-
続けて『キャプテン・アメリカ』を見たよ。
2016-05-13 04:1951pt
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』。
〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉シリーズの2本目です。
当初の予定ではちゃんと公開順(アメリカでの公開順)に見ていくつもりだったのだけれど、レンタル店に行ったら『インクレディブル・ハルク』が置いていなかったのであきらめ、自分の好きな順番で見ることにしました。
いやまあ、ストリーミング配信で見てもいいのですけれどね。でも気勢を削がれちゃった感じがする。
この映画のヒーローは、のちに「アイアンマン」トニー・スタークの友人にして対立しあう関係となる高潔の人、キャプテン・アメリカ。
タイトルからわかるように「アベンジャーズ最初のひとり」という設定です。
いや、年齢からいえばたぶん神さまであるロキのほうが歳経ていると思うのですが、まあ、アベンジャーズのリーダー的存在であることもあり、「キャプテンが最初」ということらしい。
物語の舞台は現代から70年前余り前の第二次世界大戦中。
主人公は虚弱なからだつきのため軍隊に入隊することができずにいる青年スティーヴ・ロジャース。
スティーヴはある強烈な力をもつ血清によって、無敵のヒーロー、キャプテン・アメリカに生まれ変わります。
ところが、自分の信じる正義の戦うつもり満々のキャプテン・アメリカを待っていたのは、国威発揚の道具としての役割と、国民に戦時国債を買わせる宣伝に利用される日々。
あるとき、親友が敵軍基地に捕虜として捕まっている可能性を知らされたキャプテン・アメリカは、単身、敵軍基地へ乗り込むのですが――。
映画の筋としては『アイアンマン』と同じく単純なものです。虚弱な肉体に高潔な精神を持つ青年が、幸運にも無敵の体を手に入れ、悪に立ち向かう。
かれが戦うのはナチス内部の秘密研究組織ヒドラとその首領レッドスカル。
まったく容赦する必要のない純粋悪で、続編はともかく、この映画に限ってはシンプルな勧善懲悪のストーリーといっていいでしょう。
ただし、わかりやすく勧善懲悪を成立させるために製作スタッフは相当の工夫を凝らしていると思しい。
キャプテン・アメリカはその名のとおりアメリカの正義を体現するナショナリズム色の強いヒーローなので、そのまま映画化したらある種、生々しいものになりかねない。
そこで、意図して全編を漫画的に演出したのだと思う。
また、正義を志すキャプテン・アメリカの敵はあくまでヒドラであって、かれ自身が戦場で敵と戦うことはありません(かれに影響を受けた多数の兵士が戦場で死んでいったことは間違いありませんが……)。
ここらへん、キャプテンをアメリカオンリーのヒーローにしないための微妙な気遣いが読み取れます。
この映画が作られるのが何十年か前だったらこの筋書きは違っていたかもしれませんね。
キャプテンはクライマックスである事情によって数十年の時を超え、現代のアメリカに現れることになるのですが、かれを待ち受けていたのは秘密組織S.H.I.L.D.と「アベンジャーズ」でした。
そして、 -
とりあえずまず『アイアンマン』を見たよ。
2016-05-12 22:4051pt
〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉の嚆矢となる作品『アイアンマン』を見ました。
この作品公開の時点ではまだ映画『アベンジャーズ』の構想は示されていなかったわけですが、エンディングロールの後で秘密組織S.H.I.E.L.D.の長官ニック・フューリーが登場し、アベンジャーズ結成を匂わせます。
この映画で最強のパワードスーツをまとったスーパーヒーロー「アイアンマン」ことトニー・スタークを演じるのは演技派ロバート・ダウニー・ジュニア。
天才で、大富豪で、皮肉屋で、女たらしで、大企業を継いだ二代目という、一般的なヒーローのイメージからは程遠いむずかしい役を見事にこなしています。
このトニーはどうにも鼻持ちならない性格のもち主で、いっそかれを排除しようとしたラスボスの気持ちがわかるくらいなのですが(笑)、ダウニー・ジュニアの名演のおかげでそこまで嫌味はありません。
これがほかの役者がやっていたら耐えがたいキャラクターだったかもしれませんが……。
トニーは巨大軍事企業スターク・インダストリーの二代目社長という設定なのですが、あるとき、誘拐された現場で自分の企業の商品が横流しされて人を殺しているところを目撃したために兵器開発がいやになり、兵器ビジネスから手を引くことを決心します。
しかし、それは事件の裏で糸をひく黒幕にとってはまずいことで――と展開は進みます。
この黒幕、あまりにも怪しいため、出てきた瞬間に「あ、こいつが黒幕なんだな」とわかるんですけれど(笑)、そういう軽薄なところも含めてなかなか楽しい映画。
『ダークナイト』みたいな深刻なまでのテーマの奥深さはあまりなく、トニー・スタークがあっさり兵器開発から手をひいてしまうことも、「ほんとうにそれで正しいのか?」と思わせられるものの、なんといってもトニーのキャラが立っているため、一作のエンターテインメントとして楽しく見れることは間違いない。
トニーが「アイアンマン」を開発し、その力で正義を実行しようとする行動を『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のジョン・ファヴロー監督はユーモアたっぷりに描いていきます。
全編、くすくす笑えるシーン多数。正直、ヒーロー映画というよりコメディ映画としてのほうが見ごたえがあるかも。このテンポのよい演出は才能だよなあ。
自社による兵器開発をやめて個人用の兵器を作り、ヒーローになろうとするという行動はどう考えても矛盾を孕んでいて、そこらへんを深堀りすれば素晴らしい傑作になったかもしれないとも思うのですが、この映画の役割はそこにはないということなのでしょう。
何しろ、このあと『アベンジャーズ』へ続いていかなければならないのだから、あまりシリアスなテーマを持ち出されても困るというのもほんとうなのかもしれません。
そういう観点から見ると、実によくできた映画ですね。スーパー傑作というわけではないにしろ、見ておいて損はない作品といえるかと。
まあ、この映画を見なくても『アベンジャーズ』を理解するために苦労はしませんが、トニー・スタークの軽薄なキャラをわかっておくとこの先がわかりやすくなるとは思います。
決して大のオススメというわけではありませんが、〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉を続けて見てみるつもりの人はチェックしておくべき作品なのかもしれません。
でも、〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉ってこの先も9作が予定されていて、つまり最低でも22作は公開されることが決まっているのですよね。
へたすると30作とか40作とか続いていく可能性もなくはない。それを全部追いかけていくのは大変でしょうね。
あと、 -
映画『ペルソナ3』の見どころとは。
2013-12-04 21:1653ptきのうに続いて映画を観てきました。『PERSONA3 THE MOVIE ー#1 Spring of Birthー』。同名のテレビゲームをアニメーション化した三部作の第一弾ですね。
ぼくは原作ゲームは半分ほどのところで挫折してしまっているのですが、それでも好きな作品なので観てきました。
感想は――うん、なかなか良かったです。絶賛というほどではないけれど、悪くない出来だと思う。この次元の劇場アニメを「悪くない」で済ませられるということは、いかに現代のアニメが豊穣かつ高度になって来ているかということで、ぼくは嬉しい。
まあ、『風立ちぬ』とか『かぐや姫』みたいに巨費を蕩尽して壮大な実験をくり広げた狂気の作品ではないけれど、水準は十分にクリアしている。
原作の複雑に錯綜した設定と物語を巧みに消化し、映画として見て不自然じゃないところまで持っていっただけでも立派。原作に負けず劣らず楽しめる
1 / 1