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萌えの臨界点はどこにあるのか?(1917文字)

 『テイルズオブヴェスペリア』をひと休みして『トトリのアトリエ』を始めてみました。ガストの有名なアトリエシリーズの一作で、「アーランドのアトリエ」の第二作にあたります。  前作『ロロナのアトリエ』からやればいいようなものですが、どうもAmazonを見るかぎり『ロロナ』は評判がいまひとつなんですよね。で、仕方なく『トトリ』から始めることにしました。  『トトリ』をクリアして余裕があるようだったら『ロロナ』もやろうかな、と。まあ、システム的に『トトリ』の方が洗練されているだろうからあえて『ロロナ』をやる必要もないとは思うけれど。  このアトリエシリーズのゲーム的な特長は錬金術で様々なアイテムを作成しそれで冒険を繰り広げていくところにあるわけですが、ぼくは今回、『トトリ』をプレイして、むしろキャラクターの萌え度の高さに驚かされました。  このシリーズってここまで極端な萌えゲーだったのか。まず主人公のトトリは運動は苦手で頭もそれほど良くないドジっ子属性の13歳。容姿も普通という設定なんだけれど、どういうわけか作中人物は男性も女性もみんな彼女が大好き。  「トトリちゃんかわいい~」といって抱きしめたりする。必ずしも恋愛的な描写ではないはずなのですが、やはり百合っぽい雰囲気がただよいます。いやー、なんでしょう、この甘ったるい世界は。『カードキャプターさくら』とか、そこらへんの作品を思い出してしまいますね。  Amazonのレビューに、過剰な萌え描写には食傷気味で、『マリー』とか『エリー』の素朴な時代がなつかしいと書いているひとがいましたが、シリーズ初期作品をやっていないぼくも共感できる。キャラ萌えはいいんだけれど、さすがに甘ったるいよなあ、これは。  まあ、たしかにこういうのも嫌いではないのですが、「こういうの好きでしょ? ほらほらほらほら」といわれているようで、昔ながらの素朴な作品をやりたいなあという気分になってしまうのです。  でも人間は一度濃密な快楽を味わってしまうともう素朴な快楽には戻れない生き物だったりするわけで、過剰に甘ったるい萌え描写に慣れたひとはこれくらいじゃないと快楽を感じられなくなってしまうんだろうなあ。で、それにも慣れてさらに表現は過剰化していく、と。この表現と受け手のいたちごっこはいったいどこまで続くのでしょうね。  

萌えの臨界点はどこにあるのか?(1917文字)
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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