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十九世紀中央アジアへのタイムトラベル。森薫『乙嫁語り』最新刊が相変わらず素晴らしい。(1297文字)
2013-01-13 22:1253pt『乙嫁語り』の最新刊が出ました。読みました。素晴らしい! いやー、もうこのシリーズについては素晴らしいというくらいしかいいたいことがなくなりましたね。『エマ』も良かったけれど、これはもうそれを上回る出来。あとはペーパー版の発売と同時に電子書籍版が入手できるようになればいうことなしなんだけれど、そうは行かないんでしょうねえ。ま、仕方ない。 -
岡野雄一『ペコロスの母に会いに行く』は涙なしでは読めない家族漫画の傑作だ。(1458文字)
2013-01-07 21:2553pt東京の紀伊国屋でふと出逢ってぼくの感性の琴線にふれた『ペコロスの母に会いに行く』の書評記事です。いや、この漫画はいいから皆も読むといいよ! ただ「泣ける漫画」として紹介するにはあまりに趣深い作品ではあるものの、でも「必ず泣ける!」みたいに宣伝するのがいちばんわかりやすいんだろうな、とも思ったりして、なかなか複雑。とにかく傑作です。はい。 -
愛と欺瞞と恩讐と希望と。完結した『GUNSLINGER GIRL』を一気読みする。(1961文字)
2013-01-01 13:2153pt相田裕『GUNSLINGER GIRL』を一気読みしました。正確には再読なのですが、いいかげんな読み方しかしていなかったので初読に等しい再読だと思います。いや、良かった。素晴らしかった。ぼくは初めの辺りには違和感を禁じえなかったのですが、中盤でいっきに表現力が深みを増し、作者の伝えたいものが正しく伝わるようになったと思います。今夜、ニコ生で語ります。 -
降りそそぐ夾竹桃の謎と絢爛たるトリック。連城三紀彦の傑作長編『敗北への凱旋』を読む。(1407文字)
2012-12-02 23:2653pt本格ミステリの世界では、天才という桂冠を与えられた作家が何人かいますが、連城三紀彦もそのひとりでしょう。そのトリックの華麗さ、解決のあざやかさはほかに比類がありません。破天荒なトリックを仕掛ける作家ならほかにいくらでもいるでしょうが、それを圧倒的ななめらかさでやってのけるのが連城なのです。『敗北への凱旋』はその連城の傑作長編。必読です。 -
狂気か、前衛か、退行か。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のストレスフルな映像世界。(2176文字)
2012-11-28 08:2653pt『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』については、いままでも何本か記事を書いてきましたが、またべつの視点からの記事です。ぼくはこの映画、十分に楽しんで見たんですけれど、世間では賛否が二分しているようです。それはそうでしょう。創り手の側もおそらくそうした反応を予想して創っている。何とも難儀な映画です。しかこう思うことも事実。「これぞ『エヴァ』」と。 -
小さく不思議な「偽物の恋」の物語。こうの史代の傑作『長い道』を読みのがすな!(1204文字)
2012-11-27 20:0853ptこうの史代という作家は、歴史に残すべき傑作をすでに何本も描いています。これからものす作品のなかにも、そういうものがいくつも生まれてくるでしょう。しかし、それらの名作のなかでもぼくにとって最愛というべき作品は『長い道』を置いてありません。いくつものふしぎな展開を通して描かれる、小さな小さな恋の物語。この作品を読みのがす手はありません、旦那。 -
またしても戦慄の問題作! 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』をネタバレなしで語る。(2003文字)
2012-11-19 17:3253ptそういうわけで、『ヱヴァ』を観て来ました。いやいや、事前の予想をさらに上回ってくるほどの凄まじい作品でした。前回までは「素晴らしいな」「おもしろいな」で済んだのですが、しょせん『ヱヴァンゲリヲン』がそれだけの作品で終わるはずもありません。こうなることはあらかじめ定められていたことだったのです。いやはや、とにかくいまは完結編が待ち遠しい! -
映画『ゴティックメード』の簡単な感想を述べておこう。(676文字)
2012-11-18 07:4253pt『ゴティックメード』の簡単な感想です。ほんとうは詳細なネタバレ感想を書きたいところなのですが、旅先なのでままなりません。愛用のエディタがないんですよ! Google Chromeはダウンロードしてサインインしたら設定が再現されましたが。いやあ、おもしろかったですね、『ゴティックメード』。神作品です。でもまあ、ファン以外は何が何だかわからないかもね。 -
本格ミステリのマイルストーン『りら荘事件』を読む。(1295文字)
2012-11-08 21:5653pt『りら荘事件』。現代に生きのこる本格ミステリの古典的名作にして、天才探偵星影龍三もののふたつしかない長編のひとつであり、鮎川哲也のキャリアのなかでも鮮烈な印象をのこす作品です。「尼りりす」とかいうありえない名前の女性が出てきたりして微妙に時代を感じさせますが、そういうところ以外はまったく古びていない本格の大傑作といっていいことでしょう。 -
【有料記事】2010年代を切り開く奇跡の傑作『水の森』を読もう!(2339文字)
2012-11-02 09:3853pt漫画『水の森』の紹介です。この作品もおもしろかったですね。ぼくはしょっちゅう傑作傑作、名作名作とさわいでいますが、でもそのつど本気でそう思っているのです。まあ、なかには時間が経ってから考えてみれば「そうでもなかったな……」というものもありますが(あるのかよ)、その点、『水の森』は本物。ぼくのその年のベストともいうべき傑作だったのでした。
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