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記事 22件
  • HANGOUT PLUSレポート 坂口孝則×宇野常寛「日本人はこれから何にお金を落とすのか」(2017年1月16日放送分)【毎週月曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.775 ☆

    2017-01-23 07:00  
    550pt

    HANGOUT PLUSレポート
    坂口孝則×宇野常寛
    「日本人はこれから何にお金を落とすのか」
    【毎週月曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2017.1.23 vol.775
    http://wakusei2nd.com


    毎週月曜夜にニコニコ生放送で放送中の、宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」。2017年1月16日の放送では、日本テレビ系「スッキリ!!」で宇野と共演中の調達・購買コンサルタント坂口孝則さんをゲストにお迎えしました。坂口さんの新刊『日本人はこれから何にお金を落とすのか?』を主軸とした議論は、日本人の消費スタイルの変遷から、EC社会における新しい消費社会論の期待へと発展していきました。
    坂口孝則さんがご出演のHANGOUT PLUSの動画アーカイブはこちらからご覧いただけます。 PLANETSチャンネルで、J-WAVE 「THE HANGOUT」月曜日の後継となる宇野常寛のニコ生番組を放送中!
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    ▼ゲストプロフィール
    坂口孝則(さかぐち・たかのり)
    大学卒業後、メーカーの調達部門に配属される。調達・購買、原価企画を担当。バイヤーとして担当したのは200社以上。コスト削減、原価、仕入れ等の専門家としてテレビ、ラジオ等でも活躍。企業での講演も行う。
    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。
    前回:HANGOUT PLUSレポート川田十夢×宇野常寛「新春うのとむ対談スペシャル 2017年の矢印を考える会」【毎週月曜日配信】
    ※このテキストは2017年1月16日放送の「HANGOUT PLUS」の内容のダイジェストです。
    ◎構成:村谷由香里
    ■日本人の消費の移り変わり
     坂口さんは著書『日本人はこれから何にお金を落とすのか?』の中で、過去60年間の日本人の消費スタイルを4段階に分けて論じています。自動車や家電などの量産品が好まれた「大量消費の時代」、ファッションなど他者との差別化に人々が関心を向けた「顕示消費の時代」、他者と繋がるために携帯電話などの通信にお金が費やされた「社会的消費の時代」。そして、その先に「宗教消費の時代」が到来すると予想しました。
     坂口さんによると、宗教消費とは、いわゆる「カリスマ」と呼ばれる存在に、人々がお金を費やす消費行動を意味します。近年では、ライブによるファンの動員や有料メールマガジンといった、新しいマネタイズの手法が一般化していることを指摘しつつ、興味深いポイントとして、かつては雲の上の存在だったカリスマが、等身大で身近に感じられる「凡人カリスマ」へと変化している点を挙げています。
     日本人の消費対象が〈モノ〉から〈コト〉へと移行しているとよく言われますが、坂口さんはさらにその先に〈コト〉から〈カタ〉(=方)への変化があると分析しています。世の中の見方を変えてくれるオピニオンリーダーにお金を払う傾向が、人々の間で強くなりつつあることから、今後はライブやメールマガジンといったコンテンツの内容そのものよりも、「この人にならお金を払ってもいい」という人間への信用が、消費に繋がるようになるだろうと論じました。

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    http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201701
     
  • HANGOUT PLUSレポート川田十夢×宇野常寛「新春うのとむ対談スペシャル 2017年の矢印を考える会」(2017年1月9日放送分)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.770 ☆

    2017-01-16 07:00  
    550pt

    HANGOUT PLUSレポート 川田十夢×宇野常寛 「新春うのとむ対談スペシャル 2017年の矢印を考える会」 【毎週月曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2017.1.16 vol.770
    http://wakusei2nd.com


    毎週月曜夜にニコニコ生放送で放送中の、宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」。2017年1月9日、新年最初の放送では、本番組2回目の登場、J-WAVE「THE HANGOUT」では火曜担当でもあったAR三兄弟の川田十夢さんをゲストに迎え、リスナーのみなさんには2017年の話を幅広く募集しました。
    川田十夢さんがご出演のHANGOUT PLUSの動画アーカイブはこちらからご覧いただけます。 PLANETSチャンネルで、J-WAVE 「THE HANGOUT」月曜日の後継となる宇野常寛のニコ生番組を放送中!
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    ▼ゲストプロフィール
    川田十夢(かわだ・とむ)
    1976年 熊本県生まれ。1999年 メーカー系列会社に就職、面接時に書いた『未来の履歴書』の通り、同社Web周辺の全デザインとサーバ設計、全世界で機能する部品発注システム、ミシンとネットをつなぐ特許技術発案など、ひと通り実現。2009年 独立。2010年『AR三兄弟の企画書』出版。2013年 情熱大陸出演。編集者 佐渡島庸平と発明マネジメント会社トルク設立。2015年 作・演出・開発をつとめた舞台『パターン』をフジテレビで番組化、NHK『課外授業 ようこそ先輩』に出演するなど、公私ともに活躍の舞台を拡張している。
    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。
    前回:水野良樹×宇野常寛「歌謡曲/J-POPは成立するか――大衆音楽のゆくえ」(HANGOUT PLUS 12月19日配信分書き起こし)
    ※このテキストは2017年1月9日放送の「HANGOUT PLUS」の内容のダイジェストです。
    ◎構成:村谷由香里
    ■2017年に発表したいもの、やりたいと思う抱負は?

    宇野さん川田さんこんばんは。川田さん、ラジオのおもしろさに気付いたときには既に終了間近でいかがされていたのか気になっておりました。今夜は2017年の矢印がテーマということで、お二人が今年発信するであろう矢印を伺いたいです。端的に言うと、こういうこと発表したいな、やりたいなという抱負、単純ですが日常で面白いものに出会ったとき、今年の宇野さんだったら、十夢さんだったら、こう解釈するのではと考える材料にしたいです。
    (ラジオネーム:甘さ控えめさん)

    川田 2017年という年は、物質、本質、実質のトライアングルが実質を頂点に偏ると思う。今まで誰もがばらばらの本質を語っていたけれど、一人一人にとっての質を届けられるようなサービスやファンタジーが今年求められるのではないかと思うし、開発者としてそういうものを具体的に作っていきたい。

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  • 水野良樹×宇野常寛「歌謡曲/J-POPは成立するか――大衆音楽のゆくえ」(HANGOUT PLUS 12月19日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.761 ☆

    2016-12-26 07:00  
    550pt


    水野良樹×宇野常寛「歌謡曲/J-POPは成立するか――大衆音楽のゆくえ」
    (HANGOUT PLUS 12月19日配信分書き起こし)
    【毎週月曜日配信】

    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.12.26 vol.761
    http://wakusei2nd.com



    毎週月曜日夜にニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを務める「HANGOUT PLUS」。年内最後の放送となる2016年12月19日はいきものがかりの水野良樹さんをお迎えしました。情報から体験へと価値が移っている現代で、歌謡曲やJ-POPは成立するのか。異なる立場をとる水野さんと宇野常寛が音楽のゆくえを語りました。(※このテキストは2016年12月19日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。)

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    ▼ゲストプロフィール
    水野良樹(みずの・よしき)
    1982年生まれ。ソングライター。99年に吉岡聖恵、山下穂尊と「いきものがかり」を結成。06年メジャーデビュー。
    作詞作曲を担当した代表作に「ありがとう」「YELL」「じょいふる」「風が吹いている」など。神奈川県出身。
     
    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。

    前回:HANGOUT PLUSレポート 乙武洋匡×宇野常寛「もう一度この国が変わると思えるために」【毎週月曜日配信】

    12月19日の放送は、いきものがかりのリーダーで、ソングライターの水野良樹さんをお迎えしました。音楽ジャーナリストの柴那典さん、livetuneのkzさんとともに、水野さんがPLANETSのイベントに参加してくださってから2年が経ちました。(「ポストJ-POPの時代――激変する音楽地図とクリエイションのゆくえ」)
    この2年での変化、水野さんの音楽に対する想い、そしてこれからのJ-POPのゆくえをお聞きしました。
     
    ■ 国民的ヒットより、人の中に溶け込む音楽を
     
    水野 あのイベントも、もう2年前ですね。そんなに前なんだなあ。だいぶ状況も変わりましたけれど。2年前にイベントに参加させていただいて、「THE HANGOUT」に出させていただいて。刻一刻と状況が変わっていく中で、この放送のテーマでもある「歌謡曲・J-POPは成立するか」というのはすごく大きなテーマですね。ざっくりと言うと、宇野さんは「もう成立しないんじゃないか」と考えている。僕は「成立する」と思っていてそこに向けて頑張っている、というような立場ですよね。
    歌謡曲やJ-POPというものが、特に今の日本の文化圏でちゃんと成立するのか、それこそ国民的という単語で表されるようなかなり広いセグメントを包括してそこに届くようなものが成立しうるのかと考えると、僕は2年前より難しいんじゃないかと思っているんです。
     
    宇野 それは衝撃的な発言ですね。
     
    水野 いやいや、僕は必ずしもネガティブにはとらえていませんよ。日本というドメスティックな文化圏の中で成立していたエンターテインメントの理想像である「国民的ヒット」は確かに成立しづらくなったけれども、むしろ世界的ヒットにはアクセスしやすくなったと思っています。ドメスティックな文脈でできた作品やエンターテインメントを、今度はその枠を取り払って、世界に出していったらいいんじゃないかって。こういう議論は前からあったと思うんですけど、それがより明確になった2年間だったと思います。
     
    宇野 「国民的なJ-POPは成立しない」と仮定するなら、いきものがかりは今後いったい誰に向けて曲を届けていくのでしょうか。
     
    水野 これは反省を込めて言うんですが、「J –POP」とか「歌謡曲」って、そういうものを表す単語がないから、よく使ってしまいがちなんですよね。でも、それらの理想像を実現することが僕の目的ではないんです。「こういう内容のメッセージです。このことについてはこういうことを思っています」ということが明確なメッセージソングを通して世の中の人の気持ちを変える、という形ではなくて、歌を歌ったり聴いたりすることを通じて、歌が生活の中に溶け込むことによって、その人が気づかないうちに恋愛への意識が変わるというようなことが自分の憧れているところなんです。そして、聴いてくれる人とか、その人のいる社会状況の中で、社会が求めている欲望や、こんなことを言いたい、こんなことを聞きたい、こんなことを見たいということが、巫女のように自分の中を流れていって、それが知らないうちに作品になっているーーそんな状況になったらすごくいいだろうなっていう気持ちがあるんですよ。僕らが憧れてきた歌謡曲、具体的には『上を向いて歩こう』のような曲は、すごくいろいろなことを実現していて、僕のような書き手に希望を与えてくれるような状況をたくさん成立させている曲なんですよ。
    作品は必ずメディアを通して人に届くので、そのメディアが変わっていく中でどうすればいいのか、それはよく悩みますね。

    ■ J-POPでも歌謡曲でもない、物語の器としての音楽
     
    宇野 『上を向いて歩こう』や『石狩挽歌』の頃は、社会の一部を歌うことによって全体を象徴する、という回路がしっかり存在していたんですよね。それがJ-POPになった時に自分の物語に変わっちゃったと思うんですよ。歌謡曲は社会の物語だったけれども、J-POPは「私はこんな瞬間にときめく」とか「人生のこんな瞬間にすごく心が動かされる」という、自分が主役の物語に変わったんです。これはたぶんカラオケと結びついていて、他人の物語や社会の物語を歌うよりも、自分の物語を歌う方が気持ちがいいからだと僕は思う。実際、この時期に同性が同性の曲を聴き始めてCDを買い始めたと言われていますよね。
    ところが僕はこれが終わりの始まりだったと思っているんです。つまり、他人の曲を聴いてそこに感情移入するよりも、自分が本当に主役になった方が気持ちがいいと思うんですよ。彼女と一緒にフェスに行って声出してワイワイ騒ぐとか、アイドルの握手会に行って会話をするとか、そういったことの方が、直接的に自分を主役にしてくれるんですよね。だから僕はJ-POPって生まれながらにしてその終わりが見えていたような気がする。音楽という装置は、実は自分の物語を味わうコンテンツとしてはそんなに向いていない。音楽って本来は他人の物語を聴くものであって、それが歌謡曲がJ-POPに変わった時に、ちょっと狂ってしまったところがあると思うんですよ。

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  • HANGOUT PLUSレポート 乙武洋匡×宇野常寛「もう一度この国が変わると思えるために」(2017年12月12日放送分)【毎週月曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.756 ☆

    2016-12-19 07:00  
    550pt


    HANGOUT PLUSレポート
    乙武洋匡×宇野常寛
    「もう一度この国が変わると思えるために」
    【毎週月曜配信】

    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.12.19 vol.756
    http://wakusei2nd.com



    毎週月曜日夜よりニコ生で放送中の、宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」。2016年12月12日の放送では、乙武洋匡さんをゲストに迎えて対談を行ったほか、視聴者の皆さんから寄せられた質問メールに宇野が答えました。今回は放送内容をレポート形式でお届けします。

    PLANETSチャンネルで、J-WAVE 「THE HANGOUT」月曜日の後継となる宇野常寛のニコ生番組を放送中!
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    ▼ゲストプロフィール
    乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)
    1976年、東京都生まれ。大学在学中に出版した『五体不満足』がベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、教育に強い関心を抱き、新宿区教育委員会非常勤職員「子どもの生き方パートナー」、杉並区立杉並第四小学校教諭を経て、2013年2月には東京都教育委員に就任。教員時代の経験をもとに書いた初の小説『だいじょうぶ3組』は映画化され、自身も出演。続編小説『ありがとう3組』も刊行された。おもな著書に『だから、僕は学校へ行く!』、『オトことば。』、『オトタケ先生の3つの授業』など。2014年4月には、地域密着を目指すゴミ拾いNPO「グリーンバード新宿」を立ち上げ、代表に就任する。2015年4月より政策研究大学院大学の修士課程にて公共政策を学ぶ。
    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。

    前回:HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL(11月28日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】

    ※このテキストは2016年12月12日放送の「HANGOUT PLUS」の内容のダイジェストです。◎構成:村谷由香里
    ◼ クリーンなイメージが壊れたからできること
     12月12日の放送は、8ヶ月ぶりにメディア復帰を果たした乙武洋匡さんをお迎えし、この8ヶ月のこと、そして「これから」についてのお話を伺いました。
     乙武さんはフジテレビの『ワイドナショー』への出演をきっかけとしてメディアに復帰しました。宇野さんは番組スタッフの心意気が感じられると評価しつつも、その裏にある「テレビが裁く人を決めてよい」という思想には賛同できない、乙武さんがそこに参加することは、テレビのいじめ文化の延命につながってしまうのではないかと危惧します。
     『五体不満足』以降、乙武さんはメディアによってつけられた「障害者」のイメージと戦ってきました。今回の騒動で乙武さんが激しく非難された一因には、障害者である乙武さんに、クリーンなイメージが期待されていたことがあると言えるでしょう。ある意味では障害者のイメージを壊すきっかけになった今回の騒動を経験して、乙武さんは空気を読んだり、求められていることに応えようとするのは止めたと語ります。
     そんな乙武さんは、これから取り組みたいことについて、障害者スポーツを挙げました。これまで乙武さんは、障害者スポーツを扱うことを避けてきたと言います。障害者がスポーツジャーナリストをしているという意外性がなくなってしまうためです。しかし、クリーンなイメージがなくなり、これまで関わりたいと思っていた教育や政治から距離を置かざるを得ない今だからこそ、障害者スポーツに真正面から取り組むことが有効なのではないかと語ります。
     
    ◼ 「同じように生きさせろ」から「好きに生きさせろ」へ

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  • HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL(11月28日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.747 ☆

    2016-12-05 07:00  
    550pt
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    を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。


    HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL
    (11月28日放送分書き起こし)
    【毎週月曜日配信】

    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.12.5 vol.747
    http://wakusei2nd.com



    毎週月曜日夜にニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを 務める「HANGOUT PLUS」、2016年11月28日に放送された、ソロトーク回の一部書き起こしをお届けします。今回は、番組のリスナーの皆さんから寄せられたメールを取り上げます。宇野流の情報収集のコツ、宮藤官九郎脚本の2019年大河ドラマについてなど、さまざまな質問に宇野常寛が答えていきます。


    ▲先週の放送はこちらからご覧いただけます
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    〈HANGOUT PLUS〉番組に関する情報はこちら
    ◎構成:坂井史
    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。

    前回:福原伸治×宇野常寛 テレビはこのまま終わるのか(HANGOUT PLUS 11月21日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】

    ※このテキストは2016年11月28日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。※今週は、宇野常寛〈HANGOUT PLUS〉の放送はお休みとなります。次回、12/12(月)放送、「乙武洋匡×宇野常寛「もう一度この国が変わると思えるために」――〈HANGOUT PLUS〉vol.010」をお楽しみに!
    ◼︎ 情報収集のコツはトピックだけを抽出すべし

    突然ですが、情報の知り方についてお聞きしたいです。今日宇野さんに語ってもらいたいニュースがあるかな、と考えてふと気付きました。ここ1週間、新聞も読まず、テレビのニュースも目にしないで、好きなコンテンツだけ貪るという世間から背を向けた生活を送っていました。Twitterのニュースはかろうじて見ていますが、新聞各社の速報的な短文記事しか目にしておらず、ニュースリンクを煽り文とともに引用RTしている文を見て、嫌な気分になり閉じてしまうパターンがとてもい多いです。
    以前は情報の正確性という点で、新聞やNHKニュースが一番だと勝手に信じて見るようにしていたんですが、気がつくと見ないことが多く、今では情報収集源をネットに依存しています。とはいえ、Twitterは趣味の情報ばかり目がいってしまうので、時事ニュースが頭に入ってきません。まとめニュースアプリなど、たくさんのツールを積極的に活用すべきでしょうか?
    宇野さんはどのようなツールでどのように情報を得ていますか?(ミカエルさん 22歳 女性)

    宇野 この執拗な描写、しかも整理された文章から、本当に嫌なんだなってことが伝わってきましたね(笑)。こういうことを言うとがっかりするかもしれないけれど、僕は基本的にテレビのニュースはほぼ見ないかな。ただ、ウェブでNHKとか朝日新聞のニュースをたまに目にすることはある。でも、自分から見に行くことはほとんどないですね。Facebookで気になるニュースが流れてきたときにクリックして、ついでにヘッドラインもチェックする感じです。TwitterやFacebookで、とにかく時事トピックにコメントするのが好きな人で、比較的信頼できてタイプの違う人を積極的にフォローして、その人たちの書き込みから芋づる式にたどることが多いですね。
    NHKのニュースはダメだよ。あれは「海外と科学のニュースが極端に弱い」とずっと言われているんだよね。一番有名な話だと、「アラブの春」が起こったときに、エジプトの政権転覆をNHKはまったく放送しなかった。日本時間で昼間に起こったのに、夜9時のニュースで放送しなかったわけ。それぐらいNHKは、自分たちが半世紀以上かけて育てたテレビピープルの、お茶の間的な世界観をマストだと考えていて、そこから外れるものは、たとえエジプトの政権転覆であっても放送しないという価値観でやっているわけね。だからすごくドメスティックに閉じた世界なんですよ。
    今回のアメリカの次期大統領選挙についても、なぜ日本人はヒラリーが勝つと思い込んでいたのかといえば、実は僕もそうだったんだけど、やはりメディアの影響が大きいんだよね。朝日新聞をはじめとする日本のリベラル系のメディアは、アメリカのリベラル系メディアや民主党系メディアと提携していて、その情報を流しているだけなんだよ。だから「ヒラリーが勝つ」というポジショントーク的な報道を、恐るべきことに何の批判も検証もしないまま垂れ流しているわけ。一方、読売新聞や産経新聞といった保守系メディアはドメスティックだから、そもそも提携をしていない。そういう理由で共和党側のポジショントークは流されずに、中和がされなかった。このリベラル系と保守系のメディアの機能不全については、今いろんな人が指摘しているけど、結構な問題だよね。
    大学生で「俺はマスコミに就職するぜ」とか言ってるやつってパーで薄っぺらいでしょ。すべてのテレビマンが「鈍感なふりをすることが大人になることだ」と勘違いした可哀想な大人だとは、僕は思わないけれど、そんな人たちが選んでいるニュースには、当然、彼らの鈍感さが発揮されているわけです。だから、情報収集のコツとしては、中距離にいる人から情報を得ることかな。あんまり自分に近いと、人となりみたいなものを脳で加味しちゃって、あんまりそのニュースを正確に受け止められないと思うんだよね。ほどほどの距離感にいる人で、かつ情報をクリップするのが好きな暇な人。それを複数人用意しておいて、彼らのコメントは読まずに取り上げるニュースだけをチェックする。こういうことを言っちゃなんだけど、特に今の日本においてネットで時事ニュースにコメントしたがるなんてロクなやつじゃない。だからその人が取り上げているトピックだけをチェックするというのが正解だね。「NewsPicks」は経済に寄り過ぎていて、あまりにも文化的な感度が低いから、僕はそこまで好きじゃないけれど、「スマートニュース」とか、そういったまとめニュースアプリで扱われているトピックだけをチェックして、コメントは読まないというのがコツかな。

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    http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201612
     
  • 福原伸治×宇野常寛 テレビはこのまま終わるのか(HANGOUT PLUS 11月21日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.742 ☆

    2016-11-28 07:00  
    550pt
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    福原伸治×宇野常寛
    テレビはこのまま終わるのか
    (HANGOUT PLUS 11月21日放送分書き起こし)
    【毎週月曜日配信】

    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.11.28 vol.742
    http://wakusei2nd.com



    毎週月曜日夜にニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを 務める「HANGOUT PLUS」。今回は2016年11月21日に放送された、フジテレビプロデューサーの福原伸治さんをゲストに迎えた回の一部書き起こしをお届けします。
    昨今のテレビはなぜ「寒い」のか。いまだ業界内にはびこる80年代的「内輪いじり」の宿痾、業界改革を促す黒船になるはずだったインターネットの失速など、テレビにまつわる問題の本質について、徹底的に議論しました。


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    ▼プロフィール

    福原伸治(ふくはら・しんじ)
    フジテレビジョン 報道局メディア担当局長/「ホウドウキョク」プロジェクトリーダー。
    京都大学経済学部卒業後フジテレビに入社。かなり前衛的でエッジの効いた番組を多数演出。テクノロジーと番組を融合した斬新な発想は多くのフォロワーを生んだ。2014年に報道局に異動、2015年4月にマルチデバイスニュースメディア「ホウドウキョク」を立ち上げる。テレビとネットを繋ぐキーマンのひとり。

    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。

    前回:おときた駿×宇野常寛 小池百合子は東京をどこに連れていくのか(HANGOUT PLUS 11月14日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】

    ※このテキストは2016年11月21日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
    ■ 「メジャー病」の病巣はどこにあるのか
    宇野 まずはテレビの何がダメなのかという話をしたいと思います。
    福原 宇野くんはよくその話をするね。
    宇野 福原さんはダメだと思わないんですか?
    福原 どっちもだよね。ダメなところもあるし、まだまだ大丈夫だと思うところもあるし。一応テレビでご飯を食べている以上、あんまり自分のいるところがダメだとは言えない。でも、やっぱりダメなところはあるかな。
    宇野 どこがダメだと思います?
    福原 まず、あまり時代に寄り添っていないことかな。視聴者というか、世間の人々が何を考えているのか、もっとちゃんと知らないといけないのかなと。
    宇野 僕は逆だと思うんですよね。今のテレビは、今どきテレビを観ているような人に媚びすぎていると思うんです。単純にお金や視聴率のことだけを考えるなら、「昭和の日本人」とマイルドヤンキーを対象にするしかなくて、あえて露悪的に言ってしまうと、情弱を騙すゲームになってしまっている。だから、今ここで変えない限り、テレビで面白いことはできないのではと。
    福原 たとえば、どうしたらいいと思う?
    宇野 お金の取り方を変えるしかないと思いますね。サブスクリプションをどんどん導入するべきだし、受信料を取るのが無理なら、有料に切り替えていくべきだと思う。今は無料のものが面白くないので、面白いことをやりたかったら有料に切り替えるしかないです。
    福原 お金の話でいうと、広告をベースにしている今の民放のシステムは本当によく出来ているんだよね。これはかなり昔に作られたシステムで、そこの仕組みをサブスクリプションに入れ替えていくのは、かなり大変だと思う。
    宇野 当面は二つのラインを平行して走らせればいいんです。マス広告は、情報環境的に今後は無効になっていく古いモデルですが、社会は高齢化しているので、いきなり消すのではなく、ゆるゆると下げていくわけです。そして、まだ余裕があるうちに、サブスクリプションを中心とした課金モデルに切り替えていく。ビジネスモデルの大転換を20年ぐらいかけてやるしかないと思うんですよ。
    福原 それは賛成。CMを観てもらうことが前提の広告モデルとは別の仕組みをどうやって作り出すかは、まさにこれから考えなきゃいけない問題だと思う。サブスクリプションもそうだし、CMのあり方も変えていかなきゃいけないし、いろんなことをハイブリッドに組み合わせないといけないんじゃないかな。
    宇野 ビジネスモデルの転換をしないと、つまらない人が集まる業界になっていくと思うんですよ。僕自身「スッキリ!!」に1年半以上出ているし、その前からNHKの番組に出たりしていますが、そうやってテレビと付き合ってきて思うのは、この業界って基本的に、「鈍感さをあえて演じることが大人だ」というモードになりすぎているんですよね。古市くんモードと言い換えてもいいんですが。僕は彼が基本的に大好きなんだけど、彼が大人受けがいい理由として、今は「メジャー」は成立していないけれど、「旧テレビムラ」「旧戦後中流ムラ」「昭和ムラ」、これらが「限りなくマスに近い大きなムラ」として、かろうじて残っている。ここに照準を合わせているわけです。でも、基本的には「昭和の日本人」とマイルドヤンキーを騙すしかないから、最大公約数的なヌルいものになるんだけれど、それも全て分かった上で「その最大公約数に媚びるのが一番クレバーで大人なんだ」というモードで生きている人がテレビ業界には多すぎる。この態度は、面白くないものを作っている自分への言い訳でしかないと僕は思います。これが一番良くないと思うんですよね。ここを変えるためには、ビジネスモデルを変えないといけないと思うんです。この「あえて鈍感なふりをするのが大人になることだ」というモードを解除しないと、ビジネスモデルを変える動機付けも生まれないと思うんですよ。これはどう思いますか?
    福原 それは何をスケールにするかっていうことだよね。これまでは視聴率がスケールとなっていて、今はそこに録画視聴率がプラスされて、多少変わってきた部分はあるけれど、そういうものをベースにしている限りは、やはり大きくは変わらないというのがある。
    宇野 テレビ局は視聴率を社内の壁に貼り出すのをやめたほうがいいですよね。現状ではそれしか基準がないから仕方ないんですが。電通の人もテレビ局の人も本当はわかっていることなんだけれど、視聴率とCMの広告効果や訴求力って、全然関係がないですよね。
    福原 それはネットになって、かなりディスクローズされているよね。どうすればクリックされるか、どうすれば見てもらえるか。ネットだとすぐわかるけど、テレビはなんとなくざっくりしているわけでしょ。
    宇野 デジタル放送だから、本当はもっと細かい数字を取ろうと思ったら取れるはずなのに、そうするとパンドラの箱を開けることになるのでやらないんですよね。
    福原 どれだけの人間が真剣にテレビに向き合って観ているかは、たぶん今の数字からは出てこないよね。
    宇野 そういった本当は意味のない数字を一生懸命追いかけている状態が、さっき言ったような「あえて鈍感なふりをすることが大人なんだ」と勘違いしたテレビマンたちを増やしていると思うんですよ。視聴率って内部の基準でしかないんですよね。テレビの外側にとっては、実質的な訴求力とか広告効果とかほぼ関係ないわけですよ。視聴率のことを気にしているのは広告業界の人とテレビ業界の人だけ。もっと言ってしまえば、テレビ局間の見栄の張り合いというか、覇権争いと社員ディレクターや社員プロデューサーのボーナスの査定にしか関係がない数字なんですよね。
    福原 でも、よく言われるのは、Twitterでもテレビのツイートはものすごく多いわけで、それこそ今だとドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を放送すると、たくさんツイートされるよね。ネットの世界でもテレビはそれなりに存在感がある。だから一部の人のものだけという風にはなかなか思えない。
    宇野 それはさっきの議論の繰り返しになりますけど、今どきテレビを見ている人たち=昭和のライフスタイルを持っている人たちというのが、未だに日本では最大勢力であるわけですよね。でもそれは、旧来の意味の「マス」なのではなくて、一番でっかい「ムラ」というだけだと思うんです。それは今日よりも明日、明日よりも明後日には縮んでいくものだと思うんですよ。
    福原 確かにシュリンクはしていくと思う。
    宇野 テレビが一番大きなムラであるうちに手を打っておくべきだと、僕は思いますね。そのためには、今のテレビの「鈍感さをあえて演じるのが大人である」という、ある種の「メジャー病」と僕は呼んでいるんですが、この「メジャー病」に罹ってしまったつまらないやつらを排除していくことが大事なんです。そうしないと、出演する側の人間も、特にやりたいことや作りたいものはなくて、単に有名になりたいとか、業界人ぶりたいやつばかりが集まってくるようになると思うんですよ。そのためには、テレビの業界からいかにそういうメジャー病みたいなやつらを放逐していくかが僕は大事だと思いますね。
    福原 でも、大きくなってしまった組織は、変えるのに時間がかかる。そういった昭和的な価値観というか、視聴率が絶対だという人たちの価値観というのは、テレビのいろんなところに染み付いているわけですよ。そういう人たちが偉いポジションにいるので、その人たちが変わらないと価値観は変わらない。組織全体が変わるまでは時間がかかると思うよ。ビジネスモデルを変えていかなきゃいけないというのは、みんな薄々気がついているけれど、そうなると、いろんなものを変えていかなきゃいけない。

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  • おときた駿×宇野常寛 小池百合子は東京をどこに連れていくのか(HANGOUT PLUS 11月14日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.737 ☆

    2016-11-21 07:00  
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    おときた駿×宇野常寛 小池百合子は東京をどこに連れていくのか
    (HANGOUT PLUS 11月14日放送分書き起こし)
    【毎週月曜日配信】

    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.11.21 vol.737
    http://wakusei2nd.com



    毎週月曜日夜よりニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを 務める「HANGOUT PLUS」。今回は2016年11月14日に放送された、都議会議員のおときた駿さんをゲストに迎えた回の一部書き起こしをお届けします。
    都議会でも数少ない「小池派」議員として、積極的に小池都知事の支援を展開しているおときたさんと、築地市場の豊洲移転やボート競技施設の問題など、小池都知事が進めている改革の本質、小池劇場で加熱するマスメディアの問題について議論しました。


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    ▼プロフィール
    おときた駿(おときた・しゅん)

    東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
    1983年東京都北区生まれ。私立海城高校・早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。都政の専門家として、ニュースやワイドショーにも多数出演。著書に「ギャル男でもわかる政治の話」がある。

    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。

    前回:白井宏昌 × 宇野常寛 リオ・オリンピックを総括する――興行と都市設計の視点から(HANGOUT PLUS 11月7日放送分書き起こし)

    ※このテキストは2016年11月14日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
    ◼︎ 小池百合子は何を狙っているのか
    宇野 小池劇場が始まってから3ヶ月ほど経ちましたが、小池都知事の応援団長として、ぜひ中間報告をお聞きしたいです。いかがですか?
    おときた ここまでのことをやるか、というぐらい詰め込んだ、怒涛の3ヶ月間でしたね。最初の100日が重要ということは、本人もおっしゃっていたので、その通りにやってきたなと思います。
    宇野 就任直後からこんなにカードを切ってくると思いませんでした。いつの間にこんなに準備していたんですか?
    おときた 前回の都知事選からでしょうね。舛添さんが選挙に出馬したとき、本当は小池さんも出たかったんですよね。その頃から虎視眈々と都知事の座を狙っていて、東京区内での衆議院議員として、ある程度、政策の準備をしていたみたいですね。しかも、石原伸晃さんや内田茂さんを敵に回して絶好の形を作れたっていう。「してやったり」だったと思います。
    宇野 この100日間、都議会議員として小池派でいるのは、問題の渦中にいるということだと思うんですが、どうでしたか?
    おときた 我々は最大与党だと自分たちで言っているんですが、実は都議会議員127名のうち、たった3人の与党なんですよ。それでも、都庁職員からメディアまで、対応が変わりましたね。今までは塩対応で、都庁の職員なんか「先生、先生」と物腰は慇懃ですけれども、「それはできないんですよ」「これは都政に馴染まないです」と、行政用語を使いながら騙そうとしてきたんですね。でも今は、とにかく何かやらなければならないという感じで、少しでも改善しようとしてきますね。メディアの対応も、自民党には常にくっついている「自民党番」がいるんですが、私にも「おときた番」ができたわけですよ。
    これが与党になるということなのか、と思いました。
    ◼︎ 豊洲移転問題や東京五輪問題の本丸とは?
    宇野 メールも頂いています。

    こんばんは。おときたさんは以前は2期目の当選は難しそう、 とブログで仰っていたかと思うのですが、 最近のメディア露出等から勢いを見るとそんなことないんじゃないかな、と思えてしまいます。ところで、東京都は、小池百合子都知事が就任し、 あっという間に豊洲新市場と東京オリンピックの問題が政局化し、 いずれも、都民の生活に影響をどう帰着させるか、の方針が見えてくる前に責任者を叩いて、都庁、 そして都議会という、『伏魔殿』 と形容しやすいような組織の頭を押さえ込むことの方が先決、 とでも言わんばかりの事態が進行しているように見えます。東京都政の行く末はどこにあるのでしょうか? 教えて頂ければ幸いです。(ビスちゃんぽん 32歳)

    おときた 幅の広い質問ですね。
    宇野 今は膿を出すことに集中しすぎているきらいはありますよね。
    おときた 情報公開が非常に遅れていたのは確かですね。ガバナンスも適当なんですよ。「処分ありきだ」という批判も確かにあるんですが、責任者を処分しなければどうしようもないですよね。僕としては、そこは理解を示したいですね。
    宇野 僕がメディア側の人間として問題だと思うのは、豊洲移転や「盛り土」なんてどうだっていいわけですよ。「盛り土」だろうが地下室だろうが、汚染水を防げればなんだっていいんです。問題は、全く不透明な、はっきり言ってしまえば談合があったとしか思えないような状況で、膨大な予算を投入した一大プロジェクトが進行しているということなんですよね。でも、そこが表立って問題化されていないのはメディアの怠慢だと思うんですよね。
    おときた 本丸である「盛り土」問題は、ひょうたんから駒のように出てきた話で、最初は小池さんも知らなかったわけですよ。共産党さんが発見してやる気になっていた話で、もともとは共産党が月曜日の朝イチで発表する予定だったんですよ。「すごいことを発表するぞ」と言っていて「なんだなんだ」となっていたんですが、先走って金曜日に喋っちゃったんですよ。それで一気に話が回って小池さんの耳に入って、小池さんが土曜日に記者会見を開いたので、あたかも小池さんが発見したかのようになったんですね。
    宇野 あの「盛り土」問題が変にバズワードになったせいで、本来の問題である「どう考えても談合しているだろ」という部分が隠れている気がするんですよね。
    おときた ただ、これはある意味、想定の範囲内というか、これから談合に切り込んでいったときに、誰が出てくるかといえば、前石原都知事のラインと都議会の内田茂さんのラインが、完全に見えてるんですよね。これはいつ出すのかという問題で、例えば年末とか年明けくらい、都議会議員選挙がもうちょっと近くなってから、しっかりとそこに取り組んでいけば、また改革の風が吹くんじゃないかと思います。
    宇野 五輪のボート競技施設の問題も全く一緒で、あれも最終的には、最初の海の森水上競技場でやることになる可能性が高いと思っています。ベストではないかもしれないけれど、それなりにベターな選択肢ではあるのでね。でも、そのときに「あれだけ大騒ぎして、結局、東京でやるのかよ」となってしまうのが心配なんですよね。だから、そこは小池さんは「これは膿を出すためにやっていることであって、結果的に会場を移さず東京でやることになったとしても、会場を決める過程では明らかに不正があったんだよ」ということを、カードとしてなるべく早めに切るべきだと思う。
    おときた 五輪の費用が高騰していく理由は、人件費や資材費だけではないんです。ボート競技施設の問題では、結局、海の森水上競技場になる可能性は高いんですが、それでも長沼という候補地を出したことで、いきなり200億円も安くなったわけです。それは積まれていた70億円の予備費を切ったからなんですが。
    宇野 予備費が70億円って何に使うんだよ(笑)。
    おときた 完全にゼネコンが懐に入れるための70億円なんですよ。それを積んだ奴がどこかにいる。その犯人を明らかにして有権者の理解を得ていかないといけません。都政はこんなふうにシロアリがたくさん巣食っているんですよね。
    宇野 膿を出す作業は、最後までやりきることが大事で。手錠をかけられる人が2〜3人出るくらいまでやらないと、逆に小池さんがやられちゃうと思うんですよね。

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  • 白井宏昌 × 宇野常寛 リオ・オリンピックを総括する――興行と都市設計の視点から(HANGOUT PLUS 11月7日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.732 ☆

    2016-11-14 07:00  
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    白井宏昌 × 宇野常寛 リオ・オリンピックを総括する――興行と都市設計の視点から
    (HANGOUT PLUS 11月7日放送分書き起こし)
    【毎週月曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.11.14 vol.732
    http://wakusei2nd.com


    毎週月曜日22時よりニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを 務める「HANGOUT PLUS」。今回は2016年11月7日に放送された、建築家の白井宏昌さんをゲストに迎えた回の一部書き起こしをお届けします。
    リオ・オリンピックから私たちは何を学ぶべきなのか。「オリンピックと都市」を研究テーマにしている白井さんと宇野が、リオ・オリンピックが提示した新しい五輪の可能性や、それに伴う都市開発の難しさなどについて議論しました。

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    ▼プロフィール
    白井宏昌(しらい・ひろまさ)
    1971年生まれ。建築家、H2Rアーキテクツ(東京、台北)共同主宰。滋賀県立大学准教授。明治大学大学院兼任講師。2007~2008年 ロンドン・オリンピック・パーク設計チームメンバー。2008年 国際オリンピック委員会助成研究員。現在も設計実務の傍ら、「オリンピックと都市」の研究を継続中。博士(学術、都市社会学分野)
    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。

    前回:HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL(10月31日放送分書き起こし)

    ※このテキストは2016年11月7日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
    ■ リオが示した「ゆるいオリンピック」の可能性
    宇野 ぶっちゃけ、リオ・オリンピックはどうでした?
    白井 いち観客というか、いちオリンピックファンとしては、最初あまり関心を持っていなかったんですが、日本がたくさんメダルを獲って、そのおかげで最終的には盛り上がった印象を受けましたね。一方で研究者の目から見ると、やはり2020年のことが頭にありました。東京でのオリンピックが決まったときに、「成熟型のオリンピックであるロンドンから学べ」「リオからは学ぶことはない」と言われてましたよね。そう言われると逆のことを考えたくなって。リオからも学ぶことがあるのではないかと思って観ていたら、いくつか発見があったんです。もちろん、リオはロンドンや東京のような先進国というか、成熟した都市から見ても学ぶことはあったというのが感想です。
    宇野 例えば、リオ・オリンピックは情報公開についてはちゃんと行われていたと評価されていますよね。東京オリンピックはそこがグダグダで、入札の過程も全く不透明で、「なぜこんなに予算が膨らんでいるんだ」と問題になっている。リオに関しては、いろいろと問題はあったけど、情報公開自体はちゃんとしていた。ちゃんとしていたが故に、あれだけ炎上したという言い方もできるんですよね。
    白井 それはありますよね。ロンドンオリンピックで良かったのは情報公開だと思うんですよ。例えば、スタジアムができたときに、行政や組織の人が自慢げに「こんなのできました! 見てください!」と冊子を作ったりネットで発信したり、ものすごい熱意を持って情報公開をしていたんですね。それによって賛否は起こるんだけれど、やはりこれはすごく良かった。対して東京は情報が全然出てこなくて、むしろ「隠してるんじゃないの?」みたいな雰囲気がある。
    宇野 そこに小池百合子の付け入る隙があったわけですけれどね。
    白井 そうですよね(笑)。リオ・オリンピックも情報公開に消極的かと思っていたら、実際は全然違っていて、すごくちゃんと情報発信していました。冊子もグラフィックスがすごくカッコよくて。そこは東京よりもきちんとできているようで驚きましたね。
    宇野 競技数も30近くあったんですが、その割には予算も膨らみ過ぎなかったという好意的な意見もありますね。
    白井 予算は最終調整などが難しい部分があると思うんですが、最終的にはうまくやった気がしますね。
    宇野 その反面、リオ・オリンピックではいくつかのトラブルもあって、そこは例年のオリンピックに比べてどうでしたか?
    白井 先進国ではありえないようなことが起きてましたよね。プールの水が緑になるとか。でも、終わってみれば大したことではなかった。競技のスケジュールをちょっと変更をすればやりくりできちゃう程度のことなんですよ。今のオリンピックは「こんなことは起きちゃいけない」というルールでガチガチになっていて、リオはそういう面では粗相が多々あったけど、終わってみれば、僕らが考えていたほど大した問題ではなかった。これは東京へ向けてのヒントになると思ったんですよね。
    宇野 リオ・オリンピックは、旧第三世界で行われた初のオリンピックですよね。これまで先進国の大都市でしかオリンピックは行われていなかったのが、初めて旧第三世界の都市で行われた。そこで治安や工期の遅れといったいろんな問題が指摘されたけれど、終わってみると「思っていたより事故らなかった」という評価なんですよね。
    白井 その通りですね。個人的に記憶に残っているニュースは、近年のオリンピックは自然環境への配慮を重視していますよね。それで「環境に優しいゴルフ場を作りました」と喧伝していたんですが、競技が始まったらコースに動物が出没してプレーが中断されているんですよ。リオのこういった「ゆるさ」って、僕らから見るとありえませんよね。
    宇野 「アマゾン川流域って自然が豊かなんだなぁ」みたいな感動すらありましたね(笑)。
    白井 僕らはオリンピックに対して構えすぎていることに気付かされた。それがリオ・オリンピックの最大の教訓でした。
    宇野 面白いですね。「オリンピックはもっとゆるくてもいいのでは」と。

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  • HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL(10月31日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.727 ☆

    2016-11-07 07:00  
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    HANGOUT PLUS 宇野常寛ソロトークSPECIAL
    (10月31日放送分書き起こし)
    【毎週月曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.11.7 vol.727
    http://wakusei2nd.com


    毎週月曜日22時よりニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターを務める「HANGOUT PLUS」。今回は2016年10月31日に放送された、宇野常寛ソロトーク回の一部書き起こしをお届けします。今回は宇野常寛の「思い出の一作」として、押井守脚本・演出で2009年に上演された舞台版『鉄人28号』。宇野常寛が最近読んだ本について語るコーナーでは、川村元気プロデュースによる映画が話題の、朝井リョウ『何者』について語ります。
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    前回:根津孝太 × 宇野常寛  プロダクトデザインはいかに更新されるべきか

    (HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)

    ※このテキストは2016年10月31日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
    ■ 押井守の戦後史作品の原点となる舞台版『鉄人28号』
    宇野 今日は試験的に2つコーナーをやってみたいと思います。ひとつめは僕が「思い出の一作」について語るというコーナーで、僕にとっての思い出深い過去の名作を、5分くらいの枠で、ひたすら皆さんに布教していこうと思います。今回のお題はこれです。

    ▲「舞台『鉄人28号』」
    これ知ってますか? 正解を書いている人がニコ生にいますね。これは2009年に初公演された『鉄人28号』の舞台版です。
    OKP 舞台といっても、そもそも鉄人28号は舞台に収まらないでしょ。
    宇野 鉄人が膝をついている10メートルくらいのセットを、中央にドカーンと置いて舞台をやっているんですよ。舞台の脚本・演出は、我らが押井守先生です。どうですか皆さん、なんか良さげな匂いがしません? この時期に押井さんが作っていた作品は『真・女立喰師列伝』(2007年)、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年)、『ASSAULT GIRLS』(2009年)、この辺りですね。
    それではさっそく5分間、語ってみたいと思います。
    OKP じゃあ行きますか。よーいスタート。
    宇野 この舞台『鉄人28号』なんですが、実は僕は傑作だと思ってるんです。なぜこの作品を観たのかというと、そもそもの発端がこれですね。『PLANETS Vol.9』。

    ▲『PLANETS Vol.9』(Amazon)
    この最終章が『オリンピック破壊計画』なんですね。仮にオリンピックをテロで破壊するとしたらどうなるのかというシミュレーションをやったわけです。東京でテロと言ったら、やはり押井守の『機動警察パトレイバー the Movie』と『機動警察パトレイバー 2 the Movie』ですよね。そこで押井作品をざっと調べていたときに、実は押井守がオリンピックをテーマにした作品を作っていたという事実にブチ当たったんですね。それで『PLANETS』を作った後、DVDを取り寄せてみたんですよ。それが舞台『鉄人28号』なんですよね。
    ただし、この作品に出てくるオリンピックは2020年じゃなくて1964年です。もともと『鉄人28号』は戦後初期が舞台で、戦時中に日本軍が作った決戦兵器である鉄人28号が、戦後に平和利用されるストーリーですよね。この舞台『鉄人28号』も、そこまでは原作に則っています。
    主人公の金田正太郎くんは、戦後民主主義の理想を託された存在なので、戦後生まれの非常に無垢な存在なわけです。かつての日本は工業力を間違った方向に使って侵略戦争をしてしまったけど、これからはあえて純真無垢な少年にその力を託すことによって、正義のために使っていこう。そういう戦後民主主義の理想を実現するために、正太郎くんの保護者である敷島博士が、半ば正太郎くんを洗脳して熱烈に訴えているわけですよ。ところが、それに反抗する奴がいるんです。そんな戦後民主主義なんていうものは欺瞞であると。それが犬走一直というテロリストなんですね。
    OKP 名前がすごいですね。
    宇野 名前がもう完全に押井守ですよね。この犬走一直は「人狼党」というテロリスト集団のリーダーです。1964年当時は、オリンピックに向けて東京がどんどんと再開発されていた時期です。それまでの東京は戦後の混沌を残したジャンクな街で、それが結果的に多様性を生み出していたけれど、来るべき高度成長と消費社会に向かって、クリーンでデオドランドな街にする大都市改造があった。そのときにマイノリティがいっぱい排除されたわけですが、それを許しがたいと言って、犬走一直は東京オリンピックに対してテロを行おうとするわけです。
    そして、正太郎くんはその犬走一直に出会うことによって悩むんです。敷島博士の言う戦後民主主義の理想を実現すべきなのか、それとも犬走一直の言うように東京に真の自由を確保する方がいいのか。その間で引き裂かれるように悩むわけです。悩んだ挙句に、じゃあどうするかというのがクライマックスで、犬走一直は東京オリンピックに対して巨大なテロを企てるんですが、それに対して正太郎くんが犬走側につくのか、敷島博士側につくのか。それとも第3の選択肢を取るのかというところ。
    OKP 少年に選択させるのが押井っぽいですよね。
    宇野 押井っぽいというか、正太郎くんは戦後民主主義の象徴だから、彼が選ぶしかないんですよ。これは『立食師列伝』につながっていく押井守の戦後史の記述なんですよね。

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  • 根津孝太 × 宇野常寛 プロダクトデザインはいかに更新されるべきか(HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.722 ☆

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    根津孝太 × 宇野常寛  プロダクトデザインはいかに更新されるべきか(HANGOUT PLUS 10月24日放送分書き起こし)【毎週月曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.10.31 vol.722
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    毎週月曜日22時よりニコ生で放送中の宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」。今回は2016年10月24日に放送された、プロダクトデザイナーの根津孝太さんをゲストに迎えた回の書き起こしをお届けします。日本を代表するカーデザイナーとして、既存の枠組みにとらわれないユニークなプロダクトを次々と生み出し続ける根津さんの、発想の源泉はどこにあるのか、その秘密を語ります。

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    ▼プロフィール

    根津 孝太(ねず・こうた)
    1969年東京生まれ。トヨタ自動車を経てznug design設立。多くの工業製品のコンセプト企画とデザインを手がけ、代表作は、「町工場から世界へ」を掲げた電動バイク『zecOO』、やわらかい布製超小型モビリティ『rimOnO』、トヨタ自動車コンセプトカー『Camatte』、タミヤミニ四駆『Astralster』『RAIKIRI』など。2014年よりグッドデザイン賞審査委員。

    「HANGOUT PLUS書き起こし」これまでの記事はこちらのリンクから。
    前回:柿沢未途×宇野常寛  民進党は(マジで)これからどうするのか(HANGOUT PLUS 10月10日放送分書き起こし)
    ※このテキストは2016年10月24日放送の「HANGOUT PLUS」の内容の一部を書き起こしたものです。
    ■ クリエイティビティの源泉は「言葉」にあり
    宇野 それではメールを読んでいきましょう。

    宇野さん、根津さん、こんばんは。クリエイティブな部分に興味があります。以前に私はミュージシャン(カッコつけでなく作曲をする方)に話を聞いたとき、「曲を作る時に立体物を想像して、そこから音にしていく」というのを聞いたことがあります。根津さんはプロダクトを作る際に別のものを想像してから変えていくようなことはありますか? もしくは創作の起点は何から始まりますか。(塩分控えめ 東京都 33歳)

    根津 面白い質問ですね、僕は言葉の力が大きいです。立体を作っていく作業をするときに、ほかの立体を見てダイレクトに影響を受けるというのは……まあ、確かにそれもあるんですよ。たとえばzecOOは『AKIRA』や『トロン』に影響を受けているんですが、最近では、宇野さんとお話しするとか、そういうことが次の作品に繋がっていくんですよね。言葉には解釈の余地があって、そこからクリエイティビティを引き出されることがよくあります。楽しい話をした後に、そこから形を考える、モノを考えるということがすごく多くなりましたね。
    ▲zecOO
    宇野 それを言われると評論家としてはプレッシャーが(笑)。僕としても作家の作ったものには、全力で打ち返さないといけないと思っていて。自分の評論に影響を受けて、それを上回る形で打ち返してきてくれたときが、評論家としては一番嬉しいですね。斜め上から「まさかこうくるか!」みたいなね。
    根津 「批評性」という言葉を宇野さんが使われていて、僕はすごく感動したんです。自分の作り出したものについて、自分では見えていないことっていっぱいあるんですよね。それを言ってもらうことで、「じゃあ次こうしてみよう」みたいな再発見があるんです。今日だってそうですよ。そういうことが今は一番刺激になりますね。
    宇野 もう1枚いきますかね。

    宇野さん根津さんこんばんは。私は趣味と実益を兼ねて、普段の都内の移動を自転車で済ませています。都内ならば下手に電車に乗ったりタクシーに乗るよりも、自転車の方が早いことも多いです。夏場はつらいのであまり使っていませんでしたが、だんだんと涼しくなってきて、ちょうど自転車乗りとって気持ちのいい季節になってきました。根津さんはエンジンを積んだ乗り物のデザインを中心に手がけていると思うのですが、スポーツとモビリティの関係についてはどうお考えでしょうか? 根津さんのデザインした自転車があったら、ぜひ乗ってみたいと思っています。今夜の放送も、楽しみにしています!(よきこと聞く 東京都 30歳)

    根津 ありがとうございます。実は自転車もいろいろやってるんですよ。
    宇野 そうですよね、語ってますもんね。
    根津 エンジンやモーターがついた乗り物をやるときでも、自転車の視点を忘れたくないんですよね。今の質問に関していえば、スポーツというのは幅広い年齢層の人にとって大事で、特に体が動かなくなってきた高齢者の方には、電動という方法もあるんですが、ちょっとアシストしてあげるとまた動けるようになったりするんです。移動とスポーツは本質的に近くて、自転車はそれが一致してる素晴らしいモビリティなんですよね。でも、外で自転車を乗り回すのは自信がないな、という人にはもう少し安定感のある乗り物にするとか。あるいは雨の日だと辛くなっちゃうので、屋根を付けてみるとか。そういう自転車から生まれてくる発想は、すごく大事だと思うんですよ。
    宇野 なるほどね。自転車・電動自転車・三輪・rimOnO・軽自動車というふうにグラデーションになっていて、足りないところを根津さんが埋めていっているわけですね。


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