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記事 3件
  • 高佐一慈 誰にでもできる簡単なエッセイ 第3回「ニーズが無い」という言葉の恐怖

    2020-03-12 07:00  
    550pt

    お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんが日常で出会うふとしたおかしみを書き留めていく連載エッセイの第3回。日頃から物持ちが良すぎるという高佐さん。長年クローゼットに保管されたままになっていた服をまとめて処分しようと、衣服の買取店を訪れますが……?
     僕は物持ちがいい方だ。  スマホは最低6年は使い続けるし、靴も底に穴が空くまで履き続ける。フライパンに至っては今年で13年目に突入したので、テフロンが全て剝がれ落ちてしまいめちゃくちゃ使いづらいのだが、テフロンの代わりに愛着が表面にコーティングされてしまっているので、捨てるに捨てられない。  そんな中でも溜まっていくのが服だ。自分で買った服以外に、先輩からもらった服、プレゼントで頂いた服など、一度着ると愛着が湧いてしまい、どんどん溜まっていく一方だ。もうクローゼットはパンパンである。  思い切って処分することにした。いつか着るだろうと保管していた服も処分しようと決めた。その服は余裕で5年、10年着ていなかったりする。  有名ブランドの服をまとめて20点。ちゃんと状態のいいものだけを選出した。汗ジミのあるものや、ボタンが外れ糸もほつれてしまっているのものは、雑巾として第二の人生を歩ませることにした。
     渋谷の有名ブランド買取店に持っていくことに決め、行く前にどれくらいの値段になるのかを、自分でざっと計算してみた。  以下は僕にとってのご都合計算。20点合計の、買った時の値段が合計で25万円。一応聞いたことのあるブランド。古着の買取の相場など全く知らないが、おそらく1割の値が付く。なので買取額は2万5千円! しかし一度も着ていない、まだタグの付いた服もあることを考慮すると、もう少し値が上がる。ズバリ3万5千円だ! 3万5千円を超えたら今日はすき焼きにしようと、昭和の主婦みたいな考えになり、大きめの黒いナイロンカバンに服を詰め、いざ出発した。アウターも入っているのでまあまあな重さだ。カバンの紐が右肩にギュギュッと食い込む。しかしそんなことは気にならない。なぜなら今日はすき焼きだからだ。
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  • 高佐一慈 誰にでもできる簡単なエッセイ 第2回 相田みつをゲーム

    2020-02-25 07:00  
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    お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんの連載『誰にでもできる簡単なエッセイ』。新宿のファミレスで暇そうな女子高校生のグループに遭遇した高佐さん。彼女たちが退屈しのぎに始めた「相田みつをゲーム」なる遊びに興味を持ちますが……?
     都内のファミレスに行った。店内に天使の絵が飾られている激安イタリアンレストランだ。ファミレスの中でも最も価格帯が安いという理由のせいか、顧客も学生が多い。僕も大学生の頃よく利用していた。  夕方の16時くらいだったが、場所が新宿ということで、店内は割と混雑していた。僕はタバコを吸うので通常は喫煙席に座るのだが、喫煙席は満席で何分待つかもわからない状態だったので、禁煙席に案内してもらった。
     一人で席に着き、この店で一番コストパフォーマンスが良いと思われる、イタリアの都市の名前が付けられたドリアとドリンクバーを注文し、スマホを開きながら料理を待っていると、隣のテーブルから騒がしい声が聞こえてきた。見ると、制服を着た女子高生5人グループが料理を食べ終えたテーブルでキャッキャと談笑している。皆うっすら化粧を施し、ピアスをし、5人のうち一人は金髪である。ハーフというわけではなく、顔立ちは純日本人といった面持ちなので、恐らくカラー剤で染めたのだろう。校則が緩いのか、はたまた校則を無視して染めたのか、いずれにせよこの時間にファミレスにいるということは、家に帰って真面目に宿題をやったり、部活動に勤しんだりするタイプの学生ではないということである。
     僕は高校が男子校であり、それもカトリックの進学校だったこともあり、学校帰りは寄り道などせず、まっすぐ家に向い、次の日の宿題をしているような真面目な学生だった。なのでこういったいわゆるギャルの女子高生が普段どんな会話をしているのかにとても興味があり、なんとなく隣のテーブルの会話に耳をそば立てた。
     「なんかダルいよねぇ〜」 「マジで超ヒマなんだけどぉ〜」 「確かに〜」
     ヒマなら部活に所属して汗かいたらいいだろと思うが、そういうことではなく、こうやって彼女たちなりにコミュニケーションを楽しんでいるのだろう。  すると、料理を全て食べ終え、この何も無い時間に本当に飽き始めたのか、一人が言った。
     「ねぇ、ゲームしようよ。ゲーム」
     今時の女子高生が一体どんなゲームをするのかに多少興味が湧いたが、どうせスマホゲームか何かだろう。そう思った僕の耳にゲーム提案者の甲高い声が飛び込んできた。
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  • 【新連載】高佐一慈 誰にでもできる簡単なエッセイ 第1回 咳払いシングルス決勝inルノアール

    2020-01-28 07:00  
    550pt

    今月から、お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんによる新連載が始まります! 高佐さんが日々の日常で経験した、くすりと笑える瞬間を書き留める本連載。第1回は、ルノアールで繰り広げられた、「咳払い」をめぐるささやかな戦いについてお届けします。
     みなさまはじめまして。ザ・ギースの高佐です。PLANETSのインターネットラジオ「オールフリー高田馬場」をご視聴頂いていた方はもしかしたらご存知かもしれませんが、ほとんどの方がはじめましてかと思います。ザ・ギースというお笑いコンビで活動している芸人です。「毒に冒された堺雅人」みたいな顔をしている方です。  去年の暮れ、PLANETS代表の宇野常寛さんから「エッセイを書かないか?」というお話を頂きました。エッセイなど、生まれてこのかた一度も書いたことがなく、そもそもエッセイとコラムの違いすら分かっていない僕が軽々と引き受けていいものかと悩んでいたのですが、宇野さんの「高佐くんなら書けるよ」というありがたい言葉と、僕のマネージャーの「名指しでエッセイをお願いされるなんて奇跡に近いですよ」という言葉に僕自身軽く舞い上がってしまい、「よろしくお願いします」とつい返答してしまったのでした。特にメッセージ性や、みなさまの知識になるような内容ではないので、他の方々の文章の箸休め的に読んでいただければと思います。  タイトルは、宇野さんが見に来てくれたギース単独ライブで行なった「誰にでもできる簡単な仕事」というネタから名付けることにしました。

     僕は芸人という仕事柄、喫茶店に行くことが多い。ネタを考えたり、本を読んだり、舞台の台本を覚えたり、行く理由は様々だ。最近は自身の配信動画の編集をすることもあり、ほとんど毎日どこかしらの喫茶店に行く。と言うと聞こえはいいが、実際はスマホゲームに手を出してしまい、作業そっちのけで、気付いたら蛍の光が流れてるということもしょっちゅうだ。喫茶店でパソコンを開いてるだけで仕事をした気になってるただの愚か者だ。  基本、家でもできる作業ばかりなのだが、家だとすぐにテレビを見てしまったり、ベッドに寝っ転がっていつの間にか寝てしまったりするので、体がその感覚を覚えてしまっているのか、家で仕事しようと思っても全くスイッチが入らない。そんなわけで今日も正月だというのにわざわざやってるかどうか電話で確認してまで、新宿のルノアールまで足を運び、スマホゲームの魔の手から逃れながら、この原稿をカタカタ書いている。
     喫茶店は、当たり前だが人が集まる場所だ。会話してる人たちもいれば、僕と同じように何かの作業をしている人、動画を見てる人、ゲームをしてる人など様々だ。そんな人が集まる場所に何時間も身を置いていると、ふとした瞬間に周りの人の仕草が気になってくる。
    【新刊】宇野常寛の新著『遅いインターネット』2月20日発売! インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げた一方、その弊害がさまざまな場面で現出しています。世界の分断、排外主義の台頭、そしてポピュリズムによる民主主義の暴走は、「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例といえます。インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには今何が必要なのか、提言します。