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世界の命運より小さな幸せ。アニメ『はたらく魔王さま!』の価値観が興味深い。(2172文字)
2013-10-01 22:0753pt
【アニメ『はたらく魔王さま!』】
いまさらではありますが、アニメ『はたらく魔王さま!』を観終わりました。
いや、面白かった。あまりテレビアニメを観る習慣がないぼくにして、熱心に1クールを追いかけることができました。
ぼくは原作を読んでいないのですが、アニメは相当に脚色がほどこされているらしいですね。
それでいて原作ファンからも特に大きな批判がないように見えるあたり、やはり素晴らしい作品なのでしょう。
そのうち原作も読んでみたいと思いますが――でも、ライトノベルは長いからなあ。はたして読めるかどうか。
昔なら小説の10册や20册、どうということはなかったのですが、最近は読書力が落ちていて、なかなか読み進められません。
ぼくも歳だなあ。この先、どうやって生きていこう。よよよ。アニメのほうも第二シーズンを放送してくれないかしら。
さて、『はたらく魔王さま!』という作品の面白さは、日常と非日常が混然としているところにあります。
異世界からやって来た勇者と魔王が、生活費を稼ぐため、この世界でバイトをする羽目になる――この設定自体は、それほど独創的ではありません。
昔から、非日常的な連中が日常に埋没しきれない様子を描いたコメディはたくさんあります。
以前にも書いたと思うけれど、この設定を聞いてぼくが真っ先に思い浮かべたのは『フルメタル・パニック!』でした。
しかし、いつまでも平和な現実に適応することができない『フルメタル・パニック!』の相良宗介と異なり、この物語の魔王や勇者はあっというまに現代日本に適応してしまいます。そしてそれなりにしあわせそうに暮らしていくのです。
【小さな幸せの手ざわり】
これが非常に重要なポイントだと思うのですが、 -
『はたらく魔王さま!』と『フルメタル・パニック!』の共通点と相違点。(1690文字)
2013-09-13 00:5253pt
今月のアニメ消化ノルマをこなすべく『はたらく魔王さま!』を第5話まで観ました。
ほんとうはこうやって義務的に観ることは良くないのかもしれないけれど、観たら観たで楽しめるからまあいいかと。
最新の作品を観ても何がおもしろいのかさっぱりわからなくなったらぼくの感性もおしまいです。
今年でもう35歳になるわけで、いいかげん最新のアニメとかライトノベルのおもしろさがわからなくなってきそうなものですが、じっさい観たら楽しめるので安心しています。
もちろんさっぱりおもしろくないものもあるけれど、そういうものはやっぱり人気ないからな……。
さて、『はたらく魔王さま!』の話。「日常と非日常の接地」という文脈で観ようかなと思った作品なのですが、予想以上に良い出来した。
原作は未読なのだけれど、たぶんそっちもおもしろいのでしょう。
異世界から魔王と勇者がやって来てファーストフード店やコールセンターに務めることになる――というあらすじだけを取れば、「小説家になろう」あたりにもありそうなごく平凡な筋書きなのだけれど、ちょっとびっくりするくらい楽しい。
これは何がおもしろいんだろう? うーん、よくわからない。
非日常的な世界からやって来たヒーローがあたりまえの日常に遭遇して騒動をひき起こす、というプロットそのもののおもしろさではないでしょう。
それはようするに『フルメタル・パニック!』とか、漫画『JESUS』の系譜で、それほど目新しいものではない。むしろこの手のコメディの定石と云ってもいいかも。
ただ、この『魔王さま!』の場合、やむを得ずこの世界を訪れた魔王があっというまに順応して笹塚のマックのバイトリーダーになってしまうのですね。そこが新機軸といえばそうかもしれない。
そういう意味ではたしかにこの作品の魅力の質は『フルメタル・パニック!』とは違っている。
つまり「どうしても普通の日常に馴染めないひとの滑稽さを笑う話」ではなく、「ほんとうはそうできないはずなのに、あっさり日常に馴染んでしまうひとの奇妙さをほほえましく見つめる話」なのだと思う。
ここ十数年、
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