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『君の名は。』ネタバレ感想。物語を形づくる三枚のカード。
2016-08-29 04:5351pt先ほどまで映画『君の名は。』のネタバレラジオを放送していたのですが、そこで話したことを記事の形でもまとめておきます。
以下、『君の名は。』のネタバレを含みます。未見の方はなるべく読まないでください。オーケー?
さて、『君の名は。』では、クライマックス、ふたりの主人公、瀧と三葉はすべての記憶を失って離ればなれになります。
瀧は何かを失ってしまったという喪失感を抱えながら日々を過ごし、そして数年後、ふたりが運命的に再開するところで物語は終わります。
感動的なハッピーエンド。しかし、ぼくはここでもう少し印象が弱いものを感じたのですね。いや、作品そのものは傑作で、クオリティ的には文句なしなのですが、いわば99点で、100点は付けられないようなところをどこかに感じたのです。
それはどこなのかといえば、いまにして思えば、このハッピーエンドそのものに「嘘」を感じ取っていたのだと思う。
つま -
映画『君の名は。』のわりとどうでもいいポイントについて(ネタバレ)。
2016-08-27 01:5651pt新海誠監督のアニメーション映画『君の名は。』を観て来ました。
えーと、あれですね、これは一切のネタバレなしで感想を書くと、「恋っていいよね」くらいしかいえなくなる類の映画ですね。あるいは「おっぱいっていいよね」でもいいけれど。
しかもネタバレ厳禁タイプのシナリオ。まあひと言でいうと傑作だったんだけれど、細かいところをどう見るかで評価が変わってくる可能性はあると思う。
いやまあ、細部をあげつらうべき映画ではないことはわかっているんだけれど、評価がわりと絶賛一色なので、ぼくはあえてそういう蛮行に踏み切ろうかと。
くり返しますが、かなりの傑作なので、未見の方はこの記事は無視して映画館へ向かってください。なんだかやたらと「新海誠の集大成」という評価を目にするけれど、あえてシンプルにいえばそういう映画です。
十数年前、下北沢へ『ほしのこえ』を観に行ってからずっと新海映画を追ってきたぼくと -
『秒速5センチメートル』はもう成立しない。
2015-03-31 01:2051pt
LINEやTwitterなどのいわゆるソーシャルネットワーキングサービスが発達して変わったことはいくつかあるでしょうが、ぼくはここで「別れ」が変わってしまったことを挙げたいと思います。
いままでの社会においては、ひととひとは状況や環境が変わると何かしらの「別れ」を迎えることになることが常でした。
たとえば「卒業式」などは最も大々的な「別れ」のイベントであって、そこを過ぎると、それまでどれほど親しくしていた相手ともしだいに疎遠になり、ついには別れることとなる。
それが、いまままでの常識だったといっていいと思います。
もちろん、いつまでも地元に残って地元の友人とつるみつづけるという人もいるだろうけれど、それにしても状況なり環境が変化したらいままでの友人や家族や恋人とそのままの関係でいることはむずかしかったのではないでしょうか?
しかし、SNSはこの「あたりまえ」を決定的に変えました。
いつでもどこでも、ひととひとが空間の隔たりを超えて「つながっている」ことができる状態を作ってしまったのです。
じっさい、ぼくはLINEやmixiといったSNSを使って、日本中(というか世界中)の友人たちとつながっています。
ぼくは不勉強にして日本語しか使えない身の上なのでいまのところ友人は日本人に限られていますが、世界中の多様な人々と「つながる」ことも決して不可能ではないでしょう。
これによって、何が起こったか。
それは社会学者が研究するべきテーマですが、ひとつには恋愛小説やテレビドラマが「ドラマティックな別れ」を演出しにくくなったと思います。
携帯電話の普及は推理小説を作りづらくしたなどといわれますが、SNSの普及はドラマティックなラブストーリーを生み出しにくくしているかもしれません。
たとえば、幼い恋人たちが切ない別れを告げて離ればなれになる『秒間5センチメートル』などにしても、いまではそこまでほんとうに離ればなれになる必要はないかもしれません。SNSでつながりつづければいいわけですからね。
いや、
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