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  • 正しい「いいひと戦略」のススメ。岡田斗司夫はどこでミスを犯したのか?

    2015-01-24 22:55  
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     ども。岡田斗司夫愛人問題についてはお口にチャックをするつもりだったんですけれど、どうしても書きたいことが出て来てしまうので、ここに簡単に記しておきます。
     何しろ下世話な話なので、読まなくてもまったくかまいません。ただ、ぼくは個人的に岡田斗司夫という人を長年追いかけてきたので、いくらかこの話に興味があるということです。
     いまの岡田さんを見ていると、「なるほどなあ、こういうふうに破綻するのか」という感慨がありますね。ひょっとしたらこのまま成功しつづけるのかと思っていたけれど、なかなかそういうふうには行かないらしいということが、実に興味深い。
     ぼくはべつだんかれを責めるつもりも咎めるつもりもないのですけれど、いまの事態はひとつの「因果応報」というか、自分が選んだ生き方の結末ではあるのだろうな、と思わずにはいられません。
     岡田さんを責めている側もあまり上品とはいいがたいように思うのですけれどね……。まあいいや。
     ぼくが岡田さんのことを興味深く追いかけて来たのは、かれが「上の世代のオタク」だからです。つまり岡田斗司夫はぼくにとって行動の規範となる人のひとりであったのです。
     そのシニカルな物言いにしろ、毒のある行動にしろ、良くも悪くもぼくに影響を与えています。
     かれはある意味で非常に典型的な「インテリオタク」でした。基本的にインテリであるにもかかわらず、社会を建設的に進歩させていくプロジェクトに参画しようとせず、アニメや漫画といったサブカルチャーに耽溺してみせるという態度を示した最初の世代の人だったわけです。
     いわゆる「オタク第一世代」ですね。ぼくはそこに非常に屈折した想いを見ます。ひと言でいえば、岡田斗司夫の考え方とは、社会で重要とされているものを笑い飛ばすことによって自己の優位性を確立しようという思想だったのだと思います。
     アニメや特撮といった、世間的にバリューが確立されていない文化に「あえて」熱中してみせるという態度を示すことによって、自分のインテリジェンスを示そうというわけですね。
     この「あえて」というところが重要で、かれから見るとそこに本気で熱中している奴は愚かであるわけです。ものごとの裏側を見、隠されたものを暴き、その批評的な行為によってあらゆる存在のメタレベルに君臨する――それが正しい「オタク」の態度ということだったのだと思います。
     当然、そこではいかに他人の失敗や滑稽さを笑い飛ばすかということが重要になる。かれから見てくだらないことにベタに熱中しているような俗衆は嘲笑の対象にしかなりえません。
     しかし、当然ではありますが、岡田斗司夫その人も完璧な人間というわけではなく、時には失敗したり間違えたりすることもあります。そうすると、自分自身がだれかの嘲笑の対象になったりもするわけです。
     ぼくは岡田さんが抱えていた課題とは、いかにしてそういった「笑い」から自分自身を防御するか、ということだったのだと思うのです。
     いい換えるなら、「ひとに笑われることなく、ひとを笑い飛ばしたい」ということですね。さらにいえば、決して「ボケ」に落ちることなく「ツッコミ」の立場を維持したい、ということであるかもしれません。
     しかし、これはきわめて困難な課題です。なぜなら、ひとを笑い飛ばしたりすれば、当然、べつのだれかから笑われることもあるのが世の常だからです。
     ぼくが考えるに、これを解決するための方法はひとつしかない。つまり、「何もしない」ということです。自分は何ら建設的な行動を取ることなく、ひとの失敗を笑いつづける。これを続けている限り、ひとは「頭のいいポジション」から脱落せずに済みます。
     何しろ何もしないのですから、何か失敗することもない。弱点を抱え込むこともない。そうやって何もしないでひとを批判している限り、その人は無敵なのです。
     いま、インターネットにはそういう人は大勢いますよね。特に何ができるわけでもないのだけれど、鋭く人を批判し嘲ることにかけては人後に落ちないというタイプ。
     これは「ひとを笑い飛ばしたいが、ひとに笑われたくはない」という課題を突き詰めていくと、当然出て来る行動パターンだと思うんですよ。むしろ賢い人ほど、そうやって「何もしないという態度」を選択することになる。
     そういう人にとって他人はみなバカに見えたりするのですが、では、その人に何ができるのかといえば、べつだん何もできはしなかったりするのです。
     さて、そういった絶対安全圏から人を嘲るという行動は、とても魅力的なものですが、ひとつ問題があります。そうやって安全圏にひきこもっている限り、何もできないということです。
     ひとを笑えば笑うほど、バカにすればバカにするほど、そのセーフティゾーンから出ることができなくなる。出てしまえば、自分がひとに投げた揶揄や嘲弄が倍になって返ってくるからです。
     したがって、そういう人はリスクを犯す行動を何ひとつ取ることができなくなります。そして、「ひとの欠点がよく見える賢い自分」という自画像を手に入れる代わりに、一生何ひとつ成すことなく終わるのかもしれません。
     まあ、それはその人しだいですが、とにかく絶対安全圏にひきこもっている限り、何ひとつ失敗をしないかわりに目立つ業績を挙げることもできません。
     これは「ひとに認めてほしい」、「強く賢い自分を承認してほしい」と考える人にとっては耐えがたいことです。ぼくは岡田さんもそういうタイプの人だと思っているんですけれど。
     それでは、「何か業績を成し遂げ」、なおかつ「傷つきやすい自意識を防御し切るためにはどうすればいいか」。これが岡田さんが人生において取り組んでいた課題だったんじゃないかなあ、とぼくは妄想します。
     特に確固とした根拠がないのであくまで妄想ですが、まあそれを前提として話を続けましょう。
     ごく単純に考えて、ひとを攻撃して、だれからも攻撃されないというポジションに就こうというのは非常にむずかしい話です。ほとんど実現不可能とも思える。自然の法則に反しているようなことです。
     ただ、ひとつ方法があることはある。つまり、この話を考えて行くと、「攻撃されても、嘲笑されても傷つかないよう自分をチューンすればいいのだ」という結論が出ると思うのです。
     ようするに、何か痛い指摘を受けたとき、「それはわざとやっているだけなんだよ」といい張れるようであれば自意識は傷つかない。
     ピエロはピエロであることを指摘されても痛くないのです。なぜなら、それは仕事でやっているに過ぎず、仮面の下にはほんとうの素顔があるのだから。
     つまり、常時、何かしらの仮面をかぶって素顔を見せずにいる限り、どんなに攻撃されても嘲笑されても傷つかない。むしろ、自分が「あえて」「わざと」やってみせている行為に対してベタに攻撃してくる人間こそバカなのだ、といい返すこともできる。
     決して本心を見せないこと。弱点を晒さないこと。常に「仮面」で自分の自意識を守りつづけること。これを続けている限り、いくら攻撃されても決して自分の「本丸」は傷つかない。岡田さんの人生はその絶対防御の理屈によって動いていたように、ぼくには見えます。
     それが今回、破綻してしまったようにも思えるわけですけれど、それはなぜなのかというところが、ぼくには興味深いですね。
     さて、皆さんは今回、岡田さんはどこで失敗したと考えられるでしょうか? ぼくは、それは最初の釈明ツイートだったと思う。「愛人とのキス写真」なるものが出まわって話題になった時、岡田さんはTwitterでこのように呟いています。

    twitterで「愛人とのキス写真」とやらが出回ってるけど、当たり前ですけどニセ写真です。LINEアイコンとか写真の構図とかめちゃ上手いけど。写真と告白文を作った本人からはすでに謝罪して貰ったので、自分的には一件落着ずみ〜。初笑い、できたかな?
    今回で一番恥ずかしいのは、LINEアイコンがムーミンだと知られたこと(笑)
    でも今年は「恋愛本」を書く予定だから、実は過去の恋愛話を全暴露しようと画策していたんだよね。

     これはいかにも岡田斗司夫らしい対応だったと思います。つまり、かれはこの危機的状況に対して「いつものように余裕綽々の自分」という「仮面」で対応しようとした。これが最大の失敗であったのではないか。
     単純に事態を収束させるために何の効果もなく、むしろ火に油を注ぐことに繋がったということだけではありません。この後、かれはこの「仮面」を守ろうとしなければならなくなってしまったわけです。
     つまり、一連の事態において守勢に立たされることになってしまった。これが決定的にまずいレスポンスだったのではないでしょうか。
     ほんとうは岡田さんはここで自分に愛人がいることを認めるべきだったのだとぼくは考えます。そうしたとしても、ほんとうなら咎め立てされるいわれはないのですから。
     しかし、かれは初手で開き直ることができなかった。そして、それがどんどん尾を引いていきます。まさに岡田斗司夫らしくないミステイクです。なぜ、岡田さんは初手でこんな他愛ない嘘をついてしまったのでしょうか。
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