記事 28件
  • PLANETSチャンネルに入会するとできること

    2017-10-06 21:15  

    PLANETSチャンネルって?
    PLANETSチャンネルは、宇野常寛が代表を務めるPLANETSが、 ニコニコ動画内で運営している会員限定の有料チャンネルです。
    政治・経済からメディアアート、サブカルチャーまで、 今一番面白いものを独自の切り口でコンテンツ化し、配信しています。
    PLANETSチャンネルに入会するとできること
    ・メールマガジン「Daily PLANETS」が毎平日朝に届きます。
    宇野常寛が責任編集のメールマガジン、「Daily PLANETS」が平日の朝7:00に届きます。
    最新月のメールマガジンが読めるのは、月額会員だけ。 月の途中での入会でも、入会した月のメールマガジンは遡って読むことができます。
    ※月額会員になっても、入会する月より前のメールマガジンを読むことはできません。過去のメールマガジンを読むためには、ニコニコポイントで一記事ずつ購入する必要があります。→メー
  • ニコニコ動画・チャンネル登録方法——PLANETSチャンネルのコンテンツをお楽しみいただくために

    2017-10-06 09:25  

    PLANETSチャンネルのコンテンツをお楽しみいただくためには、1. ニコニコ動画への会員登録2. PLANETSチャンネルへの入会 が必要です。
    このページではニコニコ動画への会員登録方法と、PLANETSチャンネルへの入会方法について解説します。
    ニコニコ動画へ会員登録をしていない方は 1. へ ニコニコ動画へ会員登録済みでPLANETSチャンネルへの入会したい方は2. へ 進んでください。
    ※本記事の情報は、2017年10月4日現在のものです。 最新の情報は、ドワンゴ(ニコニコ動画の運営会社)からの公式アナウンスをご参照ください。
    こちらもどうぞ →PLANETSチャンネルに入会するとできること
    1. ニコニコ動画への会員登録
    ・会員登録ページへアクセス
    ニコニコ動画の会員登録ページにアクセスします。
    無料会員と、月額540円のプレミアム会員の案内があります。 いずれの会員になって
  • 【根津孝太特集】『カーデザインは未来を描く』はじめに 全文無料公開【『カーデザインは未来を描く』刊行記念】

    2017-10-06 07:00  

    PLANETSのメールマガジンで人気連載だった根津孝太さんの『カーデザインの20世紀』が、大幅加筆修正を加えて、10月7日(土)に書籍として発売開始することになりました!刊行を記念して、著者の根津孝太さんに関連する記事を3日間連続でお届けします。 最終日の本日は、『カーデザインは未来を描く』の冒頭部分を一足先にお届けします。根津さんが本書にかける思いがたっぷりつまった「はじめに」をお楽しみください。
    『カーデザインは未来を描く』オンラインストアからご予約受付中!

    BASEの「PLANETS」の公式オンラインストアでご購入いただいた方限定で、根津孝太さん描き下ろしイラストポストカード3枚をプレゼントしています! ポストカードはなくなり次第の終了となりますのでお早めにお申し込みください!
    ご注文はこちらから。
    Amazonはこちらから。
    はじめに
     みなさん、こんにちは。僕は根津孝太といい
  • 【根津孝太特集】根津孝太 × 宇野常寛 プロダクトデザインはいかに更新されるべきか(HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)【『カーデザインは未来を描く』刊行記念】

    2017-10-05 07:00  

    PLANETSのメールマガジンで人気連載だった根津孝太さんの『カーデザインの20世紀』が、大幅加筆修正を加えて、10月7日(土)に書籍として発売開始することになりました!刊行を記念して、著者の根津孝太さんに関連する記事を3日間連続でお届けします。2日目は宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」、2016年10月24日放送回の書き起こしです。日本を代表するカーデザイナーとして、既存の枠組みにとらわれないユニークなプロダクトを次々と生み出し続ける根津さんの、発想の源泉はどこにあるのか、その秘密を語ります。
    『カーデザインは未来を描く』オンラインストアからご予約受付中!

    BASEの「PLANETS」の公式オンラインストアでご購入いただいた方限定で、根津孝太さん描き下ろしイラストポストカード3枚をプレゼントしています! ポストカードはなくなり次第の終了となりますのでお早めにお申し込みください! ご注文はこちらから。Amazonはこちらから。■ クリエイティビティの源泉は「言葉」にあり
    宇野 それではメールを読んでいきましょう。
    宇野さん、根津さん、こんばんは。クリエイティブな部分に興味があります。以前に私はミュージシャン(カッコつけでなく作曲をする方)に話を聞いたとき、「曲を作る時に立体物を想像して、そこから音にしていく」というのを聞いたことがあります。根津さんはプロダクトを作る際に別のものを想像してから変えていくようなことはありますか? もしくは創作の起点は何から始まりますか。(塩分控えめ 東京都 33歳)
    根津 面白い質問ですね、僕は言葉の力が大きいです。立体を作っていく作業をするときに、ほかの立体を見てダイレクトに影響を受けるというのは……まあ、確かにそれもあるんですよ。たとえばzecOOは『AKIRA』や『トロン』に影響を受けているんですが、最近では、宇野さんとお話しするとか、そういうことが次の作品に繋がっていくんですよね。言葉には解釈の余地があって、そこからクリエイティビティを引き出されることがよくあります。楽しい話をした後に、そこから形を考える、モノを考えるということがすごく多くなりましたね。
    ▲zecOO
    宇野 それを言われると評論家としてはプレッシャーが(笑)。僕としても作家の作ったものには、全力で打ち返さないといけないと思っていて。自分の評論に影響を受けて、それを上回る形で打ち返してきてくれたときが、評論家としては一番嬉しいですね。斜め上から「まさかこうくるか!」みたいなね。
    根津 「批評性」という言葉を宇野さんが使われていて、僕はすごく感動したんです。自分の作り出したものについて、自分では見えていないことっていっぱいあるんですよね。それを言ってもらうことで、「じゃあ次こうしてみよう」みたいな再発見があるんです。今日だってそうですよ。そういうことが今は一番刺激になりますね。
    宇野 もう1枚いきますかね。

    宇野さん根津さんこんばんは。私は趣味と実益を兼ねて、普段の都内の移動を自転車で済ませています。都内ならば下手に電車に乗ったりタクシーに乗るよりも、自転車の方が早いことも多いです。夏場はつらいのであまり使っていませんでしたが、だんだんと涼しくなってきて、ちょうど自転車乗りとって気持ちのいい季節になってきました。根津さんはエンジンを積んだ乗り物のデザインを中心に手がけていると思うのですが、スポーツとモビリティの関係についてはどうお考えでしょうか? 根津さんのデザインした自転車があったら、ぜひ乗ってみたいと思っています。今夜の放送も、楽しみにしています!(よきこと聞く 東京都 30歳)

    根津 ありがとうございます。実は自転車もいろいろやってるんですよ。
    宇野 そうですよね、語ってますもんね。
    根津 エンジンやモーターがついた乗り物をやるときでも、自転車の視点を忘れたくないんですよね。今の質問に関していえば、スポーツというのは幅広い年齢層の人にとって大事で、特に体が動かなくなってきた高齢者の方には、電動という方法もあるんですが、ちょっとアシストしてあげるとまた動けるようになったりするんです。移動とスポーツは本質的に近くて、自転車はそれが一致してる素晴らしいモビリティなんですよね。でも、外で自転車を乗り回すのは自信がないな、という人にはもう少し安定感のある乗り物にするとか。あるいは雨の日だと辛くなっちゃうので、屋根を付けてみるとか。そういう自転車から生まれてくる発想は、すごく大事だと思うんですよ。
    宇野 なるほどね。自転車・電動自転車・三輪・rimOnO・軽自動車というふうにグラデーションになっていて、足りないところを根津さんが埋めていっているわけですね。
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 本日21:00から放送☆ 宇野常寛の〈水曜解放区 〉2017.10.4

    2017-10-04 07:30  

    本日21:00からは、宇野常寛の〈水曜解放区 〉!
    今夜から番組もリニューアル!
    新アシスタントナビゲーターの加藤るみさんも登場!
    21:00から、宇野常寛の〈水曜解放区 〉生放送です!
    〈水曜解放区〉は、評論家の宇野常寛が政治からサブカルチャーまで、
    既存のメディアでは物足りない、欲張りな視聴者のために思う存分語り尽くす番組です。
    今夜の放送もお見逃しなく!▼放送情報放送日時:本日10月4日(水)21:00〜22:45☆☆放送URLはこちら☆☆
    ▼出演者
    ナビゲーター:宇野常寛アシスタントナビ:加藤るみ(タレント)
    ▼ハッシュタグ
    Twitterのハッシュタグは「#水曜解放区」です。
    ▼おたより募集中!
    番組では、皆さんからのおたよりを募集しています。番組へのご意見・ご感想、宇野に聞いてみたいこと、お悩み相談、近況報告まで、なんでもお寄せください。
    番組専用メールフォーム

    ■PLAN
  • 【根津孝太特集】根津孝太×岩佐琢磨×小笠原治×宇野常寛「根津デザインの真髄~創造性は組む相手から生まれる」(機械じかけのナイトラウンジ Vol.1)【『カーデザインは未来を描く』刊行記念】

    2017-10-04 07:00  

    PLANETSのメールマガジンで人気連載だった根津孝太さんの『カーデザインの20世紀』が、大幅加筆修正を加えて、10月7日(土)に書籍として発売開始することになりました!刊行を記念して、著者の根津孝太さんに関連する記事を3日間連続でお届けします。 1日目の本日は、「根津デザインの真髄~創造性は組む相手から生まれる」の再配信です。バイクやミニ四駆から、水筒やお弁当箱まで、様々な人や企業と共に魅力的なプロダクトを生み出している根津さん。そのデザインの真髄に、DMM.make AKIBAの実質的なプロデューサーの小笠原治さん、Cerevo代表の岩佐琢磨さん、宇野常寛、そして根津さんご本人が迫ります!(構成:鈴木靖子)
    『カーデザインは未来を描く』先行予約特典は今日の17:00の注文まで!

    BASEの「PLANETS」の公式オンラインストアでご注文いただいた方限定で三大特典がつきます!
    1) 発売日にお届け! 2) どこよりも安くお届け! 定価3,024円の本書が期間限定価格、2,800円(送料/消費税込)に! 3) 根津孝太さん描き下ろしイラストポストカード3枚をプレゼント!
    全ての特典がつくのは、本日10月4日(水)17:00のご注文まで。この機会をお見逃しなく!
    ご注文はこちらから。
    電動バイクの概念を変える新しい大型バイク「zecOO」
    岩佐 今夜から始まりました「機械じかけのナイトラウンジ」。毎回エンジニアやデザイナーの方をゲストにお呼びして、ものづくりの魅力を存分に語ってもらいます。第一回目のゲストは、根津孝太さんです。
    根津 よろしくお願いします。
    岩佐 根津さんはトヨタ自動車のコンセプト開発リーダーなどを経て、現在は「znug design (ツナグ デザイン)」代表として、多くの工業製品のコンセプト企画及びデザイン、プロダクトを行ってらっしゃいます。先日は、根津さんがデザインされた電動バイク「zecOO」の販売が始まり、大きな話題を呼びました。

    ▲ 2015年3月15日より一般販売が開始された大型電動バイク「zecOO」
    宇野 ニュースサイトにも取り上げられてましたよね。これって一般販売してるですか?
    根津 してますよ。どなたでも購入できます。価格は888万円です。
    小笠原 この値段で誰が買うのかと思ったら、すでに買った人がいるらしい。
    根津 いるんですよねー。DMM.make AKIBAが入ってるこのビルの中に(笑)
    岩佐 そんな話題の「zecOO」について、普通のバイクとはどう違うのか、お話をうかがえればと思います。
    根津 この「zecOO」は電動バイクです。ガソリンエンジンではなく、電動モーターを動力とするバイクですね。
    まず、これだけ大きな電動バイクって非常に珍しいんですよ。これまでの電動バイクは、スクータータイプがほとんどなのですが、「zecOO」は大型バイクのサイズで、性能的にもリッタークラス以上のパワーを持っています。

    「zecOO」の開発には経緯がありまして。僕はずっと「電動バイクを作りたい」と、あちこちで公言していたんですね。そうしたらあるとき、「ここで作れなければ世界中どこに行っても作れないよ」と、千葉のバイクショップ「オートスタッフ末広」さんを紹介されたんです。
    そこの中村社長とお話をしているうちに、先方にも作りたいものがあることが分かって。そこで、まずは「ウロボロス」という三輪のトライクの製作を一緒にやることになったんです。その過程で、オートスタッフ末広さんのスゴさを実感して、だったら次に作る電動バイクも、オートスタッフ末広さんでなければできないものをやろうと。そうして生まれたのが「zecOO」なんです。
    だから、開発に関わっている人数も少なくて、中村社長と、エンジニアの高坂さん、電気系を担当したエリック・ウーさん。僕を含めても中心になっているメンバーは4人くらいなんですね。
    なので、技術的にもデザイン的にもやりたい放題やってます。例えば、普通のバイクは自転車と同様に2本のフォークでタイヤを挟んで支えるテレスコピックという構造になってますが、「zecOO」は横からタイヤを支える片持ちのスイングアーム構造になってます。

    全体のフレームも変わった作りになっていて。今、世にある電動バイクは、ガソリンバイクのフレームをそのまま流用して、エンジンをモーターに置き換えたものが多いんですが、「zecOO」は電動バイク用に独自に設計されたフレームを採用しました。アルミを削り出した板状のフレームで、前から後ろまでのユニットを両側から挟み込むような構造になってます。
    岩佐 へぇーなるほど! 僕はてっきりパイプ溶接みたいな構造だと思ってました。
    根津 オートスタッフ末広さんが、「ウロボロス」のスイングアームの付け根にこの構造を使っているのを見て、全体のフレーム構造に拡大するのを思いついたんですよね。それが「zecOO」のフレームの基本コンセプトになってます。
    思わず応援したくなる製品を生み出したい
    宇野 今のお話から「zecOO」の開発に込められた情熱はすごく伝わってきたんですが、アルミ板を挟むのとパイプ溶接の違いに「おぉ!」ってなる理由が、僕の知識だとわからなくて(笑)。「アルミで挟んで作るのは超すごい」ということなんでしょうか? 
    根津 そうですね。アルミの板状のフレームで挟む構造は、大手のバイクメーカーではやってないですし、電動ならではのやり方とも言えます。オートスタッフ末広さんならではの作り方の技術で、特許も出してます。
    宇野 なるほど。バイクの構造としてはまったく新しい発想なわけですね。
    根津 バイクのフレームの形式って、長い歴史の中で生み出された、究極に近い形があるんですよ。僕もそういうものは大好きです。でも、動力が電動であることを考えると、ひょっとするとタミヤさんのラジコンカーのほうが進化の先にあるのではないかと。
    小笠原 それは絶対にありますね。
    根津 最近のハイエンドのラジコンカーって、カーボンの板にアルミの削り出しのパーツを乗っけて、さらにもう一枚、カーボンの板を上にのせて剛性を確保するというダブルデッキ構成です。いわゆる、「板もの」と「削りもの」の構成ですね。「zecOO」はそれを縦にしたような構造です。
    サウンドに関しても「zecOO」は普通のバイクとはまったく違います。エンジン音や排気音はなくて、代わりに、ジェット戦闘機みたいな「キーン」という音が小さく鳴ります。
    宇野 めちゃくちゃかっこいいじゃないですか! 
    根津 やっぱりバイクファンの間には「バイクはこうあるべき」みたいな意見があって、例えばハーレー好きの方は、そのサウンドも好きでハーレーを買っている。同じように「zecOO」には「zecOO」の良さがあって、走行音が静かなのもそのひとつです。だから普通だったらバイクで騒音を出すのは気が引けるような場所でも、気兼ねなく行けるんですね。
    小笠原 そういえば若い頃は、実家の100mくらい手前でバイクのエンジンを切ってから、手で押して帰ってましたね(笑)。
    根津 改造すればするほど、エンジンを切るタイミングが早くなっていく。よく父親に「街の外に出てからエンジンをかけろ」って言われてました。
    小笠原 しまいには「うるさいから帰ってくんな」って(笑)。
    宇野 「zecOO」は走行性能的にはどうなんですか? 
    根津 加速感も電動ならではです。ガソリンエンジンはパワーバンドが決まっていて、シフトチェンジしながらギアをつないで上げていく。自動車でいうMT車(マニュアル車)ですね。ギアチェンジにはテクニックも必要で、それも面白さのひとつなんですが、電動バイクはオートマチックです。モーターを入れると、カーンっと立ち上がって、陶酔感のある加速をします。これ、本当にヤバイです。エコモードとパワーモードがあるんですけど、パワーモードに入れてカッとアクセルを開くと、「ハァ~」ってなりますよ。
    岩佐 車重が結構あると思うんですが、パワーモードに入れて急加速しても、フロントはリフトしないんですか? 
    根津 車体の全長が長いのとバッテリーの配置を工夫したことで、安定性はすごく高くなってます。
    岩佐 リアのタイヤって、幅はいくつのを履いているんですか?
    根津 アホみたいに太いんです。240mmあって。
    岩佐 240mm!? 軽自動車のタイヤほぼ2本分ですよ!
    小笠原 タイヤの扁平率ってどのくらいですか?
    根津 40%くらいですね。
    岩佐 自動車だと「フェラーリF40」とか、あの辺のクラスですね……。
    根津 それをどうやって決めたかというと、結局、見映えなんですよね。だって、太いほうがかっこいいじゃん! 
    一同 おぉ!
    小笠原 それを言い切ってしまえるのがスゴい(笑)。でも絶対に専門家は「勘弁してくれ」って言いますよね? 
    根津 「コーナーで曲がれなくなるぞ」って言われたんですけど、実際に乗ってみたら曲がれたので、別にいいかなと(笑)。クセがないバイクを作るなら、こういったこだわりは不要なんですけどね。
    小笠原 最初のプロダクトを世に出すとき、クセがないものを作る意味はないですよ。僕はモーターショーで発表されるコンセプトカーを、そのまま販売してほしいといつも思ってます。
    岩佐 今の大企業は超少品種の多量生産に特化していますが、その結果、どこのショップに行っても万人受けを狙った製品しか売っていない。この現状に不満を抱いている人は多いですよ。
    小笠原 本当の意味で「万人に受ける」なんてプロダクトは存在しないからね。
    岩佐 タイヤを太くすると「パワー効率が悪い」とか「重量が重い」とか「曲がりにくい」みたいな話は当然出るんだけどさ。でも「かっこいいんだから、太いほうがいいじゃん!」っていう人だっているわけです。
    100人いる内の3人だけが「よっしゃぁ!」と盛り上がれる商品だっていいんですよ。それがたくさん出てきたら、万人がそれぞれのお気に入りを見つけられるんです。お客さんの顔が見える距離で製品の開発に取り組める。そういう選択肢もありうる世界になってきていますよね。
    根津 もちろん、使う人に大きなリスクを背負わせてはいけないけど、ある種の尖ったものを作ると、ちょっとクセがあるとか乗りにくいとか、そういう面もあるわけです。でも、それも含めてファンになってくれる人がいる。
    僕はよく「お客さんは最後のチーム員だよね」って言うんだけれど、ユーザーとチームを組んで、ニーズを聞き取りながら魅力的な製品を作っていく。そういうスタンスは、あっていいと思っています。
    岩佐 お客さんが応援したくなるものを、僕らクリエイターは作らなくちゃいけない。
    小笠原 スポーツと一緒で、お客さんが応援したくなるようなプレーをすればいいんです。野球やサッカーだって、全チームが同じようなプレーをしていたら、誰も応援しなくなりますよ。
    宇野 いつの間にか僕たちは、顔も知らない誰かが作った製品が量販店に並ぶのが当たり前だと思い込んでいる。だけど、画期的な製品の背後には冒険を試みた開発者がいるんですよね。そんな当たり前のことを、消費社会の中で忘れてしまっていた。
    根津 そうですよね。僕がトヨタにいたときは、企画が得意だったので企画のフェーズばかりやらされていて。それは一つの効率化でもあるんだけれども、ちょっと寂しかった。ものづくりの現場で、お客さんに最後まできっちりと接しながら作ってる人って、実はものすごく少ないと思う。だから、スタートアップの何から何まで自分でやらなければならない状態は、むしろいいことだと思うんですよね。
    現代は「再発明」のパラダイムに入っている
    根津 例えはあまり良くないかもしれませんが、僕、あの映画の「エイリアン」ってすごい生物だと思ってるんです。寄生した宿主の遺伝子をもらって、適応した形で出てきますよね。オートスタッフ末広さんに僕が寄生して、その結果出てきたのが「zecOO」なんです。要は、組んだ相手や寄生した先によって生まれてくるものが違う。そんな仕事をやりたいと思っていました。
    小笠原 それはデザインにおいてむちゃくちゃ大事な部分ですよね。融合しないとものは作れないのに、自分自身を押し出せればいいという作り手は多い。
    根津 自分のことばかり言ってても、なかなか実際に製品は出来てこないですよね。
    小笠原 人もついてこないですしね。陰口叩かれるし(笑)。
    根津 僕も陰口は叩かれています(笑)。「アイツは本当に何もわかっていない」って。でも、いいんです。実際わかっていないし。
    岩佐 わかっていない人が作るのがいいんですよ。わかっている人は下手に知識や経験があるから、その殻を破るのが難しくて新しいチャレンジができない。
    例えば子供用のおもちゃって、コスト的に見合わないので金属の削り出しの部品を使わないんですよ。それはいいんですが、最初から使わない前提で考えているのが問題で、使ってみたら今までにない形のものを作れるんじゃないか、付加価値を出せるんじゃないか、といった発想が、業界内部から出てこない。
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 福嶋亮大『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景』第四章 風景と怪獣 2 ウルトラマンの風景(1)

    2017-10-03 07:00  

    文芸批評家・福嶋亮大さんが、様々なジャンルを横断しながら日本特有の映像文化〈特撮〉を捉え直す『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景』。映画の時代の作品であった『ゴジラ』シリーズから、テレビの時代へと移り変わった先に登場した『ウルトラマン』における怪獣の変化について論じます。
    2 ウルトラマンの風景
     私はここまで、戦後の特撮文化における「怪獣」の源流として、ドキュメンタリー志向と崇高の美学を挙げてきた。ドイツでも日本でもソ連でも、戦時下のプロパガンダ映画はドキュメンタリー的方法論やモンタージュを活用しながら、技術の最先端を走っていた。その尖兵であった円谷英二は、日本的な約束事の美から離れて、人間を圧倒する崇高な火山や嵐をスペクタクルとして作り出す。その後、戦後の円谷と本多猪四郎の共同作業において、虚構的ドキュメンタリーの対象は自然災害のような怪獣へと横滑りしていった。そして、これから論じるように、テレビの時代に入ると、さらなる新しいタイプの怪獣が風景とともに「記録」されることになる……。  ところで、日本でドキュメンタリー的手法が活発化したのは、戦時下における劇映画のニュース映画化という局面だけではない。戦後にも何度かドキュメンタリーに注目が集まった時期がある。特撮との関わりで、ここでは二つの時期を挙げておこう。
    ドキュメンタリーとジェンダー
     第一に重要なのは、一九五〇年代頃における「記録」への関心の高まりである。この時期に岩波映画製作所は、中谷宇吉郎の関わった科学映画『凸レンズ』(一九四九年)をはじめとして多くの記録映画を生産し、映画評論もその流れに呼応した。なかでも、一九五八年から六四年まで刊行された記録映画作家協会の機関誌『記録映画』は、花田清輝、安部公房、吉本隆明、針生一郎、寺山修司、東松照明、武満徹、大島渚といった錚々たる言論人を登場させるとともに、クラカウアーやヨリス・イヴェンスの論考も翻訳・紹介するという具合に、海外の映画の動向も含めて「記録」を問い直そうとする意欲的な雑誌であった。この雑誌に学生アルバイト編集者として参加していた佐々木守は、日仏のヌーヴェルヴァーグの映画も念頭に置きながら「昭和三十年代はいわばドキュメンタリーの時代であった」と総括している[23]。  東宝特撮映画も「ドキュメンタリーの時代」と無縁ではなかった。例えば、『ゴジラ』の公開された一九五四年は、ダムの建設過程をつぶさに記録した岩波映画最大のプロジェクト『佐久間ダム』第一部の公開年でもあった。土木現場における岩山と掘削機械の強烈なぶつかりあい、人間を圧倒する物質的崇高の感覚、そして建設映画の劇伴を得意とした伊福部昭の音楽の効果もあって、この記録映画は『ゴジラ』の分身という印象を与える[24]。本多のドキュメンタリー志向は、戦時下の記録映画を変形的に継承したものであるだけではなく、同時代の「記録への意志」にも裏打ちされていた。  さらに、ジェンダー論から見て興味深いのは、六〇年代初頭の東宝特撮映画において、カメラを手にした記録する女性たちが重要な役割を果たしたことである。例えば、『モスラ』における新聞社の女性カメラマン花村ミチ、あるいは『ガス人間第一号』における新聞記者の甲野京子はそのアクティブな行動力によって、異常現象をジャーナリスティックに解明する原動力となった。後の『ウルトラQ』第一話で「写真ですわデスク、写真に撮れば一目瞭然!」と言って飛び出していく新聞社のカメラマン江戸川由利子は、まさにこの東宝特撮映画における女性ジャーナリストの系譜に属している。ウルトラシリーズはその出発点において「ドキュメンタリーの時代」の想像力を引き受けながら、カメラを女性の主体化のための道具として用いていた。
     折しも同じ東宝映画では、林芙美子を主人公とした成瀬巳喜男監督の『放浪記』(一九六二年)が、女性による「書くこと」を否定的に取り上げていた。この映画は、同棲していた作家志望の男性(演者は『ゴジラ』に主演した宝田明)に散々苦労させられた女性作家の林(高峰秀子)が、売れっ子になった後も深刻な疲労感に襲われるシーンで閉じられる。実在の林は三〇年代後半以降、中国大陸や東南アジアのルポルタージュによって、まさに「ドキュメンタリー作家」として自己を主体化していったのだが、成瀬はそのような活躍には触れず、むしろ書けば書くほど自分を見失って、正体不明の倦怠に包まれていく不幸な女性作家として林を描き出した。「書くこと」や「記録すること」を介した女性の主体化という林芙美子のプログラムは、成瀬映画において意地の悪いやり方で損耗させられたのだ。  したがって、本多と円谷の特撮映画が「記録する主体」としての女性を活躍させたことは、成瀬映画と好対照をなすものであり(『ゴジラ』でもオキシジェン・デストロイヤーの威力を「目撃」したのは、芹沢以外には河内桃子演じる山根恵美子だけであった――この怪獣映画は観客を感情移入させるのに女性の眼と声を効果的な媒介として用いている)、『ウルトラQ』もその延長線上にある。もっとも、その後の昭和のウルトラシリーズでは、女性隊員はサラリーマン組織の「紅一点」としておおむね通信担当に押し込められ、その保守性はフェミニズム的な視点から揶揄されもしたのだが[25]、少なくとも「ドキュメンタリーの時代」の東宝特撮映画の女性像には、むしろ同時代の成瀬映画よりも楽天的かつ進歩的な一面があったと言えるだろう。
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録 第11回 碇シンジとヒイロ・ユイの1995年(PLANETSアーカイブス)

    2017-10-02 07:00  

    毎週月曜日は「PLANETSアーカイブス」と題して、過去の人気記事の再配信を行います。傑作バックナンバーをもう一度読むチャンス! 今回の再配信は「京都精華大学〈サブカルチャー〉論」をお届けします。『新世紀エヴァンゲリオン』が人気を集めるその裏側で、ボーイズラブ的に受容された『新機動戦記ガンダムW』が切り開いたロボットアニメの可能性。戦後日本の〈成熟〉にまつわる問題意識を乗り越える、新たな想像力の萌芽について論じます(この原稿は、京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部 2016年5月13日の講義を再構成したものです /2016年11月4日に配信した記事の再配信です )。 「宇野常寛の対話と講義録」配信記事一覧はこちらのリンクから。
    ロボットアニメを書き換えた1995年の『新機動戦記ガンダムW』
     初代『ガンダム』から『エヴァンゲリオン』に至るまで、ロボットアニメの主人公の少年たちは等身大の悩みを抱えた「内面のある」キャラクターでした。自意識過剰で、「お父さんに認められたい」「女の子をゲットしたい」「大人の男になりたい」とか、そういった思春期の悩みに溢れていましたよね。ところが、そういった悩みを一切抱えていない少年を描いたロボットアニメが登場します。それが、『エヴァンゲリオン』と同じ1995年に放映された、『新機動戦記ガンダムW(ウイング)』です。まずは映像を観てみましょう。
    ▲新機動戦記ガンダムW Blu-ray Box
     これ、オープニングですけど、なんというかすごいですよね。この冒頭から差し込まれる美少年ナルシシズム。ファーストカットがいきなり、謎のポーズを決めている美少年です。いやあ、人間はどういう自意識で生きていたらこんなポーズが取れるんでしょうね。自分は既に完成されていて圧倒的にカッコいいという確信がないと、まず、ムリです(笑)。  そして、このあとに彼が乗るウイングガンダムが出てくる。この時点でもう、この作品ではモビルスーツと主人公の少年の力関係が逆転していることが示されてしまっているわけですね。  で、続いて同じように全能感に溢れた美少年が4人現れます。やっぱりドヤ顔で謎のポーズを取っています。そしてモビルスーツは決めポーズを取る少年の背景に過ぎない。  この『ガンダムW』は、主人公のヒイロ・ユイをはじめ5人の美少年がガンダムに乗って戦うという話です。彼らは最初から全能感に溢れていて、世の中に出て行くための不満とか、巨大な鋼鉄の身体を得て大人社会に認められたいとか、そういった気持ちはまったく持っていないですね。  そして『ガンダムW』は、実は男性ではなく女性ファンから圧倒的な支持を集めました。当時まだボーイズラブ(BL)という言葉は一般的ではありませんでしたが、『ガンダムW』は山のようにBL同人誌が作られて、コミックマーケットでも一大ジャンルになったんですね。一方で、昔ながらの男性ガンダムファンからは「ガンダムが女子に媚びた」「堕落した」と散々批判されていました。実は放送当時はろくに観もしないで、僕もそう思っていました。  実際に同年に放送されていた『エヴァンゲリオン』が社会現象化していく中で、言ってみればまあ宮崎駿や富野由悠季、押井守といった戦後アニメーションの巨匠たちの問題意識を受け継いだ、言ってみれば現代文学的なアニメとして時代の象徴になっていったのに対して、この『ガンダムW』は女子中高生のやり場のない性欲のはけ口程度にしか思われていなかった。  でも、どうなんでしょう。少なくとも僕は今考えると圧倒的にこの『ガンダムW』のほうが『エヴァンゲリオン』より新しかったと思うんですね。  こうして振り返ると『エヴァンゲリオン』は正しく日本的なロボットアニメの文脈を引き継いでいるわけです。主人公のシンジ少年の、屈折した成長願望として巨大ロボットが設定されていて、そしてだからこそ成熟の仮構装置としてのロボットアニメがもはや成立しないことを告発して、しっかり破綻してみせることで時代の精神を代表する作品になっていったわけです。
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    ・入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。