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社会が中央政府に蝕まれた今、わたしたちはいまだに何を恐れるのか|周庭
2016-11-16 07:00チャンネル会員の皆様へお知らせ
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御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記第2回 社会が中央政府に蝕まれた今、わたしたちはいまだに何を恐れるのか【毎月第3水曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.16 vol.734
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今朝のメルマガは、香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの -
invitation to MAKERS 第2回 Pyrenee Drive――ネットワークが運転を支援する 株式会社Pyrenee 三野龍太【不定期連載】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.733 ☆
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invitation to MAKERS第2回 Pyrenee Drive――ネットワークが運転を支援する株式会社Pyrenee 三野龍太【不定期連載】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.15 vol.733
http://wakusei2nd.com
今朝のメルマガは「invitation to MAKERS」をお届けします。第2回は、株式会社Pyrenee(ピレニー)の代表・三野龍太さんのインタビューです。自動車のダッシュボードに取り付けることで、ナビやアラートなど様々な情報をドライバーに通知する「Pyrenee Drive」。運転支援デバイスというプロダクトを通じて考える、自動車の未来についてお話を伺いました。
『invitation to MAKERS 』、過去記事一覧はこちらのリンクから。
前回:invitation to MAKERS 第1回 Lyric speaker――言葉と音楽の新しい関係 株式会社SIX 斉藤迅
▼プロフィール
三野龍太(みの・りゅうた)
1978年生まれ。東京都出身。建築工具メーカーで製品開発を経験した後、独立して雑貨メーカーを立ち上げデザイン、生産、販売を行う。本当に人生を賭けるべきモノ作りとは何かを考えた結果「人の命を守る楽しい製品」との答えに行き着き、2016年にPyreneeを立ち上げ、最初の製品となるPyrenee Driveを2017年に発売するべく、メンバーとともに製品開発にとり組んでいる。
◎構成:長谷川リョー
■危険を察知することで運転者を支援する「Pyrenee Drive」
――三野さんが開発を進めている運転支援システム「Pyrenee Drive(ピレニードライブ)」を拝見させていただきました。「カーナビ」と「ドライブレコーダー」をネットワーク化することによって進化させたプロダクトという印象を受けました。
三野 ハンドルの前のダッシュボードに取り付ける小型ディスプレイなんですが、普段はカーナビと同じように、道路地図や現在速度を表示しています。普通のカーナビと違うのは、2つの内蔵カメラによって、常に前方の道路状況をモニタリングしている点です。前の車が急ブレーキをかけたり、人が飛び出して衝突コースに入ったりすると、画面に「CAUTION」と表示され、警告音が鳴ります。これによってドライバーに注意を促し、交通事故を未然に防ぐことができます。
――映画『攻殻機動隊』に登場する、フロントウインドウが透過型ディスプレイの自動車を思い出しました。2つのカメラによる前方のモニタリングは、どの程度の精度で行われているのでしょうか?
三野 Pyrenee Driveは常にドライバーと同じ目線で前を見て、前方の自動車を捕捉・追跡し、距離の計測を連続的に行っています。もちろん自動車だけでなく、バイクや歩行者、自転車、ベビーカーも追跡対象ですし、さらには車線や道路上の文字も認識しています。
――デバイスの操作はどうやって行うのですか?
三野 基本的な操作は音声を通じて行います。これはスマホの音声認識の機能を利用していますね。ほかにも、電話、音楽、LINEなどのメッセージングアプリ、天気予報やスケジュールなどの機能を、運転中にPyrenee Drive上に呼び出して表示させることができます。普通のカーナビやスマホの場合、どうしても横や手元を見ながらの運転になってしまいますが、Pyrenee Driveでは、フロントガラスの手前に透明のウインドウを設置するので、前方を見た状態のままで、運転しながら操作することができるんですね。さらに、ハンドルに取り付けるタイプのリモコンを付けることも検討中です。上下左右を選んで決定ボタンを押したり、マイクボタンが付いている薄い腕時計のようなものです。ハンドルから手を離さずに親指で操作できるので、音声認識と組み合わせれば運転中でもほとんどのことができるようになります。
――似たような技術として、ロボットアニメに登場する「全天周モニター」がありますよね。周囲の全景を球体ディスプレイに投影して、敵機が接近するとアラートが鳴るインタフェースですが、あれのコンパクト版のようにも見えます。
三野 実はその技術は軍事方面では実用化されていて、F35という戦闘機は、機体の外側のあちこちにカメラが付いていて、コクピット内のパイロットは自分の前後上下左右のすべてが透けた状態で見えるようになっています。空中で一人浮いているような、何も遮るものがない状態で戦闘機を操縦している。凄いですよね。
――Pyrenee Driveも、将来的にはフロントウィンドウ全面がディスプレイになるようなデバイスに進化しそうですね。
三野 それができると完全にARの世界で、道路と重ねた状態で様々な表示を出せるようになります。ただし、バグが出ると最悪、視界が真っ白になって一切前が見えなくなるので、そのあたりが課題です。また、法的な規制もあって、自動車のフロントウィンドウに何かを貼ったり付けたりするのは道交法で禁止されているんです。上部20%はいいんですが、下部80%には付けちゃいけないんですよ。ただ、ダッシュボードに置く分には問題ないので、Pyrenee Driveはそこでクリアできてます。あと、車の前方2メートルの位置に1メートルの棒を立てて、その上端をドライバーが視認できないといけない規則もあるんですが、これもウインドウが透明なので問題ないです。
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白井宏昌 × 宇野常寛 リオ・オリンピックを総括する――興行と都市設計の視点から(HANGOUT PLUS 11月7日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.732 ☆
2016-11-14 07:00550ptチャンネル会員の皆様へお知らせ
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白井宏昌 × 宇野常寛 リオ・オリンピックを総括する――興行と都市設計の視点から
(HANGOUT PLUS 11月7日放送分書き起こし)
【毎週月曜日配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.14 vol.732
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毎週月曜日22時よりニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを 務める「HANGOUT PLUS」。今回は2016年11月7日に放送された、建築家の白井宏昌さんをゲストに迎えた回の一部書き起こしをお届けします。
リオ・オリンピックから私たちは何を学ぶべきなのか。「オリンピックと都市」を研究テーマにしている白井さんと宇野が、リオ・オリンピックが提示した新しい五輪の可能性や、それに伴う都市開発の難しさなどについて議論しました。
▲先週の放送はこちらからご覧いただけます
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〈HANGOUT PLUS〉番組に関する情報はこちら
▼プロフィール
白井宏昌(しらい・ひろまさ)
1971年生まれ。建築家、H2Rアーキテクツ(東京、台北)共同主宰。滋賀県立大学准教授。明治大学大学院兼任講師。2007~2008年 ロンドン・オリンピック・パーク設計チームメンバー。2008年 国際オリンピック委員会助成研究員。現在も設計実務の傍ら、「オリンピックと都市」の研究を継続中。博士(学術、都市社会学分野)
「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。
前回:HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL(10月31日放送分書き起こし)
※このテキストは2016年11月7日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
■ リオが示した「ゆるいオリンピック」の可能性
宇野 ぶっちゃけ、リオ・オリンピックはどうでした?
白井 いち観客というか、いちオリンピックファンとしては、最初あまり関心を持っていなかったんですが、日本がたくさんメダルを獲って、そのおかげで最終的には盛り上がった印象を受けましたね。一方で研究者の目から見ると、やはり2020年のことが頭にありました。東京でのオリンピックが決まったときに、「成熟型のオリンピックであるロンドンから学べ」「リオからは学ぶことはない」と言われてましたよね。そう言われると逆のことを考えたくなって。リオからも学ぶことがあるのではないかと思って観ていたら、いくつか発見があったんです。もちろん、リオはロンドンや東京のような先進国というか、成熟した都市から見ても学ぶことはあったというのが感想です。
宇野 例えば、リオ・オリンピックは情報公開についてはちゃんと行われていたと評価されていますよね。東京オリンピックはそこがグダグダで、入札の過程も全く不透明で、「なぜこんなに予算が膨らんでいるんだ」と問題になっている。リオに関しては、いろいろと問題はあったけど、情報公開自体はちゃんとしていた。ちゃんとしていたが故に、あれだけ炎上したという言い方もできるんですよね。
白井 それはありますよね。ロンドンオリンピックで良かったのは情報公開だと思うんですよ。例えば、スタジアムができたときに、行政や組織の人が自慢げに「こんなのできました! 見てください!」と冊子を作ったりネットで発信したり、ものすごい熱意を持って情報公開をしていたんですね。それによって賛否は起こるんだけれど、やはりこれはすごく良かった。対して東京は情報が全然出てこなくて、むしろ「隠してるんじゃないの?」みたいな雰囲気がある。
宇野 そこに小池百合子の付け入る隙があったわけですけれどね。
白井 そうですよね(笑)。リオ・オリンピックも情報公開に消極的かと思っていたら、実際は全然違っていて、すごくちゃんと情報発信していました。冊子もグラフィックスがすごくカッコよくて。そこは東京よりもきちんとできているようで驚きましたね。
宇野 競技数も30近くあったんですが、その割には予算も膨らみ過ぎなかったという好意的な意見もありますね。
白井 予算は最終調整などが難しい部分があると思うんですが、最終的にはうまくやった気がしますね。
宇野 その反面、リオ・オリンピックではいくつかのトラブルもあって、そこは例年のオリンピックに比べてどうでしたか?
白井 先進国ではありえないようなことが起きてましたよね。プールの水が緑になるとか。でも、終わってみれば大したことではなかった。競技のスケジュールをちょっと変更をすればやりくりできちゃう程度のことなんですよ。今のオリンピックは「こんなことは起きちゃいけない」というルールでガチガチになっていて、リオはそういう面では粗相が多々あったけど、終わってみれば、僕らが考えていたほど大した問題ではなかった。これは東京へ向けてのヒントになると思ったんですよね。
宇野 リオ・オリンピックは、旧第三世界で行われた初のオリンピックですよね。これまで先進国の大都市でしかオリンピックは行われていなかったのが、初めて旧第三世界の都市で行われた。そこで治安や工期の遅れといったいろんな問題が指摘されたけれど、終わってみると「思っていたより事故らなかった」という評価なんですよね。
白井 その通りですね。個人的に記憶に残っているニュースは、近年のオリンピックは自然環境への配慮を重視していますよね。それで「環境に優しいゴルフ場を作りました」と喧伝していたんですが、競技が始まったらコースに動物が出没してプレーが中断されているんですよ。リオのこういった「ゆるさ」って、僕らから見るとありえませんよね。
宇野 「アマゾン川流域って自然が豊かなんだなぁ」みたいな感動すらありましたね(笑)。
白井 僕らはオリンピックに対して構えすぎていることに気付かされた。それがリオ・オリンピックの最大の教訓でした。
宇野 面白いですね。「オリンピックはもっとゆるくてもいいのでは」と。
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【特別対談】片渕須直×のん(能年玲奈)『この世界の片隅に』をこの世界の隅々に!(前編)【無料配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.731 ☆
2016-11-11 07:00チャンネル会員の皆様へお知らせ
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【特別対談】片渕須直×のん(能年玲奈)『この世界の片隅に』をこの世界の隅々に!(前編)【無料配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.11 vol.731
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今朝のメルマガでは、明日11月12日(土)から公開となる映画『この世界の片隅に』の監督・片渕須直さんと、声優として主人公す -
加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage ☆ 第6回『ローラーガールズ・ダイアリー』『PK』【毎月第2木曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.730 ☆
2016-11-10 07:00550ptチャンネル会員の皆様へお知らせ
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加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage 第6回『ローラーガールズ・ダイアリー』『PK』【毎月第2木曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.10 vol.730
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今朝のメルマガは、加藤るみさんの連載『加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage』第6回をお届けします。今回取り上げるのは、水中キスシーンが大好物のるみさんが太鼓判を押す青春映画『ローラーガールズ・ダイアリー』と、宗教という重厚なテーマをユーモアたっぷりに描いたインド映画の傑作『PK』です。
▼執筆者プロフィール
加藤るみ(かとう・るみ)
1995年3月9日生まれ。岐阜県出身。サンミュージックプロダクション所属のタレント。映画鑑賞をはじめ、釣り、世界遺産、料理、カメラ、アニメと多趣味を活かしてマルチに活躍中。インターネットラジオK'z Station『おしゃべりやってま~すRevolution』にレギュラー出演中。雑誌『つり情報』でコラムを連載中。
本メルマガで連載中の『加藤るみの映画館(シアター)の女神』、過去記事一覧はこちらのリンクから。
前回:加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage ☆ 第5回『Big』『潮風のいたずら』【毎月第2木曜配信】
おはようございます、加藤るみです。
のほほんと秋を感じていたのもつかの間、
急に冷え込む朝がやってくるようになりました。
最近は、我が家にパソコンがやってきてNetflixに溺れる毎日を過ごしております。
「こんなマニアックな作品もあるの!?」と品揃えの幅広さに驚きました。
外が寒くなるにつれ、“お家映画”が充実しますね。
さて、今回ご紹介する映画は……
水中キスシーンが大好物な私にとってはたまらない
青春ガールズムービー『ローラーガールズ・ダイアリー』と、
インド映画史上最大の興行収入を記録した大傑作『PK』をご紹介します。
どちらも観終わった後にスカッとする良作なので、
ぜひたくさんの方にオススメしたいです。
~ただの女の子キラキラ映画じゃありません~
『ローラーガールズ・ダイアリー』
(出典)
テキサスの田舎町で平凡に暮らしていた少女が、
「ローラーゲーム」というスポーツに魅力され、成長を遂げていく物語。
この作品を観るまでは、ローラーゲームというスポーツを知らなかったんですが、
1960年代から70年代にかけて、アメリカや日本で大流行したスポーツだそうです。
この映画をたまたまチラッと観た父親が教えてくれました。
スポ根映画である上に、家族愛×友情×恋愛が絡んでくる
ド直球の青春ガールズムービー!!
登場人物一人一人のキャラも濃くて、サントラもセンス抜群。
今世紀最大級に私のハートを射抜いた一本です。
☆ココに注目!!
1. 水中キスシーン
私的なナンバーワンの見所は、ズバリ“水中キスシーン”です!!
今までいろんな映画を観てきて、
水中キスシーンが大好物と気づいた私なんですが、
この作品のは私の中で一位二位を争うほどの傑作シーンでした。
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古川健介『TOKYO INTERNET』/第3回 テキストサイト文化が生み出した「真面目にふざける」ビジネスモデル【毎月第2水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.729 ☆
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古川健介『TOKYO INTERNET』第3回 テキストサイト文化が生み出した「真面目にふざける」ビジネスモデル【毎月第2水曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.9 vol.729
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今朝のメルマガは古川健介さんの「TOKYO INTERNET」の第3回をお届けします。
テキストサイトの時代から連綿と続く、「真面目にふざける」という伝統が、ブログ、ソーシャルメディアの時代を経て、いかに現代のウェブコンテンツに継承されているか。日本のインターネットの文化的本質について論じます。
▼プロフィール
古川健介(ふるかわ・けんすけ)
1981年6月2日生まれ。2000年に学生コミュニティであるミルクカフェを立ち上げ、月間1000万pvの大手サイトに成長させる。2004年、レンタル掲示板を運営する株式会社メディアクリップの代表取締役社長に就任。翌年、株式会社ライブドアにしたらばJBBSを事業譲渡後、同社にてCGM事業の立ち上げを担当。2006年、株式会社リクルートに入社、事業開発室にて新規事業立ち上げを担当。2009年6月リクルートを退職し、Howtoサイト「nanapi」を運営する株式会社nanapi代表取締役に就任。
『TOKYO INTERNET』これまでの連載はこちらのリンクから。
前回:第2回 シリコンバレーのハッカー文化と東京オタク文化の大きな違い
テキストサイト文化が生み出した「真面目にふざける」ビジネスモデル
(イラスト:たかくらかずき)
東京中目黒にある「株式会社バーグハンバーグバーグ(BHB)」という会社をご存知でしょうか。
企業理念は「がんばるぞ」であり、事業内容は会社ホームページによると「メディア運営(ふざけてるやつ)・プロモーションサイト制作(ふざけてるやつ)・記事広告制作(ふざけてるやつ)・映像制作(ふざけてるやつ)・執筆業務(ふざけてるやつ)」となっています。
株式会社バーグハンバーグバーグ
もう少し何をやっている会社かをわかりやすく説明すると、ユーザーが笑ってくれるようなネタのページを作ることで企業の宣伝をすることをメインとしている会社です。お笑い系の仕事がほとんどであり、「日本一ふざけた会社」と呼ばれることもあります。
大きく分類するのであれば「企業の広告ページの制作をメインとしたウェブ制作会社」に属します。ウェブ制作以外にも、オモコロというお笑い系の自社メディアを運営していたりします。
では、「ふざけたこと」をして企業や商品を宣伝するというのはどういうことでしょうか?
例を挙げると、たとえばネット銀行の宣伝を行う際に、普通の銀行との比較をしたいとします。ここで単にそれぞれの比較をしてもおもしろくありません。一方で、おもしろさだけを追求したら宣伝になりません。
そこで、バーグハンバーグバーグでは「公平に比較しています」と言いつつ、銀行側で説明する人がひどい風邪をひいている、という設定でおもしろさと魅力の宣伝を両立しています。
【不正一切無し】日本一公平な銀行比較サイト
公平に比較をしているんだけど、風邪をひいててうまくしゃべれないからしょうがないよね、という言い訳です。
また、インド人のアドバイスを完全に無視したカレーを作り、実際に販売するなどをしており、実際にその商品を完売させたりしています。これは、カレー屋が通販をはじめる際に、商品企画から関わっているケースです。
インド人完全無視カレー
これが、たとえばちょっとだけネット銀行のよさを強調し、他の銀行をちょっとだけ不利に表現したら、ネット上で炎上間違いなしですし、インド人のアドバイスをそれなりに尊重しているのに、大事なところでアドバイスから逸れたことをやっては、怒る人もでてくるでしょう。
銀行の比較を公平といいつつ、極端に不公平なのがよくて、インド人のアドバイスを完全に無視するからこそいいわけです。つまり、笑いの部分を過剰にやることで、「あ、笑っていいんだ」となり、ソーシャルサイト上で話題になり、評価されるわけです。
ビジネス化出来ているバーグハンバーグバーグ
このバーグハンバーグバーグのポイントなのが、きちんとしたビジネスで成り立っているところです。通常のウェブ制作をしている傍らでやっているわけではなく、ふざけたことばかりやっているのに、仕事として成り立っているのです。
むしろ、通常のウェブ制作会社では、1枚のランディングページを作るだけでは、安い場合、数万円〜十数万円の受注であることも珍しくありません。実際にクラウドソーシングサイトなどを見ると、1枚15000円の案件に、5人ほどが手を挙げているケースもあります。発注者と受注者のマッチングが、クラウドソーシングなどによりしやすくなった今、付加価値の出せていないウェブ制作会社は、価格競争に巻き込まれてしまっているといってもよいでしょう。
そういった状況にもかかわらず、バーグハンバーグバーグは、自分たちがよいと思うやり方と内容で受注できており、HondaやYahoo!JAPAN、ケンタッキーフライドチキンなどの名だたる企業からの依頼を受けているわけです。他の制作会社には出来ないやり方なので、名指しで案件を取ることも増えてきているそうです。
そんなバーグハンバーグバーグのビジネスモデルは世界的に見ても類を見ない形です。マーケティングを工夫することでネット上で話題を集めたりするという手法はあっても、「お笑い的なコンテンツを作ることで注目を浴び続ける」という一点突破のみでビジネスとして成り立っている会社は、筆者の知る限りでは存在しません。
(注) ただし、シモダ社長は「北極にルーツ有り」と意味不明のことを言っており、真相は不明です。
そこで、今回の記事では、バーグハンバーグバーグが生まれた背景から、なぜビジネスとして成り立っているのか、というのを探っていきたいと思います。
テキストサイトの流れから出来たBHB社
まず、このバーグハンバーグバーグ社による独特のコンテンツの雰囲気はどこから来ているか、というところです。
結論からいうと、バーグハンバーグバーグ社が作るような、ネットらしいお笑いコンテンツというのは、古い時代のテキストサイトの文化の流れを汲んでいます。
「テキストサイト」とは、文字が主流だったインターネット黎明期に流行した個人ページの総称であり、お笑いコンテンツから、サブカル批評、日記形式のものまで様々なサイトがありました。
90年代後半から00年代のテキストサイトで最も有名なものの一つとしては「侍魂」が挙げられます。侍魂は、「先行者」という中国のロボットをおもしろおかしく取り上げた記事で大ヒットを記録しました。中国で最先端のロボットだと紹介されていた先行者の見た目があまりにチープであり、それをいじり倒すというコンテンツです。
侍魂
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【新連載】犬飼博士 スポーツタイムマシン 第1回 私はスポーツタイムマシンです【不定期連載】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.728 ☆
2016-11-08 07:00550ptチャンネル会員の皆様へお知らせ
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【新連載】犬飼博士 スポーツタイムマシン第1回 私はスポーツタイムマシンです【不定期連載】
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2016.11.8 vol.728
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今朝のメルマガは、犬飼博士さんによる新連載「スポーツタイムマシン」です。2013年夏、山口県山口市の商店街に突如現れた「スポーツタイムマシン」は、ゲームとスポーツが融合した、全く新しいeスポーツのための装置です。国内外の賞を受賞したメディアアートでもあるこの作品は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。知られざる誕生秘話をお届けします。
▼プロフィール
犬飼博士(いぬかい・ひろし)
1970年、愛知県生まれ、eスポーツプロデューサー、ゲーム監督。つながりと笑顔を生むツールとして、ゲームとスポーツに着目。スポーツとITを融合した作品発表、大会運営等を手がける。 現代的なスポーツマンシップとしてスペースマンシップを提唱。 人工知能やシンギュラリティを巻き込んだ次世代の「遊び」を研究開発中。
「私はスポーツタイムマシンです。2013年夏 山口につくられた、世界で最初のスポーツのタイムマシンです。」
▲スポーツタイムマシンが最初に置かれた山口県山口市の中心商店街
これはスポーツタイムマシン自身が、繰り返しみなさんに語りかけるメッセージの一部です。スポーツタイムマシンはその名の通り、「スポーツ」の「タイムマシン」です。人々が楽しく遊んでいる姿を記録し、未来に再生して遊ぶためのマシンです。
まずは、このスポーツタイムマシンの体験とはどんなものかを説明しようと思います。
スポーツタイムマシン(動画)
商店街の中を歩いていると、どこからともなく楽しい音楽が聞こえてきます。
その音の出処をさがすと、大きなキリンの人形や、太鼓、跳び箱、黒板、万国旗など、まるで運動会のようなカラフルな装飾の入り口。
ガラスドアを開けて一歩中に踏み込むと、25メートルの長いスクリーンと、そのスクリーンの前に敷かれた25メートルのレーンが現れます。
スクリーンの反対側には、無数のカラフルなカードが壁一面に貼られていて、さまざまな手書きのメッセージが書かれています。
このカードは、過去に体験した人たちの記録であり感想です。
▲壁一面に貼られたカラフルなカード
▲ カードにはQRコードとメッセージが書かれています
この中から一枚のカードを選び、スタート地点のお姉さんに渡すと、お姉さんはカードに記載されたQRコードをノートパソコンに読み込みます。
「出走準備ができました」とスポーツタイムマシンの声が部屋に響き、スタートラインに立ちます。
「位置について」
スクリーンが暗くなり、音楽が鳴り止みます。静まり返る場内。
「よーい」
「……ドン!」
合図と同時にスクリーンが明るくなり、勢いのある音楽が流れ始めます。
▲スクリーンの前のレーンを疾走する女の子
スクリーンには、女の子と同じ大きさの影が投影され、女の子と一緒に走り始めます。隣を走る影に負けないように、女の子は全力で走ります。
お母さんや友達が「がんばれー」と手を叩いて応援をします。
▲25メートルのレーンの端まで走ったら折り返して戻って来ます
「折り返し地点です」
25メートルを走り切って、壁付近で折り返して戻ってくる女の子。その後をスクリーンの影も追いかけます。終着地点は最初のスタートラインです。女の子がラインを通過すると同時に「ゴールです」とスポーツタイムマシンの声が鳴り響きます。
「勝ったー!」
女の子と見ていた友達は大喜び。拍手をして健闘をたたえます。
▲ ゴールの後はみんなでリプレイを見ます
スクリーンでは、すぐさまリプレイが始まります。
小さな2つの影が、25メートルのスクリーンを端まで走って、ふたたび戻ってきます。先ほどの女の子が走ったときの様子が影として記録され、スクリーンに投映されているのです。
このようにスポーツタイムマシンでは、スタートからゴールまでの間、レーンの中で起きた出来事を記録して、再生できるマシンです。女の子は、自分自身のカードを壁の中から選び、そこに記録された過去の自分とかけっこしていたのです。
走り終えた女の子は、息を切らせたまま、お姉さんから新しいカードを受け取り、日付や名前、感想やイラストを書いて壁に貼ります。こうして、また新しい対戦相手のデータが一つ増えていくのです。
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HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL(10月31日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.727 ☆
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HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL
(10月31日放送分書き起こし)
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2016.11.7 vol.727
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毎週月曜日22時よりニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを務める「HANGOUT PLUS」。今回は2016年10月31日に放送された、宇野常寛ソロトーク回の一部書き起こしをお届けします。今回は宇野常寛の「思い出の一作」として、押井守脚本・演出で2009年に上演された舞台版『鉄人28号』。宇野常寛が最近読んだ本について語るコーナーでは、川村元気プロデュースによる映画が話題の、朝井リョウ『何者』について語ります。
▲先週の放送はこちらからご覧いただけます
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前回:根津孝太 × 宇野常寛 プロダクトデザインはいかに更新されるべきか
(HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)
※このテキストは2016年10月31日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
■ 押井守の戦後史作品の原点となる舞台版『鉄人28号』
宇野 今日は試験的に2つコーナーをやってみたいと思います。ひとつめは僕が「思い出の一作」について語るというコーナーで、僕にとっての思い出深い過去の名作を、5分くらいの枠で、ひたすら皆さんに布教していこうと思います。今回のお題はこれです。
▲「舞台『鉄人28号』」
これ知ってますか? 正解を書いている人がニコ生にいますね。これは2009年に初公演された『鉄人28号』の舞台版です。
OKP 舞台といっても、そもそも鉄人28号は舞台に収まらないでしょ。
宇野 鉄人が膝をついている10メートルくらいのセットを、中央にドカーンと置いて舞台をやっているんですよ。舞台の脚本・演出は、我らが押井守先生です。どうですか皆さん、なんか良さげな匂いがしません? この時期に押井さんが作っていた作品は『真・女立喰師列伝』(2007年)、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年)、『ASSAULT GIRLS』(2009年)、この辺りですね。
それではさっそく5分間、語ってみたいと思います。
OKP じゃあ行きますか。よーいスタート。
宇野 この舞台『鉄人28号』なんですが、実は僕は傑作だと思ってるんです。なぜこの作品を観たのかというと、そもそもの発端がこれですね。『PLANETS Vol.9』。
▲『PLANETS Vol.9』(Amazon)
この最終章が『オリンピック破壊計画』なんですね。仮にオリンピックをテロで破壊するとしたらどうなるのかというシミュレーションをやったわけです。東京でテロと言ったら、やはり押井守の『機動警察パトレイバー the Movie』と『機動警察パトレイバー 2 the Movie』ですよね。そこで押井作品をざっと調べていたときに、実は押井守がオリンピックをテーマにした作品を作っていたという事実にブチ当たったんですね。それで『PLANETS』を作った後、DVDを取り寄せてみたんですよ。それが舞台『鉄人28号』なんですよね。
ただし、この作品に出てくるオリンピックは2020年じゃなくて1964年です。もともと『鉄人28号』は戦後初期が舞台で、戦時中に日本軍が作った決戦兵器である鉄人28号が、戦後に平和利用されるストーリーですよね。この舞台『鉄人28号』も、そこまでは原作に則っています。
主人公の金田正太郎くんは、戦後民主主義の理想を託された存在なので、戦後生まれの非常に無垢な存在なわけです。かつての日本は工業力を間違った方向に使って侵略戦争をしてしまったけど、これからはあえて純真無垢な少年にその力を託すことによって、正義のために使っていこう。そういう戦後民主主義の理想を実現するために、正太郎くんの保護者である敷島博士が、半ば正太郎くんを洗脳して熱烈に訴えているわけですよ。ところが、それに反抗する奴がいるんです。そんな戦後民主主義なんていうものは欺瞞であると。それが犬走一直というテロリストなんですね。
OKP 名前がすごいですね。
宇野 名前がもう完全に押井守ですよね。この犬走一直は「人狼党」というテロリスト集団のリーダーです。1964年当時は、オリンピックに向けて東京がどんどんと再開発されていた時期です。それまでの東京は戦後の混沌を残したジャンクな街で、それが結果的に多様性を生み出していたけれど、来るべき高度成長と消費社会に向かって、クリーンでデオドランドな街にする大都市改造があった。そのときにマイノリティがいっぱい排除されたわけですが、それを許しがたいと言って、犬走一直は東京オリンピックに対してテロを行おうとするわけです。
そして、正太郎くんはその犬走一直に出会うことによって悩むんです。敷島博士の言う戦後民主主義の理想を実現すべきなのか、それとも犬走一直の言うように東京に真の自由を確保する方がいいのか。その間で引き裂かれるように悩むわけです。悩んだ挙句に、じゃあどうするかというのがクライマックスで、犬走一直は東京オリンピックに対して巨大なテロを企てるんですが、それに対して正太郎くんが犬走側につくのか、敷島博士側につくのか。それとも第3の選択肢を取るのかというところ。
OKP 少年に選択させるのが押井っぽいですよね。
宇野 押井っぽいというか、正太郎くんは戦後民主主義の象徴だから、彼が選ぶしかないんですよ。これは『立食師列伝』につながっていく押井守の戦後史の記述なんですよね。
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京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録 第11回 碇シンジとヒイロ・ユイの1995年【金曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.726 ☆
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京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録第11回 碇シンジとヒイロ・ユイの1995年【金曜日配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.4 vol.726
http://wakusei2nd.com
今朝のメルマガは「京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録」をお届けします。『新世紀エヴァンゲリオン』が人気を集めるその裏側で、ボーイズラブ的に受容された『新機動戦記ガンダムW』が切り開いたロボットアニメの可能性。戦後日本の〈成熟〉にまつわる問題意識を乗り越える、新たな想像力の萌芽について論じます(この原稿は、京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部 2016年5月13日の講義を再構成したものです)。
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前回:京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録 第10回 戦後ロボットアニメの「終わり」のはじまり【金曜日配信】
■ロボットアニメを書き換えた1995年の『新機動戦記ガンダムW』
初代『ガンダム』から『エヴァンゲリオン』に至るまで、ロボットアニメの主人公の少年たちは等身大の悩みを抱えた「内面のある」キャラクターでした。自意識過剰で、「お父さんに認められたい」「女の子をゲットしたい」「大人の男になりたい」とか、そういった思春期の悩みに溢れていましたよね。ところが、そういった悩みを一切抱えていない少年を描いたロボットアニメが登場します。それが、『エヴァンゲリオン』と同じ1995年に放映された、『新機動戦記ガンダムW(ウイング)』です。まずは映像を観てみましょう。
▲新機動戦記ガンダムW Blu-ray Box
これ、オープニングですけど、なんというかすごいですよね。この冒頭から差し込まれる美少年ナルシシズム。ファーストカットがいきなり、謎のポーズを決めている美少年です。いやあ、人間はどういう自意識で生きていたらこんなポーズが取れるんでしょうね。自分は既に完成されていて圧倒的にカッコいいという確信がないと、まず、ムリです(笑)。
そして、このあとに彼が乗るウイングガンダムが出てくる。この時点でもう、この作品ではモビルスーツと主人公の少年の力関係が逆転していることが示されてしまっているわけですね。
で、続いて同じように全能感に溢れた美少年が4人現れます。やっぱりドヤ顔で謎のポーズを取っています。そしてモビルスーツは決めポーズを取る少年の背景に過ぎない。
この『ガンダムW』は、主人公のヒイロ・ユイをはじめ5人の美少年がガンダムに乗って戦うという話です。彼らは最初から全能感に溢れていて、世の中に出て行くための不満とか、巨大な鋼鉄の身体を得て大人社会に認められたいとか、そういった気持ちはまったく持っていないですね。
そして『ガンダムW』は、実は男性ではなく女性ファンから圧倒的な支持を集めました。当時まだボーイズラブ(BL)という言葉は一般的ではありませんでしたが、『ガンダムW』は山のようにBL同人誌が作られて、コミックマーケットでも一大ジャンルになったんですね。一方で、昔ながらの男性ガンダムファンからは「ガンダムが女子に媚びた」「堕落した」と散々批判されていました。実は放送当時はろくに観もしないで、僕もそう思っていました。
実際に同年に放送されていた『エヴァンゲリオン』が社会現象化していく中で、言ってみればまあ宮崎駿や富野由悠季、押井守といった戦後アニメーションの巨匠たちの問題意識を受け継いだ、言ってみれば現代文学的なアニメとして時代の象徴になっていったのに対して、この『ガンダムW』は女子中高生のやり場のない性欲のはけ口程度にしか思われていなかった。
でも、どうなんでしょう。少なくとも僕は今考えると圧倒的にこの『ガンダムW』のほうが『エヴァンゲリオン』より新しかったと思うんですね。
こうして振り返ると『エヴァンゲリオン』は正しく日本的なロボットアニメの文脈を引き継いでいるわけです。主人公のシンジ少年の、屈折した成長願望として巨大ロボットが設定されていて、そしてだからこそ成熟の仮構装置としてのロボットアニメがもはや成立しないことを告発して、しっかり破綻してみせることで時代の精神を代表する作品になっていったわけです。
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落合陽一「デジタルネイチャーと幸福な全体主義」第3回 デジタルネイチャー以後のサイバネティクス(後編)【毎月第1木曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.725 ☆
2016-11-03 18:00550pt※本記事では一部に文字化けが発生していたため、表記を正しく修正した記事を再配信いたします。ご購読者の皆様にはたびたびご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。【11月3日18:00訂正】
落合陽一「デジタルネイチャーと幸福な全体主義」 第3回 デジタルネイチャー以後のサイバネティクス(後編)【毎月第1木曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.3 vol.725
http://wakusei2nd.com
本日は落合陽一さんの『デジタルネイチャーと幸福な全体主義』第3回の後編をお届けします。「人」「機械」「物質」「場」のサイバネティクス的な探求は、多種多様な可能性としての選択肢=「オルタナティヴ」を生み出します。最適化されたモデルを指向する工業化社会とは真逆の、コミュニティと資本の力によって常に更新され続ける、新しい循環構造について論じます。
【発売中!】落合陽一著『魔法の世紀』(PLANETS)
☆「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ。研究者にしてメディアアーティストの落合さんが、この世界の変化の本質を、テクノロジーとアートの両面から語ります。
(紙)/(電子)
取り扱い書店リストはこちらから。
▼プロフィール
落合陽一(おちあい・よういち)
1987年東京生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程を飛び級で修了し、2015年より筑波大学に着任。コンピュータとアナログなテクノロジーを組み合わせ、新しい作品を次々と生み出し「現代の魔法使い」と称される。研究室ではデジタルとアナログ、リアルとバーチャルの区別を越えた新たな人間と計算機の関係性である「デジタルネイチャー」を目指し研究に従事している。
音響浮揚の計算機制御によるグラフィクス形成技術「ピクシーダスト」が経済産業省「Innovative Technologies賞」受賞,その他国内外で受賞多数。
◎構成:長谷川リョー
『デジタルネイチャーと幸福な全体主義』これまでの連載はこちらのリンクから。
前回:落合陽一「デジタルネイチャーと幸福な全体主義」 第3回 デジタルネイチャー以後のサイバネティクス(前編)
▼ニコ生放送時の動画はこちらから!
http://www.nicovideo.jp/watch/1469095770
放送日:2016年7月18日
■ プラットフォームという「魔術化」の外部を探究する
前回の記事では、「オルナタティヴ」についての議論を進めてきました。
VRが普及しつつある現在においては、バーチャル(仮想的)/リアル(現実的)よりも、バーチャル(実質的)/マテリアル(物質的)という区分が有効であり、その両極の中間に多種多能な可能性「オルタナティヴ(選択肢)」が生成される。すでに現れつつあるその萌芽も実例としていくつか紹介してきました。
こういったデジタルネイチャー的な世界観においては、理論探究の目標として何を設定するのか、ということが非常に重要になります。
この世界を構成している要素として「人」「機械」「物質」、そして「場」という4つの要素を想定してみましょう。「機械」にはコンピュータに集積されたデータやアルゴリズムの研究も含まれます。「場」はVRイメージをはじめ、光や磁場、音場、電場などが形成するフィールドです。
これらは、それぞれがインターネットに接続されることで、相互的な通信関係にあります。かつてノーバート・ウィーナーは「サイバネティクス」で、制御と通信を基礎とした関係性の理論を打ち立てましたが、現在におけるサイバネティクスは、この4要素間に結ばれる関係性を統一的に把握するための理論として捉え直すことができるでしょう。そして、この4つの要素の機械的分析による探求が多様性や選択性、つまりオルタナティヴを生み出していきます。
ただし、プラットフォーム化が進行した社会においては、こういった探求をエンドユーザーが行うことはありません。なぜならプラットフォームの内部の仕組みはユーザーには不可視であり、結果だけがもたらされる。つまり、テクノロジーの「魔術化」が起こっているからです。
前著『魔法の世紀』では、米国の社会批評家モリス・バーマンの1970年代の著書(『デカルトからベイトソンへ』)にある、「高度化したテクノロジーが世界を再魔術化している」という指摘を紹介しましたが、ここで語られている「魔術化」は、現在においては「プラットフォーム化」と言い換えることができるでしょう。
プラットフォームには、常に新しい機能を内部に取り込もうとする力が働いています。その内圧の外側に、いかに新しいイシュー(問題意識)を置くか。「問題」と「解」を同時に設定することで、プラットフォームの圏域から脱出し、その外部に屹立するトピックを打ち立てる。そのための力の源泉となるのがstate of the art のイノベーションであり、それはアートや文化的な価値を持ちうる。そうやって外部に飛び出したトピックの周辺には、やがて賞味期限が切れて第二のプラットフォームが形成される。
こうした話を『魔法の世紀』では論じていたわけですが、プラットフォームの外部に飛び出し、新たなプラットフォームの母体になる可能性としての選択肢、それこそが、ここでいうオルタナティヴに他ならないわけです。
(参考)
落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』 第3回 イシュードリブン時代のプラットフォーム論)
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