんだんと涼しくなってきて、ちょうど自転車乗りとって気持ちのいい季節になってきました。根津さんはエンジンを積んだ乗り物のデザインを中心に手がけていると思うのですが、スポーツとモビリティの関係についてはどうお考えでしょうか? 根津さんのデザインした自転車があったら、ぜひ乗ってみたいと思っています。今夜の放送も、楽しみにしています!(よきこと聞く 東京都 30歳)

    根津 ありがとうございます。実は自転車もいろいろやってるんですよ。
    宇野 そうですよね、語ってますもんね。
    根津 エンジンやモーターがついた乗り物をやるときでも、自転車の視点を忘れたくないんですよね。今の質問に関していえば、スポーツというのは幅広い年齢層の人にとって大事で、特に体が動かなくなってきた高齢者の方には、電動という方法もあるんですが、ちょっとアシストしてあげるとまた動けるようになったりするんです。移動とスポーツは本質的に近くて、自転車はそれが一致してる素晴らしいモビリティなんですよね。でも、外で自転車を乗り回すのは自信がないな、という人にはもう少し安定感のある乗り物にするとか。あるいは雨の日だと辛くなっちゃうので、屋根を付けてみるとか。そういう自転車から生まれてくる発想は、すごく大事だと思うんですよ。
    宇野 なるほどね。自転車・電動自転車・三輪・rimOnO・軽自動車というふうにグラデーションになっていて、足りないところを根津さんが埋めていっているわけですね。


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  • そしてカーデザインは21世紀へ――今までの自動車、これからの自動車/日本の大衆車・後編(根津孝太『カーデザインの20世紀』最終回) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.662 ☆

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    そしてカーデザインは21世紀へ――今までの自動車、これからの自動車/日本の大衆車・後編(根津孝太『カーデザインの20世紀』最終回)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.9 vol.662
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガでは、デザイナー・根津孝太さんの連載「カーデザインの20世紀」最終回をお届けします。これまでの連載の総まとめとして、現在の大衆車が置かれている状況と、その未来を考えていきます。
    ▼プロフィール
    根津孝太(ねづ・こうた)
    1969年東京生まれ。千葉大学工学部工業意匠学科卒業。トヨタ自動車入社、愛・地球博 『i-unit』コンセプト開発リーダーなどを務める。2005年(有)znug design設立、多く の工業製品のコンセプト企画とデザインを手がけ、企業創造活動の活性化にも貢献。賛同 した仲間とともに「町工場から世界へ」を掲げ、電動バイク『zecOO (ゼクウ)』の開発 に取組む一方、トヨタ自動車とコンセプトカー『Camatte (カマッテ)』などの共同開発 も行う。2014年度よりグッドデザイン賞審査委員。
    ◎構成:池田明季哉
    本メルマガで連載中の『カーデザインの20世紀』これまでの配信記事一覧はこちらのリンクから。

    前回:一億総中流はファミリーセダンの夢を見るか――「いつかはクラウン」から新型プリウスまで/日本の大衆車・前編(根津孝太『カーデザインの20世紀』第12回)

    前回は、大衆車であるファミリーセダンが戦後の日本にとって特別な意味を持っていたこと、そしてその系譜を受け継ぐプリウスのデザインについてお話ししました。しかし誰もが自動車を手にし、自動車があることを前提としたライフスタイルが一般的になっていくと、より「便利なもの」が、生活の「手段」として求められるようになっていきます。さらにバブル崩壊によって、この流れはさらに加速していきました。そこで今回は、実用性が追求されていった大衆車の現状と、それらを踏まえた21世紀のカーデザインについて考えていきたいと思います。
    ■同じ顔になってゆく自動車たち
    バブル崩壊以降、大衆車のデザインは「コモディティ化」への道を歩んでいきました。「コモディティ(Commodity)」とは「どこにでもあるもの」を意味する言葉で、商品と商品の間の差がなくなってしまい、どれを買っても大差がないような状態のことを言います。
    例えば、ホンダ・N-BOXとダイハツ・タント、そしてスズキ・スペーシアという異なるメーカーの三つの軽自動車があります。どれも人気のある車なのですが、このデザインを見て、みなさんはどういった印象を受けるでしょうか。

    ▲ホンダ・N-BOX。(出典)

    ▲ダイハツ・タント。(出典)

    ▲スズキ・スペーシア。(出典)
    もちろん作り手側がこだわっているポイントはたくさんあり、個々にユニークな機能もあるのですが、ユーザー視点から見たとき、全体的にかなり似ていると感じられるのではないかと思います。軽自動車という決められた規格の中で利便性や快適性を追求し、車内スペースの確保や製造コストの低減などを突き詰めていくと、どうしても似た見た目になってしまうんです。近年の空力解析技術の向上によって、最適解が似通ってしまうという側面もあります。軽自動車に限らず、大衆車と呼べるような自動車はどれも外見的に近づきつつあるんですね。
    コモディティ化という言葉はネガティブな意味で使われることも多いのですが、性能を追求していくことは基本的にはいいことです。誰もが安価で性能のいい自動車に乗れる、まさに「どこにでもあるもの」になったということは、大衆車のそもそものコンセプトの完成だとも言えます。
    ■ファミリーセダンが担っていた機能の分裂
    一億総中流という幻想が生きていたファミリーセダンの時代には、誰もが同じ自動車を手に入れることを夢見ていました。ところが時代が下るにつれて、ファミリーセダンが担っていた機能はいくつかのパターンに分裂していったんです。
    現在の日本の大衆車がどのようなカテゴリーに分かれているかを考えるために、今日本で最も売れている自動車のランキングを見てみましょう。

    (出典)日本自動車販売協会連合会ホームページ、全国軽自動車協会連合会ホームページ掲載の新車販売データより作成
    これは通常別々に集計されている普通自動車と軽自動車の2015年度新車販売台数を合わせて並べ、上位20位までを抜き出したものです。これを見ると、現在の日本で売れている大衆車は軽自動車、ハイブリッドカー、コンパクトカー、ミニバンという四つのカテゴリーになっていることがわかります。ひとつだけSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)というカテゴリーのホンダ・ヴェゼルがランクインしていますが、ランキング上位20台のうち実に19台が、上記四つのカテゴリーのどれかになっているわけですね。
    上位20台のうち半分を占める軽自動車は「スペース系」と呼ばれる、居住性の高さを追求したタイプが人気を集めています。軽自動車については、この連載の第5回(そして小さいクルマは立派になった―黎明期国産軽自動車のトライ&エラーとその帰結)と第6回(21世紀に必要なのは「もっと遅い自動車」だ―超小型モビリティが革新する「人間と交通」の関係)で扱いました。また1位、2位、7位に登場するハイブリッドカーは、前回詳しく語っています。そこで今回は、残りのふたつ、コンパクトカーとミニバンについて見ていきたいと思います。
    ■小さなボディに秘めた走りの良さ――コンパクトカー
    「コンパクトカー」とは、普通自動車でありながら、ダウンサイジングを意図して設計された自動車のことです。法律でその存在が厳密に規定されている軽自動車よりはやや曖昧な分類ですが、普通自動車なので軽自動車よりも居住性や走行性能を確保する上で寸法的には余裕があります。そのため、軽自動車ではちょっと物足りないという人や、長距離移動をする人に支持されています。ファミリーセダンにあった「通勤の足」としての機能は、軽自動車だけでなく、コンパクトカーにも引き継がれたと言えます。
    コンパクトカーと呼べる自動車の歴史は長いのですが、現在のそれに直接繋がる車が登場したのは、00年代のはじめです。トヨタ・ヴィッツ、日産・マーチ(3代目)、ホンダ・フィットがその代表格ですね。今もモデルチェンジを繰り返しながら販売され続けているベストセラーです。これらの車は、たとえばヴィッツならカローラとその弟分であるスターレット、マーチならサニー、フィットはシビックとその弟分のロゴという、おもに70〜90年代にかけて人気を博した大衆車の系譜上にあります。ライバルと競う形で、あるいはユーザーの生活レベルの向上と共に、少しずつ大きく贅沢になっていったカローラ、サニー、シビックの弟分として、兄貴分が生まれた当時のポジションを再現すべく投入された経緯があると言ってもいいかもしれません。だいたい自動車の企画から販売までは4年程度かかりますから、バブル崩壊を受けて90年代後半に企画された車なんですね。

    ▲トヨタ・ヴィッツ(初代)。(出典)

    ▲日産・マーチ(3代目)。(出典)

    ▲ホンダ・フィット(初代)。(出典)

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