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インターネットは考えるエーテルである(落合陽一『魔法使いの研究室』vol.4「メディア」) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.455 ☆
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インターネットは考えるエーテルである(落合陽一『魔法使いの研究室』vol.4「メディア」) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.455 ☆

2015-11-20 07:00

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    インターネットは考えるエーテルである
    落合陽一『魔法使いの研究室』
    vol.4「メディア」
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2015.11.20 vol.455

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    今朝のメルマガは、メディアアーティスト・落合陽一さんの連載「魔法使いの研究室」の第4回をお届けします。今回のテーマは「メディア」です。
    人類は他人にものを伝えるために、壁画・甲骨文字・ロゼッタ・ストーン・土偶……様々なメディア装置を用いてきました。そんなメディア装置の歴史を振り返りつつ、インターネット時代の「メディア」の未来像を、幻の物質「エーテル」のイメージをヒントに語ります。

    落合陽一『魔法使いの研究室』これまでの連載はこちらのリンクから。

    ※この連載は、PLANETSチャンネルでのニコ生講義シリーズ「魔法使いの研究室」(第4回放送日:2015年9月17日)の内容を再構成したものです。

    ◎構成:真辺昂

    【11/27(金)発売!】

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    落合陽一『魔法の世紀』(PLANETS)

    ▼内容紹介(Amazonより)

    〈映像の世紀〉から〈魔法の世紀〉へ――。第二次世界大戦が促したコンピュータの発明から70年あまり。人々が画面の中の現実を共有することで繋がる「映像の世紀」は終わりを告げ、環境に溶け込んだメディアが偏在する「魔法の世紀」が訪れる。
    若干28才にして国際的な注目を集める研究者でありメディアアーティストでもある落合陽一が、今現在、この世界で起こりつつある決定的な変化の本質を、テクノロジーとアートの両面から浮かび上がらせる。画面の外側の事物に干渉をはじめたコンピュータがもたらす「来るべき未来」の姿とは……? 

    第1章 魔法をひもとくコンピュータヒストリー
    第2章 心を動かす計算機
    第3章 イシュードリブンの時代
    第4章 新しい表層/深層
    第5章 コンピューテショナル・フィールド
    第6章 デジタルネイチャー

    (Amazonでのご購入はこちらから!)


    【開催迫る!】学園祭イベント情報
    明治大学の生田キャンパスで開催される「生明祭」で、落合陽一と宇野常寛が対談&公開収録!
    日時:11月22日(日)13:00〜(12:30開場)
    場所:明治大学生田キャンパス(中央校舎3階0311教室)
    観覧無料・先着150名


    落合 こんにちは、落合陽一です。魔法使いの研究室の第4回を始めていきたいと思います。今回のテーマは「メディア」です。

    さて、いきなりですが、今回の講義にあたって僕は現代におけるメディアの本質について考えて、ひとつの結論を得ました。それは――「メディアは考えるエーテルである」というものです。

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    落合 いきなりこんなことを言われて戸惑ったかもしれません。みなさんは、エーテルってご存知ですか? エーテルというのは、19世紀ごろまで物理学において存在が信じられていた幻の物質です。その昔、物理学者はエーテルという物質が、空間のいたるところに充満しており、そのエーテルの上を光が伝わっていると考えていたんですね。
    今となっては、物質を媒介しなくても光は伝わるということがわかったので、エーテルの存在は否定されています。

    今日の講義では、そんなエーテルが現代におけるメディアのイメージに極めて近いということを語ってみたいと思います。そのために、いったん大昔に戻って、これまで人類が使ってきたさまざまなメディア装置を見ていこうと思います。われわれ人類は、他人に何かを伝えようと思ったとき、一体どんなメディア装置を用いてきたのでしょうか? 

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    落合 これは以前の講義でも扱った、今から1万2千年前に描かれたラスコーの壁画です。壁画というメディアって、1万2千年前の絵をこうして残せているくらいに保存能力が高いんです。洞窟や古墳やピラミッドなど、蓋を閉じれば数千年レベルで保存できる。

    そして単に保存能力が高いだけでなく、壁画はルネサンス期にも積極的に描かれていて、現代でもグラフィティアーティストがたくさんいることからもわかるように、メディア装置としてはまだまだ現役です。
    でも、壁画って冷静に考えてみるとけっこう面白くて、持ち運びができない分、視点を変えたり体の動作を考えたりする必要があったり、画材も自由だし環境自体に描くことができる。プロジェクションマッピングも、ある種の壁画だと思います。だからこそ数あるメディアの中でも、壁画文化は根強く残っているわけです。

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    落合 どんどん次に行きましょう。これは、今から約3600年前に中国で使われていた「甲骨文字」というもので、亀の甲羅に文字が掘られています。さきほどの壁画と違って、持ち運べるというのが革命的に良い点ですが、彫るのにかなりの労力がかかりそうですよね。それにかさばる。

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    落合 甲骨文字の後にでてきた文字に、金文というものもあります。画像は金文を青銅器の表面に掘ったものです。青銅器もまた持ち運びができるけれど、刻印するのが大変です。あと、保存能力が比較的高いのも特徴ですね。

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    落合 さらに保存能力が高くて普遍性を獲得しているものでいうと、石があります。画像は紀元前196年に書かれたとされるロゼッタ・ストーンですが、現在でもお墓は石で作られていたりと、メディアとしてさまざまな用途に使われています。

    ここでメディアとメディア表現の特徴について捉えてほしいのですが、普通に考えて青銅器や石に対して複雑な絵を描こうとは思わないですよね。実際に、甲骨文字も金文も単純で見るからに掘りやすそうな形をしています。しかし、例えば壁画にだったら精細な絵が描けるわけです。そんなふうに、石から出てくる表現と壁画から出てくる表現を比べると、明らかに異なる性質があることがわかります。つまり、メディアが表現を規定しているんです。

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    落合 ここで言う「メディア表現」というものは、別に文字や絵に限ったものではありません。これは世界最古の彫刻です。今から3万6千年前くらいに生き物の牙を彫ったものだとされています。これまで2次元の表現をみてきましたが、3次元の表現である彫刻もまた古来から存在しているメディアのひとつとして見逃せません。

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    落合 同じ3次元のメディアで、土偶というのもありました。これは紀元前1万3千年くらいから存在したとされていて、世界各地から出土しています。土偶は一度焼き固めてあるので固くて軽いという特徴があります。

    それに加えて、土偶のいいところは表現が多様だというところです。土をこねるだけなので、牙を削って作るよりも、はるかに楽にモノがつくれる。これはすごく重要なことです。つまり、そのメディアにおける表現のしやすさは、表現の多様性をダイレクトに左右します。そういう意味で、僕は土偶は一番最初のCGM(※1)だと言えるんじゃないかと思うんですよ。

    (※1)CGM:Consumer Generated Mediaの略。消費者が内容を生成していくメディアのこと。

    同じ3次元ということでいえば、3Dプリンターはまだ敷居が高くて、ぜんぜん遊べないですよね。あれって現在の技術だと、出力するのにすごく時間がかかんですよ。ちょっとしたものを作るのに4時間とか。つくるのに時間がかかるものに落書きとかって絶対にしないですよね(笑)。だから、3Dプリンターがわれわれの日常に落ちてくるまでは、まだ時間がかかると思います。

    その点粘土を固めて焼き上げる土器と言うものは、焼き上げに時間がかかったものの、制作段階では自由に形を作ることができた。我々の創造性にとってメディアの表現自由度は極めて重要なファクターです。

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    落合 さて、このあたりから一気にメディアっぽい話になっていきますよ。これはパピルスという、植物でできた紙のようなものです。カヤツリグサ科の植物の地下茎を水の中に入れた後、ローラーの間に挟み込んで圧縮して作ります。

    パピルスは石系のメディアと比べると大きなメリットがあって、とにかく軽いし絵も描くことができるんですね。まあ、破れやすいという欠点はありますが。
    なにより、これに「知」を蓄積することができるのが大きな利点でした。例えばエジプトの旧アレクサンドリアの図書館には、巻物状になったパピルスがたくさん刺さっていました。メディアと「知の蓄積」というものは不可分で、ものごとをたくさん記録することが可能になったことで、人間の知性が爆発していったわけです。

    ちなみにパピルスくらいのメディアになると、例えば「最近の若者は働かなくてけしからん」みたいなことが、端っこに書いてあるらしいです。それくらい、自由な表現ができるようになってきます。さすがに石に対して「最近の若者は働かなくて……」とか、面倒くさくて書きませんよね(笑)。

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    落合 さて次です。かなり紙に近づいてきましたが、これは生き物の皮をなめして作る「羊皮紙」というものです。これを見て、みなさんはおそらく海賊が使う宝の地図を思い浮かべたと思いますが、その発想はあながち間違っていません。羊皮紙というのは持ち運べるし両面筆記が可能で、インクの乾きが遅いのでミスってもすぐ拭けば消すことができます。しかも紙より丈夫なんです。だから「重要だけれど持ち運びたい」という情報を記すにはもってこいで、海賊の地図はまさにそれに該当しますね。
    ただ、羊皮紙ってかなり高価なものなんです。大量生産はできないですし、庶民が日常的に使えるものではありませんでした。

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    落合 そして次に登場するのがわれわれの大好きな「紙」です。一応断っておくと、紙って実はけっこう昔の紀元前150年くらいからあったんですが、ヨーロッパに伝わるのが遅かったんですよね。ヨーロッパ人はない知恵を絞りながら地下茎を接着して「破けるなあ……」とか言いながらパピルスを作ったりとか、必死こいて石に文字を掘ったり、羊の皮を引っ張りだしたりしていたんです。大変そうですよね(笑)。

    紙はそれらに比べると持ち運びできるし、両面に書けるし、保存も良好というかなり最高なメディアなんです。

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    落合 あと紙に近いメディア装置としては、「キャンバス」が強いですね。キャンバスは布を張って絵を描くものですが、製法的にもかなり楽だし、大量生産ができて非常にリーズナブルです。15世紀ぐらいから使われ始めているんですが、これはかなり革新的なことでした。
    というのも、それまで壁に絵を描いたりすると下地である岩の材質感が出てしまったりしたんですが、キャンバスはいちど表面塗りをすればほぼ平らな紙と同じになります。ほぼ平らということは、超繊細な表現をしても大丈夫なんですね。だから例えば写実画なんかはキャンバスじゃないと描くことができません。あと、壁画と違って持ち運びができるから、「絵を売る」ということも可能になりました。

    これって、音楽がコンサートホールの中だけのものだった頃から、レコードを売るようになったのと同じような変化ですよね。それまで「場」のメディアだったものが、持ち運びできて売れるようになった。つまり「モノ」のメディアになったんです。

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    落合 さて、だんだん現代へと近づいてきましたので、いったん整理したいと思います。ここまで紹介してきたメディアを振り返ると、おおまかに言うと「手の技としてのメディア」と捉えることができると思います。人間の「手」を使って壁に絵を描いたり、石に文字を掘ったりしたわけですね。

    それに対してこれから紹介するものは、「工学としてのメディア」ということができます。人間の手から離れて、メディアが機械に代替されていくのです。そこで何が大きく変わったか。キーワードは「複製」です。


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